破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件 作:らくべえ09
今回は短めの外伝で……
「ははあ。未発見の土地ですか~~?」
ワソーカは画面の相手にそう返した。
空中に浮かぶボード。
ワソーカの上司か何かだろうか。
フードを目深にかぶったエルフが映っている。
声からすると男のようだ。
ヤコーはななめ横でそれを見ていた。
彼女が関係することでもなさそうで――
ただ。
会話をぼんやり聞いているだけ。
<そうだ。あちこちで発見されてる。しばらくぶりのことだな。暗黒領域近くにもだ>
言葉と同時に――
2枚目のボードが浮かんで、そこに地図が映る。
あちこちに、チカチカと光る部分があった。
暗黒領域。
エルフたちでもほぼ把握できていない地域。
というよりも。
この世界のほとんどがそうだとも言える。
ワソーカは以前ヤコーへ、
「私たちのわかってる部分なんて、世界の、ほんの一部分にすぎないんですよね~~……」
と、語っている。
「ほえ~~。でも、調査は他のかたが取りかかっているんですよね~~」
<そうだ。しかし数が多いんでな。それにだ、こういったことに適したヤツが多いわけでもない>
「なるほど~~……。そうですか~~」
<地域にもよるが、そこの住民はだいぶ混乱してるようだな>
「まあ、そうでしょうね~~」
ワソーカはうなずく。
――エルフたちが、直接出向いてるのかな?
ヤコーはそんなことを思う。
話からすると。
どうやらエルフが知らない土地。
つまり向こうもエルフを知らないということだ。
――そりゃまあ……。見たことない種族に会ったらビックリするよねー。
<知らん場所に、土地ごと放り出されたんだろうから、無理もないがな>
「ですね~~」
――ん?
何だか。
話に違和感が出てきた。
ニュアンスの違いなのか?
<確認したところ、【冥府石】やそれが混ざったものを持ってる国が多い。それもかなりな。ほぼ全ての土地にあるのかもしれん。まあ……>
不運なことだな。
と、そのエルフは気の毒そうに言った。
「ありゃ~~……」
ワソーカも、似たような反応。
――冥府石? あ、それって。
魔法の修練。
その合間合間に、ワソーカは色んなことを教えてくれたが、
「世の中にですね~? 魔石……要は魔素が固まり、凝縮した結晶ですけど~~」
冥府石とは、それを増殖させる物質である。
単体でも危険であり、生物に様々な影響をもたらす力を持つ。
だが。
大気中の魔素はこれに強く反応。
冥府石が発散する力を吸収して、増殖してしまう。
「でも、魔石って役に立つものじゃないですか。それが増えるのは別に」
「いえいえ~~。魔石はつまり魔素の塊ですから~~……高濃度で大量の魔素が一気に増えてしまうんですね~~。それはとても危険なことですよ~~?」
とのことだった。
ヤコーの思考とは関係なく。
エルフたちの会話は続き、
<それに、連中は……というか、土地そのものが魔素のないところにあったようだ。つまりは>
「あ~~……。住民どころか、そこに生息している生物全てに魔素の免疫がないってことですか~~……」
<いかにも、そうだ>
「これは、ちょっとヨロシクないですね~~……」
ワソーカは腕を組み、目を閉じてうつむいてしまった。
<よくある例だと、小型の生物が魔素に過剰適応して変異かつ巨大化するパターンだな>
「モンスター化ってやつですか~~」
<正確には、そのなりそこない。あるいは過渡期だ。他にも、知性種族の住む土地には避けられない問題がある>
「あ~~。それを忘れてました~~」
ワソーカは、ポンと手を打って、
「ダンジョンの発生ですか~~。あれがいきなり起こったら、そりゃ~~混乱するでしょうね~~」
<そして、海や空からモンスターが近づいていってる。未知の場所に反応してな。すぐ、好ましい餌場だと理解するだろう。いや、もうしているか>
「でも~? それだと調査はともかく、住民とのコミュニケーションは難しいんじゃないですか~~? より混乱させるだけですよ~~~」
<俺たちからすればな>
<はい? じゃあ、もしかして海のエルフが~~?>
「いや」
と。
画面のエルフは否定して、
<上の、空や闇のエルフたちが興味を示したようだ。すでにいくつかの土地……国へ降りてる>
「あら~~~~~~…………」
こりゃもうダメだ。
ワソーカはそんな表情で顔に手を当てた。
「でも~~。だったらもう私たちの関わる余地はないんでは~~?」
<そう言いたいが、そうも言えん>
「と、言いますと~~?」
<上の連中は、俺たちに協力をしろ言ってきてるんだよ。自分たちより、俺たちのほうが向こうもやりやすかろうとな>
「あのかたたちがそんなこと~~? でも~、闇のエルフはともかく~、空のエルフがなんでそんな気まぐれを~~?」
<珍しくはあるが、ないでもない。それに未知の土地が見つかれば、誰だって関心は示すさ>
「それも確かに~~~……」
「あのう……、さしつかえなかったらお聞きしたいんですけど……」
「さっきの話ですね~~」
画面ごしの会話が終わった後――
ヤコーはお茶をいれながら、ワソーカへたずねた。
「ん~~。別に内緒にする意味もないんでお話ししますけど~~。早い話~~、どっかからよその土地が来ちゃったんですね~~、この世界に~~」
「はい???」
意味がわからない。
ヤコーは目をパチクリさせるだけだ。
「つ、つまりどういうことでしょうか???」
「とりあえず、ぜんぜん別の大陸とかがこっちに来ちゃったことですね~。向こうからすると、異世界転移かしら~~?」
「でも、あの~。そんなことになったら、トンデモナイことになるんじゃ。津波とか地震とか、いろいろ……」
「ん~~。そう考えるのが普通なんですけど~~。過去の記録だと、そういったことはなかったようです~~。原因はよくわかりませんけど~~」
「え。そうなんですか?」
「はい~。寝てる間に運ばれて、朝起きたらちがうベッドだった? みたいな感じのようで~~」
「ほえ~~」
今まで色々とんでもないことは聞いたが――
これが最大のものかしれない。
ヤコーはもうついていけなかった。
「それで、ワソーカさんはその調査に?」
「ん~~。どうでしょ? 協力はもちろんしますけど~~、現地に直接行くことはないんじゃないですかね~~」
言いながら。
ワソーカはさっき転送で受け取った、資料を手にした。
1冊の、本である。
その表紙には、
日本地図帳
と。
カーシャの令嬢時代関係者で登場するとしたら
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親族(父方)
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親族(母方)
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とりまき
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使用人