ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~ 作:クラウディ
最近めっちゃ忙しいです。
具体的には日中はほとんど書けないくらいです(今回の話も、昨日書いてたやつを今日の六時くらいから加筆したものなのです)。
今後、1日2日くらい更新がない時があるかもしれませんがそこのところはご容赦ください。
それでは本編どうぞ。
衝撃の展開の連続により、セリカは混乱していた。
いきなり誘拐され、絶望的な状況に立たされたかと思えば、自身が拒絶していた人物が助けに来る。
特に最後が一番の予想外な出来事だ。
そんなセリカの様子を知ってか知らずか、少し気まずそうに装甲の上から頬をかくカケルは、自身の体を割り込ませられる程度にこじ開けていた扉を思いっきり開け放った。
固定していた金具が引きちぎられ、勢いのまま飛んでいく扉の轟音で、セリカはようやく意識が追い付いた。
「せ、先生!? どうしてここが……!?」
「ほら、大将のラーメン屋でも言ったろ? 『ブラックのハイパーセンサーのおかげ』だって」
――『ブラックのハイパーセンサーのおかげでお見通しでした』
「あ、あれ冗談じゃなかったの!?」
カケルの言葉にハッとしたセリカは思わず大声を出してしまう。
流石に、ブラックがなんでもできるというのは前から知っていたとはいえここまで多機能だと、あれはもはや何のために造られたのか分からなくなってきたからだ。
「ま、あの時にはただセリカちゃんがどこに行くか心配だっただけで、まさかこうなるとは思ってなかったよ。これぞまさに転ばぬ先の杖ってな」
「……で、でも、何でこうまでして助けに来てくれたの……私、先生に酷いこと言っちゃって……」
「ん? あぁ、それくらいなら気にしてないよ。あんな状況の中でも皆が快く受け入れてくれたってのが珍しくて、セリカちゃんくらいの反応が普通だから。そんな気を落とさなくても良いよ」
「ご、ごめんなさ……」
「謝らなくても良い。君は頑張ってきたんだ」
「あっ……」
そう言いながらカケルは俯いているセリカの頭を優しく撫でる。
そこには悪意なんてものはなく、セリカを案じる気持ちが込められていた。
思わず瞳が潤んでしまい堪えきれずにセリカは泣きだす。
「う、うわぁああああああん!! 怖かったよぉおおおおおおお!!」
「よしよし。今は泣いても良いんだよ」
大粒の涙を流しながらカケルの胸元に顔を埋めるセリカ。
大人に裏切られた少女との少し離れていた距離が縮まった瞬間であった。
だが、まだ作戦は終わってない。
少し遠くから車両のエンジン音が聞こえてくる。
「……っと、相手はまだ残ってるんだった。セリカちゃん、ちょっとここを離れないといけないからちょっと背負うね」
「う、うん……」
そう言ってセリカを背負ったカケルは、トラックの荷台からすぐさま飛び出す。
荷台の外はセリカが誘拐された真夜中の時間帯とはうって変わり、太陽が頂天に位置する昼間の砂漠。
周りは廃線となった線路が砂にまみれた大地が広がっており、その上に黒煙を立ち上らせる複数の車が横転していた。
そんな大地には、深々と抉られた爆心地とでも言うべきクレーターができており、これを作るほどの衝撃が車達を横転させたのだろうということが察せられる。
「えっと……あれって……」
「流石に一台一台攻撃してると時間なかったから、セリカちゃんの乗ってるやつと大体のやつを壊さないレベルで吹っ飛ばして時間を稼いだ」
「き、規格外ね……」
要は、めんどくさかったからとりあえず全部の動きを止めるためにミサイル以上の蹴りを放ったということである。
相変わらず規格外の人間であった。
そんなことを思っていると、後方から無事だった車両が猛スピードで追い付こうとしてきた。
――あいつらっ、諦めが悪い!
そうセリカが思う前に、カケルはさらに加速する。
「流石に流れ弾来たらヤバイからアクセルブースターは無しで行く! しっかり捕まってろよセリカちゃん!」
「わ、分かった――!?」
まるで自身が弾丸にでもなったかのような速度で、世界が後ろに流れていくのを目にしたセリカは返事なんてしていられないと必死に抱きつく。
「せ、せんせっ、速すぎっ……!!」
「ん? これでも結構手加減してるんだが……まぁ、急がないといけないから我慢してくれ」
「ちょ――!?」
――ドウッ!!
慣性の法則など考えていないような速度で追跡車両を振り切り、大地を駆けていくカケルと、どこかで聞いた"ジェットコースター"に乗っている気分のセリカ。
先程見直したと思ったのは間違いだったのか……そんなことなど届いているのかいないのか分からないが、カケルは少し速度を落としてセリカに語りかける。
「実はさ、この奪還作戦は俺以外にも皆来てるんだよ。アヤネちゃんにシロコちゃん、ノノミちゃんにホシノちゃんもさ、皆セリカちゃんを心配してるんだよ。皆に愛されてるねセリカちゃん」
「……そう、なんだ……勝手に離れたせいで裏切っちゃったから、皆助けになんて来ないと思ってた……」
セリカは素直になれない性格から、少しキツい言葉を使ってしまうことが多い。
それでも優しく接してくれるアビドスの皆に、迷惑をかけてしまったという申し訳ない気持ちがあったのだ。
だから、先程捕らえられていた時には、思わず助けにきてくれないのではないかと思ったのである。
「ははっ、皆あれだけ仲が良いんだ。そう簡単に裏切ったなんて思わないだろうさ。実際、皆即決で助けにきたからね。それと、どれだけキツい言葉使っちゃっても、キツい態度をとっちゃっても、謝って許し合えればまた仲良くできるんだよ。特に、セリカちゃんは"ツンデレ"ってやつだからね!」
「ツ!? と、取り消して! 私はツンデレなんかじゃないんだから!」
「ハッハッハ! そういうところがツンデレっていうんだよ!」
そんな軽口を叩き合いながらも、カケルの速度は緩まらず、追跡車両との間を大きく広げていく。
そして、カケルが向かう先には4人の人影――"アヤネ"と"シロコ"、"ノノミ"、"ホシノ"の姿が見えてくるのであった。
『あっ! 先生を確認しました! セリカちゃんも一緒です!』
『ん、こっちでも確認できた』
『おー、流石は先生ー。囚われのお姫様を助けるなんて朝飯前だね~』
『わぁ! セリカちゃんはお姫様だったんですね! 可愛いです!』
「ちょっ!? わ、わわわ私がお姫様!? そそそそんなわけないじゃない!!??」
「あっははは! 『仲良きことは美しきかな』ってね!」
スピーカーから響く声で戦場とは思えぬ空気となる。
まるでピクニックをしていた家族が、迷子になった子供をやっと見つけたかのような空気であった。
「うぅ……! やっぱり皆キライ! 死んじゃえ!」
「あはは……流石にからかいすぎちゃいましたね……」
あまりの羞恥にカケルの背中で猫のように威嚇するセリカ。
しかし、ある程度吐き出したと思えば、彼女は本音を吐露したのである。
「で、でも……ありがと……助けにきてくれて……」
「! 当たり前です! 私たちは皆で一つですから!」
「ん、それが私達。セリカが逃げようとしても先生が回り込んで私達が捕まえる」
「ずっと一緒ですからね! セリカちゃん!」
皆が集まって絆を確かめ合うアビドスメンバー。
その光景を前にしたカケルとホシノの保護者組は、心を和まされながらも意識を切り替えた。
「うへー、良い感じの空気だけど、お相手さんたくさん来てるねー」
「そ、そうね! あれだけの人数、流石に今まで通りって訳には……!」
ノノミ達にもみくちゃにされていたセリカの言う通り、相手の数はまさしくヘルメット団の主力だ。
今まで相手をしていた数とは桁が違う。
それを前にしながらも、カケルは余裕を崩さなかった。
そんなカケルの態度に確信を持ちながらホシノは声をかける。
「どうするの先生? ここは先生に任せたいところだけど」
「流石に俺もあの数はめんどくさいかなぁ……なにせ、相手の主力が全部集まってるからね。それに、さっき割りと強めの"スピードブレイカー"使っちゃったからちょっと溜めがほしいところだけど……」
「でも、"めんどくさいだけ"なんでしょ?」
「流石はホシノちゃん。というわけで……"スペース"!」
『はいはい私の出番ですね待ってましたとも! というわけで賊徒達よ! "
ホシノの含みを持たせた言葉に応えるように、カケルは"スペース"と呼んだ誰かに号令を出し……その誰かは応えた。
――キュイイイイイイイッ! バウォンッ!!
ノイズ交じりの声で発せられた言葉と共に、独特な音を響かせながら周囲一帯へ強力な"電磁波"が大空より降り注ぐ。
もはや視覚化できるほどの威力で放たれた電磁波はカケル達へと突撃していた車両を包み込み、それら全ての動きを停止させる。
遠目で見えるのは、突然動きを止めた車両に困惑するヘルメット団の姿であった。
「い、今のは……?」
「俺の仲間の"スペース"が起こしたEMP……ってやつらしい。詳しいところはあとで本人……本体? に聞いてくれ。とりあえず、これで良い感じかな皆?」
今日何度目か分からない驚愕に唖然とするセリカへ大雑把に答えたカケルは、銃を構えるホシノ達へと問いかける。
「ん、セリカも取り返したし、相手も車から降りてきた」
「これで、ずいぶんと戦いやすくなりましたね!」
「うへー、やっぱりあれは倒さなきゃかぁ~」
「んじゃ……!」
全員が準備万端といった様子を確認したカケルの言葉を継ぎ、アヤネが宣言する。
「戦闘開始です!」
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「あ゛ー……長かったぁ……」
「うへぇ……疲れたぁ……」
「お、お疲れ様です先生、ホシノ先輩」
あの後、なんとか相手側を全滅させることに成功した俺達は、前身にとてつもない疲労を抱えながら学校へと帰っていた。時間はもう夜である。
誘拐されたセリカちゃんは無事に確保でき、実行犯であった相手側の主力も壊滅させられた。
流石に戦車を持ちだしてくるとは思わなかったが、そこは俺の頼れる仲間の"スペース"がEMP(後で聞いたら電磁波を飛ばして機械をおかしくさせる凄いやつらしい)を放って無力化。車両から出てきた相手を叩くことでかなーり楽に終わった。
――私の出番―!
……なんか聞こえたが無視だ無視。
んで、この後帰るのがべらぼうに大変だったのである。
"スペース"はそもそも人員運搬には向いてないので、仕事が終わった"スペース"には早々に帰ってもらい、俺達はその足で帰ることになったのだが……。
「……ん、あんなに徒歩で移動したのは初めて……」
「つ、疲れましたぁ……」
「さ、流石に今回は今までで一番きつかったかも……」
そう、30km先にあった前哨基地よりもさらに砂漠側にあった相手の本拠地に向かい、そこから学校へと帰ってきたのだから、溜まった疲労のせいで全員足取りが重かったのである。
特に俺とホシノちゃんは動き回る役割だったため、疲労が溜まりに溜まっており、もはや机と一体化してるのかってレベルで突っ伏していた。
腹も減ってるし……今日はもう動きたくねぇ……ラーメン食いてぇ……。
そんな俺達レベルではないが、シロコちゃん達も疲労を訴えている。
歩いた&休憩をはさんだとはいえ、フルマラソンよりも長い距離を移動したのだ。いくら俺達が普通の人間より身体能力が高いとはいえ、今回の遠征はかなり無茶をしたものだった。
それに……
「セリカちゃん、体は大丈夫か?」
「う、うん……。まだいろいろなところが痛いけど、致命的なのはなさそう」
「それならいいんだけど……俺が運んでる時も結構寝てたし、キツイ時はキツイって言っていいんだぞ~」
相手から対空砲を食らって気絶した後に誘拐され、それからの寝起きでの戦闘を行うというかなりハードなことをしてきたセリカちゃんはとくに精神的な疲労が大きかったようで、帰っているときに倒れてしまい、俺が背負って運ぶときもあった。
「セリカちゃん、ぐっすりでしたもんね」
「うへへ~、セリカちゃんのおねむ顔はレアものだったな~」
「うぅ……見ないでぇ……」
アヤネちゃんとホシノちゃんに指摘されたように、その時のセリカちゃんは気絶するかのように眠っていた。
その時の表情は……隠さず言ってしまえば、まさしく"天使"であった。クッソ可愛かったです(小並感)
「皆さんお疲れのところすみません。少し共有しておきたい情報がありまして……」
「ほいほい、なんだいアヤネちゃん?」
そんなことでみんな椅子と融合しかねない状態で休息をとっていた時、アヤネちゃんが何やら重要そうな話を切り出してきた。
そんな彼女はパソコンの画面をこちら側にも見えるようにして話しだす。
「戦闘時に回収したヘルメット団が使用していた戦車の部品を回収したところ、キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種と判明しました。あとは詳しく調べなければなりませんが……これだけでも普通とは言い難い状況が分かります」
「……相手さんに協力者がいるのは明らかっぽいな。それもキヴォトスではもう流通してない代物をそこらのチンピラに流せる奴となると……うっわ、めんどくさいことこの上ないな……」
……一番黒幕の可能性がデカいのは以前話していた「悪徳金融業者」……違法機種を流せるってことは確実に"黒"側の人間……んで、ただのチンピラに戦車やら対空砲を流せるとなると……割と真面目に"アサルト"でぶっ潰すか?
「そのようです……ですが、ここで止まっていては私達は前に進めません。私はこの後も解析を続けますが……」
「ん、頼んだアヤネ。私達は……」
「あぁ、全員休憩をとっていいよ。俺はちょっとエナドリと栄養剤ぶち込んでいろいろとしなきゃかな。というわけで解散!」
そんな感じに俺は全員へと指示を出してその場は解散ということになった。
Tip!
"スペース"『私の出番少しだけでした! 断固として抗議します! もっと私の出番を!』
ゲーム部編まで待て!
というわけで、ダイジェストでセリカの救出回でした。
書いてるとき変なテンションだったので、なんかおかしかったかもしれません。
マジですいません……!
次回とかはもっといい感じにしますので!
また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております。
応援に関しては、「お気に入り登録する」「作品への高評価」「感想を書く」「ここ好きたくさん押してみる」「作者に直接メッセージを送ってみる」などがありますので、皆様の好きな方法で応援してください。
それでは皆様また次回~