鉄華団と不死鳥の少女   作:こーくへぃ

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子供ティファレトちゃん9歳で成人男性に勝てるパワーってのはさすがに無理すぎたので年齢変えてます。13歳です。それでも怪しいですが…


32:囲まれて

「ぎゃはは!さっさとパンツおろせよ〜」

 

 スクールと呼ばれる施設の人気のない一角で、ゲラゲラと笑う少年たちに囲まれた銀髪の少女は、パンツ以外の服をすでに剥ぎ取られ、胸を両腕で隠してしゃがみ込んでいる。

 

「パンツも剥ぎ取ればいいんじゃっすか?」

 

「ヘヘ、自分で脱がせるんだよこういうのは」

 

 男たちの穢れた目線の中、嗚咽をこぼしながら少女は震える手でパンツに手をかける。

 

「お前ら!!!何やってんだ!!!!」

 

 少年たちが怒鳴り声を聞いてそちらの方へ振り向くと、薄い茶髪の少年が立っていた。その茶髪の少年が最も近くにいた者を殴り飛ばし、壁に激突させる。

 

「リブロー! !?」

 

「恥ずかしくないのかよ!男のくせに!」

 

「クッ……ずらかるぞ!」

 

 少女をいじめていた少年たちは、そそくさと逃げていった。茶髪の少年もといリブローは、自分の上着を少女に羽織らせた。不意に後方から打撃音と男達の悲鳴が聞こえたので振り向くと、絹のように美しい髪の美少女が立っており、足元に先ほど逃げ出した破廉恥男な奴らが鼻血を垂らして気絶していた。

 

「この子を剥いだのは俺じゃないぜ?」 

 

「わかってるわよ、“ホド”に選ばれたリブロー・シューマ。

ほら、いくわよ」

 

 ティファレトに言われて少女は立ち上がると、ふらふらと小走りする。しかし、リブローの前に立ち止まって頬に口付けをした。

 

「おぉ……!?」

 

 リブローは予想してなかったその行動に顔を赤らめてよたよたと後ろにさがり、足がもつれて尻餅をついた。

 

「……」

 

 ティファレトがそれを見て不機嫌そうに少女の手を掴んで引っ張っていく。リブローは頬に手を当てて顔を赤らめながらそれを見つめていた。

 

 

 

 

 ティファレトは黙ったまま手を引いて廊下を早足で歩いていた。

 

「い、いた……い……!」

 

 少女から発せられた声にティファレトは咄嗟に手を離す。ゆっくりと振り向くと、少女が左手をさすっていて少し申し訳なさを抱いた。

 

「あんた」

 

 呼びかけに対して彼女は恐る恐る顔をあげる。花緑青の潤んだ目とあってついティファレトは目を逸らす。

 

「なんでキスしたの」

 

 そっぽを向いたままそう問いかけると、少女はモジモジとしながら口を開いた。

 

「お、お姫様…………」

 

「……お姫様?」

 

 予想してなかった返答に少女の方を振り向いて怪訝な顔をするティファレト。少しだけ考えると合点がいったかの様な表情になる。

 

「お姫様って……あんたがの好きな童話の?」

 

「は、はい……」

 

「はぁ……このメルヘン女…………まぁいいわ、行くわよ」

 

 

 

 

 

 スクールの子どもたちは基本的に4人1組の寮の様な体制で暮らしている。しかし、一部優秀な者は個室、セフィラに選ばれると要求すれば戸建さえも貰えるのだ。

 

 

「ほら、はいって」

 

「お、おじゃまします」

 

少女がティファレトに促されるままに建物の中に入ると、落ち着いた雰囲気の洒落た洋式の玄関が広がっていた。その時、玄関の扉が開く音を聞いて、メイド服の少女が建物の奥から現れた。

 

「おかえりなさいティファレトさま!……そちらは?」

 

「ただいま、イシュリア。この子は…………えっと……客よ」

 

「お客様……はい、かしこまりました」

 

 イシュリアはこちらに笑顔を向ける。しかし、歓迎されてるとは言えない様で、少女のことを品定めする様に粘っこい視線で全身を突き刺してくる。

 

「う、うぅ……」

 

「イシュ、怖がらせるな」

 

「……失礼しました、ではご案内しますね」

 

 

 少女がいかにも高級そうなふかふかのソファに腰を下ろして縮こまっていると、イシュリアが紅茶とお茶菓子を机に置いてくれた。「いただきます」と呟いて、ズズズ…と口に含む。その様子を、ティファレトがテーブルに肘をついて見つめていた。

 

「…………」

 

「…………ね、ねぇ」

 

「なに?」

 

「な、なんでじっと見てるん……ですか」

 

「別に」

 

「そ、そもそも何で助けてくれたんですか……?なんで構ってくれるん……ですか……落ちこぼれの私に」

 

「……あんたを助けたかったんじゃなくいじめてる奴らにムカついただけよ」

 

「か、構うのは?」

 

「それは……なんとなくよ!なんとなく!

はぁ……イシュ、肩揉んで」

 

「はい〜」

 

 イシュリアがティファレトの後ろに立ち肩に触れる。

 

「アンタは悔しくないの?」

 

「悔しいというか、すごく悲しい……です。でも、私弱いし、頭も良くないし……」

 

「スコアは見たわよ。座学、身体能力共に中の下、何も秀でてないわね。イシュ、肩よ肩、背中じゃない」

 

「申し訳ございませ〜ん」

 

「が、頑張っても上手くいかなくて……」

 

「私が手伝ってあげてもいいんだけど、というかここに来なさいよ。そしたらいじめられなくなるでしょ?イシュ、胸じゃない、肩」

 

「は〜い」

 

「で、でも迷惑……ですし」

 

「私はセフィラよ?ここじゃそれくらいの事なんかどうでも良くなるくらいの権限があるのよ。イシュ、ちゃんとやれってば、肩!」

 

「は〜い」

 

「あ、ありがとうございます……ティファレト様」

 

「あ〜、あとその様つけるのと敬語は禁止ね。なんか違うし、呼び捨てでいいわよ。んっ……イシュリア……!変なとこ触るな!」

 

「はい〜」

 

「ティ、ティファレトさん……ちゃん?」

 

「あー、それでいいわ。じゃあ、私が話通しとくからすぐに支度を……イシュリアァァアアアア!!!!!お前さっきから何やってんのぉぉおおおおおおお!!!?」

 

「ひぇえええお許しくださいいいいい」

 

 ティファレトがイシュリアに飛びかかり、頬をつねったりお尻を叩いたりしてドタバタし始めた。少女はそれを見て少しだけ笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鉄華団の乗る船に大きな衝撃が走った。

 

「な、なんだぁぁああ!!??」

 

 船体が大きく揺れ、足元がおぼつかない。全員が状況を掴めずにいると、船内に放送が入る。

 

『攻撃されてる!!か、海賊って奴だ!!」

 

 

 

 

 先ほどの揺れの正体、鉄華団の船からおよそ数キロ離れた位置に、水の抵抗をこそぎ落とした流線的なフォルムのMSが息を潜めて魚雷を発射した事によるものであった。

 

「はっはーーー!!!命中だ!!!

 

……お?損傷がほぼゼロ?つまりナノラミネート!!!つまりお宝ァッッッ!!!行くぜ野郎共ッッッ!」

 

 

 

 

 船の操舵室は緊張感に包まれていた。オルガはソナーの画面に目を凝らす。青白い光が彼の顔を照らし、画面には複数の赤い点が映し出されている。その点は急速に近づいており、もう直ぐ相対することになる。

 

「くそ、ミカとバルバトスはいねぇ!フレイヤもおそらく間に合わねぇし、そもそも地上用装備じゃ……!」

 

オルガの声には焦燥感がにじみ出ていた。彼は拳を固く握りしめ、船内に指示を出した。

 

「全員、配置につけ!迎撃準備だ!」

 

 船員たちはすぐさま動き出し、緊急の防御体制を整え始めた。甲板では、冷たい風が吹きすさぶ中、砲手たちが大砲の照準を合わせていた。エンジンルームでは、ヨッドがエンジンを最大出力に引き上げ、船を最速で移動させようと必死になっていた。

 

 オルガはソナーから目を離さず、敵の動きを見守り続けた。心臓が高鳴る中、彼の頭にはさまざまなシナリオが浮かんでいた。次の一手を考えるために、すべての情報を頭の中で素早く整理する。しかし、敵は待ってくれない。船の甲板は激しい衝撃に揺れた。水陸両用MS、ゴガムが放った攻撃が直撃し、砲台が次々と破壊されていく。煙と炎が立ち上がり、船内の混乱は頂点に達していた。操舵室の窓からは、ゴガムが無機質なモノアイでこちらを見つめ、腕に備わった砲塔をこちらに向けているのが見えた。

 

「くっ…!」

 

 オルガは現実から目を背けるように目を瞑った。心臓の鼓動が耳元で鳴り響き、冷や汗が背中を流れた。次の瞬間、水を弾き上げる轟音と共に、海面が割れ、何か巨大なものが飛び出してきた。

 

「何だ!?」

 

 轟音に驚いて目を開けたオルガの視界に捉えたそれはバルバトスのファーヴファンガであった。そしてそれはまるで龍の様にうねると、瞬く間に甲板のゴガムの胴を貫き、一気に海中へと引き摺り込む。ゴガムは水柱を上げながら水面に叩きつけられて沈みゆき、その姿はあっという間に見えなくなった。




ストーリー上(?)仕方ないんですが、最近は敵側のことたくさん描写しすぎですかね?まぁ、原作キャラとオリキャラの動かしやすさの違いとかもあるんですけどね……。
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