ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~   作:クラウディ

26 / 57



はいどうもです皆さん。
2.5周年前なのに石が全部消し飛んだクラウディです()

今回はですねぇ……



滅茶苦茶光栄なことに、感想も良く書いてくださる「伝説の超三毛猫」さんの「HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜」という作品(URL→ https://syosetu.org/novel/311789/ )とのコラボが実現しました!
ありがてぇ!!!!!(カイジ)

というわけで前置きは省いておいたので、早速本編にどうぞ!





コラボ番外編! 間島スバルと遠山カケル!

それは本来の歴史の流れとはまた違う、"IF(もしも)"の運命が動き始めて間もない頃の話である。

 

「…………」

「…………」

 

「「(……なんだこの子/人?)」」

 

キヴォトス内のとある学区で出会っ(てしまっ)た二人の初邂逅、その時の互いの脳内はこのような感じだった。

 

片や「理外の化け物」「ゲヘナ学園のやつよりゲヘナしている」「通う学園を間違えている生徒No.1」「トリニティの魔王」「一人だけ別の世界で生きている存在」「七囚人の幻の八人目」と(悪)名高い2つ名で呼ばれるトリニティ総合学園1年生であり、このキヴォトスを観測できるほどの世界からの転生者である「間島スバル」。

 

片や今の今まで機能すらしていなかった連邦生徒会直属の特例部――『シャーレ』の担当顧問であり、いまだ謎の多い人物である「遠山カケル」。

 

そんな普通なら相容れな……いや、時間がたてばいずれ相見えることは確実になるであろう、少々"個性(クセ)"の強い二人が出会った瞬間がこれである。

 

ちなみに、なぜ2人がここにいるのかに関して、スバルの方は単純に自分の描いたエロ本を販売しに来ただけであり、カケルの方は単純にテロを起こすという予告をした不良の鎮圧依頼のために来ただけである。

 

 

――つまり偶然だ。

 

 

偶然にしては出来過ぎているが……まぁ、運命というのは相応にして気まぐれというものだ。

きっと、空のどこかで運命の女神は笑っていることだろう。

……微笑むというよりかは腹を抱えて笑っているだろうというのが現状だが……。

 

まぁ、それはさておき、2人の間で流れた沈黙は、スバルから声をかけたことで動き出した。

 

「アンタは……シャーレの先生か?」

「……え? あ、あぁ、そうだけど……その制服からして、君ってもしかしてトリニティ総合学園ってところの生徒さん? こんなところで何してるの?」

「俺は自分の描いた本を売ってるだけっすよ? お近づきの印に一冊どうですかね?」

 

そう言って、スバルは店頭で販売していた本(もちろんエロ本)を差し出す。

スバルとしてはカケルの姿について、以前に見ていたシャーレ始動の記事でわかっていたが、カケルという男の纏う気配が、自身の思う"先生"という人物像には少し離れているような気がしたため、そこに探りを入れる……ということと、単純にカケルという男がどのような人物か気になったからだ。

だが、カケルは自身の財布の中身を確認すると、渋い顔をして申し訳なさそうに断った。

 

「あー……うーん………ごめん、せっかくの厚意だけどまた今度にさせてもらおうかなぁ。今の"俺"はちょっと懐が寂しくて……バイトで稼げたらまたいつか買いに来るよ!」

「(俺……? 原作の先生って一人称は『私』だったよな……?)……まぁ、またの機会にってことで。それにしても、シャーレの先生ともあろう人が護衛もつけずに大丈夫っすかね?」

 

差し出していた本を店頭の元の位置に戻しながら、スバルは気になったことを問いかける。

確かに、まだほぼ無名とはいえ、連邦生徒会直属の部活……それも連邦生徒会長自ら指名した人物となると、その重要性は計り知れない。

もし、誘拐されて身代金でも要求される……なんて事態になっては元も子もないのだ。

そうスバルも考えたからこそ、大丈夫なのかと尋ねたのである。

 

だが、その考えはカケルのある言葉で否定された。

 

「まぁ、そこらへん気になるよね。ここの人達ってなんか、俺が知ってる人達よりも体が強いからさ。ま、襲われたとしても俺には"ブラック"がいるから大丈夫だよ」

「"ブラック"……? それは一体――ッ!」

 

聞きなれない単語が出たことで、聞き返そうとしたスバルであったが……それは突如発生した爆発によって遮られてしまう。

 

「くっ……!(爆発!? 引っ掛からなかったってことは時限式か!? どこの誰がこんなことをっ! って、マッズ!? 俺は無事でも先生が――!?)」

 

その爆風はスバルとカケルの立っていた店舗にまで届き、2人は巻き込まれた。

爆風を受け流すことはできたものの、体を宙に投げ出されるスバル。

 

自身の無事を確認した後、スバルの視線の先には同じように爆風に巻き込まれたカケルがいた。

 

キヴォトスの人間と違って、シャーレの外から来たカケルは無事ではない……だからこそ、この突然の事態に焦りを覚えたスバルであったが……

 

 

『OK! Axel booster ON!』

「(!?)」

 

 

――どこからか聞こえてきた勇ましい機械音に思考を断ち切られ困惑する。

 

爆風により巻き起こった煙の中を、スバルの鍛え上げられた視力でも追いつけないほどの速さで"ナニカ"が疾走する。

赤い残光を走らせながら、その"ナニカ"はカケルの下へと接近していく。

煙を突き破って姿を現したそれを認識した途端、今日何度目か分からない困惑をスバルは覚えた。

 

「(バイ、ク……?)」

 

機械は機械でも、人型オートマタどころかドローンですらない真っ黒な"バイク"の登場、これは明らかに異質だ。

「ミレニアムのエンジニア部辺りが作ったのか?」と、脳裏によぎったスバルであったが、こんな高速移動のシステムは流石のエンジニア部でも構築は出来ていないと考える。

 

「(っ、そんなこと考えてる場合じゃねぇ! 先生を助けねぇと!)」

 

考えながらも加速した動きの中で、カケルに手を伸ばすスバル。

あのバイクが何なのかは分からない。

だが、少なくとも敵意と言えるものは自身の超感覚――『擬・見聞色の覇気』には引っかかっていない。

 

「(なら一体あれは……)」

『OK! Revolution TIME!』

「(なっ……!)」

 

爆風で吹き飛ばされながらも、自身の手掛けたエロ本を可能な限り回収し、バイクの様子を観察し続けていると、さらに変化が起きた。

 

ただでさえ奇妙なバイクが、今度はパーツごとに分解し、空中に投げ出されているカケルの体へと纏わりついていく。

サスペンション部分の装甲が腕に覆い被さり、フロントホイールが左腕の甲にスライドする。

タンクやシートを内包する車体は胴体部を覆い、後輪のサスペンションは脚部を覆って、リアホイールは背中へと移動し、まるでジェットエンジンの噴射口ように展開し、エネルギーを回し始める。

そして、ヘッドはカケルの顔と重なり、ヘッドライトは全てを見通す"目"となった。

 

そして空中で身をひるがえし、重い金属が落ちるような音を立てながら、カケル……否、"黒鉄の戦士"はその場に姿を現した。

 

 

これこそ、"原作(スバルの知る世界)"とは明確な差をもたらす存在――

 

 

『BLACK RIDER!!』

「シッ――!」

「うおっと!?」

 

 

――"ブラックライダー"であった。

 

ブラックライダーへと姿を変えたカケルは爆風を振り切るほどの速度で移動し、呆然としていたスバルを右腕で掴み、小脇に抱える。

そして、爆風に向き直ると左腕に取り付けられたフロントホイールを盾のように構え叫ぶ。

 

「ブラック! シールド!」

『OK! Wheel shield ON!』

「(な、なんじゃそりゃ!?)」

 

カケルの言葉に遅れることなく応えたブラックの宣言と共に、フロントホイール――"ホイールシールド"が展開し、エネルギーの障壁を作り出した。

障壁が展開されたことを確認したカケルは、深く腰を落とし対ショック体勢を整える。

 

『Time out!』

 

そして、ブラックの宣言と共に、加速した世界が崩れた。

瞬間、爆風と共に吹き飛ばされてきた瓦礫が障壁へと衝突し、轟音を立てていく。

だが、障壁は欠片とて揺らぐことはなく、すべてを防ぎ切った。

 

爆風が落ち着いたことで沈黙が訪れ、カケルもホイールシールドを解除した。

 

「だぁっ! いきなり爆発するとかやっぱここ世紀末だろ!」

「(は、はははっ、マジか……こいつぁ、思っていた以上に……)」

 

先程までただの大人の男、と思っていたスバルはこの一瞬の出来事に乾いた笑いが出る。

 

――想定した人物よりはるかに雰囲気の違う世界の中心人物であろう"先生"。

――まるで自分だけ世界から外れたかのように高速移動する"バイク"。

――果てにはその2つが合わさり、特撮じみた"ヒーロー"となる姿。

 

そんな不確定情報の濁流の中にあってもなお、スバルの口元には笑みが現れていた。

 

「(あぁ、思っていた以上に"ブルーアーカイブ(この世界)"は退屈させてくれないなぁ!)」

 

自身の口癖である「どんな男がタイプだ」、その元となったあの男が言っていたような感情――

 

――退屈が裏返る瞬間!

 

「おい先生! アンタの名前はなんだ!?」

「え、いきなりどったの? 遠山カケルだけど……」

「遠山カケル……いい名前だな! そんなアンタに聞きたいことがある! どんな女がタイプだ!?」

「めっちゃ生き生きしてるし……えっと、好きなタイプか……俺の隣で歩いてくれる人、かな?」

「普通だと言いたいが、アンタのその言葉には深みがあるな! 気に入った! 力を貸すぜ!」

「お、おう……ありがとう……?」

 

若干引き気味のカケルの隣に立ち、拳を構えるスバル。

カケル自身もやたらテンションの高くなったスバルを不思議に思いながらも、今考えるべきではないと思考を振り払い、同じように拳を構えた。

 

土煙の向こう側から大勢が走ってくるのを感じ取り、2人は同時に走り出す。

 

「ヒャッハー! お前ら抵抗するんじゃねぇぞ! この場はアタイら、ゴロゴロヘルメット――」

「オラァ!!」

「ぶげらぁっ!?」

「なにぃっ!? おいお前! 人が名乗りをあげてる時に攻撃するなってお母さんに言われ――」

「『擬・DETROIT SMASH』!!」

「ぐほぁっ!?」

 

声高々に名乗りを上げようとしたリーダー格と思しき人物と、そんな彼女を吹っ飛ばされて怒りをあらわにしようとしたヘルメットを付けた少女を、カケルとスバルに殴り飛ばされてしまった。

そして相手集団のど真ん中に着地した二人は背中合わせに立ち、互いに周囲を警戒しながら口を開く。

 

「俺の名前言ったけど、君の名前聞いてなかったな! 君の名前は!?」

「その尋ね方じゃどこぞの夏映画みたいになっちまうぜ先生! 俺はスバル、間島スバルだ!」

「スバルか、よろしく頼むな! そんじゃいっちょ――決めますか!」

『OK! Full charge!!!』

「応!」

 

「スピィイイイイイイイイイイド! ブレイカァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

「『擬・『竜爪拳』"竜の息吹"』!!!」

 

 

 

 

 

これは、とある"IF(もしも)"の話だ。

 

 

 

 

 

「あ、あのさ、スバルちゃん……先生ってさ、こんな私でも、愛してくれるかな……?」

「あん? あー、んー、それは分からねぇよ。俺じゃあ、あの人の"呪い"じみた恋愛観を変えることはできなかった。まぁ、一つ言えることは、あの人を全力で振り向かせろ。それが"純愛"ってやつだ」

「……う、うへへぇ……ちょ、ちょっとおじさんにはハードル高いけど、頑張るよ。えっと、その……ありがとね。スバルちゃん」

「ん、ホシノ先輩もライバルになった。負けない」

 

 

 

本来なら存在しえなかった不確定要素。

 

 

 

「おい先生。ちょっと面貸せよ。チビ達が構えってうるさくてな。……なんだその顔」

「いや、ネルって結構ツンツンしてたから、こう、お姉ちゃんみたいな感じになってるの微笑ましいなって」

「はぁ? あたしはあんなデカい妹を持ったことねぇっての」

「ネルだったら結構いいお母さんになりそうだけどな。へへっ……」

「……バカなこと言ってんじゃねぇよ……この朴念仁……ん?」

「ツンツンヤンキー娘が年上にだけデレる……ありきたりだがテンプレを踏襲するのは創作者として当然……」

「おいゴラァ!! 待ちやがれスバルゥ!!」

 

 

 

それが2つも存在してしまった世界線。

 

 

 

「なぜだ!? "楽園"は我が手にあるというのに!?」

「てめぇには過ぎた力だよ。そもそも"願い"なんて、それぞれ違うんだ。特に、"それ"に込められた"願い"はてめぇじゃ御しきれねぇんだよ」

「その通りだな先生。そもそも、俺達にはお前如きの"願い"じゃ超えられないものがある!」

 

「なんだそれはぁ!?」

 

「守りたいものを守り、愛する者を愛する。いたって普通で、だけど大切な――」

「人並みの欲望を持ち、明日への希望に満ちた一歩を進み続けたい――」

 

 

「「そんな願いだぁああああああああああああああ!!!!!!」」

 

 

 

だけどそれでも、いつもと変わらず、何気ない"奇跡(青春)"を追い求める――

 

 

 

「行ってこい、先生」

「あぁ、超特急で終わらせてくるからさ」

 

 

 

そんな"ブルーアーカイブ(青春の思い出)"である。

 

 

 

 

 

~~~~~

~~~~

~~~

~~

 

おまけ

 

~~

~~~

~~~~

~~~~~

 

 

 

 

 

「由々しき事態だわ……」

「どうしたユウカ? こんなところに俺達を呼んで。体重でも増えたのか? 安心しろって、先生はそんなユウカでも頼りにしてくれるし、性的な目で――」

「違うわよ!? いたって完璧なラインを維持してるわよ!?」

 

ここは連邦生徒会会議室。

そこでは様々な少女たちが集められていた。

 

「うへー、おじさん達、結構場違いじゃないかなー?」

「ん、事情を説明されてないから、何で集められたのか分からない」

「……早瀬ユウカ、特別な用が無いなら帰ってもいい?」

「そうですよユウカさん! なぜ私だけでなく、ヒナ委員長も呼んだのですか!? 早急に説明を求めます!」

「アリス知ってます! これは冒険者の酒場ですね! ヒナさんも一緒なんて嬉しいです!」

「うぅ……か、帰りたい……」

「うふふ♡ この後のことがとっても楽しみになりそうなメンバーですね♡」

「ホシノ先輩と超姉妹(シスター)、ヒナちゃんに横乳の始祖様「アコです!」……アコ。それにアリスとユズ、ハナコ先輩じゃないか? おいおい、一体どういう人選だ?」

 

スバルの疑問も尤もである。

それぞれの学園から二人ずつ選ばれたかのようなメンバーにほぼ共通点は見当たらない。

だからこそ疑問符が浮かぶ。なぜこのようなメンバーを集めたのか……。

 

「それについてなんだけど……」

「それは私、七神リンからご説明いたします」

「……主席行政官」

「リンさん!? あなたがなぜこのような催しに!?」

 

会議室の扉を開けて入室してきたのは、この間復帰を果たした七神リン主席行政官である。

彼女は以前起きた「アトラ・ハシースの箱舟事件」の際、率先して協力してくれた人物だ。

そんな彼女は会議室にセットされているプロジェクターからとある映像を壁に映す。

 

それは、このキヴォトスで知らない人はいないであろう人物――シャーレの先生こと「遠山カケル」であった。

 

「今回の議題はカケル先生に関してです」

「そういうこと。今度、先生の誕生日らしいからそれでどんなサプライズをするか、って話が出たのよ」

「「「「「「!!」」」」」」

「あらあら♡」

「へぇ……」

 

カケルに関してと言われた瞬間、既に事情を知っていたユウカ、面白いことが起こりそうだと考えているハナコとスバル以外の全員が目を見開いた。

その反応を見て満足げなリンは映像を変えて、話を進める。

 

「皆様のことはスバルさんより聞いております。なんでも、先生に好意を寄せているのだとか」

「な、なななななななな何を言ってるんですか!!?? わ、わわわわわわわ私があの人を好きぃ!!?? あり得ません!! そんなことっ!! どんな世界であってもあり得ません!!」

「……アコ、うるさい」

「う、うへへへ……そ、そんなことないんだけどなぁ……で、でも好きかって言われるとそうだねぇ……」

「私は先生のことが好き。これは譲れない」

「はい! アリスは先生のことが大好きです! ユズも同じですよね!?」

「あ、あわわわわわわわわ……!」

「はい♡ (わたくし)ハナコは先生のことをお慕いしております♡」

「ん? 俺は好意ってよりかは友情だろ? なんで俺は呼ばれたんだ?」

「あなたが一番先生のこと知ってるからよ。要するに重要参考人ってわけ」

 

続いて投下された爆弾発言に、まさしく爆発的に動揺が広がっていく。

 

どこぞの「あーもう滅茶苦茶だよ!」というセリフが似合いそうな場であるこの会議室にて、カケルへのサプライズ企画が動き出した!

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「……で、話を戻すけど、先生が喜んでくれそうなものって、スバルは何かわかる?」

「喜んでくれそうなもの……あの人がか?」

 

スバルにまず話を振ってきたのは、主催者側に回っているユウカだ。

ユウカは、シャーレの最初期メンバーであり、カケルの苦手な事務作業の補佐に回っていたシャーレの立役者。

彼女がいなければ、カケルは書類の海に沈んでいただろう。

 

「……無難に行くなら"料理"だな。先生はどこまで行っても貧乏な感覚から抜け切れてねぇから、美味い料理を腹いっぱい食わせてやるってのは普通に考えれば良いことだろう」

「そうね、でも……」

「あぁ、これじゃ普通過ぎる。というか、先生はフウカ先輩やミモリ先輩の手料理を毎日食ってるようなもんだからな。普通の料理じゃ満足しない……ってことはないけどありきたりすぎてダメだ」

「そうなのよねぇ……」

「キヴォトス中を探してもフウカさんやミモリさんの料理を超える料理は早々ありませんからね……」

 

第一の案である"料理"は、ありきたりすぎて棄却。

 

「あ、そうです! リゾートを貸し切ってそこに先生を放り込めば……」

「アコ、それはダメ。先生はこっちに来てリゾートは何度も行ってるどころか、アビドスのメンバーと一緒にリゾートを再建したりしてた。今更リゾートは飽きが来てるはず」

「くぅ……! 委員長に言われては駄目ですね……」

「そういえば、トリニティのツルギさんやヒフミさん達とバカンスにも行っていましたね。なら海に行くというのも駄目ですね……」

 

第二の案である"リゾート貸し切り"も何度か経験があるため特別感がないという理由で棄却。

 

「アリスは先生と一緒に、皆さんとゲームがしたいです! シャーレに皆集まって……」

「た、たぶん、全部の学校からいろんな人が来るからシャーレじゃ無理かも……」

「あぅ……た、確かにユズの言う通りですね……」

 

第三の案も棄却。

 

「それでは、皆を集めてくんずほぐれつ――」

「絶対ダメ! もし成功しても先生が首を吊りそうになるから!」

「駄目なのかユウカ!?」

「駄目に決まってるでしょう!?」

「ん、残念……」

「シロコちゃーん? 流石に駄目だよー?」

 

第四の案は倫理的にアウトを通り越していたため棄却(3名ほど残念がっていた)。

 

あれでもない、こうでもないと、様々な案を出し合うが、結局は平行線を辿っていく。

そしてついに、ネタが切れてしまった。

 

「はぁー……誕生日のサプライズを考えるだけでまさかここまで難しいとはな……」

「まさかここまでとは思いませんでした……先生は何をしても喜んでくれるためどれを選んだとしても……」

「喜んではくれるけど、それだけで終わりそう……」

 

全員がため息をついて頭を抱えてしまう。

堅物というわけではないが、かといってフランクすぎるわけでもない。

だが、反応が薄いという何とも言えないカケルの姿を思い浮かべて、またも全員はため息をついた。

 

そんな時、アリスがふと言葉を発した。

 

「……アリスは先生に何度も助けられました……皆が笑っていられる場所を作ってくれて、アリスは魔王じゃないと言ってくれて……」

「アリス……」

 

ぽつぽつと語りだしたアリスの姿に、全員の視線が集まる。

 

「どんな贈り物を送ったとして、それで先生が喜んでくれたとしても、アリスは満足できません! 先生は、アリスに生きててもいいと言ってくれました! だから今度は、アリスが先生に「生きていて良かった」と言わせたいです! 皆と一緒に!」

 

アリスの力強い宣言が会議室に響き渡ったそんな時――

 

 

 

『その通りですよアリスさん! そのとーり!』

 

 

 

――どこからか声が聞こえた。

 

「こ、この声は……!」

『はーいどうも! 皆さんのお悩みを流星のごとく解決! "スペース"ちゃん登場!!』

「スペースさん! アリス達を助けに来てくれたのですか!?」

『ええ! そうですよアリスさん! ……まぁ、訳あってボイスだけでの助言になりますがね……仕事忙しい……』

「唐突に出てきたなスペース。様子でも見てたのか?」

『当ったり前じゃないですかスバルさん! 私、結構こういうの好きなんですよね~!』

 

この声の主はカケルの仲間である"スペース"。

無口な"ブラック"と、無邪気な"アサルト"と違い、ハイテンションでおしゃべりな"ブラックライダーズ"の一人だ。

 

『それで、マスターへのサプライズに関してですね。まぁ、ありきたりでもいいので普通にお祝いしてあげましょ。それが一番マスターへの効きが強いです』

「……その心は?」

 

スバルの問いかけに、待ってましたと言わんばかりの溜めを作って、"スペース"は話しだした。

 

『マスターはですね、普通が一番好きなんですよ』

 

『普通に起きて、普通にご飯を食べて、普通に仕事をして、普通に遊んで、普通にお風呂に入り、普通に寝る』

 

『なんてことないように聞こえますが、マスターはその"普通"が何よりも好きです』

 

『だって、マスターは今まで"普通"とは言い難い人生を送ってきたのですから』

 

『普通に生きていたのに、兄様を纏って戦えなんて言われ』

 

『数年もの間、"普通"とは言い難い人生を送ってきました』

 

『悪夢に魘されたことだってあります』

 

『不安感に駆られたこともあります』

 

『でも、ここに来てから、魘されることも、不安感におびえることもありません』

 

『偏に、皆様がいてくれたおかげです』

 

『"いつも変わらない皆様がいてくれた"おかげなんです』

 

『だからこそ――』

 

 

 

『――"普通"に祝ってあげましょう。それが一番の幸福なのですから』

 

 

 

『ま、記憶に残るような催しをしたいって気持ちも分かります。ですがご安心を。マスターは皆様との思い出を毎日思い返してはにやけています。正直怖いくらいです』

 

『まっ! こんな感じなので皆様のサプライズ楽しみに待ってますわね~!』

 

そこまで言って、声が途切れる音がした。

しばらく会議室を沈黙が包み込む。

やがて、シロコが口を開いたことで全員も口を開き始めた。

 

「……ん、確かに。先生は普通なのが好き」

「うへへ、そう言われちゃったらやるしかないね~」

「……"普通"に祝おう。それが良い」

「はぁー、本当にめんどくさい人なんですからあの人は……」

「スペースさん! アリス頑張ります!」

「うぅ、怖いけど頑張る……」

「うふふ♡ それでは決まりましたね♡」

「はぁ、結局スペースに全部持っていかれた……」

 

「それでは、カケル先生へのサプライズは"普通"に行いましょう。いいですかね?」

 

そのリンの言葉に、全員の賛成の言葉が重なる。

 

 

それから数日後、カケルの誕生日会は"普通"に開かれた。

 

 

それはもう、いたって"普通"に。

 

 

「よかったな。先生」

「っ……あぁ! 本当に、"最高"の誕生日だ!」







Tip!

カケルの誕生日会の光景は「3rd PV」の様子を想像してもらえると助かるぞ!



……はい! 私の方でのコラボ回はこのような様子になりました!
何か筆のノリが全盛期レベルによかった気がする……!

また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております!
応援に関しては、「お気に入り登録する」「作品への高評価」「感想を書く」「ここ好きたくさん押してみる」「作者に直接メッセージを送ってみる」などがありますので、皆様の好きな方法で応援してください!

あ! 今回のコラボ相手である「伝説の超三毛猫」さんへの応援も忘れずにお願いします!

それでは皆様また次回~
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。