ハローチリちゃん、元気ですか?兄ちゃんは元気です   作:宮川アスカ

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卒論が終わり、やっとポケモン買いました。ストーリーめっちゃ良かった。


第1話 兄ちゃんは無職です

 ハローチリちゃん、元気ですか? 兄ちゃんは元気です。

 兄ちゃんがガラル地方に来て、もう3年になります。

 この地方では相も変わらずガラル粒子と言った不思議な力でポケモンが巨大化しています。ダイマックスなんて言う異常も続いてしまえば日常で、存外に平穏な日々を送っています。

 ただ少し不幸があったとすれば、つい先日職を失いました。兄ちゃんは無職です。

 

 

 

「……はぁあああ!?」

 

 3ヶ月に1度届く兄からの手紙。今どき手紙など古めかしいかもしれないが、兄が旅に出た当日は、まだ電子機器の流通があまり行われていなかった時代。その時に兄妹でした約束を、兄は未だに律儀に守っている。

 そんな手紙の内容に、パルデア地方四天王の1人であるチリは、あまりの衝撃に、驚愕の声を上げた。それもそのはず。何故なら自身の兄が職を失ったと言うのだから。

 

 チリは自他共に認めるブラコンである。兄妹揃って顔が良く、スタイルも良く、おまけに性格も良く、いつだって優しい。チリにとって自慢の兄であり、尊敬する兄であり、敬愛する兄である。

 故にチリからしてみれば、そんな完璧な兄が職を失うなど天と地がひっくり返ってもありえないことなのである。

 

 あれから何分が経っただろうか。未だ状況が飲み込めてないチリの目に、1つの広告が映る。

 

『グレープアカデミー教職員募集中!!』

 

「これや……」

 

 その文字を見たチリは、即座に兄とオモダカに連絡を入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無職になってから1ヶ月。妹からの誘いを受け、彼はガラル地方を旅立ち、パルデア地方へ訪れていた。

 ガラル地方に思い残すことが無いと言えば嘘になるが、あの様な事件がおこってしまった以上、彼があの場所に滞在し続けるわけにもいかなかった。

 とは言え、何もマイナスな事ばかりでは無い。もともと彼はガラルの産まれという訳ではなく、色々な地方を旅して来た人間だ。新たな地方での挑戦と考えれば、悪い事ばかりでは無いだろう。それに、久々に妹と会えるというのも、彼にとって1つの楽しみであった。

 

「チリちゃん元気にしてるかなぁ」

 

 最後に会ったのは確か2年前。美人さんな妹の顔を思い浮かべながら、窓の外を見ると、巨大な建物が見えてくる。

 グレープアカデミー。創立805年の歴史を持つ巨大なモンスターボールが特徴の私立学園である。

 テーブルシティに着き、イキリンコが運ぶそらとぶタクシーを降りる。

 約束の人を探していると、後ろの方から声をかけられる。

 

「そこのかっこいいお兄さん。そないキョロキョロしてどないしたん?」

 

 どこか懐かしく、それでいて聞き覚えのある声。

 

「チリちゃ──」

 

 己の名前を呼びながら振り返る兄に、名前を呼び切る暇もなくチリは兄へと抱き着く。そんなチリに少し驚きながらも、彼はバランスを崩す事なくしっかりと受け止める。

 緑の頭を優しく撫でてあげると、彼の胸に埋まった顔がガバッと見上げる。

 

「兄ちゃん久しぶりやなぁ! ごっつ会いたかったで!!」

 

「うんうん。久しぶり。チリちゃんはあいからわず美人さんだね」

 

「せやろー? チリちゃん、兄ちゃんに似て美人さんやねん」

 

「えー? 兄ちゃんは美人さんよりイケメンの方が嬉しいかな」

 

「兄ちゃんはかっこよくて美人さんやで」

 

 そんな会話をしていると、何かが彼の足に当たる。何事かと思い視線を下に向けるとそこには妹と同じく見知った顔が。

 

「ドオーも久しぶりだね」

 

「ドォオ〜〜」

 

 チリの相棒である、とげうおポケモンのドオー。しゃがみこみ、頭を撫でると、嬉しそうに鳴きながら頭を擦り寄せて来る。トレーナーに似るとはまさにこの事。すると、自身のモンスターボールの1つが揺れている事に気づいた彼は、そのボールを取り出す。

 

「あぁ、ごめんごめん。お前も会いたかったよね」

 

 彼の手から軽く放られたボールからは、ドオーに似てる様でどこか違うポケモンが元気良く飛び出してくる。

 

「ヌォオ〜〜」

 

「ヌオー! 久しぶりやなぁ〜!! お前も相変わらず可愛いなぁ〜!!」

 

 チリに頬ずりされるそのポケモンは、彼の相棒、みずうおポケモンのヌオー。チリにとっては兄が旅に出る前、まだヌオーがウパーだった頃からの仲である。

 

 チリは一通りヌオーを堪能した後、ヌオーとドオーがわちゃわちゃと戯れているのを尻目に、兄に話しかける。

 

「さて。ほんまは、今直ぐにでも兄ちゃんとご飯にでも行きたいとこなんやけど、まずはやる事済ませよか。エスコートするで」

 

「ありがとう」

 

 感謝の言葉と共に、彼はスっと左腕を差し出し、その左腕と脇腹の間に、チリの右腕が通る。その姿はまるで恋人。しかし彼らにとってはこれが至って普通の事で、ただの兄と妹で、ただの兄妹である。




2人に恋愛感情は一切ありません。
あと関西弁にわかなので、チリちゃんの話し方おかしかったらごめんなさい。
お気に入り、評価、感想。リキキリンなみに首を長くしてお待ちしております。
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