凄い考えました(語彙力喪失)
「五能さん。」
「ん?何だい?」
「車が必要です。」
「それは…なんでだい?」
「私は食品などの買い物へ行く時に車があると便利だと思いまして。」
「確かに…だけど食費と服代に更に車、となるとお金が…あ、確かガレージに車があった筈だよ。」
「そうですか!」
「うーん…そうなんだけど…それが中々に古いやつでね。走れるかどうか…」
「取り敢えずガレージに向かいましょう。」
「そうだね…」
そうして僕らはガレージに向かった。
そのガレージにあったのは、セドリックの39年型。三億円事件のあの車だ。
自分的には両端の丸い二つのライトが特徴的だと思う。
特に関係は無いが。
ともかく、これは自分が生まれた時からここにあって、走った所を見た事が無い。
「確かに、これだと走れるかどうか分かりませんね。」
「そうなんだよ。どうにか出来るかい?」
アージャーさんは少し考える仕草をして、
「確か、ここには電話機という遠方と通信できる機械がありましたよね。」
「あぁ。確かにあるけど…」
「一つ、試したい事があります。」
「どこに繋ぐんだい?」
「イギリス政府です。」
ん?いまこの人何つった?
「わ、わんもあぷりーず?」
思わずふわふわ英語で聞き返してしまった。
「イギリス政府です。」
「一回そこに掛けてください。そこからは私が話します。」
「何でそこに?」
「話は電話してからにしましょう。」
「ま、まあ分かった。電話掛けに行こうか。」
そしてガレージを出て電話があるリビングへ行く。
ちなみに紫姫と貫さんはこの館を散策している。
「じゃあ、掛けますね。」
電話番号を押し、受話器を持ち上げる。
応対して貰う事もあるかもしれないので、電話の掛け方は事前に教えていた。
プルルル…と音が鳴った後、電話が繋がった。
アージャーさんが喋る。
「
そう言って受話器を持ち上げ、スピーカーモードにした。
スピーカーから声が聞こえる。
『お久しぶりです。レグエル・アージャー様。“騎士団”ともども、貴方をお待ちしておりました。』
英語で返事が来た。もしかしてアージャーさん凄い人だったのか?
『御用は何でしょう。』
「ああ、車があるんだが、直して欲しいんだ。ついでに改良もね。」
『分かりました。我ら“騎士団”、その車を最高の車にして見せましょう。』
「ああ、頼むよ。」
『それでは、今から3時間後にそちらに向かいます。派手に向かいますね!』
「分かった。なるべく控えめで頼むよ。」
そう言ってアージャーさんは電話を切った。
思わず聞いてしまう。
「何でイギリス政府に伝手があるんだい!?」
「落ち着いて下さい。それは今から言います。」
「これは、私の生まれた時からの話です。」
そして、アージャーさんの過去の話が始まった。
◇◆◇◆
私が生まれ、意識がしっかりした時は既にどこかの孤児院に入れられていた。
半人半妖の吸血鬼だったお陰で、『悪魔だ。』『吸血鬼だ。』と言われ、
自分が施設を出るまでずっと虐められ続けた。
だからといって、自分は半分人なので、吸血鬼側に着いても同じ様に虐められるのは分かり切っていた。
そしてそのまま働く事も出来ず、そのまま飢え、道の端で遂に倒れた時、ある老婆に声をかけて貰った。
「お前さん、大丈夫かい?そんなに若いのにそんな所で倒れて。働く所は無いのかい?」
「私はどこにも受け入れられないんです。半人半妖だからどちら側にも受け入れらなくて…」
「そうかい。じゃあ、うちに来るかい?」
「…え?」
その老婆が放った言葉は、確実に私の人生を変えた。
「良いんですか?私は半人半妖なのに…」
「そんなの関係ないよ。危害を加えないなら、困っている者は誰でも助けるもんだろう?それに…」
ビッと人差し指をこっちに向け、
「あるプロジェクトにお前さんの様な人が必要なんだ。」
「ついて来い。私の名前はホワイト。白は平和の白、だ。」
ホワイトさんはそう言い、先に歩いて行った。
ホワイトさんは、昔妖怪と人間両方から迫害を受けていた人を集めて、
妖怪たちに対抗できる組織を作ろうとしていた。
僕は、自分と同じ様な境遇の者達を集める役割を任された。
そして、数年経った後、ホワイトさんは言った。
「私は、昔は妖怪が嫌いだった。だが、混ざり者の彼らが迫害されてるのを見て、耐えられなくなったんだよ。」
「だから、彼らを集めて、自分たちの居場所ができる組織を作ろう。そう思った。」
「まあ、人を守る組織になるとは分かんなかったけどね。」
そう言って苦笑いするホワイトさん。
あの時から集めた者たちは、半人半妖から、とある理由で迫害されていた妖怪まで、様々な者が居た。
彼らはそこから人間と交流する事で、次第に人間に心を開き、仲間となり、中には恋愛関係に発展した者も居た。
そこで、そんな人間達と手を組み、迫害された妖怪、そして人間も救う組織“騎士団”となった。
「人間と妖怪では歳の差はあるが、そこで育んだ友情は一生残る。」
彼らは、ホワイトさんが言ったその言葉をこの“騎士団”のモットーにした。
次第にその活動も広まって行き、イギリス政府にも活動が認められつつあった18世紀、ホワイトさんは既に亡くなり、
私はいつの間にか“キング”と言われる様になっていた。
その時から、この“騎士団”を良く思わない連中が現れて始めた。
それは、西洋を代表する妖怪、吸血鬼である。
中でも、スカーレット家の者たちはよく思っていなかった。
スカーレット家は純血の吸血鬼を絶対とし、混ざり者は排除してきた。
それが今になって脅威になったのである。
スカーレット家から目をつけられ、そこからはその一派による
“騎士団”への攻撃が始まっていった。
スカーレット一派は“騎士団”に関係のある者を殺害し、自分の力を誇った。
当然“騎士団”の連中は怒り狂った。
そしてそこからは戦いが始まった。
スカーレット一派の力は凄まじく、精鋭が集まっていると言える“騎士団”でも均等な強さだった。
そして遂に、イギリス政府直々にスカーレット一派の当主を討伐して欲しい。との要請が来た。
私達はそれに応え、準備を整えてスカーレット一派の本拠地である
本拠地の防衛は人間と少しの妖怪に任せた。
館に突入して、自分たちの量と質に任せて突き進んでいく。
そして主人がいる部屋に着き、扉を突き破って数十人で主人を取り囲む。
私は口を開いた。
「スカーレットの主。お前はもう終わりだ。」
そう私が言うと、主人は嘲笑う様に、
「終わるのはお前らの方だ。」
その時、後ろでパンッと何かが弾ける音がした。
何なんだと後ろを振り向くと、8人ほどの仲間の頭が、人間で言う3歳程の身長の吸血鬼の子供に“弾けさせられていた。”
だが、今の最優先は主人を倒す事だ。
「スカーレットの主を殺せぇぇぇぇ!」
それを皮切りに、主人との戦いが始まった。
スカーレットの主はとても強く、戦いの途中で数人の仲間がやられて行った。
そして、10人がけで銀の剣を同時に刺すことで完全に息の根を止めたのだ。
「終わりだ…スカーレットの主。」
そう言うと、後ろで声がした。
「まだ…終わりじゃないでショ?」
「お、お前は…」
完全に失念していた。最初に仲間の頭を弾けさせた奴だ。
この子は、少しおかしい。まるで…何かに支配されてる様な…
「貴方達、強いわネ…!わタシとも…遊んでくれる?」
瞬間、非常に強い危機感を覚え、“能力”を使った。
目を開けると、周りに仲間の姿は無く、代わりにあったのは無惨にも弾け散った肉塊と血、
仲間がさっきまで使っていた武器だった。
「嘘だ…」
「あラ、すぐ壊れちゃったわネ?だけど、貴方はまだまだ壊れてないわネ!」
そこからは速かった。もう一回能力を使って私の体が弾けるのを防ぎ、
ドアを開けて窓を打ち破って外に飛び出る。
幸い、この体のお陰で特に傷を負う事も、日に焼ける事も無く済んだ。
敵もいない様だった。
本拠地に戻ると、聞きたくない事が聞こえてきてしまった。
「攻略に向かった人達は全滅…命からがら戻って来た人も今は危険な状態です。スカーレット一派の大体の勢力はもう無くなったと言っても良いでしょう。千人ほどいたのが半分程になりましたしね。当主も倒しましたし、このまま権力争いが起きるでしょう。騎士団は…これで終わりかもしれません。」
「まだ…人間が残っている。」
「私達人間では、吸血鬼に太刀打ち出来ません。」
「いや、吸血鬼は自分の力を過信している。最近は武器の技術も上がって来ている。
このまま研究すれば、吸血鬼をも越えられる様になる。」
「本当ですか?」
「本当だよ。」
「君たちはこれからも不遇な人の保護を裏から進めて行って、研究を進めて行ってくれ。
そして、大事なことは慢心しない事だ。慢心するとそこを吸血鬼に漬け込まれる。
頑張ってくれ、これからは君たちに主導で進めて貰う。」
「分かりました。これからは私達にお任せ下さい。キング。」
「頼んだ、リブアル。ああ、私が戻った時の合言葉は、」
「
◇◆◇◆
「そして私は“騎士団”を離れ、スカーレット家に追われない様に自分から封印されたんです。」
「だけどそれなら何故日本に?」
「何ででしょう…多分封印されたのを知った誰かが、私をこちらまで持って来たのでしょう。」
「そうだったのか…一体誰が?」
「それは分かりません。私も封印が解けた時日本にいてびっくりしましたからね。」
「い゛い゛話だな゛ぁ〜」
後ろで貫さんが感極まっている様だが、見なかったことにしよう。
「そういえば…3時間で来るって言ってたけど…どうやって来るのかい?」
「さあ…私にもそれは分かりませんね…」
その時、遠くからバラバラバラ…というヘリの音がしてきた。
「来た様ですね。」
窓を開けると、一機の輸送ヘリと攻撃ヘリ3機がこちらに向かって来ていた。
攻撃ヘリが。
「これは派手に来すぎじゃないかな…」
ヘリ4機がこちらに降りて来る。
そこから降りて来たのは、眼鏡をかけた女性だった。
「え…!?」
何故かアージャーさんが驚愕している。
「何かあったのかい?」
「か…彼女は…私が“騎士団”を抜ける際に最後に話をした人です…」
「えっ?それからもう200年も経ってないかい?」
彼女が話す。
「これからは私もここに住みます!あっ、車は任せて下さいね!必ず良い車にして見せます!それより!
遂に封印から解かれたのですね!封印された石碑がどこに行ったか分からなくて、私達は任務がてらずっと探してたんです!
これってあれですかね!運命的な再会ってやつです!これからはもう絶対に離れません!」
一息ついて、
「という訳で!キングの未来のお嫁さん!リブアル・ホワイトです!これから宜しくお願いします!」
アージャーさんはスマホのマナーモード並みに震えている。
横から装備を着ている男の人が話しかけて来た。
「車、持って行きますね。それとこれを、キングに。」
「分かった。」
渡されたのは、何やら重い物が入ったケースだった。
「それでは。」
輸送ヘリに車が積み終わり、ヘリのローターが回り始める。
「何かあったらまた仰って下さい。」
「私達はキングを敬っています。そして、キングの封印を解いてくれた貴方も同じぐらい感謝しております。」
そう言って彼は一礼し、ヘリに乗った。
ああ、こんな派手に来られたらここ確実に注目されるな。
取り敢えず白目を剥きかけてるアージャーさんを戻さないと。
◇◆◇◆
数日後、また輸送ヘリと攻撃ヘリの4機が来て車が届けられた。
車は錆が多かった薄緑色から、黒色へ、車の中は高級そうなシートへ変わっていた。
車の中には手紙があった。
『車を修繕、改良させて貰いました。
エンジンは最高品質の物を使い、最高で時速400km出す事ができます。
武装は機関銃をライトの部分に4門載せてあります。
ボディーとガラスは防弾仕様で機関銃の弾なら防ぐ事が出来ます。
車の後部からは撒菱、煙幕、手榴弾が出るようになっています。
我々が出来る限りの最高の技術で作りました。気に入って頂けたでしょうか。』
武装とか手榴弾とか物騒な単語がたくさん並んでいるのだが…
リビングに皆を集める。
「これ、どうなっているんだい?」
手紙を見せる。
「ああ、これは私が頼んだんですよ。」
「こんなに武装要るかい?ていうか、そもそも武装要る?」
「キングが言うから必要ですよ!」
「そうなのか?儂は余り必要には思えないんじゃが…」
「後々必要になります。絶対にあった方が良いですよ。」
手紙をもう一度見る。
「まぁ…いっか。」
どうだったでしょうか。
アージャーとリブアルには名前に意味があります。
Raguil Azure (レグエル・アージャー)
Ribal white (リブアル・ホワイト)
レグエルは、ある天使の名前を崩したもので、アージャーはスカーレットと対になっています。
リブアルは、『復活』を英訳した物を崩した物です。
ホワイトは勿論平和の意味があります。
さて、粘着質な追っかけの新キャラが出て来ました第3話。
次回お楽しみ下さい。