破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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なろう系のレビュー動画みてみるとボロクソ言われてるのばっか目に入る
探し方が悪いのかな……

我がことに置き換えてみるとかなりへこみますね


その55、動き出すモノたち

 

 

 

 

 

 

 その夜――

 

 

「すごいもんですね……」

 

 園遊会の場では、多くの来賓が談笑している。

 優雅なダンスをしている者。

 カードなどを楽しむ者。

 

 ――パーティーっていうか、お祭りみたい……。

 

 園遊会の様子に、バッキーは不思議な気持ちでため息。

 

「おつかれかしら」

 

「うえっ?」

 

 いつの間にか、横に立っていたカーシャ。

 パンツスタイルの軍服。

 長い青の髪もまとめてあり、いわゆるクラウンブレイド・スタイル。

 

 さっきまで――

 色んな人間に挨拶され、忙しそうだったのだが。

 

「いやあ、すごいなぁって思って……」

 

「まあ一応国が他国の者を招いて開くものだから。みみっちぃ内容なら、恥をさらすことになるわ」

 

「ははぁ。なるほど」

 

 バッキーはうなずくが、

 

 ――とはいえ、この国(ワシロー)が行うものとしては、いささか過剰だけれど。

 

 料理の質。

 貴婦人たちのドレス。

 楽団。

 その他もろもろ。

 

 莫大な予算がかかっていることは、馬鹿でもわかる。

 

 ――なるほど……。これなら、噂の財務大臣どのがボイコットするのもわかるわ。

 

 ただ。

 

 (くだん)のバシラ・カーサ財務大臣。

 事前に、大使館のほうへ謝罪と報告に来ている。

 詫びの品と持参して。

 

 内容を短くまとめると、

 

「のっぴきならぬ事情で、今度の園遊会は欠席をいたします。これは、ひとえに国王陛下並びに宮廷内の諸氏にご理解ねがいたいことがあるゆえ。決してヤオアムトへの敵意があるためではない」

 

 とのことだった。

 

「まあ、実にていねいな謝罪でした。しかし、あれじゃあ内部で揉めてますと断言してるも同じですねえ」

 

 ユオンはヘラヘラとそう語っていた。

 そこはカーシャも同意見である。

 

 ――だけど、そんな事情はとっくに知られている……と、織り込み済みなのか。

 

 カーシャは手にしたグラスの酒を飲みほし、小さく息を吐いた。

 

 ちなみに。

 バシラが持ってきた詫びの品は見事な刀剣や、由来のある書画などなど。

 カーサ家に代々伝わるものだと言う。

 

「いずれも正真正銘の、本物。芸術品としては、相当の価値があるものですねえ。下手をすれば黄金の山以上に」

 

 と、ユオンは感心していた。

 

 ――さて……。優秀ではあるけど、国政に、そして外交の面では適任かと言えば……。

 

 こんな具合に――

 カーシャは財務大臣について考えていたが、

 

「……」

 

 ゆっくり顔を上げると、会場の外へ目を向けた。

 

「どうしたんです?」

 

 バッキーが言うのとほぼ同時に、カーシャはスッと手を伸ばす。

 まるで、バッキーをかばうような動作だった。

 

「え?」

 

 バッキーは、カーシャを見上げる。

 

 その時、

 

 ドムッ…………

 

 外のほうから、爆発音と光が走った。

 

 一瞬、会場は静寂に包まれる。

 やがて、叫び声と再びの爆音が聞こえてきた。

 

「ええ!?」

 

「どうやら、ここを襲ってきた連中がいるようね」

 

 カーシャはつぶやき、国王たちのほうを見た。

 大いにあわてているが、

 

 ――逃げる準備はすぐできた、か……。

 

 こうなることは想定済みだったのかしら?

 

 大勢の護衛に守られ、避難を始めている国王。

 

 さらに、

 

「落ちつかれますよう!」

 

「安全な場所にご案内いたします!」

 

「我らが守りますゆえ……!」

 

 騎士たちが誘導を行い、来賓たちも順次逃げ出しつつあった。

 

 ――手回し(・・・)のいいことね

 

 カーシャは薄く笑うと、

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

「ふぎゅあ!?」

 

 バッキーを小脇に抱えた。

 

「あ、あの……!?」

 

「外交官の護衛なのだから、キチンとしなければね」

 

 そう言って、避難中の外交官たちへと走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁあ~っと……」

 

 大使館裏庭。

 椅子の上でマコネは大あくび。

 用意された丸テーブルには、ポットとカップ。

 

「なんだよ、このコーヒーっつーのは……」

 

 黒い飲み物。

 その味に猫似の少女は不満を漏らした。

 食事の後で用意されたものだが、

 

「やたらにげーし……。こんなんよく喜んで飲むな?」

 

「そりゃ砂糖とミルクを入れて飲むんだよ」

 

 檻の中で、マクニオが笑った。

 

「通ぶってるヤツは、そのままで飲むがね。それだって、慣れると悪いもんじゃない」

 

「あぁン?」

 

 マコネは疑いぶかい目で、同じく用意されていた砂糖などを入れて、

 

「おお、こうするとけっこう美味いのな?」

 

 素直にほめるマコネへマクニオ、

 

「そういえば、ヤオアムトは紅茶が主流だそうだな」

 

「こうちゃ?」

 

「つまり、紅色の茶ってことだが……」

 

「茶ってのはフツーああいう色だろ?」

 

「とも限らん。緑の茶を普通に飲む国もある」

 

「ホントかよ」

 

 マコネが笑った時、

 

 ブウウン……

 

 と、何かの鳴る音。

 

「あいよー」

 

 マコネはしまっていた魔導呪符を取り出していった。

 事前にユオンから渡されてたもの。

 要するに。

 携帯電話のようなものだが――

 

<緊急事態です。説明した通り、そちらの魔法陣が自動的に発動しますのでご用意を>

 

「おいおいおい!?」

 

<では、お気をつけて>

 

 マコネはあわてるが、通信はすぐに切れてしまった。

 

「くっそ……! あのはぐれエルフ!」

 

 呪符をしまいながら、マコネは毒づく。

 

 園遊会のため、カーシャたちが出発する前。

 

「申し訳ないですが、あなたがたにはここで待機していただきます。不測の事態に備えて」

 

 そう言って、ユオンはマクニオに入っている檻を中心に魔法陣を用意して、

 

「緊急時にはこれが自動的に発動しますので、あまり離れないでくださいね。でないと、こちらのかただけが転移しちゃいますので」

 

 と、手のひらでマクニオを指した。

 

「飛ばされてどうすんだよ?」

 

「どうするもなにも。こちらのモンスターさんを使って不逞の輩と戦ってください」

 

 勝手なことを言われたものだが――

 

 そうこうするうち。

 地面に魔法陣が形成され、輝き出す。

 

「ああ、もう、くそ! おい、とにかくお前さんにまかせるからな! ヤバくなったら、おいらは逃げるぞ!?」

 

 マコネが叫ぶと、

 

「それが賢明だ」

 

 マクニオは肩をすくめた。

 

 その一瞬後。

 檻ごと、両者は転移していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おかしいわね?」

 

 カーシャは、高い塔の上でつぶやく。

 

 外交官たちの安全が確保された後。

 単独行動をしているわけだが、

 

 あちこちで起こる爆音と閃光。

 走り回る敵兵の影。

 

 だが。

 

 騒ぎは大きくなっているが、実質的な被害は少ない。

 というより。

 

 ――音と光だけのこけおどし。

 

 それに、

 

 ――走り回って騒いでいるのは、幻影魔法……。レベルは高いようだけど。

 

 直接的な攻撃や破壊ができるものではない。

 

「なるほど」

 

 わかりやすい、稚拙な陽動ね。

 

 カーシャはその白い顎をなでて、遠くを見た。

 偶然か、確信か。

 バシラ・カーサの邸宅がある方向だった。

 

「そして……」

 

 カーシャは、上から街の景色を見つめる。

 

 音と光。

 飛び交う喧噪。

 その中で、

 

「ふ」

 

 軽い呼気。

 その直後、カーシャは塔から飛び降りていき――

 

 

 

 

 

「派手な騒ぎだな……。自分たちがやってることだがよ」

 

 赤銅の男は、物陰からあきれた声。

 それから、後ろを向く。

 老魔法使いが座り込み、呪文を唱え続けていた。

 

 ――じいさんの魔法で宴会の近くで大騒ぎ。その間に、本丸を叩くってか? しかしねえ……ずいぶん都合良く、宴会が開かれたもんだ。

 

 そう考えつつ、男は渋い顔。

 だが。

 考えている最中、ほぼ無意識に男は剣を抜き、構えた。

 

 音はない。

 

 しかし、明確すぎるほどの気配がすぐ近くに降り立つ。

 

「なるほどねえ……」

 

 納得顔をした、若い女がつぶやいた。

 青い髪に水色の瞳。

 育ちの良さがわかる所作。

 驚くような美貌の乙女。

 が、その雰囲気はゾッとするようなもので満ちていた。

 

「……へえ。また、同門のかたに会うとは不思議な運命だこと」

 

 何かを嗅ぐように鼻を動かし、乙女は近づいてくる。

 

「一応、お名前をお聞きしようかしら? いえ……」

 

 自分から名乗るのが、作法というものね。

 

 乙女は笑う。

 水色の瞳はかけらも笑っていないが、

 

「私はカーシャ。家名もなにもない、ただのカーシャなのでお気づかいなく」

 

 楽器を鳴らすような美声。

 それが氷のような響きで、名前を名乗った。

 

「俺は、ガイスト……。いてもいなくってもどーでもいいような、幽霊みたいなヤローでね」

 

 言いながら、男はチラリと後ろの魔法使いへ意識をやる。

 魔法使いも乙女の存在に気づいていた。

 焦りが顔に見えるものの、呪文をやめる様子はない。

 

「なら、本物の幽霊になってみる?」

 

 黒い剣――カーラナーガを手に、青の乙女(カーシャ)は言った。

 

「そいつはご勘弁願いたいが……」

 

 ガイストは剣を逆手に持って、後ろで構える。

 

「ここはお互いに引いて、勝負は次の機会にってわけには……」

 

「あると思うの? そんな都合の良い話が」

 

「まあ、ないよな……」

 

 ガイストは、一筋の汗を流して苦笑する。

 

 ゴッ

 

 と――

 

 一瞬、空気が大きく歪んで、うねった。

 黒い暴風が、周辺を紙くずのように破壊して、瓦礫をばらまく。

 周辺の壁、どころか建物が一瞬吹き飛んだ。

 

 舞い散る埃の中、カーシャの目はガイストの姿を正確に追っていく。

 

 ――無造作に振り回しただけで、これかよ!?

 

 身を低くして回避しながら、ガイストは内心で悲鳴をあげた。

 

 ――武術をきっちりやったモンの動きじゃねえ……。まるで、獣か虫だ。し、しかし……。

 

 それだけに。

 カーシャの動きは本能的であり、余分なものが排除されていた。

 しかし。

 それはおそらく、他の誰にも真似はできない。

 カーシャという個人が使える、彼女のためだけのモノだった。

 

 ――並大抵どころじゃねえ。それどころか、まるで、バケモノだ……。と、とてもじゃないが、俺のかなう相手じゃねえ……!

 

 ガイストは間をはかりながら、老魔法使いを見る。

 周辺を小規模な防御結界で覆っているが、

 

 ――このお姉ちゃんに、じかにヤラレたらひとたまりもねえな……。

 

 ガイストは剣を構え直すが、刀身がいくつか欠け、わずかながらひび割れも。

 

 ――少しかすっただけでコレかよ。こりゃあ……。

 

 死ぬな――と、ガイストは確信した。

 

 ――腕をあげて生き返ったが、また地獄に逆戻りかよ。ついてねえや……。

 

 内心ボヤきながら覚悟を決めかけた時、

 

「……」

 

 カーシャは、どこか別の方向を見ていた。

 わずかに視線を送っているだけだが、

 

「!!」

 

 ガイストは、剣に黒い闘気……オーラをまとわせ、

 

 ビュッ!

 

 カーシャへと投げた。

 

「……」

 

 パキン

 

 剣は、無造作に振るわれたカーラナーガで微塵となった。

 

 だが。

 

「逃げたわね」

 

 カーシャはつぶやいた。

 わずかの隙に姿を消したガイストと、老魔法使い。

 遠ざかっていく気配を感じながら、

 

 ――さて、どうしたものか……。

 

 歩き出しながら、カーシャは思案を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーシャの令嬢時代関係者で登場するとしたら

  • 親族(父方)
  • 親族(母方)
  • とりまき
  • 使用人
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