機動戦士ガンダムSEED 始まりの戦士   作:お鶴

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血のバレンタインに...間に合いませんでした...すんません...
いやはや、更新が遅れてしまって申し訳ないです。ちょっとやらなきゃならない事が重なってしまいまして、ゴタゴタしてました。
今回もお楽しみいただければ幸いです。


PHASE-02

カタパルトから発進したアサルトと俺は、一直線にストライクとメビウス・ゼロの援護に向かった。PS装甲があるストライクはまだ持つだろう。問題はメビウス・ゼロだ。ガンバレルは既に全機破壊されており、機体からも煙が上がっている。これ以上の交戦は無理だろう。

 

「アサルトよりメビウス・ゼロへ!フラガさん聞こえますか!?」

 

「その声、タクミか!その機体は一体...」

 

「後で説明します!一旦後退してアークエンジェルへ!」

 

「アークエンジェル?あの戦艦か!?」

 

「そうです!援護しますから早く!」

 

フラガさんに撤退を促しながら、白いシグーへ向けてビームライフルを数発発射する。バッテリーは...数%しか減っていない。さすがは最新型のバッテリーである。これが旧型だったら20%くらいは持っていかれたであろう。シグーが突っ込んで来ることを想定して、いつでもサーベルを抜けるように構えておく。

 

<ほう?あれがミゲルの報告にあった機体か。だが、優先すべきは貴様だ!ストライク!>

 

「なっ、マジかよ!待ちやがれ!」

 

予想外の行動に面食らい、出遅れてしまった。クルーゼはこちらが眼中に無いかのように、ストライクへ向かっていった。乱射されたマシンガンに晒されたマリューらであったが、ストライクがPS装甲を起動し、すんでのところで守った。

アークエンジェルから支援砲撃が飛んできたが、クルーゼは全てを躱し、何発かは後ろにあったシャフトに当たった。

 

「追いついた!当たれ!」

 

<くっ、くどいぞ!貴様!>

 

何とかクルーゼに追いついたが、放ったライフルはやはりひらりひらりと躱され、有効打が与えられない。ふと対峙するシグーの後ろを見ると、アグニを構えるストライクが目に入った。

 

「やめろストライク!それを撃つな!」

 

呼び掛けも虚しく、アグニが発射された。

 

<何っ!?くっ!>

 

「ぐぉっ!危ねぇ!」

 

アグニから放たれた極太のビームは、クルーゼ機の片腕を破壊した勢いのままアサルトに迫ってきた。とっさにスラスターを吹かし、何とか致命傷は避けたものの右足をまるまる持っていかれた。そしてビームは勢いを落とさず、コロニーの外壁に着弾、破壊した。空いた穴からクルーゼが離脱していく。

 

「追撃は無理か...アサルトよりアークエンジェルへ、右脚部を損傷しました。これより帰投します。」

 

「こちらアークエンジェル、了解した。本艦の着陸後、右舷ハンガーへ着艦されたし。」

 

「アサルト了解、通信終了。さてと、どうしたもんかな。」

 

俺が悩んでいるのは、原作主人公であるキラがコーディネーターである事がバレるシーンをどうするかという点である。原作だと、フラガさんが勘で言い当て、キラくんが兵士たちに銃を突きつけられるシーンである。なんとかキラとアークエンジェルクルーの溝を可能な限り深めないようにしたいところだ。ああでもないこうでもないと考えを巡らせるうちにハンガーの近くまで来てしまった。まあ、なんとでもなるだろ。マフティーも言ってた...し...やっべ完全に遅刻だわコレ。めっちゃ殺気立ってら。どうしよ。いやマジで。せめて少しでもお近付きになっとくか。

 

 

 


sideキラ

 

 

こんなことになるなら、ストライクになんて乗らなければよかった。あの金髪の軍人さんが「君、コーディネーターだろ?」なんて言ったばかりに、僕達は今銃を突きつけられている。

 

「コーディネーターでも、キラは敵じゃねぇよ!さっきの見てなかったのか?どういう頭してんだよお前らは!」

 

トールが必死に擁護してくれてるけど、銃は一向に下ろされる気配がない。

その時、後ろから突風が吹いた。

 

「どいたどいたぁ!アサルト着艦しますよ!」

 

「総員退避!アサルトが来るぞ!」

 

僕たちがハンガーの奥の方へ移動すると、赤い肩の真っ白な巨人が乗り込んできた。

 

 

 

 


sideタクミ

 

 

 

めっちゃ気まずかった〜!まあ、キラが撃たれる可能性を排除できただけ上々と思おう。とりあえず機体から降りよう。いつものように壁面に機体を固定し、ハッチを開いてワイヤーで床まで降りる。

 

「すまんねおやっさん。右脚ぶっ壊しちゃった。」

 

「気にすんな!後で直しとく。」

 

「いつもいつもありがとうございますほんとに。」

 

「良いってことよ!」

 

「そんでもって、バジルール少尉、一体何があったんですか?」

 

「あぁ、ついさっき...」

 

「こいつら、キラがコーディネーターだってわかった途端、いきなり銃を向けてきたんだ!」

 

「ちょっと、トール!」

 

「キラに助けてもらったのに!どうなってんだよ!あんた達は!」

 

「トールその辺にしときなよ...」

 

「ミリィもカズイも、なんで怒らないんだよ!友達が殺されるかもしれないんだぞ!」

 

「なるほどね...とりあえず、銃は下ろしといてください。彼らが萎縮してしまうので。」

 

俺がそう言うと、警備チームは数度顔を見合わせた後、銃を下ろした。准尉とかビミョーな階級だと思っていたが、たまには役に立つものである。

 

「さてと、自己紹介が遅れたね。俺はタクミ・タチバナ。階級は准尉で、あれのパイロットやってる。君がキラくんだね?」

 

「そうですけど。」

 

「あんたまで、コーディネーターだからってキラを敵視するのかよ!」

 

「しないよ。だって俺、ハーフだし。」

 

『え?』

 

すげー、ここまでみんなハモることあるんだ〜声出してない人もめっちゃビックリしてる。なんかおもろい()

前から関わりのあったバジルール少尉とおやっさん、それからフラガさん以外は絶句するか目ん玉かっぴらいてるかのどっちかっぽいな。

 

「いやだから、俺ハーフコーディネーターなんだよね。父さんがナチュラルで、母さんがコーディネーターなのさ。」

 

「は、はぁ...」

 

「ま、そういうわけだから、よろしく頼むよ。」

 

「はぁ、よろしくお願いします...」

 

やっべ空気が死んでら。さすがにやりすぎちゃったかしら。なんか警備チームのリーダーがこっち睨んでんだけど。怖っわ。

 

「ひとまず、キラくんもう1回ストライクに乗ってもらえるかな?機体をハンガーに固定してメンテしないとだし。」

 

「わ、わかりました。」

 

「タチバナ准尉、一度ブリッジへ。フラガ大尉やラミアス大尉を交えて作戦を練る。」

 

「俺は准士官ですが、よろしいんで?」

 

「今は人手が足りない。貴官の力も必要だ。」

 

「わかりました。すぐ行きます。おやっさん、あとお願いしてもいいですか?」

 

「大丈夫だ。さっさと行ってこい。」

 

「助かります。ああそれから、キラくんたちは居住スペースの余ってる部屋で待機しといてもらおうかな。パル伍長、案内お願いしてもいいですか?」

 

「わかりました。じゃあみんな、着いてきてくれ。」

 

その後俺たちはブリッジに向かった。

 

「今佐官は1人もいなくて士官は3人。准士官の俺含めて4人ですか...」

 

「人手が足りないな...」

 

「とりあえず、艦長だけでも決めましょう。フラガ大尉、お願いできるかしら?」

 

「俺?俺は無理だよ。しょっちゅう出撃する訳だし。タクミがやればいいんじゃないの?」

 

「俺も出撃しますし、階級もこのメンツの中だといちばん低いですから、なるとしても副長でしょう。バジルール少尉が艦長になるのはどうでしょう?」

 

「私はラミアス大尉が適任だと思うのだが...」

 

「私!?」

 

「えぇ、私は少尉ですし、階級的にもラミアス大尉のほうが艦長に相応しいかと。」

 

「ハァ...わかりました。私が艦長を務めます。バジルール少尉、あなたを副艦長に任命します。」

 

「私がですか?階級はフラガ大尉の方が上ですが...」

 

「フラガ大尉たちは戦闘時は出撃するもの。その時艦に残っている士官は私とあなたしか居ないわ。」

 

「なるほど、わかりました。承ります。」

 

「役職も決まったところで、これからどうしましょうね?ひとまず避難状況とか確認しときます?」

 

「そうね。では、3人はこの場で待機を。私は確認を取ります。」

 

しばらくして、通信機を置いたラミアス大尉から声がかかった。

 

「3人とも、避難状況がわかりました。避難はほぼ100%完了したものの、先の襲撃で警報レベルが9に上がったそうよ。」

 

「シェルターは完全にロックされちまったってわけか。あぁ、けどそんじゃあ、あのガキどもはどうすんだ?」

 

「ガキども...あぁ、キラくんたちのことですか。どうします?シャトルとかに乗せて、どこかに下ろしておきますか?」

 

「いや、彼らは軍の機密を見たから、ラミアス大尉が拘束されたのだ。そう簡単に解放してやることは出来ない。」

 

「かといって、このまま脱出に付き合ってもらうわけにはいかないだろ?出てきゃ、ド派手な戦闘になるぞ?」

 

「ここから先、ストライクの力も必要になるはずです。」

 

「艦長、あれをまた実戦で使われると?」

 

「正直、そこに関しては艦長と同意見です。フラガさんのゼロが出られない今、1人であの部隊を捌ききるのはほぼ無理かと。」

 

「なるほどね。あの坊主は了解してるのかい?」

 

「そんな事せずとも、今度はフラガ大尉がストライクに乗られれば良いのでは?」

 

「フラガさんには無理でしょう。MAとMSでは勝手が違いすぎます。」

 

「悔しいけど、タクミの言う通りだ。残念だけど、俺にはあいつは扱えっこない。あの坊主が書き換えたっていうOSのデータ見てないのか?あんなもんが普通の人間に扱えるのかよ?」

 

「なら、タチバナ准尉。貴官が乗ってくれ。アサルトの経験もあるんだし、出来るだろう?」

 

「いえ、俺も無理です。あのOSだと、歩くので精一杯だと思います。」

 

「どういう事だ?」

 

「そもそも、俺のOSって『サーベルを振る』とか、『ものを掴む』とか、そういった単純なコマンドをボタンに割り振っているんです。ところがあのOSだと、『人差し指を曲げる』とか、『足を曲げる』とか、出来ることが多すぎるんです。俺のOSもある程度は複雑な操作出来ますけど、次元が違いすぎます。」

 

「では、OSを書き換えればいいのではないか?」

 

「時間が足りませんね。アサルトのOSはストライクなどのOSの原型に当たるんですが、それの初期版ですら5徹したんです。歩くのが精一杯だったOSですらそんだけかかったんですから、ストライカーパックも考慮してストライク専用のOS作るなんて、何日かかることやら。ちなみにですけど、アサルトのOSを流用するのも無理です。そもそもがストライカーパックに対応していない上、フレームが同一ではないので。仮に俺やフラガさんが乗るとして、やっぱりOSの書き換えは必須ですし、とてつもない時間がかかります。」

 

「とにかく、あんな民間人に、これ以上大事な機体を任せる訳には...」

 

「そんでのろくさ出てって、的になれっての?」

 

「そういう訳ではありませんが...」

 

「とりあえず戦ってくれないか1回説得してみて、ダメだったら一旦放置とかにしときません?まともに動かない機体で戦闘する訳には行きませんし。」

 

「そうしましょうか。」

 

ある程度ストライクの扱いが決まり、ラミアス艦長が説得に向かった所に警報が鳴り響いた。

 

「コロニー全域に電波干渉。Nジャマー、数値増大!」

 

「なんだと!?」

 

「チッ、やっぱ俺たちが出るまで待つ気は無いか、あの野郎。」

 

「またヘリオポリス内で仕掛けてくるつもりですか?」

 

「敵さんからすれば楽だぜぇ?こっちは発砲出来ない。向こうは撃ち放題だ。」

 

「そういえば、タチバナ准尉はどこに?」

 

「あいつか?警報が鳴った瞬間走っていったぞ。」

 

 

 

 

 

いやはや、パイロットスーツ脱がなくて良かったぜぃ。つーわけで、ただいまハンガーに向けて遠回りしつつ全力ダッシュ中でございます。なんで遠回りするって?そんなの、キラくんたちの所に顔出すため以外無かろうて。

 

「........巻き込まないでください!」

 

おっ、キラくんはっけーん

 

「艦長!緊急事態です!」

 

「なんですって!?」

 

「ラミアス大尉!至急ブリッジへ!」

 

「こちらマリュー・ラミアス。どうしたの?」

 

「MSが来るぞ!早くブリッジへ上がって、指揮を取ってくれ!」

 

「わかりました。では、アークエンジェル発進準備。総員第一戦闘配備。大尉のMAは?」

 

「ダメだ。まだ修理が終わってない。」

 

「では、大尉はCICをお願いします。准尉、アサルトは出られますか?」

 

「大丈夫です。いつでも行けます!」

 

「では至急戦闘準備を。」

 

「了解!あぁ、君たち、また戦闘になるから、居住スペースから出ないでくれ。」

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。シェルターに避難とか、そういうのはできないんですか?」

 

「ついさっき警戒レベルが9まで上がった。こうなってしまえば、外からも中からもドアを開けることはできない。残念だけど、みんなにはまだしばらくこの艦にいてもらうことになるかな。ヘリオポリスから脱出出来さえすれば降ろしてあげられるはずだから、もう少しだけ辛抱してくれ。」

 

「あなたが戦うなら、僕があれに乗らなくてもいいじゃないですか。」

 

「そっちもそういう訳には行かないかも。」

 

「どうしてですか?あなたがあの白い機体で戦うんでしょう?僕は必要ないじゃないですか!」

 

「残念だけど、敵の数が多すぎる。アサルトだけじゃこの艦を守りきることはできない。君の力が必要なんだ。」

 

「そうやって僕たちを巻き込んで!僕に人殺しをしろって言うんですか!?」

 

「別にそうは言ってない。ただ、この艦を守るために戦って欲しいんだよ。君の友人も乗っているわけだし、これ以上怖い思いをさせたくないだろう?」

 

「卑怯だ。あなた達は...そうやってみんなを人質みたいに使って...そして人手が足りないから僕にも戦えって言うんでしょう!?」

 

 

 

 

あの後なんやかんやあって、めっちゃ不満そうにしながらもストライクに乗ってくれることになった。ソードストライカーを装備したストライクがカタパルトへと運ばれていく。アサルトも最終チェックに入った。

 

「おやっさん!今回もデュエルのライフルお願いします!」

 

「おう!ウェポンラック開けるぞ!」

 

「ありがとうございます!」

 

ライフルを手に取り、後腰部に増設したハードポイントにマウントする。

ストライクに通信を繋ぎ、キラに話しかけた。

 

「キラくん、君は生き残ることだけ考えてくれ。」

 

「わかってますよ。そんなこと。」

 

やはりさっきの言い方はまずかったのか、少し不貞腐れた態度で返された。原作とは違って単騎じゃないから、そりゃ不満も出るだろう。既にMSに乗れる軍人がいて、その人はそれなりに経験も積んでいるわけだからね。俺が同じ立場だったら絶対文句言ってた。

ストライクが射出され、続いてアサルトがカタパルトに固定される。

 

「タクミ!敵のジンは拠点攻撃用の装備だ!オレンジのパーソナルカラー持ちとX-303イージスもいるから注意しろ!今回は脱出が最優先だから、無理そうなら時間を稼ぐだけでいい!無理に深追いするなよ!」

 

「了解!タクミ・タチバナ、アサルトガンダム、出ます!」

 

開幕アークエンジェルからの支援砲撃があったが、全て躱されている。やはり一筋縄では行かないようだ。

 

<オロールとマッシュは戦艦を。アスランはストライクを抑えておけ。無理やり着いてきたんだ。俺がレッドショルダーを落とすまでの時間くらい稼いで見せろ。>

 

やっぱりミゲルこっち来るよね〜。しかもちゃっかり専用機だし、ビーム砲まで持ってやがる。どんだけ俺の事嫌いやねん。

まあとりあえず、アークエンジェルとキラくんにはある程度情報送っときますかね。

 

「アサルトからブリッジへ。恐らくオレンジのジンの狙いは俺一人だと思います。できるだけ時間は稼ぎますが、張り付かれると援護できないんで早いとこ脱出お願いします。」

 

「おいちょっと待てタクミ。なんでお前が狙いだとわかった?」

 

「この前のG防衛戦で戦ったジンと動きの癖が似てるんです。あの時わざわざオープン回線で『次こそ殺す』って言ってたんで、多分アークエンジェルは攻めないと思います。」

 

「なるほどな。わかった。重装備のジン2機は何とか捌くから、落ちるなよ。」

 

「了解です。さてと...キラくん、聞こえるか?」

 

「なんですか。」

 

「今回は脱出が最優先だから、最悪の場合は逃げ回ってもらっても大丈夫だよ。今回も自分が落ちないことだけ考えてくれればそれでいいから。」

 

「わかってます。この前と同じでしょう?」

 

「そういうこった。お互いに頑張ろうな。」

 

通信を切り、俺は一直線にオレンジのジンに向けて機体を走らせた。

 

「見つけたぞ!レッドショルダー!」

 

「そこまで待ち焦がれていたとはね!ありがたい限りだ!」

 

「減らず口を!落ちろぉ!」

 

相手のビームを盾で受け、こちらも取り出したライフルから、空中で爆散するようにタイマーを設定したグレネードを放つ。コロニーに攻撃を当てないためだ。しかし、やはりグレネードでは弾速が遅すぎるようで最小限の動きだけで躱して肉薄してくる。撃ち合いつつも距離を詰め、互いに近接攻撃の有効距離に入った。ジンは左のビーム砲はそのままに、右に重斬刀を構えて振りかぶる。こちらもライフルを後腰部にマウントし、右手にサーベルを所持して刃を出現させる。

 

「お前が初めてだ!俺が殺し損ねた敵は!」

 

「そいつはどうも!全く嬉しくねぇけどな!」

 

「だからこそ、ここで殺しきる!もう二度と取り逃さん!」

 

「残念だけど、ここで落ちる訳には行かないんだよね!」

 

重斬刀とビームサーベルで2度3度と切り結ぶ。一度体勢を立て直そうと距離を取れば、すかさずビーム砲が火を噴く。コロニーへの被害などお構い無しだ。バカスカと撃ちまくってくる。

 

「オラオラどうしたぁ!この前の威勢はどこへ行った!もっと撃ってこいよ!」

 

「チッ!被害考えなくていいからって好き放題しやがって!」

 

サーベルを機体前方に構え、右肩を前に出して半身になった。フェンシングの突きのような姿勢で一気にスラスターを全開にして肉薄する。

 

「ヤケになって突撃か?レッドショルダーさんよぉ!」

 

ビームが何度も飛んでくるが、ランダム機動で何とかかわす。

 

「この距離ならこいつはいらん!!でええぇぇぇい!」

 

ミゲルも近距離では取り回しの悪いビーム砲を放棄し、重斬刀を両手で持ち迎撃する構えだ。

 

「死ねぇぇぇぇ!」

 

「そこっ!」

 

重斬刀が振り下ろされる瞬間、右腕を引っ込めて体を捻り、左腕を突き出した。その手には自機の陰に左腕を隠すことで相手からの死角を作り、密かにふくらはぎから取り出したアーマーシュナイダーが握られている。

胴体を突き刺したはずだったが、相手もタダではやられない。咄嗟に機体を動かし、損失を右腕1本に抑えた。更に残った左腕で重斬刀を操り、斬りかかってきた。ジンを蹴り飛ばして無理やり距離を開ける。

 

「ハァ...ハァ...貴様ァ...1度ならず2度までも、この俺に傷をつけやがったな!?」

 

「そっちこそ...やっぱり手強いな...ッハァ...キッツ...」

 

「次こそはこの一撃で仕留めきる...?なんだ?機体が引っ張られる!?」

 

「ッ!コロニーに穴が!もう崩壊が始まったのか!?」

 

「タクミ聞こえるか!?今すぐに戻れ!宇宙に放り出されるぞ!」

 

「できません!減速するので精一杯です!」

 

スラスターを全力で吹かして抵抗するが、機体はどんどんと宇宙へ引っ張られていく。

 

「どうにもならねぇか!アサルトよりブリッジへ!一旦宇宙に出ます!後で合流しましょう!」

 

「おい待て!タクミ!おい!」

 

「レッドショルダー!次こそは!次こそはぁぁぁぁ...」

 

ミゲルのジンが遠ざかり、通信も切断された。俺とアサルトもそのままコロニー外へと吸い込まれ、宇宙へと放り出された。目の前には無数の瓦礫が浮かんでいる。ひとまずアークエンジェルへと通信を繋いだ。

 

「アサルトよりアークエンジェルへ。聞こえますか?」

 

「こちらアークエンジェル。タチバナ准尉無事だったか?」

 

「ええ。何とか。これから合流します。ポイントを送ってください。」

 

「了解した。今送信したポイントに来てくれ。」

 

「了解です。」

 

「タチバナ准尉少し待て。......ストライクの場所がわかった。今送り直したポイントを確認のうえ、迎えに行ってか合流してくれ。」

 

「ポイント確認、修正しました。直ぐに迎えに行きます。」

 

ストライクの元へ向かうと、何やら手に持っている。

 

「キラくん、それは?」

 

「ヘリオポリスの救命ポッドです。推進装置が壊れているようで...」

 

「ちょっと待ってくれ。確認する。アークエンジェルへ、ストライクが故障した救命ポッドを拾った。判断を乞う。」

 

「救命ポッドだと!?ちょっと待て。......救命ポッドの収容は認められない。との事だ。」

 

「了解。キラくん、残念だけど、回収は認められないそうだ。」

 

「認められない?認められないって、どういうことですか!?」

 

「そのままの意味だよ。アークエンジェルは今物資がカツカツなんだ。民間人を乗せるの余裕なんて無いんだよ。」

 

「推進装置が壊れているんですよ?それをまた放りだせとでも言うんですか!?」

 

「そんなこと言われたって、俺たちだって余裕が無いんだ。」

 

「避難した人達が乗っているんですよ!」

 

「直ぐに救命艦が来るから、救助は彼らに任せればいい。」

 

「でも!」

 

「じゃあ、俺がもう一度確認をとる。それでもダメだったらスッパリ諦めよう。いいね?」

 

「わかりました...」

 

「よし。アークエンジェルへ、やっぱり救命ポッドの収容は認められませんか?」

 

「何度も言わせるなタチバナ准尉。救命ポッドの受け入れは...」

 

「いいわ。許可します。」

 

「艦長よろしいんですか?」

 

「こんなことで揉めて、時間を取りたくないの。」

 

「本当に良いんですか?艦長。」

 

「ええ。キラくんにもそう伝えて。」

 

「了解しました。キラくん、許可が出た。そのポッドを持って帰っていいそうだ。」

 

「本当ですか!?」

 

「あぁ、本当だ。さ、帰ろうか。」

 

 

 

 

アークエンジェルに帰投し、アサルトをメカニックチームに任せて1度ブリッジへ上がった。

 

「タクミ・タチバナ准尉、入ります。」

 

「来たか。」

 

「ではこれより作戦会議を始めます。前提として、投降するつもりはありません。ストライクとアサルト、そしてこの艦は絶対にザフトには渡せません。我々は何としても、これも大西洋連邦司令部へ持ち帰らねばならないのです。」

 

「艦長、私はアルテミスへの寄港を具申致します。」

 

「アルテミス...どっかで聞いたことあるような...気のせいか?」

 

「アルテミス?たしか、ユーラシアの軍事要塞でしょう?」

 

「『傘のアルテミス』か?」

 

「はい。本艦の現在地から1番近いところにある友軍の拠点でもあります。」

 

「でも、Gもこの艦も、友軍の認識コードすら持っていない状況よ。」

 

「艦もGも、我が大西洋連邦の極秘機密だということ、無論私とて承知しております。しかしこのまま月に進路を取ったとて、戦闘もなしに行けるとは、まさかお思いではありますまい。物資が不足している今、早急に補給が必要です。」

 

「しかし、ユーラシアが受け入れてくれますかね?追い返されたりしません?」

 

「事態はユーラシアにも理解してもらえるはずだ。現状ではなるべく戦闘を避け、アルテミスに入って補給を受ける。そこで月本部と連絡を取るのが、今最も現実的な策かと。」

 

「アルテミスねぇ、そうこちらの思惑通りに行くかな?」

 

「でも、今は確かにそれしか手はなさそうね。本艦はこれより、進路をアルテミスに取ります。デコイ発射と同時に、進路変更のためにメインエンジンの噴射を行う。その後は発見されるのを防ぐため、エンジンを切って慣性航行に移行、第二戦闘配備。艦の制御は、最短時間内にとどめよ。」

 

「アルテミスまでのサイレント・ランニング...およそ2時間ってとこか。」

 

「上手くいくといいですけど...」

 

「デコイ発射!アルテミスに向け、航路修正!」

 

 

 

 

 

ブリッジでの作業が終わった後、俺はハンガーにて、メカニックチームと共に完成したあるものを見上げていた。

 

「ひとまずは完成したぞ若造。オーダーのあった『リロード式ビームライフル』だ。」

 

「早いですね。予想よりもずっと。」

 

「ああ。幸い予備パーツだけは大量にあったからな。あとはちょいちょいと弄るだけだ。」

 

俺がヘリオポリスの最初の襲撃後にオーダーしたものの一つがこのライフルだ。アサルトのバッテリーをイージスのものに変更こそしたものの、使われているPS装甲は初期型で最適化がなされていない頃に製造されたものであり、ストライクなどのPS装甲と比べてバッテリーの消費が激しいという欠点がある。そのためライフルを1発撃つのにもかなり気を使う必要があったのだが、それを解消するためにライフルの給電を外部バッテリーからにしてみた。ガノタ諸君にはユニコーンのビームマグナムに似たスタイルと言えば通じるだろうか。一応機体からの給電に切り替えることも出来るが、ほぼ使わないだろう。

 

「今撃つ訳には行きませんけど、早速アサルトで実験してみましょうか。」

 

アサルトに乗り込み、右手に持たせる。

 

「どうだ?認識したか?」

 

「バッチリです。」

 

「よし、マガジンの交換をしてみろ。」

 

マガジンを外し、別のマガジンに入れ替える。HUDを見ると、ライフルのバッテリー残量が増えたのがバッチリ映っていた。

 

「問題なさそうです。」

 

「そうか。どうだ?次の出撃から使うか?」

 

「そうですね。念の為他の武器と併用しますけどね。」

 

「おいおい、もうちょい信用してくれてもいいんじゃねぇか?」

 

「前にOS徹夜で組んだ時、ド深夜テンションに任せて飛び出そうとしてそのまますっ転んだじゃないですか。ああなりそうでどうも怖くて。」

 

「確かに、それもそうか。そしたら一旦ウェポンラックにしまっといてくれ。

 

「了解です。」

 

ウェポンラックに武器を戻し、機体を固定してコクピットから降りる。

 

「そういえばよ、例の支援AIはどうなったんだ?」

 

「コツコツ組んでるところです。完成まであと少しってところですかね。」

 

「なるほどな。とりあえず、こっちでも『DASH計画』に関しては進めてある。あと少しで全パーツの調整が終わるところだ。」

 

「俺のわがままに付き合ってもらって、本当にありがたい限りです。」

 

「なぁに、いいってことよ。腕がなるってもんだぜ。」

 

 

 

 

 

ハンガーを後にして、俺は自室に引っ込んだ。准士官なので本来は士官室が与えられないはずだったのだが、現在の士官の数が少なすぎるせいで使えることになったのだ。

ノートPCを立ち上げ、いつものテキストエディタを起動する。

 

「さてと、どこまで行ったっけな...」

 

編集しているプログラムの名は『W.I.Z』

俺はキーボードを叩き、作業を再開するのであった。




さて、タクミからのオーダーその1、『リロード式ビームライフル』の試作型が完成致しました。劇中での説明通り、ビームマグナムみたいにガチャガチャリロードして撃つタイプのビームライフルです。
今回名前だけ出てきた『W.I.Z』や『DASH計画』に関しても、少しずつ明かされていく予定ですのでもう少々お待ちください。
感想、質問などお待ちしております。

ウェンディ生存ルートのスピンオフ、どうする?

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