ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~ 作:クラウディ
皆様どうもクラウディです!
やっと書きたいと思ってた場所に近づいているので、今回も早めの更新です!
ついに、今まで正体が不明だった『奴』のことが知れますよ!
今回も「カンジロウ」さんと「伝説の超三毛猫」さんから感想をもらっています!
いつも応援ありがとうございます!
それでは本編どうぞ!
『ねえ、ホシノちゃん』
『私ね、ホシノちゃんと初めて会った時、これは夢なんじゃないかなって思って、何度も頬をつねったの』
『ホシノちゃんみたいな、可愛くて強くて、頼れる後輩がそばにいてくれるなんていう『夢』みたいなことが、本当に嬉しくて……』
『うーん、上手く説明できないかもしれないけど……』
『ただ、こうしてホシノちゃんと一緒にいられることが、私にとっては奇跡みたいなものなの』
『……毎日毎日、こうして一緒にいるじゃないですか』
『昨日も今日も、明日もそうです。こんな当たり前なことで、なにを大袈裟なことを』
『はぅ……だって……』
『「奇跡」というのはもっとすごくて、珍しいもののことですよ』
『……ううん、ホシノちゃん』
『私は、そうは思わないよ』
『ねえ、ホシノちゃん。いつかホシノちゃんにも
「…………ハァ……」
ここは、アビドス高等学校の『旧校舎』。
もう既に周囲一帯も含めて砂に埋もれているはずのその場所の奥地で、一人の生徒――『小鳥遊ホシノ』はため息を吐く。
あの後、『黒服』と契約した内容の通りに自身の権利を譲渡したホシノは、カイザーの兵士に連れられるままこの場所に幽閉された。
元々抵抗するつもりはなかったものの、それでも万が一の事を考えたカイザー側の意向で何らかの薬剤を打たれてしまい、先程から凄まじい倦怠感と脱力感に苛まれている。
おそらく、筋弛緩剤などを打たれているのだろう。
しかし、ホシノにとってはそれすらどうでもいいことであった。
「…………」
縛られているホシノは、辛うじて動かせる頭を動かして周囲を見渡す。
自身の体を拘束している赤い糸のようなものは、いくら脱力しているとはいえ、それでもホシノの膂力ですら千切れない程に強靭。
バレない程度に
そして自分が座りこまされている場所は、まるで祭壇のような形状をしており、おそらく『黒服』辺りがこれらの製作に関わっているのだろうということが推測できる。
「……打つ手なし、かな……」
覚悟してきたとはいえ、ここまで絶望的な状況だと気分まで鬱屈としてくる。
頼れる武器はなし、可愛い後輩への連絡手段もなし、まさしく『詰み』といえる状況だ。
少し前までのホシノなら、どこかで心が折れ、諦める選択をしていただろう。
――だが、今のホシノは違う。
『……俺はリスクなんて支払わなくても良い、笑顔のある『最高最善のハッピーエンド』ってのを選ぶ……かな?』
「……信じてるよ、先生」
頼りになる男――『遠山カケル』の背中を見てきたのだ。
あの、この世の理不尽をを鼻で笑って吹き飛ばしてきた『ヒーロー』がいたから、ホシノはまだ諦めない、諦めたくはない。
そして、諦めなかったからこそ――
「よ、ホシノちゃん。迎えに来たぜ?」
「……ちょっとだけ遅かったんじゃない、先生?」
――『
「おっとっと、まだ薬が抜けきってないからしっかり捕まっときなホシノちゃん」
「うへぇ、世話をかけるねぇ。それにしても、さすがはブラックさん、『計画通り』って感じかな~」
「計画、通り……? あ、も、もしかして……!?」
『お前には話すわけがないだろう。下手をすれば一番間抜けなお前にはな』
「は、はぁああああああああああ!!??」
あの後カケルは、ホシノを拘束していた糸を外し、彼女を背負ってアビドス旧校舎を歩きながら彼女の容態を気にかける。
その道中、ホシノがブラックに意図を含んだ言葉を投げ掛け、それに疑問を持ちながらもすぐさま確信に至ったことで、大声で叫んでしまう。
ここで説明を挟もう。
なにもホシノは、黒服の契約に同意することで、自分の命を犠牲にアビドスを救おうとしたわけではない。
契約に同意したことに関してはその通りなのだが、彼女は諦めたわけでもなければ、死ぬつもりなど更々なかった。
「私はあの日、先生と話した後、ブラックさんに相談したんだ。「『カイザー』を追い返しながら『黒服』をぎゃふんって言わせつつ、皆が笑顔になれる方法はないのかな?」って」
『あそこまで計画が進んでたのなら多少の独断専行は許容範囲内だったからな。そこで俺は『
計画の内容としてはこうだ。
まず、ホシノが『黒服』から持ちかけられた契約に同意し、その事に動揺したアビドス側に隙が出来たように見せかける。
その次に、これ幸いと侵攻をし始めてきたカイザー側の戦力を万全の準備で撃退または壊滅させる。
この際の被害に関しては、やつらが「自分らの土地だから暴れようが問題ない」という免罪符を掲げていたのと同じように、アビドスの残された数少ない土地へ侵攻してきたという
実際、ホシノ達が拠点としている現在のアビドス高等学校周辺は、まだアビドスの土地であるため、それすらも無視して侵攻してきたのはカイザー側の落ち度だろう。
そして、独断でアビドスから離れたと見せかけたホシノに取り付けておいた盗聴機*1から傍受した音声をもとに黒幕を特定。
作戦を説明されてない状態のカケル*2を接触させ、ホシノの居場所に関連する情報を探り、次の行動の計画を立てようとする。
些かヒヤヒヤした場面は多かったものの、上手く情報を手に入れたカケルとブラックはアビドスのメンバーにその情報を共有。
そして、カケルとブラックを先行させ、囚われていたホシノを救出し……今に至るわけだ。
「いやいやいや!? おまっ、なにホシノちゃんを囮に使ってんの!? もし間に合わなかったら……!」
生徒の身を危険にさらしてでも作戦を成功させる相変わらずクレバーなブラックに、思わず先程の態度とは打って変わって弱気な発言をするカケル。
そんなカケルに、ブラックは毅然とした態度で答えた。
『そういうことに間に合わせられるのがお前だろうが、遠山カケル』
「う、うぐぅ……い、いやそうなんだけどさ……」
「私も、先生だったから信じて任せたんだよ?」
「し、信頼が重い……!」
ホシノからの追撃もあって、カケルは項垂れるしかなかった。
「あ、先生と……ホシノ先輩だ! 皆! 来たわよ!」
「ん! 作戦大成功、ぶい」
「やりましたね皆! 私達の大勝利です!」
「よかった……本当によかったです……!」
「うへへ……心配かけさせちゃったね」
『あとで説教が待っているだろうな小鳥遊ホシノ。あれだけ無茶な行動をしたんだ、甘んじて受け入れろ』
「うへぇ、おじさんはまだ動けないんだけどなぁ……」
「俺の方からも一応説教はあるからなホシノちゃん?」
「か、勘弁して~」
そして、カケル達が向かっていた先から、遅れて合流したノノミ達が笑みを浮かべながら近づいてくる。
その様子に、照れ臭そうに頬をかくホシノと、そんな彼女に軽口を叩くブラック。
こうして、『カイザー』や『黒服』達によって引き起こされた、アビドスの一件は幕を閉じる……
――はずだった。
「ブラボーブラボー! これぞまさしくハッピーエンド!」
「皆が笑顔で苦難を乗り越える様は、まさに物語の区切りには最適でしょう!」
「ですが、まだ物足りないと思いませんかね?」
「ッ!!??」
『ッ!!』
「「「「「!!!???」」」」」
突然、辺りに鳴り響いた拍手と劇役者のような語りが聞こえ、カケル達の警戒心が跳ね上がる。
声の発生元は……カケルとホシノが帰ってきた通路の先からだ。
ここに来る前、カケル達が戻ってくるまでの間にカイザーの兵士は全て倒し、増援もないと思っていたからこそ、シロコ達はそのことに驚愕し、カケルとブラックの2人と一緒に通ってきたはずなのに、気配を欠片とて悟らせなかった声の主にホシノは戦慄する。
――そしてそれ以上に、その『声』というものが「気味が悪い」と直感的に感じさせるほどに、異質な雰囲気を纏っていたのであった。
「先生、どうする……相手は一人だけど……先生……?」
「…………っ!! て、テメェは……!?」
その空気に当てられながらも、シロコは冷静になってカケルに指示を仰ぐ。
しかし、カケルはその声が聞こえてきた方向をじっと見つめたまま呆然と呟いた。
「ん? あぁ、そうか。ここは『舞台袖』でした。ならば見えなくても仕方がないですね。これは失敬」
それを知ってか知らずか、声の主はそんな口調で言葉を紡ぎつつ、影から姿を現す。
――その男は異質であった。
先ほどまで建物の影にいて、姿を捕捉することすら出来なかったというのに、影から姿を表すとまるでインクを垂らされたかのように、じわりじわりと姿が認識できるようになる。
例えるなら、カメレオンなどが体色を変えて姿を現そうとしている時のようだ。
姿を現した男は白衣を纏っており、一目見ただけではどこかの科学者とも表現できそうな格好である。
髪はボサボサ、くたびれたジーパンを履いている姿は、まるで普段のカケルの格好をそういった方面に発展させた姿ともいえるだろう。
――だが、まっすぐとこちらを見つめてくる瞳には、カケルとは全く違うと断言できる『狂気的な輝き』を秘めていた。
「貴方達の活躍はずっと、ずっっっっっっっ……っと! 見ていましたよ! アビドス高等学校の生徒さん達、そして――」
「ドクタァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
『OK!!! Axel booster ON!!!』
「先生!? 待っ――」
「――アハッ」
カケルの怒りの咆哮と共に、ブラックはすぐさま応えた。
『アクセルブースター』を使用し、ホシノ達の目にも止まらぬ早さで駆け出したカケルは、研究者の男に殴りかかる。
全てが引き伸ばされた時間で、カケルは目の前の存在を
その様を堪えきれなくなったかのように笑った男は、その拳を直に受けて吹き飛ばされる。
男は吹き飛ばされ、砂塵を巻き上げながら壁にめり込み、動きを止めた。
『チッ! 防がれたか……おいカケル。油断しろとは言わん。だが一旦落ち着け』
「フーッ! フーッ……! フーッ……オッケーブラック、ありがとな……」
「せ、先生!? いったいどうしたの!?」
『アクセルブースター』を途中で停止させたことにより、昂っていたカケルの頭を落ち着かせるブラック。
しかし、なぜカケルとブラックがこれほどまでに容赦がなくなってしまうほどの事情を知らないセリカ達にとっては、混乱するしかない。
そんな彼女達の様子を見たカケルは、苦虫を何匹も噛み潰したかのような表情を装甲の下で浮かべ、絞り出すかのように口を開いた。
「……セリカちゃんには話したことあるけどさ、俺が『キヴォトスの"外"』で戦ってた組織があっただろ。そして、俺の体を改造した奴がいるってことも……」
「あの時のことよね……? え、ま、まさか!? で、でも、先生はその時に倒したって……!?」
カケルが『キヴォトスの"外"の世界』で戦ってた時に、敵対していた組織の名は『
『人類の浄化』という名目で大量虐殺をし、地球上の全ての人々を抹消しようとした……そんな組織の中でも、カケルを改造したのは一人しかいない。
「おや、おやおや……おやおやおやおや!! 私のことを覚えてくださったのですね!? ああ、貴方に私の存在を覚えてもらえるなんて!!!」
「あ、あれがっ――!」
「ええ、その通りですよ黒見セリカさん? 私の名は――」
「――『"ドクター"』」
「『ヘブン・オブ・ザ・エデン』の『"元"長官』についておりました者で、現在は『とある組織』に身を置かせてもらっています」
「以後、お見知りおきを」
――自身のことを『ドクター』と名乗った男は、そう言って『開幕の礼』をするのであった。
「ふんふふーん♪ 最近は平和だなー♪」
「ふんふふーん……ん? わひゃあっ!? え、何々!?地震!?」
『――ガレージより、『アサルト』が出撃します。屋外にいらっしゃる皆様は速やかに避難してください』
「え、え、え!? なにこの警報!? ど、どどどどうしよう!? このコンビニ開けとかないと給料が……えっ?」
「な、なんですかあのすごく大きいの!!!???」
『――アサルト!!! ヤット出番ガ来タ!!! ガンバルゾー!!!!!!』
Tip!
次回、「過去の因縁、過去の遺物、現代の巨人」
また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております!
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それでは皆様また次回~!