破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件 作:らくべえ09
推敲などがダメダメになってます……
警報が街中に響いている。
武装した連中が火器を手に出てきたようだ。
走るモンスターの群れ。
飛び交う銃弾。
――なんだか、懐かしいわね。
レッサードラゴン。
大型から小型のものまで、津波のように走っている。
銃弾を受けてひるみ、あるいは転倒する個体もいた。
運悪く集中砲火を浴びて、絶命したものも。
しかし。
一発で即死というケースはほぼないようだ。
傷を負って、かえって凶暴になったものが、街へ飛び込んでいく。
――城壁がどこにもない。こんな森の中で? それとも……。
何か、特殊な防護措置でもしているのか。
カーシャは不審に感じたが、そういうわけでもないらしい。
そのおかしな街へ、より巨大な影が迫っていた。
四つ足で這う、毛むくじゃらの巨大な獣。
蛇に似た長い首。
頭から尻尾の先まではえた
背中に映える剣のような無数の棘。
――まさか、こんなところに
銃弾の雨をものともせず、進むドラゴン。
その姿に、カーシャは少しだけ
ペルーダは逃げ、あるいは抵抗するプラーガたちを蹴散らしながら街へと侵入していく。
異国の建物はオモチャのように破壊され、瓦礫と化していった。
――守りが薄かったのは、大量の火薬武器のせい? ただ、ドラゴン種は想定してなかったようね?
モンスターの破壊活動をしばし観察していたカーシャだが、
――……?
妙な音と、空を走る火。
――大型兵器。大砲?
対城用として使われる、大型の火薬武器がある。
話には聞いていたが、
ゴッ……
強烈な爆発と衝撃波。
それがペルーダに炸裂したのを、カーシャは見た。
「これは……」
カーシャは、ある種の感動をおぼえて声を漏らした。
ハイレベルの爆裂魔法のような威力。
ペルーダの動きは止まり、爆炎が巨大な棘や鱗を焦がす。
――ああ、なるほど……。あれだけの武器があるから、守りが弱かった……。
あの大きな火矢から、魔力は感じなかった。
魔法も、その技術も使わずあれほどの武器を作ったわけで――
凄まじい。
カーシャは素直にそう思う。
そして、実に偉大な技術だと素人ながらに痛感した。
――けれど、まあ……。
魔力を伴わない。
それはモンスター、特にドラゴン種には、
「致命的な弱点よ」
無意識につぶやいたカーシャの眼。
水色の瞳は、ゆっくりと体勢を立て直すペルーダを映した。
そして、
ボッ!!!
傷を負わされ、激怒したドラゴンは口から灼熱のブレスを吐き出す。
死の象徴――
そんな表現をされる竜の炎が、建物を粉砕し、焼き払っていった。
途中で、大きな火柱が上がる。
――火薬に、誘爆でもしたようね。
そこで、カーシャは歩き出した。
崩壊寸前の街。
となれば、もはや逃げだすしかない。
「さて……」
カーシャの横で、人魂が揺らめく。
それに先導されて、ゆっくりと走り出す。
燃える街と、荒れ狂うドラゴン。
それを後ろに3台の車が走っていた。
この国にはない、ガソリンを燃料とするもの。
ジープ。
四輪駆動車は、舗装されていない悪路をガムシャラに走る。
が。
1台が突如転がり、ひしゃげて止まった。
そして、2台目も同じように。
「な、なんだぁ!?」
先頭を走っていた車両。
その運転者があわてて声をあげる。
バックミラーでその光景を見たためだった。
「ちょっと、なんなのよ!?」
後部座席の一人がヒステリックに叫ぶ。
派手な雰囲気の女。
「レナードたちの車がぶっつぶれた……!」
「あの恐竜が追ってきたの!?」
「わからねえ! 何かが走ってたようなんだが……」
「――そんなものに構うな。早く街から離れるんだ」
女に横に座る男が、低い声で命令する。
強い圧力を感じさせる雰囲気と風貌。
しかし、冷静さを保った声にも焦りが見え隠れしていた。
その時――
窓を破り、腕が車中に乱入した。
「が!」
それは、運転手の首をつかみ、そのまま引っ張り出してしまう。
ドアを紙のように破壊しながら。
制御を失った車はそのまま走りながら、ひっくり返った。
「な、なんなの!?」
車両から這い出ようとする女を、また腕がつかんで引きずり出す。
「っ……!」
放送禁止のFワードをつぶやき、男が車から出ると、
「ごぼ……」
ちょうど。
女が、血を吐きながら放り出されたところだった。
地面に転がったと同時に、女は灰となっていく。
「どうやら――あなたが
楽器が奏でるような美しい声。
月と星の光。
遠く燃えている街の光。
それが、青い髪をした美貌の乙女を照らしていた。
男が今まで、見たこともないような美形。
まるで天使のような――
いや。
そんな懐古的で甘ったるい表現を跳ね返すような。
ゾッとするようなモノを、乙女は発散させている。
「お前は、誰だ」
男が問う。
「お前こそ、なに?」
立ったまま、乙女は美しい声に氷のような響きで問い返してくる。
「いつ、どうやってあんな街を作ったのかしら? 興味があるわね? それに」
青い乙女はひっくり返ったジープを指し、
「あの臭い煙を出す車。たくさんの火薬武器。どこで調達してきたのか……それとも、造ったのか」
「……仕方がない。話すよ、
男はため息を吐いて――
愛用の大型拳銃を取り出し、引き金を引いた。
そのはずだと、男は思ったが、
撃つはずの愛銃は、乙女の手に奪われていた。
いや、それ以前に……
――いつの間に……?
人間よりもはるかに優れた反射神経、動体視力。
それを持つはずの男が、まるでわからなかった。
「テレポートでもしたのか」
そう言いかけた時、男は体の上と下が分裂していた。
内臓を引きずりながら転がる上半身。
乙女の足が、それを踏みつけた。
凄まじい力。
今にも、内臓も骨も筋肉も、全て粉砕されそうな。
「私の質問に答えてほしいものね、ミスター」
男を見ろしながら、乙女は言う。
「…………」
「言葉、わかるわよね?」
「…………」
乙女の問い。
男は無言。
その背後で――
分断された下半身が、音もなく動いていた。
静かに、しかし速く。
乙女の背後へ近づき、
パンッ
乙女は、振り返ることもなく腕を振った。
瞬間――
近づき、跳躍した下半身は粉砕されて飛び散った。
原型は完全に、ゼロ。
「……!?」
目を見開く男を、乙女はつまらないガラクタでも見るように、
「ま、いいわ」
ミシリ
足に、力が入って、
「あー、ちょいちょい?」
横から、女の声。
背の高い、フェイスベールをした痩身の女。
蛇のような細く鋭い目。
「そいつぁ、できれば生かして捕まえたいそうだよ?」
杖を持った蛇女は、青髪の乙女に言った。
「あと……? あンた、ドラゴンを使ったようだけど、どうやって?」
「……」
乙女は何かを蛇女に投げる。
角笛の形をしたペンダント。
キャッチした蛇女はそれを見ながら、
「携帯型のドラゴン・ホルン?」
つぶやく蛇女。
細く長い指につままれたそれは、ボロボロと崩れていく。
「しかも、使い捨てじゃないのさ。どこで手に入れたの、こんなモノ」
「もらいもの。偽勇者のパーティーから」
「……そう? まあ、いいさね」
蛇女は少し考えてから、うなずいた。
それから、男に向けて杖をかざす。
杖から青い人魂が現れて、上半身だけの男へからみつき出す。
「な……なんだぁ!?」
「あわてるな。ただ金縛りにあうだけさ」
蛇女は優しく言って、
「とはいえ? この後どういう目にあうかは、保証しかねるけど。けど、よその国に来て勝手放題やったんだ、覚悟はできてるだろ?」
「………! ………!?」
しゃべれない男に、
「聞くこと聞いたらてっとり早く始末してくれるさ。楽にあの世へいけるよ、運が良けりゃな?」
男は、プラーガたちのボスだったらしい。
それをしかるべき相手に引き渡した、その翌日――
より正確には、夜明けの1~2時間ほど前。
「……まあ、この一件。なるようになったねえ」
バイナの高台。
ミゾイはその上から、走っていく軍用魔導車を見る。
さらに空へと視線を向ければ……。
これまた、軍用の飛行船が飛んでいく。
ちなみに。
街の路上から飛行船を見る、中年冒険者ことジロは、
「え? あれって飛行船……なん? 船っぽいような気もするけど。話聞いたら、VTOL機みたいやん……。ファンタジーっぽくないのう?」
「なに言ってんだ、オッサン」
と、隣の人狼少年クガヤに変な顔をされていた。
「魔導飛行船か、あんなモン使えるのはこの国ぐらいだろーな」
同じ高台で見物しているガジカは、ちょっと笑った。
「
「さあ」
カーシャは流すように言ってから、
「この街にも、中央の監査が入るわね」
「まさか、ここの領主様が反乱たくらんでたとはねえ? いや、独立か?」
今回の事件。
それは、周辺を治める領主の叛意(はんい)から始まっていたようだ。
不正に入手した大量の魔石。
これを使って、【勇者召喚】を考えていた。
「でも、結局失敗してあのプラーガどもを召喚しちゃったと。お粗末だよな。けど、異世界からってのはマジか? 嘘くせー話だし」
「どっちにせよ、遠いところから来たのは確実かしら? ヤツらは、そこでの支配者だった」
「日光であっさりくたばる蛭が?」
「そう思ってたんだからしょうがなくってよ。同情もしないけど」
口元を歪めたガジカに、カーシャはやや気取った仕草で答える。
どこか、芝居がかったような。
「それはそれとして。ここのギルドも、これから大変ね」
「でもないんじゃない? 元からバイナのギルドは領主と仲悪かったんだ、実質中央に管理されてたようなもんさ。ネビズとはちがう」
そう言うガジカの横で、カーシャは長く美しい青の髪をゆっくりかき上げた。
――さて、あとはお土産でも買って帰るだけか……。
そんなことを思いながら。
テストとしてやってみました:本作で興味のある部分
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サブキャラの過去など
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世界観など
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令嬢時代カーシャの関係者など
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他の国など