ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~ 作:クラウディ
続きました。
俺の名前は気ままなバイク乗りの「遠山カケル」。
目が覚めたらなんだかよく分からんうちにキヴォトスなる学園都市にて、これまた相当な面倒事に巻き込まれてしまった。
なんでも「連邦生徒会長」なるこの学園都市のトップが行方不明になってしまったらしい。
そんなことがあったもんだから、このキヴォトスは大混乱。
矯正局なる反省室みたいなところから脱走する不良もいれば、登校中の生徒を襲う輩もおり、戦車やヘリなんかが2000%以上違法流通するなど、ちょっとどころじゃない騒ぎが起こっていたのである。
そんな世紀末一歩手前な状況で、どうしたもんかとリンちゃん達が頭を抱えていた時に、白羽の矢が立ったのがこの俺なのだそうな。
正直、「こんなところにいられるか! 俺は帰らせてもらう!」と言いたくなったが、なんだかんだ言って俺みたいなやつに頼むくらいだから、それ相応にやばいんだろう。
だからこそ、逃げちゃだめだと思ったのである。
そんなこんなで……
「まぁ、状況の半分は飲み込めていないとはいえ、とりあえずはそのシャーレを取り返さなきゃな」
「そうですね先生。ところで、今はどちらに向かっているのでしょうか?」
「あー、ここの駐車場に俺の愛車が止めてあるんだよ。それがあればたぶん、奪還だけなら何とかなるわけなのよ。えーっと……」
「"
「ありがとう、よろしくスズミちゃん」
シャーレに向かうために、俺達はエレベーターを利用して駐車場へと急いでいた。
リンちゃん曰く、シャーレはここから30㎞先の外郭地区にあるとのこと。
白い髪の子……スズミちゃんや、ユウカちゃん達みたいなキヴォトスの生徒達は、キヴォトスの外にいる人達と比べて身体能力が高く、生半可な銃弾じゃ、ちょっと痛いで済むレベルには肉体が強靭らしいとのこと。
しかし、俺と一緒に行くとなると流石に30㎞先は時間がかかってしまうらしく、そこはこの中の誰かが担いでいくようにするつもりだったのだが……そこは俺から辞退させてもらった。
だって……年下の女の子に担がれてるいい歳した大人とか、恥ずかしいじゃん……。
まぁ、それはさておき、リンちゃんの方でも気を利かせて送迎の車両を用意してくれるとのことだったが、うちの『愛車』を放っておくと後で拗ねそうなので、遠慮させてもらったのである。
という感じで初めて会ったこの子達と情報交換をしつつ、シャーレに向けて出発しようとしているのだ。
「えー、黒髪ロングの君は"
「ところで先生。先生の愛車とは何なのでしょうか?」
「ん? やっぱり気になる?」
「はい。先程、先生は「それがあれば奪還だけなら何とかなる」と仰っていましたので」
俺の愛車について聞いてきた子は、ナイスボインなハスミちゃん。
そんな彼女は持っているライフル(彼女曰く、『インペイルメント』って銃)を点検していた。
……なんか、自分より年下の女の子が普通に銃の点検してると感覚バグりそうだな……。
おっと、それはさておき、愛車について話さないと。
「俺の愛車は……まぁ、あれだ。『自分で考えて自分で動ける系のスーパーマシン』だ。ちょっととある事情で、拾ってからはいつも一緒なんだ」
「……とある事情には触れませんが……つまり、「オートマタ」ということですか?」
「んー、多分そんな感じ。っと、着いたみたいだ」
チナツちゃんの疑問に曖昧に答えながら、駐車場のある階層に着いたエレベーターから降りる。
感覚的にはここらに止めてるはずなんだがな……そう思っていると、近くからけたたましいエンジン音をかき鳴らしながら一台の"無人バイク"がこちらに向かってくる。
そのバイクは俺の目の前でターンを決めると、スタンドを立てて止まった。
そんな様子を見ていたユウカちゃん達はかなり驚いたような目でこちらを見ている。
「…………」
「ほ、本当に勝手に動いた……」
「この形状からして、SSバイクですか?」
「ま、多分そう。俺専門家じゃないからさ。とりあえず、俺におあつらえ向きな『速すぎる』ってのだけは分かってるよ」
すぐさまバイクに乗り込み、首に提げてあったゴーグルを装着して用意を整えながら、少しこいつのことを思い返す。
実際、こいつは速い……なんてもんじゃない。
ある時に、こいつの全力を試したことがあったんだが……その時に体験したことはちょっと思い出したくねぇな……。
そう思っていると、こいつがヘッドランプをチカチカと点滅させてきた。
こいつがこういうことをする時は何かを話そうとしている時だ。
なんて言ってるんだ……?
「……えーっと、なになに? 『あと一人乗れるが、誰か乗せないのか?』だって? いや相棒、乗せてもいいけど女の子と相乗りは……」
「!」
「な……!」
「え!? バイクと話せるんですか!?」
「え? あ、そういや自分で動けるとは言ってたけど話せるとは言ってなかったな……まぁ、これに関しては後で説明するよ。とりあえず急ごう」
「わ、分かりました……。あとで必ず説明してくださいね!」
「オッケー。さぁ、行くぞ!」
そう言いながら、俺はアクセルを回して走り出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「な、なにこれ!? なんで私達が不良と戦わなきゃいけないの!!」
「まったくもって同意だユウカちゃん!」
なんとか外郭地区には入り、シャーレも目視できるような距離にまでは近づいた。
……のだが、
「ヒャッハー! 連邦生徒会がどうしたぁ!」
「ヒャッハー! LMGってサイコー!」
「汚物は消毒だ―!」
不良どもが迫撃砲を撃ってきたり、銃を乱射しているせいで近づくこともできやしない。
ってか、マジで治安悪いなここ! ナチュラルボーン犯罪者多すぎだろ!
今俺たちは建物の陰に隠れて隙を窺っているのだが……あんだけやたらめったらに撃たれるとろくに近づけない!
こっちに来る途中、リンちゃん達が別動隊を率いて合流するとは言っていたのだが……正直、合流する前にシャーレが爆破されかねない。
「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから……」
「それは聞いたけど……! 私の専門はデスクワークなんですけど!」
俺達の様子を見かねたチナツちゃんに真面目に返されたユウカちゃんは「うがー!」っと女の子にあるまじき怒り方をした。
あぁ……さっきまでの俺と逆だな……デスクワーク専門のユウカちゃんと、肉体労働専門の俺。きっと仲良くなれるはずだ。
「先生。このような状況ですが、大丈夫ですか?」
「問題はないさスズミちゃん。正直面倒ではあるし、これ解決した後に来るであろうことを想像すると逃げ出したくなるけどね……」
「先生……」
スズミちゃんには心配され、ハスミちゃんには憐みのこもった目で見られる……悲しいなぁ……。
おのれ連邦生徒会長―! っと、ここにいないし、絶賛行方不明の相手に怒りをぶつけても仕方はない。
今は俺にできることをするべきだ。
「なぁ"ブラック"。相手の数と場所とかわかるか?」
「…………」
「あ、またランプが点滅してる」
この中では一番互いを分かっているであろう愛車"ブラック"に聞いてみる。
なんでバイクのブラックに聞いてるのかって?
ふっふっふ……説明しよう! このブラックは、割と何でもできる夢のスーパーマシンなのだ!
(一応)主人である俺よりも何でもできるみたいだぞ! 泣けてくるね!
「えっと、なになに……。『数はおおよそ30人以上』。隠れている場所は……ほうほう、なるほど。ザックリとこんな感じか」
「……想定していた以上に多いですね……」
「我々だけで対処できるのでしょうか? やはり、首席行政官と合流した方が……」
こっちは俺とブラック含めて6人。そのうち俺はほぼほぼ使いもんにならない。辛うじて肉壁程度にはなるだろうけど、正直くたばる可能性が高い。
一番被害を少なくしてクリーンに勝てる方法は、リンちゃん達と合流することだが……さっきも言った通り、シャーレがやばくなる可能性が大だ。
あらかじめ弾薬とかの準備はしてたし、割と万全なんだが……いかんせん数的不利が大きすぎる。
だったらどうするべきか……
……まぁ、あれ使うしかないな。よし。
「なぁ皆聞いてくれ。この状況をひっくり返せる奥の手が一個あるんだ」
「! それは何なんですか先生?」
「よくぞ聞いてくれたユウカちゃん! その奥の手とは!」
「奥の手とは!」
ユウカちゃんが割といい感じにノリに乗ってくれるおかげで言いやすくなった。
実際、この方が被害を抑えられるし、めちゃくちゃ単純で簡単な作戦だからだ。
割と危ないことでもあるんだけどね……。とりあえず、俺は皆に宣言した。
「俺も出る!」
「却下です先生」
「ご自分の立場を考えてください先生」
「流石に冗談ですよね?」
「やっぱ取り消してください先生」
「はれぇ?」
なんか全員に却下されてしまった……解せぬ……。
まぁ確かに、俺って皆から見てみればただの人間だもんね。
銃で撃たれれば死ぬし、多分皆に殴られても普通に死ぬ。そんな普通の人間。
だけど、俺は"ちょっと普通じゃない"んだよなぁ……。
チラッとブラックに目をやると、仕方ないとでも言うかのようにエンジンが低くうなった。
そのやり取りを見ていた皆に向き直って、話を続ける。
「大丈夫。いざとなったらブラックが守ってくれるって」
「それでもですよ先生。私達はあなたを守らなくてはいけない。それを分かってください」
「ハスミさんに同意します。先生、あなたは――」
「だったら、これならどう?」
そう言って俺は、ブラックのハンドルに手をかけて、思いっきり押し込んだ。
その途端、腕が車体にのみ込まれていき、引き抜いた時には腕に黒い装甲がまとわりついていた。
「「「!?」」」
「ブラックはこういうこともできるんだよ。俺はこいつと一緒になんだってやってきたんだ。多分、今日も行けるはずだよ」
出来るだけ皆を納得させるようにやってみたんだが、ちょっと予想外だったかな?
ちょっと照れたようにしていると、ハスミちゃんが話しだした。
「……分かりました。作戦を練り直しましょう」
「ちょっとハスミ!? 大丈夫なの!?」
「私達は先生の事情をよく分かっていません。連邦生徒会長によって指名され、キヴォトスの外から来た大人の人という情報しか持っていません。ですが、ここまでの行動であまり動揺はなかったように見られます」
「! 確かに……。でも……」
「大丈夫だってユウカちゃん。俺、割と強いからさ。それと……じっとしてるのは性に合ってないのよ」
「……はぁー……分かりました。危ない時は下がってくださいね!」
ハスミちゃんとユウカちゃんは納得してくれたようだ。
チナツちゃんとスズミちゃんを見ると彼女たちも小さくうなずいていた。
全員の了承を得た。ならあとは――
――最速で終わらせるだけだ。
「先生、覚悟はいいですか?」
「オッケー! 超特急で終わらせよう!」
作戦開始だ。
Tip!
ブラックは高性能すぎるバイクだ。
カケルとは人生の相棒とも言っていいレベルで長い時間を共に過ごした。
このキヴォトスでもそれは変わらないだろう。
※後書き※
どうも作者のクラウディです。
今回は完全に息抜き的に書き始めた作品ですが、割と筆が乗っていて驚いています。
いまだ感想は0件ですが、もし感想もらえると私は飛んで喜び、この作品の続きを書く気力にもつながります。
なので、皆さんの感想お待ちしております。
それではまた次回~