ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~   作:クラウディ

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 皆さんどうもクラウディです!
 今回の話は前回の続きで、『ドクター』についてのお話です……!
 正直書いててめっちゃ筆が進んだんですけど、自分ですら「これ本当に『透き通るような世界観で送る学園RPG』を原作にしてるんだっけ……?」と疑うレベルでオリジナル展開過多です()

 怖いよぉ……なんでこんなドシリアスな話書くことになったのぉ……?

 ま、まぁ気を取り直して、今回から真の最終決戦です!
 アビドス編完結までガンバルゾー!

 今回も「カンジロウ」さんから感想をもらっています!
 いつもいつも応援ありがとうございます!

 それでは本編どうぞ!





過去の因縁……

「私の名は『ドクター』」

 

「『ヘブン・オブ・ザ・エデン』の『"元"長官』についておりました者で、現在は『とある組織』に身を置かせてもらっています」

 

「以後、お見知りおきを」

 

 そう言って芝居じみた挨拶をする男――『ドクター』は、カケルに殴り飛ばされたダメージを負っているようには見えない余裕をもった態度で、こちらを観察してくる。

 

「っ! 気味が悪い……!」

「シロコちゃん、絶対に手を出すなよ……! 正直今まで戦ってきた奴らとは『格』が違うから……!」

『チッ! 奴はコイツから情報を得ていたのかッ!!』

 

 神経をヤスリで撫でてくるような根元的嫌悪感から、シロコは思わず武器を構えて臨戦体勢を整える。

 なんでかは分からないが、一瞬でも油断するとなにをするか読めない「未知数さ」があったからだ。

 

 いくら『フルチャージ』していないとはいえ、『アクセルブースター』を使用した状態のカケル達の一撃をもらっているはずなのだ。

 それが例えキヴォトスに住む人々基準といえど、『()()』なら気絶してもおかしくない。

 

 現に、今までカケルが『アクセルブースター』を用いて倒せなかった相手はいなかった。

 流石に手加減してたとはいえ、不良達は軒並み気絶し、ゴリアテなどの兵器は一撃で粉砕するなど、常識外れのパワーを持っているカケルとブラック。

 

 そんな2人が明らかな敵意をもって放った一撃をもろに食らっていながら、『ドクター』と名乗った男は一切の負傷が見受けられない。

 一体どういう原理で……そこまで考えたところで、アヤネがあることに気づく。

 

「ま、まさか……!? 先生に施した人体改造を自身にも……!?」

「おや、流石に察してしまいましたか。ええ、そうですよ奥空アヤネさん! 私は彼――『遠山カケル』さんに施させてもらった『進化手術』を自身にも施しているのです!」

「進、化……?」

「ああ、申し訳ありません。あなた達に対しての説明が足りませんでしたね。ならば説明いたしましょう!」

 

 アヤネ達が困惑しているのを知ってか知らずか、『ドクター』は嬉しそうに語り出す。

 

「そもそも私の来歴というものを語らなければなりませんね。私はここに来る前……それこそ『ヘブン・オブ・ザ・エデン』を設立する前は一介のしがない研究者だったのですよ。主に『生命の可能性』という抽象的な概念を探求する者としてね」

 

「『生命の可能性』……謂わば『生命体が限界を超えた先にある結果』というものですね。物心ついた時にはそれがなんでか知りたくて堪らなかったんですよ。だから私は研究者の道を進み始めた」

 

「子供の頃は退屈な毎日でした……容易く解ける問題、簡単に習得できてしまう技術、高め合うことの出来ないクラスメイト……瞬く間に『未知』が『既知』へと変わり、他の人にある『楽しみ』というものがない。その行き詰まっていた可能性をなんとか打破しようと躍起になり、しかし、知れば知るほど『私の世界』は色褪せていったのです……」

 

 

「――ですがある時、世界に色が付く瞬間を知りました」

 

 

「――個体差はあれど、全ての生命体がその魂に秘めているエネルギー――私はこれを『神秘』と呼んでいます」

 

「発見できたのは本当に偶然でした。まさか実験用に飼っていた蜘蛛から微量に検出されるとは……本っっっ当に私は運が良いっ!!」

 

「このエネルギーは遺伝子に似た構造をしていまして、種によっては採取できる『神秘』の"性質"も違いますっ! 蜘蛛には蜘蛛特有の『神秘』! (サメ)には鮫特有の『神秘』! そして……『人』には『人』特有の『神秘』が!!」

 

「遺伝子と似た構造をしたエネルギー、そして種によって変わる性質……だからこそ、私はある実験を始めました」

 

 

「――抽出した『神秘』を融合、または別の生命体に投与して、『新たな生命』……新たな『可能性』を生み出す『進化』への実験を!!」

 

 

「……な、なんなんですかあの人……!」

「それで何人も犠牲に……狂ってる……!」

 

 止まることなく早口で言いきった『ドクター』は、狂気的な笑みを浮かべており、その姿を見たノノミ達は戦慄する。

 この男は、自身の知的好奇心を満たすためだけに、他者を平気で使い潰したと自白したようなものなのだ。

 それも嬉々として、子供が新しいオモチャを手に入れた時のように。

 

 そんな彼女達の反応を見ながら、『ドクター』は笑みを深めながら肯定した。

 

「ええ、私は狂っておりますとも。ですが、狂気を持っていなければ限界には挑めませんから」

『御託はそこまでか? なら――』

「テメェは今度こそ止めてやる!!」

 

 先程まで沈黙を保っていたブラックとカケルが先程と同じように駆け出した。

 幸い、『ドクター』が長々と話をしていたお陰で、『アクセルブースター』の冷却は終わっている。

 だが、先程の一撃を防がれたのもあって切らないでおくことにした。

 

「おっと、せっかちですね遠山カケルさん、それとブラックさんも……まぁ、私も早く戦いたくて仕方がないので……」

 

『GENOMIX Changer!!』

 

「荒っぽく行きましょうか!」

 

――だからこそ、カケル達は相手に猶予を与えてしまったのである。

 

 瞬く間に距離を詰めていくカケル達の姿を見ながら、『ドクター』は懐に手を伸ばし、紫とピンクの配色をした『注射器のようなものが付いた道具』を取り出して右手に装着。

 続いて、腰に下げていたホルスターのようなものから、「ピンク色のタコ」と「紫色の蜘蛛」の絵柄が見える『試験管のようなもの』を引き抜いて左手に持ち……狂気的な笑みを浮かべながら右手の『道具』に『試験管』を装填した。

 

 

『OCTOPUS!!』

『SPIDER!!』

 

 

『GENOMIX!!!!!!』

 

 

 おどろおどろしい声と共に、機械的な待機音が周囲に響く。

 まるで、今から禁じられた実験が始まるのかと思わせるような音が発生しているのは、『ドクター』が右腕に装着している道具――『ゲノミクスチェンジャー』からだ。

 

 そして、『ゲノミクスチェンジャー』の先端にある注射器――『ゲノミクスインジェクション』の容器内へ、チェンジャーに装填した2つの試験管――『オクトパスゲノムカプセル』と『スパイダーゲノムカプセル』から、それぞれの色の液体が抽出され、螺旋を描いて「遺伝子」のような模様を描き出す。

 

 そして、容器が満たされたのを確認した『ドクター』は、自身の左胸に『ゲノミクスインジェクション』を押し当て――

 

 

「――進化」

 

 

――全ての液体を注入した。

 

 

「ぐあっ!?」

『くっ! 以前よりエネルギー量が増えているだとっ!?』

 

 瞬間、『ドクター』を中心に2つのカプセルと同じ色の液体が沸き出す。

 その波は部屋を多い尽くすかのような勢いで広がり、近づこうとしていたカケルとブラックを吹き飛ばす。

 地面を転がったカケルは油断なく見据えるが、相手は待ってくれそうにない。

 

「きゃっ!」

「っ! 危ねっ!」

 

 一息つく間もなく、カケルは液体に飲まれそうになっていたホシノ達を救出し、すぐさま液体の範囲外に避難した。

 その濁流は屋内一帯を飲み込み、校舎を容易く砕いていく。

 

 カケル達が外へと避難しきった直後、広がっていた液体はビデオテープを逆再生するかのように『ドクター』の元へと収束し、スライムのように形状を変質させていた。

 

 更地となった校舎の中心で、『ドクター』が『神秘』と呼称したエネルギーの塊が、心臓のように脈動する。

 

 そこからは、先程相対していた『ドクター』の気配を何十倍にもドス黒くした『ナニカ』が渦巻いていた。

 

「な、なによこれ……!?」

「っ! 対象のエネルギー増大しました! これは、いったい……!?」

「せ、背筋がビリビリとしてきました……!」

「これはっ、ヤバイかもね……っ!」

「っ! 先生ッ! ブラックさんッ!」

 

 まるで破裂寸前のような様相を見せる球体に、背筋が粟立つホシノ達。

 その中でも、野性的な勘を持つシロコは警鐘を鳴らし続ける本能に従い、自分達の前に立つカケルの名を叫んだ。

 

「ブラック! シールド!!」

『分かっている!! 全員、対ショック体勢!!!』

 

 それにすぐさま応えたカケルとブラックは『ホイールシールド』を展開し、衝撃に備える。

 

 

――その行動は功を奏した。

 

 

 

 

 瞬間、閃光が迸る。

 

 

 

 

 周囲の建物を全て吹き飛ばし、空に立ち上る『神秘』の奔流。

 

 遠くから見ればその様子がよく分かるだろう、周囲一帯を焦土と化していくその光の柱は、どうあっても再現しきれないまさしく『天災』。

 

 倒壊していたビルは容易く砕け散り、大地は深く抉られていく。

 

 その柱は、それほどまでの熱量を持っていたのだ。

 

 ……時間にして30秒ほど経っただろうか、光の柱は少しずつ細くなっていく。

 

「熱ッ……! ぐぅっ……! み、皆、大丈夫か……?」

「だ、大丈夫……! 一応、皆無事だよ……! でも、先生が……!」

「し、心配すんな……! このくらい後でいくらでも治るから……!」

『この熱量ッ……今まで戦ってきた『奴』の数倍はあるぞッ……!』

 

 その中心地近くで、ところどころ赤熱化した光膜に覆われたカケル達の姿が、巻きあがった砂塵の中から現れる。

 しかし、完全に無事とは言い難く、特に真正面でホシノ達を守るためにシールドを展開し続けたカケルのダメージは深刻なものだった。

 左腕の『ホイールシールド』はほぼ全壊し、全身の装甲からは火花が散っている。

 

 誰がどう見ても明らかに重症だ。

 今こうして立っていられるのも奇跡である。

 

「ええ、そうですとも。私は貴方に倒された後、偶然この『神秘』溢れる世界にたどり着きまして、思う存分『神秘』の研究ができたのですよ。そのおかげで『ゲノミクスシステム』の更なる発展につながり、今こうして――」

 

「――貴方の前に現れることができたのですから」

 

 そんなカケルを嘲笑うかのように、砂塵の向こうから声が響いた。

 

 声の主はこれだけの災害を引き起こした『ドクター』その人であるが、彼の姿は先程までの研究者然とした風貌ではなくなっている。

 全身に絡みつく血管、または遺伝子にも見える形をした装甲を纏い、背中から生える虫の足、もしくは軟体動物の持つ触手のようなアームは気味悪く蠢いていた。

 

 まるで生命体を無理矢理結合させたかのような冒涜的な姿を持つドクターは、大きく手を広げて宣言する。

 

『"I want to know the possibilities" My existence began for such a simple reason――』

 

「改めて名乗りましょう。私の名前は『ドクター』。『ヘブン・オブ・ザ・エデン』の『"元"長官』であり、現在は『とある組織』に身を置かせてもらっています。『怪人名』は――」

 

 

『――Dr.GENOMIX!!!!!!』

 

「――『ドクター・ゲノミクス』」

 

 

「『生命』というものを研究し、『神秘』に手をかけた者です」

 

 

――こうして、このキヴォトスにおける歴史の中でも、史上最大の危機が顕現したのであった。







Tip!
※実は『ドクター』はさっきの爆発で半分くらいエネルギーを使ってます


 また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております!
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