ONE PIECE FILM YELLOW   作:砂糖ウト

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投稿頻度超遅くてホントすみません。生きてました。
二次創作ってほんと難しいですね。それに加えて、視点を考えて書くことがムズすぎる。
お金の力で原作を最新話まで見ました。
あと「!」や「?」などの表記が微妙に統一されてないのは許してください。


海賊な海兵

「・・・つまり、バギーっつう海賊に支配されたおかげで住人は全員町の外に避難したってことですかィ?」

 

「あそうなんじゃよ。ワシはシュシュにエサをあげるために時たま町に来ているんじゃが」

 

「ん~~?シュシュ?」

 

「この先にあるペットフード屋にいる店番の犬じゃよ。良かったら海兵さんも来るといい」

 

町がなぜこのような人の気配がない閑散とした状況に陥っていたのか、ブードルと名乗ったこの老人の話から黄猿はようやく理解することが出来た。

現状、ルフィの居場所がわからないため安否が気掛かりであったが、船長の実力と東の海(イーストブルー)の海賊の強さを検討した上で、海賊に支配されたこの町で町長を一人残すわけにもいかず、一先ずは町長の身を守ることを優先することにした。

 

(それに、何故人がいないこの町で店番なんてやっているのか、少し気になるからねェ~~)

 

「いいですよォ~・・・あ、ちょっとお待ちなすって下さい」

 

そう言うと、町長ブードルの視界から黄猿が一瞬にして姿をかき消す。

 

「こ、今度は急に消えよった。一体どこに・・・」

 

 

彼が言葉を続けようとしたその時

 

 

空に一筋の光が灯り

 

 

瞬間

 

 

豪、と辺りの雲をかき消す程の巨大な爆発が起こった。

発生した爆風が地上に届き、転がっていた周りの木片をも吹き飛ばしていく。

 

「うわぁぁぁ!!いったいなんじゃぁ~~!?!?」

 

余りの衝撃と光に思わずブードルは尻もちをつき、咄嗟に目をつぶり両腕で顔を庇いながら叫び声をあげる。

 

しばらくして爆風と轟音が収まったものの、あまりの出来事に目を開けてからも、彼は数秒呆然としていた。

 

「お~思っていたよりも凄い爆発だったねェ~、あの爆弾も例の海賊団の仕業ですかィ~~?」

 

横から聞こえてきた言葉で、はっと我に戻る。

ブードルが気づいた時には、先ほどまでいなかったはずの黄猿が、何でもないような顔をして既に近くにいたのであった。

 

「ば、爆弾?それなら彼奴のバギー玉とかいうふざけたものがあるが・・・それより、さながらお主の用事とやらは終わったのかい」

 

「えェ。まァちょっとした野暮用でしてェ」

 

「何故あの爆発に驚かないのか」、「野暮用とはなんだったのか」。様々な疑問が生まれ、ブードルは不思議でならなかったが、全く変わらない黄猿の表情と、海兵の姿としてのその存在感から、開きかけた口を閉じた。

 

────

 

「あそこが目的のペットフード屋じゃが・・・」

 

「この犬!!この犬ぅぅ!!出せ!!早くカギを出せぇぇ!!!!」

 

そう言いながらブードルが指をさした建物の前には、何故か檻にとらわれているルフィが白い犬を振り回しており、その傍にはしばらく別れていたゾロと、見慣れないオレンジ色の若い女性の姿もあった。

 

「こ、こらぁぁぁ!!小童ども、シュシュをいじめるんじゃない!!」

 

「お~ルフィ、一体こいつァどういう状況なんだい?」

 

杜撰な犬の扱いに激高したブードルとは打って変わって、吞気な態度で声を掛けた黄猿の姿に、ルフィは手を振りながら大きな笑顔を見せた。

 

「あ~~!ボルサリーノぉ!!会えてよかったぁ!!」

 

「ちょ、ちょっと!?あんたのもう一人の仲間ってのは海兵なの!?」

 

「あれ?言ってなかったっけか?」

 

─────────────────────

 

 

「なるほどォ~それはすまなかったねェ。戦いに気づけず、加えてゾロもケガぁさせちまったようだし。」

 

「まぁーあのじいさんを守ってたんだろ?それならしょうがねぇよ。気にすんな」

 

ゾロがベッドに運ばれていった後、黄猿はブードルからシュシュについての話と、ルフィからことの巻末を聞き内心反省をしていた。

 

確かにルフィとゾロの潜在的な強さを感じていたところもあったが、いくら東の海(イーストブルー)とはいえども、仲間である自分がそこに驕り、二人の行動に積極的に合流しようとしなかったことは、乗組員という立場において明らかな過ちであった。海軍大将として、これまで一人で対処してきたという経験が仲間の怪我につながったのだ。

 

先の町への砲撃についても、自分一人で簡単に対処できるという考えから、砲撃が起きた場所では何が起こっているのか、何故砲撃が発生したのかなど、自分の周囲の事柄を余り考えずにいた。そこで黄猿は自身の目標の達成のためにも、今まで以上に「仲間」を真剣に意識しようと決意したのであった。

 

「それよりもよぉ、この檻から出してくれねぇか?」

 

「お安い御用だよォ~、キャプテン」

 

思考の海から抜け出した黄猿は、早速仲間の望みを叶えることにした。

 

 

「天叢雲剣」(あまのむらくも)

 

 

「えっ、光の・・・剣?」

 

黄猿の両手から突如として眩く光る長いブレードが出現し、振りかぶったその斬撃をもって、巨大な檻を切断した。

 

「うほぉ~~やっと出られた‼サンキューな、ボルサリーノ‼」

 

「あらぁ~こりゃたまげた。檻を真っ二つにしよったわい」

 

(さっきから一体どういうこと・・・?海兵が海賊の仲間をしているなんて意味が分からないし、それにあの手から出できた光は何?)

 

「ね、ねぇ貴方…」

 

「ガルルル……」

 

ナミが黄猿に話しかけようとした時、唸り声と共に巨大な猛獣と、その頭に乗っている上裸の男が向かい側の道路から地響きと共に現れた。

 

突然の襲来に場の緊張感が高まる。動じない者達もいる一方で、恐れや反抗心など様々な感情が辺りを渦巻いていた。

 

「おやおや…檻から脱出していたのか。どんなやり口でやったのかは知らねェが、他の仲間に助けられたようだな」

 

「誰だお前ェ?」

 

「自己紹介が遅れたな。俺の名はモージ。猛獣使いのモージだ。そしてコイツはリッチー」

 

「グルォォォ!!」

 

巨大な猛獣の雄叫びに、数人が怯む。人間のサイズを圧倒的に超える猛獣の咆哮に、無意識の生存本能が働いたからだ。そんな猛獣を飼い慣らすこの男も、只者では無いだろう。

 

「それにしても…どうやら、ロロノアはここにはいないようだな。さっさとそこをどけ。奴を探すついでに、俺のリッチーはそのペットフード屋にも用があるのさ」

 

「ウ゛ゥ゛…ワン、ワンワン!!」

 

「うん?なんだこの子犬は。ハッ、まさか番犬のつもりかぁ?」

 

膠着していたこの状況下で、真っ先に動いたのはシュシュだった。ここにいた者達の中で最も非力な存在にもかかわらず、自身の大切な宝物である店を守るために道路に飛び出し、自分の数十倍もある巨大な猛獣に立ち向かったのである。黄猿はその様子を少し遠目に見つめていた。

 

「…ルフィ、ここはわっしに任せてくれないかィ?一味の一戦闘員にも関わらず、知らぬ間に船長が捕まった上に仲間も怪我を負ってたンじゃあ、わっしの面子が立たないのでねェ」

 

「ん?あぁ、いいぞ」

 

シュシュが飛び出した後、話すルフィの顔を見ず、ふと呟いたような黄猿の言葉に、ルフィは二つ返事で承諾した。

 

「えっ?」

 

自分たちが本命では無いとわかったことから、ブードルと共にその場を離れ、隠れた場所で様子を伺っていたナミ。その彼女の驚きを隠せない表情とは裏腹に、船長の許可を得た黄猿は、シュシュに背中の『正義』のマントを見せつけるかのように堂々とリッチー達の前に立った。

 

「ちょ、ちょっと!何してるのアンタ!早く逃げなさいよ!殺されるわよ!」

 

「おい、何をしている。邪魔だと言っただろう」

 

二人の声に対しても黄猿は一切意に介さず、リッチーの威嚇に対して、ポケットに手を突っ込んだまま無表情で目線を返した。

 

「なんだ?その余裕っぷりは…誰だか知らねぇが、俺の愛獣の食事を邪魔するとは、相当な死にたがりのようだな。…やっちまえ!!リッチー!!」

 

「グオォォ!!」

 

「危ない!!」

 

モージの掛け声とともに、爪の尖った強靭な前足が黄猿に襲いかかる。一人を除き、誰しもが凄惨な光景が訪れると想像したつかの間、

 

「いよッ」

 

ふと小さな掛け声が聞こえた時には、いつの間にかその猛獣の姿は無く、そこにはただ光り輝く足を真横に蹴り上げていた黄猿の姿のみ。

 

「…ア゛ッ…アアッ」

 

そして、その蹴り上げた足先の方向には、モージと共に遠く離れた瓦礫の中で気絶している猛獣の姿があった。

 

「…さて」

 

「お~、よくあの猛獣に立ち向かったねェ~~」

 

吹き飛んだ敵には目もくれず、黄猿は振り返ってしゃがみこみ、シュシュを撫で始めた。シュシュは何も反応しなかったものの、ただ黄猿を見つめ、素直にその撫でを受け入れていた。

 

「嘘…あんなデカいのを簡単に蹴っ飛ばしちゃった…あの人、何者なの…?」

 

「にししっ!!さっすがボルサリーノ!!」

 

「⋯クッソォ寝足りねェ。おい、一体何だァ?さっきのデケェ音は」

 

黄猿がシュシュの相手をしている間に、向かい側の家からゾロが頭を掻きながらゆっくりと顔を出した。

 

「おぉ~悪いねェ。わっしのせいで起こしちまったみてェで」

 

黄猿の言葉にふと目を瞬きし視線を道路の先へ向けると、幾重にも積み重なった住宅の瓦礫がある。その現実感の無い光景からこれが誰の仕業によるものか、ため息とともに瞬時にゾロは理解した。

 

「ま~たお前の能力ってやつか。相変わらずえげつねェ力だな」

 

「ちょ、ちょっと!さっきから「ぐぬぅぅ、アイツらとうとうシュシュの宝物まで手を出そうとしおってぇ・・・もう頭にきた!!わしが直接懲らしめてやる!!」えっ、村長さん!?」

 

ナミの声をかき消すかのようにブードルが地面を殴り、立ち上がりながら声を張り上げる。ナミの声かけもつかの間、そのまま町の中心方向へと走っていった。

 

「おーおー、随分元気なこってェ⋯」

「⋯」

 

「ハッハッハッ!!そんじゃ、俺たちも追いかけるとするぞ!」

 

「待って!」

 

三人がブードルを追いかけようとした時、ナミの声にふと皆振り返る。その顔は真剣そのものであり、まるで訴えかけるような目つきで黄猿を見つめていた。

 

「名前、ボルサリーノ…って言ったっけ。さっきの人間離れした力だとか、色々聞きたいことがあるけれど、これだけは聞きたいわ」

 

一度感情を整理するかのように、フッと口を閉じ、目を閉じた。一瞬、静寂が場を支配し、空気が静止する。

そして、キッと目を開き、黄猿に言葉を突きつけた。

 

「そのマントと服からして、貴方、多分とっても高い地位の海兵なのよね?なのに!どうして海賊なんかの仲間をやってるのよ!?」

 

黄猿は、動じない。

ただ少し、何かを思い出すかのように目線を斜め上に向けた。

 

「…そうだねェ、一言で言えば、『本当の正義』を見つけるため」

 

「『本当の正義』?」

 

「海賊は、無為に人の大切な物を奪い、傷つける悪い奴ら。そして、世界政府、海軍は、それを妨げ人々を守る立場。一見するとそう捉えられるが、──この世界は、正義だ悪だと直ぐに一括りできる程、そう簡単には出来ちゃいない。」

 

確かに海賊の多くは市民からものを略奪し、己の赴くがままに人を殺している。しかし一方では、海賊行為が結果的に島の治安を守っている事例もある。そして海軍──世界政府も同様に、海賊から市民を守ろうとする一方で、その範囲はあくまでも、世界政府加盟国に限定される。そのため、非加盟国には「人権」がなく、国として認められることはない。仮に加盟国になったとしても、貧しい国々は天竜人への「天上金」によって、人々の生活は苦しめられるのである。

実質的に、この世界は世界政府が秩序を定め、支配しているのだ。

 

よって、海軍が謳う「絶対的正義」には大きな注釈が裏に潜んでいるのである。

今までの記憶を振り返った時、自分が海兵として、大将としてこれまで行ってきたことは、正しいことばかりだっただろうか。胸を張って、正義を執行することが出来たと人々に言えるだろうか。

 

────そもそも、その「正義」とは誰のための「正義」だろうか?

 

「だからこそわっしは、海軍としてだけでなく、わっし個人の正義を見つけるために、自由な立場から世界を見ようと思った。結果として、それが海賊になったわけだけどねェ」

 

黄猿の答弁は、誰かに伝えるような言い方ではなく、まるで独り言をするかのように話していた。

 

「何よそれ…海賊が悪じゃない?ふざけないで!海賊は最低な奴らよ!大切な物も、街も!人も!!皆奪っていく!!!色々言っていたけれど、アンタも結局、海軍を裏切ってその一人に成り下がった訳よ!」

 

しかし、ナミは強く反発する。その表情は鬼気迫る物であり、黄猿の言葉は彼女のタブーに強く入り込んでいたようだった。

 

「怖いねェ〜、君に何があったのかは、聞かないでおくよォ」

 

「えぇそうしてちょうだい!…それと、君じゃなくて、私はナミよ!一応、少しの間協力関係になるわけだから、名前くらいは覚えなさいよね」

 

自身の感情を出しきったためか、ナミは冷静に対応した。あくまでも、相手は協力関係にある立場であり、これ以上感情的になることは、相手はもちろん、ナミ自身にとっても利益がないからである。

 

ナミが黄猿に向ける目線は、冷たい。ただし、不思議と完全に軽蔑している訳ではないようだった。

 

「話は終わったようだな」

 

「よ〜し!追っかけるぞ!」

 

────────────────────────

 

「・・・で?モージは誰にやられたって?」

 

「そ、それが、コートを羽織ったデカいスーツの男でして、遠くから見たので誰なのかはわかりませんが・・・」

 

「ほーん、コート羽織ったデケェスーツの男ねェ・・・」

 

町の中心部、町中でも最大級の大きさの建物の屋上に、バギー一味は陣取っていた。

麦わらの男ではなく、新たなる第三者の出現の報告に、バギーは威圧的な態度を取る一方で、頭の中で思案を巡らせていた。

 

「ど、どうしやすか?バギー船長」

 

(さっき俺様特性バギー玉が途中で爆発したのも気になるが、コートとスーツの男だと?何者だァ?この海でそれが思い当たる風貌といやぁ・・・いや、こんな最弱の海のド田舎に、海軍本部の将校クラスなんざ来る訳がねェ。)

 

起きる可能性が低い心配事は無視し、船長を含め一味全体が疑心暗鬼になることを防ぐ。一味を纏める船長として、バギーは知らず知らずのうちに、リーダーとして相応しい行動を取っていた。

 

「へっ。誰だか知らねぇが、この俺様に楯突いたんだ。ただじゃ済まさねぇ。だがモージを仕留めた相手だ、もしソイツが現れたら知らせろ。───この俺様が派手に殺してやる!!」

 

「おぉ・・・」「流石バギー船長!」「グスっ、モージさんの仇を取ってください!」「バカ!モージさんは死んでねェよ!」

 

啖呵を切ったバギーの声に男たちは感服した。嗚呼、我らのバギー船長ならば、どんな相手だろうと完膚なきまでに倒してくれる。麦わらの男や、あのロロノア・ゾロでさえ手傷を負わせたのだ。その第三者が誰であろうと、この「道化のバギー」にとっては関係ない。バギー船長に付いてきて良かった────ここにいる誰しもが、その言葉を心から信じた。

 

「バギー船長ォォ!!」

 

船長を讃える歓声の中、突如として大声が走る。

 

「おぅ、どうした?」

 

「建物の下に、あの町長のジジィと「フン、今更何の用だ?のこのこと自分から死にに来たか。派手バカ野郎だ「麦わらの男が現れましたぁぁ!!」何ィ!?麦わらの男だと!?

 

報告の途中までは、威厳のある姿勢を全く崩さなかったが、「麦わら」というワードに反応し、立ち上がる。すぐさま目的の場所に向かうと─────

 

「麦わらァ!!テメェよくもまた俺の前にあらわ・・・れ・・・」

 

そこには、5()()の人間がいた。

 

「約束通り、来てやったぞ」

 

両手で手の骨を鳴らすルフィ。

 

「なんだアイツ、あんな赤っ鼻してる癖に随分と青ざめてやがる」

 

以前とは明らかに異なるバギーの表情をからかう、ゾロ、その隣にナミと町長のブードル。

 

「ば、馬鹿な!?なんで貴様がこの海に居やがる!?」

 

自信に満ちあふれていたバギーの態度は一転し、激しい驚きに加え、酷い焦りが見られた。雄弁だったはずの声は震え、顔には大量の汗が流れ、極度に膝が笑っていた。

 

「あん?俺は東の海出身だぞ?」

 

「テメェのことを言ってんじゃねェ!!!」

 

「よくわかんねー奴だなあいつ」

 

そして、最後の5人目─────。

 

「お前さんが、『道化のバギー』かい?随分と赤い鼻をしてるねェ~」

 

「ッ・・・!!」

 

黄色のストライプスーツを着こなし、背中には「正義」の二文字が刻まれたコート。特徴的なティアドロップサングラスをかけ、間延びした喋り方をする男。

知識としては知っていた。海賊見習い時代、海軍との闘いで強力なレーザーを放っていた一人の海兵を。そしてその海兵が大将となり、海賊にとって最も脅威の存在になったことを。

 

数年前に新聞に載っていた奴そのものだ。一目見てわかった。コイツにはどうあがいても勝てない。

 

「あいつ等!バギー船長の前で「()()()()」を二度も!」「バギー船長!やっちまいましょう!」「船長の恐ろしさ!思い知らせてやってください!」

 

「「「バギー!バギー!バギー!」」」

 

「この派手バカ野郎共が!!!急いで逃げるぞ!!!」

 

大勢の船員が囃し立てる中、バギーは即断即決をし、すぐさま港の方角へと猛烈な勢いで走り出した。

 

「「「えええ~~~~っ!?!?」」」

 

「どうしてですか船長!?」

「って速っ!バギー船長!待ってください~!!」

 

突然の船長の逃走で一瞬驚いたものの、後を追うように他の船員達も走り出す。

 

その一方で、先を行くバギーは、自身が生き残るためにやるべきことこそ分かっていたものの、頭の中では困惑で渦巻いていた。

 

(どういうことだ!?あの風貌とあの覇気、どう見ても奴ァあの『黄猿』!さっきの報告からして、もしかすると海軍が絡んでいる可能性はあるかもしれねェとは思ったが、大将だと!?何故ここに大将がいる!?いやそもそもあの麦わらの男は海賊のはず・・・何故大将があの麦わらと・・・)

 

「ゴムゴムのォ~~~」

 

しかし、その思考が周囲への意識をないがしろにする。

 

「ロケットォ!!!」

 

「ハァッハァッ・・・んなっ!?」

 

大きな掛け声と共に、逃げてきた方向から驚異的な速度で人型の物体がバギーの頭上を通り過ぎる。

思わず立ち止まると、その者は空中で一回転し、両足で着地してバギーの前に立ちふさがった。

 

「待てバギー!ゴムゴムのォ~~~」

 

(マズイっ!)「バラバラきんきゅ「バズーカァ!!!」

 

「ぎゃああああああ!!!!」

 

バギーの回避も間に合わず、腹へ放たれた強烈な衝撃と共に、元居た方角へと()()()で身体が吹き飛んでいく。そのまま建物や黄猿たちの上空を通り過ぎ、遥か彼方へと消え去って行った。

 

「「「バ、バギー船長ォォォ!!!」」」

 

「お~派手に飛んでいったねェ~」

 

「ヤベェ!バギー船長がやられた!」「お、俺たちも逃げるぞ!!」 

 

船長がやられたことで、周りの船員たちも慌てふためきながら、ほとんど何も持たずに港へと走って行った。

 

「しめた!この隙に海図と宝を!」 

 

状況の変化を感じ取り、ナミは建物内へと急いで入っていく。

飛んだルフィを追いかけていったゾロを除き、広場に残っていたのは黄猿とブードルの二人だけだった。多くの人々が居なくなったからか、先ほどの様相とは打って変わって、酷く静かな雰囲気が辺りを包んでいた。

 

互いに顔も合わせず表情も見えない中、ふと、ブードルが口を開く。

 

「あのバギーがあんたの姿を見た途端、さながら虚をつかれたかのように慌てて逃げおったわ。・・・あんたぁ、本当に唯の海兵かい?」

 

 

「・・・わっしは唯の、海賊な海兵ですよォ」

 




ロジャー海賊団が当時の若き黄猿と対峙していたかについては、完全にオリ設定です。
ベガパンクと旧友ということや、入隊当時から怪物新兵だったことから、当時も新世界で活動していたのではないかと想定しています。
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