破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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その117、悪魔が来りて嘘をつく-25

 

 

 

 <現状を大まかに整理してみると、問題点はふたつだ>

 

 <魔王軍と、王位継承問題>

 

 <そうだな。魔王軍は……ちょいと厄介なことになってるが、根城はある程度わかった。頭を潰せば、先はわからんが当面の危機は回避できる>

 

 <英雄グシオ殿でなんとかなるのかしら?>

 

 <やり方次第だな。手っ取り早い方法は少数精鋭で殴り込み、魔王を殺す。ついでに施設やら何やらを潰す>

 

 <シンプルね>

 

 <だが、それだけに難しい。向こう様だってバカじゃない。周辺はガチガチに固めてるぜ>

 

 <でも偵察は情報を送ってきてるのよね?>

 

 <腕が良いからな。単独なのもかえっていい。あと、一般的な魔法とは術の系統が違う点もいいな。相手からすると、ひどくわかりにくい>

 

 <しかし、勇者が乗り込むとなれば話は別だ。ドラグーンを持っていかにゃあならんし。輸送できる飛行艇はそう早く飛べない。少なくとも、英雄殿が乗るドラグーンよりも遅いのは確実だ>

 

 <そうねえ……>

 

 <あんただって、今やまがりなりにもドラグーンに乗っている。問題点はわかるだろう?>

 

 <と、なれば。仮に単体で乗り込んでも、ある程度は大暴れできるでしょうけど。どうしたって長続きはしない。大ざっぱになる可能性も高いから、肝心の魔王を取り逃がすかもしれない、か……>

 

 <ああ。そこんところを、忍術使いのヤツがうまく誘導できればいいが。うまくいったとして――>

 

 <古代竜>

 

 <そいつが向こうの最大戦力だ。いや、自由に操れんとしても、近くでボコスカ戦争やってみろ。刺激されて起き出してくるわな>

 

 <さて、そうなってしまえば>

 

 <そうだよ。敵も味方も、英雄も魔王もあったもんじゃあねえ>

 

 <大災害ね>

 

 <ああ>

 

 <けれども、まあ――私には関係のないことだわ。ナーロッパが滅びようがどうなろうが、知ったことじゃないもの>

 

 <……>

 

 <なに?>

 

 <いや、それはあんたの自由だが>

 

 <本拠地への突貫となれば、あんたも参加するんだろう?>

 

 <そうね。そうなるわね>

 

 <だったら、否が応でも古代竜とぶつかる危険性があるぜ?>

 

 <そうなったなら、それはそれで仕方がない>

 

 <……勝てる見込みは?>

 

 <ない>

 

 <だったらとっとと逃げてもいいんじゃないのか、分の悪い勝負だぜ>

 

 <そうね>

 

 <なら>

 

 <ふむ。少し、気が変わったわ>

 

 <トンズラかい>

 

 <いえ>

 

 <……どうすると?>

 

 <魔王を殺す>

 

 <いや、何でそうなるんだよ。あんたの仕事は……>

 

 <ええ。また別ね。それはそれでキチンとこなすわ。命があればね>

 

 <死ぬかもしれんのだぜ。あんたのやり方に合うのかよ>

 

 <面倒臭くなった……では、ダメ?>

 

 <……おい>

 

 <で。魔王のお城――その詳しい場所を知りたいわ。できれば案内人が欲しいわね>

 

 <わかった。何とかしよう>

 

 <大変にけっこう>

 

 <だが、本当にどういう風の吹き回しだ……?>

 

 <そうねえ……。元々、会ってみたいとは思っていたのよ、魔王陛下とね。ほら、前の時はあくまで裏方だったでしょう?>

 

 <前……? あああ……。あのテロエルフか>

 

 <そうそう、アレ>

 

 <会ってもビックリドッキリする相手じゃないと思うぜ?>

 

 <でしょうね、けど? 魔王と呼ばれる存在。ま、世界を闇で覆う邪悪の権化……なんてのは、おとぎ話とわかっているけど。同じように悪者って詰られる者同士……。面白い話ができるかもしれない>

 

 <酔狂だな>

 

 <じゃあ、準備をヨロシク>

 

 <わかった。いや、もしかすると雇い主にとっても良いタイミングかもしれん……>

 

 <おやまあ。だったら、なおさらにけっこうじゃないの>

 

 かくして――

 そういう次第となったわけで。

 

 

 ・  ・  ・

 

 

「ふう、やれやれ」

 

 カーシャは、ほぼ大破したドラグーンを見ていた。

 先ほどまで自分が乗っていた高速飛行型。

 というか……。

 

「地上型の、それも安い量産型を無理やりに仕立て上げたもんだ。途中で吹っ飛んでも、責任はもてん」

 

 一応自分の専用機として、それなりにカスタマイズされた機体。

 リブオも、大いにその専門技術を振るった。

 

 が。

 しかし――

 

「もういっか」

 

 どの道、使い潰すか途中で放り捨てる予定だった。

 それがちょっとばかり早まっただけである。

 

 カーシャとしてはそういう理屈だ。

 

 さて。

 無理やりな改造を施されたそれは、もはや鎧でも乗り物でもない。

 ヒト型をしたミサイルのようなものだった。

 

 これを高速で目的地目指して発進させた。

 高高度をほぼ直進である。

 当然、まともに稼働するわけがなかった。

 途中で機体は崩壊して、カーシャはそのままひょいっと脱出。

 

 そして、今に至る。

 

「さて……」

 

 カーシャは手にした特別製の魔導ナビを見た。

 まだ相当の距離がある。

 

 ――落ち合う場所はこっちで、これくらいか……。

 

 ゴトクが用意したものは、正確で使い勝手が良かった。

 わかりやすく、最短距離を表示している。

 

「まあ、なんとかしましょう」

 

 カーシャはひとりつぶやき、地を蹴った。

 大きく跳躍し、着地して走り、また跳ぶ。

 それを繰り返しながら、高速で目的地へ移動していった。

 

 ――おやおや。

 

 途中途中で……。

 空中を飛ぶドラグーンを見た。

 群れを成すモンスターもだ。

 

 ――そういえば、他のモンスターも操れるんだったわね。

 

 邪魔者を排除しながら、カーシャは思い出す。

 

「ドラゴン・ホルンの応用だな。種をまたいで作用させるから精度はあんまり良くないが……。ま、暴れさせるだけなら十分だ。何体死のうが惜しくもない。寡兵で悩む連中にとってはありがたい道具だぜ」

 

 と。

 ゴトクはそのように語っていた。

 

 ――まあ、全部殺す必要もない。これは助かるわ。

 

 とにかく進行に邪魔な相手だけを潰す。

 カーシャにとっては、羽虫を追い払うようなものだった。

 

 やがて――

 

「こっちです」

 

 暗がりの中。

 目立たない服装をした少年が、小さく手を振っている。

 シーフ職の少年・トクベー。

 

「今回は、お世話になるわ」

 

 カーシャは片手を上げて、静かに近づく。

 

 といっても……。

 その後ろには破壊されたドラグーンや、モンスターの死骸が散乱しているわけだが。

 

「場所は、あそこですね」

 

「なんとまあ」

 

 どこかの岩屋にでも潜んでいる。

 カーシャはそう思っていたのだが、

 

「ずいぶん立派なお城ね?」

 

「パッと見は、完全な廃城ですけど、地下に本拠地が造られてます。で……」

 

 トクベーは古城の奥――

 やや小さな岩山部分を指した。

 

「あの地下に古代竜が眠ってます。くれぐれも……」

 

 

 

 

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