部室でカートン剥き始めるバカのお話(仮題) 作:LR44(ゆっくり)
ここはホロライブ学園。多種多様な人間・人外が集まる混沌の坩堝のような学園。
その学園の廊下を歩く一人の女生徒には、狐の耳と尻尾があった。
「私が起きた時にはそう君はいませんでしたし、きっともう部室にいるんでしょうね」
土曜日の静かな廊下を歩くこと少し。部室棟の端にある、『ゲーマーズ』という看板のついた部屋の前で立ち止まった彼女は、少し考える素振りを見せた後で、思い切りその部屋のドアを開け放った。
「こんこんき~つね! そう君、何やってるんですか~?」
ドアを開け放った彼女の目に飛び込んできたのは──
「ブレイドラ3種にリバイバル3種、超契約煌臨の6種……キャンペーン枠はやっぱ3枚ずつ無いな。足りない分は一先ずプロキシ使うとして……うわっ、ブレイドラのシクあるじゃねーか。スリーブスリーブ」
──よく見知った男子生徒が、山積みのカードの仕分けをしている光景だった。
「ん? あ、フブキ。悪いがちょっと手伝って貰えると助かるんだが」
「……何boxですか?」
「1カートン*1」
「買いすぎですよ!?」
フブキと呼ばれた狐の少女の名は白上フブキ。そう君と呼ばれた少年の名は
二人はホロライブ学園のゲーム部、通称『ゲーマーズ』に所属する2年生であり──
「……明日、白上のカードの仕分けも手伝って貰いますからね」
「それは当然、そのつもりさ」
──この学園でも名の知れた幼馴染2人組である。
◇
「っと、よし。買い足す分の注文は終わったし、試し組みしてたデッキのプロキシも大方実物に交換出来たっと」
「流石に1カートン仕分けるのは疲れますね。それにしても、予約するだけで1カートンも買えちゃうのはバトスピが羨ましいです」
「まあ、ポケカと違ってマイナーで、転売ヤーにも目付けられてないカードゲームだからな。こういったマイナーゲームの数少ない利点には簡単に新弾が手に入る事と、シングル買いの値段が概ね適正値なことが挙げられるからな」
「ほんっと、羨ましいです。……デッキ、お安く組めるなら少しやってみるのもいいかもしれませんね。おすすめのデッキとかあります?」
ふむ……フブキに合ってるデッキとなると、やっぱり狐かな? 狐……キツネ……
古いカードしか思いつかんや。最新がネガナインテイル(
まあ、一応考えるだけ考えてみるか。
「そうだな……ナインテイル・ダーク*2と光翼之太刀(rv)*3と契約我が友*4、それと絶甲氷盾(rv)*5と白晶防壁(rv)*6当たりで時間稼ぎして、ネガ・ナインテイル(rv)*7+クラウン・ソーラー(rv)*8のアンブロ2回アタック利用して1→2→2で5点削り切るのを目指すデッキとかはどうだ?
高額カード──あ、あくまでもバトスピ基準な──はネガ・ナインテイルの1500円、クラソの5000円くらいだし、クラソはクラソ
「ナインテイル、九尾の狐ですか! で、強いんですか?」
「いいや、今のバトスピは後3──後攻プレイヤーの3ターン目に決着がつくのも普通ってくらいの高速環境だからな。コントロールデッキは全体的に微妙だ。時間稼ぎ手段が環境トップデッキには悉く踏みつぶされて先にリーサルされる。ただ、カジュアルなら普通に戦えるんじゃないか?」
「ふむふむ。他には?」
他かぁ。狐……キツネ……
九尾フォックス*11……ヤミカゲ*12……キリカゲ*13……ハーキュリーΩ(rv)*14……駄目だ。デッキどころか紙束にすらなりゃしねぇ。
しょうがねぇ。昔散々ボコられたからあんま好きなデッキじゃ無いんだが、コレ出すか。
「じゃあサラスヴァティ―とかどうだ?
創界神の上のコアは基本的に創界神自身の効果にしか使えないんだが、このデッキのカードの効果【音速】は、創界神の上のコアでコストを支払えるんだ。で、【音速】持ちはサラスヴァティ―の
「おお!! 聞く限り相当強そうなデッキじゃ無いですか!」
「現に強かったんだよ。登場した頃──3年くらい前か──その頃は環境でも最上位のデッキだったな。切り札はガーヤトリーフォックスってカードで、召喚時に全部の創界神の上にコアを3個ずつ置けるんだ
まあただ、環境トップの宿命としてメインパーツが相当制限喰らっててな。今はカジュアルでも無きゃ使えないデッキだな。そもそも当時と違って創界神を破壊する手段も増えて来たし」
「そこら辺はカードゲームの宿命って奴でしょうね」
だな。俺みたいに延々と昔のデッキ弄ってるファンデッカーは環境デッキの相手なんて『運よく勝てろ! こっちガン回り、相手手札事故で運よく勝てろ!!』って祈らなきゃやってられんし。
あ、そうだ。後コレも似合いそうだな。
「後は、数契約とかも似合いそうだな」
「数契約?」
「ああ。最新弾のデッキでな。相棒猫フェルマってカードを起点に──」
「狐じゃい!!」
この、打てば響く感じ。マット運動……じゃなくて歳末助け合い運動……じゃなくて兵堂か。兵堂を思い出すな。
「──起点に、スピリットの召喚回数を稼いで、ラプラスデビルとルネ・ベルヌーイで相手の手札のスピリットとマジックを全部6コストにして。で、フェルマ・シーラムの偶数コストカード使用不可アンブロ5点でワンショットするデッキだな」
「うぐぐ……聞く限り凄い楽しそうなデッキじゃ無いですか……」
「実用的にはラプラスデビルとルネ・ベルヌーイを維持するのは厳しいからフェルマ・シーラムの5点アタックを狙うのがよさそうだな。氷盾も白晶も使えないし」
いかにも頭いい理系ですって見た目とフレテキなのに、やってる事は脳筋なんだよな。
カウント10召喚4回って条件も、それ達成する前提でデッキ組めば案外難しくなさそうだし。
色々違うから比べるのもアレだが、
「後は……デッキどころか紙束になるかすら怪しいんだが、【トップガン】【武士道】持ちのカードで組んだガンダムコラボデッキとかもいいかもな」
「【武士道】! もしかして……!?」
「切り札はグラハムエーカー/ミスターブシドーとスサノオだな。グラハムがミスターブシドーに転醒した時の効果でスサノオをタダ出しして、スサノオの効果で追加アタックステップ獲得して。効果で計2点、本体計4点の6点で勝つデッキ……なのか?」
「どうして疑問形なんです?」
「デッキとして成り立つほどカードを出して貰ってないんだよ。次のコラボブースターで映画版のグラハムとブレイブ(指揮官機)でも貰えれば多少はマシになるかもだがな」
前どっかでフラッグだかマスラオだかスサノオだか、あの辺りの機体が好きって聞いた気がするから丁度いいかと思ったんだが、流石にデッキとして成り立つか怪しいデッキを勧めるのはちょっと気が引けるな。
「っと、よし。今からプリンター*15でプロキシ作るから、試しに今まで上げたデッキ回してみるか?」
「いいんですか! あっでも白上、バトスピのルール分かりませんよ?」
「じゃあプロキシ出来上がるまで……え~っと……あったあった。この『バトルスピリッツ サーガブレイヴ』と『バトルスピリッツ 赫命のガレット』『バトルスピリッツ ミラージュ』でも見といてくれ。簡単なルールならこれで分かるから」
取り出したるは限定受注生産のブルーレイ。*16
フブキがコレ見てる間にちゃっちゃとプロキシ作っちゃわないとな。流石に今まで作りまくってるから手慣れたもんだしな。
◇
「グロームランポにシュトゥルムランポを超契約煌臨。効果で回復。再アタック」
「ストライクジークヴルムは効果で回復します……けど、重疲労が疲労になるだけですね、コレ」
「だな。で、シュトルム効果でもっかい回復。コピーしたグローム効果でその2枚デッキ下に戻して2点」
「うぅ……ネガ・ナインテイル、出せすらしませんでしたよ……」
「連パンするランポ気持ち良すぎだろ」
「それ以上はダメです!!」
◇
「ガーヤトリーフォックスでブロックします! BPはこっちが勝ってますよ!」
「あ、プレミだな。相手によってフィールドを離れるのでクロノドラゴンはクロノバースドラグーンに転醒。転醒時効果でサラスヴァティ―破壊。アタック、アタック時効果でライフ2点。デュークモン煌臨、デュークモンクリムゾンモードチェンジ。1点。クリムゾンの効果でトラッシュにスピリットが6枚以上あるので2点で勝ち。……巻き戻すか?」
「お願いします……」
◇
「私のターン。スタートステップ、ドローステップ、メインステップ。相棒猫フェルマを召喚してターンエンドです」
「え?あ、すまん。放浪者ダンのブレイドラ召喚。ドラゴッチ召喚、維持コストはブレイドラから。カウント+1。魂状態のブレイドラにブレイドワークスドラゴン煌臨。カウント+1してフェルマ破壊。赤世界配置。アタックステップにブレイドワークスドラゴンでアタックして、赤世界転醒、カウント+1。ブレイドワークスドラゴンの効果でカウント+1。契約煌臨元のブレイドラの効果でカウント+2してシールドラン召喚。ブレイドワークスドラゴンの
「何もありません……私の負けです……」
◇
「我が六ペンに仇す者は、焼肉定食、全て食すべし!! 天魔王ペンタンゴッド・ゼクスノ型を召喚! 女帝ペンプレスで3コストとなっているため、軽減込みでノーコストだ!!」
「何なんですか!? そのいかにもネタカードみたいな見た目のカードは!!?」
「天魔王ペンタンの【六ペン
「フェルマ・シーラム以上の脳筋!? でも、場には4体しかペンタンはいませんよ?」
「魔法剣士ケープペンタンの効果でワンドロー。で、[ペンタン祭り]ラクェル召喚して効果でペンタン名称持ち全員に1コアブ。ペンプレスで3コストだから2軽減の1コスな。で、ケープペンタンでワンドロー。もっかいラクェル召喚して──」
「ソリティアでも始める気ですか!!?」
「いや、ペンタンってソリティアでもしないと勝てないデッキだし……」
◇
「テノチ・ティトラ召喚召喚時効果で1+トラッシュの7コスト以上のカードの枚数個のコアをリザーブに。因みにこれは強制効果な」
「え~っと、ククルカンの
「で、テノチ・ティトラのアタック時に1コスト支払ってアクシッド召喚。こいつはソウルコアがカウントエリアにある間、「妖蛇」によって相手スピリットが消滅した時ライフを1点削れるんだ。アタック時にコアシュート*17+ターン1の回復も持ってる、このデッキのエースだ」
「……エースとエースを早く出すためのカードの効果が絶妙に噛み合ってないの何なんですか?」
「マジでそこは謎。新弾のカードはまだまともなのがせめてもの救い」
「っていうかそのデッキ、基本的にソウルコアがカウントにある事要求する効果と、ソウルコアを使えない事とのバランスが取れてないですよね」
「それに関してもぐうの音も出ない。マジで3弾のカードだけで組むとデッキとしての体をなしてない。少しでもまともにしようとしたら界渡コンになるし」
◇
「行っけぇ! フェルマ・シーラム!! 5点アタックです!!」
「こんなこともあろうかと。フェイタルダメージコントロール。ライフは1しか減らない」
「トランザム、ライザァァァァァァ!! 自分の手元が5枚以上なのでシンボルは青5つ固定に!!」
「ライフで受けます! 私のライフは7つ。5点貰っても2点残ります!!」
◇
「いやぁ、ちょっと悔しいですけど数契約凄い楽しいデッキですね」
「だろ。伊達に10年以上続いてないってこった」
「ですねぇ。って、もうこんな時間ですか! ちょっと白上は今日のデイリーミッション消化しちゃいますね」
「あいよ。じゃあこっちも次の大会に向けて刃契約の調整始めるか。先週ので導魔が増えるだろうし、一応対策しとかないとな」
幼馴染へのバトスピ布教の数日後、ククルカンの面白裁定でネタデッキを組もうとしていた左右田君。
しかし、突如船長を自称する女子生徒が現れ、何故かバトスピで勝負することとなった。
「相棒鮫シャックにアトラーウミウシを契約煌臨! 更に、ガブル・シャックを契約煌臨、ケーニッヒ・シャックを超契約煌臨! その上に、タイタスエルグランデを煌臨!!」
「柱岩の海上都市をレベル2で配置。そして、[オフショット]ピスティナ・ガレオンを召喚」
次回、『正統派デッキ破棄にループデッキで応戦する主人公にあるまじき奴のお話』
……嘘です。多分続きません。
この、宝鍾マリン(エルグランデ狙いの蒼契約)VS左右田君(ピスティナループ)って対戦カードもふと思いついただけですし。
蒼契約の速度相手にピスティナループ決めれる気がしないんですよね。
ラプラスデビルのリプ欄に『ラプラス・ダークネス』の画像が貼られてるの見て、唐突に思いついたネタです。
正直、『「後は、数契約とかも似合いそうだな」
「数契約?」
「ああ。最新弾のデッキでな。相棒猫フェルマってカードを起点に――」
「狐じゃい!!」』のくだりがやりたかっただけ。
本日発売の契約編第4章『ビヨンドエボリューション』に収録されている【刃契約】【数契約】の2テーマ、非常に楽しそうなのでおススメです。【刃契約】がストジーと同じタイプなら、組むのに5万くらいかかるかもだけど。【数契約】はそれなりに安く組めると思うんですよね。勘ですけど。
<追記>
これ予約投稿しようと思った日に、Twitterでトンチキな裁定見かけましてね。
いや、確かにククルカンの神域は対象プレイヤーが明記されてないけど、だからって『自分の“召喚できる”効果を、自分の“召喚出来ない”効果で防げなくなる』とか思いませんよ。
ククルカン、本文でも言ってる通りかなり弱いんですよ。試しに3弾のカードだけで組んだククルデッキ一人回ししてたら、純コラボ滅龍にボロ負けするくらいには。組もうと思って、実用レベルにできなくて諦めたデッキなので、こんな楽しそうなコンボが見つかったのは嬉しい限りです。
<追記の追記>
ブレイドワークスドラゴンがアタックステップ煌臨なの忘れてたので、後で刃契約後1ルート思いついたら書き直しときます(刃契約と数契約を組むのに2万5000ほどかかりました。ストジー初動より全然安いですね。良かったです。)
<追記の追記の追記>
絶甲(rv)、手札保護あるの忘れてました。
<今回のネタ解説>
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本作の主人公。アナログ大好き人間。カードゲームとTRPGが特に好き。有名どころは大体網羅している。一番やり込んでるのはバトスピとシノビガミ。
バトスピで好きなデッキは滅龍。刃契約とピスティナループもお気に入り。
シノビガミでは滅苦特別教室で昔日(忍道・非常識)を5つ積むのがお気に入りだった。改訂版で使えなくなって未だに不貞腐れてる。