破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件 作:らくべえ09
61と62とちょっとだけ書き直しました
良かったら読んでください
「帰っちゃった……」
「いや、帰ってくるですね」
魔導タブレットを見て呆然とつぶやくバッキー。
その言葉を訂正するユオン。
「でも、王様を暗殺しようっていうんじゃあ」
「んー。別の勢力か、あるいは目くらましかもしれませんねえ?」
「じゃあ、本当の狙いは……」
「財務大臣殿だった可能性もあります。それから、これは未確認ですけど」
ユオンは美しい銀髪をもてあそびながら、
「ミズ・カーシャの実績もハッタリだとする情報もあるようですねえ」
「へ?」
「近くで実際に見ているあなたたちからすれば、『お前は何を言っているんだ』という気持ちでしょうけど」
かなりムチャクチャなんですよ、あのヒトのやったことは――
ドラゴン種、それも火炎竜やワイバーンの群れを単独で駆逐するなんて――
「極めて非現実なものなんです。ものの道理をわかってたり、実際にモンスターの脅威を体験してるかたがたにはね?」
「それは、まあ。そうなんでしょうねえ」
――確かに、この世界だとなんか感覚おかしくなってるけど、あんな怪獣生身でやっつける女の子なんて、うん、非現実的。映像でも見たってCGとしか思えない……。
「おい、ジィサン! 過去にひたるのは勝手だが後にしてくれ! ボヤボヤしてると全員死ぬぞ、あっという間にな!!」
ガイストはマクニオの周辺を動き回りながら、怒鳴る。
――こいつは……また。
マクニオはその動きを追いながら、徐々に雰囲気を変えていく。
的確に死角を狙い、足元の急所を狙う。
ガイストの動きと攻撃は、
――嫌でも思い出すじゃないか 〝
ブン!
長い尾が毒蛇のように動いた。
「がっ……!」
尾はガイストを捕え、締め上げる。
何とか、剣を持つ手は拘束から免れているが、
――なんてぇ馬鹿力だ……! 内臓を吐き出しそうだぜ……!
ガイストは痛みと苦しい呼吸で、脂汗を流す。
メキメキメキ……
骨や筋肉がきしむ音をたてた。
かと思うや、
ブン!!!
捕まったガイストを、尾は地面へと叩きつけようと動く。
それも脳天から――
ボッ……
瞬間。
爆発に似た轟音。
そして。
多くの土砂が周辺へ飛び散った。
「なん、と……!」
高所から見ているバシラは、思わず声をあげる。
地面にクレーターができていた。
土煙が、煙幕のように周辺を覆いかけたが、
ゴオッ!!
マクニオの尾が、竜巻のような風を起こした。
土煙が晴れた中。
ガイストは身を低くして、構えている。
位置は、マクニオのななめ横。
「今のはまずかったな」
マクニオは、感情のない声で言う。
ポタリ
長い尾の一部。
それが、ほぼ切断されかけていた。
「油断をしていた、というのかね……。良くなかったな、これは」
今までの、能天気な声ではない。
背筋が凍る――
いや、氷の手で背骨を引き抜かれるような……。
ゾッとするのを通りこす、凍てつくなような響き。
ポキリ
ズルル
切断されかけた尻尾は、瞬く間に再生されていく。
「…………」
ガイストは脂汗の中、笑みを浮かべる。
手に持った剣。
黒いオーラに包まれたそれは、ボロボロと崩れていった。
――やっぱり、もたなかったか……。
過剰すぎる力は、マクニオに一撃を与えた代償にあっさりと失われた。
――むしろ、あの尾を斬れただけでもラッキーだった……。
「……い、いかん! なんとしたこと……!」
その戦闘を見て――
老魔法使いは、ハッとして首を振る。
それから、あわてて
取り出したものを、立丸たちのもとに、
投げた。
――宝石? いや、魔道具か?
光りながら飛んでいくモノを目で追い、マクニオは
その時。
倒れていた立丸の右腕が、ゆっくりと上に伸びた。
宝石が、そこに触れて――吸い込まれる。
バオッ!!
光が、あふれた。
「…………本番は」
立丸は、顔を伏せたままでゆっくりと起き上がる。
両足と片手を地面につけた体勢。
「――これからだぜ!!」
叫び声が響く。
――ありゃぁ、いつかの……。
ガイストは最初に出会った時――
それを思い出した。
立丸が、オピオタウロスを倒した時の姿。
右手に巨大すぎる装甲。
全身を、赤い魔力が燃え上がっていた。
あちこちを、小規模だが赤い装甲が覆っている。
目に猛獣のような輝きが宿っていた。
「勇者殿……!?」
女騎士ティアが叫んだ。
「おっちゃん、ティアとじいちゃんを頼む」
ゆっくりと歩み出し、立丸は言った。
「おい、あのお嬢ちゃんは……」
「――ここだよ」
立丸は、左手で自分の胸に触れる。
胸部の装甲。
その中心に、金色の宝珠が輝いていた。
――マギドルとおんなじで、一体化してるのか……。
「失神してるのかと思ったが。なんだ、起きてたのか」
マクニオは言った。
毒気をぬかれたような声。
さっきまで膨れ上がりつつあった殺気。
それが、消えていた。
「おい、ジィサンなにしたんだよ?」
老魔法使いのそばに寄りながら、たずねるガイスト。
「戦士の心臓――」
フーリィは静かに言った。
「あの
「おいおい」
マクニオはあきれた声で、
「だったら今の王家が持ってなきゃあダメだろ? それをずっと隠し持ってたのか?」
ひどい話だな。
そう言った直後――
ゴオゥ……!
赤い衝撃が、マクニオへ叩きこまれた。
「言ったろ、こっからが本番だってな」
立丸が言った。
赤い衝撃。
それは、装甲をまとった立丸の拳が放った一撃。
遠くから打っただけだが、
――なんという、凄まじい力……。
ティアは衝撃を肌に感じて、震える。
「女に振られて、その恨みでバケモノになった……。同情はするけどよ――」
進み続けながら、立丸は言う。
「なんだ、あの話聞いてたのか」
マクニオは苦笑をもらした。
「だがな……。たとえ、恋人がいなくたって、その
立丸は歩みを止める。
そして。
まっすぐにマクニオを睨んだ。
「てめえが受け入れらなかった本当の理由は、見てくれのの良しあしなんかじゃない! 逆恨みで他人を傷つけて、挙句バケモノになりさがる……! その醜い心だ!!!!!」
「え? ああ、うん。うん……?」
空気を震わせる〝勇者〟の声。
それに。
マクニオは、首をかしげる。
その瞬間。
ドゴッッ!!
赤い一撃が、マクニオの腹へ叩きこまれた。
マクニオの頑丈な巨体が吹き飛び、バシラ邸の壁にぶつかる。
そのまま。
壁を破壊して、マクニオは庭の中へと転がった。
「闇の心を売って得た力なんかじゃ、何もできないんだよ!」
「それは、アレか? いわゆる愛のチカラってヤツか?」
マクニオは打たれた腹を押さえて立ち上がる。
「ああ。最後の最後に、どんなヤツもぶっ倒す……愛の力だッッ!!」
「思い込みじゃないのか? タダの」
そう言ったマクニオの顔に、
ドガァァ!!
赤い拳が、魔力の炎をまとって打ち込まれる。
マクニオは、再び倒れた。
「……おお」
老魔法使いは、感動の声をあげた。
「これが、マギドルの、いや勇者殿の、真の力……!」
ティアは心を震わせて、その戦いを見ている。
「いや、勇者と、お嬢様……クーク様の力じゃよ……」
立丸の雄姿。
それは確かに、見る者を感動させるものだった。
「………」
ただ。
ガイストの表情は、不安に満ちたものだった。
「お前の意見に反論する気はない。ごもっともだよ」
倒れたまま、マクニオは言った。
「醜い心ってのも当たってる。その通りだ」
立ち上がりながら、マクニオはコキコキと首を鳴らす。
静かな声。
おだやかですらあった。
「で、それを言ってどうする? お前に何がわかる~~とか言ってブチ切れたらいいのか?」
今回
ちょっとだけ短めになってしまった……
カーシャの令嬢時代関係者で登場するとしたら
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親族(父方)
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親族(母方)
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とりまき
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使用人