カードファイト!! ヴァンガード LunaLight 作:バビロン@VG
目を閉じると、いつも浮かぶ光景がある。
白と黒。
全てがその2つで彩られた、モノクロの空間。
奥行きのない白い色が、どこまでも続く場所。
目の前には、1つのテーブルが置かれている。
黒い線で縁取られた真っ白なテーブル。
その上に並んだ、黒い色をした数枚のカード。
テーブルを挟み、長い髪の少女が微笑んだ。
「ねぇ、準備はいい?」
弾むような、無邪気な声。
私の返事を待つように、少女は微笑んでいる。
顔には白いもやがかかり、よく見えない。
「…………」
目の前に置かれたカードに視線を落とす。
黒いカード。裏返されたまま、表になるのをずっと待っている。
息を吸って、吐く。
ゆっくり、おそるおそると、私はカードに手を伸ばした。黒いカードに触れる。指先からは何も伝わってこない。もう一度、息を吸って、吐く。
目をあけた。
灯りの落ちた薄暗い空間が、目の前に広がった。薄暗い室内。周りから聞こえるかすかな息遣いと、ひそひそとした声。ロウソクの炎が、テーブルに置かれた数枚のカードを照らしている。
「はじめるわよ」
テーブルの向かいに立つ少女が、不敵な笑みを浮かべた。短い黒の髪に、赤いメッシュが入った風貌。金色の瞳。白い指が、炎が描かれたスリーブに入ったカードに伸ばされている。
「……そうね」
短く答え、同じように右手を前に出して、カードに触れた。月の絵のスリーブに入ったカード。冷たい感触が伝わる。
ロウソクの炎がわずかに揺れて──
「スタンドアップ・ヴァンガード!!」
宣言と共に、カードが表となった。
暗い夜の時間。張りつめた冷たい空気。
月の光に照らされて──
1枚のカードが、表になった。
サンセット・エッグ
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― 人知れず眠る、夢幻の遺伝子を秘めた卵。
VANGUARD
LunaLight
カシャ、カシャ。
カメラのシャッター音が鳴り響いた。
薄水色のカバーがついた、スマートフォン。
その画面に次々と、画像が表示されていく。
教室の黒板。花咲く花壇。時計。グラウンド。
ありふれた光景。何気ない日常。
がやがやと騒がしいお昼休みの教室に、
「──つまらない!!」
少女の、悲鳴のような大声が響き渡った。
「えっ、なに?」
「マドちゃん、どうしたの?」
二つの怪訝な声。
少女──日枝(ひえ)マドカが言う。
「この日常よ! 変わらない光景! くりかえされる時間! 今まさに、高校という名の青春の牢獄に、私達は閉じ込められてるの!」
両手を広げて熱弁するマドカ。
後ろでゆるく結ばれている薄茶色の髪が揺れる。
「まーた、はじまったの?」
呆れた顔で足立(あだち)ユウコが目を閉じた。
ため息をつくと、頬杖をつく。
「今月で何回目よ? マドカの日常嫌悪症」
「ダメだよ、ユウちゃん。マドちゃんはあれでも真剣なんだよ」
三芳野(みよしの)トモエがささやく。
ひそひそと話している二人。
マドカがわざとらしく天を仰いだ。
「あぁ、世界にはこんなにも不思議が満ちているのに、私達といえば来る日も来る日も勉強ばっかり。ロマンが、ミステリーが、素敵な出会いが! 私達には足りてない!」
大きく言い、嘆いた様子のマドカ。
ユウコは呆れた視線を向けている。
コホンと、トモエが咳払いした。
「ねぇ、マドちゃん。落ち着いて聞いて」
「……なによ、トモエ。あらたまって」
真剣な声色。マドカが視線を向けた。
マドカを見据えるトモエ。おもむろに口を開く。
「マドちゃんの日常がつまらないのは、マドちゃんの動画が面白くないせいだよ」
マドカが大きく目を見開いた。
ユウコが仰天する。
「トモエ、いきなり何言ってんの!?」
「ユウちゃん。これは簡単な推理なのだよ」
手を前に出すトモエ。
「その1、マドちゃんが日常を嫌うのは、不思議な事が好きだから。その2、マドちゃんは、都市伝説を取り上げるチャンネルをやってる。その3、マドちゃんの機嫌が悪いのは、だいたい動画が伸びない時」
指を伸ばしながら話すトモエ。
びしっと、トモエがマドカを指さした。
「つまり、マドちゃんは昨日動画を投稿したけど数字が伸びなくて機嫌が悪い! それを解決するためには、マドちゃんが面白い動画を作るしかない! 今のマドちゃんの動画は面白くないから、それを指摘してあげないと!」
華麗な推理の幕が閉じた。
呆然と、ユウコが口を開く。
「いや、伝え方下手すぎない? サイコパス?」
「違うよ、ユウちゃん。私は真実の伝道者」
得意げに胸を張っているトモエ。
ユウコが絶句し、言葉を失う。
「……うううぅぅぅ」
悲痛なうめき声が、響いた。
二人の前、机に突っ伏しているマドカ。
その輪郭が、心なしか溶けているように見える。
「うわぁ……」
目の前の暗黒物質を見て声をあげるユウコ。
トモエが口元に手を当て、息をのむ。
「そんな、マドちゃん。いったいどうして、そんな姿に……!?」
「……嘘でしょ?」
唖然とするユウコ。
マドカが顔をあげた。
「もうダメだ……。チャンネル登録者もいまだに72人しかいないし……。私なんて、生きてる意味ないんだ……」
しくしくと、涙を流しているマドカ。
ユウコが髪をいじりながら、ため息をついた。
「まぁまぁ、マドカ。元気出しなよ。いいじゃん別に、普通で」
「そうだよ! マドちゃんは面白い女だから、大丈夫だよ!」
言葉を尽くして、励ます二人。
少しずつ、マドカの身体が回復していく。
机に身体を預け、マドカが指で表面をなぞる。
「……動画が伸びないの」
ぽつりと、呟くマドカ。
「今いるこの武蔵国(むさしのくに)の彩多摩市(さいたまし)にある、不思議な噂や都市伝説を集めて、動画にする。絶対に面白いと思ったのに……」
悲し気な表情のマドカ。
トモエの目がきらんと輝く。
「マドちゃん。動画が伸びないのは、さっきも言ったけど題材じゃなくて──」
「あ、あー! そうだ、マドカ! あたし、面白そうな噂聞いたんだ!」
トモエの声を遮り、ユウコが大きく言った。
ぴくりと、マドカが反応する。
「……なに? 噂?」
「そうそう。えーっと、ちょっと待ってて」
ユウコが自分のスマホを取り出す。
ネイルをした指。画面を二人に向けた。
『──武蔵国 カウンターファイター特集!』
「ユウちゃん、これなに?」
首をかしげているトモエ。
マドカが画面を一瞥し、視線をあげる。
「ヴァンガードの特集? ユウコって、ファイターだっけ?」
「いや、あたしはやってないよ。弟が見てるのを、たまたま見つけてさー」
手を振るユウコ。
隣のトモエもまた、えへんと胸を張る。
「私もやってない。ミチル君は知ってるけど。ミチル君はラブ」
「あー、そうね。てか、マドカはこの記事知らなかったの? ヴァンガードやってるでしょ」
「まぁ、一応ね。でも今の私は、どちらかと言うと大人気配信者だし……」
トモエの口を、ユウコが塞いだ。
じたばたと抗議するように腕を動かすトモエ。
マドカはそれに気づいていない。
──カードファイト!! ヴァンガード。
世界的な人気を誇る、カードゲーム。
カードを集めて、デッキを作って、戦う。
老若男女問わず、世界中のあらゆる人々から遊ばれている、大人気ゲームだ。
そんなヴァンガードのプレイヤーは、ファイターと呼ばれている。
「カウンターファイターねぇ」
あまり興味なさそうなマドカ。
解放されたトモエが、首をかしげる。
「ねぇ、その、カウンターファイターってなんなの? 必殺技?」
「えっと、簡単に言うとね、プロのファイターじゃない人達。非公式の大会とかで活躍してる人を、そう呼ぶ文化があるの」
「じゃあ、プロよりは強くないの?」
マドカが微妙そうに顔をしかめる。
「大半のカウンターファイターはそうだろうけど、中にはプロかそれ以上に強いファイターもいるって噂。有名な人だと、Blazing Sunの熊取リクとか、加賀国はブラックアウトの桃山──」
「まぁまぁ、そういう話は置いといて!」
話が脱線しそうになり、ユウコが割り込んだ。
改めて、スマホを掲げるユウコ。
「この記事に書いてあるんだけど、うちらのいる彩多摩市にも、このカウンターファイターってけっこういるんだって」
「まぁ、確かに。この辺りはけっこうファイターも多いからね」
「そういうこと。で、この記事はそんな奴らの中でも、今活躍中のカウンターファイターをまとめた記事ってわけ」
スマホをゆらゆらと揺らすユウコ。
マドカが眉をひそめる。
「それで、ユウコ? その記事のどこが、面白い噂に繋がるの?」
「解説希望ー」
二つの視線がユウコに向けられる。
自信ありげに、ユウコが微笑んだ。
「ここ、記事の最後の所。ちょっと読んでみ」
スマホの画面がスクロールされる。
記事の最後、長い文章が表示された。
『──以上が、武蔵国のカウンターファイターの特集である。
さて、末筆となってしまったが、ここで読者の皆様には1つ謝罪をしなければならない。
実は武蔵国には1人、今回の特集では調べ切れなかった、あるファイターが存在する。
それは武蔵国の一部では伝説のカウンターファイターと呼ばれ、密かに存在が噂されているとされる人物だ。取材チームでも全力で調べ上げたが、そのファイターに関する情報はほぼ全くといっていいほど出てこなかった。
確認できた情報は2つ。
1つは、そのファイターはしばらく姿を現していない。最後に目撃された情報は4年前のものであり、その後の足跡は掴めていない。今現在も武蔵国にいるのかどうかさえ、定かではない。
ただ、そのファイターがとてつもない強さであったことは間違いないようだ。
そしてもう1つだけ掴めた情報は、そのファイターの通り名だ。今回、特別にその通り名を公開しようと思う。引き続きチームで調査を行う予定だが、もし何か知っている読者の方がいれば、ぜひとも情報提供して頂ければありがたい。
かつて確かに存在したという、武蔵国 伝説のカウンターファイター。その名は──』
「──ルーンシャトー」
厳かに、ユウコが最後の文字を読み上げた。
がやがやとした喧騒。三人が黙り込む。
「なんだか、怪しい話しぞよ」
沈黙を破り、トモエが疑わしそうに言った。
ユウコの顔から自信が消える。
「まぁ、それはそう。あくまで噂だし」
「読んだ感じ、情報も全然ないし。名探偵の私でも、これだと解決は難しい」
腕を組み、悩むように目を閉じるトモエ。
ユウコが頬をかく。
「うーん。やっぱり、ちょっと無謀な話しだったかなぁ。ごめんね、マド──」
そう言いかけた瞬間、
「──面白い」
自信に満ちた声が響いた。
先程までの暗い様子はすっかり消え、
マドカが勢いよく席から立ち上がった。
「これこそ、私が求めていたロマンよ! 誰も知らない謎、非日常の趣き! 世界に必要なのはこういう物語なの!」
きゃぴきゃぴと、はしゃいでいるマドカ。
ユウコとトモエが顔を見合わせた。
「思ってた程、おかしくなってないわね」
「マドちゃん、平常運転」
ささやきあう二人。ユウコがマドカに尋ねる。
「それで、実際どうやって見つけるの?」
「ふっふーん、愚問ね。この大人気配信者様をなめてもらっては困る。餅は餅屋。ファイターのことはファイターに聞くのが一番! となれば、話しは簡単!」
断言するマドカ。
この上ない程のドヤ顔を浮かべて──
「──放課後、カードショップに行く!!」
力強く、そう宣言した。
目を輝かせるトモエと、渋い表情のユウコ。
「いや、それくらいは、記事書いた奴もやってるんじゃないの……?」
ユウコのもっともな疑問。
マドカがフッと、肩をすくめた。
「いいの! こういうのは挑戦すること事態が重要なんだから!」
トモエがうんうんと頷く。
「さすがマドちゃん。ポジティブの王様。強い」
ユウコが、諦めるように目を閉じた。
うきうきと、マドカがスマホを取り出す。
「この辺りはカードショップも多いのよね。とりあえずは、近い所から順番に──」
計画を考えているマドカの背後から、
「日枝さん」
空気を切り裂くような、鋭い声が響いた。
三人が振り返り、声のした方を見る。
黒く長い髪が、視界に入る。
眼鏡をかけた少女。長身で、姿勢の良い立ち姿。
凛としているが、どこか冷たげで、人をよせつけない雰囲気。茶色の瞳。
トモエが、笑顔で手をふった。
「やっほ~、ミコちゃ~ん」
「……どうも」
眼鏡をかけた少女が、軽く頭を下げた。
マドカが不思議そうに、首をかしげる。
「氷川さん?」
氷川(ひかわ)ミコトが、マドカの方を見た。
「日枝さん、話が聞こえたので確認しますが、今日の放課後は私とあなたが掃除当番なのを覚えていますか?」
「うぇっ?」
すっとんきょうな声。
その声が完全に忘れていたことを物語っている。
ミコトが、僅かにその目を細めた。
「あーあ、怒らせたー」
「ミコちゃん困らせちゃダメだよ」
好き放題に言う二人。
マドカが慌てたように手を振る。
「そ、そんなつもりじゃ! そうだ、ユウコかトモエ、どっちか代わってよ!」
二人が首をふる。
「無理。部活あるし」
「私も今日は用事ある~」
「そんな!」
引き下がろうとしないマドカだったが、
「話はまとまったみたいですね。それでは日枝さん、放課後はよろしくお願いします」
ミコトが、半ば強制的に話しを切り上げた。
有無を言わさぬ迫力。ミコトが背を向けて去る。
「ううっ、なによ急に」
不満そうにミコトの姿を目で追うマドカ。
ユウコが手を広げた。
「今のはマドカが悪いでしょ」
「そうだけど。てか、氷川さんとちゃんと話したの初めてかも」
「あー、あたしも話したことないや。いつも一人だよね、氷川さん」
声をひそめるユウコ。
ちらりとミコトの方を見て、続ける。
「入学してから2ヶ月も経つのに、誰とも話そうとしないしさ。美人だし、頭も良いのに、部活動とかもやってないし。ちょっと怖いっていうか、近寄りがたい雰囲気あるよね」
「まぁ、そうだね」
ユウコの言葉に、マドカもまた頷く。
トモエがふんすと、どこか怒ったように構えた。
「二人とも酷いよ。ミコちゃん、話かけるとちゃんと返事してくれるよ。そう、とか。知らないわ、とか。そんな感じで」
「……ちゃんとって言える、それ?」
ユウコがつっこむ。
トモエがピースサインを作った。
「私は名探偵だから、十分わかる」
教室の中に、予鈴の音が鳴り響いた。
がたがたと、周りが机や椅子を動かし始める。
「ま、調査は掃除終わった後にやればいいんじゃない。大した違いじゃないでしょ」
「……それはそうだけど」
不満そうに口を尖らせるマドカ。
トモエがぐっと腕をあげた。
「マドちゃん、ここは我慢の時。ファイト!」
「……うぅ」
なお不満げに唸るマドカ。
二人がそれぞれ、自分の席へ戻って行く。
残されたマドカ。机にぐでっと身体を預けた。
「あーあ、面倒くさいなー」
これからの授業を思い、掃除の当番を思い、
日枝マドカは憂うように天井を見上げた。
暗い表情。だがすぐに、それも消える。
ま、心躍るロマンも見つかったし、いいか!
わずかに微笑みを浮かべるマドカ。
窓の外では、雲一つない青空がひろがっていた。
終わりを告げる鐘が鳴った。
椅子の動く音。がやがやとした話し声。
人の姿がなくなり、教室の中が落ち着いていく。
窓から見える空は、夕暮れの鮮やかな色。
「よし! 任務完了!」
箒を片手に、マドカがきっぱりと宣言した。
はやる足取りで、掃除ロッカーに用具をしまう。
「お疲れ様です」
マドカが箒をしまったすぐ後、
ミコトもまた掃除ロッカーにモップを戻した。
「お疲れ様~」
片手をあげ、愛想よく言うマドカ。
ミコトはごくわずかに頷き、机に戻っていく。
「ふぅ」
自分の机の前、一息つくマドカ。
だがすぐに「よし!」と気合いを入れる。
「さーて、それじゃあ調査開始ね!」
机の上の鞄を持つと、マドカが呟いた。
スマホを見ながら、鼻歌まじりに歩き出す。
「ここから一番近いカードショップは──」
扉の前へと足を踏み出した瞬間──
つるりと、マドカが足を滑らせた。
「へ?」
驚愕の表情。
勢いよく、後ろへと態勢を崩すマドカ。
そして──
ミコトが、マドカの身体を受け止めた。
密着する身体。抱きかかえるよう、支えられる。
「わわわ!」
驚き、じたばたとするマドカ。
足元がおぼつかない中、
「……あなた、大丈夫?」
じっと、自分の顔をのぞきこむミコトを見て、
マドカがようやく落ち着きを取り戻した。
「あ、うん。ごめん、ありがとう……」
見れば、ミコトは僅かに息を切らしている。
マドカが倒れそうになったのを察して、
急いで近づいて支えてくれたようだった。
足元には、ミコトの鞄の中身が散乱している。
「わーっ! ごめん!」
助ける際、ミコトは鞄から手を離したらしい。
マドカがしゃがみ込み、物を拾い始める。
ミコトが首を振った。
「平気よ。私が勝手にやったことだから」
「そんな! そういう訳にはいかないよ!」
散乱したノートや教科書を集めていくマドカ。
床に落ちている参考書を持ち上げた瞬間──
「……え?」
思わず、マドカが声をあげた。
床に、白い色のデッキケースが転がっていた。
少し古めのタイプ。綺麗に、手入れされている。
「これって……」
手を伸ばそうとするマドカ。
ミコトがさっと、デッキケースを拾い上げた。
「…………」
じっと、デッキケースを見つめるミコト。
やがてホッとしたように、短く息を吐いた。
思わず、マドカが詰め寄る。
「ね、ねぇ、氷川さん! それってひょっとして、ヴァンガード!?」
「……そうね」
短く答えるミコト。
マドカが嬉しそうに立ち上がった。
「わぁ! えっ、ちょっと意外かも!」
はしゃいでいるマドカ。
対照的に、ミコトは無表情を崩さない。
「あ、ごめん、急に。あの、氷川さんってほら、けっこう謎な所が多かったから、つい。じゃあ氷川さんもファイターなの?」
「…………」
ミコトは答えない。
黙々と、鞄に荷物を入れ直している。
「あのさ、私もさ、一応ファイターなんだよね。ほら、クラスでやってる子って他にいないから、ちょっと嬉しくて」
マドカが照れたように頬をかく。
「ねぇねぇ、国家は何を使ってるの? ドラゴンエンパイア? ケテルサンクチュアリ? あ、もしかしてリリカルモナ──」
「悪いけど」
遮るように、ミコトが鋭い声をあげた。
冷たい目。ミコトがマドカを真っすぐ見る。
「私、ヴァンガードはもうやめたの」
二人きりの教室に、その言葉が響いて消えた。
夕暮れの空。外の部活動の声が聞こえてくる。
「……そっか。そうなんだ。ごめんね」
マドカが伏目がちに微笑んだ。
その手に持っていた教科書やノートを差し出す。
「……ありがとう」
目線をそらし、ミコトがそれを受け取った。
二人の間に気まずい空気が流れる。
「それじゃ、また明日」
それだけ言うと、ミコトが教室を出ていった。
一人、教室に取り残されるマドカ。
笑顔が崩れ、ため息をつく。
「やめちゃったんだぁ……」
がっくりと肩を落とし、思いを馳せる。
どんな理由があって、ミコトはヴァンガードから離れてしまったのだろう。友達がやめた? 勝てなくなった? 他の趣味を見つけた?
でも──
「あんなに、大事そうだったのに……」
デッキケースを見るミコトの姿を思い返して、
マドカが納得できなさそうに呟く。
息を吐いて──
「……まぁ、悩んでても仕方ないよね! 私にはやらなきゃいけない事がある!」
気合いを入れ直すように首を振る。
勢いよく、マドカも教室を飛び出していった。
「──とは、言ったものの」
気合いを入れてから早2時間。
日は沈み、辺りは既に夜の暗闇に沈んでいる。
道行く人々の喧騒の中、マドカは肩を落とした。
「こんなに聞きまわって収穫ゼロだなんてぇ」
学校を出て、カードショップを巡ること数軒。
得られた情報は見事にゼロだった。
「やっぱり、無謀だったのかなぁ……」
マドカの口から弱音がこぼれる。
徒労感と不安感が混ざり合った気分。
歩き続け、最後のカードショップに辿り着いた。
──カードショップ『WhiteDream』
この辺りでは大き目のカードショップの1つ。
ここで情報がなければ、付近は全滅だ。
「……はぁ」
ため息をついて、マドカが店に足を踏み入れた。
カードが入れられたショーケースが目に映る。
「いらっしゃいませー」
店員の声かけ。
マドカはフリースペースへと進んでいく。
いくつも置かれた白いテーブル。
集まった何人ものファイターが、
そこではヴァンガードに興じていた。
「…………」
楽し気な光景を前に、一瞬調査を投げだして
混ざりたくなる衝動にかられた。
「……いや、チャンネルのみんなが待ってる!」
ぶんぶんと首を振るマドカ。
すーはーと息を吸って、気合を入れ直した。
「……よし!」
フリースペースに足を踏み入れようとした瞬間、
「あなた、見かけない顔ね?」
唐突に、マドカの横から声が上がった。
「わぁっ!?」
目を見開いて、驚くマドカ。
横を向くと──
「アハハ! ごめんごめん。そんなに驚くとは思わなくて」
一人の少女が、笑い声をあげていた。
短めの黒い髪に、赤いメッシュ。銀のピアスに、イヤリング。色白の肌。黒を基調とした服は、まるでロックバンドのメンバーのように見える。
「えーっと……」
自分の記憶をたどるマドカ。
だが、少女の姿を見た覚えはない。
金色に輝く瞳が、マドカに向けられた。
「あたし、高麗(こま)リンカ。ねぇ、あなたもファイター?」
「あ、はい、そうです。日枝マドカです」
少女──高麗リンカは、マドカより僅かに年上そうだった。敬語を使うマドカ。
人懐っこそうに、リンカが笑う。
「それにしても、さっきのは面白かったなぁ。驚きすぎだよ」
「あ、ははは……」
困ったようにマドカが頬をかく。
フリースペースを見て、リンカが肩をすくめる。
「ファイトしにきたんだけど、今日はあんまり強い奴がいなくてさ。そしたら普段見かけない人がいたから、ついね。ねぇ、デッキは持ってる? よかったらあたしと勝負しない?」
「あ、えっと、デッキはあるんですけど、今日は別の用事があって」
「別の用事? あぁ、カード買いに来たとか?」
ふふふと笑っているリンカ。
マドカが首を振る。
「いえ、人を探してるんです。ルーンシャトーって人なんですけど」
何気なく、マドカがそう答えた瞬間──
「──やっぱり、そうなんだ」
リンカの声が、鋭く一変した。
「……えっ?」
その変貌に困惑するマドカ。
くすくすと、リンカが口元に手をあてる。
「ごめん。本当はあなたのこと聞いて、ここに来たの。ルーンシャトーのことを調べてる子がいるって」
「えっ、いえ、その……」
「怖がらなくていいよ。むしろ、これはあなたにとって良い事なんだから」
ささやくような声。
マドカの耳元に近づいて──
「だってあたし、知ってるから。ルーンシャトーのこと」
「!!」
大きく、マドカが目を見開いた。
沈黙。二人が互いを見つめ合う。
リンカが大きな笑みを浮かべ──
「知りたかったら、付いてきなよ」
店の出口に向かって、歩き始めた。
すたすたと、足早に歩くリンカ。
マドカが思案を巡らせる。
なに? どういうこと? いきなり、情報を知ってる人に会えるなんて。
武蔵国 伝説のカウンターファイター。
その情報が、こんなにも簡単に手に入るなんて。
偶然? それとも──
「こないわけー?」
店の出口、リンカが挑発するように声をあげた。
その目は真っすぐに、マドカに向けられている。
考え込むマドカ。そして──
「……待って!」
出口に向かって、マドカが駆けだした。
暗い夜の闇が、街に影を落としていた。
数多の人が行きかう、街の雑踏。
自動車の音。横断歩道のベル。人々の話し声。
雑然とした混沌の中を、少女は歩いていた。
「…………」
うつむくように、歩き続ける少女。
コツ、コツという足音が響く。
人の海の中、少女は無言で歩き続けている。
「…………」
どれくらい歩いたか。
少女がぴたりと、その場で歩みを止めた。
ゆっくりと顔をあげ、天を見上げる。
暗い闇の中、月が妖しく光輝いている。
「…………」
魅入られたように、少女は月を眺める。
眼鏡越し、細められた瞳の中に月が映った。
周りから音が消え、そして──
「……帰らないと」
ぽつりと、少女が呟いた。
スマホを取り出して、時刻を確認する少女。
帰宅のため、一歩踏み出した瞬間──
少女と同じ制服を着た、髪を後ろでゆるく結んでいる少女の姿が、視界の隅に入った。
「…………」
道路を挟んだ向かい側。
少女の横には、赤いメッシュの入った髪の少女。
何かを話しながら、2人は並び、歩いている。
「…………」
車の行きかう音だけが辺りには響く。
夜の雑踏。街の明かりが、やけに明るく映る。
天を仰ぐように、少女が再び空を見上げた。
金色の月が、静かに少女を見下ろしている。
「…………」
やがて、少女は小さくため息をついた。
2人の進んでいった方向を見据える。
少女がゆっくりと歩き始めた。
「あの、ここって……?」
都市部から外れた、薄暗い郊外。
マドカが呆然と、目の前の建物を見上げた。
見捨てられた、廃業したレストラン。
薄汚れた白い壁に、撤去された看板の跡。
人の気配はなく、建物の中は静まり返っている。
「あぁ、やっぱり気になる?」
笑顔をうかべているリンカ。
くすくすと、楽しそうに言う。
「ここさぁ、管理会社から忘れられてんのか、誰も来ないの。鍵も開きっぱなし。まぁ、おかげで中も荒れ放題なんだけどね。アハハハ!」
笑い声が暗闇の中に消えていく。
マドカは頭がくらくらしていくのを感じた。
悪い夢のような展開。理解が追いつかない。
「さ、遠慮しないで、入りなよ。話はそれから」
平然と言い、リンカが入り口の扉を引く。
ギィィと低い音をたて、扉が開いた。
「うぅ……」
迷っている様子のマドカ。
観念すると、店の中へと足を踏み入れる。
「お、お邪魔しまーす……」
おそるおそる、マドカが中を覗き込んだ。
ボロボロになった、レストランの室内。
フロアに散乱した椅子とテーブル。そして──
中から見つめ返す視線に、マドカが気づく。
「……え?」
暗闇の中、マドカと同年代程の男女数人が、
マドカの姿を見て驚いた表情を浮かべている。
後ろから押され、マドカが前のめりに倒れた。
「わっ!」
バランスを崩し、埃まみれの床に膝をつく。
まるで雪のように、白いチリが舞い上がった。
リンカが悠然と、マドカの横を通り過ぎて行く。
「リーダー、誰ですかそいつ?」
暗闇の中、一人の少年がリンカに向かって言う。
芝居がかったように、リンカが肩をすくめた。
「お客さんだよ。いや、協力者って言った方がいいかな?」
「ど、どういうこと!?」
突然の事に、マドカが声を張り上げた。
リンカがテーブルの上に腰を下ろし、脚を組む。
「ねぇ、あんた、ルーンシャトーのことを探してるんでしょ?」
「そ、そうだけど。それが何──」
「それなら、ちょうどいい」
暗闇の中、リンカが笑顔を浮かべた。
見下したような、どこか狂気を感じさせる笑み。
足を揺らしながら、リンカが口を開く。
「あたしが、ルーンシャトーさ」
「!!」
目を見開くマドカ。
倒れたまま、驚愕の表情を浮かべている。
雲が月にかかり──
「……嘘ね」
暗闇の中、マドカが立ち上がった。
制服についたホコリをはらうマドカ。
リンカが「へぇ」と笑う。
「そりゃまた、どうして嘘って思うのさ?」
「簡単な話しよ。あなたのその発言には──ロマンがない!!」
マドカがリンカを指さした。
周りの連中が「はぁ?」と声をあげる。
「あなたがルーンシャトーって聞いても、私全然ワクワクしなかった! 不思議や謎は、ロマンや神秘性があって成立するの! こんなに簡単に明かされるだなんて、私は納得できない!!」
早口に喋るマドカ。
周りの連中がますます困惑し、戸惑う。
静まり返る廃レストランに──
「アハハハハハ!!」
高麗リンカの笑い声が、大きく響いた。
「案外、賢いじゃない。もっと簡単に騙せると思ったのに」
楽しそうに両手を叩くリンカ。
一通り笑い終えると、ふぅと息を吐く。
「その通り。あたしはルーンシャトーじゃない」
「……いったい、どういうつもり?」
警戒した目を向けるマドカ。
リンカのくすくすとした笑い声が響く。
「正確に言うと、今はルーンシャトーじゃないって事。あたしはね、ルーンシャトーになるのよ。これからね」
「ルーンシャトーに、なる?」
「その通り!」
天井を見上げ、狂気的な笑みを浮かべるリンカ。
「武蔵国の伝説、ルーンシャトー! 知る人ぞ知る、不敗神話の怪物! だけどここ数年は姿を現さず、その伝説を覚えている人間ももはや一握り。あたしは思ったのさ。このまま、この伝説を埋もれさせておくのは、もったいないってね」
暗闇の中、爛々と輝いているリンカの瞳。
一瞬考えた後、マドカが渋い表情を浮かべた。
「……つまり、あなたは成り済ますって事? 伝説のルーンシャトーに」
リンカが嬉しそうに目を細めた。
「そういうことさ。武蔵国は強いカウンターファイターのチームが多い。成り上がって名を上げるためには、例え何だろうが利用する。それがあたしのやり方さ」
気取ったように手を広げるリンカ。
フッと、息を吐く。
「まぁ、そんなことしなくても、あたしは強いけどね。それこそ、本物のルーンシャトーが現れたとしても、負ける気はしない」
赤い色のデッキケースを取り出し、
自信に満ちた表情を浮かべているリンカ。
月の光が、再び窓から差し込んだ。
「それで、どうかしら? あなた、ルーンシャトー探してるんでしょ。だったらさ、あたしがそうだってことにしてよ。お礼はするわよ?」
手を伸ばすリンカ。
じっと、その手をマドカが見つめる。
真っすぐな視線。口を開いた。
「お断り。私、ウソをつく気はないから」
「ふーん、そう。あなたも有名になれるのにね」
何の感慨もなく、リンカがそう言った。
ただ遊ばれて、利用されそうになっただけ。
怒りと失望。マドカの目にうっすら涙が浮かぶ。
リンカがつまらなさそうに息を吐いた。
「なら、もういいわ。あとはこっちで勝手にやるから。用もないんだし、さっさと失せて──」
リンカが言いかけた瞬間、
ギィィと軋んだ音が、辺りに響いた。
全員の視線が、音のした方に集まる。
入り口の扉。隙間から月の光が差し込んでいる。
「……氷川さん!?」
暗闇の中の姿を見て、マドカが声をあげた。
扉の前に立つ少女──氷川ミコトが扉を閉める。
「…………」
いつものような無表情。
コツコツと足音を立て、ミコトが中へ進む。
「なぁに、あんた?」
リンカが興味深そうに視線を向けた。
その言葉を無視するミコト。
戸惑うマドカの前に立つと──
「あなた、こんな所でなにしてるの」
氷のような冷たさで、ミコトが尋ねた。
そこはかとなく感じられる、静かな怒り。
マドカが慌てたように両手を動かす。
「ひ、氷川さん。いや、これは、その……」
「ルーンシャトー。伝説のカウンターファイターを探してるのよ」
リンカが会話に割り込んだ。
からかうような口調。ミコトが視線を向ける。
「ルーンシャトー?」
「そ。武蔵国の伝説。最強のファイターさ。あんた、ヴァンガードはやるの?」
獲物を狙う猫のように、目を細めるリンカ。
ミコトが再びマドカの方を向いた。
「日枝さん」
「は、はい?」
緊張するマドカ。
冷たい目を向けながら、ミコトが口を開く。
「こんな夜中に、こんな変な人達の溜まり場に来るなんて、危機感が足りなさすぎる。あなた、もう少し付き合う友達は選んだ方がいいわ」
淡々とした口調のミコト。
マドカが「ぐっ」と声を漏らし、うなだれた。
「アッハハハ! 面白い奴じゃん!」
不快そうな表情の周りとは対照的に、
リンカが面白そうに手を叩く。
「気に入ったわ。ねぇ、あんた。あたしとファイトしない? あんたとなら、絶対に楽しい勝負ができると思うんだけど?」
不敵な笑み。
ミコトとリンカの視線が空中でぶつかった。
辺りの空気が急速に張りつめていく。
息を吐いて──
「悪いけど、私はヴァンガードをやめたの。もうやる気はない」
ミコトが、視線をそらした。
一瞬、リンカの表情から笑みが消える。
「あら、そうなの? それは残念、久しぶりに燃えそうだったのに」
つまらなさそうな口調のリンカ。
にやついた笑みを浮かべると、二人を見下ろす。
緊張が薄れていく中で──
「なら、帰りな。もう用はないからさ」
興味なさそうに、リンカがそう言い放った。
ミコトがマドカに向き直る。
「そうね。帰りましょう」
「あ、は、はい!」
頷くマドカと、無表情のミコト。
周りから向けられる、不快そうな視線。
歩き出した二人の靴音が、辺りに響く。
「あーあ、それにしても」
テーブルに座りながら、リンカがぼやいた。
「本物のルーンシャトーは、どこにいったのかしら。4年も姿を見せないだなんて、ひょっとして、この街にはもういないのかしらね」
誰に言うでもなく話し続けているリンカ。
コツ、コツ。ミコトの靴の音が響く。
「いや、あるいは──」
くっくと、リンカが喉を鳴らした。
「案外、あたしみたいな強いファイターに敗けるのが怖くなって、逃げだしたとかかもしれないわね! アッハハハハ!!」
靴音が止まった。
前を歩いていたミコトが突然立ち止まった事で、
マドカがその背中にぶつかる。
「あた! ひ、氷川さん? どうしたの?」
心配そうに声をかけるマドカ。
ミコトは無表情のまま、立ち止まっている。
「ん? なに、まだ何かあるの?」
二人の様子に気づいたリンカが顔を向けた。
白い指を頬にあて、ミコトの背を眺める。
「ひ、氷川さん?」
戸惑ったように尋ねるマドカ。
静かな夜の闇だけが、その場を渦巻いている。
月の光に照らされながら──
「ちょっと、持ってて」
ミコトが、持っていた鞄をマドカに押し付けた。
「え? え? え?」
困惑しながら鞄を受け取るマドカ。
ミコトが踵を返して室内へと戻っていく。
ミコトとリンカが、再び対峙した。
「あなた、ルーンシャトーより強いの?」
リンカを見据えながら、ミコトが口を開く。
先程とは全く違う、異様な迫力。冷たい雰囲気。
その手には、白いデッキケースが握られている。
リンカがニッと笑った。
「えぇ、その通りよ。なに、あんた、ヴァンガードやめたんじゃないの?」
小馬鹿にしたように言うリンカ。
おもむろに、ミコトが眼鏡のつるを掴んだ。
「そうね。もう何年もやってない。だけど」
眼鏡を外すミコト。
髪を揺らしながら、胸ポケットに仕舞うと、
「久しぶりに、やってみたくなったの」
ミコトが、リンカを鋭く睨みつけた。
ざわざわと、辺りがにわかに騒然とする。
「氷川さん……!?」
目を丸くしているマドカ。
その視線が交互に、二人に向けられる。
「決まりね」
リンカが、楽しそうに笑みを広げた。
指を鳴らす。はっと、周りが即座に動き出した。
テーブルを挟んで、二人の少女が対峙する。
白い皿の上に置かれたロウソク。
ゆらゆらと、炎がテーブルの上を照らしている。
「フフフ……」
笑いながら、カードを並べているリンカ。
炎が描かれたスリーブのカードを中央に置く。
「…………」
同じように、ミコトもカードを並べていく。
公式の裏面と同じスリーブに入ったデッキ。
月が描かれたスリーブに入ったカードを、
自分の目の前と、デッキの横に。
そしてもう一つ、白い兎のスリーブに入ったカードの束をその横に置いた。
「へぇ」
察したように呟くリンカ。
張りつめた空気。ロウソクの炎が揺れる。
「……え?」
ミコトの顔を覗き込んだマドカが、
誰にも聞こえない程の小ささで呟いた。
暗闇の中、ミコトが目をつぶり、ゆっくりと呼吸をしている。
静かに息を吐いているミコト。
その姿はどこか異様な雰囲気を漂わせていた。
ミコトが目を開けた。
「はじめるわよ」
不敵に言うリンカ。
炎のスリーブに入ったカードに、手を伸ばす。
「……そうね」
呟き、ミコトもまた月の絵のスリーブに入ったカードに手を伸ばした。
一瞬の間。月の光が二人を照らし、そして──
「スタンドアップ・ヴァンガード!!」
宣言と共に、二人がカードを表にした。
「《砂塵の双銃 バート》!!」
「……《サンセット・エッグ》」
砂塵の双銃 バート
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― 俺の愛銃が火を吹くぜ!
サンセット・エッグ
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― 人知れず眠る、夢幻の遺伝子を秘めた卵。
「ドラゴンエンパイアと、ストイケイア……!」
マドカの呟き。
リンカがデッキに手を伸ばす。
「あたしのターン! 《砂塵の銃撃 ナイジェル》にライド!」
カードを叩きつけるように置くリンカ。
そこには、青髪の少年が銃を構えているイラストが描かれている。
砂塵の銃撃 ナイジェル
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「砂塵の凶弾 ランドール」にライドされた時、【ソウルチャージ】(1)。
【自】【(R)】:あなたのメインフェイズに相手のリアガードが退却した時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1),このユニットを退却させる]ことで、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。
― 敵は潰せる時に潰す。躊躇はするな。
「ターンエンドよ」
不敵な笑みを讃えているリンカ。余裕の態度。
ミコトが短く息を吐く。
「私のターン」
カードを引くと、すぐに一枚を選んだ。
「《緑の魔少女 "ダスク"》にライド」
月の絵が描かれたスリーブのカード。
緑色の髪の少女が描かれた1枚が場に置かれる。
「スキルで1枚ドロー。さらに、山札から《ルナコクン》を手札に」
緑の魔少女 "ダスク"
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「サンセット・エッグ」からライドして登場した時、あなたの山札から「ルナコクン」を1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。
― 才華に溢れる少女を、人々は"夜"の名前で表現した。
デッキを広げるミコト。
金色の繭の妖精が描かれたカードを見せる。
ルナコクン
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー5000 / シールド5000 / ☆1
【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。
― あたしの姿、あなたにはどう見える?
「なにあれ、ストイケイア? 虫のカード?」
見たことのないカードを前にマドカが呟いた。
リンカが「ククッ」と笑い声をもらす。
「見た感じ、随分と古そうなカードじゃん。時代遅れのカードって訳?」
挑発するような口調。
ミコトが静かに手を伸ばし、カードを動かす。
「ダスクでヴァンガードにアタック」
「ノーガードよ」
余裕の笑み。
「ドライブチェック。ノートリガー」
デッキの上をめくるミコト。
ノブレス・フリット
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【永】【(R)】:あなたのターン中、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのパワー+5000。
― 綺麗だろう?光を振りまくボクの姿は。
めくったカードを見せると、手札に加える。
「ダメージチェック! ノートリガー!」
リンカもまた、カードをめくってミコトに見せつけた。ダメージゾーンにカードが置かれる。
ツインバックラー・ドラゴン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - プラズマドラゴン
パワー6000 / シールド0 / ☆1
【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)
【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。
― 炎と雷。その双方を巧みに操り、災厄を退ける。
リンカ ダメージ0→1
「ターンエンド」
静かにターンを終えるミコト。
リンカが楽しそうに目を細める。
「あたしのターン!」
カードを引き、一枚を捨てた。
「《砂塵の凶弾 ランドール》にライド! スキルでソウルチャージ!」
砂塵の凶弾 ランドール
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「砂塵の重砲 ユージン」にライドされた時、1枚引き、あなたのドロップから1枚まで選び、ソウルに置く。
【自】【(V)/(R)】:このユニットがアタックした時、相手のリアガードが2枚以下なら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、【ソウルチャージ】(1)し、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。
― 確実に駒を減らす。やがて相手は手詰まりを起こす。
赤い民族衣装を身に纏った青年のカード。
リンカが山札の上を、ヴァンガードの下に置く。
ツインバックラー・ドラゴン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - プラズマドラゴン
パワー6000 / シールド0 / ☆1
【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)
【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。
― 炎と雷。その双方を巧みに操り、災厄を退ける。
「《砂塵の襲弾 オズワルド》、《砂塵の双弾 トラヴィス》をコール!」
迷いなく、リンカが手札の二枚を場に置いた。
砂塵の襲弾 オズワルド
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットが「ユージン」を含むヴァンガードをブーストしたバトル終了時、相手のヴァンガードがグレード3以上でリアガードがいないなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1), 手札から1枚捨てる]ことで、あなたのヴァンガードを1枚選び、【スタンド】させ、そのターン中、クリティカルとドライブを1になるまで増減させる。
― 砂塵の狩り──その神髄、見せてあげるよ。
砂塵の双弾 トラヴィス
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【起】【(R)】【ターン1回】:このターンに相手のリアガードを退却しているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、【ソウルチャージ】(1)し、相手のリアガードを1枚選び、退却させ、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
― 逃げても無駄さ。僕の弾丸に死角は存在しないから。
「いきなり展開してきた!」
ヴァンガードの裏と横にそれぞれ展開された二枚を見て、マドカが慌てたように言う。冷ややかに盤面を見つめているミコト。
リンカが指を伸ばした。
「バトルよ。トラヴィスでアタック!」
「ノーガード」
なんの躊躇もなく、ミコトが答えた。
カードをダメージゾーンに置く。
プラナプリベント・ドラゴン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ストイケイア - ネイチャードラゴン
パワー6000 / シールド0 / ☆1
【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)
【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。
― 護って見せるよ。やっと芽生えた命なんだから。
ミコト ダメージ0→1
「オズワルドのブースト、ランドールでヴァンガードにアタック!」
カードを動かすリンカ。
ためらいなく、ミコトが宣言する。
「ノーガード」
「ハッ! ドライブチェックよ!」
山札をめくるリンカ。
その口元に大きな笑みが浮かび──
「──クリティカルトリガー!」
得意げに、表になったカードを揺らして見せた。
バーニングフレイル・ドラゴン
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― 潰れるだけでは済まされない。
「うげっ!」
マドカの悲鳴。
ミコトが淡々とカードを表にしていく。
「ダメージチェック。トリガーが1枚、クリティカルのみ」
ルナコクン
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー5000 / シールド5000 / ☆1
【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。
― あたしの姿、あなたにはどう見える?
シャドウ・レディバグ
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― 影の世界には、かつて失われた遺伝子が隠されている。
ダメージトリガー。
だが攻撃は既に終わっている。意味はない。
ミコト ダメージ1→3
「ターンエンド! もったいぶったわりに、大したことないじゃん。久しぶりって言うなら、ティーチングファイトに変えてあげようか?」
小さく、周りから笑い声があがった。
薄暗闇の中、ミコトが僅かに目を細める。
「私のターン──」
冷たい視線を向けながら、
「《秘めたる才気 "ミッドナイト"》にライド」
静かに、ミコトがカードを置いた。
描かれているのは、少し成長した緑の髪の少女。
「また、見たことないカード」
マドカがぼそりと呟く。
ミコトがヴァンガードに手を伸ばした。
「スキルでソウルブラスト。シャドウゾーンの《メレアグリデス》を表に」
「……は? なんですって?」
初めて、リンカの顔から笑みが消えた。
ミコトが白い兎のスリーブに入ったカードを一枚、表にする。
秘めたる才気 "ミッドナイト"
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ストイケイア - インセクト
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「緑の魔少女 "ダスク"」からライドして登場した時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。
― 比類なき才能。彼女には直系の血が流れている。
「シャドウゾーン? メタモルフォシス?」
頭の中が?でいっぱいになっているマドカ。
リンカもまた、警戒するように表になったカードを見つめている。
ミコトがヴァンガードに手を置いた。
「ミッドナイトで、ヴァンガードにアタック」
「っ! それだけ?」
拍子抜けしたような、困惑したような、
複雑な表情でカードを見つめるリンカ。
自分の手札をチラと見ると、静かに告げる。
「……ノーガード」
「ドライブチェック。クリティカルトリガー」
憧憬の乙女 アラナ
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - バイオロイド パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― はい!もう一輪プレゼント♪
「ぐっ!」
声を詰まらせるリンカ。
不満そうに、ダメージにカードを2枚置く。
堅城竜 ジブラブラキオ
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ドラゴンエンパイア - ディノドラゴン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【起】【(R)】:あなたのヴァンガードが「砂塵の重砲 ユージン」なら、【コスト】[【ソウルブラスト】(1), このユニットを【レスト】する]ことで、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。
【自】【(R)】:あなたのバトルフェイズ開始時、相手のリアガードが1枚以下なら、このユニットを【スタンド】させ、そのターン中、このユニットのパワー+5000。
― 巨竜は敵陣の真っ只中にあっても着実に歩を進める。
ツインバックラー・ドラゴン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - プラズマドラゴン
パワー6000 / シールド0 / ☆1
【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)
【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。
― 炎と雷。その双方を巧みに操り、災厄を退ける。
リンカ ダメージ1→3
「ッ! 3枚目……!」
露骨に不機嫌そうに、舌を鳴らすリンカ。
ミコトが静かに「ターンエンド」と宣言し、
「ティーチングに変えた方が良かったかしら」
無表情のまま、そう言い放った。
マドカと周りが緊張したように、息を呑む。
暗闇の中に──
「アッハハハハ!!」
リンカの、狂ったような笑い声が響き渡った。
「いいねぇ、あんた、いいじゃん! すっごくいい!」
髪をかきあげるリンカ。
その金色の瞳がぎらぎらとした光を帯びる。
「燃えてきた。あんたは絶対、灰にする。あたしのターン!」
勢いよく、リンカがカードを引いた。
5枚の手札の中から一枚を選び、捨てる。
「《砂塵の重砲 ユージン》にライド!!」
置かれる一枚。
炎の銃弾と閃光。砂漠に立つ、歴戦の勇士の姿。
砂塵の重砲 ユージン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[リアガードを2枚【レスト】させる]ことで、相手のリアガードを1枚選び、退却させ、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
【起】【(V)】【ターン1回】:このターンに相手のリアガードが退却しているなら、【コスト】[【ソウルブラスト】(5)]することで、あなたの山札を上から、ユニットのいない相手の(R)と同じ枚数見て、ユニットカードを望む枚数選び、(R)にコールし、残りをソウルに置く。
― 後は勝手にぶっ放せ。こっちの勝ちは揺るがねぇ。
「出た、グレード3!」
緊張するマドカ。
リンカがばっと手を前に出す。
「スキルでドロップのカードをソウルに置き、1枚ドロー!」
カードを置き、さらに一枚引くリンカ。
手札5枚。その中の3枚を抜き取り、構える。
「《砂塵の烈弾 ナウファル》! 《堅鋭竜 ゲイツフォート》! さらにもう1枚の《砂塵の襲弾 オズワルド》をコール!」
砂塵の烈弾ナウファル
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【起】【(R)】:「ユージン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、【コスト】[このユニットをバインドする]ことで、あなたのドロップから守護者以外のノーマルユニットを2枚まで選び、ソウルに置く。このターンに相手のリアガードが退却しているなら、選ばれたカードすべてをソウルではなく山札の上に望む順で置いてよい。
― 弾なら込めた。撃ち放つタイミングは、任せるぜ?
堅鋭竜 ゲイツフォート
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - ディノドラゴン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】【後列の(R)】【ターン1回】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、このユニットを【スタンド】させ、そのターン中、このユニットのパワー+2000。
― 強靭なる顎で眼前の獲物を貪り蹴らす。
砂塵の襲弾 オズワルド
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットが「ユージン」を含むヴァンガードをブーストしたバトル終了時、相手のヴァンガードがグレード3以上でリアガードがいないなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1), 手札から1枚捨てる]ことで、あなたのヴァンガードを1枚選び、【スタンド】させ、そのターン中、クリティカルとドライブを1になるまで増減させる。
― 砂塵の狩り──その神髄、見せてあげるよ。
「盤面が……!」
全面が埋まったリンカの場。
マドカが心配そうにミコトを見る。
だんと、リンカの白い指がヴァンガードの上に乗せられた。
「一気に詰めてやるよ! ユージンで、ヴァンガードにアタック!!」
ブーストを付けたアタック。パワー21000。
ミコトがすっと、手札のカードを場に出す。
「完全ガード」
プラナプリベント・ドラゴン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ストイケイア - ネイチャードラゴン
パワー6000 / シールド0 / ☆1
【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)
【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。
― 護って見せるよ。やっと芽生えた命なんだから。
手札からさらに一枚捨てるミコト。
リンカがアハハと声をあげる。
「ダメージ3なのに、随分と慎重じゃん!」
指を伸ばし、山札の上をめくるリンカ。
「ツインドライブ! 一枚目、フロントトリガー!!」
焔の巫女 パラマ
トリガーユニット 【前】+10000
(フロントトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。
― リノ!苦しくっても泣き喚いたりするんじゃないよ!
前列の二体のパワーが上昇する。
さらにもう一枚、リンカが山札に手を伸ばし──
「セカンドチェック! クリティカルトリガー!!」
勢いよく、表になったカードを見せつけた。
コンダクトスパーク・ドラゴン
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - サンダードラゴン
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― 電気をため込み、憎き怨敵へと叩きつける。
「だ、ダブルトリガー!?」
マドカの悲痛な声が響く。
手札を片手に、リンカが高らかに言う。
「効果は全て、ナウファルへ!」
砂塵の烈弾ナウファル パワー33000 ☆2
「えっ、ちょっと、マズくない……?」
ミコトのヴァンガードはまだグレード2。ダメージは3。どちらかは防がなければ、合計ダメージは6。ミコトの負けとなる。
「オズワルドのブースト! トラヴィスでアタック!」
容赦なく宣言するリンカ。
青い髪の少年が描かれたカード。絵の中の銃口がミコトに向けられている。
砂塵の双弾 トラヴィス パワー28000
「ノーガード」
手札を見もせずに、ミコトが淡々と宣言した。
驚くマドカ。ミコトがカードをめくる。
共謀怪人 アドマンティス
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが(R)に登場した時、あなたの他のリアガードを1枚選び、そのターン中、パワー+5000。
― 自ら手を見下すのは、あくまで最後の手段でいい。
ミコト ダメージ3→4
「残念、トリガーはのらなかったみたいね! ゲイツフォートのブースト、ナウファルでヴァンガードにアタック!!」
鋭い視線を向け、リンカがカードを動かした。
口元に浮かんでいる、不敵な笑み。ロウソクの炎が瞬く。
砂塵の烈弾ナウファル パワー41000 ☆2
「アラナ、シャドウ・レディバグ、アドマンティスでガード」
静かに言い、ミコトがカードを場に出した。
憧憬の乙女 アラナ
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - バイオロイド
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― はい!もう一輪プレゼント♪
シャドウ・レディバグ
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― 影の世界には、かつて失われた遺伝子が隠されている。
共謀怪人 アドマンティス
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが(R)に登場した時、あなたの他のリアガードを1枚選び、そのターン中、パワー+5000。
― 自ら手を見下すのは、あくまで最後の手段でいい。
ガード値の合計は45000。
ミコトはダメージを受けない。だが──
「まぁ、これくらいは防げるよね」
小馬鹿にしたように、リンカが肩をすくめた。
ミコトの手元──手札に視線を向ける。
「でも、そっちの手札は4枚。場はヴァンガードだけ。ま、展開しなかったのは賢いけどね」
ひらひらと、手を振るリンカ。
「どっちにしろ、そんなんじゃ次のターンに大した手も打てないでしょ。このまま消耗戦になれば、デッキの特性的にあたしが有利」
自信に満ちた様子のリンカ。
手札の4枚を眺めながら、余裕たっぷりに笑う。
「あたしはこれでターンエンド。さ、早くやりなよ。このままじっくりと、あんたを灰にしてあげるから」
隙間風に吹かれ、ロウソクの炎が身を震わせた。
暗い廃レストラン。窓の外、丸い月がぼんやりと輝いている。
月の光に照らされながら──
「私のターン」
静かに、ミコトがカードを引いた。
一瞬、手札に視線を落とす。そして、
「一つ、言っておくわ」
手札から1枚を捨て、ミコトがカードを掴んだ。
月のスリーブに入れられたカード。指で持ちながら、顔をあげる。
瞳を向けて──
「あんたに、ターンを回す気なんて、ない」
冷たい言葉が、空気を震わせた。
鋭い殺気。異様な迫力。リンカが凍り付く。
すっと、ミコトがカードを置いた。
「ライド。《夢幻蝶姫 セレネシス》」
そこに描かれているのは、白と赤のドレスに身を包んだ姫君の姿。緑色の髪に、白い肌。背景に浮かぶ、黒い影のような魔法陣。
「セレネシス……」
魅入られたようにカードを見つめるマドカ。
ミコトが腕を伸ばす。
「スキル発動。シャドウゾーンの《メレアグリデス》を表に」
「ッ! また!?」
苦々しく言うリンカ。
ミコトがカードを表にし、手札の一枚を掴む。
「手札から《ルナコクン》をコール」
ヴァンガードの横に、カードが置かれる。
ルナコクン
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー5000 / シールド5000 / ☆1
【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。
― あたしの姿、あなたにはどう見える?
手を伸ばし、ルナコクンのカードを掴むミコト。
目線を切ると──
「──メレアグリデスに、メタモルフォシス」
メレアグリデスのカードと、ルナコクンのカードを入れ替えた。その場にいた全員が驚いたように目を丸くする。
「えっ、なにその効果!? 変身!?」
驚いたように盤面を見ているマドカ。
考え込むように、リンカが口元に手をあてる。
「オーバードレス? いや、似てるけど、ちょっと違うわね……」
影の領域に置かれた、繭のカード。
場には代わりに、影で出来た翼を持つ、青白い蝶の女怪人のカードが置かれている。
「メレアグリデスのスキル」
鋭い声。
ミコトがダメージのカードを裏にし、ドロップから1枚を取る。
「ドロップのトリガーをシャドウゾーンに置く事で、その効果を発動させる」
「はぁっ!?」
メレアグリデス
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ストイケイア - インセクト
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【メタモルフォシス】-「ルナコクン」((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)
【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1),あなたのドロップから【超】トリガー以外のトリガーユニットを1枚シャドウゾーンに置く]ことで、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのトリガー効果を1回発動する。
― 影の蝶が魅せるのは、光輝く「奇跡」の夢。
「私はドロップのアラナを置き、スキルを発動。効果は全てセレネシスへ」
憧憬の乙女 アラナ
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - バイオロイド
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― はい!もう一輪プレゼント♪
「トリガーに変身……!?」
カードの動きを見ながら、呆然と呟くマドカ。
ミコトがカードを手に取った。
「さらに手札からルナコクンをコールして、メレアグリデスにメタモルフォシス」
「うっ、2枚目!?」
先程とは逆側に呼び出される繭のカード。
影の領域へと置かれ、蝶の姿に変化する。
メレアグリデス
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ストイケイア - インセクト
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【メタモルフォシス】-「ルナコクン」((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)
【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1),あなたのドロップから【超】トリガー以外のトリガーユニットを1枚シャドウゾーンに置く]ことで、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのトリガー効果を1回発動する。
― 影の蝶が魅せるのは、光輝く「奇跡」の夢。
「スキル発動。シャドウ・レディバグをシャドウゾーンへ置き、効果は全てセレネシスへ」
シャドウ・レディバグ
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― 影の世界には、かつて失われた遺伝子が隠されている。
淡々とカードを動かしていくミコト。
すっと、ヴァンガードに手を伸ばす。
「セレネシスのスキル」
下のカードを1枚、抜き取る。
「ソウルブラスト。メタモルフォシス能力を持つリアガードを1枚選び、このターン中そのカードが持つ能力全てを得る」
「!!」
夢幻蝶姫 セレネシス
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ストイケイア - インセクト
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。
【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。
― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。
「メレアグリデスを選択し、能力をコピー。カウンターブラスト、ドロップのシャドウ・レディバグをシャドウゾーンに置き、スキル発動。効果は全てセレネシスへ」
シャドウ・レディバグ
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― 影の世界には、かつて失われた遺伝子が隠されている。
流れるようなカードさばき。
その動きには迷いも躊躇も感じられない。
「《ノブレス・フリット》をコール」
ヴァンガードの裏に、カードが置かれる。
ノブレス・フリット
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【永】【(R)】:あなたのターン中、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのパワー+5000。
― 綺麗だろう?光を振りまくボクの姿は。
ミコトが手を伸ばした。
「メレアグリデスで、トラヴィスにアタック」
カードを横に動かすミコト。
苦々しく、リンカが口を開く。
「ノーガード……」
カードを墓地に送くリンカ。
ヴァンガードに指を置き──
「ノブレスのブースト、セレネシスでヴァンガードにアタック」
静かに、ミコトがそう宣言した。
夢幻蝶姫 セレネシス パワー56000 ☆4
「うっ、ぐっ……!」
手札を見ながら、小さく震えているリンカ。
意を決したように、カードを取る。
「……ガード!!」
バーニングフレイル・ドラゴン
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― 潰れるだけでは済まされない。
焔の巫女 パラマ
トリガーユニット 【前】+10000
(フロントトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。
― リノ!苦しくっても泣き喚いたりするんじゃないよ!
コンダクトスパーク・ドラゴン
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ドラゴンエンパイア - サンダードラゴン
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― 電気をため込み、憎き怨敵へと叩きつける。
トリガー3枚でのガード。数値は63000。
セレネシスのパワーは56000。つまり──
「トリガーが出れば……」
マドカが呟く。
何の感情も浮かべず、ミコトが手を伸ばす。
「ツインドライブ。ノートリガー」
夢幻蝶姫 セレネシス
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ストイケイア - インセクト
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。
【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。
― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。
表にしたカードを手札に加えるミコト。
リンカは緊張した面持ちで、それを見ている。
「セカンドチェック」
落ちつきはらった声。
デッキに手を伸ばすミコト。そして──
カードが、表になった。
「クリティカル。効果は全てセレネシスへ」
憧憬の乙女 アラナ
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - バイオロイド
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― はい!もう一輪プレゼント♪
夢幻蝶姫 セレネシス パワー66000 ☆5
リンカの顔から血の気が引いた。
観戦していた連中が怯えたように息を呑む。
「ダメージ、チェック……」
震える指でカードをめくっていくリンカ。
やがて、最後の1枚を表にし──
「……ノー、トリガー」
6枚目のカードが、その手から零れ落ちた。
砂塵の重砲 ユージン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ドラゴンエンパイア - ヒューマン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[リアガードを2枚【レスト】させる]ことで、相手のリアガードを1枚選び、退却させ、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
【起】【(V)】【ターン1回】:このターンに相手のリアガードが退却しているなら、【コスト】[【ソウルブラスト】(5)]することで、あなたの山札を上から、ユニットのいない相手の(R)と同じ枚数見て、ユニットカードを望む枚数選び、(R)にコールし、残りをソウルに置く。
― 後は勝手にぶっ放せ。こっちの勝ちは揺るがねぇ。
リンカ ダメージ3→6
決着がついた。辺りがしんと静まり返る。
うつろな目をしたリンカが、口を開いた。
「嘘。この、あたしが……」
力尽きたように、膝をつくリンカ。
観戦していた周りが騒然としだした。
「おいおい、マジかよ……!」
「なんだあいつ……!」
ひそひそと、ささやく声。
マドカが怖がるように、ミコトに身を寄せた。
ミコトは黙々とカードをしまっている。
「日枝さん、帰りましょう」
眼鏡をかけ直すミコト。
そのまま出口へと向かい、歩き始めた。
「あっ、ちょ、ちょっと待って!」
マドカが慌てて追いかける。
出口の前までくると、ミコトが振り返る。
「一つだけ。もう二度と、ルーンシャトーについて口に出さないで」
冷たく、鋭い言葉。底知れぬ迫力。
言い終わると、ミコトはすぐに外へ出て行った。
マドカもまた、それを追う。
暗い夜の空。金色の月が空に浮かんでいる。
「あ、あの、氷川さん!」
足早に歩いているミコトを呼び止めるように、
マドカが後ろから追いついて横に並んだ。
「ね、ねぇ。さっきは、その、なんていうか……」
口ごもるマドカ。
ミコトは何も言わず、ただ歩き続けている。
「色々とありがとう。それに、その、すっごく強いんだね。私、ちょっとびっくりしちゃって……」
とりとめのない言葉。
ミコトは何も答えず、視線を合わそうとしない。
薄雲が月にかかり──
「あのさ、ひょっとしてだけど……」
月の光が隠れ、闇が深まる中、
「氷川さんが、ルーンシャトー、なの?」
マドカの言葉が、二人だけの道に静かに響いた。
ぴたりと、ミコトが歩みを止め、立ち止まる。
暗闇の道。街灯の光が二人を照らしている。
「日枝さん」
おもむろに、ミコトが口を開いた。
「これだけは、言っておきます」
冷たい声。
ミコトがマドカの方を向き、真っすぐ見る。
その瞳に宿る強い意志。鋭い目。
雲が動き、月の光が再び降り注ぐ中で──
「ルーンシャトーはもういません。だから、探す意味はない」
はっきりと、ミコトが断言した。
まるで拒絶するかのような、強い言葉。
マドカは何も言えず、その場で立ち尽くす。
「それでは、また明日」
わずかに頭を下げ、再び歩き出すミコト。
月明かりの下、その姿が暗闇に消えていく。
「ルーンシャトーって、いったい……」
一人取り残されたマドカが、呟く。
闇の中の謎。失われた真実。
金色の月が、妖しげに地上を見下ろしていた。
俺のカードを見ろ!
〔ホラ貝を吹く音〕
氷川ミコトです。
カードを紹介しろと言われたので来ました。
やる気はありません。はじめたいと思います。
今日、紹介するカードは《ルナコクン》です。
〔ドドン!〕
ルナコクン
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ストイケイア - インセクト
パワー5000 / シールド5000 / ☆1
【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000
― あたしの姿、あなたにはどう見える?
ストイケイアのグレード0です。
能力で、シールド値が5000上がります。
このままではただの固ゆで卵ですが、専用能力のメタモルフォシスで様々な姿に変化します。
例えば、不利な状況ならば《メレアグリデス》、相手の動きを妨げるのであれば《イーピゲネイア》、一気に攻めるのであれば《ブリトマルティス》。相手の戦術に合わせて、変化する先を決めるのがメタモルフォシスです。
え? ファイトして、実際に見せて欲しい?
私、ヴァンガードはもうやめましたから。
〔ふすまの閉じる音〕
つづく?