東方Project  ―人生楽じゃなし―   作:ほりぃー

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36話

 なんでこんなことになったんだ、

 とナズーリンは肉焦がしエビ焼く鉄板の前で腕を組んで考え込んでいた。彼女の両手には一対のヘラがある。鉄板の上にはじゅうじゅうと音を立てる野菜や肉、それにエビと主役の「そば」。つまりは焼きそばが出来上がりつつある。

 それをナズーリンはヘラで器用にかき混ぜる。しゃっしゃとヘラと鉄板のこすれ合う音を軽快に刻みつつ、彼女は自問を繰り返す。

 彼女は頃合いを見て濃い茶色なソースをソバに掛ける。広がる匂いが焼きそばを作っている、と感じさせてくれる。ナズーリンはそれをヘラでかき混ぜて、ムラのないように味付けする。

 耳がぴくぴくしているネズミ。さらにちょっとだけ鼻歌が漏れる。

 器用に紙の皿に焼きそばを置いて、ネズミはさらに次の焼きそばに取り掛かる。

 

「上がったよ。ほら持っていってくれよ」

「はいはーい」

 

 ナズーリンの居る厨房の「仕切り」に机がある。その上に出来上がったものを置いておくとウエイトレスが持って行ってくれるのだ。だからナズーリンも出来上がった焼きそばを置いておいた。

 しかし、眼を離したすきにそれはもうない。ナズーリンはそれをちらちと確認しただけで料理に集中した。

 

(これ……今は河童の店でやっているけど、自分でやったら儲かるんじゃないか?)

 

 ヘラを操りながらネズミは思う。その時にはご利益のあるとか適当なことを書いておくと客も増えるのではないかと思うのだ。

 ウエイトレスはするりするりとごった返す海の家の中、無意識に人歩いている。顔はいつも笑顔だが、それに誰も気が付かない。手には焼きそばの皿を持っている。着けている絵プリンにはフリル。可愛らしいそれが揺れる。少しメイドのような恰好。

 しかし、誰も気が付かない。注文すればいつの間にか料理が来ているという不思議さが体験できる。

 

 外では今、巫女とその仲間たちの試合が始まっている。

 ただ、ウエイトレスは忙しい。注文に手を上げる者がいれば、するりと近寄って驚かせる。

 

「私あなたの後ろにいるよ?」

 

 などと客を驚かせている。

 その傍を一人の青い髪なウエイトレスが通る。恰好はやはり水着の上にエプロンだが無地の黒である。彼女は両手にビールジョッキを持って忙しく動き回っている。

 海家は商売繁盛。眼が回るような忙しさである。

 

 ☆★

 

 それは少し時間をさかのぼる

 ぐーすか寝ていた河城にとりを起こしたのは、彼女の同胞だった。

 ゆさゆさと体を揺らされたにとりは顔に掛けていたタオルを取ると、気だるげに身体を起こした。まだ眠たいのか指で目を擦っている。彼女は仮眠を取り始めたばかりの時に起こされて少しイライラもしている様子だった。

 しかし、彼女の目の前に並んだにとりの同胞、つまりは河童の少女達はぎゃあぎゃあと口々に「危機的状況」をにとりに説明した。

 

「なんだよ。私は金づ……聖徳太子じゃないんだから、一人ずつ喋ってくれ」

 

 にとりは口を滑らしつつ河童達に質した。目の前にいるのはおかっぱとそばかすな河童と他数名である。それぞれがちらちらと相手を見つつ、譲りつつ最終的にそばかすが説明する。

 余談ではあるが彼女達のおかっぱは手にデジタルカメラを握りしめながら、背に隠している。寝ている「被写体」は丁度良いブロマイドの材料であった。水着で無防備に寝る者ではない。

 それはそれとしてそばかすが説明する。それを聞いてにとりはがばりと立ち上がった。

 

「なんだって!? 海の家にそんなに人間達が入ってきているのかっ」

 

 ☆★☆

 

 ビーチバレーなどにとりの商売の戦略の一つに過ぎない。

 見た目は美しい少女達を使って人々を集めてから飲み物を中心に売りさばく、そして巨大な副業としてブロマイドを販売する、その程度の物だった。いや、それだけで十分なほど利潤が求められるからこその始めたのだ。

 にとりにとって巫女との賭けなどおまけのおまけのおまけに過ぎない。

 しかし、物事は予想より悪くなる時もあれば、逆に良くなりすぎることもある。

 

「な、なんだこりゃ」

 

 にとりは絶句した。彼女は海の家の前からその光景を見た。

 人で溢れかえる店内。子供連れからカップルや、それでいてどう見ても地元民としか思えないような格好の者。狭い店内に入りきれなかった者たちは、海の家の近くにたむろしている。

 レジには長蛇の列。

 注文を泣きそうな顔で受けているのはおかっぱ河童。にとりを呼びに来た幾人かの河童達は慌ただしく仕事に戻っている。がやがやと熱気に包まれた店内で悲痛なほど必死に彼女達は働いている。

 ビーチバレーに思ったよりも人が集まってしまった。

 観衆は試合の終わった合間を縫って、どうにも関係者らしい海の家で物を買おうと津波の様に押し寄せている。明らかに従業員の処理できるキャパシティを超えている。

 スポーツとビジネスは現代では切っても切れない状況にある。それは人がお腹を減らし、喉が渇くからこそ仕方のないことである。ビジネスとはスポーツから生まれるというより、人の集団に生まれるのかもしれない。

 

「こりゃあまずい」

 

 にとりはとっさに判断した。これは人員を増強しなければということである。自分は働きたくない。

 彼女は顎に手を当ててわずかに考え込んでいると、となりから「ファンです」などとほざく人間が寄ってきたので走って逃げた。彼女も顔が売れてしまっている。

 ぱっぱと砂を蹴りながら海の家から離れた彼女だが、既に脳裏に名案が浮かんでいた。

 ☆

 

「い、いや。私は次の試合もあるんですが……というか、私だけ働きっぱなしじゃない!」

 

 雲居一輪は少し素な感じで怒った。

 紫のビキニを着た麗しい彼女も、既にビーチに人気者である。幸せかどうかは別の話である。さっきまで人の試合に実況もどきとしてかかわったり、いろんなことをしていて汗もかいている。逆にそれが艶をだしていることには気が付いていない。

 危機的状況ににとりは例によってビーチバレーの選手たちを流用しようとしていた。とりあえず雲居という考えもすでににとりにはある。

 

「そこをなんとか頼むよ。これも修行だと思ってさ」

「水着で海の家に働きに出る修行はわが宗教にないわよ」

「……そもそもあんたは飲酒の罰でここにいるんだろ。選り好みできる立場じゃあない気がするけどな」

「う……そ、それを言うなら水蜜もそうじゃないですか」

 

 にとりはふるふると首を動かす。ポニーテールが揺れる。

 

「さっき聞いたけどあいつは本当に次の試合だから」

「だ、だからと言って私ばかり……。またウエイトレスを昨日みたいにさせる気なんでしょう?」

「ああ、いや。別に。ソンナワケナイジャン」

「なんで片言なのよ」

「河童だからさ。ニホンゴムズカシイデスなんてね。……冗談はおいといて。ま、いいよ。忙しいのはほんとのほんとだからさ、厨房で何か作ってくれよ。カレーくらい作れるだろ、あんただって子供じゃないんだから」

「……か、……れー?」

 

 無意識に一輪は下がった。砂浜に一つ足跡を残しながら。表情がひきつっている。

 にとりは「はあ?」と心底呆れたような顔をしている。一応のところ博麗霊夢以外の少女はそれなりに人生経験ならぬ、妖怪経験を積んでいる。子供では断じてない。

 

「あんた、もしかして簡単な料理もできないのか? 幻想郷ならともかくこっちに来て多少はしただろ。もしかして……カップ麺派?」

 

 にとりは疑わし気に聞いた。一輪ははっとした。

 

「そ、そんなわけないじゃないじゃない。子供じゃあるまいし」

 

 背筋を伸ばして少しだけ強がる。

 脳裏に広がるのは最近の光景である。

 

 ――水蜜、今日のご飯なに? 皮むきくらいするわよ

 

 蘇る情けない記憶。

 特に話しかけている相手が目上ですらないところが物悲しい。扱った調理器具はピーラーだった。

 それはとある日の記憶である。お寺に備え付けられたキッチンでの何気ない一場面であった。一輪はそれを思い出しながら脂汗を流している。この思い出の中の彼女は料理をしているような、していないような中途半端な立場にある。

 雲居一輪とて長生きしている、ゆえに料理ができないわけではない。ただし、彼女の知識のメインは火打石だとかかまどだとか、少々レトロなだけである。遭難した時くらいは役に立つだろう。

 個人的に思い出す料理の記憶と言えば川で釣った魚に木の枝を刺し通して、火であぶりながら塩をふりかけたことなどである、どちらかというといわゆる「男の料理」とでもいえるかもしれない。満天の星空の下で食べた魚は美味しかったが、だからどうしたとも言える。

 余談だが彼女も電子ジャーに感動を覚えた一人ではある。

 

 ――え? 無洗米って洗わなくてもいいんですか? わぁ、電子ジャーが炊き上がりの時間を喋った! すごいなぁ。これって粟や稗も炊けるのかしら?

 

 くだらない記憶も蘇ってきたところで一輪は首を振った。

 

「ま、まあ厨房で何かする程度なら問題ないわ」

 

 少々女の子ぶりながら答える妖怪。眼を閉じて顎を少し上げて、そっぽを向きながら言う。内心の焦りを気取られない様に頑張っている。

 にとりは疑わし気な目で見ていたが、猫の手以下でも借りたい状況ではある。深くは追及することなく、じゃあ任せたよと言いながら海の家に戻っていった。

 

 ☆★

 

 雲居一輪とて永い時を生き抜いた妖怪である。その深い過去には深遠な知識と経験が存在する。だからこそカレーなどを作るとしても大して苦ではないだろう。というにとりという経営者の視点。

 これこそが人生経験を積んでいる「であろう」人材が新しい職場では過度な期待を受けることになる。世に言う「即戦力」という言葉である。現代の闇の一つといってもいい。

 

 一輪は河童に貸してもらった黒い無地のエプロンを水着の上からつけた。それから髪をゴムで結わえる。手をあげて髪を扱うと腋が見える。服を着ているわけではなく、水着のままなので肌の露出が多く、油が飛んでくると少し危ない。

 彼女はごった返している海の家にこそこそと入るいなや、そんな風にエプロンを渡されて持ち場を持たされた。初日でやっていたのは売り子であることを考えれば、かなり仕事内容は変わっている。

 

「よし、がんばるか」

 

 一輪は手に包丁の柄を握りしめた。その持ちかたは斬ることよりも、突くほうに向いている。それを見て厨房で働く他の河童はぎょっとする。一瞬作業が止まった。

 それに気がつかない一輪。彼女も流石にカレーの作り方は知っている気がした。要するに野菜を叩き切り、お湯に沈めた後に黒い塊を入れてからかき混ぜればいいのだ。それからご飯とカレーを適当に皿に盛れば完成である。

 

 一輪の前にはまな板が置いてある。その上に人参がある。皮は剝いてある。彼女はだいたい食べやすいくらいの大きさに切ればいいのだろうと、目分量でゴスンガスンと包丁を握りしめたまま切り始めた。

 そこににへらと愛想笑いをしながらおかっぱ河童がやってくる。

 

「え? なんですか?」

 

 一輪は包丁を握ったままきょとんとしている。おかっぱはカレーは手が足りているのでと言いながら、厨房の端にある鉄板を指さした。そこで作られているのは「焼きそば」である。

 あれをやってくれと、おかっぱは言った。なんとなく刃物を握っている相手に話しかけるのは怖い。さっきも日本刀系のアイドルに切り殺されそうになったのだ。それでも一輪に妙な怪我をされるわけにもいかないしと勇気を出しておかっぱは出てきたのだ。

 焼きそばであれば材料を入れて焼くだけであるから刃物は殆どいらない。既にキャベツなどは切って用意してある。

 

「やき……そば」

 

 一輪はそれを見て焦った。カップ焼きそばであればよく水蜜が作るので一緒に食べている。お湯を入れて捨てるような形である。そんな程度の知識しかない彼女だが、言われるままに鉄板の前に来た。

 小ぶりな鉄板である。海の家のおける程度の物だからそれで充分なのだろう。既に油もよく塗ってあり、良く温まっている。後は作るだけなのだが、一輪は考えた。

 焼きそばとてそう難しい料理ではないはずである。要は焼いてしまえばいい。後はキャベツやトッピングを入れるのである。そう思って彼女は傍らに置いてあったパッケージに入ったそばを取る。

 表に「味沢匠先生監修 おいしい中華麺」と書かれたそれの中には黄色がかった麺が入っている。一輪はそれを両手で持って首を傾げた。

 

「色が違うなぁ」

 

 いつもはもっと濃ゆい茶色をしている気がする。彼女があたりを見ればソースの入ったケースも置いてあった。

 

「なるほどこれを掛けるのね」

 

 一人で勝手に納得しながらうんうんと頷く一輪。そして聞き耳を立てれば立てるほど不安になっていく周りの河童達。手順を確認しているという状況がかなりの不安を掻き立てる。とはいっても河童達も忙しすぎて教える暇もない。典型的な教育カリキュラム不足な職場である。

 

「あの」

 

 その時厨房に二つの影。

 虎の毛皮のように艶々した短い髪に白い水着を着た毘沙門天、そしてその後ろにめんどくさげな顔しているネズミが一匹。言うまでもなく寅丸星とナズーリンだった。

 

「また昨日のように店を手伝うようにとりさんに言われたのですが」

 

 要するににとりがまた連れてきたのだろう。

 だが寅丸の言葉に河童達は眼を輝かせて彼女を見た。いわば彼女は一輪の上司のような存在である。押し付けてしまえと、その彼女達の一見純粋な瞳は言っている。河童の一人が丁寧にお礼を言いつつ、一輪の状況を詳しく説明した。 

 寅丸はふむふむと頷いた。

 

「なげかわしいことですね。永く生きていながら料理の一つもちゃんとできないとは、一輪。こちらに来なさい! 私がちゃんとやきそばについて説明をしてあげましょう」

「えっ?」

 

 寅丸は少し大きな声で一輪を呼ぶ。いきなり呼ばれてソースケースを落としそうになった。彼女は寅丸を見てから、少しむっとして歩いてくる。

 

「焼きそばの作り方を教えてくれるというけど、できるのですか?」

「一輪、仮にも毘沙門天の代理である私に失礼ではありませんか? そのようなことすらも分からないでどうするというのですか?」

「ええー?」

 

 一輪の癖の一つに親しかったり、身内だったりすると口調が崩れることがある。寅丸を胡散臭げに見る仕草も、少し不良のようである。眼を細めて下から上を見上げるような仕草だ。

 寅丸はやれやれと肩をすくめる。一輪のように不心得者には正しい知識を授けてあげるのも仏の役割である。

 

(ご主人様が料理?)

 

 失礼なのは毘沙門天の後ろにもいた。だが口を噤んでいるのでわからない。

 寅丸は胸を張ってふふんと鼻を鳴らす。毘沙門天の代理として修行研鑽に明け暮れた彼女には焼きそばの作り方など手のひらをかえすよりもたやすい。

 毘沙門天は戦いの神である。古来より人に限らず多くの動物や妖怪が相争ってきた。時には神々とてその因果からは逃れることはできなかった。そして戦いとは華々しく剣をぶつけ合うだけではない、ありとあらゆる手段を使ってでも相手に勝つということである。

 つまり戦いの神とは賢くなければならない。

 

「ふふふ、良いですか一輪。そういう時はですね」

 

 寅丸はタブレットを取り出す。ある意味英知の結晶のそれを指で押してインターネットに接続する。後ろでは口を開けて無言で驚いているネズミ。

 

(こいつ……あ、いやご主人様は毘沙門天だからわからないことはないとかいっていなかつたか? な、なにググろうとしているんだっ!!)

 

 ナズーリンはともすれば言ってはいけないことを言いそうになる自分を抑えて、ひょっこりと寅丸の肩ごしに画面を見る。見れば検察エンジンに文字を打ち込んでいるようだった。

 

 ――「やきそばの作り方をどうすればいいか」 検索

 

(ああああ)

 

 なんか恥ずかしくなってきた。ナズーリンは無言で両手を顔に当てる。

 

(そういう時は「やきそば 作り方」とかで検索すればいいんですよ!!)

 

 最新の機械を使いつつ、考え方が古い毘沙門天。もしかして将来的に戦場に出るときもタブレット検索をする気なのかとナズーリンは背筋が寒くなる。そんな締まらない戦いの神は嫌である。

 寅丸と一輪は一つのタブレットを覗き込み、肩を並べてみている。瞳にデジタルな光が反射してきらきらしている。それを見て河童達も思う所があるらしくナズーリンにアイコンタクトを送ってくる。どうにかしろということだろう。

 ナズーリンは大きくため息をついてから、顔を覆っている手、その指の間から赤い瞳で尼と毘沙門天を見る。もしかしたら料理などの分野だけで言えば人間の子供のほうが役に立つかもしれない。

 

「ご、ご主人様」

「なんですかナズーリン」

「……」

 

 実際なんといえばいいのだろうか、聡明な彼女にもぱっとは思いつかなかった。しかし、このままでは色々と無様である。ナズーリンの眼が泳いでいる。必死に次の言葉を考えているのだ。寅丸は別段悪いことはしていない。

 

「や、焼きそばくらい私がつくりますよ。ご主人様と一輪は昨日と同じように注文とか取ったらいいんじゃないですか?」

 

 ナズーリンは自分の働くことなど望んでいない。しかし、今を打開するにはこれしかなかった。寅丸と一輪は顔をみあわせた、それから寅丸はくすりとした。

 

「ナズーリンが自分から手伝いを言い出すとは殊勝なことです。いいでしょう、そちらはお任せします」

「は、はい。はは」

 

 ナズーリンはお腹がきゅうと締まるような感覚を覚えたが、顔は薄ら笑いしている。逆に寅丸はナズーリンが自発的に手伝いを言い出したことが嬉しいらしくニコニコしている。一輪とこいしは「んー?」と並んで首を傾げている。

 

 ☆★

 

 ぱんと緩やかに上がったボールを霊夢は軽くレシーブする。それを水蜜がまた拾って、上にあげる。試合までの簡単なウォーミングアップである。水蜜は一つ打ち返すときに「そーれ」だとか「そりゃ」だとか声を出している。

 明るく、楽しげな声は船幽霊であると信じられない。いや、妙なくらいにご機嫌なのである。さっき間違って霊夢が「お姉ちゃん」と口走った時に思いっきりからかえたのでほくほくしている。

 逆に霊夢の表情は少し暗かった。

 

「れーむさん」

「なによ水蜜」

 

 パスをしあいながら話し合っている。

 

「楽しくやりましょうね」

「…………」

 

 霊夢はその言葉に応えることができなかった。頭にはなんとなくアパートでのたわいもないことが反芻している。

 

 

 

 


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