破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件 作:らくべえ09
※前回同様かなりひと選ぶ内容なのでご注意を……!
「あのオッサン、やっぱそんなンだったのかよ」
「そのようね」
マコネはカーシャからことのあらましを聞いて……。
いわゆる、〝ドン引き〟となっていた。
――うっわ……。マジで種オジだったのかあ……。スゴイ話。
バッキーのほうも、似たような感じである。
「だけど、そのオッサン? とっつかまった後どうなったのかね?」
「さあ。ギルドナイトがこっそりと連行していったけど」
カーシャはお茶をいれながら、
「どっちにしろ、明るい未来はない」
「だよなあ……」
マコネはうなずいた後、
「そーいやさ? 侯爵様もそうらしいけど、ウズコッケの支部長さん? けっこうなデブだったなあ」
「ああ。そういえば、そうだったかしら。どうでもいいことだから、意識してなかったわ」
――ウズコッケの支部長かぁ……。
バッキーは、ウズコッケに赴いた直後を思い出す。
手続きをするためにギルドへ行ったのだが?
そこで会った支部長というのは、
――まあ、ヤクザみたいなおじさんだったなあ……。だいたい冒険者がヤクザみたいなもんではあるけど……。
広めの部屋だった。
大きなベッド。金のかかった内装。
その床に、数人の男が座っていた。
いや。
座らされていた。
いずれも、若い。
見た目や所作からして……。
全員軽薄そうな、遊んでいるというのがわかる。
若者たちは腕を拘束され、一列に並んでいた。
それを見ながら、男はベッドに腰をかけている。
小太りの……だが、手足は太かった。
突き出た丸い腹は、外見ではわからないが鉄のように硬い。
黒い髪の下に、怖いものを含んだ眼がギラギラとしている。
さらには。
全裸。
股間からぶら下がったどす黒いものを、隠そうともしない。
いや?
「すいません! すいませんッ!! 俺たちが悪かったです、すいません!!」
「カンベンしてください……カンベンしてください……!!」
男たちは必死になって謝り続けていた。
幼児のごとく泣き、鼻水をたらしている。
「困るんだよなあ」
男は立ち上がると、いきなり、
ゴッ
若者の一人を蹴った。
顔面を容赦なく。
歯と血が飛び散って、男は転がった。
「ダメだろ? 今さらそんなこと言ってちゃ……」
転がった若者を踏みつけながら、男は首を振った。
「君たちさあ、なーんでわざわざ他人の
ゴリ、ゴリュ……
一人を踏みつけたまま、男は他の若者を見る。
「女欲しかったらさ? サキュバス街いきなよ。
その声に、若者たちはより声を大きくして、
「すみません、すみません!!」
「二度としません、カンベン、カンベンして……!」
しかし。
男はまた首を振って、
「無理でしょ。君たち学習能力低そうだもん。ひとのオモチャ盗んで喜んでるお子様じゃん」
別の一人を、蹴りつけた。
こちらは腹。
「おじさんはねえ? 後始末やら何やらであちこち行ったり頭下げたりしたのよ。君たちのせいで」
ゴッゴッ……
ベチィ
メキ
殴る。蹴る。
淡々と振るわれる暴力は、床に血を飛び散らしていった。
やがて。
「すいません……。もう、もう逆らいません、ぜったい逆らいません……。言うこと聞きますから、カンベンしてください…………」
痣だらけ、血まみれとなった若者たちは力のない声で言った。
「まったく……。初めから素直になってくれたら、おじさんもボーリョク振るわずにすんだんだよ? じゃ、お尻上げて?」
「はっ。
「言ってやるなよ。支部長に詰められたら、あんなガキ
「明日からは、オムツがご入用になるかもしれないわねえ?」
「あははは! 大根みたいのでケツ可愛がられちゃ無理もないか」
しばらくして。
部屋から出てきた男は、ソファーにどかりと腰をおろした。
一応、ガウンを着ている。
「支部長、お疲れ様です」
「バッカヤロ。おかしな言いかたするな。なんだよ、お疲れ様ですって」
男は笑って、片手を出す。
「それで――あいつら、どうされますか?」
水割りの入ったグラスを手渡して、部下はたずねる。
「もう用はない。どっかに渡しとけ」
まったく……。
いちいち、困るんだよなあ。
ああいう新顔は。
水割りをゆっくりとやりながら、男――ウズコッケ支部長は言った。
「
「それで結局、尻に火がついてこっちへ逃げてきたと」
「もう少し、出入り……特に入ってくるのを厳しくできませんかね?」
部下たちの声に、
「色々と小細工するのがいるからな。金とって入れさせるのもいるらしい」
支部長は相手を手を上げる。
それにタバコが渡され、火がつけられた。
「小銭でも稼がせてもらわにゃ、割に合わん」
「そのついでで、支部長も役得ですか」
「ばっかやろ。生意気言うんじゃねえや」
支部長は笑って、
「どーせ、くだらんことしていきがってた連中だ。殺そうとどうなろうと、知ったことじゃねえ」
「そっちのアレか」
ゴトクは微妙な顔をする。
「アレってさ、インキュバスじゃ間に合わんのかねえ」
買い物にやってきたマコネ。
ウズコッケでのクエストについて語った後、不思議そうに言った。
「インキュバスってのは、いわゆる美男子とかそんなんばっかだからなあ」
品物を出しながら、ゴトクは言った。
「太ったのとか、男臭いのはいねえ。だから、そっちの趣味はなあ……」
「ふーん……」
「だから、捕まって処分されそうなのが、裏で引き渡されるってのは意外とあるらしい」
そうなったら悲惨だがな?
表に出ないだけ、どんなご乱行に付き合わされることやら……。
想像をしたのか。
ゴトクはげんなりした顔で、肩をすくめた。
次回から番外編をやる予定であります