破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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その112・5、番外:モンスターをテイムせよ-1 ねことやもり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んんん……」

 

 マコネはあぐらの体勢で、それを見ていた。

 他人からは、睨んでいるように見える。

 

 魔法陣――

 とはいっても、粗い素人が造ったもの。

 

 その上に、一匹のモンスターが捕獲されている。

 サイズは中型犬くらい。

 

 4つ足。

 鱗と獣毛がある。

 猫の耳と、爪。

 それと同時にトカゲ……。

 否。

 ヤモリの特徴があった。

 

 ――妙なもんを捕まえちまったよ……。

 

 さて、どうするべきか。

 

 ――いや、別にアレコレ考えるまでもねーんだけど。

 

 そんなマコネの横で、

 

「ええと。コレは……。耳ヤモリというそうですね。あるいは、ゲカットとか。守宮猫(やもりねこ)? 的な意味らしいです。で……再生力、生命力が非常に強く、動きも俊敏で隠密行動を得意とする……と」

 

 本を片手に、バッキーはモンスターを見ていた。

 ページの中には、モンスターの【写真】が載っている。

 

 様々なモンスターの性質や弱点、素材としての価値などが書かれており――

 要するに。

 モンスター図鑑、とでもいうような本。

 

 バッキーの返答に、マコネは思わず笑って、

 

「あははは。そりゃおいらにピッタリのヤツだな」

 

「ダンジョン内でも発見されるそうですが……あまり、出てこないタイプだと」

 

「なんか素材がレアだったりするのか?」

 

「はいはい。ええと?」

 

 マコネがきくと、バッキーは本を読み進め、

 

「んー。なんか、血液が特殊なものらしいですが? 薬とかの触媒にも使えるそうですが……。あんまりよくわかってないみたいです。見つかったり、仕留めたケースが少ないので」

 

「ほーん? レアはレアなんか」

 

「ですね」

 

「ん~む」

 

 

 

 少し時間を戻す。

 

 カーシャたちのパーティーは、ある高難易度ダンジョンに挑んでいた。

 

 深い階層。

 手強いモンスター。

 あちこちに隠された、多くの宝箱。

 そして、多くの冒険者を餌食にしてきたボスモンスター。

 

 

 

 

 これはあっさり倒したわけだが――

 

 ダンジョンが崩壊、消えるその後。

 パーティーが地上に出た直後、マコネの前にそれはいた。

 

「なにぃ!?」

 

 叫んだ時には、魔法陣がモンスターを捕縛していた。

 それをやったのは誰でもない、マコネ自身。

 完全に無意識の行動。

 自分が何をどうしたのか、マコネには全くわかっていなかった。

 わかったのは、ただ前に手を突き出していたということ。

 それだけ。

 

 ――な、なんだぁ……!?

 

 いきなりの事態に、マコネは困惑していたが、

 

「おあっ」

 

 後ろにカーシャが立っていたことに気づき、奇声を出してしまう。

 

「なるほど。ダンジョンが消えた直後にモンスターと出くわす。そういうこともあると」

 

「あ、ああ。いや、まずないらしいがね。話にも聞かねえから、おいらも油断してた。面目(めんぼく)ねえ」

 

 マコネは照れ笑いをしてから、

 

「ん。けどよ? 不意打ち食いそうになったところを、助けに来てくれたのかい。ありがとな」

 

「あなたにケガされたり、死なれても困るのよ」

 

「そんなに評価してくれるってのは、嬉しいもんだね」

 

 マコネは笑って頭を掻く。

 

「で? そのモンスターはどうするのかしら」

 

「あ」

 

 言われて、マコネはモンスターを振り返る。

 

 魔法陣の上で石のように固まっているが……。

 拘束がとければ、すぐに動き出すのはわかった。

 

 何となく。

 感覚的なものが、マコネにそれを教えていたのだ。

 

「それは、モンスターテイマーの魔法ね? あなた……」

 

 カーシャは質問をしかけて、

 

「あああ……。そういえば、そういうことになってたわね」

 

「へ?」

 

「ワシローの時に。あなた、呪文石で()()()()()でしょう」

 

「おおっ」

 

 マコネは手を打って、

 

「言われてみりゃあ……。そうだった、そうだった。いや、そのうちどれくらいのもんか、試そうと思ったんだけどよ? けっこう難しい、ってえより訓練に時間かかるらしいんでよ。忘れるともなく、忘れてた」

 

「あんたみたいなのが、そういうマヌケなことをするとはね」

 

「いやあ。またも面目ねえことだよ」

 

 マコネは手のひら――

 モンスターテイマーのマークを見て、ばつの悪そうな笑顔。

 

「でも。せっかく捕まえたけど、それどうするの?」

 

「そうだよ、そうなんだよなあ~~……」

 

 マコネは盛大なため息を吐いた。

 

「きっちり手なずけるまで、街には連れていけねえし。手なずけても、なんかあったらトーゼン責任がなあ」

 

「というか、そもそも」

 

 カーシャはモンスターを見おろしつつ、

 

「あなた、それをキチッとテイムできるの?」

 

「……。あああ。そこもかぁ」

 

 マコネはうなだれてしまう。

 

「あのー、どうしたんですか?」

 

 後ろから。

 やりとりを不思議そうに見ていたバッキーが声をかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――お前さんも、おかしなことになったもんだな」

 

 ゴトクが、その状況を見て言った。

 

「とはいえ。こうなった以上は責任もって世話するしかねえが」

 

()()するという判断はないの?」

 

「あのな……」

 

 いきなり冷酷なことを言うカーシャに、

 

「やったら、術者もタダじゃすまん。自分の分身たる使い魔とはちがう。別個の生き物、それもモンスターを魔道で使うんだからな」

 

 ゴトクはあきれた顔。

 

「なるほど……。確かに、生き物を使った呪術は反動も大きいと言うわね?」

 

「だから、その手の術は厳しく取り締まられるんだよ。色々厄介だからな」

 

「そうね。連座で一族郎党、ってパターンもあるとか」

 

 カーシャがうなずいていると、

 

「あの、それは……?」

 

 バッキーはこわごわと尋ねる。

 

「言っただろ? 反動が大きい、厄介だってな? うまくすればバンバン金も稼げるし、色々美味しい思いもできる。だが、そのうまくするってのが難しいんだ。ちょっと間違えりゃ、国が取り締まるまでもなく、あの世いきだ。関係者をまきこんでな」

 

「おっかないですね……。え、じゃあ?」

 

 バッキーは顔色を変え、考え込んでいるマコネを見る。

 

「モンスターテイマーはそこまでじゃねえ。反動があっても、ほぼ痛い目見るのは術者だけだ」

 

「いや、()()って……」

 

 ゴトクの答え。

 バッキーはそれを聞きながら、マコネを見つめ続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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