破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件 作:らくべえ09
ええ、はい。
可能性としては――
工作員、ないしは売国奴の仕業かもしれませんね。
ニッポンはヤオアムトに関する詳細……といいつつ、だいぶフィルターのかかったものですが、それなりの情報は得ているようです。
どういう伝手は、まだわかっておりません。
こちらがそっちの方面を特に気にしていなかったこともあるでしょう。
サキュバス。
はあ、彼女らへの悪質な性的虐待を即座にやめろ、日本政府は抗議しろ――
とまあ、このようなことを宣っていますね、彼らは。
向こうの政府も、だいぶまいっているようです。
強権的に封じ込めればいいものを、それができない。
まあ、政権内にも賛同するのがいるんでしょう。
日中から暇な連中が集まって騒いでいるようですね。
末端はともかく、中枢にいる連中はヤオアムトとの問題を起こさせたいようで。
要は獅子身中の虫。
まさに売国奴とも言えます。
ええ。
一応、どういう連中なのか調査は進めてますが……。
色んな国の後押しで活動している連中が大半です。
現状、その大事な国は遥か遠くだというのに、健気なことです。
よほどに、ニッポンに恨み憎しみがあるのでしょうよ。
知りませんけど。
現状で、ヤオアムトからの石油が止まれば向こうは終わる。
魔石による動力機関を中心にするとしても、まだまだ早急にはいかんでしょう。
と、すれば。
残るは暴動と瓦解。
血と暴力の支配する世界ですな。
そうなれば、どうなるか……。
ま、自分たちがドサクサで支配者になれると思っているのでしょうが……。
飼い主の支援は、ほぼ望めないというのにねえ?
・ ・ ・
「サキュバスの存在は、かの国の女たちに強いショックを与えたようですね」
「……なんで?」
「蛮族の考えることはよくわからんな」
「まあ、そう捨てたもんではない。労働力や兵士としては優秀な連中だよ。ははは」
「例の皇帝……いや、司祭か? それと、連中の神さえ肯定してやれば、扱いは容易だ。つまり、こっちの流儀と同じさ。他人の信仰には踏み入らない。これだけで良い」
「話が脱線しておりますぞ?」
「うむ。そうだったな」
「まあ、ともかく? 続きを聞こうか――」
「まあ、簡単に言うと女……いえ、この場合は女体、いえいえ、母胎の価値を激減させる存在だからと言えましょうか」
「母胎ねえ?」
「だが連中は子が生まれなくて苦労している聞いたが?」
「ええ。矛盾していますねえ。しかし、何であれ母胎がなければ子は増えない。男女ともに労働力にはなるものの、母体となりうるのは女だけですから」
「つまり?」
「本能的に、男は女は求めて、気に入られようとする。その真理は変わらないということです」
「ああ、そういう……」
「――連中がサキュバスと国家レベルで契約すれば、少子化は解消。サキュバスの支援も得られて、国を維持することも容易だろう」
「そうです、そうです。ですが、代わりに女全体の利権が失われる。あるいは、極めて小さくなる」
「既得権益が侵されれば、誰でも反発しますからな。当然と言えるのか」
「そんなものは抑え込んでしまえばいいだろうに」
「できないのですよ。連中の【民主主義】とやらはね」
「迂遠なものだ」
「それで国は亡べば元も子もないだろうにな」
「上層の連中は、自分たちだけは逃れられる思っているのです。あるいは、ヤオアムトで裕福に暮らせるとなどと、能天気なことを考えているんじゃないですか?」
「のんきというかドンくさいというか……」
・ ・ ・
魔石動力技術の一般開放。
それしかないでしょうね。
いや、そんな顔されても困りますよ。
現状で石油に代わる有効な手段はそれしかありません。
幸い、魔石はいくらでもあるし、『大量生産』も可能だ。
切り替えるのなら、早いほうが良い。
肝心の中枢部分……。
それも、大小の工場を動かせば基本的なものなら、即座に生産可能です。
は?
いや、 当たり前でしょう。
きちんと確認をしてありますよ。
後はそちらがGOサインを出すかどうか、です。
……あのね?
そんなことを気にしている場合ですか?
国どころか、文明そのものが崩壊しかねんのですよ?
アメリカ?
……かの国は、クル、つまり北の大陸ちかくでしょう?
どれだけ距離があると思っているんですか。
それに……。
あっちは、
アメリカもそれに巻き込まれてるんじゃないですか?
そう――
あっちの歴史でもあったのでしょう?
資本主義と共産主義の抗争が。
主義主張は異なりますが、まあ似たようなものです。
え?
ああ、そこからですか。
デミゴッドは、まあ、正確にはエルフと人間のハーフですがね……。
エルフの特性……長寿を残さずに容姿も人間ベース。
ただし、能力は他の人間よりもはるかに上回る。
デミゴッド同士が交配して、大きな勢力となったわけです。
そのルーツは色々ですがねえ。
デーモンは、人間をベースに生体改造を行った者の末裔です。
いまだに、改造が当然みたくなってますね。
まあ、どっちもどっちのアレですよ。
他の種族にすれば、実に迷惑な……。
は?
いえ、どっちも自分たちが正しいと思っていますよ。
戦争なんかそんなものでしょう。
他の大陸などに伝播しないのが救いですか。
もっとも、そんな余裕もないんでしょうが――
ロシア?
いえ、ユーラシアですか?
まあまあ、大きな大陸ですよね。
あれは……どこだったかな。
ん。
ああ、そうそう。
暗黒領域ですか。
別に真っ暗なわけじゃありません。
エルフ族からしても、ほぼ未知の場所だということです。
ある程度のことはわかって部分もありますけどね。
ただまあ……。
過去に滅んだ文明の遺跡みたいなのも、
もしかすると、高度な文明を持つ種族がいるかもしれない。
ま、ほとんど異世界みたいなもんです。
把握?
それは難しいでしょう。
あなたがたの調査でもわかっているでしょう?
この世界は、あなたがたのいた地球とは違う。
人工衛星で確認できている面積だけでも、あなたがたの知る木星並だ。
なのに――
そちらの常識で照らし合わせれば、一日は24時間だし、一年は365日だ。
ええ、まあ。はい。
私も知りません。
空の太陽が、あなたたちの言う恒星なのか。
夜の月が、あなたたちの言う衛星なのか。
ぜんぜんわかりません。