ブルーアーカイブ ~先生は「ブラックライダー」~ 作:クラウディ
今日二度目の投稿です。
今回は主人公の過去に少し触れてみました。
今回も「伝説の超三毛猫」さんから感想をもらっています。
毎度ありがとうございます(深々ァ)
それと、「roines」さん、☆6評価ありがとうございます。
更に精進していきますので、皆様の応援よろしくお願いします。
それでは、幕間どうぞ。
幕間!ユウカちゃんへの労い!
俺がシャーレに就任して早数日。
権限はあっても知名度ほぼゼロのシャーレに就任して早々起きたのは、書類を大量に捌いていくことだった。
それ自体は後日また来てくれたユウカちゃん達のおかげでなんとか終わったのだが、正直事務関係ができないことは、その日のうちにすぐさまネットで広がってしまったのである。
――べ、別にいいもん! 俺そもそもそういうの向いてないし! 肉体仕事特化だし! 文句言うなら連邦生徒会長に言ってくれ!
とまぁ、そんなことがあったのが大体3~4日前なので、いったん書類仕事が終わった今日はシャーレをお休みとさせてもらい、気ままにドライブしていたのだ。
もちろんただのドライブではなく、シャーレ以外にも用があって……。
っと、そんなことを考えている間に着いたようだ。
「ユウカちゃんの言ってたとこはここかぁ……」
ゴーグル越しに見える、巨大で近未来的な学園。
記憶が正しければ、ここは……。
「ミレニアムサイエンススクール、か……ひっろいなぁ……」
"ミレニアムサイエンススクール"。
ユウカちゃんが通っているという学園だそうだ。
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――"ミレニアムサイエンススクール"
割と最近にできた学校としては、規模はキヴォトスで一二を争うゲヘナ学園やトリニティ総合学園にひけを取らないレベルで大きいという学園。
主に科学技術に力を入れており、「千年難題」っていう今の技術では解けない7つの難題に立ち向かう研究者達の集まりからこの学園の原型ができ、千年難題に取り組む実験や検証の過程で研究機関が増えてきた結果誕生した……とのことだ。
そんなミレニアムが証明に力を入れてる「千年問題」についてアロナに色々と解説してもらったものの、「ヤン=ミルズ方程式と質量ギャップ問題」とか「リーマン予想」とか「P≠NP予想」だとか……よく分からん単語の羅列が俺の頭に流れ込んできたので早々に考えることをやめたのである。
「そんな問題が一個は解かれているとかマジ?」そんな感想しか思い浮かばなかった勉強会であった。
そんな感じの学校に俺は今日訪れている。
訪れた理由に関してはまぁ……ユウカちゃんへの労いである。
なにせ、ここ一週間ほぼ毎日来てもらって一緒に書類を捌いていたのだ。
それもユウカちゃんと俺の仕事量の割合が8:2という酷すぎる状況で。
その代わり、不良達の暴動とか物資運搬とかの力仕事は俺一人で終わらせてきた。
なんでかと言えば、ユウカちゃん自身が力仕事に向いてないってのもあるけど、一番はあれだけ仕事まかせておきながら連れまわすとかできないし……って気持ちがあったからだ。
なんか、ユウカちゃんの雰囲気的に全力で土下座すれば何でもやってくれそうな感じがしたからである。
多分、そんなことしたらユウカちゃんは無理をしてでもやってしまうであろう。
だがしかぁし! 俺はそんなことをする鬼畜ダメ人間ではなぁい!
これでもちゃんとした大人である俺は、そこのところの分別は出来ているのだ!
だからこそ、いつもの感謝として労いをしに来たのである!
…………そんな勇ましいこと言っておきながらも、
「……道、迷ったわ」
ヒュオオオオ……そんな風の音が聞こえてきそうなほどの状況で、俺は迷子になってしまったのである。
いやね? ここは初めての場所だし? そもそもあんまりリサーチしてなかったし? だから俺は悪くねぇ!
……やめよう。虚しいだけだ……。
「あれ? 先生? こんなところでどうしたんですか?」
「へ? あ、ユウカちゃん!」
どこへ行こうにもさらにひどくなりそうで立ち尽くしていた。そんな時に救世主ユウカちゃんが現れたのである。
この時の俺の気持ちは砂漠のど真ん中でオアシスを見つけた旅人のようであった。
そんなユウカちゃんは、抱えている書類が大量に入った段ボール箱を地面に置き、こちらへと向き直る。
「今日はどうしたんですか先生? シャーレはお休みのはずですけど……」
「あー、実はユウカちゃんへの労いも兼ねて、キヴォトス内の学園を回ろうとしてるんだ。流石にどこへ行くにしたってそこの地形とかを知らないと! って感じに」
「私への労いですか? えっと、今受け取るにしても仕事が……」
「あ、仕事中、かぁ……えっと、具体的には?」
「これを生徒会室に運ぶだけですけど……」
「それなら俺も手伝うよ!」
「え、い、いいですよ先生! これは私の仕事なので!」
「それを言うなら、シャーレでの仕事をめっちゃ手伝ってもらってるからどっこいどっこいだって」
「そ、そうですね……。お願いしてもらってもいいですか?」
「お安い御用だ!」
そうして渡された段ボールを抱えてユウカちゃんに案内されながら生徒会室へと向かった。
「そういえば先生。今回の労いは何かあるんですかね?」
「ん? あー、ちょっと特別感はないけど美味しそうなシュークリームを来る途中で買ったんだ。もうちょっと凝ったものにしようかなぁとは思ったけど、俺のポケットマネーを考えてこれだけだったんだ……」
「あ、ありがとうございます……ん? ポケットマネー……」
「……俺、思ったよ……老舗って、高いんだなって……」
「……今度、会計と節制についての授業を行う必要がありますね……」
「……ご指導お願いします……」
2人して遠い目をしながら、歩みを進めていく。
そんな時にふとユウカちゃんが俺に聞いてきた。
「そういえば、ブラックさんのことを聞いてませんでしたね。結局聞こうにも仕事が多すぎて聞けてなかったので」
「……そういやそうだったね。どっから話したもんか……」
「そう言えばあの時に約束していたな」と、自分が先生になったあの日のことを思い返す。
目覚めたときには見知らぬ場所で、いきなり国家レベルの問題の解決者になると言われ、その後に不良達の鎮圧をユウカちゃん達と行った。
今ここにいるユウカちゃん以外にも、ハスミちゃん、チナツちゃん、スズミちゃんにも助けてもらったから、今度は皆のところにも行こうと思ったのである。
っと、ブラックのことだった。何から話そうか……。
「やっぱり、無難に出会った時からの話がいいと思います。その方が話の流れも分かりやすいですし」
「まぁそれが無難か。んじゃ、ブラックと出会った時の話から始めよう」
そうして俺は話しだしたのだ。
「ブラックと俺が出会ったのは、今から数年前。流石に二桁年前レベルで昔じゃなかったはずだし、俺の頭がそんなに良くないから若干ぼやけてる感じで数年前。そんな時の俺はバイト生活で生計建ててるフリーターだったんだ」
「え、先生フリーターだったんですか!?」
「そんな意外かなぁ……俺、結構頭悪いから筆記がダメダメだったんだよ。確か……一番いい点数で採用基準の三分の一……」
「今度勉強会しましょう先生。切実な願いです」
「そ、そうだね……。そこまで圧力かけてくるほどなのは理解できるけど……」
めっちゃ心配したような表情で食い気味に言ってくるユウカちゃんに引きながらも、咳払いをして話を続ける。
「そんでもって万年仕事を探している俺が途方に暮れていた時に、俺はある事件に巻き込まれたんだ。……辺りを壊しまくる怪物が暴れているっていう場面に」
「! まるで特撮みたいですね……そんな怪物がいるなんて……」
「『事実は小説より奇なり』っていう言葉もあるくらいだし、当時の俺はめっちゃ驚いていたんだけど、今はもうそういうもんだと諦めて……もう慣れちゃったよ」
そう、ここでの生活に割と早く順応したのはこの事が大きい。
生み出した怪物を以て、世界を粛清しようとした組織――"ヘブン・オブ・ザ・エデン"。
その目的は俺達が想像する悪役そのものだった。
自分達の理想に心酔し、世界をリセットすることこそが神の意思だと信じる狂信者で構成された、まさしく"吐き気のする邪悪"そのものだ。
「今はそいつらを生み出した組織もぶっ壊されて、それの問題もお偉いさん方に放り投げて、世間的には終わったらしいのよ」
「……"世間的には"ですか」
「そう。世間的には。俺の思い出せる範囲では、その残党とかがどっかに逃げたってのをお偉いさんの一人に言われて、さぁ出発するぞ! ……ってところで、ユウカちゃん達に初めて出会ったところになるんだ」
「なるほど……苦労なさってるんですね、先生」
「そうでもないさ。むしろ、俺が寝ぼけてただけで、ここに向かってたのかもしれないし、その話してくれたお偉いさんが連邦生徒会長かもしれないって納得してるし」
だからこそめっちゃ混乱したのである。
「相手も自分もこんなところをよく今まで知らなかったものだ」と。
技術の総本山と言っても過言ではないレベルで、資源も相当にある。
だからこそ、今も疑問が頭の中で浮かんでいるのであった。
「ま、それはさておき、俺はそのとき相手に捕まって――」
「え!? そこはブラックさんが助けに来るんじゃないんですか!?」
「お、おぉう。まぁ確かに、創作上ではそういうのが多いんだけど、俺は普通に捕まった。というか、そいつらの目的が人間の"生け捕り"だったんだよ。"楽園計画"のための礎としてね……」
「楽園計画……言葉とやっていることの差が大きいですね……」
「まぁ、マジで楽園行こうとしてるイカレポンチのやることだ。あんま考えない方がいい。それにもう崩壊してるから気にするだけ無駄かな」
「そ、そうですか……」
何だか腑に落ちないような表情のユウカちゃんだけど実際気にするだけ無駄だ。
まず、そいつらの幹部及び大将は俺が倒し、構成員はお偉いさんの部下に捕まり、組織の拠点も物理的にぶっ壊れてる。
ここまでやっておいてまたあいつらが復活するとなると、それこそ相当な費用と規模のある組織じゃない限り無理だろう。
それこそ、このキヴォトスの闇に潜むやつらみたいに……一応、警戒しておくのに越したことはないな。
力を見せつけて牽制する意味でも、今度デカい組織と敵対したら"アサルト"を使うか……。
「ま、そんな今は亡き組織によって改造手術を受けた結果、俺は超人の肉体を獲得。経過観察として独房にぶち込まれたのよ。そんな時に助けてくれたのが、ブラック、それに腐れ縁のやつが一人いたんだ。俺のことを先生先生言ってきてさ」
「そうしてブラックさんと出会ったんですね……。それと、そのもう一人の方は?」
「それがさぁ……その一件が終わってからどっかに行っちまってさ~。今は音信不通なのよ。ってか、俺がよくスマホぶっ壊してたから連絡先交換で来てないんだけどな」
アイツ……マジでどこ行ったんだ……?
開発好きのあいつのことだ。もしここにいるなら探してやらないとな。
「その後は、俺とブラックが合体して変身。それで組織の拠点を一つぶっ壊してそいつと一緒に逃げだしたってわけだ。あとはまぁ、よくある特撮的にいろんな敵と戦って、いろんなことを経験して……最後には、人類の敵を倒したよ」
楽しかった思い出も、苦しかった思い出も、思い出したくない思い出も、全部ひっくるめて俺を形作ってくれたんだろう。
――……変身……。
――Now the road to "Eden" has been opened.
――変っ、身っ!
――BLACK RIDER!!
……あんな思い出は、もう二度と経験したくないけどな……。
「大変だったんですね……。あ、す、すみません! 先生はもっと苦労したはずなのに……」
「いやいや、そんな風にならなくてもいいよ。もう終わったことだしさ」
「……それならいいんですけど……あ、着きましたよ先生」
「ほんじゃ、俺はここらでお暇しようかな。はいこれ、お土産ね」
「ありがとうございます先生。お気をつけて!」
「じゃあね~」
なんだかんだ自分を振り返りつつ、ユウカちゃんへの労いを送ることができたことで、満足な一日だった。
Tip!
"外"の世界での出来事は、割と特撮みたいなことが起こってたぞ!
だから怪人も出るし、クリスマスにはシャケを食べたんだ!
今回も読了ありがとうございます。
割と早いペースで続いている本作ですが、調子が非常にいいのでこのままを維持していきたいです。
遅くても一日一話は出したいです。
また次回も頑張っていきますので、皆様の応援お待ちしております。
応援に関しては、「お気に入り登録する」「作品への高評価」「感想を書く」「ここ好きたくさん押してみる」「作者に直接メッセージを送ってみる」などがありますので、皆様の好きな方法で応援してください。
それでは皆様また次回~