さて私は選択肢に悩まされ続ける日々が続きました。しかし、今日を持って克服すると宣言しよう! 神様が与えた制限なんざ俺には関係ないね!
それはそれとしてピンチの連続なのが俺の日常、もう慣れたいけど慣れさせてくれないの。
「ククク……ガキが舐めてると潰すぞ」
な"ん"でだよ"ぉ"ぉ"ぉ"!
俺何もしてないやん!? むしろ何もできないんだぞぅ!
説明しよう、したくないけど説明しよう!
昨日の大猿化で暴れすぎてバーダックさんを困らせただけに留まらず他所様のお家アウチ! まさかぶっ壊してしまうとは思ってなかった。それでお礼参りに来ちゃったんだよなぁ。
サイヤ人ってお硬いのね、これくらい地球じゃ普通なんだから。いや地球でも滅多にない、無いよな、あったかも、やっぱないわ。
〘回れ右して帰りなベイベー! (ターミネーター風)〙
〘ほう、俺の拳が欲しいのか? (世紀末救世主風)〙
選択肢ぃ! てめぇ何好戦的になってんだオラァン! ここはごめんなさいだろう! 壊したのこっちなんだどー! 非があるのは俺っつーか選択肢だろうが!
デデンデンデデン、それとも、テーレッテー、なのか……好みが分かれますね……ちなみに俺はデデンデンデデン派。
「回れ右して帰りなベイベー!」
「んだとこのガキャぁぁぁ!?」
そうだよねそうなるよ! 俺だってこんなアメリカン挑発したくなかったよ! ご丁寧に親指下に向けちゃったよ! 洋画の見過ぎだコンチクショー!
〘フッ甘い、左に避ける〙
〘危ない! 右に避ける〙
わっまともだ! まとも過ぎてどっちも当たりそう、二択二択、早々外さないさ……5割避けるけど5割当たるんか……覚悟の左だ!
「フッ甘い」
「なっ避けたぁ?!」
リアルラック全一! リアルラック全一! 今なら宝くじ当たる! やーいやーいこんな子供にすら避けられるヘボヘボサイヤ人! ざぁこ♥ざぁこ♥弱虫ラディッツ♥
「頭にきたぜぇ! くらえやーっ!」
あわわわわわそんな気弾は反則! 反則でーす! 逃げる! 逃げるんだ! 敵いっこない! へ、ヘルプ・ミー! ヘルプ・ミー!
〘やっと体が温まって来たぜ、攻撃に立ち向かう〙
〘全面降伏し相手の奴隷になる〙
守りましょう人の尊厳! 奴隷になるくらいなら死んだほうがマシじゃーっ! うぉぉぉ死にたくないので下でお願いしますー!
全身の力を込めて土下座したらたまたま背後に気弾が通り過ぎていった、あっぶねー死ぬかと思った。しかし降伏を選んだからにはあのオジサマの奴隷になるのか……ウンクソ。
「おおっと」
「ぬわっ!? 離せこら! 誰が……やっ、バーダックじゃねーか」
「俺の“息子”に何か用か?」
「ひぃっ……何でもねぇよ! じゃあな!」
カッコいいタル〜! バーダックさんやっぱ神っすわ! いよっ! サイヤ人ゴッド! 声に出したらビルス様来そうだな辞めとこ。
それにしてもグッドタイミングですよこいつぁ! バーダック最高! バーダック最高! さぁあなたもバーダック最高と叫びなさい!
〘バーダック最高! サイヤ人の神を讃えよ! 〙
〘サイヤ人はクソっすね、屈託のない意見ってやつッス〙
なにっ! 貴様バーダック先生を愚弄する気かーっ!
いやそのネタ原作知らねーんすよ俺、しかし下を選ぶとか畜生にも劣る外道だが上を選んでも破壊神降臨とかありそうで困る。
うーんうん、よし下。子供の冗談にしてくれ!
「サイヤ人はクソっすね、屈託のない意見ってやつッス」
「はっ! ちげぇねぇ」
セーフ! セフセフ! 何で自分の体なのにこんなにヒヤヒヤしなきゃならんのだ、これも神のせいだ、ぷんぷん!
「よぉターラノメ、俺の願いを聞いちゃくれねーか」
「え? 何ですか?」
「信じられねぇかも知れねぇがフリーザって野郎がこの星をぶっ壊す、サイヤ人を根絶やしにするためにな。その前にカカロットとお前は逃したい、ラディッツは何とかなりそうだから心配ねぇ」
え、唐突……それって今日とか? だったら早く逃げないと、俺たちだけじゃなくてバーダックさんもギネさんもラディッツも皆で逃げようよ!
「お前は賢いからな、カカロットと同い年とは思えねぇが今回はそれが助かる、すまねぇが今から逃げろ、カカロットを連れてポッドで行け」
イヤだ、とは言えなかった。バーダックを見上げる俺には空が見えていた、その空には無数の円盤型宇宙船が見えている。
フリーザ軍も肝っ玉が小さいなぁ、たかが一種族残したって良いじゃないか……
「バーダックしゃん」
「何だ?」
「生きて」
「分かってらぁ」
嘘だ、しかし、俺では止められない。止めても無意味だろう、バーダックさんは未来が見えているはずだ。もうカナッサ星で未来が見える幻の拳を食らって惑星ミートで仲間の亡骸を見ちゃったんだよ。そのスカーフしてるからもうそうなんだよなぁ
サイヤ人がクソなのは多分バーダックさん的にはフリーザが裏切ったことを信じないサイヤ人を指してるんだな、すっかり支配されることに慣れたサイヤ人は気に入らないんだろうな
「じゃあね、バーダックさん」
「達者でな」
俺はカカロットを連れて教えられたポッド発着地へ行き、二人で乗り込んだ、子供なら大人用のポッド一つで足りる。訳が分かっていないカカロットはキャッキャッと俺の尻尾で遊んでいたが、じきに眠ってしまった。それがいい、これからは波乱の人生だ、今ぐらいは安らかに眠るんだ。
目的地は……もちろん地球。教えられた通り操作パネルを叩き発進する
丸窓の外に見えていた家屋が一気に小さくなり、惑星ベジータすら瞬く間に宇宙に光る星々の一つになった。
★□□□★
行ったか……思い返せば、不思議な奴だった。
アイツは体が弱え癖に何にでも突っ込んで行きやがるし、カカロットには鳴き声だけで負けていた。
親が居ねえアイツをギネが可哀想だからと引き取ったのはハッキリ言って馬鹿じゃないのかと思ったが今ではこれほど感謝するとは思わなかった。
時々変な事を口走るが子供なりに真理をついていた言葉だったと今は思える、まるで未来が見えているようだった、オレも未来が見える体になっちまったがどうやっても変えられそうにねぇ……でもアイツのことはどうやら運命すら分からないようだった、だってオレの見た未来にアイツの姿はどこにもなかった、それが死んだからじゃなくて誰にも分からないから見えないと直感している。
ま、なんだ、オレの一族は面白え未来が待っている筈だ、フリーザの野郎を超えるその日を待ってるぜ……カカロット
「ホッホッホ……私に勝てるとお思いで?」
「さぁな、でもやらなきゃならねぇ訳がある!」
その未来通りなのか、はたまた変わるかは今のオレ次第だがな! 行くぞフリーザァァァァ!