超高校級の幸運とプラスαがボーダーに入隊する話 作:九店直下
一応このプロローグ時点でワートリ原作開始の半年前という設定です。
「よ、仁。どうした? 難しい顔してさ」
「……公一か。いや、政府からこんなものが送られてきてな」
私立、希望ヶ峰学園。日本中から超高校級の才能を持つ高校生が集まる、日本最高峰の高等学校であり、研究機関である。
その学園の学園長室の中で、男が2人、神妙な雰囲気で何やら話している。
1人の男は、名を霧切仁。この学園の学園長を務める男だ。少々気むずかしげな表情で、隣に立つ金髪の男––––––、黄桜公一に一枚の紙を手渡す。
「んー、何々……、調査依頼? 三門市所在の界境防衛機関『ボーダー』に超高校級の生徒を派遣してほしい……か。なるほど。ボーダーっていうと、アレかい。よくテレビとかに出てる……」
「嵐山隊、という子たちだな。あぁ、その子達がよくPRする組織についてのことだよ。まぁ、ボーダーについては公一も知るところではあると思うが」
「まぁ、ねぇ。四年前の三門市のあの事件は、衝撃的だったからね。でも、どうしてまた?」
界境防衛機関、ボーダー。
四年前、三門市に突如現れ、市民を蹂躙した「
今回、希望ヶ峰学園に渡された依頼は、どうやらその組織に関してのことであるようだ。
「お前も聞いたことがあるだろう。ボーダーは、近界民に対抗すべく、異界から手に入れた未知の技術を持っていると」
「あぁ、トリガーってやつか。確か既存の兵器じゃ全く歯が立たない近界民に、致命傷を負わせられる技術が……って、なるほど? なんとなくだけど見えてきたよ。政府のお偉いさんの意図ってやつが」
そう。近界民には自衛隊のような軍隊が所持する武器は効果が薄い。せいぜい怯ませるのが関の山だったそうだ。故に四年前の事件は惨状を極め、死者、行方不明者数は相当なものとなった。
しかし、ボーダーの持つトリガーという技術があれば、近界民と対等に渡り合えることができる。世界中に存在する兵器では苦戦するような存在を一刀両断し、貫くことができるのだ。
しかも戦闘する体は生身の体ではない。トリオン体という身体能力を飛躍的に向上させた、仮初の体を使って戦う。たとえその状態で体を貫かれることがあっても死ぬ事はない。
正に現存する中で世界最強の兵器の一つ。
しかし、とすると一つ問題が生じてくる。
「あぁ、いち民間自警団のような存在が持つには––––––、あまりにも大きすぎる「軍事力」なんだよ」
そう、ボーダーは民間組織。スポンサーの力によって成り立っている存在だ。極端な話だと規模の大きい自警団のような存在だ。
そんな民間団体が、世界中の国家を大きく凌ぐやもしれない力を持っている。
政府の高官どもがピリつかない理由がなかった。
「ボーダーは地域貢献や活発なメディアの露出によって国民からも一定の支持を得ているし、何より近界民の脅威を退ける重要な存在であるから、国も表立って何か言っているわけでもないんだが……、それでも国家的、世界的に見て脅威は拭えないそうだ」
「まぁ基本的に活動内容はオープンにしてる、表立って何かことを企ててる事もないけど……、確かにねぇ。でもなんでまたうちの生徒が?」
「なにも、隊員として活動している人間の約半数以上が中高生だからだそうだ。日本中の超高校級の高校生が集まる我が学園こそ、この対象にピッタリだとでも考えたんじゃないか?」
ボーダーには入隊試験がある。それは即ち、生半可なものでは門戸をくぐることすら許されないということ。
そんじょそこらの高校生では、受かるかどうか五分五分もいいところである。
だが、超高校級の才能溢れる高校生たちならどうだ? 確実にボーダーの中へと入り込むことができるかもしれない。
そんな希望的観測に良い大人がすがったのだ。笑って良い。
「なるほど、ね。こりゃ仁が複雑な顔するわけだ。好きじゃないでしょ。こういうの」
「あぁ、国の思惑に高校生を巻き込んでるようなものだしな。しかし……」
「やるしかない、か……。で、誰を送るつもりなんだい? お前のことだ。もう目星はつけてるんだろ?」
「あぁ、それに関しては、な」
そう、ぼさっと呟いて。
霧切は生徒の名簿を数枚、黄桜の元へと手渡した。
◆◇◆
「……そう。だから、苗木君と私を生贄に使いたいってわけね」
「そう思われても仕方ないな。いくら表向きで『才能の活用と提供』という名目でボーダーと提携を結んでいるとはいえ……」
「ええ、裏から見たらドロドロも良いところだもの」
黄桜と霧切の密談から一晩空けて。
学園長室に呼び出された霧切仁の娘––––––、超高校級の探偵である霧切響子は、父からことのあらましを聞いて軽くため息をついた。
苗木誠、超高校級の幸運であり、自身のクラスメイト。そんな彼が、よもやこんなことに巻き込まれようとは。そう思うとどこかやるせなくなってくる。
「それは、本当にすまない。……苗木君には君から上手く伝えておいてくれないか? なるべくこの話本来の目的は伏せつつ……」
「ええ、そのつもりよ。こんなこと、彼に話せるわけないじゃない」
「ありがとう。他にも数人、のちに生徒を送る予定だ。彼のボーダーでの馴染み具合や、活躍度合いを見て……」
「成程、能力的に平凡な苗木君であれば、そういった実験台にはうってつけだものね?」
そう言葉を放つ響子の口調はどこか刺々しい。が、この親子には幼い頃からの確執というか、因縁がある。故に、先ほどからどこか複雑な雰囲気が流れている。
まぁ、今ここで触れるようなことではないのだが。
「そう言われても仕方はない、が、これは彼の幸運の研究も兼ねているんだ。何せ彼の幸運は予測がつかないからな。ありとあらゆる環境で観測する必要がある」
「……わかったわ。取り敢えず、私たちはボーダーへ潜入して、調査を行う必要がある。今回の依頼はそんなところかしら?」
響子はもう話すことはない、と言わんばかりにくるりと背を向け、ドアに手をかけながら、学園長にそう声をかける。
仁は、ふう、と一つ息を吐き、続けた。
「あぁ、君には暫く、苗木君を支えつつ、定期的にボーダーの詳しい活動内容について調査・報告してもらいたい。苗木君の身に危険が及ぶことのないよう、学園も最大限バックアップする。もちろんキミ自身にもだ、響子」
一瞬、学園長としてではなく、父親に戻った仁の声を聞いて。
響子の肩がぴくっ、と反応する。
何を、今更。そう響子は思った。
知っている。彼は私の探偵という才能を頼って、この依頼を私に振ったことを。私の才能が「調査」というものにうってつけだと、そう判断したが故にこの仕事を任せてきたのだ。
私の才能を利用してる貴方が、何を今更––––––。
「そう、わかったわ」
響子は振り返ることなく。
ドアをゆっくり空けて、外へと出ていった。
ルビ振るとそのサイトごとの仕様に合わせにゃならんから大変だねって思ったお(小並感)。
とりあえずヒロインは霧切さんメインで行くとして聞いておきたいハーレムの範囲について
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ダンロンキャラのみ
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ワートリキャラも含める