プログレッシブのノリで攻略するアインクラッド第十層 (旧題:2023-01 アインクラッド第十層にて)   作:ki-sou777

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第八話

 翌朝、俺が起きていた時には、すでにアスナとお初さんの二人は起きていた。なんの話をしていたのかは気になったが、以前、女性同士の話を詮索するもんじゃないとアスナに咎められたことを思い出す。下手に触ると雷が落ちてくるような気がしたので、とりあえず「おはよう」と口にした。

 しばらくすると、風林火山の面々も起きてきた。時刻は七時。インスタンスマップで軽い朝食ーーー街で買ったおにぎりの類と、お初さんが入れてくれた日本茶ーーーを食べながら、状況整理をおこなった。俺の頭は、昨日のアスナのおかげなのか、二日酔いにもならず、今日も元気に稼働している。そういえば、お初さんの寝袋を持って来ていなかったが、彼女は無事に寝れたのかと聞くと、どうやらクラインが先に予備の寝袋を用意していたみたいで、それを使って無事に寝れたとのことだ。ちなみに、風林火山の面々は俺以上にピンピンしていた。この世界では二日酔いにならないのか・・・などと脱線する思考を元に戻して、現状の整理をする。

 

 今日の予定としては、このまま《千蛇武家地》まで全員で歩いて、お初さんの家でもある《白蛇神社 上社本宮》にある蔵書を確認することを、第一優先にするつもりだ。俺とアスナは、できれば今日の夜に行われる武家地でのフィールドボス攻略会議に出たい。だが、お初さんの話からすれば、大名を倒す弱点を手に入れらる可能性があるから、場合によってはそっちはサボってお初さんに引き続き協力をすることも念頭に入れておく。この辺はその場の状況判断になるだろう。

 問題は、どうやって武家地に入るか、である。昨日の話によれば、お初さんは父である上社本宮の神主さんの目を盗んでこちらまでやって来たということであり、今頃は捜索隊が組まれている可能性があるとのことだ。さらに、元々上社本宮の方で対応しようとしていた、祠の中の御供物ーーー《左巻きの藤の蔦》ーーーの回収を部外者である我々の方がやってしまったので、見つかった際には捕まったり、最悪罪に問われたりする可能性もある、らしい。が、こちらとしても、フロアボス攻略のためにこのアイテムの使い道を知る必要がある。となれば、やはりこれは潜入クエストなんだろう。となると、いくつか関門にぶち当たる。そのうち一つが主街区などの安全エリアに配置されている門番である。

 通常、主街区などのエリアにいる門番は、基本的に無敵が付与されており、街に出入りするプレイヤーを拒むことはない。が、それはプレイヤーに対して適用されるものであり、NPCに対して同じように動いてくれるかはまた別問題だ。基本的に門番はその地区の出身者が門番をやっているはずなので、今回は武家地の出身者が門番をやっているはずである。とすれば、武家地の方でお初さんの捜索が行われていた場合、門番がお初さんを見つければ、当然捕縛される、という流れは有りうる。普通のゲームならそんなことは起きないはずだが、このアインクラッドでそんなゲームの常識は通用しない。むしろ、ゲームではなく一層一層が個別の世界だと思った方が良い。

「まずどうやって武家地に何事もなく入るか、だな・・・」

 と、疑問を一つ口にすると、クラインから回答が返ってきた。

「アスナさんみたいに、フーデットケープで顔を覆うのはどうだ?」

「なくはないんだけど、ちょっと心許ないんだよなぁ。顔を隠すのは一緒でも、もうちょっとガッツリ隠さないといけないし、服でバレそうだし・・・あ」

 話している中で、一つ、ひらめきが降ってきた。

 

 

 ガシャン、ガシャンという金属の擦り合う音が聞こえる。現在、俺たちは総勢九名で武家地に向けて田園を歩いている。風林火山、俺、アスナ、そして、フルプレート姿の騎士が一名。

 俺は、フルプレートの騎士に向かって問いかけた。

「その、重くないか?」

 その質問に、クローズヘルム特有の強い金属質エフェクトを帯びている、男性か女性か判別の付きづらい声が返ってきた。

「一応、今のところは大丈夫です」

「後もう少しだから、一緒に頑張ろう」

 という俺の返答に、騎士はヘルメットを僅かに上下させた。お分かりの通り、フルプレートの中に入っているのはお初さんだ。これならば中身が女性だとは思うまい、とかつてリーテンを男性だと勘違いした俺は思う。フルプレートは、風林火山のメンバーに、一度城下町に戻って、転移門を使用し数層下で店売りしている軽いものを買ってきてもらった。正直なところ、重量オーバーが少しだけ心配だったが、お初さんのレベルは14で、心許無くも、ぎりぎり耐えた、というところだろう。

 城下町を出てすでに一時間。あと三十分もしたら、武家地の方に着くだろうか。この道は長閑な田園で、モンスターもそこまで強いものは出ない。それだけでなく、ところどころで稲穂を刈るNPCの姿も見える。どうやら、城下町と武家地を結ぶこの道は、それなりに安全が確保されているようだった。逆に言えば、それだけ暇なので、この階層のことをより詳しく知るべく、俺はお初さんに質問をした。

「お初さん、その、大名様って何者か知ってる?」

「はい。あくまで、ここ千蛇平原に伝わる話ではあるのですが、大地切断が起こる前から、この地を治めていたお侍様だと、伝わっています。白蛇様を祀っていたのですが、圧政の元人々を奴隷のように使っていたらしく、それに怒った白蛇様が大名様を配下共々化け物に変えてしまったらしい、と。その後、大地切断が起きて城ごと天柱の塔に呑まれて以降、ずっと白蛇様が大名様を城に封印しているらしいですが・・・。多分、その封印の要になったものが、今クラインさんが持っている藤の蔦なのだと思います。」

「なるほど・・・。昔は人間だったのか」

 それは悲しきモンスターだ。無論、容赦する気は一片たりともないのだが。とはいえ、この層でうっすら感じていた疑問も、今のである程度氷解した。《千蛇城》にモンスターがいるなら、当然その支配下である《千蛇城下町》もモンスターがいて然るべきではないかと思っていたのだが、実情は逆だったようだ。元々どちらも人間がいる場所だったのだが、城の人たちだけがモンスターに変えられてしまったということだろう。

「はい。圧政を敷く大名に天罰を下したからこそ、皆白蛇様を崇めているのです」

 お初さんはそう補足した。確かにそう考えると、白蛇大社への権力集中も頷けるというものだ。

「その、白蛇様ってどういう神様なの?」

 と聞いたのは俺のすぐ左隣にいるアスナだった。

「この地では、幸運の象徴だったり、農耕を司っていたりと皆色々なものを白蛇様に願うのですが、一番大きな信仰としては、水神としての側面、だと思います」

 それを聞いた俺は、心の中で勝手に得心した。現実世界でも、蛇が川として、あるいは龍として見られる、というようなことはよくあるし、それが転じて水神になる、というのは特別変なことでもあるまい。

「後は、嘘を見抜く、みたいなことも言われたりします。心の清い人でないと、力を貸してくれないとかなんとか」

 その言葉に、アスナが一瞬引き攣ったのは気のせいだろうか。

「ってことは、お初さんは心の清い人ってことですな!」

 調子のいい声をかけたのは前方にいるクラインだった。

「いえいえ、私もそんなことはないですよ。むしろ、クラインさんたちの方がよほど綺麗かと思います。私がクラインさんたちを頼ったのは、私を助けたいと言ったクラインさんの言葉から嘘を感じなかったからですし」

 言われたクラインの顔がにやけている。あれ、クラインは確か、DKBがくれるアイテムのため、とか言ってなかったっけか。まあ、そこを突っ込むのも野暮というものだろう。クラインの場合、女性なら誰でも助けてしまいそうではあるし・・・。などと考えていると、前方からジャンウーの声が聞こえた。

「おうぃ!武家地が見えたぞー!」

 目的地は、もうそろそろだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、心配していた門番も、フルプレ姿のお初さんには何も言わず、問題なく武家地に入ることができた。こちらは、大通りには城下町と同じように宿屋や武具屋があったりするが、少し先を行けば、文字通り、武家屋敷が立ち並んでいるエリアに入る。そして、目的地の《白蛇大社 上社本宮》は、さらにその先にある、という構造になっている。

 が、俺たちはいきなりそちらに向かうのではなく、いそいそと隠れながら現在指定された空き家に向かっている。兎にも角にも、一度協力者に会わねばなるまい。

 

 指定された家で、木造の扉を開ける。木造特有のガラッとした音が、内部に響いた。

「・・・確かに秘密会議をするにはピッタリだな」

 その家は薄暗く、中に入っても誰もいない。一軒家というよりは、倉庫のような場所だった。

「おいキリの字よぉ。ほんとにこっちでいいのか?」

 とクラインが訪ねてくる。

「場所に間違いはないと思う。多分、しばらく待っていれば来ると思うよ・・・」

「呼んだカ?」

 

 声がした方に全員が振り向いた。俺は姿を見るまでもなく、声の主が誰か知っていた。

「よう、アルゴ」

「キー坊もアーちゃんも久しぶりダナ。」

「アルゴさん、お久しぶりです」

「まあ、久しぶりって言っても三日くらいだけどな」

 と、俺とアスナは挨拶を交わした。倉庫の屋根裏から現れたのは、情報屋である《鼠のアルゴ》だ。今までずっとインスタントメッセージを送り合っていたが、この層で直接会うのは初日に続いて二回目となる。ここから先はスニークミッションとなるため、情報収集の優先度がより上がる。そのため、俺たちより先にこちらに来ていたアルゴに状況を話し、一度直接頭を突き合わせて情報をもらうことにしたのだ。インスタンスメッセージ、というか文字のやりとりだとどうしても情報量が制限されてしまう。

「二人とも元気そうでよかったヨ」

 この場合の元気そうでよかった、はおそらくアスナに掛かっているんだろう。十層初日に比べると大分元気になったのは間違いない。

「お前の方はどうなんだ?順調か?」

 どうしても軽口になってしまうが、俺も本心でアルゴのことを心配していた。十層は今までの層と比べて、情報を手に入れるのに苦労しているのは攻略本を読めば見てとれる。

「まあナ。クエストとボス以外の情報は粗方埋まってきたヨ」

「流石」

 なんだかんだ言ってもアルゴである。三日もあれば層の基本的な情報を集めるのには十分だったらしい。十一層以降、アルゴがどうするのか聞いておきたくもあったが、今はそれよりも優先すべきことがあるので、後回しだ。とにかく、今いるパーティーメンバーをアルゴに紹介せねばなるまい。

「よし。じゃあちょっと改めて紹介するよ。こちら鼠のアルゴ。今各層に出回ってる攻略本の著者だ。職業は情報屋」

「よろしくナ」

 と言って、アルゴもクラインたちに向き直った。一方、クラインたちはちょっと面食らっていたようだ。

 「どした?」と聞くと。

「いやぁだってよぉ。あの噂の鼠のアルゴが、こんなちっちゃな子供だとは思わなくて・・・」

 とクライン。それに対してアルゴは珍しくやや怒った風に、

「悪かったナ、こんなちっちゃな子供で」

 と言った。アルゴさんそれ地雷だったんすね。

「あ、いやぁすんません。攻略本には最初からずっとお世話になってました。俺はギルド風林火山のリーダー、クラインってもんです」

 そう言って、クラインたち風林火山は一人一人アルゴに自己紹介をしていた。

「クラインたちも、なんか困ったことがあったらアルゴに聞くといいよ。アインクラッドのことは多分茅場の次に詳しい。まあ、お金はふんだくられるけどな」

「人聞きの悪いこと言うナ、キー坊。あくまで適正価格での販売だし、フロントランナー以外には割引だってしてるんだからナ」

 などと、もはや恒例になったやり取りをしておく。さて、風林火山の他に、もう一人紹介しないといけない人がいるのだ。そう思った俺は、お初さんに声をかけた。

「お初さん、こいつは味方だから、ヘルメットは一度取っちゃっていいよ」

 そう言った後、お初さんは顔を出してアルゴに挨拶した。

「アルゴさん、でよろしいでしょうか?」

「おウ」

「ありがとうございます。私、ここの白蛇大社の娘の、初と申します」

「よろしく。噂には色々聞いてるヨ」

と言って、アルゴとお初さんも挨拶をした。が、ちょっと気になることがある。

「アルゴ、噂に聞いてる、ってどういうことだ?そもそも、なんで「他のプレイヤーに見つからずにここに来い」って指定なんかしたんだ?」

「あぁ、それがナ、ついさっき、と言っても二時間ほど前カ。ALSとDKBが、『初』と呼ばれる神社の娘の捜索依頼を受けたんダ。今頃血眼になって探してるヨ」

「な・・・」

「なんだって!?」

 と、大声を出したのはクラインだった。

「大声を出すんじゃなイ。ここは空き家とはいえ通りに人がいるかもしれないダロ」

 それを嗜めるアルゴ。だが、声を出したくなる気持ちはわかる。武家地の人だけではなく、プレイヤーもお初さんを探しているとなると、問題は一気に飛躍する。なぜならーーー

「プレイヤーカーソル・・・」

 お初さんに聞こえないようにぼそりと呟いたのはアスナだった。SAOのシステム的に、プレイヤーには誰がプレイヤーで誰がNPCか、カーソルの色で見れば一発でわかってしまう。例外があるとすれば、それはショップやレストランの中くらいのものだ。俺たちは今アルゴを入れて十人、そのうち九人がプレイヤーの証である緑の色で表されるが、お初さんだけはカーソルが黄色で表示されてしまう。プレイヤーの中に一人だけNPCがいれば、同じプレイヤーから怪しまれる確率は飛躍的に上がってしまうのだ。

「依頼人は《白蛇大社 上社本宮》にいた「源蔵」っていうおっさんだっタ。オイラも直接会って話を聞いてきたからそこは間違いナイ。見つけた際の報酬は、フロアボスの、大名様の弱点だそうダ」

 その言葉に、最も驚いていた場所はお初さんだった。

「・・・父が、そう言ったのですか?」

 そう呟いたお初さんに、全員の視線が集まる。

「父?」

「あ、すみません・・・。『源蔵』というのは、私の父の名前なんです」

「なるほど・・・予想通り、娘さんを探しているんだな」

 だが、そう聞いたお初さんの顔は、どちらかと言えば疑問、疑念の表情を浮かべている。

「・・・お初さん?」

「・・・正直、少し意外でした。父が、私のために何か動くことは無いと思ってましたし・・・。それに、あれだけ旅の方に依頼することを嫌がってた父が、旅の人にそんなことを依頼するのが少し不思議で・・・」

 そういえば、お初さんのお父さんは厳格な方で、余所者の介入を嫌がってた、という話を一番最初に聞いた気がする。

「そんなん、大事な娘さんが心配だっただけじゃねぇか?」

 そう言ったのはクライン。とはいえ、中々筋は通りそうな推測だった。だが、お初さんは納得がいってない、という表情で、感情を無理矢理に吐き出すような苦い声で、言った。

「・・・私には兄がいるのですが、大社の跡取りは、私ではなく兄なのです。跡取りというのは、それだけ重要なのですが、そういう意味で、兄ではない私を探すためだけに、旅の方にそんな依頼をする、というのは、父らしくない、と思うんです・・・」

 その言葉に、俺はなんと言っていいか分からなくなった。どう聞いても余人が立ち入りにくい家庭内の話だ。話を適当に突っ込むべきではないことくらいは、いくら俺でもわかる。だが、この先どう話を進めていのか検討が付かずにいると、予想外にも隣にいたアスナが声を上げた。

「話してくれてありがとう。お初さんは今、お父様の話に違和感を覚えているのよね?」

「アスナさん・・・。はい、そうです。その依頼、何か父の違う意図があるんじゃ無いかと思って・・・」

「んんー?」

 その言葉に逡巡を見せたのは、アルゴだった。彼女は彼女でお初さんとは異なるタイプの難しい表情を顔に張り付かせている。

「アルゴ?」

「・・・イや、ちょっとナ。お初さん、先に一つ聞いておきたいんだガ、『禁足地』に何がいるのか知ってるカ?」

「・・・禁足地ですか?私も昔こっそり兄に聞いたくらいで、大社に仕える一部の者しか知らないんですが、禁足地は、白蛇様の住処と言われている場所です。今は誰も立ち入ることを許されてない場所なはずですが・・・」

「分かっタ。・・・全員聞いて欲しイ。今から言うことは、口外禁止にしてクレ。この情報は、今のところ、オイラの他にはリンキバしか聞いてないし、源蔵から公開を禁じられているからナ」

 アルゴが珍しく神妙な顔で先に保険を張ってきた。リンキバというのが、DKBとALSのギルドリーダーであるリンドとキバオウであることをこっそり風林火山に捕捉する。・・・ちなみに破ったらどうなるんです?と目でアルゴに聞いてみると、アルゴはいつもの人を小馬鹿にしたような笑顔で付け加えた。

「もちろん、話したやつがいたら、ゲームクリアまで・・・この城の百層に着くまで、一生出歩けないようにするサ。比喩でもなくナ。それくらいの重大事項だと思ってクレ」

 ほんとにコイツならそれくらいできてしまうだろう、という信頼感があるのがアルゴだ。その言葉に、風林火山の面々も少し大きめに首を縦に振っている。

「お初さんを見つけた際の報酬についてなんだが、禁足地の場所を教えてもらえる、ということになっている。禁足地にいるモンスターが、このフロアのボス、つまり大名様の力の源らしいんダ。源蔵から聞いた話では、そいつを倒すことで、大名の弱体化が図れるらしイ。」

「・・・え?」

 状況が掴めないという様に声を上げたのはお初さんだった。俺も俺で驚愕しつつ、しかし頭の冷静な部分では、なるほどそういう展開か、と今後起こりうることを予測していた。混乱するお初さんを宥めなるクラインを他所に、俺は今の話から推測できることを言語化する。

「お初さんのお父さん・・・源蔵さんは、攻略集団に白蛇様を倒させようとしている、ってことか?」

「でも、お初さんの話ではよぉ、白蛇様って大名を藤の蔦を使って封印してるんだろ?倒しちゃったら不味いことになんねぇか?藤の蔦さえ無事なら大丈夫なのか?」

 クラインから返答をもらう。そう、その通りなのだ。お初さんの話が、あるいはこの地に伝わる伝承が正しければ、仮に攻略集団が白蛇様を倒してしまった場合、城から大名が出てくることになる。そうなれば、攻略集団だけではなく、この地にいる人々にも危険が及ぶことは火を見るより明らかだ。第一、白蛇様を祀る白蛇大社の神主が、崇め奉る神様を殺しに行く、という時点で、何か良からぬことが起きていると警鐘を鳴らしている様なものだ。

 

 状況が掴めない。どう動くべきか。一瞬、源蔵がPK集団と繋がりを持っていることも考えた。だが、自分達の身を滅ぼす様なことをするのは、たとえNPCだとしても合理性に欠けるのではないか。迷っていると、俯いていたアスナが口を開いた。

「蔵書を、確認しに行きましょう。まずは、真実を確認してから、でも遅くは無いんじゃないかしら」

 その言葉に、誰よりも強く頷いたのはお初さんだった。

 そうして、俺たちの行動方針が決まった。

 

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