鉄華団と不死鳥の少女   作:こーくへぃ

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やっと話数が2桁に突入しましたぁぁああああ!!
モチベが続いてるのも皆様のおかげですっ!( ;∀;)
今回はいつもより長めになりましたっっっ


10:覚悟

 あの後、結局ただ軽く街を回って食事をしただけで港に戻ってきた。明日の昼の支度を終わらせて後は寝るだけである。

 

「げぇー、何でよりによってユージンと?」

 

「え、誘われたから……」

 

「フレイヤはんって押しに弱そうですもん、こらいつの間にか男作ってここ出てくんとちゃいますぅ?」

 

「そ、そんなこと……しない!」

 

 フレイヤは顔を真っ赤にしてポコポコとツカサを叩いて、2人はそれを見て笑う。フレイヤはきっとこれが友達なのだと理解した。

 

「ほら、明日は遅刻できないんだから寝るよ」

 

「あ、うん」

 

「はーい」

 

 照明が常夜灯に切り替わり、それぞれが床につく。数分もするとフレイヤとアトラはすぅすぅと小さな寝息を立てはじめた。

 

「…………」

 

 むくりと体を起こしたのはツカサ。左を向き、フレイヤの頬にそっと触れる。

 

(ウチ、フレイヤはんのこと少しずつわかってきましたわ。アンタ、好きとかそういうのないやろ?

フフッ……ウチが正体暴いたりますわ)

 

 

 

 

 次の日、オルガ達は遅れているようで、テイワズから戦艦を一隻借りて火星に帰ることになった。ユージンが臨時艦長に就任し、ラフタとアジーも護衛として同行することになった。すでにフレイヤはラフタにもみくちゃにされているらしく、髪の毛がボサボサになっていた。

 戦艦にはフェニックスとタービンズの2人の2機体が搭載され、さらにプロト獅電がテイワズから2機も提供されたので同じ様に積み込まれた。

 

「あんなもん頂いてもいいんですか?」

 

「はい、会長が鉄華団の強さを買っておられましてね。まだ試作段階ですがデータ取りにも使えるだろうということでウチから提供させて頂いてます。あぁ、もちろん既に阿頼耶識に対応したコックピットにはなっていますのでご安心を」

 

「あぁ……その事なんですけど……いや、ありがとうございます」

 

(ウチは阿頼耶識からは脱却する方針なんだけどな……戻ってから外さねぇと)

 

 

 

 

「あ、動き出した!」

 

「はぁー、また来たいなぁ〜」

 

「次もズィヅニーいこうぜ!」

 

「今回3日連続行ったじゃん……」

 

 年少組がワイワイしてるのを眺めながらアトラとフレイヤはお茶をしていた。

 

「そう言えばツカサちゃんは?」

 

「フェニックスの事知りたいっていうからOKしたら飛んでっちゃった」

 

「そう言えばメカニックだったねあの子、なんか作業着?も独特だよね〜オセアニア連合の人だっけ」

 

「普段着の方はすごく可愛いと思う」

 

 そんな感じで駄弁ってしばらく経つと、雑談の種も尽き、2人はボーッとしていた。食事の時間でもなく、洗濯物もないアトラと、元々仕事が与えられていないフレイヤは、何もやることがなかった。タービンズの2人はドックでシミュレーターでもやっているのだろうか?

 

(私もやったほうがいいのかなぁ、でも別に私明確にパイロットってわけでもないんだよね……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後、戦艦が大きな衝撃を受けた。眠っていたフレイヤは飛び起き、周囲を見渡すと、固定されていなかったものが床に散乱していた。アトラがうずくまっていて、僅かに頭を押さえている手の隙間から鮮やかな赤が見えたので、フレイヤは急いで駆け寄った。

 

「アトラちゃん!?」

 

 傷を確認すると、幸い小さな傷の様で少し血が垂れていた。

 

「い、いてて……大丈夫、少し頭打っただけ……!」

 

 すると艦内放送がかかり、ユージンの声が聞こえてきた。

 

『ぜ、全体!襲われてる!くそ、何たってこんな船を!』

 

 急いで窓の外を確認すると、確かにチラリとモビルスーツのスラスターの光の様なものが見えた。

 

 

 

 

 その頃、メインブリッジではユージンやテイワズから借りた人員達が事態に対処すべく慌ただしく動いていた。

 

「くそ、テイワズの船見て襲ってくる奴なんてまたあいつらかよ!?ラフタさん達!準備はどう!!」

 

『こちらラフタ、いつでも行けるよ!』

 

『アジーも準備OKだ』

 

 管制員の1人が声を張り上げる。

 

「敵モビルスーツ!4機の内1機はガンダムフレーム!!」

 

「くそ、アトラさん達!敵にはガンダムフレームが紛れてる!おそらく阿頼耶識だ!」

 

 その時、ブリッジ内に通信が入り、画面にはSOUND ONLYと表示された。

 

「どこからだ!?」

 

「どうやら敵のガンダムフレームからの様です!」

 

「はぁ!?何だって!?」

 

『やぁ、テイワズの皆さん、ご機嫌よう!

 突然だが、君らが所有しているフェニックスとそのパイロット、フレイヤ・レジーナの引き渡しを要求する!君らの命との引き換えだ!』

 

 爽やかな男の声が艦内に響き渡る。その声は実に楽しそうに一方的な要求を押し付けてきた。

 

「はぁ!?んな事するわけねーだろ!」

 

『ならば殺してでも奪うだけだぜッ!』

 

「なっ!?く、くそっ!ラフタさん!アジーさん!」

 

『了解!それじゃあラフタ・フランクランド!出るよ!』

 

『アジー・グルミン、出る!』

 

 漏影と百錬が艦から飛び出して敵機に接近する。重い一撃を喰らわそうと剣を振るうも、阿頼耶識特有の生物的な動きで回避される。

 

「くっそーッ!阿頼耶識ほんとにずっこい!」

 

「こいつら……!拙いけどこの動き、あの時のデカブツみたいじゃないか!」

 

 生物的な動きと息の合った連携は、モビルスーツ戦に熟達した2人でさえもうまく捉えきれない様で、こちらの攻撃は当たらず向こうからの攻撃はガードして受けるしかない様な状況だった。

 

「チィッ!鬱陶しいなこいつら!」

 

(でも1番ムカつくのは……!)

 

「雑魚3匹にかまけて静観してるお前だーーッ!」

 

 少し離れた位置から何もせず突っ立っているだけのガンダムフレームに苛立ちを覚えたラフタは、他のモビルスーツを無視して最大出力で突撃する……が、しかし

 

「ぐぁっっっ!?」

 

 他の機体に行動を妨害され、漏影は左肩に蹴りを受けてバランスを崩した。瞬時にバーニアを駆使して姿勢制御を行い、体勢を立て直したが、かなりの負荷がかかったようで、漏影の左腕は軋む音を立てて追従性がかなり落ちているようだった。

 ホドは、その様子を見てわざとモーションが大きめの拍手をしながら楽しそうにしていた。

 

「ハッハッハッ!クピッド達に随分と苦戦してるなぁ!そんなんじゃ俺には届かんぜッ!」

 

 

 

 

 その頃、ライドたち年少組はラフタ達の闘いを見ながら焦りを感じていた。

 

「お、おい……あれやばくね?」

 

「向こうのが多いし、あいつら阿頼耶識だし、アジーさん達めっちゃジリ貧だよ……」

 

 子供達がやばいやばいと言い合ってる中、ライドは何か決心した様に拳を握り締めた。

 

 

 

 

 

「クソっ、どうすりゃいいんだよ!フェニックスは……ダメだ、フレイヤちゃんを出すわけには行かねぇ」

 

 あの時見たフェニックスの戦いぶりを思い出すと、すぐにでも出撃させたくなる。しかし、フェニックスが不調であることに加え、フレイヤ自身もうまく操縦できないと報告を受けているのだ。下手に出撃させてしまうと死なせてしまう様で躊躇してしまう。

 

 その時、ドックより通信が入った。

 

『ライド・マッス!プロト獅電行きます!』

 

『モッブ・ガーキも同じくプロト獅電で行きます!』

 

「はぁ!?」

 

 ユージンが急いで確認した時には、もう遅かった。ライドともう一人の年少組の少年が獅電に乗り込み、勝手に出撃してしまったのだ。2人は本格的なモビルスーツの訓練を受けていなかったが、阿頼耶識のおかげで熟練のパイロットのような機動で、ガンダムやクピッドを襲撃した。

 攻撃は当たりはしなかったが、アジーとラフタを囲んで翻弄していたクピッドたちを退かせ、2人に体勢を立て直す時間を与えた。ライドは背中合わせのように機体を接触させ、百錬に接触回線を繋いだ。

 

「オレ、ライドです!援護にきま____」

 

『このバカ!!!!!!』

 

 大声で怒鳴りつけられついライドの体が跳ね上がる。

 

『これはシミュレータでも模擬戦でもないんだよ!子供が命の取り合いの場に出てくるなッッ!』

 

「……オレは、オレ達は!あの日、動かなくなった仲間達を踏んで進んだ日から、いつだって命を奪う覚悟も奪われる覚悟もしてきてるんです!だから進まなきゃ行けないんだ!」

 

『………』

 

 その言葉にアジーは絶句した。あの地獄はこの様な自分の半分程しか生きてない少年にここまでの覚悟をもたらしたのかと。

 

『……わかった、アイツらを倒したら次はアンタ達への説教だよ、覚悟しておきな!』

 

「はい!」

 

 アジーやラフタに阿頼耶識の2人が加わり、3対4となれば形成は逆転。阿頼耶識には阿頼耶識、独特な機動に対し張り付く様に追いかける。モッブは敵の攻撃をいなしきり、武器を振りかぶる。

 

「悪いが、そこまでだぜッ!」

 

 振り下ろされる寸前、ガンダム・ザガンの振るう大剣が獅電の腕を小枝のように薙ぎ払った。

 

「お前に生意気さを感じたッ!」

 

 ザガンはモッブの機体に組み付き、腕を引きちぎった。帯電するコードが露出し、細かい部品が宇宙空間に散らばる。さらに背中に蹴りを加え、両腕を失い戦う力を残していない獅電が宇宙に舞う。

 

「モッブぅぅぅううう!!!」

 

 ライドが救出を試みようと爆進するが、先ほどのラフタと同じ様にクピッドに割り込まれ近づくことができない。

 

「さぁ、さよならの時間だッ!」

 

 大剣を横に薙ぎ、刃が接触する瞬間に峰が爆発して威力を高めた。コクピットごと真っ二つになり、大剣より薬莢が弾き出された。ズタズタになった断面が赤熱化しているのを見ると生存はほぼゼロに近いだろう。

 

「あ……あぁ…!」

 

 覚悟をしていても、突然の仲間の死を瞬時に受け入れるにはライドはまだ経験も足りず、幼すぎた。呆然としていたせいでザガンの次の標的が自分だと気づくのが遅れてしまった。

 

「ライドォォオオオ!!!!!」

 

 アジーの悲鳴に近い叫びはエイハブウェーブにかき消され届かない。ザガンは大剣を縦に振りかぶった。

 

「あ」

 

 死に直面して飛び出たのは死を理解した声、獅電の残骸から見るに腕による防御は気休めにするならないだろう。ライドに行使できる最後の抵抗はもはや目を瞑り、少しでも死への恐怖を軽減することだけだった。

 

 

「……………?」

 

 あまりにも長い数秒、いつまでも自分の体が肉塊にならないことに疑問を覚えたライドが恐る恐る目を開ける。画面に映っていたのは赤と銀の機体、変形した足を伸ばし大剣を掴んで押さえ込んでいた。

 

「フェニックス……!?ふ、フレイヤ!?……さん!?」

 

 その言葉に返事をするかの様に青く煌めくツインアイから光が迸った。




爆発させてダメージアップして薬莢吐き出す大剣ってなかなかかっこよくないですか!!
ボトムズのアームパンチから着想をえました!

ザガンにやられちゃったモッブ・ガッキくん、すぐわかると思いますがモブガキの文字りというなかなかやばいセンスな名前かもしれません(^^;

あと三日月とかも絡ませたいんですけど、三日月いたらわざわざフレイヤが戦わなくていいのでは?となっちゃうんでなかなか難しい(^^;

感想とか改善点とか書いていただけると励みになりますっ!どうかっ!どうかっ!

いつも誤字とか文法の不備を教えていただいてる方もありがとうございますっ!
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