ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~ 作:クラウディ
本日2度目の投稿~
ちょっと、主人公に関しての伏線を入れてみました。
伏線……って言えるほど伏線じゃないけど……
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とりあえず、本編どうぞ。
とりあえずは不良達も鎮圧し、シャーレの中へと入ることができた俺。
その先では今回の騒動のリーダー的存在であるワカモちゃんがいたんだが……なんでか何もせず逃げて行ったのである。
なーんか顔をじっくり見られたけど、そんなに俺の顔っておかしいかなぁ……。
そんなことを思っていると、上につながる階段からコツコツと靴の音を響かせて誰かが降りてくる。
降りてきたのは……リンちゃんだ。
リンちゃんは特に怪我もなく、こちらと違ってだいぶ苦労はなかったようである。正直、あんな目に会った身からしてみるとそこまで怪我がないのは羨ましい。
「お待たせしました」
「……あ、お疲れリンちゃん。そっちは大丈夫だった?」
「えぇ、こちらの方にも不良たちが来ましたが、部隊の者のおかげで無傷です。……どうされましたか?」
「あ、うーん……さっき、今回の主犯格の……ワカモちゃん、だったっけ? と出会ったんだよね。特に何もせず逃げてったけど……」
「! あれほどの生徒が何もせず……? 何があったのでしょうか?」
「わっかんね。とりあえずは、俺達は俺達の用事を終わらせよう」
「そうでしたね。幸い無傷なようですし……はい、こちらをどうぞ。連邦生徒会長から先生への贈り物だそうです」
特に荒らされた様子もない部屋の中を探すリンちゃん。
やがて見つかり、スッと手渡されたのは……真っ白なタブレットだった。
「……何の変哲もないようなタブレットだけど……これが?」
「はい。これが、連邦生徒会長が先生に残した物――『シッテムの箱』です」
「シッテムの箱……」
思わずこのタブレット……"シッテムの箱"という名前を反芻する。
ただの記録用の物ではなく、固有名詞まで与えたタブレット……か……。
……ってか、シッテムってなんだ……? 箱ってなんだ……? そこは普通、板じゃねぇのか?
……でも、どこかで聞いたことがある……そんな奇妙な感覚があった。
「見た目は普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みの全てが不明。連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言ってました」
「は、はぁ……で、パスワードは?」
流石にリンちゃん以上に頭賢くないし、たぶんさっき戦った不良と同程度の頭脳しかない俺じゃ、ハッキングする方法どころかパスワードも知らない。
一抹の希望をかけて聞いてみたものの、リンちゃんの顔は暗い。
「……すみません先生。私達ではパスワードを解除することすら……」
「だよなぁ……俺はリンちゃん達ほど頭よくないどころか、模試で最底辺取りかねないレベルであったま悪いのに、これ解けるわけ――」
頭を書きながら悩んでいた次の瞬間、脳裏によく分からない言葉が思い浮かんだ。
――我々は望む、七つの嘆きを。
――我々は覚えている、ジェリコの古則を。
…………あれ?
ちょっと待てよ……これ、パスワードか?
……試してみるか……。
「――ごめんリンちゃん。多分、パスワード分かったかも」
「! 本当ですか? それなら……」
「うん、ごめん。離れててもらえるとありがたいかも。こんだけ重要だからパスワードもバレるのヤバいだろうし」
「分かりました。何が起こるかわかりませんので、お気をつけて……」
「大丈夫だよ。なんでか分からないけど、そんな"確信"があるんだ」
そう言ってリンちゃんを下げて、部屋に一人となった俺はタブレットを起動する。
――…………
――Connecting To Crate of Shittim……
――システム接続パスワードをご入力ください。
そんな文字が画面に出るとともに、入力画面へと移行する。
そんな画面に指を走らせてパスワードを入力した。
……我々は望む、七つの嘆きを。
……我々は覚えている、ジェリコの古則を。
――……。
――接続パスワードを承認。
――現在の接続者情報は遠山カケル、確認できました。
『『シッテムの箱』へようこそ、先生。生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステム、A.R.O.N.Aに変換します』
瞬間、視界が光で覆いつくされた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「こ、こは……」
光に覆いつくされた視界が光に慣れてくると、その先にあったのは……青い、蒼い教室だった。
まず目についたのは、天井も含めて崩壊した教室の壁。
その向こうにはどこまでも広がっていそうな青い海と空。
そこから流れ込んだ海水が教室の床一面を覆っている。
本来なら規則正しく並べられているであろう一部の机と椅子は教室の外に乱雑に山積みされていた。
完全に異質な空間に放り出されてしまった俺は、凄まじい混乱に襲われる。
だが、不思議と悪意は持てなかった。
なんだか、この空間にいることに"安心"したからだ。
そんな場所に放り出されてしまったが、あるところに意識が向いた。
『くううぅぅ……Zzzz……くううぅぅ……Zzzz……むにゃ、カステラにはぁ……いちごミルクより……バナナミルクの方が……』
ここの空をそのまま落とし込んだような髪色に、リボンのついた白いカチューシャを付け、リンちゃん達が持つような天使の輪っかを持つ少女(爆睡中)。寝言なのか、よく分からんことを呟いていた。
いや、カステラにバナナミルクは確かにうまいが……って、そうじゃなくて!
「おーいお嬢ちゃーん。起きてくれー」
『くううう……Zzzzzzz……えへっ……まだたくさんありますよぉ……』
「…………」
試しに声をかけてみたが、誰かと夢の中で話しているのか全然起きる気配がない。
普通に声をかけた程度じゃ起きないので実力行使に出ることにした。
「ほい」
『うにゃ……まだですよぉ……しっかり噛まないと……』
「ほれほれ」
『あぅん……でもぉ……』
「せいっせいっせいっ!」
『……うぅぅぅんっ』
頬を連続で突いてみてみると、流石にこれには参ったのか少女は寝ぼけ目をこすりながら立ち上がった。
……こうしてみると、小学生レベルで身長が低い。高校生程度のユウカちゃん達と比べるとより一層小さく感じる。
そんな彼女はよだれを拭いながらこっちへと向き直る。
『むにゃ……んもう……ありゃ? ありゃ、ありゃりゃ……? え? あれ? あれれ?』
「やぁっと起きたか眠り姫さん?」
その声帯から発せられた声は、若干ノイズ音交じりであり、彼女が人ではなく"機械"であることを感じさせる。
とりあえずは彼女にフランクに声をかけてみたんだが……。
『せ、先生!? この空間に入ってきたっていうことは、ま、ま、まさかカケル先生!?』
「あー、うん、まぁ、先生だよ。遠山カケルなのも合ってる」
なんだかすっごいびっくりしたような表情で俺のことを先生と呼んできた。
ってか、ここでも先生呼びか……マジで俺が知らないだけで、昔はここで先生やってたんじゃねぇかって思い始めてしまう。
それはさておき、今は目の前のこの子の方が先だ。
『う、うわあああ!? そ、そうですね!? もうこんな時間!? うわ、わああ? 落ち着いて、落ち着いて……』
「うん、とりあえずは落ち着こうか。ほら深呼吸深呼吸」
『そ、そうですね……すー……ふー……』
なんだか予想以上に取り乱していたので、深呼吸をさせて落ち着かせる。
数回繰り返していくことで彼女も落ち着きを取り戻したようだ。
「落ち着いたようで何よりだよ。何事も落ち着いていかなきゃいけないからね」
『あ、ありがとうございます先生……あ、ま、まずは自己紹介から!』
……なんだか、思っている以上にこの子人間らしいな……。
それはさておき、まずは自己紹介から始まった。
『私はアロナ! この『シッテムの箱』に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする"秘書"です!』
「秘書……そんなことも連邦生徒会長って人に頼まれたのかい?」
『はい! それが私の役割ですから!』
「ふぅん……」
システム管理者や、OSだか何だかは全部すっ飛ばして思ったのは、こんな子に秘書を頼ませる連邦生徒会長が何者なのかについてだった。
まず、俺を呼んだのは連邦生徒会長。
そして失踪したのも連邦生徒会長。
そして、この空間を形成しているであろう『シッテムの箱』を俺に渡すよう指示したのも連邦生徒会長。
今のところ、重要そうな事柄には全部『連邦生徒会長』が絡んでいる。
そもそもの立場的にも重要そうなのがやつが失踪するのが謎だ……そしてこんなに自然に感情というのを感じ取れる人工知能があるなんて……。
……今考えてても仕方ねぇな。よし切り替えてこう。
そんな感じで考え込んでいた俺を不思議そうにのぞき込んでくるアロナ……アロナちゃん? ……なんだかアロナの方がしっくりくる……。
とりあえずはアロナちゃんの話を聞こう。万が一が起きてからは遅いからな。
「ごめんね遮っちゃって。それで、他には何かあるかい?」
『はい! やっと先生とこうして話せるなんて……ずーッと待っていたんですよ? それはもうずーっと!』
「あはは……なんかごめんね?」
『大丈夫です! これからは一緒にいられるので!』
……なんだか申し訳ないな……。
そう思って彼女の頭をなでてしまうが、彼女は特に嫌がりもせず目を細めて『うへへ~』と身を任せるだけだった。
「とりあえずは……よろしくな、アロナ」
『はい! よろしくお願いします! えっと……まだ体のバージョンが低い状態でして、特に声帯周りの調整が必要なのですが……頑張ってサポートしていきますね!』
「…………」
その無邪気な姿に思わず頬が緩んでしまう。
前にも、こんなことがあったっけか……。
……。
……。
……? "前、にも"……?
――先生!
「…………」
『先生?』
「あ、うん、何でもないよアロナ。これからも頑張っていこうな」
『はい!』
なんだか"何か"を思い出しそうだったけど、そんな気持ちはすぐに霧散した。
何だったんだろうな……さっきの……。
『あ、そうだ! 形式的ではありますが、生体認証を行います!』
「生体認証……あぁ、ブラックにもあるやつか。それで、どうするんだ?」
『えっと……こう、人差し指をくっつけて……』
「E.○.かな?」
『あ、あはは……確かにそうっぽいですね。でも、私にとっては指切りするみたいでいいと思います』
「確かにね……」
互いに軽く笑って指先をくっつけた。
少女特有のモチッとした指先に、自分の少しささくれてごつごつした指をくっつける。
確かに、これは指切りみたいだ。
まるで、絶対に叶えたい約束……みたいな? とりあえずはそんな感じだった。
『うん! これでいいはずです! 少し待っててくださいね!』
「"はず"ってなんだよ。"はず"って。心配だなぁ……ブラックですらもうちょい早いぞ……」
『……先生は、私じゃ満足できないんですか?』
「やめなさい。なんか俺が社会的に死ぬから」
『えへへ、冗談ですよ~』
いいや、あれは割とマジだった。俺を社会的に殺してもいいというくらいの"凄み"があったぞ……。
『はい! 確認終わりました! それで、先生はどうされたのでしょうか?』
「どうされたか……とりあえず、俺が憶えてる範囲でいい?」
そうして、事情を話し始めるのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『なるほど……先生の事情は大体わかりました。連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでキヴォトスのタワーを制御する手段がなくなった……』
「ま、そういう感じだよ。そして、俺は連邦生徒会長とやらに出会った覚えもない。それに加えて、俺はこんな仕事に向いてるとも思ってない。それなのに目が覚めたらここにいてさ? 分かんないことだらけなのよ。……ブラック以外の"あいつら"も呼んどくか……」
『え、ブラックさん以外もですか? 流石にそれはオーバーパワーなのでは……』
「流石に異常事態が多すぎるのよ。……"アサルト"がオーバーパワーなのは否定できないけど」
そう雑談しながら俺達は今後の計画を練っていく。
正直、ブラックだけじゃ解決できない問題が多すぎるため、"他のやつら"も呼ぶことにしたのだ。
「んー……ブラックは今回の件でガッツリ使ったからこれからも使っていくとして、"スペース"は大きさからしてまだいい。……問題は"アサルト"だな……」
『話を聞くだけでもすごく大きいんですね"アサルト"さん……』
「まぁ、ね。相手の拠点もろともぶっ壊せる"アレ"はよっぽどじゃないと使わないよ。……よっぽどのことが起こったら使うけど」
『……リンさん……ご愁傷様です』
「南無南無……」
2人でこれから起こるであろう被害……それに付随する問題を処理するであろう人物を思い描き、合掌する。
せめて、"アレ"は使うことになりませんように……。
「んじゃ、サンクトゥムタワーの権限、戻せるかアロナ?」
『はい! アロナにお任せください!』
こうして、一先ずの目的は完了したのである。
Tip!
"アサルト"と"スペース"の二人()は、アビドス編に"アサルト"が、パヴァーヌ編に"スペース"が登場します。
お楽しみに~
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