ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~ 作:クラウディ
どうもです皆さん!
筆のノリがかなり良くなってきたクラウディです!
さぁ、アビドス編も終盤になってきました!
大分詰め込んだ回ですが楽しんでもらえたら幸いです!
今回も「カンジロウ」さんから感想をもらっています!
それと、UAが5万件を越えていました!
いつも応援とご愛読、ありがとうございます!
それでは本編どうぞ!
「はぁ……とりあえずなんとかなったかぁ……」
「お疲れ様です先生~☆」
風紀委員会との一悶着を経て、アビドス高等学校へと戻ったカケル達は一息ついていた。
ヒナが到着してくれたお陰で、「アビドスとゲヘナの正面衝突」という最悪のルートは回避できたものの、カケル達にはそれ以上によく分からない疲れがドッと押し寄せてきたのである。
主に、あの子供じみた口論のせいだが……
「本当に心臓に悪かったわ……」
「いやー、流石の私達でも風紀委員長とやりあうのは厳しかったからね~」
「せ、先生! 言われた通りまずは冷静になることができました!」
「うんうん、偉いよハルカちゃん!」
「私達も呼ばれたってことは、やっぱり
『ああ。再度通達するのは手間だからな。今この場である程度の方針を決めることができれば後が楽だ』
ちなみにだが、便利屋の面々もこの場に来ている。
あの後、彼女達も解散してよかったのだがブラックがひき止めたことで、こうしてアビドス高等学校の会議室に集まっていた。
アビドスメンバー5名、便利屋4名、ナノカとカケルにブラックを合わせれば12人という大所帯。
その人数のせいか少し狭さを感じる会議室にて、ブラックが話を切り出した。
『早速だが今から会議を始める。今回の議題は『アビドスの現状』についてだ』
「アビドスの現状……以前よりは良くなっていると思いますが、やはり「生徒会としての権限の喪失」、「土地を売ってしまったことによる利益の減少」……他にも根本的な解決が必要ですね……」
『そういうことだ奥空アヤネ。権利がなければなにもできないからな』
ブラックの挙げた議題に、複雑そうな表情をするアヤネ。
彼女が言った通り、現在のアビドスは問題を根本から解決できそうな手段がほとんど失われている。
「生徒会としての権限」を失ってしまったことにより、アビドス自治区を運営することすらできない状態となってしまい、「土地を売ってしまった」ことで再度権利を主張することも難しい。
『だが、これは自滅したわけではなく、明らかな悪意をもって貴様達を嵌めた奴等がいる』
「それが『カイザーコーポレーション』……ってことだね。柴大将も言ってたよ。ここら一帯の土地はほぼ全部『カイザー』系列の『カイザーコンストラクション』が所有してるって」
『耳が早いな鬼方カヨコ』
――そんなアビドスの現状を引き起こしたのが『カイザーコーポレーション』と呼ばれる企業だ。
「え!? 私それ聞いてないんだけど!?」
「たぶん、大将は心配させないようにしてるんじゃない? セリカはそういうの聞くと一番慌てそうだから」
「うっ、そ、それは、そうかもしれないけど……」
既に柴関ラーメンの土地の権利すら、カイザーに奪われていることについて初耳だと言うセリカに、自分なりの推測を話すシロコ。
実際その通りだ、柴大将の人柄なら無理に心配させてしまうようなことは言わないはずだからだ。
『カイザーコーポレーション』……その中でも『カイザーローン』というものは、以前知り合った生徒――『阿慈谷ヒフミ』曰く「高金利金融業者」だそうで、アビドスの借金はそこが徴収している。
そんなところ系列である企業がまたしても関わっているのだ。
ここまで情報が揃うと明らかに作為的なものを感じる。
とどめに、去り際のヒナが伝えてくれた情報だ。
『アビドスの捨てられた砂漠……あそこで、『カイザーコーポレーション』が何かを企んでる』
『またカイザーか……いよいよ隠しきれなくなってきたな……!』
『……やっぱり、先生も気づいてたんだね』
出会って間もないヒナからの情報であったが、それを戯れ言と流すことはできなかった。
『既にカイザーの侵略は巨大なものとなっている。やつらの目的も粗方割れてきた頃だろう。あくまで貴様達、アビドスから金を搾り取るのが目的ではなく、最終的に『
「なるほどねぇ……アタシとしてはこのまま黙って見過ごすつもりはないけどね」
「そうだねぇ、おじさんもそろそろ本気だしちゃおうかなー」
「ん、私も。やられっぱなしは性に合わない」
「私もよ!」
「私もです!」
「もちろん私もですよ~!」
ブラックの推測にナノカは真っ先に同意する。
「アビドスに所属する生徒として」ということだけではなく、彼女自身としてもこのまま黙って見ているつもりはないのだろう。
続けるようにしてホシノも同意し、アビドスのメンバー全員が同意した。
「え、えっと……私達はどうしましょうか……」
「いいように使われたのもそうだけど、ここはみんながやる気になってる分、ここを守るのが良いんじゃな~い? ムツキちゃんはそう思いま~す♪」
「同感。全員で行って罠に嵌められたときが一番怖い」
「ふふふっ……アル様と先生の邪魔をするなら……」
便利屋のメンバーは主要メンバーが留守の間、アビドスを守ってくれるようである。
「なら皆、覚悟は良いか? アビドスを取り戻すぞ!!」
「「「「「「「「「「了解(です)(よ)(しました)!!」」」」」」」」」」
こうして、対カイザーへの作戦準備が始まったのである。
……アビドス高等学校、夕暮れの見える屋上にて。
「……皆やる気になってるねぇ……」
あの後、解散したメンバー達は各々好きなように過ごしていた。
1人は銃弾の補充などの戦闘準備を進め、1人は万が一のプランを立てており、また1人は気分転換に柴大将の店に顔を出しに行っていた。
そんなメンバーの中でも、ここアビドスの年長者である『小鳥遊ホシノ』は、夕日を眺めながらこれからのことについて考えていた。
おそらく、カイザーの出方にもよるがほぼ全力での戦いになるだろう。
今までのヘルメット団による襲撃や、便利屋のメンバー達との戦いとは比べ物にならない……それこそ『戦争』と言っても過言ではない規模になるはずだ。
――だが、相手は絶対的な権力でこちらを潰しにかかるカイザーだ。
「…………」
カケル達の力を疑ってるわけではない。
むしろ、カイザー程度ならカケルとブラックの二人だけで潰せてしまうだろう。
――『取引をしませんか、小鳥遊ホシノさん?』
「……あはは、なんで怯えてるんだろうね、私……」
だけど、『あの男』の存在が頭にちらつく度に不安感が押し寄せる。
――あれは『理解の"外"』にいる存在だ。
だから、なにを起こしても不思議じゃないし、なにを起こすのかも読めない。
そんな奴等が相手なのだ、今のホシノのように肩を震わせても仕方ないのだ。
もし勝てなかったら……
もしまた嵌められたら……
もし皆がいなくなったら………
そう考えるだけで何もかもが怖くなってくる。
「……でも、私が死ぬより、皆がいなくなる方が何倍も怖い……」
だからこそ、彼女は彼女なりの最善手を考えているのだ。
……それが、辛く苦しい道だったとしても。
「? なにやってんのホシノちゃん? そろそろ日が沈むから寒くなるよー」
「!? きゅ、急に後ろに立たないでよ先生! ビックリしちゃったじゃん!」
「あー、ごめんごめん。普通に近づいただけなんだけどな……」
そんなことを考えていると、いつの間にか後ろにはカケルが立っていた。
いくら油断していたとはいえ、彼女の察知能力ならここまで近づけば気づけたはずだ。
それなのに、一切の気配を悟らせず背後に背後に近づいていたカケルの気配の消し方に、会って何度目か分からない戦慄を覚えるホシノ。
そんなカケルはホシノの隣に腰を下ろすと、ホシノと同じく夕日を眺めながら呟いた。
「最近忙しかったからなのかさ、こうやって夕日をじっくり見るなんて久しぶりだなぁ……」
「……そうだねぇ……おじさんも久しぶりに夕日を見たなぁ……」
「あー、ホシノちゃんも皆の訓練に付き合ってたもんな。で、どうだった? 皆はどれくらい成長できてる?」
「んー……合格~、って言いたいけどまだまだかな~。強くはなってるけど、おじさんから一本取れ~ってのはまだできてないね~」
「ホ、ホシノちゃんから一本とるのは結構難しくないか……?」
「皆将来有望だからね~。目標は高くしないと~」
何気ない会話から、たわいのない話に繋げ、ゆるりとした空気感で、だらっと過ごす。
最近の仕事に奔走していた日々と比べれば、いささか緊張感のない2人の様子。
しかし、これくらいの方が2人にとってはちょうど良いのだ。
ホシノ自身、変に気負われるよりもこの方がずっと気が楽だ。
だが、しばらくするとカケルの気配がしっかりと感じ取れるようになってきて、あることに気づく。
「あれ? 先生、膝が震えてる……もしかして緊張してる?」
「あー、そう言われればそうだな……正直、今回の戦いで全部を無傷で守りきるってのは難しいと思っちまってさ……できれば何事もなく終われば良いんだけど……」
「……そうだよね、今回は今までとは比べ物にならないくらい、たくさんの敵と戦うことになるもんね……」
「だな……」
そう言ってる間にも、カケルの膝はカタカタと小刻みに震えており、緊張していることがハッキリと分かる。
いくら百戦錬磨の英雄といえど、慣れないものは慣れない。
特に、今回のような大規模の戦闘になると……『"昔"』のことを思い出してしまうようだった。
そんなカケルの様子を見ながら、ホシノはポツリと呟くようにして問いかける。
「……もしさ、先生、「小さいリスク」で「大きなリターン」を得られるとしたらさ、先生はその選択肢を選びたい?」
ホシノが言ったのは、所謂『ローリスクハイリターン』というものだ。
小さい損失で大きな利益を得る……結果としてはこの上なく良いものだろう。
楽観的・理想的なことを考えているようないつものホシノとは違い、悲観的・現実的なその言葉はどこか諦めの念が込められていた。
ホシノ自身、最善の結果があるのならそれが一番良いと思っている。
だが、それをするには彼女の心が『折れかけていた』のだ。
背中を押してほしかったのか、それとも引っ張りあげてほしかったのか……ふと口からこぼれた言葉には、どちらの意思が込められていたのか、ホシノ自身にも分からない。
――だが、この男は違った。
「……俺はリスクなんて支払わなくても良い、笑顔のある『最高最善のハッピーエンド』ってのを選ぶ……かな?」
「……ぷふっ、ねぇ先生、その答え選択肢にないよ?」
「まぁ、それもそうなんだけどさ……でもさ――」
笑いをこらえきれないホシノの様子を見て、照れ臭そうに頬をかきながら、カケルは続けて言う。
「――『限界に縛られるんじゃねぇ、限界は俺達で作るものだ!』って、知り合いのロックスターが言ってくれてさ。だから俺は、全力で自分の『
「……熱血だねぇ……まるでお日様みたいだよ」
「そうだな……あの人はマジで太陽みたいな人だったよ」
そう言いながら、カケルは遠くを見るような目で過去を懐かしむ。
(本当に、先生はすごいね……『私』も、先生みたいに……)
――そんなカケルだからこそ、ホシノの心に変化を与えることが出来たのだろう。
「……よーし! おじさん良いこと思い付いたから、早速試してくるよ~」
「……? 良いこと?」
「フッフッフ……おじさんの冴えた頭がすごい作戦を思い付いちゃったからね! 早速ブラックさんに話してくる~!」
「え、あ、行って、らっしゃい……?」
勢い良く立ち上がったホシノは、そう言い残して足早に校舎の中へ戻っていく。
そんなホシノの後ろ姿を見送りながら、カケルは首をかしげるのであった。
――某所にて……
「……よろしいのですか?」
「……うん、もう決めたことだから」
「……分かりました。これで、ホシノさんがお持ちの生徒としての全権利は私の元に移譲されました」
「これで正式に、アビドス高校が背負っている借金の大半は、こちらで負担することにしましょう」
――黒幕達が行動を起こし始めた。
「……あとは頼んだよ……ノノミちゃん、シロコちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん、それとナノカちゃんも……」
「……先生、ブラックさん……」
「――信じてるからね」
Tip!
『暁』は『流れ星』に「希望」を見た。
また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております!
応援に関しては、「お気に入り登録する」「作品への高評価」「感想を書く」「ここ好きたくさん押してみる」「作者に直接メッセージを送ってみる」などがありますので、皆様の好きな方法で応援してください!
それでは皆様また次回~!