超高校級の幸運とプラスαがボーダーに入隊する話 作:九店直下
ほぼほぼ状況説明みたいな回です。次回はもっと色んなキャラの絡みが書けたら嬉しいなと思ってます。
双方の世界観をしっかり維持できているのか、それだけが不安(震)
「お疲れ様苗木君。順調かしら?」
「あ、霧切さんもお疲れ様。まぁなんとかレートは上げられてるよ。霧切さんは……聞くまでもないかな?」
あれから一通り、ボクと霧切さんは満足のいくまでランク戦をこなした。そして今は一息ついて、お互いの進捗を確認しあってるところだ。
ボクは今のところ順調にレートを上げられてるから、霧切さんはもっと快調に勝ち進められてるんじゃないかな、なんて予想する。
「まぁね。確かに戦い慣れてるような動きの人も多いけれど、ちゃんと考えながら動けば勝てないなんてことはないわ。そうでしょう?」
「まぁね。現にボクも一応のところは負けなしで来れてるし」
やっぱり、予想通りだったみたいだ。霧切さんのレートが今チラッと見えたけど、3800って表示されていたし。
確かランク戦以外にも訓練があって、満点が200点みたいだから……、早ければ明後日にでもB級に上がれるんじゃないだろうか。やっぱり凄い。
「ふふ、流石ね。見れば苗木くんも3400点まで上がってるみたいだし、近いうちにB級になれるんじゃないかしら」
「まぁね。聞く話によると訓練でもポイントが入るって聞くし、そこで高い得点を出せれば、1週間と少しで何とか……行けるかも?」
ボクにしては随分と大きく出たなと思うけど、確かに手応えとして感じたことだ。
希望ヶ峰学園に来てから1年と少し、本当に色々なことがあった。
いつ、何時自分の身が危なくなるかわからない。江ノ島さんが起こしかけた一件で、そう思わされたことなんて数知れずだ。
だからそれ以来定期的に大神さんや大和田クン、あとは……戦場さんとかにも、定期的に訓練と称して色んな格闘術や銃の扱い方、ナイフ術、身の回りのものを使った護身術、etc.....。
とにかく、色んなことを教えこんでもらってる。
それが功を奏してるのか、訓練生相手なら十分勝ち切れる。それくらい自分が動けてるって事をこのランク戦で感じる事が出来た。
というか、それくらいできなきゃダメだ。超高校級のみんなにサポートしてもらってるようなものなんだからさ。
「ははっ、随分と大きく出たな。だけど君たちならそれくらいは朝飯前なんだろうな。そう思わされたよ」
「あ、嵐山さん。流石に朝飯前とまでは言えないですけど……でも期待をかけてくれてるんだしボクだって頑張りますよ」
「おう、その意気だぜ苗木くん。なんてったって君らはボーダーを賑わす期待のルーキーなんだ。存分に暴れてくれよ」
「迅さんも。来てたんですね。お疲れ様です」
おう、と笑いながらこちらに向かって手を挙げる迅さんとにこやかな表情でこっちを見る嵐山さんが見えたので、それぞれに会釈する。霧切さんも、軽く笑いながら2人に頭を下げた。
それにしても期待のルーキーだなんて、霧切さんにはともかくボクには似合わない言葉だな。少し気恥ずかしくなってくる。
「おう。見た感じボーダーライフを満喫できてるみたいで何よりだぜ……っと、そんな苗木くんと霧切さんにこの実力派エリートからアドバイスだ」
「? アドバイスって……、なんですか?」
「いや、B級に上がるとサブで色んなトリガーが使えるようになるのは知ってると思うけど、どんな組み合わせにするかは考えてるか?」
「いえ、そういったものはまだ何も。霧切さんはどう?」
「大まかには考えてるわ。初めてトリガーのシステムについて聞いた時からある程度想像してはいたけれど、実際にトリガーを使ってみてそれなりに構想は固まってきた、って感じね」
「さ、流石だね……」
初めてトリガーのシステムについて聞いた時って……、ボーダーに初めて来た時、だよな。
その時既にもうぼんやりと考えられるくらいトリガーについて理解してたってこと、だよな。やっぱり凄いや。
嵐山さんも少し驚いたような顔になってる。迅さんは……、変わらずにこやかな笑みを崩さないままだ。
ーーーーーーうん。やっぱり、
迅さんにはどこか、
悪い予感とか、敵対心とか、そういったものではない。
ただ、何かとても重要な事を知っていて、それを隠しているような、そんな違和感を彼からは感じる。
まるで、ここから先の出来事全て、彼にとってはお見通しのようなそんな違和感が–––––––––。
「……ははっ。そっか。霧切さんは流石、と言ったところだな。そしたら苗木くんはこの後暇ならB級の個人ランク戦の観戦に行ってみるといいかもな。複合的にトリガーを使って戦ってる所を見られるから、参考になるところはいっぱいあるはずだぜ」
「……あ、はい。そう、ですね。そしたらそうさせてもらおう、かな?」
無意識に深く考え込んでたみたいで。迅さんのそんな一言に意識が引っ張り戻される。
––––––––そうだ。今はそんな事を考えてる場合じゃない。それに迅さんも嵐山さんも、ボーダーの人たちも。色々と思惑はあるのかもしれないけど本質的には悪い人たちじゃない。それだけははっきりとわかる。
なんでってそれは勿論、ボクだって伊達に色々経験してきてないからね。
「よし、じゃあ苗木くん。俺が付き添うよ。ただ見るだけじゃ何もわからないだろうし、相談相手がいた方がいいだろうからな」
「あ、じゃあよろしくお願いします。嵐山さん。聞きたい事は多分いっぱい出てくると思いますし……」
「お、助かるよ。そしたら苗木くんは准にお願いするとして……、霧切さん。君にはちょっと話したいことがあるんだ。いいか?」
「……はい。大丈夫です。私も、迅さんに聞きたい事があったので」
迅さんに声をかけられた霧切さんは優しい表情だけど、声には少し緊張感が宿っている。
まぁ大きな組織同士だから、色々思惑もあるのだろうけれど。
きっと悪いようにはならないだろう。霧切さんを見ていて、なんとなくそう思った。
◇◆◇
–––––––––おれには、人の未来が見えるんだ。
苗木くんと別れた後に、迅さんに連れてこられたミーティングルームで彼に言われた事は、そんな耳を疑うような事だった。
この男、迅悠一には人の未来が視えるらしい。
一度コンタクトをとった人間であれば、年単位でその人に起こる出来事が見えるレベル、との事だ。
そんなオカルトみたいな事、本当に起こりうるのか–––––––––なんて一瞬思いもした。けど。
彼はそんな私の疑問など全てお見通しであるかのように、こんな言葉を投げかけてきた。
–––––––––ははっ、そうだよな。そんな言われてすぐには信じられないよなぁ。ならさ。
–––––––––「超高校級の絶望」って言葉に覚えはあるだろ?
その言葉を聞いた瞬間、身体全身が強張った。
その「言葉」は、苗木くん、私、そしてあの一件に関わった人間全ての記憶に強烈に残っている言葉。
忘れたくても忘れられない、呪いのような言葉。
でも、あの学園の人間以外は、決して知ることのないもののはずだ。
関係者でないはずの迅さんが、なぜその事を。そう思うと自然と身構えるような体制をとる。目つきも、睨みつけるような鋭いものになってしまった。
「あ、悪い悪い。この言葉をダシにして希望ヶ峰学園をどうこうしようってワケじゃないよ。希望ヶ峰学園側になにか要求しようってつもりもない。それに……見たところあんまり聞きたくない事だったみたいだな。申し訳ない」
「いえ、別に大丈夫です。でも、迅さんが何故、『絶望』の事を……? この件についてはどこまで––––––––––」
「おれも詳しい事はよくわからないよ。君らの未来を視る中で、その言葉が頻繁に出てきたから知ってるだけさ。見たとこ希望ヶ峰学園独自の事みたいだし、言えばおれの事も信じてくれると思ったんだが……」
そう言うと、迅さんは本当に申し訳なさそうな表情で俯く。
–––––––––取り敢えず、害意はなさそうね。ウソを言ってる様子もない。
なら、未来が視えるというのも本当だと思っていい……、というか「絶望」の名前を出されたら信じざるを得ないというか、そんなところ。
そう思って彼に対する警戒を幾らか解く。
「わかりました。取り敢えず迅さんの『未来視』は実在するものだと仮定して……、その力はどういうものなのか、説明願えますか?」
「あぁ、そのつもりだよ。あとで苗木くんにも共有してくれて結構だ。おれのこの能力は、『
サイドエフェクト、と、私は繰り返すようにそう呟く。
彼から聞くところによると、
特殊能力、といっても人間本来が持つ機能の延長線上に発現するものらしい。
耳が異常に良く、音の質を細かく聞き分けられたり、人が自分にどんな感情を向けているのかわかったり……といったものが例として挙げられた。
そしてきっと、苗木くんや私もその
–––––––––なるほど、ボーダーが私達を受け入れたのって、
まぁ、今は深く考えるところではないのかも知れないけれど。
一通り、話を聞き終わって。
私は考えを纏めるために一つ息を吐く。
「なるほど。大まかにはわかりました。でも、どうして私にこの事を?」
「まぁボーダーにいればいずれは知ることになる事柄だしな。今のうちに話しておくのも悪くないって思ったんだ」
「それだけではないですよね。絶対に。本当の目的はなんなんですか?」
「……うん。そうだな。本題は『超高校級の絶望』について、その調査や情報提供をして欲しいってことなんだ」
迅さんは穏やかな態度だけれど、少し神妙な面持ちでそう言う。
その言葉を聞いて、私は迅さんが言おうとしていることがある程度想像できた。
「君達から視えた未来で、その『絶望』がこのボーダーに、そして君達に大きく関わってきそうなんだ。『絶望』がなんなのかおれにはよく分からないけど、あんまり良くないものだってのは君達の未来を視ればわかる。だから……」
「『超高校級の探偵』である私の力を借りたいと。そういう事ですね?」
「あぁ。おれも君たちのために最大限力になるよ。言ってくれれば君たちを助けるために尽力する。なんてったっておれにとっては君らも『仲間』なんだからな。どうだ?」
迅さんの表情は、変わらず穏やかなままだ。でも。
その目は力強く、真っ直ぐなものを感じさせる。
きっと、「私たちの力になりたい」という気持ちは本当なのだろう。
だってあの時の苗木くんと、今の彼は似た目をしているから。
それだけで、あの胡散臭い希望ヶ峰学園の幹部たちよりは全然信じられる。私はそう感じた。
「わかりました。できる限り力にはなります。けど、このことは学園に持ち帰ってもいいですか? 『絶望』の件となると、私の一存でどうにかなる範疇を超えてるので……」
「あぁ、そうしてくれていい。ありがとな」
迅さんはにこやかに笑ってそう言葉を返す。
私としては、やる事が増えるし苗木くんには報告しなきゃいけないしで少し頭が痛いのだけれど。
でも、なんとかなるのでしょうね。きっと。
苗木くんの顔を想像して、私はそんな柄にもない事を考えた。
とりあえずヒロインは霧切さんメインで行くとして聞いておきたいハーレムの範囲について
-
ダンロンキャラのみ
-
ワートリキャラも含める