ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~ 作:クラウディ
久々に筆の乗る時期が来た!
というわけでクラウディです!
今回は風紀委員長のあの子が登場します!
今回も「伝説の超三毛猫」さんと「カンジロウ」さんから感想をもらっています!
皆様の応援のお陰で今回も投稿することができました!
それでは本編どうぞ!
「『こうなったら』どうするつもりなの、アコ?」
その言葉は一瞬にして空気を支配した。
大きくはないものの、この場にいる全員の耳に届き、冷やかで微かに怒気すら感じられるその言葉は、先程まで言い争っていたアコも含めて、全員の体を硬直させた。
「マコトの嫌がらせが終わったと思えば、皆はこんなところに来てるなんてね」
コツリ、コツリと響く足音は、まるで魔王が歩いてきていると思えそうなほどの迫力を持ち、只者ではないことを悟らせる。
その威圧感は、歴戦の猛者であるカケルですら動きを止めてしまうほどだった。
やがて、舞っていた砂煙の向こうから声の主が現れる。
「それで、なにをやってるの、アコ?」
『ひ、ヒナ委員長!? どうしてここに!?』
「……質問してるのはこっちなのだけれど……」
アコに「ヒナ委員長」と呼ばれた少女は気怠そうに呟いた。
その言葉と共に威圧感が和らいだことで冷静さを取り戻したカケルは、ブラックへ声をかける。
「……ブラック、あの子は?」
『……ゲヘナ学園所属3年生――『
「マジかよ……あの可愛い子が「幹部級」……」
――『空崎ヒナ』
ゲヘナの『風紀委員会』、その『"現"委員長』であり、ゲヘナにおいてその名を知らぬものはいないとされる名実ともに「"最強"」の少女。
彼女が動けば瞬く間にゲヘナ中の暴動が鎮圧されると言われ、「ゲヘナで暴れたいならヒナに目をつけられるな」という暗黙の了解が作られるほど。
そんな少女が今まさにこの場にいるのだ。
しかし、彼女はアコ達の応援に駆けつけたというわけではなさそうで……
「マコトがいつも以上に面倒事を押し付けてきたから早く終わらせてきた。でも、帰ってきたらあなた達がゲヘナの外に行ってると聞いたの。何か大変なことにでも巻き込まれてるんじゃないかって。そうしたらアコは噂の先生と言い争ってるし……ハァ……」
『あ、あの、それは、その……』
「え、もしかして委員長に言わずにここに来たってこと?」
『……だと思うよ……突拍子もないとは思ってたが、まさか自分らのリーダーに目的すら説明してないとは……』
じとーっとした目でアコを睨みながら、経緯を話していくヒナ。
どうやら、アコが指示したと思われる今回の行動はヒナすら把握してないことのようで、わずかな情報から察したヒナは全速力で駆けつけたようである。
ゲヘナからアビドスに来るまで相当な距離があるというのに……恐るべし、ゲヘナ最強……。
「……それで、理由は説明できる? ちなみにあなた達のやり取りは数分前から見てた。楽しそうだったみたいね」
『「……ご、ごめんなさい……」』
『先生……』
「ん、お労しや先生……」
先程より2割増しでじとっとした目になったヒナの言葉に、気まずそうに謝罪するアコとカケル。
カケルに至っては土下座しているため威厳の欠片もない。
まぁ、子供じみた喧嘩のことがあったので威厳なんてものは全く無いのだが。
『……苦労しているな、空崎ヒナ……』
「……あなたがブラックさん? あなたも苦労しているのね……」
『同感だ……』
『「ハァ……………………」』
そして、ブラックとヒナの間に妙なシンパシーが構築されたということもあったが、それは一旦置いておく。
『え、えっと……委員長、全て説明いたします……』
「……いや、もういい。大体分かったから。察するに、ゲヘナにとっての不確定要素の確認および排除。そういう政治的な活動の一環ってところね」
『……はい』
そんな風に小さく答えるアコをまっすぐ見ながら、ヒナは確かに告げる。
「でもアコ、私達は風紀委員会であって、生徒会じゃない。シャーレ、ティーパーティー、それに連邦生徒会長。そういうのは『
『……はい……』
ヒナの言葉を聞いたアコは、先程までの言い争っていた様子から打って変わって、静かに通信を切った。
そして、通信が切れたことを確認したヒナは、カケル達に改めて向き直ると、頭を下げて謝罪した。
「え、ちょ!?」
「……事前通達無しでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。この事については私、空崎ヒナより、ゲヘナの風紀委員会の委員長として、アビドスの委員会に対して公式に謝罪する」
「おやおや? そんなにあっさりとして大丈夫なの?」
「……ええ、あなた達の話を聞いてた限り、私達がここに来た意味はないもの。こちら側も特に被害は出てないし、戦う理由もない……あそこの便利屋も今はそちらで奉仕活動をしてるみたいだし」
「ギクッ!?」
そう言いながら、逃げ出そうとしていたアル達に睨みを効かせるヒナ。
しかし、それも些細なこととして視線を外した彼女は、風紀委員会のメンバー達にこう告げた。
「全員、撤収準備」
「え、あ、りょ、了解!」
「了解しました。皆さん、直ちに撤収準備を」
「「「「「了解!!」」」」」
ヒナの号令と共に彼女達はすぐさま撤収の準備を始める。
あまりにもあっさりと問題事が解決して、些か拍子抜けする対策委員会のメンバーとカケル達。
「そ、そんなあっさりしてて大丈夫なのかヒナちゃん……?」
「……言ったでしょ。戦う理由もないし、これ以上はやるだけ無駄。あなたと戦っても勝てる気はしないし、それに……」
「ん? おじさんに何か用ー?」
カケルの問いかけに答えながらも、ヒナは視線をずらして対策委員会の中でも小柄なホシノに視線を向けた。
「あなたが小鳥遊ホシノ……ずいぶんと変わってる……1年生の時とはまるで別人……」
「あれ、
「……知ってる、情報部にいた頃、各自治区の要注意生徒達をある程度把握してたから。特にあなたのことは忘れるはずがない。『
「うへぇ、探られるの苦手なんだけどなぁ……」
「ホシノちゃんが1年生の頃……あの事件……?」
『…………』
なにやら深い意図を込めた会話が繰り広げられているが、その事情を詳しく知らないカケルは頭を傾げるしかない。
「そろそろ撤収準備が終わりそう……先生、少し話をしたいことがあるのだけれど……」
「え? 俺に?」
撤収準備が終わりかけた頃、ヒナはカケルに声をかけて『とある話』をし始める。
それから数分後、アビドス内で起こった小さな騒動は終わるのであった。
あれから数分後、撤収していく風紀委員会の方で、イオリがとある疑問を思い浮かべる。
「……あの、委員長……」
「なに? 言っておくけど、反省文の枚数は減らさないから」
「うぐっ、そ、そうじゃなくてですね……先程、先生となにを話していたんですか……?」
撤収準備の最中、ヒナはカケルに「話がしたい」と言っていたのをイオリは覚えていた。
初対面なのに迷惑をかけすぎた謝罪にしては、カケル一人に話があるのは、確かに気になるものである。
その事に、ヒナは少し考え込んだ後、ある程度言っていいと思った情報を話していった。
「迷惑をかけたことについてと、先生が目を付けているだろう『ある組織』の情報。あとはブラックさんから押し付けられた『先生側の情報』ね」
「押し付けられた……? どんな情報ですか?」
「多分、あなたも知らないことよチナツ。少し話しただけでもあの人のことは大体分かった。物忘れが多そうだもの」
「そうですね……ブラックさんが喋れるなんて知りませんでしたから……はぁ……」
そう溜め息を吐きながらチナツはカケルのことを思い返す。
勘は鋭く、アドリブを効かせるのが得意。
その代わりに座学などが壊滅的で、書き置きですら必要な情報を置いていかないという、よく言えば「抜けてるところが多い」、悪く言うなら「残念な頭脳」。
そんな男であることを、出会って数分しか経ってないヒナにすら悟られるのだ。
それなのに、どこか惹かれる魅力があるという不思議な男がカケルだとチナツは思っている。
そんな男のお目付け役といっても過言ではないブラックから直接、カケルの情報を渡されたとヒナは言っているのだ。
「私からはアビドスに関わっている『ある企業』に気を付けてということを伝えて、ブラックさんからは『先生の手札』を教えられたわ」
「手札、ですか? ……まさか、ブラックさんの……?」
「そういうことらしいわ。ご丁寧にファイルに閉じられてね。チナツの報告書を見た時ですら「デタラメ」なんて言葉でしか言い表せなかったのに……」
ヒナはそう言って思い返すのは、ブラックから聞かされた「カケルの『手札』」についてだった。
ヒナは自分のことをこの広い『キヴォトス』の中でも、「相当な実力の持ち主」であると自負している。
だからこそ、その力を持つ者としての責任があると思っているし、それ相応の覚悟も決めている。
だからこそ分かるのだ。
『彼等』がいかに規格外なのかを。
「…………」
もし、皆に「害」をもたらすかもしれない存在だったなら、ある程度の覚悟はしていた。
『ヒナちゃんってさ、最近休めてる? 結構疲れてそうだけど……』
『……そう見える?』
『見える。あー、今すぐ寝ろってのは仕事が残ってるかもしれないから簡単には言えないけどさ、悩みがあるならいつでも相談してくれ! 力になるからさ!』
――だがしかし、そんなヒナの懸念を拭うかのように、カケルという男は「真っ直ぐ」だった。
「…………」
「? 委員長、どうしましたか?」
「……なんでもない」
なんだか分からないが変な様子をしてたらしい。
チナツから声をかけられ、ハッとしたヒナは顔を引き締める。
そして、話題を変えるためにその『手札』について話し始めた。
「チナツは先生からどれだけ『ブラックさん
「えっと、膨大なエネルギーをブラックさんが稼働している限り生産及び出力することが可能で、それを用いてのシールドや衝撃力の増加、高速移動に転化することも出来る……え、今『達』って言いました?」
ハッとしたチナツはヒナにあり得ないものを聞いたと言わんばかりに驚愕した目を向ける。
それにヒナは答えた。
「そうよ。あの人達曰く、ブラックさん以外にも同じく規格外の存在があと『2体』もいるらしいの」
『良かったですね。今回も特に問題がなくて』
『…………!!』
『貴方も出たいんですか『"アサルト"』? まぁまぁ、今は待ちましょう』
『……!!!!』
『え、私だけここに来てから何度も活躍してるじゃないか、ですって? いやなにを言ってるんですか。私もまだ『変身』してないんですよ?』
『……!!!!』
『それ以外は活躍してるじゃないか、ってそれは……その……と、とにかく! もうすぐ『変身』の機会がありそうな貴方には言われたくないですよ!』
『!!!!』
『あ、こら! 暴れないの! 近所迷惑になりますよ!!』
『!!!!』
『あーもー! 早く変身させてくださいよ兄様ー!! 兄様だけズルいですよー!』
Tip!
Next BLACK Riders……『ASSAULT』
また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております!
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それでは皆様また次回~!