ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~   作:クラウディ

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 なんかすっごい筆が乗った()

 これを毎回維持しろと何度(ry

 という訳で今回のお話は、カイとカケル先生が出会った時のお話です。

 「カンジロー」さん、「ゴジロット」さん、感想ありがとうございます!

 では、本編をどうぞ!





幕間:アビドス事件のあと!その2!

 

 

 

 

 

――このキヴォトスには、「七囚人」と呼ばれる生徒がいる。

 

 

 

 

 

 この言葉は元々、『ヴァルキューレ警察学校』や『SRT特殊学園』によって捕縛され、連邦矯正局に収監されていた凶悪な7人の囚人達のことであり、現在は「連邦生徒会長」が失踪したことで各学園や連邦生徒会の施設各所が混乱が生じ、その隙に脱獄してしまった者達のこと。

 

 その生徒達を纏めて「七囚人」と呼ぶことにしたそうな。

 

 その内の1人が『五塵の獼猴』――「申谷カイ」である。

 

「えっとぉ……そんな子がなんで俺のところに……?」

「なに、単純な興味というやつだ。件の先生とやらはどんな生体をしているのかというね」

「さいですか……」

 

 という話を、散歩ルートの最中にあるカフェのテラス席で聞かされたカケルは、同じテーブルに相席するカイへと疑問を投げかけた。

 そんなカケルの疑問に何でもないように答えたカイは、自身の前へと置かれている紅茶の入ったカップを手に取り、優雅な所作で飲み干していく。

 自然体を維持しながらくつろぐカイの姿を見つつ、カケルの方はおそるおそる紅茶に口を付けていた。

 

 そんな2人の傍らで様子を見守るのはカケルの相棒であるブラック。

 

『…………』

「そんなに睨まないでくれるかな、ブラックさん? 先程も言った通り、彼に単純な興味を持っただけだよ」

『……この阿呆のデータを渡すつもりはない』

「分かっているさ。この陰謀渦巻くキヴォトスで、盤面を如何様にもひっくり返せる手札は持てるだけ持てる方が良い。その一つがあの『巨人』だろう? 名前はアサルトだったかな?」

『……耳が早いな。貴様の所属は『山海経』のはずだったが……』

「おや、もう調べはついているのか。流石だね。まぁ、追放されてしまったせいで情報に関しての縛りはないようなものだよ」

 

 「悲しいね、私はただ単純に研究をしていただけなんだが……」と目元を伏せる割には悲壮感を漂わせていない。

 まさしく「どうでもいいことをしていた」と言わんばかりの態度だ。

 

――だが実際に、目の前の興味深い対象に比べれば、カイにとって()()()はどうでもいいことである。

 

「本名、遠山カケル。年齢は20代半ば。性別は男性。キヴォトスを訪れる以前はアルバイト生活を送っており、現在は連邦捜査部シャーレの担当顧問に就任している。好物はラーメン。趣味はツーリングやアルバイト。そんな君は世間的に「熱血漢」、「ちょっと暑苦しい」、「見ていないといつ倒れるか心配」と様々な評価を受けているそうだよ。その他にも……」

 

「いやちょっと待って、見ていないといつ倒れるか心配って、俺そんな頼りないか!?」

『頼りないどころの話ではないだろうが……大体お前はな……』

「今の流れで説教にまで持っていくのかよブラック!?」

『やかましいぞカケル。大体なんだ、この間もエナジードリンクを大量摂取したことで火宮チナツに看病されていただろう? 『うーん……ごめんねチナツちゃん……俺もっと頑張るから……(録音)』とは誰が言ったか……』

「ちょっと待てブラックゥ! おまっ、それ録音してんじゃねぇよ!!」

『その他にも書類、家計簿その他諸々は早瀬ユウカに頼り切り』

「ぐぅ……!!」

『先日は完全に怪我が治り切っていないというのに働きすぎてベッドに拘束』

「ぐぬぅ……!!」

『その過程で当番であった羽川ハスミと守月スズミに大慌てで介抱されていた』

「ぐはっ……!!」

『なぁカケル、俺は数年前にもこの光景を見た気がするんだが?

「…………す、すみません……」

『すぐに謝れるのはお前の長所だ。その気力を他でも活かせるようにしろ』

「はい……」

 

「……話を振ったのは私なのだけれど、まさかそんな反応になるとはねぇ……」

 

 これ以上カケル達に大きく警戒されないかつ、世間話程度のものから揺さぶりをかけようとカイが話題を振ると、なんでかカケルが意図していない所で反応し、その様子を見たブラックが嘆かわしいと言わんばかりに説教が始まった。

 しかも普段は冷静であるはずのブラックが、怒気すら感じさせる口調でカケルに言葉を叩きつけていく。

 その圧にぐうの音も出ないカケルは椅子の上で縮こまってしまうのであった。

 

 そんな2人の様子を見ていたカイは、少しばかり引きながらも話を続けていく。

 

「それでだねブラックさん、私が君達に接触した理由はもちろんあるよ。その為には先生のサンプルが欲しくてね。もし協力してもらえるのであれば――」

『――先程も言っただろう。この阿呆のデータを渡すつもりはないと』

 

 「カケルのサンプルが欲しい」というカイの言葉に断固として拒否するブラック。

 『場合によっては力尽くであっても捕縛する』というのを、いつでも『変身』できるような状態で伝えてきた。

 

 そんなブラックの様子を見ながらも、カイは余裕のある態度を崩さない。

 

「あぁ、実のところ、あなたの持つ『ブラックライダー』としてのデータ自体にはあまり興味がないよブラックさん。私自身、それなりに腕のある研究者だ。そういった物は後から自分で纏めればいい」

『…………まさか『ブラックライダー』よりも『()()()()()』に興味が湧くとはな。これだから研究者は苦手なんだ……』

「理解が早くて助かるよ」

 

 そう言って紅茶で軽く喉を潤すカイとは対照的に、忌々しそうに彼女を睨みつけるブラック。

 ブラックとしてはあまり触れられたくない事だった。

 

 

 

「人類を進化させる技術――『ゲノミクスシステム』に適合した新人類の一人でありながら、『神秘』に飲み込まれて変異することはなく、それでいて自身の中で神秘を高め続けるまた別の存在へと『変化』した「(遠山カケル)」の肉体に興味があるんだ」

 

 

 

 そう、カイが求めているのはカケルの肉体についてだった。

 

 

 

――『ゲノミクスシステム』

 

 カケル達が先日、アビドスの砂漠で大規模な戦闘を行った際、対峙していた相手――『ドクター』が作りだしてしまった技術のことであり、この技術は全ての生命体に存在するエネルギー――『神秘』を抜き取って別の生命体に投与するもの。

 これを投与された存在は、本来なら持ち得ないエネルギーを獲得したことで『進化』し、その過程で肉体は強化され、本来なら持ち得ない力を獲得するのだ。

 

 だが、この技術は、一つの生命体から命を奪って他者に与える危険かつ非人道的なもの。

 さらに、この力に適合できなければ()()()()()()()()()()()()狂気の技術であったため、表舞台に出ることはなかった……。

 

 

――さぁ! 人類の進化へと挑みましょう! 貴方も、進化の先駆けになれるんです!

――ぐっ! 離せッ! 離せよッ!!

 

 

――しかし、数年前にキヴォトスの外で起こった事件――『ゼロデイ』の際、事件を起こしたカルト組織――『ヘブン・オブ・ザ・エデン』によって捕らえられたカケルは、『ゲノミクスシステム』による改造を受けてしまったのである。

 

「カケル先生はその時に『ゲノミクスシステム』に適合。経過観察として閉じ込められていた時にあなたが助けに来た……違うかい?」

『……『ドクター()』が何を企んでいるのかを考えればいいのか、奴との縁は切った方が良いと諭した方が良いのか……』

「それに関しては私の方からお断りさせてもらったよ。彼と私、気質は似ているが明らかに裏切られそうなのでね」

 

 カイの言葉に心底頭が痛いと言わんばかりに低いエンジン音を鳴らすブラック。

 「まさか、あの気味の悪い男がここまで手を伸ばしていたとは……」と思わずにはいられなかったからだ。

 

『……そこまで知っておきながら、『ゲノミクスシステム』に手を出すのか?』

「あなたなら私が研究している物も知っているだろう?」

『……「不老不死の霊薬」……』

「正解。データは確かに有れば嬉しいよ。だけど一番欲しいのは凄まじい強度を持つ肉体のサンプルさ。設計図があっても材料がなければ何も作れないからね」

『そうか……』

 

 ブラックの言葉に言外に肯定するカイの姿は、まさしく『悪の科学者』とでもいうべきものだった。

 

 人当たりの良い笑みを浮かべながらも、その顔はまるで仮面を被ったかのようにピクリとも動かず、しかしその眼には欲望が渦巻いている。

 

 彼女の言葉を聞いたブラックは小さく呟いたかと思うと、先程以上の警戒心をあらわにして立ち上がった。

 

 

 

『――だからと言って「はいそうですか」とこちらも了承するわけにはいかない。まだ俺達にはやることがあるのでな』

 

「……交渉決裂、か。まぁ仕方ないか。それでもサンプルは持ち帰らせてもらうよ」

 

 

 

 ブラックは内部に格納していた物資を即座に銃などの武装へと変換し、カイも笑みを消しながら立ち上がったことで、その場は一触即発の状況へと変わる。

 

 どちらかが少しでも動けば即座にこのカフェが戦場になることは明らかだ。

 

 そして互いに攻撃を仕掛けようと――

 

 

「えっと、ちょっといいか?」

 

 

――したところで、先程まで会話に入っていなかったカケルが声を上げた。

 

 

『……どうしたカケル、お前の身が狙われてるんだぞ』

「あー、それもそうか。なんか『ドクター(あの野郎)』みたいな感じじゃないから、なんかそこまで切羽詰まった感じになれなくてさぁ……」

 

 「なーんかヤバいっていうよりかは、また変な気持ちが湧いてきて……」そう言いながらカケルは、ティーカップの底に残っていた砂糖の塊をスプーンで溶かしていく。

 しかし紅茶が冷めているからなのか、いくら混ぜても砂糖がなかなか溶けることはなく、その様子を眺めながらカケルは頭をひねっていた。

 

 そんな危機感のないカケルの態度に、思わずカイは口を開いた。

 

「……命が狙われているというのに、怖くないのかい?」

「怖くないわけじゃないんだろうけどさ……なんかそれ以上に気になるんだよなぁ……」

「気になる、とは……?」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? 俺に声かける前にいろいろとサンプルを取る手段はあったんじゃない?」

 

 

 

 そうカケルが言った瞬間、明らかにカイの纏う雰囲気が変わった。

 

「……それはまたどうしてだい? こうしてわざわざ顔を合わせれば、後腐れなく用件を済ませられるだろう?」

「んー……失礼になるかもしれないけれど、カイちゃんは真正面からこういうことはしないと思うんだよ。俺の偏見だけどね。普通だったらこんな無防備なことはしないと思う……いや、もしかしたら色々と手を回しているとは思うんだけどさ」

「……何が言いたいんだい?」

 

 カイの困惑したような声を聞きながらも、カケルは「なんか引っかかる……めっちゃ引っかかる……」と呟きながら紅茶をゆっくりかき回す。

 そんな2人の様子を見ていたブラックは、やがて合点がいったのか臨戦態勢を解除しながら言葉を発した。

 

『……なるほどな……ならカケル、あとは任せたぞ』

「え、まぁいいけど。あ、話の続きまだあるんだった」

 

 先程まで殺気立っていたブラックが急に矛を収めて後ろに下がっていくのを見送ったカケルは、警戒と困惑交じりのカイの方を向いて話す。

 

「カイちゃんの前評判とか聞いてる限りでは「誰であっても利用する悪の研究者!」って感じだったのよ。でも実際に会ってみたらなーんか食い違うなって思って……この違和感が何かなぁ、ってさっきから考えてるんだけど、俺、馬鹿だからよく分かんなくてさ」

「……馬鹿に付ける薬はないよ」

「ダイジョーブダイジョーブ、薬があっても俺は馬鹿のままでいいよ、悩めるから。あ、悩みと言えば聞きたいことあるんだけど大丈夫?」

「……続けてくれ」

 

 カケルの言葉が紡がれ行くにつれて、カイの警戒心も和らいでいく。

 次第に立ち上がっていた彼女も、カケルと同じく席についていた。

 

「カイちゃんって、昔は何がやりたかったの? その『不老不死の霊薬』とかを作って何かを研究し続けたいとか?』

「……………………驚いたね、まさか私が自分のことを『分からない』と思うとは……」

「あ、やっぱりか」

「……予想していたのかい?」

「おう、多分さっき自分で声かけてきたことも分からないんでしょ? 自分でも予想外の行動しちゃって、それを無意識に隠すためにさっきの俺のサンプル云々の話題を出した」

「……確かに、そう言われると私の行動は不可解な点が多かった……なぜ……」

 

 「やっぱりなー、ロックの兄貴もいきなり声かけて来たことあるし」と一人納得するカケルを尻目に、カイは深く考え始めた。

 

――カケルが思ったことは単純だ。

 

 「なんで自分よりも頭のいい彼女が、『ブラックと自分がそろっている(不利な)状況』になるまで近づいてきたのか」ということに対する疑問と、「そうまでしても自分達に接触したかったのはなぜか」についてだ。

 

――カケルはバカである。

 

 書類整理は得意ではなく、勉強は苦手。

 肉体的な感覚は優れているものの、よっぽどではない限りその才能は活かされず、傍目から見れば「バカな人間」に見えるだろう。

 

 

 

――だが、カケルは迷っている「誰か」を平気で見捨てられるほどの「悪」ではない。

 

 

 

『なぁカケルちゃんよぉ……俺は『普通じゃないって言われる』のが怖くなってたのかもしれねぇな……』

 

 

――そう、カケルにとっては彼女が助けを求めているように感じたのだ。

 

 

 まるで、自分の信じて進んでいた道を否定され、人ごみの中で「普通」を押し付けられ、自分が消えるのが怖くて逃げだし、それでも誰かにこの叫びを聞いてもらいたくて、道端で一人ギターを弾いていたあの『ロックスター』のように。

 

「たぶんさ、カイちゃんって結構な天才でしょ? それこそ『不老不死の霊薬』とかも材料さえそろえば作れそうなぐらい。で、カイちゃんはそれで多分色々とやってたと思うんだよ。薬の力でいろんな人を助けたり、誰かの願いを叶えたりとか」

「……最初は些細なものだったんじゃないかな……」

 

「でも多分それだけじゃ上手くいかない。世の中ノーリスクで行くことはできないからね。そして薬には副作用だってある。それが『()()』だ」

「……あぁ、だがそのリスクを承知で進まないと次には進めない。『不老不死の霊薬』だってそうだ」

 

「カイちゃん自身、『求められれば応える』気質だったんじゃないかな? だから続けた。相手に求められたから自分は答える。それが『()()』だから」

「そうさ、求められれば応えなければならない。それが『()()』だろう?」

 

「でも、その『()()』が他の人にとっては『()()』じゃなくて、でもそう言われることが『()()』になって、いつしかカイちゃんは……」

 

 

 

「そうだ――『化け物(普通じゃないもの)』になってしまったんだ」

 

 

 

「ははっ……まったくお笑いものだね。まさか他人のことを気にしていないと思ったらその実、自分が思っている以上に気にしていたとは……」

「でもさ、カイちゃん。人の言葉を気にするって結構『普通なんだ』よ」

「そうだね……確かに普通だ……」

 

 

「だからさ、カイちゃん――」

 

 

 

「――手を伸ばして、『普通になりたい(助けて)』って言っていいんだよ」

 

 

 

「……ははっ、お人好しにもほどがあるよ、先生」

 

 そう言って、カイは大きく肩の力を抜いて椅子に深く座り込んだ。

 自分がこうなってしまったことの原因に気づけたのだ。

 

「私がこうも馬鹿なことを考えていたとはね……感謝するよ先生」

「いいよいいよ。話を聞けて違和感なくなったから俺もすっきりしたし」

「いや、これに関しては感謝してもしきれない。お礼にどうかな? 疲労を取るために熟睡できる薬があるんだが……」

「え! そんなものがあるの!?」

「もちろん、私が良く愛用しているものでね……」

 

 先程までの空気から一転して、世間話ができるほどの状態になったカイとカケル。

 いつの間にかカケルは、先生としての役割を果たしていたようだ。

 

『……話は終わったようだな』

「あ、こういうことだったのかよブラック」

『お前には何も知らせず、本心でぶつかりに行かせた方が良いからな。それでどうだ、コイツのカウンセリング能力は?』

「凄いという言葉しかないよ。まさか自覚していなかった本心すらも引きずり出されるとは……」

『だろうな』

 

 そんな2人が会話に花を咲かせている様子を見たブラックは、周りに響かない程度の音を鳴らしてカケル達に声をかけた。

 

――ブラックはカケルが話に加わってきた時点である程度こうなるだろうとは予測していた。

 

 カケルはあまり計画性がない。

 しかし、「計画を立てるより行動あるのみ」のスタンスでいつも動き始めるカケルが、今回のように動き始めると、そういう時こそ上手くいく。

 

 だからこそ、ブラックはカケルに任せたのだ。

 

「さて、私は大人しくお縄につこうかね」

「え!? なんで!?」

「何で、とはおかしなことを言うね先生。私は多くの罪を犯してきた『囚人』であり、罪から逃げた『脱走者』だ。こうして振り返ることができたのならば『自首』しなけといけないからね。ブラックさん、頼めるかい?」

「ど、どうすんだよブラック!?」

 

 しかしあまりにもカケルのカウンセリングが効き過ぎたようで、カイは自首することを申し出て来た。

 当たり前といえば当たり前、『()()』であるならばその罪を認めて捕まるのが『囚人』だ。

 

 だからこそ、この場で一番「公平」であり「善」であるブラックに声をかけたのだが……

 

『あぁ、それに関しては安心しろ。申谷カイ、貴様にはこれから『連邦捜査部シャーレ』の「専属産業医」になってもらうことにした』

「せ、せんぞくさんぎょうい……? ……ってことは!」

「……どうして……いや、そういうことか――」

 

 ブラックの突然の宣言に喜ぶカケルと、少しの間だけ困惑したがすぐに納得するカイ。

 そして彼女はブラックの真意を理解した。

 

「――私に『更生』の機会を与えてくれるんだね? そのついでに私のような危険人物を手元に置いておきたいと」

『あぁそうだ。そのついでにこの阿呆の主治医になってもらうことも追加しておく。この馬鹿はよく倒れるのでな。猫の手も借りたいぐらいだ』

「……ふふっ、素直じゃないですね、ブラックさん」

『堅苦しいのはよせ』

「よ、よかったぁ……! よかったなカイちゃん!!」

 

 

 

 

「――あぁ、とても嬉しいよ」

 

 

 

 

 こうして、シャーレのメンバーが増えたのである。

 

 

 


 

 

 

 こうして今に戻る。

 

「私は貴方に返しきれないほどのものをもらったんだ。それを返し切るまでに、手が届かない所へ行かないでくれよ」

「はい……ごめんなさい……」

「よろしい。今日は予定が入っているかな?」

「えっと、アビドスの方で色々と……」

 

 最初こそユウカ達に追及されることはあったものの、カイはすっかりシャーレに馴染み、今は頼れる主治医として働いている。

 

 彼女がシャーレにいるということを知った山海経とひと悶着あったものの、今は解決してシャーレと協力体制を築いている。

 

 カイが研究していた「不老不死の霊薬」については……彼女自身ですらそう簡単には触れられない場所へと隠した。

 

 だってもう必要ないからだ。

 

 普通であっても、普通じゃなくても、自身のことを認めてくれる――

 

 

 

『――手を伸ばして、『普通になりたい(助けて)』って言っていいんだよ』

 

 

 

――手を伸ばしてくれた相手がいる。

 

 

 だからこそ、彼女は今日も手を伸ばす。

 

 

――伸ばしてくれた手を掴むために。

 

 

 

 連邦捜査部シャーレの空は、今日も晴天であった。







Tip!!

今回は特になし!



 という訳でカイとカケル達が出会った時のお話でした。
 あと何話か幕間を挟んで時計仕掛けの花のパヴァーヌ編を開始する予定です!

 また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております!
 応援に関しては、「お気に入り登録する」「作品への高評価」「感想を書く」「ここ好きたくさん押してみる」などがありますので、皆様の好きな方法で応援してください!

 それでは皆様また次回~!


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