破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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投稿休んでしまいすみません
本日より復帰、と思います(;^ω^)



その113、青龍石の枕-6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どうかな?」

 

「長壁さんが来てくれたら、即戦力になると思うんだけど」

 

「体育の時、すごかったし」

 

 3人の女子が緊張しながら、つっかえつっかえ言っている。

 

 放課後。

 帰り支度をしていたカーシャへ、突撃? してきたわけだが……。

 

 つたない説明と勧誘を黙って聞いていたカーシャだが、

 

「無理」

 

 スッパリと、まさに切り捨てるような返答。

 

「団体競技は無理。運動は嫌いじゃないけど、そういうのは苦手なの」

 

 真正面から言われた女子たちは、無意識に一歩退きながら、

 

「あ。はい」

 

「ごめんね? 時間とらせちゃって……」

 

「き、気が向いたら、見学とか大丈夫だから」

 

 弁解みたいなことを言いつつ、去っていった。

 

 カーシャは見送ることもせず――

 すぐ、別のほうを向いた。

 

 また、別の女子が立っている。

 視線が合った瞬間、その女子はビクリとして後退した。

 

 ショートカットで、少し癖のある黒髪。

 いかにも、スポーツ少女という印象。

 

「なにか?」

 

 カーシャはゆっくりと近づき、ショートの女子へたずねる。

 

「えっと……。実はさっきの子たちとおんなじ用事、なんだけど……」

 

「ああ。つまり、部活への勧誘?」

 

「そ、そうだね」

 

「聞いていたかもしれないけど――団体競技は苦手なの」

 

「ああ。それなら、大丈夫、かな? うちは、陸上で」

 

「なるほど、なるほど」

 

 カーシャはうなずきながら、

 

「けど。で?」

 

「いや。えっと。良かったら見学だけでも来てくれると……」

 

「ふーん」

 

 カーシャは少し考えて、

 

「まあ? あなたほどの人気者がそういうのなら」

 

「に、人気???」

 

「なかなかファンが多いと聞いたけれど? 滝王リョウさん」

 

「え!? な、なんで?」

 

「名前を知ってるかって? 言ったでしょ、人気者だって。噂は耳にするのよ。女子陸上部で素敵な王子様がいるって」

 

 驚く少女に対し、カーシャは目を細め――

 

「ふうん。王子様「あ、あはは……」

 

と呼ばれ方はお気に召さない?」

 

「そうでもないけど……」

 

「なら。プライベートじゃ、お姫様扱いしてくれる、それこそ王子様がいるのかしら」

 

「うぇ!?」

 

 スポーツ少女――滝王リョウの反応。

 カーシャをそれを観察しながら、また目を細めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間にすれば――

 30分いくか、いかないか。その程度。

 カーシャは無言で練習風景を見学していた。

 

 正直なところ。

 どれだけ見ても、興味を引かれるものはなかったが。

 

 

 それよりも。

 

 

「ありゃ男できたね」

 

「わかる、わかる」

 

 離れた場所で、そんな会話が流れてくるのを聞いていた。

 

 距離もある。

 声も小さい。

 しかし、少し意識を集中すれば容易に聞き取れる。

 

 さて、その内容はいえば。

 あの、〝王子様〟……滝王リョウについてだった。

 

 むしろ?

 陸上部員の練習より、そちらのほうにしか注意がいっていない。

 

「ちょっと! そんなとこで無駄口叩かない!」

 

 途中、上級生の一喝で中断となったが。

 

「悪いけど、そろそろ行くから。滝王さんにヨロシク」

 

 カーシャは近くを歩いていた部員へ言い残して、去る。

 ほぼ一方的に、あわてた部員が何か言ってるのを聞き流して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――ん?

 

 校舎を出ようとした時、だった。

 

 前のほうを、袖引宗吾が歩いているのを見る。

 

 宗吾はカーシャにまったく気づかず、笑ったり騒いだりしていた。

 数人の男子生徒とバカなことを言い合いながら。

 

 ――まあ、そんなものよね。

 

 カーシャはひとり肩をすくめて、笑った。

 

 それは袖引宗吾に対して、ではなく……。

 運動場から視線を投げてくる、スポーツ少女へのものだった。

 

 袖引少年は――

 勘違いがありやなしとはいえ?

 近しい年代の少女たちとそれなりに、交流できていた。

 

 と、なれば。

 

 別に友人知人が多くいても不思議ではない。

 むしろ、いないほうが不自然。

 

「この間は、どーも」

 

「ふぁい!?」

 

 マヌケな声。

 が。

 話しかけたカーシャに反応したのは、宗吾ではなかった。

 

 一緒にいた男子連中である。

 

「あ、長壁さん」

 

「お元気そうでなにより」

 

 ペコリと挨拶する宗吾に、半分皮肉めいた声をかけながら、

 

 ――しかしまあ……。

 

 他の男子たちを順番に見て、ため息。

 

「こぎたないのばかり、そろっているわねえ」

 

 いきなり暴言。

 

 実のところ、

 

 ――さほど気にすることはなかったけど、()()()()の見方というか基準にすると、どうも……。

 

 正直、心良くない点が多々あったわけで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その翌日より。

 クラスの中でカーシャの指導、いや独裁がされ始めた。

 

 といっても。

 女子と、何割かの男子は対象外ではある。

 

 髪がどーの。

 身だしなみがどーの。

 スキンケアがどーの。

 体形がどーの。

 歯の色がどーの。

 

 特に、ランク底辺の男子たちには具体的かつ容赦ない()()を行っていった。

 

「あなたたちの取り柄は、()()()(笑)でしょう? なら、私に優しくしてちょうだいな。身だしなみを整えるのは、他人への思いやりと優しさ、配慮と心得なさい」

 

 そういうことを言い出す。

 

 逆らえる者などいない。

 かといって。

 

 改善方法を具体的かつ詳細に指導。

 

 カーシャいわく、

 

「今日明日でやれとは言ってない」

 

 とのこと。

 

 誹謗中傷、無理難題を言ってるわけでもない。

 なので、反論もしにくい。

 

「要するに……自分の周辺にいる男、の外見レベルを上げたいんですよね?」

 

「そーだけど? なにか」

 

「いえ」

 

 昼休み。

 クラスの代表、『見本』としていじられる宗吾の姿があった。

 

「そもそも、クラスが違うんですけど」

 

「同じ学校で同じ学年である以上、目につくことは多いのよね」

 

「そうですか……」

 

「あなたの場合、多少小手先を変えるだけで良いのだから楽なものよ?」

 

「どうも……」

 

 宗吾の場合。

 いくらかイメチェンをした程度だったが――

 それでも女子が見る目はかなり変化した。

 

 他の男子は改善に向けて、個人差はあれど奮闘中。

 

 

 少したつと。

 

 

 宗吾は他の女子たちと、普通に話したり話しかけられたりするようになっていた。

 

 いや?

 別に以前からそうではあった。

 

 ただ。

 

 女子からの距離が近くなっただけだ。

 

 

 カーシャはそれを、正確にはそれを見る複数の視線。

 その主たちを面白く、観察していた。

 密かに、ではあるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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