ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~ 作:クラウディ
どうもです。
今回は前回に続き幕間、チナツちゃん回です。
これ、妄想で出来てる絆ストーリー(一度も見たことない)なので、口調や性格に齟齬がありましたら教えてください。
あ、今回も「伝説の超三毛猫」さんから感想をもらっています。
他にも、「シーライト」さん、「I.N」さんの☆8評価嬉しいです。
皆様の応援でこの作品は成長していきます。
ですので、皆様の応援、そしてご愛読お待ちしております。
それでは幕間どうぞ。
「ほげぇ……」
「しっかりしてください先生。まだ十分の一も終わってませんよ」
「ほげぇ……」
「……駄目みたいですね……」
こちら連邦捜査部シャーレの遠山カケル。
このシャーレの真っ白い外壁に似合わず、ブラックじみた労働環境で、今日も今日とて書類仕事である。
今日の担当はチナツちゃん。ユウカちゃん達と一緒にシャーレ付近の不良を鎮圧した際、回復役を担ってくれた子だ。
ユウカちゃんみたいに特化した事務能力を持っているわけではないが、そこは俺よりも優秀な子。俺の何十倍も速く書類を捌いていた。
それに対し、俺の処理速度は見るも無残で……。
「まさか、5枚といかずにダウンしてしまうとは……」
「うぅ……俺にはこういうの向いてないよぉ……助けてチナツちゃぁん……」
「すでに書類の3分の2を請け負っているのですが……」
「……だってぇ……」
「……あと4、5枚終わったら休憩を入れますので」
「ヨシ、いつまでもくたばってるわけにはいかないな。ハイやろうすぐやろう。だから動けこの
「はぁ……」
なんだか憐みのこもった目でチナツちゃんに見られているが、そんなことはどうでもいい。
いち早く休憩に入るために、俺の頭よ、動けぇええええええええ!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――それから30分後。
「お、終わったよ……」
「はい。きっちり10枚ですね。午前の分はここまでにしておきましょう」
「ッシャア! 休みじゃあ!」
「元気が有り余っているようですね。このまま続けましょうか?」
「はいすいません許してください」
「はぁ……」
流れるような土下座にチナツちゃんからため息が漏れる。
大人としての尊厳が消し飛んでいくが、慣れてないというかできない物は仕方ないだろう!
そう心の中で言い訳をしてる間にも、チナツちゃんは体を伸ばしていた。
「んっ……私も、少し体が固まっていたようです。さて、昼食は……」
そう言ってバッグを探っていたチナツちゃんの動きが固まる。どうしたんだろうか……?
「どったのチナツちゃん?」
「……先生、昼食のお弁当を作るのを忘れてきてしまいました……」
「あらら……」
どうやら弁当を忘れてしまったようである。
真面目なチナツちゃんが珍しい……そうは思いつつも、俺自身も弁当を持っていない。というか作っていない。
なんでかについては、俺は基本的に皆から弁当をもらっているからだ。
理由に関しては……まずシャーレ周辺には"コンビニ"しかないのである。
そう、あの"コンビニ"だ。
既に加工及び調理されている食品などが多く、バリエーションも多いことから、料理の手間が省けてラッキー……と、金欠になる前の学生時代の俺は思っていたあの場所である。
しかし、金欠になった瞬間、俺は知ったのだ。
――あれ? コンビニ弁当高くね? 材料買った方が安くね?
そうだ。値段が"高い"のである。
誰もが好きな「とんかつ弁当」を例に挙げてみよう。
滅茶苦茶大きい美味そうなカツを、これまたツヤツヤとして美味そうな白米の上に乗せ、引き立て役として漬物などを入れてある"アレ"だ。満腹中枢を刺激し、弁当1個でお腹いっぱいになる例の"アレ"だ。
そこに、これまたコンビニで買ったドライ味噌汁やペットボトルのお茶を買うとする。
あっという間にご機嫌な食事の完成だ。
しかし、その金額は滅茶苦茶跳ね上がる。
当たり前だ。めっちゃうまくてすでに調理されて、尚且つ自分ではここまで美味くはできないであろう学生や主婦にはうれしい食事をオールウェイズ提供してくれるのだ。
そんなコンビニでそろえた食事の合計金額は……「1000円オーバー」である。
皆はこの重みが分かるか? まだ親に買い与えられている状況ならわからないだろう。というか、そんなことにならないために親が、子供達のお年玉を貯金に回しているのだ。
無邪気な頃には気づかない"親心"というものである。
話を戻そう。
1食分を揃えるだけで1000円を超えるということは、1日の出費は食事だけで3000~4000円になるのである!
これを1か月続けたとするなら、9万~12万ということになってしまう!
最低9万だぞ9万! 9万あったら何ができるんだ!?
ちょっとした旅行に行くこともできる! 気になっていた映画を見に行くこともできる! シリーズものの漫画もほぼ全巻揃えることができる! 家族への仕送りもできる!
更に年単位で見れば100万を突破する! そんなのが食事だけで消し飛んでしまうのだ!
ひっ……じょうに勿体ないのである!!!
決してコンビニを批判しているわけではない。たまにの贅沢としてなら俺自身使ってるし、食事が足りない時にはコンビニダッシュもしている。
だが、やはり高いもんは高いのである!
……という感じに、コンビニ飯は滅茶苦茶高いので、シャーレに就任したとはいえ収入がほとんどない俺は、日々出費というものに苦しんでいたのだ。
それを聞きつけたユウカちゃん達のシャーレ担当生徒が気を利かせて弁当を作ってくれたのが、ここ最近の出来事である。親のありがたみがよくわかる……。
んで、今日の担当であるチナツちゃんもシャーレに来るときは弁当を作っていてくれたのだが……忘れてしまったようである。
これは非常に困った。万年金欠の俺としては、チナツちゃん達の弁当は生命線である。それが今日はないのである。このことにチナツちゃんは責任を感じているようだ。
「……申し訳ありません先生……」
「いやいや大丈夫だよ。しっかし、どうしたもんか……」
頭を下げて謝ってくるチナツちゃんの姿に、顎に手を添えて考える。
今からチナツちゃんの学舎であるゲヘナ学園に行っても結構時間がかかるし、このシャーレには冷蔵庫はあっても中身がないという状況だ。
こんな状況でどうしたもんか……。
…………!
「なぁ、チナツちゃん。チナツちゃんが嫌じゃなかったらコンビニの弁当でいい? お金はこっちから出すしさ」
「! い、いえ! 大丈夫です先生! そんな、先生のお金を使ってしまうなんて――」
――クゥー……
遠慮しているチナツちゃんのお腹から可愛らしく空腹を訴える音が鳴る。
あまりにテンプレ的な出来事に、思わず笑ってしまった。
「!!??」
「あっはは! チナツちゃんのお腹も空いているっていうしさ、行こうか!」
「う、うぅ……分かりました……」
そうして、俺達はコンビニへと向かったのである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「――とまぁこんな感じに、超人の身体能力を活かして、俺は結構なバイト戦士として名をはせていたんだよ」
「ふふっ、先生がバイト戦士ですか。少し似合っていると思います」
2人で談笑しながらシャーレの1階にあるコンビニへと向かう。
キヴォトスの"外"で生活していた時は、よくコンビニにお世話になっていた。
『ブラックライダー』として戦う都合上、特撮ヒーローのように正体を隠すため、元普通の一般人だった俺は特定の職には長居できない。
その為、世界を守る戦士としても、バイト戦士としても俺はずっと戦い続けていたのである。
その時のコンビニ店長にはホントに助けられた……ありがとう、店長……もう名前憶えてないけど……。
そんなことを話しつつ、シャーレ1階のコンビニ――"エンジェル24"へと着いた。
「驚きました……シャーレにこんなところが……」
「まぁ、コンビニとシャーレの出入り口は反対側だからね。今まで見たことなくても仕方ないよ」
「なるほど……」
そんなことを話しつつ、コンビニの中へと入る。
いつもの入店音がスピーカーから鳴り、その途端、店の奥からあわただしい様子の少女が出てきた。
あぁ……いつも夜とかに来てるから来るとは思ってなかったんだなぁ……そう思いつつ、息を切らしながらカウンターに着いた店員の子を見た。
その子はチナツちゃん達と比べれば小さく、アロナと比べれば少し高い身長を持ち、よほど焦って移動したのか肩で息をしていていた。
「あ、あわわ! お客さん! お客さんだ! い、いらっしゃいま――! ……先生?」
「よっす"ソラ"ちゃん。弁当買いに来たよ」
店員としてカウンターの向こう側に出てきたのは金髪の少女――"ソラ"ちゃん。
このシャーレ1階にあるコンビニ"エンジェル24"の若き店員だ。
ちなみに"エンジェル24"は俺の管轄内にあるらしい(本人が話していた。その時ボソッと「あれ? この人がここのオーナーだから……怒らせちゃったら、私クビ……!?」と呟いていたがそんなことはしないと言った。めっちゃ疑惑的な目で見てきた)
そんな彼女は、俺の姿を見てポカーンとしている。
んー……いつもは夜中に来てるから驚かせちゃったのか……?
「せ、先生がいつもの時間じゃない時に来てる……いつもの時間じゃない……いつもじゃないってことは普通じゃない……普通じゃないこと……ま、まさか!? ク、ククククク"クビ"ですか!?」
「いやしないって。"ク"を言いすぎて悪役みたいになってるよ。ってか、ソラちゃんのおかげもあって、俺は首の皮一枚つながってるからさ。クビにしたらますます俺がやばくなるじゃん」
「よ、よかったぁ……てっきり『お前はいつもどんくさい! だからクビにすることにした!』って言ってくるのかと……」
「いやいやいや! 俺どんな人間だと思われてるの!?」
「えっと……いつも部屋に女の子を連れ込んでる悪い大人……?」
「そこは隠そうよ!? 俺そんな風に思われてたの!?」
「ひいぃ! ごめんなさぁい!」
滅茶苦茶クズみたいな大人って認識されてたの俺!?
確かに女の子を(仕事のために)連れ込んでいるってのはあながち否定できないんですけど! でもそこまで曲解されてるのは心外だなぁ!?
ってか、ソラちゃん口滑らせすぎでしょ! 受け入れてくれたのがここでよかったねと思っちゃったよ!
そんな俺達がこんなやり取りをしていると、背後からかみ殺したような笑い声がかすかに聞こえる。
バッと振り向くと、そこには顔を背けているチナツちゃんがいた。
「…………なんでもないですよ先生。早くお弁当を買いましょう」
「う、うん……。そうだね……」
こっちを向いたチナツちゃんはいつもの表情に戻っていたが、笑いの余韻なのか、口角が少し上がっていた。
……めっちゃ恥ずかしい。普段は微笑む程度はするけど、ここまであからさまに笑ってるチナツちゃんは初めてだから余計に恥ずかしい。
ソラちゃんへ恨めしい視線を送っても、「ぴ、ぴぃっ!」っとおびえるだけだった。
「先生はどうされます?」
「んー……ちょっと味が濃いのは控えたい感じかな? なんか皆のお弁当のおかげで割と感覚が戻ってきたし、今日は唐揚げ弁当と大盛りサラダにしようかな」
「感覚が戻ってきたとはどういうことですか……?」
「ん? んー、ここに来る前は"ブラックライダー"として戦ってたって言ったでしょ? その時にすぐ戦いに出れるよう、薬局で買った栄養ゼリーとかで全部済ませてたんだよ。それと夜通し戦い続けるとかもたまにあってさ。割りとここに来る前は味覚がバグってたのよ。美味いものを感じ取れなくなったり、全部まずく感じたり」
「……本当に大丈夫ですか先生? 食事だけで身体の異常が治っているのならいいですが、もし異常を感じていないだけで体に不調があったら……」
そう心配そうな声色で、チナツちゃんが見上げてくる。
その瞳にあるのはこちらを案じる純粋な感情だった。
……心配させちゃったな……。これじゃ先生って言えないじゃん……。
「その時はさ、チナツちゃんに頼むよ。俺、結構信頼してるからさ」
「! ……分かりました。どんな症状も治してあげます」
「ありがとうね」
「ですが、そもそも病は患わせないことが第一です。いくら治せるとしても、痛い思いをするのは先生も嫌でしょう?」
「あはは……そうだね……。気をつけるよ」
そうして互いに食べたい弁当をとり、カウンターへと持っていくのであった。
ちなみに、カウンターに着いた直後のソラちゃんは顔を真っ赤にしていて機能停止していたので、精算までには時間がかかるのであった。
Tip!
ちなみに、ソラちゃんもカケルが「ブラックライダー」なのを知ってるぞ!
SNSで知った情報だけしかない状態でカケルとファーストコンタクトした時は相当ビビってたらしい!
今はある程度心を許しているが、いつクビにされるか怯えているのは変わりないぞ!
また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております。
応援に関しては、「お気に入り登録する」「作品への高評価」「感想を書く」「ここ好きたくさん押してみる」「作者に直接メッセージを送ってみる」などがありますので、皆様の好きな方法で応援してください。
それでは皆様また次回~