ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~ 作:クラウディ
そういえば、アビドスの皆って実家ってあるのかな?
初期のアニメPVではシロコちゃんが家みたいなところから学校に向かってたけど……。
とりあえず、皆学校に寝泊まりしてる設定にしました。
間違ってたら教えてください。
今回は「名もなきA・弐」さんと、「リクハ」さんから感想をもらっています。
それと、「味のしないトマトケチャップ」さんから☆9評価をもらってます。
皆さんの応援のおかげでこの作品は続いていきますので、皆さんの応援お待ちしております。
それでは本編どうぞ。
あの後、毎日シャーレから通うのは時間がかかるということを話したところ、皆から学校の空き教室を使ってもいいと言われたので、その日はそこで寝泊まりすることにした。
そんな感じに皆の厚意により実質タダで寝床を用意してもらったので、ブラックに積んでた物資を学校の倉庫へ移したり、校舎内の清掃・整備などをさせてもらうことで恩を返そうと思ったのである。
んで、今やろうとしているのは……
「さぁ、気張っていくぞブラック!」
『…………』
「『なんで俺まで……』って? しょうがねぇだろ、お前がいなかったらまた遭難するし」
『…………』
「『アホ』っていうなアホって。これ前にもやったぞ?」
ブラックと俺で夜間の巡回である。
理由に関しては、今回戦ったカタカタヘルメット団の件が気がかりだったからだ。
流石に、やつらがすぐに戦力を立て直す……ってことは難しいだろうけど、シロコちゃん達が「しつこい」と言うほどあきらめが悪かった連中だ。
万が一って可能性もあるからブラックのソナーで周囲を警戒し、もし相手が不穏な動きをしているなら先手を打っていこうと思ったのである。
というわけで、改造人間特有の便利ボディで睡眠がほぼいらない俺と、そもそも機械だから休む必要はあんまりないブラックで行動を開始しようとしたのだ。
「準備ヨシ! ソナーヨシ! サイレントモードヨシ! そんじゃあ出発――」
「んー? 何やってるの先生―?」
「ん? おろ? どったの"ホシノ"ちゃん?」
そんな時に背後から声をかけてきたのは、このアビドスの生徒で一番上のホシノちゃんだった。
先ほど、皆が就寝したのを確認した中でただ一人見かけなかったんだが……まさか、まだ起きていたとは……。
しかも、日中と変わらず制服姿。どこかへ行くつもりなのか?
「うへー、先生は今からどこに行くのかなー? もしかして夜逃げー?」
「いやそんなことしないよ。ただ単純に見回りしようかなってのを考えてたんだけど……」
「ふーん……ブラックさんも連れていくのー?」
「いや、俺ここの土地勘ないし、ブラックなしで行けば、多分、明日にはゾンビみたいな姿で発見されちゃうよ?」
「えー……バイクに乗ってるのに方向音痴なの~?」
「いやいやいや。ここが広すぎるだけだって」
こんな時間に起きていることを不思議に思いながらも、ホシノちゃんのからかうような質問に答えていく。
……だけど、流石にこんな時間に起きてるのはおかしいな。ちょっと聞いてみるか。
「ところでホシノちゃんはなんでこの時間に起きているんだ? みんな寝てるけど?」
「うへぇ、質問に質問で返しちゃうの先生? まぁ、先生が夜逃げなんてする人じゃないのはわかってるけどさ」
「まぁ、ね。俺、勘はいいけど頭は馬鹿だからさ。こう、なんか面倒なことであってもやり始めたら曲げられないのよ」
「うへへ、そうだね~。その方が先生の雰囲気に合ってるよ~。それで、なんでこの時間に起きてるのかだったね~」
そういってホシノちゃんは理由を話し始めた。
「おじさんね、皆が寝ている間に相手が来ないように警戒してるんだ。今から先生がやろうとしてるみたいに」
「! なるほど……。みんなが知らない間に敵が来なかったのはホシノちゃんのおかげか……」
「うへへ、皆はいつも頑張ってくれてるからね。こういうところで頑張らないと、おじさんはただのお昼寝してるダメな先輩だからさ」
そういって自嘲気味に笑うホシノちゃん。
なるほど……ここにきてホシノちゃんの戦い方を見ていた時、結構仲間との連携ってより自分一人が大立ち回りをして、そこでできた隙をみんなが叩くってのが多かった。
要するに、この夜間で一人戦っているっていう感覚がそのままチームプレイに落とし込まれているみたいだ。
――前線に一人で立ち、仲間を下げさせて自分一人で負担を背負い込む。
でも、感覚のすり合わせは大変だろうに……そこは先輩としての経験、ってやつか?
……どっちにしろ、危ないことには変わらない。
そこまで推測して、俺はホシノちゃんに提案をした。
「なぁホシノちゃん。この後、一人で見回りに行こうとしたんじゃないかな?」
「流石先生~。よくわかってるね~。それで、おじさんは休んでろって言いたいの~?」
「ん~……言いたいところだけさ、ホシノちゃんって一人で背負い込む感じの子だと思ってるから、俺が言っても多分勝手に行くんだろうけど。そこで、いっそのこと道案内もかねてホシノちゃんも来てくれないかな?」
「お~、それはいい提案だ~。乗った~」
ホシノちゃんに単独行動はさせないようにしつつ、かつ俺も巡回できる手段――「一緒に行動する」という提案を、ホシノちゃんはあっさりと受けれてくれる。
――「背負い込む子に禁止するのはダメ。だけど背中を押して一人にさせるのもダメ。なら隣にいてあげるのがいい」
……って、"アイツ"が言ってたからな……。そんなに俺は手のかかる子だったってことか? まぁ、かかってたんだろうな……。
「そんじゃ、後ろに乗ってくれホシノちゃん。はい、これヘルメット」
「わかったよ~。お~、このヘルメットジャストフィットだね~。そして、落ちないように……ギューッと~。んふふ~美少女に抱き着かれてうれしいじゃろ~?」
「……ノーコメでお願いします」
「つれないな~」
そうして、俺たちは夜の街へと駆り出したのである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夜の街を疾走するブラックと、それに跨る俺とホシノちゃん。
ブラックから送られてくる情報では、周辺に相手の反応はない。
そんなもんだから、今の俺達は夜間のツーリングを楽しんでいるだけであった。
俺は周辺に気を配り、スリップしないよう慎重にハンドルを握る。
まぁ、ブラックがスリップするようなことはないだろうし、そもそもブラックに運転任せればいいしってのは言わないお約束だ。
そして、ホシノちゃんはブラックから振り落とされないように俺の体へと抱き着いている。
「ん~気持ちいいね~。このシートも、もうちょっと柔らかければな~。それこそふわふわクッションみたいに~」
「そこはブラックに言ってくれ。俺が変えられるわけじゃないし。そこんところどうなんだブラック?」
『…………』
「『変えられはするが意味がないからするつもりはない』、だってさ」
確かに、正直ホシノちゃんを乗せるなんて思ってなかったし、そもそもブラック自身が効率を優先する性格だ。
そんなブラックとしてはふわふわなクッションなんて面倒極まりない代物だろう。
そんなブラックの答えを聞いたホシノちゃんは、いかにも不満ですといった口調で言った。
「え~。そこは女の子に気を利かせて変えるとかさ~。チラッ? ほら、これでもおじさん女の子だし~? チラッ? 女の子の頼みを聞いてくれると嬉しいな~って」
『…………』
「『めんどくさい』って」
「むむむ~。おじさん式悩殺術が聞かないとは……この子、やりおる……」
……ブラックとホシノちゃんの間で、ちょっとした子芝居が行われる。
そんな、心が和むようなやり取りがあった。
――ブラックが爆弾を放り込まなければ……の話だが。
『…………』
「ん? なになに……? 『お前の方こそ、こっちへの警戒心を解いた方がいいんじゃないのか?』だって? って、どういうこと……」
「…………うへぇ、流石にばれちゃうか」
ブラックの言葉を聞いた途端、背中に感じるホシノちゃんの雰囲気が重くなる。
そう言って、ホシノちゃんは幾分か低い声色でブラックに問いかけた。
「いつから気付いていたのブラックさん?」
『…………』
「! へぇ……ヘルメットを着けさせたのはそのためだったんだ……。それで、いつからなの?」
『…………』
「うへへ、そんな時にはもう気づいてたんだ」
「ん? 今話したかブラック? ってか、ホシノちゃん痛い痛い。俺の体が上半身と下半身で分かれちゃうから」
ホシノちゃんの抱きしめる力が強くなり、若干苦しくなり始めながらも状況を整理する。
おそらく、先ほど渡したヘルメット内部にスピーカーを仕込んでおり、それを使って俺には聞こえないようにしているのだろう。
そう納得している間にも話は続いていく。
『…………』
「……うん、そうだよ。私は大人が苦手……むしろ、あの子達以外のほぼ全てが嫌い、って思ってるよ」
『…………』
「その情報通の誰かに関しては触れないよ。でも、自分の相棒をアンポンタン呼ばわりはひどいんじゃないかな?」
『…………』
「……うらやましいね。そんな関係が持てるなんて。おじさんには真似できないよ」
『…………』
「うん。最初に出会った時はシャーレ所属のお偉いさん、ってだけ思ってたよ。今は、先生なのにすっごい馬鹿な人……かな?」
『…………』
「おうコラブラック。『違いない』じゃねぇよ。そこはつなげてくるんじゃねぇってば」
失礼だなこのバイク。メンテナンスしてやらねぇぞ。
そんなことを思いながらも、ホシノちゃんの雰囲気がだんだんと穏やかなものへと変わっていくことに安心感を覚えた。
「あはは……変なこと聞いてごめんねブラックさん。今はもう大丈夫だよ」
『…………』
「うん……信じるよ。もし本当に困ったときは助けを呼ぶから。ごめんね先生。ちょっと力入れちゃって」
「大丈夫だよ。それで、話しは終わった?」
「うん、先生はいい人だってわかったと思うよ。これからは頼らせてもらうね?」
「そんじゃ、期待に応えなきゃな!」
……何が何だかわからなかったが、ヨシ!(現場猫)
途中で体が真っ二つになるかもしれなかったが、丸く収まったのでヨシとする!
そのまま俺達は夜間の巡回を続けるのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(…………信じても、いいんだよね)
――"小鳥遊ホシノ"は極度の"人間不信"である。
それは彼女の今までの人生で構築された価値観であるため、早々には変わらない。
そんなことを彼女は友人達に一切覚らせることはしないようにと、どこか抜けている先輩としてふるまってきていた。
このことは、カケルの前であっても変えることはないだろうと、彼女は思っていたのである。
『お前、いつまでこっちを警戒している?』
――ブラックに指摘されるまでは……
金属でできた存在にしては、そこらのオートマタ以上に感情というものを備えているこのバイクに、ホシノの隠していた警戒心が少しだけ発露した。
ブラックの言葉は端的で、ともすれば的外れな発言にもなりそうだったが、今のホシノには鋭く突き刺さった。
ホシノはほかのアビドス対策委員会のメンバーが来る前からこのアビドスにいた。
その時から散々見てきたであろう"大人"という存在の悪意。根付いてしまった不信感は拭いきれるものではなかった。
――『困ってる人がいたら助けたいじゃん。まぁ、俺の出来ることなんて微妙なもんだろうけどさ』
――この
ぶつけてくるのは純粋な善意。纏う雰囲気はただの人間でありながら、その精神はまさしく救世主の器。
そんな"大人"の存在に、ホシノの心は揺れ動いたのである。
だが、心のどこかで信じきれない感情はあった。
その脆くなっていたところをブラックに指摘されたのである。
弾劾されるのかと思えば、ただ自身の情報を整理し、そしてカケルの
(……先生も馬鹿だよね。こんな終わりかけのところに手を差し伸べるなんてさ)
――小鳥遊ホシノは悲観的である。
それは頼れる存在がいないからである。
昔はいても、今はいない。それが今のホシノを造った原因だ。
なら、頼れる存在がいたならば――
「……先生。お願い」
「任せろ。……って、ん? 何をお願いされたんだ? 空耳か?」
「うへへ~、先生しっかりしてよ~。明日からも顧問として行動するんだし~」
「あ、そうだった! あ、あのぉホシノさん? さすがに書類仕事はないよね……?」
(お願い、先生。私達を――)
――それはまた、後の話になるだろう。
Tip!
ホシノの警戒心がある程度なくなったぞ!
今回は完全オリジナル回なので、割りと無理やり感がする気がしないでもない。
でも、これ入れてないとホシノちゃんの好感度がなぁ……書いてる途中はそんな感じでした。
また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております。
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それでは皆様また次回~