破滅した悪役令嬢がいたので殺人マシーンにしてみた件   作:らくべえ09

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体調不良で本編うまく書けませんでしたので
今回は短めの外伝で……


その71・5、ヤコーはもうついていけない

 

 

 

 

 

 

「ははあ。未発見の土地ですか~~?」

 

 ワソーカは画面の相手にそう返した。

 

 空中に浮かぶボード。

 ワソーカの上司か何かだろうか。

 フードを目深にかぶったエルフが映っている。

 声からすると男のようだ。

 

 ヤコーはななめ横でそれを見ていた。

 彼女が関係することでもなさそうで――

 ただ。

 会話をぼんやり聞いているだけ。

 

<そうだ。あちこちで発見されてる。しばらくぶりのことだな。暗黒領域近くにもだ>

 

 言葉と同時に――

 2枚目のボードが浮かんで、そこに地図が映る。

 あちこちに、チカチカと光る部分があった。

 

 暗黒領域。

 エルフたちでもほぼ把握できていない地域。

 というよりも。

 この世界のほとんどがそうだとも言える。

 

 ワソーカは以前ヤコーへ、

 

「私たちのわかってる部分なんて、世界の、ほんの一部分にすぎないんですよね~~……」

 

 と、語っている。

 

「ほえ~~。でも、調査は他のかたが取りかかっているんですよね~~」

 

<そうだ。しかし数が多いんでな。それにだ、こういったことに適したヤツが多いわけでもない>

 

「なるほど~~……。そうですか~~」

 

<地域にもよるが、そこの住民はだいぶ混乱してるようだな>

 

「まあ、そうでしょうね~~」

 

 ワソーカはうなずく。

 

 ――エルフたちが、直接出向いてるのかな?

 

 ヤコーはそんなことを思う。

 話からすると。

 どうやらエルフが知らない土地。

 つまり向こうもエルフを知らないということだ。

 

 ――そりゃまあ……。見たことない種族に会ったらビックリするよねー。

 

<知らん場所に、土地ごと放り出されたんだろうから、無理もないがな>

 

「ですね~~」

 

 ――ん?

 

 何だか。

 話に違和感が出てきた。

 ニュアンスの違いなのか?

 

<確認したところ、【冥府石】やそれが混ざったものを持ってる国が多い。それもかなりな。ほぼ全ての土地にあるのかもしれん。まあ……>

 

 不運なことだな。

 

 と、そのエルフは気の毒そうに言った。

 

「ありゃ~~……」

 

 ワソーカも、似たような反応。

 

 ――冥府石? あ、それって。

 

 魔法の修練。

 その合間合間に、ワソーカは色んなことを教えてくれたが、

 

「世の中にですね~? 魔石……要は魔素が固まり、凝縮した結晶ですけど~~」

 

 冥府石とは、それを増殖させる物質である。

 単体でも危険であり、生物に様々な影響をもたらす力を持つ。

 

 だが。

 

 大気中の魔素はこれに強く反応。

 冥府石が発散する力を吸収して、増殖してしまう。

 

「でも、魔石って役に立つものじゃないですか。それが増えるのは別に」

 

「いえいえ~~。魔石はつまり魔素の塊ですから~~……高濃度で大量の魔素が一気に増えてしまうんですね~~。それはとても危険なことですよ~~?」

 

 とのことだった。

 

 ヤコーの思考とは関係なく。

 エルフたちの会話は続き、

 

<それに、連中は……というか、土地そのものが魔素のないところにあったようだ。つまりは>

 

「あ~~……。住民どころか、そこに生息している生物全てに魔素の免疫がないってことですか~~……」

 

<いかにも、そうだ>

 

「これは、ちょっとヨロシクないですね~~……」

 

 ワソーカは腕を組み、目を閉じてうつむいてしまった。

 

<よくある例だと、小型の生物が魔素に過剰適応して変異かつ巨大化するパターンだな>

 

「モンスター化ってやつですか~~」

 

<正確には、そのなりそこない。あるいは過渡期だ。他にも、知性種族の住む土地には避けられない問題がある>

 

「あ~~。それを忘れてました~~」

 

 ワソーカは、ポンと手を打って、

 

「ダンジョンの発生ですか~~。あれがいきなり起こったら、そりゃ~~混乱するでしょうね~~」

 

<そして、海や空からモンスターが近づいていってる。未知の場所に反応してな。すぐ、好ましい餌場だと理解するだろう。いや、もうしているか>

 

「でも~? それだと調査はともかく、住民とのコミュニケーションは難しいんじゃないですか~~? より混乱させるだけですよ~~~」

 

<俺たちからすればな>

 

<はい? じゃあ、もしかして海のエルフが~~?>

 

「いや」

 

 と。

 画面のエルフは否定して、

 

<上の、空や闇のエルフたちが興味を示したようだ。すでにいくつかの土地……国へ降りてる>

 

「あら~~~~~~…………」

 

 こりゃもうダメだ。

 ワソーカはそんな表情で顔に手を当てた。

 

「でも~~。だったらもう私たちの関わる余地はないんでは~~?」

 

<そう言いたいが、そうも言えん>

 

「と、言いますと~~?」

 

<上の連中は、俺たちに協力をしろ言ってきてるんだよ。自分たちより、俺たちのほうが向こうもやりやすかろうとな>

 

「あのかたたちがそんなこと~~? でも~、闇のエルフはともかく~、空のエルフがなんでそんな気まぐれを~~?」

 

<珍しくはあるが、ないでもない。それに未知の土地が見つかれば、誰だって関心は示すさ>

 

「それも確かに~~~……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのう……、さしつかえなかったらお聞きしたいんですけど……」

 

「さっきの話ですね~~」

 

 画面ごしの会話が終わった後――

 ヤコーはお茶をいれながら、ワソーカへたずねた。

 

「ん~~。別に内緒にする意味もないんでお話ししますけど~~。早い話~~、どっかからよその土地が来ちゃったんですね~~、この世界に~~」

 

「はい???」

 

 意味がわからない。

 ヤコーは目をパチクリさせるだけだ。

 

「つ、つまりどういうことでしょうか???」

 

「とりあえず、ぜんぜん別の大陸とかがこっちに来ちゃったことですね~。向こうからすると、異世界転移かしら~~?」

 

「でも、あの~。そんなことになったら、トンデモナイことになるんじゃ。津波とか地震とか、いろいろ……」

 

「ん~~。そう考えるのが普通なんですけど~~。過去の記録だと、そういったことはなかったようです~~。原因はよくわかりませんけど~~」

 

「え。そうなんですか?」

 

「はい~。寝てる間に運ばれて、朝起きたらちがうベッドだった? みたいな感じのようで~~」

 

「ほえ~~」

 

 今まで色々とんでもないことは聞いたが――

 これが最大のものかしれない。

 ヤコーはもうついていけなかった。

 

「それで、ワソーカさんはその調査に?」

 

「ん~~。どうでしょ? 協力はもちろんしますけど~~、現地に直接行くことはないんじゃないですかね~~」

 

 言いながら。

 ワソーカはさっき転送で受け取った、資料を手にした。

 

 1冊の、本である。

 その表紙には、

 

 

 日本地図帳

 

 

 と。

 

 

 日本語で(・・・・)書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーシャの令嬢時代関係者で登場するとしたら

  • 親族(父方)
  • 親族(母方)
  • とりまき
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