ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~   作:クラウディ

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シャオラァ!!
割と短期間での更新じゃい!

というわけで前回までが滅茶苦茶ギャグ回だったので、今回は少しシリアス回です()

今回は、「探究の大図書館第9柱」さんと「カンジロウ」さんから感想を、「逃げるレッド五号 4式」さんから☆9評価をもらっています!

ありがとうございます!!!!

それでは本編どうぞ!





息抜き!トリニティへお邪魔します!

「――ってことがあったんだよ……」

『くっくっくっくっく……ぷっ、あっははははは!! なにやってんだい先生! まさかあんなところでそんな愉快なことをしていたなんてねぇ!』

「割と反省はしてます……」

『目当ての物は手に入れたんだろう? なら成功したことを喜ぶべきさ。……それにしても覆面水着団か……くくっ……』

「ネーミングセンスはノノミちゃんに言ってくれ……」

 

 カケル達がブラックマーケットで盛大に暴れてから数時間後、カケルはアビドスの留守番を頼んでいたナノカに電話をかけていた。

 自身達がブラックマーケットで起こした出来事(やらかしたともいう)を聞いたナノカは、電話から聞こえる声だけでもわかるほど爆笑している。

 

 ひとしきり笑った後、ナノカは咳ばらいを入れて()()を切り出した。

 

『で? どうだったんだい? その書類は望み通りのものだったかい?』

「望み通りだったと言えば望み通りだった。……カイザーが真っ黒なことも裏付けられたけどな……」

『なるほどねぇ……あんたらが想定してた通りか……』

 

 今回、ヒフミやカイテンジャーの協力のおかげで回収ができた書類には、以下のようなことが書かれていた。

 

・アビドス高等学校から788万円を集金した。

・その後、カタカタヘルメット団に対して「任務補助金」として上記の資金から500万円提供。

・これらはカイザーローンが取り扱っている。

 

『な、なによこれ……!?』

『これは……!?』

『…………!』

 

 アビドスから集金した点に関しては、不本意だがまだいいだろう。

 しかし、それをカタカタヘルメット団に提供し、それがカイザーローンによって行われているというのはどういうことだ。

 

 全体的なことを考えると正確なところは分からないが、アビドスが借金をしている「カイザーコーポレーション」という企業は、明らかな悪意を以てこちらに接近しているのだろうということだけは確実だ。

 いくら表のルールが通用しにくいブラックマーケットとはいえ、ここまで堂々と情報のやり取りをしているとは……。

 

「前々から怪しいとは思ってたけど、少し探りを入れただけでここまでボロが出てくるとはな……」

『いやいや、ブラックマーケットの奥地に行くことが『少し』の判定に入るアンタも大概おかしいからね先生?』

「昔に経験したことに比べればまだ常識の範囲内だよ。シャケリスマスとか、SAN値削れるってあんなの……」

『……深くは聞かないよ』

 

 シャケリスマスの話題は置いておくとして……実際のところ、これでカイザーというのは明確な敵として認識ができるようになった。

 無駄な冤罪で動いてしまわないようにと考え手は出していなかったが、これでもし相手が強硬手段に出た際には徹底的に抗戦できる。

 だが今は確実な証拠がそろってない分、相手が痺れを切らしてこない限りはこちらからも手を出せないのは変わらない。

 

『皆さん今回はありがとうございました! 戻ったら、この事実をティーパーティーに報告します!』

 

 しかし少しずつ、本当に少しずつだが状況は変わっている。

 

「ヒフミちゃんも『ティーパーティー』の子達に報告するらしいから少しは状況が良くなってくれるといいけどな」

『あのいかにも『私は普通の生徒です』って雰囲気を漂わせていたトリニティの生徒さんか。『ティーパーティー』に伝手があるとは……まぁ、世代も変わってれば物好きなやつもいるか』

「ヒフミちゃんもいい子だったなぁ……今度改めてお礼言いに行かないと」

 

 脳裏に思い浮かべるのはカケル達がブラックマーケットで出会った生徒――『阿慈谷ヒフミ』。

 様々な情報の伝手を持つ彼女はまさかまさかのトリニティの生徒会――『ティーパーティー』に顔が効く少女であった。

 

『しかし、トリニティからの協力か……どうするんだい先生? もしそいつらが協力という名目でボヤ騒ぎを起こしたら……』

「そうなったら叱るよ。任せてくれって、子供が悪さしたときの()()()()()は熟知してるからさ」

『……まぁ、今度トリニティに顔を出しときなよ。顔を覚えてもらうだけでも効果はあるしさ』

 

 ナノカの懸念も理解できる。

 いくらヒフミが好意を以て接してくれても、それ以外の者はそうではないかもしれない。

 その場合に起こる被害はどうなってしまうのか……まぁ、それは今考えても仕方ないものだ。

 

 そんなことを考えているナノカの助言に思うことがあったのか、カケルはふと顎に手を置いて考え呟いた。

 

「んー、それなら明日はトリニティに行ってみる、か……確かにいい機会だし行ってみるよ」

 

 思い返してみれば、学校周辺には行ったことがあっても学校自体に入ったことはなかったと思い返すカケル。

 思いついたが吉日と言わんばかりに呟いたカケルの言葉が聞こえたのか、ナノカが心配するような声色で尋ねた。

 

『あー……大丈夫かい先生? そんな急に決めて……ヒフミの嬢ちゃん以外に伝手はあるのかい?』

 

 ナノカの考えていることとして、「トップが協力を結ぶ前に顔を見せるという目的で尋ねてくるのは理解できる。だが、そのきっかけとして相応の伝手はあるのか?」といったところだろう。

 「一般人の伝手でも借りないといけないのか?」と舐められてしまえば後に響きかねない。

 

 しかし、カケルはなんだかんだで連邦生徒会所属の「連邦捜査部シャーレ」の顧問だ。

 

「まぁ、一応あるっちゃある。正義実現委員会の副委員長のハスミちゃんって言うんだけど……」

『……はぁ……正実の副委員長にも伝手があるとはね……なら安心して任せるよ』

「りょーかい!」

『まぁ、あとの話はそれが終わった後でやろう。それじゃお休み先生』

「お休み、ナノカちゃん」

 

 こうして、帰還した後の報告会は終わったのである。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「――と、いうわけで来てみたんだけど……」

「大丈夫ですか先生? 体調が悪いようでしたら近くの休憩所を……」

「安心してくれハスミちゃん……ただ凄まじいまでのお金持ちオーラに圧倒されてるだけだ……」

「そ、そうですか……」

 

 ナノカとの話し合いから約12時間後、トリニティにて。

 正義実現委員会の副顧問である「羽川ハスミ」に先導されながら、カケルはトリニティ総合学園の敷地を進んでいた。

 

――『トリニティ総合学園』

 

 現在の学園都市キヴォトスにおいて、トップ3に入る規模を誇るマンモス校。

 ミッション系のお嬢様学校といった雰囲気を持つこの学園には、古風な礼拝堂や古書館、音楽堂といった施設を有し、後者はまるで宮殿のような佇まいをしている。

 同じく規模の大きい学園であるゲヘナ学園とは犬猿の仲であり、両校の生徒は目が合った瞬間に銃撃戦が起こるなんてことも多々あるほど。

 今回はそんな学園にカケルはお邪魔しに来たのである。

 

「突然でごめんねハスミちゃん。朝っぱらから呼び出しちゃって……」

「いえ、巡回の一環だと思えばあまり負荷もかかりません。先生こそ、アビドス高等学校へ行かれていたのではないですか?」

「うーん、あんま詳しく言えないけど、これからのことも考えればトリニティのことも知っておかないといけないかなと思って……」

「なるほど……お疲れ様です、先生」

 

 おそらく察してくれたのだろう。

 ハスミは労いの言葉をかけてくれる。

 流石は上に立つ資格を持っている少女だ。

 

「それにしても……ブラックさんがまさか喋れるとは……」

『それに関しては説明しなかったコイツに言え。毎度のことながら驚かれるのは面倒だ』

 

 そしてブラックとの会話もすでに終えている。

 最初の時は驚かれたものの、シャーレ奪還作戦でブラックの規格外っぷりを見たハスミはすぐに順応した。

 そんな風に話をしていると……目的地に着いたようである。

 

「到着しました」

「おぉ……ここが……」

『如何にもといった様子だな……』

 

 カケル達の目の前にあるのは、装飾の凝った巨大な扉。

 汚れ一つないその荘厳な扉にカケルが圧倒されていると、ハスミは一歩前に出て扉をノックした。

 

『どうぞ』

「失礼します。先生、中へどうぞ」

「あ、うん……」

 

 これから偉い立場の人物に出会うのだと思うと、なにやら変な緊張感が湧いてきたカケルは、ぎこちない歩みで扉を通っていく。

 

――そして視界に入ってきた扉の先は……まるで世界から切り離されているかのように美しかった。

 

 まず視界に入ってきたのは、トリニティの広い敷地が一望できる巨大なテラス。

 そしてそのテラスを構成する大理石の床の上に、真っ白なテーブルクロスが敷かれた大きなテーブルが設置されていた。

 これを建築した人物は相当な天才だったのだろう、日差しが入り込みすぎないようにしながらも解放感を演出している。

 

 どこかで見た芸術作品のワンシーンのような幻想的な魅力を醸し出すその景色に、カケルは圧倒されたのだった。

 

「ふふっ」

「……!」

 

 そんなカケルの様子を見たのか、誰かの笑い声が聞こえる。

 ハッと我に帰ったカケルが声の出所を探れば……一人の美しい少女が座っていた。

 

 ふわりと流れるプラチナブロンドの長髪を持ち、整った顔立ちに微笑みを浮かべている様はまさしく深窓の令嬢。

 シミ一つない制服すらも、彼女が着れば高級品のように感じさせられる。

 気品にあふれた佇まいからは彼女が上に立つ存在だと確信させられた。

 

「ナギサ様、シャーレの先生をお連れしました」

「えぇ、ありがとうございますハスミさん。そして……シャーレの先生、遠路はるばるお越しいただきありがとうございます」

「え、あ、は、初めまして、シャーレの先生です……」

 

 彼女の名前は「桐藤(きりふじ)ナギサ」。

 トリニティの生徒会――『ティーパーティー』の一柱を担う"フィリウス派"のリーダーが彼女である。

 似たような気品を持つ人物というのは、カケル自身、"外"の世界で出会ったことはあるのだが、まだ高校生である少女が纏っていることに困惑を隠せない。

 

「えっと、あー、そのぉ……」

「ふふっ……緊張せずとも、まずはお掛けになってください。会話というのは対等な立場で行われるのですから」

「し、失礼します……」

「先生、頑張ってくださいね……」

 

 ナギサの勧めでなんとか席に着くカケルだったが、頭の中では整理がつかないままであった。

 

 上に立つ者として思っていた以上に優しそうであり、気品もある。

 今まで割と殺伐とした世界で生きていたカケルとしては、まさしくお嬢様といった人物と話すのは初めてだからだ。

 圧をかけてくる相手なら持ち前の気合と根性で乗り切れるのだが、相手は敵対心など皆無である。

 

――「あ、普通に話してくれる人だ」と、上に立つ者と会話をするにしては久々の安心感を覚えるカケルであった。

 

「あー、えー……えっと、本日はお日柄も良く……」

「ふふっ、大丈夫ですよ。今回は注目のシャーレの先生が訪ねてくると聞いて、私自身、少しばかり浮足立っていますので」

「そ、そうですか……?」

 

 しかし、あまりにも安心感を覚えてしまいそうで内心で冷静さを取り戻そうとするカケル。

 そんな様子も可愛いものを見るように優しい目を向けるナギサの雰囲気に、思わず呑まれそうになってしまった。

 

『まったく……少しは落ち着け阿呆』

「ほぐぁっ……!?」

「だ、大丈夫ですか……? あ、貴方は……」

『心配するな桐藤ナギサ。いつもの発作だ。そして俺達のことは聞いているようだな』

「いっててて……! なにすんだよブラックゥ……!」

『惚けているお前のせいだ阿呆。雰囲気に呑まれてどうする』

 

 そんなカケルに喝を入れるようにして装甲の一部を伸ばして、ブラックは弁慶の泣き所を強かに打つ。

 先程まで緊張していた相手が突然痛みをこらえるかのように突っ伏したのを見て、思わずナギサは外面のことは一旦置いておいて純粋に心配する。

 

 ブラックのおかげで先程までの雰囲気は一瞬で霧散し、ある程度は落ち着いて会話ができるような状況にもっていくことに成功した。

 

『さてと、この阿呆は放っておくとして、今回はシャーレとして話をしに来た。俺の名前はブラック。そこの阿呆のお目付け役だ。よろしく頼む』

「……よろしくお願いします、ブラックさん。桐藤ナギサと申します」

「す、脛痛ぇ……!」

 

 痛みに悶えるカケルは放っておいて、ブラックは自己紹介ついでに今回の要件を端的に伝えた。

 そんな1人と1台の姿を見て、自身を落ち着かせるように大きく深呼吸したナギサは先程と同じように淡い笑みを浮かべて言葉を返す。

 

『警戒するのも無理はない。俺達の戦力、思想も分かってない状態で同じ土俵に立つというのも無理なものだ』

「……! 気づかれていたんですね……」

『当たり前だ。だからあれほどの気配を放っていたんだろう。この阿呆はまんまと呑まれていたがな』

「……噂に違わず凄まじいですね……ハスミさんがあそこまで絶賛するわけです」

『褒め言葉として受け取っておく。貴様もこれほどの学園を統括するのはさぞ骨が折れるだろうな』

「……耳が痛いですね」

 

「……俺、蚊帳の外……」

 

 ブラックから事前に「お前はこういう場で喋ると余計なことしか言わないからな。本当に。会談は俺が担当する。分かったな? 分かったら返事をしろ」と念を押されているため、カケル自身この状況の方が良いと思っているが、流石に蚊帳の外にされると寂しいものがある。

 だが、自身ではこういったことに関しては力不足だというのも理解しているので口は出さないでいた。

 

『さて、いきなりだが本題に入ろう。俺達がここへ来た理由を分かりやすく解説するなら「業務提携」を結びに来た。貴様達だけでは解決しきれない問題が出た時……主にトリニティ側でのいざこざが発生したときには俺達が協力する。その逆もしかりということだ。俺達のことはこき使ってもらっても構わないが……あくまで俺達は「シャーレとして」の権限で行動を起こさせてもらう。他の自治区に悪い意味でとらえられたくはないからな』

「……なるほど……トリニティと協力関係になりたいが、あくまでシャーレとして行動を起こさせてもらうからその許可を取りに来た、と」

『その認識で構わない。下手に入れ込み過ぎると他からどう思われるか、たまったものではないからな』

「……分かりました。要求を受けます」

 

 あっさりと受理されたことに、若干拍子抜けするブラック。

 しかしその態度を表に出さずに極めて冷静に接した。

 

『話が早くて助かるな。こちら側の要件はそれだけだ。もし気になるのなら質問も受けよう』

「……それでは少し、先生と話をさせてもらえないでしょうか?」

「え、俺?」

『……政治の話ならこいつには振るなよ?』

「安心してください。ちょっとした世間話なので」

 

 なにやら小難しい話が展開されているとぼんやり考えながら、菓子を頬張っていたカケルに突然話題が振られる。

 慌てて姿勢を正すカケルの様子を見ながら、世間話をするにしては少し窮屈そうな様子で口を開いたナギサは次のような話を振った。

 

 それが――

 

「……先生、あなたは――」

 

 

 

「――大切な人を、失ったことはありますか……?」

 

 

 

――深淵に触れるものだったとしても。

 

 

「……………………俺は――」

 

 

 そこから先は、今語るべきことではない。







Tip!
ブラックライダーことカケルは、太陽のような笑顔を持つ母親と、寡黙ながらも優しかった父親の間に生まれた一人っ子である。

息、抜きかこれ……?
ちょっとシリアスのさじ加減が分からなかったけど、これでエデン条約へのきっかけは作れました。
後は……色々とやりたいことがあるのでお楽しみに!

また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております!
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それでは皆様また次回~!


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