破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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試しでやってみたアンケート
カーシャの令嬢時代関係が多い模様

リーンや家族関係の他なにがありそうだろうか?
とりまき?

※書きためがかなり減ってきて自転車操業ぽくなってきてしまった……


その42、廃村の中にあったもの

 

 

 

 それから―――

 

 

「調べた結果だけど、どうもゾンビはこのあたりからわいてるみたいだねえ」

 

 魔導タブレットに映る地図。

 ミゾイは地図の白い円で囲まれた箇所を指した。

 

「円の中心から広がる感じで、ポコポコと」

 

 そう言ってから、肩をすくめた。

 

「けどなあ?」

 

 ガジカは不思議そうに、

 

「あそこにゃ墓場跡や死体がたくさん出たって話は聞かないぞ? 記録を調べたけど人の住んでたことはない」

 

「記録がないから、なかったと何故言い切れるのかしら」

 

 カーシャは、冷たい声で言った。

 

「え?」

 

「人がいようが墓場があろうが、都合が悪ければ記録なんか残さないわ」

 

「「あ~……」」

 

 ネクロマンサーたちはうなずきあった。

 

「ふむぅ。それに、大昔……この国ができる前に何があったかはわかりにくいしねえ。地面の下には古代の戦場やら住居跡があるかもしれない」

 

「確かに、このへんは直接行って調べたわけじゃねーからなあ」

 

「死体が土に還ってても、大がかりな術式を使えば死体を復元することはできるしね。ただし、大量の魔石を消費するし、術が弱けりゃすぐ土に戻っちまう」

 

 言ってから、ミゾイの頭によぎったもの。

 

 ――エルフ討伐で大量の魔石が見つかったって話……。並の鉱脈以上の量かも知らないって噂、あれがガセじゃなかったとしたら? 横流し? 中央がなにかしてる? いや、中央とも限らない……?

 

「おい、なに急に黙りこくってンのさ」

 

 ガジカは不審そうにミゾイをつつく。

 

「……ともかく、当面はわいてきた感染型ゾンビを駆除するってことだけど」

 

「ハウンドグールやオンモラキが寄ってきてるんなら、そこまであわてなくっていいンじゃないの?」

 

「そりゃそうとも言える。だが、被害にあった……ゾンビになっちまった連中やその関係者は? 対応が遅れたらギルドの信用問題だぁね」

 

「だけどさ、もうギルドは誰かを行かせてんだろ?」

 

 ガジカの疑問へ、

 

「そりゃ当然。ギルドナイトが人数引き連れてすっ飛んでったよ。ほっときゃどんどん増えるもの。1匹でも逃せば面倒だ。と言っても……たいていはハウンドグールに喰われて終わるけどさ」

 

 ミゾイは人さし指を立てて言った。

 

「だったら、いいじゃん」

 

「さっきも言ったろ。信用問題さ」

 

「だったら――」

 

 カーシャは席から立ち上がり、

 

「そもそも、私は別に要らなかったんじゃないの?」

 

「あんたが動いてくれればてっとり早く片がつくんでね」

 

 ミゾイは苦笑しながらも、

 

 ――タイガー・トラッシュ……群れで行動した記録はないが、絶対にないとも言えない。それに……。

 

「それに、大量発生の原因もまだ不明だよ? 何かあった時ドラゴンスレイヤーのあなたがいりゃあ心強い」

 

 

 

 

 

「結局、わしらは留守番かあ」

 

 バイナの市場。

 屋台店が並ぶあたりで、3人は軽食を取っていた。

 

「ジロさんは当然として。私も方針が決まったら引っ込んどくべきでしょうね。さほど戦闘が得意でもないですから」

 

「当然ってなんやねん」

 

「じゃ行きたいんですか?」

 

「それはカンベンやね」

 

「雑魚が根性見せる場面は感動しますが、あっさり死ぬことも多いですから。しかも、何の役にも立たずに」

 

「身もフタもないこと言うな……」

 

「経験談といいますか、実際見てきたので」

 

 2人の会話に、クガヤは沈んだ顔になっていた。

 

「……やっぱ、そうなのかな」

 

「はい?」

 

「必死になっても、勇気とかみせても、雑魚は雑魚だって」

 

「そうですね」

 

 暗くなっている少年に、ネイテクはあっさりうなずく。

 

「もっとも……無駄死にする場合は、勇気というより蛮勇がほとんどですが」

 

「どうちがうんだよ!?」

 

「直情的で考えなしにつっこむのが蛮勇。冷静かつ賢く(クレバーに)危険や脅威に対処することが勇気、だと思います。どっちにしろ、私はごめんですが」

 

「後のほうは、なんかちがう気がするけど……」

 

 首をかしげる少年に、

 

「対処するより、さっさと逃げるのが普通なんですよ。危険に直面したらパニックになることが多いのでね、冷静に行動できるほうが少ないんです」

 

「……」

 

 ネイテクの言葉に、少年は考え込んでしまった。

 

「自分、なんかええアドバイスしてない?」

 

「いやあ、テキトーに一般論的なことを言っただけですよ。最終的には時と場合と個人差で決まるので」

 

 感心したジロへ、ネイテクは小声でそう言った。

 

「えええ……」

 

「落ち込んでメンタル病んだり、自暴自棄になるよりはいいでしょ?」

 

「そうかもしれんけど……」

 

「オッサンのアドバイスなんて大半は自己満足ですから」

 

「え。自分オッサンなん? そういや年齢(とし)聞いてなかったけど……」

 

「半エルフなので人間と比較はしにくいですが、若くはないです」

 

 

 

 

 

 それから、また時間が流れて(のち)――

 

 

 川沿いの岩場。

 

 ドサリ……

 

 カーシャは、2人のネクロマンサーを地面に放り出した。

 

「っと……。ホントに早いな」

 

 ガジカは身軽に着地。

 

「ちょい頭はグワングワンしたけど、グズグズしてるよりはマシかねぇ……」

 

 ミゾイは重さを感じさせない、羽毛のような感じで降り立った。

 軽く首を振った後、自分の頭を軽く小突く。

 

 2人はカーシャに抱えられ、ここに運ばれてきた。

 高速で走り、飛び跳ねるという動作に翻弄されながら。

 

「あんたアレだけピョンピョンしてて、平気そうだな? 後衛タイプなのに」

 

 ガジカが言うと、

 

「お前さんだって後衛じゃないか。前衛で戦うネクロマンサーなんざいないけどさ」

 

「そりゃ、私はヴァンパイアの端くれだし。でもお姉さんは……」

 

「私も人類種(マーナヴ)じゃあない」

 

「まーな? なに?」

 

「ああ、人間を指す言葉さ」

 

 ミゾイは目を細め、フェイスベールを取ってみせた。

 口が耳元まで裂けて、まるで蛇のようになっている。

 牙の間から、長く細い舌がチロチロとのぞく。

 

 ――人間じゃないと思ってたけど、獣人ともちがう……。

 

 カーシャは無言でミゾイの姿を見た。

 

「リザードマン……じゃないな? ラミアでもないし」

 

 首をひねるガジカへミゾイは笑い、

 

「知らんだろうね。私らはマホーラガ。東方大陸(ヴィデーハ)から流れてきた種族さ」

 

「へえ……」

 

「さてと、もうここらは問題の場所だけど」

 

 フェイスベールを戻しながら――

 ミゾイはかがんで、右手を地面につけた。

 少し目を閉じて、

 

「確かにゾンビが動き回ってた痕跡(あと)があるね……。しかし発生条件がそろってるわけでもなし……」

 

 ブツブツつぶやいていたが、

 

「……! 妙な気配がある……。死霊魔術(ネクロマンシー)じゃあなさそうだが?」

 

 ミゾイの声と同時に、川上のほうを見た。

 

 ――妙な気配……? なるほど、確かに何か蠢いているようだけど。

 

「あっちの方角には、なにかあるのかしら?」

 

「えーと……。確か廃村の跡があったはずだ。ダンジョンがわいた時に対処が遅れたせいらしいや」

 

 地図を見ながら、ガジカも同じ方角を見る。

 

 

 そうしたわけで。

 

 

 3人が廃村の場所へ行ってみると。

 

「けっこう建物が残ってるんだな?」

 

 ガジカは腰の手を当てて、廃村の中を見まわしている。

 

「元々、ここは貧乏人やら流民が開拓を始めてた村なのさ。当然周りはろくに整備もされてなきゃ、ギルドや軍を救援に呼べるわけでもない。大体冒険者ギルドなんざ比較的歴史の浅い組織だから」

 

「ほーん? けっこう前からあるって聞いたけど?」

 

「この国は歴史が古いからねえ。下手すりゃ2~3百年前でも最近になっちまうのさ」

 

 ガジカに対し、ミゾイはあれこれ説明している。

 

 ――長い歴史か。

 

 カーシャも令嬢時代、この国……ヤオアムトの歴史については、家庭教師から習っていた。

 

 ――2千5百……いえ、6百年だったかしら?

 

 歴史書ではヤオアムトは2千数百年以上も前に建国された。

 そういうことになっている。

 実際、それがどこまで真実なのかはカーシャの知るところではない。

 

 ――……しかし。

 

 カーシャは廃村を歩きながら、少し目を閉じる。

 それから、ある廃屋に入っていった。

 

「おーい、あんま1人で……」

 

 呼びかけたガジカだが、立ち止まって右の手を広げた。

 その上に、青白い炎が揺らめく。

 

「こいつぁ……」

 

「ああ、生きの良い死人がいるらしいねえ?」

 

 2人のネクロマンサーはうなずき合う。

 

 廃屋に入ったカーシャは、ボロボロの床を軽く蹴っていたが、

 

 ボゴッ!!

 

 いきなり、何でもないような顔でそこを蹴りぬいた。

 床下へ、大き目の出入り口らしきものがある。

 

「地下倉庫か?」

 

「いいや、どっちかといえば避難場所って感じだね? 有事の時に逃げ込むための場所さ」

 

 話しているネクロマンサーたちの前で、

 

「血と死体の臭いね」

 

 カーシャは微かに鼻をひくつかせた。

 

「らしいな。けど、アンデッドの気配はない……」

 

 ガジカは顔をしかめ、

 

「この中で妙なお遊戯(・・・)してる変態がいるのかもねぇ……?」

 

 ミゾイは皮肉な笑みを浮かべた。

 

 ――お遊戯ねえ……。

 

 そういえば、とカーシャは思い出す。

 

 夏に開かれた夜宴の場。

 とりとめもない噂、あるいは珍談奇談など。

 そういったものが交わされていた時――

 

『***の血まみれ夫人』

 

 ある国で、美容の特効薬として若い娘の血を浴び、すすっていたという貴婦人の話。

 よくある噂、あるいは誹謗中傷の類だと思っていたが、

 

 ――あるいは、本当なのかもね。

 

 そして、

 

 ――この国でも、似たようなことをしていたヤツはいたかもしれない。

 

 カーシャはそんなことを頭の隅で思いつつ、地下へと降りていく……。

 

 

 

 

 

 

テストとしてやってみました:本作で興味のある部分

  • サブキャラの過去など
  • 世界観など
  • 令嬢時代カーシャの関係者など
  • 他の国など
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