カードファイト!! ヴァンガード LunaLight   作:バビロン@VG

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第4話 ノクターン

 

白い色が、目の前に広がる。

 

どこまでも続く不可思議な空間。

記憶の海。全てが飲み込まれた場所。

 

独りぼっちの空間に、私は立っている。

 

「…………」

 

白い色の中に、漂っている私。

上なのか、下なのか、分からない。

ただ真っ直ぐに、前を向けている。

 

ふわりと、花の香りがして──

 

「ねぇ、ミコト」

 

私の後ろから、声が響いた。

穏やかで、優しい声。思い出の音。

 

静かに、私は首を振る。

 

「……やめて」

 

小さい声が、白い色の中に溶ける。

穏やかな空間の中に、音が波打った。

 

「私、諦めたくなかったんだけどなぁ……」

 

どこまでも透き通るような声。

明るくて、綺麗で、光輝いている。

私はゆっくりと息を吸って、吐いた。

 

口を開く。

 

「……やめて!」

 

お願いするように、私は呟いた。

その声は自分でも分かるくらい、震えている。

白い空間に、黒い線が混ざる。

 

背後からの声は続く。

 

「……やっぱり、勝てなかったね」

 

どこか諦めを感じさせる言葉。

だがすぐに、明るい声が響いた。

 

「ううん、違うか。ミコトが、強くなったんだね! もう、私よりも!」

 

かすかな笑い声。柔らかな息遣い。

記憶の断片が、目の前で再現されていく。

 

頭を抱えて──

 

「お願いだから、やめてッ!!」

 

私の声が、白い空間にこだました。

目からこぼれる涙。嗚咽がこみあげる。

 

きーんという耳鳴り。痛みが走って──

 

目の前に、白い空間が広がった。

記憶の中を漂う私。耳鳴りが消える。

 

「ねぇ、ミコト」

 

背後から呼びかける声。

さっきまでと同じ、穏やかな音。

 

泣いている私に向かって──

 

「辛かったら、いつでもおいで」

 

どこまでも優しく、その声は話した。

ハッとなって、息を呑む。涙が止まった。

 

「…………」

 

気が付けば、私はまた一人になっていた。

背後からの声は消え、何も聞こえなくなった。

心安らぐ静寂が、訪れている。

 

白い空間は、どこまでも続いていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

青い空。朝の通学路。

日枝マドカが、小さくため息をついた。

 

「今日は月曜日……辛い、帰りたい……」

 

ぼやいているマドカ。

薄茶色の髪を揺らし、歩き続ける。

 

「ソラとも映画行けたし、これでユウコとトモエも許してくれるだろうけど……。でも、どうしてあんなに怒ってたんだろう……?」

 

先週の出来事を振り返るマドカ。

チケットを渡したときの反応が蘇った。

 

『マジで言ってるの、マドカ? いやいや、ありえないから。早く返して、二人で行きなさい!』

 

『ユウちゃん、これが勝ち組の余裕ってやつなんだね。怒りを通り越して、私は悲しいよ』

 

散々な言われよう。

マドカが「うぅ」と声を漏らして、肩を落とす。

 

「やっぱり、分かんない。まさかこんな所にまで、世界の謎があっただなんて……」

 

再び、ため息をつくマドカ。

とぼとぼと一人、通学路を進んでいく。

 

「まぁ、でも、しょうがないよね……。よし! 今週もがんばらないと!」

 

気合いを入れ直すマドカ。

首を振ると、胸を張って足早に歩き始めた。

 

校門の近くまで差し掛かった時──

 

「おい」

 

唐突に、マドカの横から声がした。

視線を向けるマドカ。思わず、ぎょっとする。

 

長い金色の髪が、マドカの目に映った。

 

短いスカートに、着崩した別の高校の制服。

耳にはピアス。目付きの悪い目。青い瞳。

 

柄の悪い少女が、そこには立っている。

 

(ふ、不良だ!!)

 

心の中、マドカが悲鳴のような声をあげた。

後ずさるマドカ。怯えた表情。

 

少女がじっと、マドカを見つめた。

 

「…………」

 

威圧的な雰囲気。不機嫌そうな表情。

沈黙に耐え切れず、マドカが口を開く。

 

「あ、あの、何か……?」

 

ゆっくりと話すマドカ。

背の高い少女を、上目遣いに見る。

 

少女が口を開いて──

 

「あんたが、日枝マドカ?」

 

興味なさそうに、訊ねた。

 

「!!」

 

名前を呼ばれ、凍り付くマドカ。

ぐるぐると、頭の中を考えが渦巻く。

 

(なになになに!? なんで私の事知ってるの!? ていうか、本当に、この人誰!?)

 

恐怖と混乱。震えている身体。

困惑しているマドカの姿を見て、

少女が肯定の返事と受け取った。

 

「あたしは三峯(みつみね)」

 

鋭い口調。

ピンク色のスマートフォンを取り出す。

 

「これ、あんただろ?」

 

マドカに向けて、画面を見せる少女。

ぴんぼけした写真。マドカの姿。

 

マドカの血の気が引いた。

 

「あ、あの……! それ、違くて……!」

 

慌てて誤解を解こうとするマドカ。

だが──

 

「別に、あんたに興味ねえよ」

 

見下すように、少女が冷たく言った。

今までとは違う反応に、驚くマドカ。

 

少女が顔を近づけて──

 

「これやったの、氷川ミコトだろ」

 

刺々しい口調で、そう言い放った。

マドカが目を見開く。

 

「えっ!? なんで知って──」

 

思わず聞き返そうとするマドカだったが、

 

「やっぱ、そうか」

 

少女が鋭い口調のまま、そう言った。

マドカが「あっ」と声に出す。

 

(し、しまった。認めちゃった!)

 

誘導にまんまと引っかかったマドカ。

どぎまぎとして、少女の反応を待つ。

 

少女が目を閉じた。

 

何かを考えているようなそぶり。

やがて、息を吐くと──

 

「ミコトに、これを渡せ」

 

少女が、1枚のカードを差し出してきた。

 

ボロボロになっている、一枚のカード。

金色の髪の少年が、そこには描かれている。

 

 

天弓の騎士 ベイス

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。

 

 

「えっ、えっ、えっ?」

 

困惑しているマドカ。

訳も分からずに、カードを受け取る。

 

少女が鋭い目を向けた。

 

「それと、ミコトに伝えろ。今日の17時、あの公園に来いって。あたしの名前を出せ」

 

冷たい声。漏れ出る殺気。

異様な迫力に、マドカの身が縮こまる。

 

「あ、あの、あなたは一体……!?」

 

おそるおそる、訊ねるマドカ。

少女が不機嫌そうに、舌を鳴らした。

 

「それ、あんたに関係ある?」

 

有無を言わさぬ口調。

マドカが「うぅっ……!」と押し黙る。

 

しばしの沈黙の後、少女が口を開いた。

 

「……あんた、ミコトの友達?」

 

突然の質問。マドカがびくりと震える。

青い顔のまま、なんとか頷いた。

 

「えっと、多分、そう、です……」

 

自信のない声で答えるマドカ。

少女の瞳がわずかに揺れた。

 

「なら、忠告しておくよ。あいつとは関わらない方がいい」

 

静かに、断言する少女。

ぎょっとして、マドカが顔をあげた。

 

「ど、どういう意味ですか……!?」

 

震えながら、そう聞くマドカ。

少女がマドカを見据える。

 

「そのまんまの意味だよ。あいつ、最低の女だから。関わらない方がいい」

 

「なっ……!」

 

少女の物言いに、マドカが声を詰まらせた。

怯える気持ちの代わりに、怒りがこみあげる。

 

だが──

 

「なに、なんか言いたいことでもあんの?」

 

脅すように凄む少女の声で、

マドカの怒りはすぐに萎んでいった。

顔を伏せ、黙り込んでしまうマドカ。

 

少女が背を向けて──

 

「じゃあな。ちゃんと伝えろよ」

 

目の前から、少女が去って行った。

残されたマドカ。手元に残ったカードを見る。

 

「……なに、今の?」

 

ぽつりと、呟く。

心の中、あらゆる感情と疑問が渦巻いている。

 

青い空に、薄い雲が立ち込めていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マドカが教室の扉を開けた。

 

がやがやと、騒がしい室内。多くの話し声。

生徒達はそれぞれ、挨拶を交わしている。

 

「おはよ、マドカ」

 

ユウコが軽く手をあげた。

その横で、トモエが首をかしげる。

 

「ん? マドちゃん、どうしたの?」

 

顔色の悪いマドカに、トモエが気が付いた。

不思議そうな目。マドカが首を振る。

 

「……ううん、なんでもない」

 

沈んだ声で答えるマドカ。

教室に目を向けると、気が付く。

 

「あれ? 氷川さんは……?」

 

教室の後ろ、ミコトの席を見つめるマドカ。

席には、何も置かれていない。

 

「そういえば、来てないね」

 

ユウコが同じく、空の席に目を向けた。

トモエが口元に指をあてる。

 

「ミコちゃん、体調不良?」

 

首をかしげるトモエ。

そうこうしている内に、予鈴が鳴った。

教室の扉が開き、担任の教師が入ってくる。

 

「はーい、ホームルームやるわよ。席座って」

 

生徒達へと呼びかける教師。

がやがやと、生徒達がそれぞれの席に座った。

マドカもまた、自分の席に着く。

 

教室の中が、静かになった。

 

「今日は氷川と高城が体調不良でお休みね」

 

フリップボードを片手に、教師がそう言った。

マドカがぎょっとして、驚く。

 

(え、氷川さん、休み!?)

 

先程の少女を思い出す。

絶対に伝えろと言われた伝言。預かったカード。

 

だが、肝心のミコトは、いない。

 

「……うぅ」

 

小さく、マドカがうめいた。

事態はどんどん、悪い方向に進んでいる。

暗い気持ちのまま、授業が始まった。

 

時間が流れて──

 

「はぁ……」

 

お昼休みの教室。マドカがため息をついた。

机に突っ伏しているマドカ。沈んだ雰囲気。

 

ユウコが、呆れたような目を向ける。

 

「なに、また日常嫌悪症が出てるの?」

 

訊ねるユウコ。

その横のトモエが「うーん」と唸った。

 

「今日のは、違う気がするなぁ」

 

じっと、マドカを観察しているトモエ。

ユウコの方を向く。

 

「マドちゃん、いつもより深刻な感じ。背後にはきっと、大きなトラブルがあるはず」

 

真剣に話しているトモエ。

ユウコが頷いた。

 

「確かに、今日は授業中も全然集中してなくて怒られまくってたもんね。いつもより酷いかも」

 

うんうんと、納得するユウコ。

トモエがマドカの顔を覗き込んだ。

 

「ねぇ、マドちゃん、大丈夫?」

 

心配そうな声のトモエ。

マドカが顔を向けた。

 

「……あのさ、トモエ。氷川さんの連絡先って分かったりする?」

 

暗い顔のまま訊ねるマドカ。

トモエが不思議そうに、首をかしげた。

 

「ミコちゃんの? なにかあったの?」

 

「えっと……伝えたいことと、渡したい物があるの。それもできるだけ早く」

 

言い難そうに話すマドカ。

トモエが僅かに目を細める。

 

「マドちゃん、何か隠してる?」

 

問い詰めるような口調。

トモエの射抜くような視線が、マドカに向く。

 

「いや、それは……」

 

言葉を濁すマドカ。

今朝の出来事を話していいものか、迷う。

 

トモエがスマホを取り出した。

 

「一応、ミコちゃんの連絡先なら、アプリで交換しあってるから分かるよ」

 

「えっ、本当!?」

 

驚くマドカ。

心の中で、あの氷川さんが、

連絡先を交換してくれたの!?と衝撃を受ける。

 

トモエが、得意そうに胸を張った。

 

「ミコちゃん、ちょっと嫌そうだったけど、交換しないとこの場で泣きわめいてやるーって言ったら、渋々交換してくれたよ」

 

どや顔のトモエ。

マドカとユウコの表情がひきつった。

 

「そ、そうなんだ……」

 

「思ったよりヤバい経緯だったわね……」

 

小声で話す二人。

トモエがスマホを操作する。

 

「それで、なんて送ればいいの?」

 

「あっ、えっとね。17時に公園に来てって」

 

マドカの言葉をそのまま打ち込むトモエ。

ミコトからの返信を待つ。

 

「それと、渡すものって?」

 

トモエの疑問。

マドカがカードをデッキケースから取り出した。

 

「えっとね、これ」

 

カードを机の上に置くマドカ。

ボロボロの一枚を、三人が見た。

 

 

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― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。

 

 

「なにこれ?」

 

しげしげとカードを見ているユウコ。

カードを指差す。

 

「これって、珍しい奴なの?」

 

ヴァンガードに詳しくないユウコが訊く。

マドカが首を振った。

 

「全然。一般に流通してるやつ」

 

「ふーん。てか、凄いボロボロじゃない?」

 

カードを見ながら、ユウコが言う。

確かに、それは非常に状態が悪い一枚だった。

 

角の折れ。絵の一部の剥がれ。変色。傷。

 

古いカードなのを差し引いたとしても、

ここまでボロボロな状態は珍しかった。

 

「こんなカード渡して、どうする気なの?」

 

マドカの方を見るユウコ。

慌てて、マドカが手を振った。

 

「あ、私じゃなくて、違う人から頼まれたの」

 

「違う人? 誰なのよ?」

 

「いや、私も知らないんだけど……」

 

ごにょごにょと小さくなるマドカの声。

ユウコがますます不審そうにマドカを見る。

 

「とりあえず、写真送っておいたよ」

 

スマホをいじっているトモエ。

興味深そうに、その瞳が揺れる。

 

「それで、その謎の人物って誰なの?」

 

目を輝かせているトモエ。

観念したマドカが、両手を広げた。

 

「朝、いきなり話しかけてきた人。違う高校の制服着た女子で、すごい金髪。ヤンキーみたいな見た目の子」

 

端的に話すマドカ。

トモエがふんふんと頷く。

 

「なるほどね~。名前とか聞いてないの?」

 

何気ない質問。

マドカが「あっ」と声を出した。

 

「そうだ、言ってた。三峯って子」

 

別に、大した事のない情報。

そう思いながら、発言するマドカ。

 

だが──

 

「三峯?」

 

トモエが大きく、目を見開いた。

凍り付いたような表情。言葉を失う。

 

「……トモエ?」

 

思わぬ反応に、戸惑うマドカ。

ユウコもまた「どしたの?」と訊ねる。

 

ゆっくりと、トモエが息を吐いた。

 

「その人、確かに、三峯って名乗ったの?」

 

いつになく、真剣な表情。

マドカが頷く。

 

「そ、そうだけど。どうしちゃったの、トモエ。ちょっと怖いよ……」

 

不安そうなマドカ。

トモエが目をつぶって、首を振った。

 

「マドちゃん。大事なお願いを聞いて」

 

マドカを見据えるトモエ。

語り掛けるように、話す。

 

「これから先、その人とは絶対に会っちゃダメ。もう二度と関わらないで。お願いだから」

 

「えっ、それ、どういうこと……!?」

 

ますます混乱するマドカ。

ユウコもまた、理解できない様子でいる。

 

二人に向かって──

 

「三峯は、この辺りだと有名な不良。数年前に暴力事件を起こしてる、危険人物だよ」

 

トモエが、静かにそう話した。

マドカが目を見開く。

 

「……えっ?」

 

暴力事件。おおよそ日常では聞かない言葉。

それも被害者側ではなく、加害者側。

 

トモエが続ける。

 

「正確には、相手の子が被害届を出さなかったから、事件にはなってないらしいけど、目撃者はたくさんいる。被害届が出なかったのも、相手を脅したからって噂」

 

「ちょ、ちょっと、そんな危険なやつなの!?」

 

声をあげて驚いているユウコ。

トモエがこくりと頷く。

 

「この辺りだと、絶対に関わっちゃいけない子。ファイターなんだけど、ほとんどのカードショップで出禁になってるらしいよ」

 

淡々と話すトモエ。

ユウコが心配そうに、マドカの方を向く。

 

「……マドカ?」

 

呼びかけるユウコ。

マドカがハッとなって、顔をあげる。

 

「う、うん。大丈夫……」

 

震えているマドカ。

恐怖からか、自分を抱きしめる。

 

「ちょっと驚いたけど……。それに、用があるのは私じゃなくて、氷川さんの方って話してたから……」

 

「そ、そっか」

 

一瞬、ホッとするユウコ。

だがすぐに、気が付く。

 

「てか、それだと氷川さんがヤバいじゃん!」

 

ばっと、トモエの方を見るユウコ。

スマホを見ているトモエ。その表情は暗い。

 

「既読がついて、返信もきた。『事情は分かりました。あとは私が対応します』だって」

 

二人に画面を向けるトモエ。

そっけない文章が、そこには表示されている。

 

「氷川さん、大丈夫なの? 相手がその危険な不良ってちゃんと分かってる?」

 

顔色悪く話すユウコ。

トモエは素早く、文字を打ち込んでいる。

 

「今、伝えてる」

 

集中した様子のトモエ。

メッセージを送ると、短く息を吐いた。

 

一瞬の間。返事が来る。

 

「『知ってます。私は大丈夫です』……」

 

返事を読み上げるトモエ。

三人の間に、沈黙が流れた。

 

「……どうするの?」

 

おもむろに、訊ねるユウコ。

トモエが首を振る。

 

「心配だけど、これ以上は私達にはできないよ。一緒に行こうにも、公園だけじゃどこの公園かも分からないし……」

 

顔を伏せているトモエ。

カードを見つめながら、マドカは黙っている。

 

「ねぇ、マドちゃん」

 

呼びかけてくるトモエ。

マドカが「えっ」と言い、トモエの方を向く。

 

「な、なに、トモエ?」

 

「……さっきの約束、守ってね」

 

どこか強張った声を出すトモエ。

その瞳が潤んで、泣きそうになる。

 

「危ない事、しないで。もしマドちゃんの身に何かあったりしたら、私、私……」

 

震える声で話すトモエ。

ユウコがそっと、肩に手を乗せた。

 

「トモエ……」

 

心配そうな視線を向けているユウコ。

マドカもまた、トモエの手を握る。

 

「トモエ、ありがとう。心配しないで、私、そんな危険な事しないから」

 

微笑むマドカ。

トモエが目元をぬぐいながら、頷いた。

 

「ありがとう、二人とも……」

 

いつになく弱々しい様子のトモエ。

マドカとユウコが励ますように、話し続ける。

 

予鈴が鳴って──

 

「じゃあ、授業がんばろうね~」

 

元気になったトモエがそう言って、席に戻った。

普段と変わらぬ様子。二人がホッとする。

 

「マジな話さ、あとは氷川さんに任せるのが良いと思うよ、マドカ」

 

小声で耳打ちしてくるユウコ。

そのまま席へと戻っていく。

 

一人残されたマドカ。机の上のカードを見る。

 

 

天弓の騎士 ベイス

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。

 

 

「氷川さん……」

 

呟くマドカ。頭の中で考える。

今まで何度も、氷川さんは助けてくれた。

態度は冷たいけど、優しい人なのは分かる。

 

『あいつ、最低の女だから』

 

三峯の言葉。怖くて言い返せなかったが、

間違ってるのは分かる。あの感じからして、

二人が出会えば穏やかな事にはならないはずだ。

 

氷川さんが危険かもしれないなら──

 

(ごめん、トモエ……)

 

心の中で謝るマドカ。

決意に満ちた目で、カードをケースにしまう。

 

空には薄い雲が広がり、陽を隠していた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕暮れの公園には、平和な光景が広がっていた。

 

楽しそうに遊ぶ子供たち。はしゃぐ声。

犬の散歩をしている通行人。ベンチに座る老人。

 

広々とした公園の中で──

 

「氷川さん、きてるかな?」

 

マドカが、きょろきょろと辺りを見渡した。

学校帰りの制服姿。カードを片手に、歩く。

 

(来てみてなんだけど、本当にここかなぁ……)

 

自信をなくしつつあるマドカ。

スマホを片手に、先程の推測を思い返す。

 

(その1、17時という指定から、場所は高校からせいぜい徒歩30分圏内。その2、あのって言ってたから、2人が知っている場所。つまり、昔からある公園。そして、その3──)

 

ちらりと、手に持ったカードを見るマドカ。

公園の中を進み、"それ"を見つける。

 

(2人はファイター。カードは挑戦状。つまり、ファイトテーブルが設置されている公園!!)

 

公園に設置された、ファイトテーブル。

マドカが改めて、スマホに視線を落とした。

 

(探してみたら、条件に全部合うのはこの公園しかなかった。正直、あってるかどうかも分かんないけど、それでも試してみる価値はある!)

 

ぐっと手を握っているマドカ。

時刻を確認する。約束の時間まであとわずか。

 

(うーん、でも……)

 

やや弱気な表情になるマドカ。

トモエからの警告を思い出す。

 

『もう二度と関わらないで』

 

三峯。暴力事件を起こした危険人物。

今朝出会った時の、危ない雰囲気を思い出す。

 

「と、とりあえず、どこか隠れてようかな……」

 

隠れる場所を探そうと、辺りを見渡すマドカ。

その後ろから、足音が近づいて──

 

「おい」

 

冷たい声が、その場に響いた。

びくりとするマドカ。おそるおそる、振り返る。

 

金髪の少女が、不機嫌そうな目を向けていた。

 

「あたし、あんたを呼んだ覚えないけど?」

 

怒気を含んだ声色。

マドカが一気に緊張する。

 

(う、嘘!? 本当にきちゃった!?)

 

推測があたって、驚いているマドカ。

少女がマドカに近づく。

 

「そのカード」

 

マドカが手に持っているカードを指差す少女。

目を細めて、マドカを見据える。

 

「あたし、ミコトに渡せって言ったよね。なんであんたが持ってんだよ」

 

問い詰める口調。冷たい殺気。

マドカの顔から血の気が引いた。

 

(や、やっぱり、怖い!)

 

後悔するマドカ。トモエからの情報を思い出し、

恐怖で身体が震えた。答えを待っている少女。

 

なんとか、口を開く。

 

「氷川さん……今日は、学校休みで……」

 

消え入りそうな、小さな声。

少女が一瞬、ぴくりと反応した。

 

公園を遊ぶ子供の声だけが、遠くで響く。

 

「つまり、あいつ、こない訳?」

 

ゆっくりと、確かめるように少女が話した。

マドカが慌てて両手を振る。

 

「い、いや、伝えたら、ちゃんと来るって──」

 

言いかけるマドカ。

少女が大きく、ため息をついた。そして──

 

ドンッという、鈍い音が響いた。

 

「ひっ!」

 

小さく悲鳴をあげるマドカ。

顔を伏せている少女。伸ばされた左腕。

 

少女に殴られた木が揺れ、葉が落ちる。

 

「……ふざけてんの?」

 

顔をあげる少女。

その全身から殺気が溢れる。

 

「あ、あわわ……!」

 

頭の中が真っ白になっているマドカ。

自然と涙が浮かび、後ずさる。

 

少女が一歩、前に出た瞬間──

 

「……日枝さん?」

 

戸惑うような声が、二人の間に割り込んだ。

その場で立ち止まる少女。ゆっくり、振り返る。

 

氷川ミコトが、驚いた表情を浮かべている。

 

いつもの制服姿。息を切らしているミコト。

顔色悪く、二人の方へと視線を向けている。

 

「氷川さん!」

 

安堵した声を出すマドカ。

ミコトは目を丸くして、見返している。

 

「日枝さん、あなた、どうしてここに?」

 

いつになく困惑した表情。

マドカがその様子に驚いた。

 

(氷川さん、なんか、いつもと違う?)

 

普段の冷たい、孤高の雰囲気とは異なる印象。

あせりと、動揺。そして緊張。悲痛な表情。

 

弱々しささえ、その姿からは感じられた。

 

「氷川さん、あの──」

 

駆け寄ろうとするマドカ。

だが立ち塞がるように、少女が前に出る。

 

ミコトと少女が、向かい合った。

 

ミコトよりも、僅かに背が高い少女。

ぎろりと睨みつけている少女に対し、

ミコトは目を逸らし、視線を下に向けている。

 

長い沈黙が流れて──

 

「……髪、染めたんだね」

 

ぽつりと、ミコトがそう口にした。

少女が驚いたように、目を丸くする。

 

その口元に、見下したような笑みが浮かんだ。

 

「3年ぶりに会って、言うのがそれ?」

 

馬鹿にしたような口調。

少女がミコトの顔を覗き込む。

 

「あんたこそ、随分変わったじゃん。髪、長くしちゃってさ。それにその眼鏡。ハハハッ……」

 

乾いた笑い声。マドカは緊張したように、

二人のやり取りを見ている。

 

手を伸ばす少女。

 

「あたしがあんたをここに呼んだ理由、分かってるでしょ?」

 

少女の顔から笑みが消えた。

冷たい声。責めるような響き。

 

ミコトがかすかに身体を震わせる。

 

「……話を、聞いて」

 

すがるように、ミコトが言った。

心の底からお願いするような口調。

 

少女がフッと、息を吐く。

 

「話しだって? 正直さ、あんたとはもう会いたくないって思ってた。あんたもそうでしょ? だから、関わらないようにしてた」

 

じっと、ミコトを見つめている少女。

ミコトは目を逸らし続けている。

 

「だからさ、本当に驚いたよ。あんたがまたヴァンガードやってるって聞いて。それだけじゃない。よりにもよって──」

 

言葉が途切れる少女。

冷たい殺気。周りの空気が捻じ曲がる。

 

青い瞳を向けて──

 

「ツキちゃんのデッキ、使ってるんだって?」

 

少女の低い声が、その場に響いた。

断罪するような言葉。糾弾の声。

 

「……ツキちゃん?」

 

マドカが、呟く。

少女が目を細めた。

 

「あんたさ、なに考えてんの?」

 

無表情のまま、少女が訊ねた。

ミコトは顔を伏せたまま、沈黙している。

 

「ずっと不思議だったんだよ。ツキちゃんのデッキ、どこにいったのか誰も知らないって。まさか、あんたが持ってたとはね」

 

吐き捨てるような言葉。

その目が鋭く、ミコトを見据えて──

 

「なんとか言えよッ!!」

 

少女の大きな声が、公園に響いた。

びくっと震えるミコト。周りの視線が集まる。

 

「あんた、ツキちゃんのデッキ盗んだわけ!? あんなことしておいて!! それでほとぼりが冷めたら、今度はそれを使う!?」

 

怒鳴り散らしている少女。

ミコトが、小さく首を振った。

 

「お願い……話を聞いて……!」

 

か細い声。懇願の表情。

だが少女は聞き入れず、叫び続ける。

 

「ふざけんな!! あんた、本当に最低!! どうかしてるんじゃないの!? なんとか言いなさいよ、この──」

 

掴みかからんばかりの勢い。

慌てて、マドカが止めに入った。

 

「ま、待って待って!」

 

必死になるマドカ。

後ろから、少女の腕を抑えようとする。

 

「チッ、離せよ! 関係ねぇだろ!」

 

力任せに腕を動かす少女。

凄まじい力。あっさり振りほどかれる。

 

バランスを崩しながら、マドカが叫んだ。

 

「氷川さんは、そんなことしないよ!!」

 

涙を浮かべているマドカ。

二人に向かって、必死に言う。

 

「カードを盗むなんて、そんなこと絶対にしない! あなたが誰か知らないけど、氷川さんはそんな人じゃないって知ってるもん!」

 

泣きながら言葉を吐き出すマドカ。

少女が再び舌を鳴らす。

 

「部外者が、引っ込んでな!!」

 

凄むようにマドカを見る少女。

キッと、マドカがにらみ返す。

 

「あなたこそ、一方的なことばかり言って! そんなに言うんなら、そのツキって人に聞けばいいじゃない!」

 

マドカが指差す。

その言葉に一瞬、少女の表情が凍り付いた。

 

拳を震わせて──

 

「ツキちゃんは、とっくに死んだよッ!!」

 

少女が、叫んだ。

 

目を見開くマドカと、顔を伏せるミコト。

ばさばさと、鳥が飛び立つ音が辺りに響く。

 

「……そんな」

 

呆然と、呟くマドカ。

肩で息をしながら、少女が口を開く。

 

「ツキちゃんは死んだ。だから、あんたがやった事が許されることは、永遠にない」

 

ミコトを睨みつけている少女。

疲れたように、息を吐く。

 

「ふん。何とか言ったら? ツキちゃんの代わりに、あたしが聞いてやるよ。あんたの言い訳」

 

少女が腕を組み、ミコトを見下ろした。

先程からずっと、顔を伏せているミコト。

小刻みに、その身体は震えている。

 

「……う」

 

小さく、その言葉がミコトの口から漏れた。

少女がいぶかしげに眉をひそめる。

 

その場に崩れ落ちて──

 

「うああああああああああ!!」

 

子供のように、ミコトが泣き叫んだ。

その目から、ぼろぼろと涙がこぼれる。

 

「ひ、氷川さん!?」

 

マドカが駆け寄った。

地面に座り込んでいるミコト。

嗚咽をあげ、泣きじゃくる。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい……!!」

 

まるで幼児のように、

その場で謝罪の言葉を繰り返しているミコト。

おろおろと、マドカが戸惑う。

 

少女が驚愕の表情を浮かべ、後ずさった。

 

「……なによ、それ」

 

ぼそりと、呟く少女。

すぐに怒りの形相を浮かべる。

 

「あたしのせいかよ! 悪いのはあんただろ!」

 

手を動かして叫ぶ少女。

ミコトは両手で顔を覆い、泣き続けている。

 

複数の足音が近づいて──

 

「ハーッハッハッハッ!!」

 

笑い声が、唐突にその場に響き渡った。

マドカと少女が、視線を向ける。

 

黒い学生帽をかぶった集団が、現れた。

 

「えっ、誰……?」

 

声をあげるマドカ。

集団の中、学ランを着た少年が前へと出る。

 

「お取込み中に失敬! 私は白鳥(しらとり)コウノスケ。チーム・清陽浪漫(せいようろまん)がリーダー!」

 

学生帽のツバを片手で持ちながら、

高らかに声をあげる少年──コウノスケ。

 

少女がぎろりと睨みつける。

 

「誰だか知らないけどさ、邪魔だから、消えてくんない?」

 

イラついた声を出す少女。

コウノスケがふんと鼻を鳴らす。

 

「おぉ! 大和撫子の風上にもおけぬ不良少女だ。まったく、嘆かわしい風紀の乱れよ」

 

笑い声をあげるコウノスケ。

周りもまた、くすくすと忍び笑いを漏らす。

 

少女が不愉快そうに目を細めた。

 

「とはいえ、我らの目的は貴様ではない。用件があるのは、そこな女子(おなご)だ」

 

気取ったように話すコウノスケ。

地面に座り込んでいるミコトに、視線を向ける。

 

「お会いできて光栄です、伝説のファイター!」

 

胸に手を当てながら話すコウノスケ。

にやりと笑みを浮かべる。

 

「武蔵国最強と謳われた伝説のファイター、ルーンシャトー! その御高名はかねがね伺っております! いやはや、驚きましたよ!」

 

芝居がかった口調。小馬鹿にした含み。

ミコトを見据えて──

 

「伝説のファイターがよもや、かように脆き、ただの弱虫の婦女子とはね!!」

 

大きく、コウノスケが言い放った。

再び周りから上がる笑い声。

 

ミコトは静かに、泣き続けている。

 

「ちょっと! 急に出てきて、なんなんのよ、あなた達!」

 

立ち上がり、怒りの声をあげるマドカ。

コウノスケが肩をすくめる。

 

「おぉ、こんな所にも不良少女が。実に嘆かわしき事この上なし」

 

「なっ、私は別に不良じゃ──」

 

反論しようとするマドカ。

コウノスケが遮る。

 

「ふん。貴様のような雑魚に興味はない。我らが狙うはルーンシャトーの首、それだけよ」

 

喉に親指をあてるコウノスケ。

マドカが訊ねる。

 

「ルーンシャトーの、首?」

 

ちらりと、ミコトを見るマドカ。

コウノスケが手を広げた。

 

「然り。武蔵国の伝説であるルーンシャトー。そいつを討ち取ったとなれば、我らがチームにも箔が付くというもの。ゆえに、我らはルーンシャトーを探していたのだよ」

 

得意そうな顔のコウノスケ。

顔を動かして、再びミコトに視線を向けた。

 

「だがしかし、目撃情報からようやくたどり着いてみれば、童の如く泣き叫ぶ女子がその正体とは。やれやれ、しょせん噂は噂ということか」

 

呆れたように話すコウノスケ。

ミコトは泣き続けている。

 

「とはいえ、かように弱き者であっても伝説は伝説。利用できるうちに、我らが糧となっていただこうではないか!」

 

コウノスケが周りの少年達に呼びかける。

「おおっ!」と、少年達が一斉に声をあげた。

 

「ちょっと待って! 何する気!」

 

コウノスケに詰め寄るマドカ。

やれやれと、コウノスケが肩をすくめる。

 

「決まっているだろう、ファイトするのだよ」

 

「なっ! そんなの、できる訳ないでしょ!」

 

「ふん、関係あるものか。常在戦場。ファイターであれば、勝負に言い訳なぞ不要!」

 

断言するコウノスケ。

ミコトの前に立つと、見下ろす。

 

「さぁ、立て! ルーンシャトー!」

 

呼びかけるコウノスケ。ミコトは応えない。

両手で顔を覆い、泣き続けている。

 

「まったく、これでは埒があかぬな! いいから立ち上がるのだ、我らのために!」

 

ミコトの肩を揺らすコウノスケ。

強引に、ミコトを立たせようとする。

 

「いいかげんにして!!」

 

突き飛ばすようにして、マドカが間に入った。

キッと、コウノスケをにらみつける。

 

「よってたかって、恥ずかしくないの! あんた達の方が、よっぽど弱くて、卑怯者よ!」

 

指を突き付けるマドカ。

ぴくりと、コウノスケが反応する。

 

「ふん、これはこれは。随分な言い草で。ならばお前が、代わりに挑戦を受けると言うのか?」

 

「……いいわ。私だって、ファイターよ!」

 

鞄からデッキケースを取り出すマドカ。

両手で持ちながら、ミコトを守るように立つ。

 

「……日枝さん」

 

ぽつりと、ミコトが呟いた。

コウノスケがフッと笑う。

 

「ということらしいが……どうする? 兄者?」

 

呼びかけるコウノスケ。

マドカが「え?」と困惑した声をあげる。

 

学ランの集団の中から、さらに一人前へと出た。

 

学生帽に学ラン、肩までかかる長い髪。

色白の肌に、端正な顔立ち。不敵な笑み。

マドカを見下ろしながら、口を開く。

 

「お前が、俺と勝負?」

 

馬鹿にしきったように話す青年。

コウノスケが気取ったように言う。

 

「我らが兄者、白鳥リョウマに挑むとは! まったく、無知とは恐ろしいものよ」

 

得意そうなコウノスケ。

マドカが訊ねる。

 

「いやいや、あんた、あそこまで言っといて、ファイトしないの!?」

 

「ふん、我は群れを統制する者。それに敬愛すべき兄に花を持たせるのもまた、弟たる役目」

 

当然のように言うコウノスケ。

マドカはぽかんと口を開けている。

 

にやりと、コウノスケが笑った。

 

「それにな、我が兄者は貴様らとはレベルが違う。なにせ、兄者は奨励会に参加している程の実力者だからなッ!」

 

「……奨励会?」

 

わずかに首をかしげるマドカ。

コウノスケが鼻で笑う。

 

「奨励会を知らないのか? プロファイターへの登竜門、数多の戦士が争う闘技場。弱者は排除される厳しき環境よ!」

 

高らかな口調。

ばっと、隣のリョウマを手で示す。

 

「兄者はそこで生き残る、真の強者! いずれはプロになることを約束された、選ばれし者よ!」

 

自信満々に断言するコウノスケ。

マドカが「うぅ……」とたじろぐ。

 

(つ、つまり、セミプロってこと……?)

 

プロファイター。雲の上の実力者達。

相手はそれに、準ずる位置にいる人間。

 

青年──リョウマが笑みを浮かべた。

 

「おい、本気で俺とやろうってのか?」

 

柄の悪い口調。

マドカがデッキケースを持ちながら、頷く。

 

「そ、そうよ! 私、負けないから!」

 

怖がりながらも、そう答えるマドカ。

リョウマがにやっと笑う。腕を伸ばして──

 

マドカの手から、デッキケースを奪った。

 

「あっ!」

 

声をあげるマドカ。

リョウマが無遠慮に、デッキを取り出す。

 

「ちょ、ちょっと、返してよ!」

 

手を伸ばすマドカだが、届かない。

リョウマが素早くカードを見て──

 

「ハッ、大したことないカードばっかじゃねぇか。こんなデッキで、俺と戦うだと?」

 

心底、馬鹿にした口調のリョウマ。

マドカのカードを掴んで──

 

「お前みたいな雑魚、戦う価値もないんだよ。ひっこんでな!」

 

叩きつけるようにして、

マドカに向けてデッキを投げ返した。

 

「きゃあ!」

 

カードが当たって、悲鳴を上げるマドカ。

マドカのデッキが散らばって、地面に落ちる。

 

「日枝さん!!」

 

ミコトが立ち上がった。

マドカがあたふたと、地面を見る。

 

「わ、私のデッキが……!」

 

泣きそうになっているマドカ。

それを見た少年達が、笑い声をあげた。

 

「まったく、分不相応にたてつくからそうなるのだ。大人しくしていれば、撃たれることもないというのに!」

 

小馬鹿にしたように言うコウノスケ。

マドカは必死になってカードを拾い集めている。

 

「……あなた達」

 

怒りの目を向けるミコト。

白いデッキケースを取り出すが──

 

「……ッ!」

 

すぐに、両手で頭を抑えた。

耐えがたい痛みに襲われたような表情。

その場にうずくまる。

 

「ひ、氷川さん!」

 

カードを拾う手を止めて、駆け寄るマドカ。

息が乱れているミコト。震えながら、言う。

 

「ごめん、ごめんね、ツキちゃん……!」

 

その目から涙がこぼれる。

苦しそうな表情。血の気の失せた顔。

 

「氷川さん……」

 

心配する眼差しを向けるマドカ。

肩を抱き、そっと寄り添うが──

 

「おいおい、いいのか? それでは風で、カードが飛ばされてしまうのではないか?」

 

コウノスケが、揶揄するように言い放った。

ハッとなるマドカ。拾えたカードは半分ほど。

残りの半分が、風に飛ばされそうになる。

 

マドカが目を閉じて──

 

「大丈夫だよ。私、そばにいるから」

 

優しく、ミコトに話しかけた。

泣いているミコトが、顔をあげる。

 

「……日枝さん」

 

ぐずぐずになっているミコト。

そのまま顔を伏せて、泣きじゃくる。

 

コウノスケが肩をすくめた。

 

「カードを拾うこともせぬとは。所詮はその程度。お前達は戦士たる、ファイターではないということだ」

 

嘲笑する声。周りから笑い声があがる。

マドカの目に、悔し涙が浮かんだ。

 

少年達の楽しそうな声が渦巻く中に──

 

「あんた達さぁ」

 

鋭い声が、響き渡った。

少年達が笑うのをやめ、声のした方を向く。

 

金色の髪がなびいて──

 

「ウザいんだけど、マジで」

 

冷たい殺気。捻じ曲がる空気。

少年達とマドカの間に、少女が割って入った。

 

「なっ……!」

 

あまりの迫力に、怯えたようになるコウノスケ。

わずかに、後ろへと下がる。

 

「…………」

 

少年達を睨め付けている少女。

フッと、視線を切ると──

 

少女がしゃがみこみ、カードを拾いだした。

 

「えっ!?」

 

驚くマドカ。

コウノスケが一瞬驚いた後、咳払いする。

 

「ふ、ふん。敵の前で座って物拾いとは。それも、そんなはしたない格好で。まったく、これだから不良は……」

 

ぶつぶつと言っているコウノスケ。

少女は完全に、その言葉を無視している。

 

全てのカードを拾い上げて──

 

「……ほら」

 

少女が、カードをマドカに差し出した。

おずおずと、受け取るマドカ。

 

「あ、ありがとう……」

 

思わぬ助けに、混乱しているマドカ。

少女が立ち上がり、少年達に向き直る。

 

「ルーンシャトーを探してるんだって?」

 

問いかける少女。冷たい声。

コウノスケが苦い表情を浮かべる。

 

「何を今更。それがどうしたというのだ」

 

「だったら、ちょうどいい」

 

鞄に手を入れる少女。

その中からピンク色のデッキケースを取り出す。

 

青い色の瞳を向けて──

 

「あたしが、ルーンシャトーだ」

 

少女が、静かにそう言った。

その場にいた全員に、衝撃が走る。

 

「なっ……!?」

 

驚きの声。息を呑む音。

マドカもまた、目を丸くして驚く。

 

「……情報だと、そこの黒髪がそうだって聞いてんだがな?」

 

ミコトのことを指差すリョウマ。

少女がハッと声をあげる。

 

「こいつはとっくに辞めてるよ。ルーンシャトーは、あたしと、ツキちゃんのチームだ」

 

自分の事を指差す少女。

マドカが声をあげた。

 

「ちょ、ちょっと待って!? ルーンシャトーって、個人名じゃなくて、チームの名前なの!?」

 

次々と明るみになる真実に、

なんとか付いていこうとするマドカ。

さらに質問をする前に──

 

「あっ!!」

 

学ランの少年達の中。

一人の少年が、声をあげた。

 

「り、リーダー! 思い出しました!」

 

「な、なんだ、こんな時に!?」

 

怒ったように言うコウノスケ。

少年が、少女の事を指差す。

 

「こいつです! こいつ、あの有名な暴力事件を起こしたファイターですよ! チームLMFに所属している、三峯(みつみね)!」

 

怯えたように、あえぐ少年。

震える指を伸ばして──

 

「──三峯ヒカルです!!」

 

少年の声が、その場に響き渡った。

風が吹く。金色の長い髪が、かすかに揺れた。

 

少女──ヒカルが、口を開く。

 

「言っておくけど、あたし、LMFには所属してる訳じゃないから。一緒にしないでくれない?」

 

怒りの滲んだ声。

腕を組んで、少年達を見据える。

 

「えぇい、黙れ! この極悪人が!」

 

コウノスケが声を荒げた。

びしっと、ヒカルを指差す。

 

「貴様があの、暴力ファイターか! ファイターの風上にもおけない奴め!」

 

「ハハハッ。あんた達がそれ言う?」

 

楽しそうに笑うヒカル。

両手を広げ、挑発するように言う。

 

「人に向かってカード投げつけて笑ってるような、最低のクズの集まりのくせに。おまけになに、奨励会だって?」

 

リョウマに目を向けるヒカル。

フッと鼻で笑う。

 

「あんなの、試験さえ受かれば誰でも入れる所じゃん。居るだけじゃ自慢にならねーんだよ。プロ目指すってんなら、結果出さないとさ」

 

鋭い口調。見下した目付き。

ヒカルが大げさに、肩をすくめる。

 

「ま、無理か。いかにも弱そうだし、あんた。どうせ、次の対抗戦で除名されるのがオチだよ」

 

くすくすと笑うヒカル。

リョウマの顔が、怒りで赤く染まった。

 

コウノスケが激昂する。

 

「貴様ァ!! 取り消せ、その言葉!!」

 

荒ぶる声。震えている身体。

ヒカルがデッキケースを見せびらかす。

 

「だったらさ、あたしに勝って見せなよ。それともなに? 奨励会じゃ、女とは戦わない訳?  負けるのが怖いから」 

 

リョウマに視線を向けるヒカル。

コウノスケを、リョウマが手で制した。

 

「てめぇは、絶対に潰す」

 

低い声。溢れ出る殺気。

リョウマがデッキケースを取り出した。

 

ヒカルが悪そうに、微笑む。

 

「かっこつけない方がいいよ。惨めになるから」

 

見下しきった口調。

二人の視線がぶつかり合う。

 

張りつめた緊張感の中──

 

ファイトテーブルを挟んで、

ヒカルとリョウマが向かい合った。

 

「……ヒカル」

 

マドカに支えられながら、

よろよろと立ち上がっているミコト。

 

ヒカルが鋭い目を向ける。

 

「言っておくけど、さっきの話は終わってないから。このゴミを片づけたら、次はあんただ」

 

冷たく、容赦のない声。

ミコトが傷ついたように、顔を伏せる。

 

「ゴミだと! 貴様、この期におよんで!」

 

コウノスケが怒りの声をあげる。

リョウマが目の前にカードを置いた。

仁義と描かれたスリーブに入ったカード。

 

腕を組み、リョウマがヒカルを睨みつける。

 

「言わせておけ。俺の実力を見れば、おのずと減らず口もなくなる」

 

余裕ぶった態度のリョウマ。

ヒカルのことを見据える。

 

「へぇ、勝つ気でいるんだ?」

 

準備をしながら、口を開くヒカル。

赤い紋章の柄のスリーブに入ったデッキ。

そして──

 

白い兎のスリーブに入ったカードを、横に置く。

 

(あ、あのスリーブ!!)

 

心の中、驚くマドカ。

ミコトが使っているものと、全く同じスリーブ。

 

カードを取り出して──

 

「まぁ、どうでもいいけどさ。あんま喋んないでくれない? 興味ないし」

 

ヒカルが、冷たく微笑んだ。

ざわめく周囲。リョウマの額の血管が脈打つ。

 

月のスリーブに入ったカードが、置かれる。

 

「そんじゃ、遊んであげる」

 

ヒカルが、指をカードの上に置いた。

リョウマもまた、深呼吸して手を伸ばす。

 

戦いの前、一瞬の静寂が流れて──

 

「スタンドアップ・ヴァンガード!!」

 

勢いよく、カードが表になった。

 

「《占術の賢者 スーロン》!!」

 

「《せいんがる》!」

 

 

占術の賢者 スーロン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 見える筈だよ。暗がりの中でも、消えない光が。

 

 

せいんがる

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ハイビースト 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― あたし達の力、見せてあげましょ!

 

 

表になった2枚。

白い服を着た賢そうな金髪の少年と、

桃色の毛並みの勇壮な雰囲気の犬。

 

「両方とも、ケテルサンクチュアリ!」

 

対峙する2枚を見て、マドカが声をあげた。

リョウマがフンと、息を吐く。

 

「同国家の対決とはな。なら、格の違いを見せつけてやる」

 

ヒカルを睨んでいるリョウマ。

それを聞いたヒカルが、ため息をついた。

 

「言ったじゃん、喋んなって。さっさとやってよ。結果は同じだから」

 

呆れたような口調。

リョウマの方を、見ようともしない。

 

ぎりっと、リョウマが歯を食いしばった。

 

「貴様、後悔させてやる! 俺のターン!」

 

カードを引くリョウマ。

1枚を捨てる。

 

「《霊薬の賢者 エリロン》にライド!」

 

叩きつけられる1枚。

白い服の女賢者が描かれたカードが現れる。

 

 

霊薬の賢者 エリロン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「強壮の賢者 ストグロン」にライドされた時、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら手札に加えてよい。加えないなら、その公開されたカードをソウルか山札の上に置く。

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたは手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

― 万能の霊薬は、毒を含んだ言葉と共に手渡される。

 

 

「ターンエンドだ!」

 

露骨にイラついた口調。

ぎろりと、ヒカルに鋭い目を向ける。

 

手を伸ばして──

 

「あたしのターン!」

 

ヒカルが、カードを引いた。

手札から1枚を捨て、カードを手に取る。

 

「《白の賢者 グラッセ》にライド!」

 

月のスリーブに入ったカード。

眼鏡をかけた少年の賢者のカードが置かれる。

 

「こっちもケテルサンクチュアリだけど、違うライドライン……!」

 

カードを見ながら、呟くマドカ。

ヒカルがフッと笑う。

 

「せいんがるのスキルで1枚ドロー。さらにグラッセのスキルで、もう1枚引いて──」

 

目線を切るヒカル。白い兎のスリーブ。

そこに入ったカードの束に、指を置き──

 

「──あたしは、クレストを1つ得る!」

 

高らかに、ヒカルがそう宣言した。

 

 

白の賢者 グラッセ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「せいんがる」からライドして登場した時、1枚引き、あなたは「誓い」のクレストを1つ得る。

― そこは誰も知らない、古の時代の聖域。

 

 

「く、クレストだと……!?」

 

困惑した声をあげるコウノスケ。

周りの観戦者の間にどよめきが走る。

 

ヒカルがカードを指ではさみ、見せつけた。

 

「あたしは《青の誓い》を獲得!」

 

白い兎のスリーブに入ったカード。

青い色の不思議な魔法陣が、描かれている。

 

クレストが場に置かれた。

 

 

青の誓い

クレスト/誓い

永:あなたは青の力を得る。

(青とはイメージの色である)

 

 

「な、なに、この、なに……!?」

 

テキストを読み、動揺しているマドカ。

書かれている効果の意味が、理解できなかった。

 

「はん! 何か出てくるかと思えば、何の意味もないカードじゃねぇか! ただのハッタリだ!」

 

断言するリョウマ。

ヒカルがにやりと笑う。

 

「ま、せいぜいそう思ってなよ」

 

小馬鹿にした口調。

ヒカルがカードに指をのせた。

 

「グラッセで、ヴァンガードにアタック!」

 

カードを動かすヒカル。

リョウマが手札を見てから、言う。

 

「ノーガードだ!」

 

腕を組むリョウマ。

ヒカルの宣言を待つ。

 

「チェック・ザ・ドライブ」

 

デッキに手を伸ばすヒカル。

カードをめくると、リョウマに見せる。

 

「ノートリガー」

 

 

精製の魔法 フフプリ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、【ソウルチャージ】(1)してよい。

― 効果は抜群。飲むのに少しばかりの勇気があるが。

 

 

カードを手札に加えるヒカル。

リョウマもまた、デッキに手を伸ばす。

 

「ダメージチェック。ノートリガーだ!」

 

カードを見せるリョウマ。

不機嫌そうに、ダメージにカードを置いた。

 

 

実証の学士 ピリック

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - エルフ 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『ブースト』を得て、パワー+5000。

― 臨床実験に移りましょう。

 

 

リョウマ ダメージ0→1

 

 

「ターンエンド」

 

淡々とした態度で宣言するヒカル。

退屈そうに、盤面を眺めている。

 

リョウマがデッキに手をかけた。

 

「俺のターン!」

 

怒りを含んだ声。

荒々しく、カードを捨てる。

 

「《強壮の賢者 ストグロン》にライド!」

 

カードを置くリョウマ。

杖を構える金髪の賢者のカードが場に出る。

 

 

強壮の賢者 ストグロン

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「ソルレアロン」を含むユニットにライドされた時、あなたのソウルから「霊薬の賢者 エリロン」を1枚選び、そのカードとこのカードを(R)にコールする。

【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、【コスト】[このユニットを退却させる]ことで、【カウンターチャージ】(1)。』を得る。

― 静かな智は、何にも届せぬ力となるのだ。

 

 

「さらに、ライドされたエリロンのスキルが発動! 俺はノーマルユニットを宣言する!」

 

手を前に出すリョウマ。

山札の上をめくった。

 

「公開されたのは《ディペンダブルピアース・ドラゴン》! ノーマルユニットなので、そのまま手札に加える!」

 

 

霊薬の賢者 エリロン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「強壮の賢者 ストグロン」にライドされた時、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら手札に加えてよい。加えないなら、その公開されたカードをソウルか山札の上に置く。

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたは手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

― 万能の霊薬は、毒を含んだ言葉と共に手渡される。

 

 

ディペンダブルピアース・ドラゴン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。

― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。

 

 

興味なさそうに聞いているヒカル。

リョウマがヴァンガードに手を伸ばした。

 

「ストグロンで、ヴァンガードにアタック!」

 

勢いよくカードを横へと動かすリョウマ。

ヒカルが鼻で笑う。

 

「ノーガードでいいよ」

 

余裕綽々な態度。

リョウマがぴくりと、怒りに震える。

 

「ドライブチェック!」

 

大声での宣言。

カードをめくって──

 

「ゲット! クリティカルトリガー!」

 

力強く、リョウマが言い放った。

 

 

豪胆の騎士 サウェル

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 豪快に、行くぜ!

 

 

「おぉ! さすが兄者!」

 

周りからあがる歓声。

ヒカルがカードをダメージに置く。

 

「ダメージチェック。ノートリガー」

 

 

陣風の騎士 キュネブルガ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(R)】:あなたのターン中、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのパワー+5000。

― 相手にとって不足なし!私の風を全部ぶつける!

 

 

ペインキラー・エンジェル

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1), このユニットを退却させる]ことで、1枚引く。

― 心配不要です。チクリとすればおしまいですから。

 

 

ヒカル ダメージ0→2

 

 

置かれる2枚のカード。

ヒカルが退屈そうな目を向ける。

 

「それで、終わり?」

 

冷や水をあびせるような声。

少年達の歓声が止まった。

 

「どこまでも不遜な奴め!」

 

コウノスケが声を上げる。

リョウマが首を振った。

 

「言わせておけ。すぐに吠え面をかかせてやる」

 

手札を構えているリョウマ。

腕を組み、「ターンエンド」と告げる。

 

「あたしのターン!」

 

カードを引くヒカル。

迷いなく、すぐにカードを選んで捨てる。

 

「《静寂の騎士 アロンダル》にライド!」

 

カードを置くヒカル。

目隠しをした長い髪の騎士のカードが現れる。

 

さらに1枚、ヒカルがカードを手に取った。

 

「《蒼炎の魔術師 ブリギッド》をコール!」

 

ヴァンガードの横に置かれた1枚。

青い炎を操る女魔術師が、描かれている。

 

「カウンターブラスト。デッキから《インペリアル・エンジェル》をコール!」

 

デッキを広げるヒカル。

赤い髪の天使が描かれたカードを選ぶと、

先程のカードの真後ろのサークルに置いた。

 

 

蒼炎の魔術師 ブリギッド

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。

【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。

 

 

「そしてアロンダルとインペリアル・エンジェルは、あたしが誓いのクレストを得ていればパワー+5000!」

 

 

静寂の騎士 アロンダル

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このカードを(R)にコールする。

【永】【(V)/(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。

― 己が信念のもとに、誓いを立てよ。

 

 

インペリアル・エンジェル

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【起】【(R)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(2)]することで、あなたの前列のユニットすべてのパワー+5000。

【永】【(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。

― 赤い翼の天使は、戦場の全てを鼓舞する。

 

 

「なるほど、そのクレストはユニット強化のために必要な条件って訳か。驚かしやがって」

 

納得した様子のリョウマ。

ヒカルが、見下した笑みを浮かべている。

 

(本当に、それだけ……?)

 

心の中で呟くマドカ。

ヒカルの場のクレストカードに、視線を向ける。

 

 

青の誓い

クレスト/誓い

永:あなたは青の力を得る。

(青とはイメージの色である)

 

 

青の力。イメージの色。

意味はさっぱり分からないが、

全く無意味なものとも思えなかった。

 

ヒカルがカードに手を伸ばす。

 

「アロンダルで、ヴァンガードにアタック!」

 

鋭い声で宣言するヒカル。

自身の能力により、そのパワーは15000。

 

「ノーガードだ!」

 

リョウマが宣言した。

デッキの上をめくるヒカル。

 

「チェック・ザ・ドライブ。ノートリガー」

 

カードが表になる。

 

 

アイジスメア・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― この痛み……私が全て引き受けましょう。

 

 

「ダメージチェック!」

 

カードをめくるリョウマ。

その口角が上がって──

 

「ゲット、クリティカルトリガー! パワーはヴァンガードだ!」

 

高らかに、宣言した。

 

 

ブレードフェザー・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― この翼は飛ぶ為だけにあるのではない。

 

 

リョウマ ダメージ1→2

 

 

「ダメージトリガー……!」

 

悔しそうな声を出すマドカ。

ミコトは押し黙っている。

 

「インペリアルのブースト、ブリギッドでヴァンガードにアタック!」

 

気にした様子もなく、宣言するヒカル。

ブーストを付けた攻撃。パワー23000。

 

リョウマがカードを出す。

 

「ガード!」

 

ぱさりと、1枚が投げ捨てられた。

 

 

感興の学士 インティラス

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが山札から(R)に登場した時、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

― 知識に果てはないから。少年は日夜、研鑽を重ねる。

 

 

防がれた攻撃。

ヒカルが静かに、口を開く。

 

「これで、ターンエンド」

 

そっけない口調。

つまらなさそうな態度を、隠そうともしない。

 

リョウマが、悠然と手を伸ばした。

 

「俺のターン!」

 

勢いよくカードを引くリョウマ。

よどみなく、手札の1枚を捨てる。

 

「散々コケにしてくれたな! きっちり、この落とし前はつけさせてもらうぜ!」

 

カードを構えるリョウマ。

仁義と書かれたスリーブ。腕を伸ばす。

 

ヒカルを睨みつけながら──

 

「《天道の大賢者 ソルレアロン》にライド!!」

 

叩きつけるように、カードを置いた。

白い髪に、光輝く杖。浮かび上がる魔法の印。

 

穏やかな笑みを浮かべた大賢者が、現れる。

 

 

天道の大賢者 ソルレアロン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。

― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!

 

 

「……ヒカル」

 

小さく、呟くミコト。

ヒカルは黙って、カードを眺めている。

 

リョウマが腕を上げた。

 

「ライドされたストグロンのスキル! ソルレアロンにライドされた時、ソウルから自身とエリロンをスペリオルコール!」

 

 

強壮の賢者 ストグロン

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「ソルレアロン」を含むユニットにライドされた時、あなたのソウルから「霊薬の賢者 エリロン」を1枚選び、そのカードとこのカードを(R)にコールする。

【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、【コスト】[このユニットを退却させる]ことで、【カウンターチャージ】(1)。』を得る。

― 静かな智は、何にも届せぬ力となるのだ。

 

 

ヴァンガードの下のカードを動かすリョウマ。

2枚のカードが、同じ縦列に置かれる。

 

「さらにエリロンのスキル! 登場した時、ソルレアロンがいるなら手札のノーマルユニットを公開!」

 

手札の1枚を表にするリョウマ。

そこにあるのは、先程見せた金色の竜のカード。

 

 

ディペンダブルピアース・ドラゴン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。

― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。

 

 

「公開した後、俺は1枚引いて、そのカードを山札の上に置く!」

 

 

霊薬の賢者 エリロン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「強壮の賢者 ストグロン」にライドされた時、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら手札に加えてよい。加えないなら、その公開されたカードをソウルか山札の上に置く。

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたは手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

― 万能の霊薬は、毒を含んだ言葉と共に手渡される。

 

 

デッキからカードを引いて、

金色の竜のカードを山札の上に戻すリョウマ。

マドカが戸惑ったように言う。

 

「え、なに、手札入れ替えってこと?」

 

困惑した声。

隣のミコトが首を振った。

 

「いえ、あれは……」

 

何かを察している様子のミコト。

リョウマが楽しそうに笑い声をあげる。

 

「さらに俺は《実証の学士 ピリック》、《感興の学士 インティラス》、《霊薬の賢者 エリロン》をコール!」

 

6枚ある手札の内の3枚。

リョウマが一気に、カードを展開した。

 

 

実証の学士 ピリック

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - エルフ 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『ブースト』を得て、パワー+5000。

― 臨床実験に移りましょう。

 

 

感興の学士 インティラス

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが山札から(R)に登場した時、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

― 知識に果てはないから。少年は日夜、研鑽を重ねる。

 

 

霊薬の賢者 エリロン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「強壮の賢者 ストグロン」にライドされた時、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら手札に加えてよい。加えないなら、その公開されたカードをソウルか山札の上に置く。

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたは手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

― 万能の霊薬は、毒を含んだ言葉と共に手渡される。

 

 

「ふーん」

 

リョウマの場を見ているヒカル。

全面展開。相手は一気に、仕掛けてきている。

 

「いくぜ、バトルだ!」

 

リョウマが大きく宣言する。

ばっと、その右手を広げた。

 

「そしてバトル開始時、ソルレアロンのスキル発動! ノーマルかトリガーを宣言して、山札の上を見て、当たっていれば全てのユニットのパワー+5000!」

 

 

天道の大賢者 ソルレアロン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。

― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!

 

 

「山札の上って……さっきの!」

 

先程の手札入れ替えを思い出すマドカ。

リョウマがにやりと笑みを浮かべる。

 

「俺はノーマルユニットを宣言! そして当然、山札の上はディペンダブルピアース・ドラゴン! ノーマルユニットだ!」

 

 

ディペンダブルピアース・ドラゴン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。

― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。

 

 

カードを公開して戻すリョウマ。

マドカが「うぅっ」と、声を漏らした。

 

「ず、ずるい! 絶対当たるじゃん!」

 

抗議するようなマドカの声。

ヒカルは静かに、盤面を見つめている。

 

リョウマが高笑いをあげた。

 

「宣言が当たったので、全てのユニットのパワー+5000! いくぜ、ストグロンでヴァンガードにアタック!」

 

カードを動かすリョウマ。

能力で強化された攻撃。数値は15000。

 

ヒカルがカードを場に出す。

 

「ガード」

 

 

シャイニング・ユニコーン

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ハイビースト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 純粋な思いが紡ぐ、高貴なる光。

 

 

トリガーを使ったガード。

ヒカルが淡々と、カードをドロップに置いた。

 

「ストグロンのスキル! 自身を退却!」

 

 

強壮の賢者 ストグロン

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「ソルレアロン」を含むユニットにライドされた時、あなたのソウルから「霊薬の賢者 エリロン」を1枚選び、そのカードとこのカードを(R)にコールする。

【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、【コスト】[このユニットを退却させる]ことで、【カウンターチャージ】(1)。』を得る。

― 静かな智は、何にも届せぬ力となるのだ。

 

 

カードを掴んで捨てるリョウマ。

盤面が1つ、空になる。

 

リョウマが、ヴァンガードに指を乗せた。

 

「エリロンのブースト! ソルレアロンで、ヴァンガードにアタック!」

 

力強い宣言。

さらにダメージのカードを1枚、裏返す。

 

「スキル発動! 山札の上から2枚見て、1枚をコールするか捨て、残りを山札の上か下に置く!」

 

 

天道の大賢者 ソルレアロン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。

― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!

 

 

「なっ! 上って、さっきの! また!?」

 

驚いているマドカ。

コウノスケが手を叩いた。

 

「さすがは兄者! 全く無駄のない、完璧な戦術! 実に素晴らしい!」

 

周りから、再び歓声があがった。

騒がしい雰囲気。ヒカルは目を細めている。

 

「俺は《ディペンダブルピアース・ドラゴン》をコール、さらに残り1枚を山札の上へ!」

 

得意そうな表情のリョウマ。

空いていた盤面に、金色の竜のカードが現れた。

 

 

ディペンダブルピアース・ドラゴン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。

― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。

 

 

再び全面が埋まった、リョウマの場。

大賢者の攻撃が、ヒカルへと向かっていく。

 

 

天道の大賢者 ソルレアロン パワー31000

 

 

「ノーガードでいいよ」

 

やる気なく、ヒカルが手をひらひらとさせた。

驚くマドカ。リョウマが「ふん」と鼻を鳴らす。

 

「なら、目にもの見せてやる。ドライブチェック、クリティカルトリガーだ!」

 

カードを見せるリョウマ。

山札の上に戻していた1枚を表にする。

 

 

ブレードフェザー・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― この翼は飛ぶ為だけにあるのではない。

 

 

「あぁ、やっぱり……!」

 

嫌な予感がしていたマドカ。

リョウマが手をかざす。

 

「クリティカルはヴァンガード! パワーはディペンダブルピアース・ドラゴンに! セカンドチェック!」

 

デッキに手を伸ばすリョウマ。

カードを見て──

 

「チッ、ノートリガーか」

 

リョウマが、不機嫌に舌打ちした。

 

 

天道の大賢者 ソルレアロン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。

― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!

 

 

「トリガーじゃないのは嬉しいけど、ヴァンガードと同じカード……!」

 

表になったカードを見て、

マドカが心配そうにヒカルを見た。

 

不敵な笑みを浮かべ、ヒカルが手を伸ばす。

 

「ダメージチェック。ノートリガー」

 

淡々と、ヒカルがそう宣言した。

 

 

蒼炎の魔術師 ブリギッド

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。

【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。

 

 

精製の魔法 フフプリ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、【ソウルチャージ】(1)してよい。

― 効果は抜群。飲むのに少しばかりの勇気があるが。

 

 

ヒカル ダメージ2→4

 

 

ダメージトリガーなし。

ヴァンガードのパワーは、10000のまま。

 

リョウマがさらにカードを動かす。

 

「インティラスのブースト、ピリックでヴァンガードにアタック!」

 

眼鏡をかけた生真面目そうな研究者のカード。

能力で強化された攻撃が迫る。

 

 

実証の学士 ピリック パワー28000

 

 

「ガード」

 

手札の中の1枚、トリガーを出すヒカル。

 

 

天音の楽士 アルパック

トリガーユニット【前】+10000

(フロントトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エルフ 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。

― 苦しい時は、英気の音色で心を支えて。

 

 

スキルによるシールド上昇。

強力な攻撃を、1枚で防いだ。

 

だが──

 

「エリロンのブースト、ディペンダブルピアース・ドラゴンでアタックだ!」

 

追撃の一手。先程現れた金色の竜のカードが、

強力なパワーを持ってヒカルへと襲い掛かった。

 

 

ディペンダブルピアース パワー41000

 

 

「ノーガード」

 

手札も見ずに、やる気なく言うヒカル。

デッキの上の1枚を、ダメージに置いた。

 

 

ペインキラー・エンジェル

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1), このユニットを退却させる]ことで、1枚引く。

― 心配不要です。チクリとすればおしまいですから。

 

 

ヒカル ダメージ4→5

 

 

ようやく、リョウマの攻撃が終了する。

だがヒカルがこのターン、受けたダメージは3。

 

一気に、追い詰められている。

 

「さすがです、兄者!」

 

感動したように言うコウノスケ。

周りもまた、野次のような声を飛ばす。

 

「ダメージ2対5!」

 

「やっちゃって下さい! リョウマさん!」

 

リョウマを応援する声。アウェーな雰囲気。

手を振って、リョウマはそれに応えている。

 

「うぅ、やっぱり、強い……!」

 

盤面を見ながら、そう話すマドカ。

腐っても、相手は奨励会所属のファイター。

 

決して、生半可な相手ではない。

 

「このままじゃ……!」

 

心配するように、ヒカルを見るマドカ。

しかし──

 

「平気よ」

 

マドカの隣。

ミコトが、顔色悪くもそう言い切った。

 

「え?」

 

驚くマドカ。

ミコトが、視線を伏せがちに言う。

 

「ヒカルは、私と違って、強いから……」

 

暗い声で話しているミコト。

まるで自分を責めるような声。

 

盛り上がる雰囲気の中に──

 

「それで?」

 

空気を切り裂くような声が、響いた。

歓声がやみ、静まり返る。

 

「あんた、ターンエンドでいいわけ?」

 

凍てつくような口調。

冷たい目を、ヒカルが向けた。

 

「ハッ、まだ続けるのか?」

 

馬鹿にしたように、リョウマが話した。

場を手で示しながら、続ける。

 

「実力の違いはもう分かっただろう? 今なら、降参を許してやってもいいんだぜ?」

 

にやにやと、ヒカルを見るリョウマ。

ハァと、ヒカルが大きく息を吐いた。

 

青い瞳を向けて──

 

「ウザいんだよ、さっきから」

 

鋭く、ヒカルがリョウマを睨みつけた。

凄まじい迫力。凍り付く空気。

 

思わず、息を呑むリョウマ。

 

その顔から血の気が引き、

わずかにその場で後ずさった。

 

「あ、兄者……?」

 

困惑したように呼びかけるコウノスケ。

リョウマがハッとして、咳払いする。

 

「ふ、ふん。後悔すんなよ。ターンエンド!」

 

手札を片手に、宣言するリョウマ。

ヒカルがゆっくりと、手を伸ばす。

 

「あたしのターン──」

 

カードを引くヒカル。

1枚を選んで、ドロップへと捨てた。

 

ミコトの方に視線を向けて──

 

「遊びは終わり。そろそろ見せてあげる。あたしの力を。あたしの、ヴァンガードを!!」

 

低い声で、ヒカルがそう言った。

リョウマが声を荒げる。

 

「てめぇ、どっち見てやがる! お前の相手は、この俺だぞ!」

 

胸に拳を当てているリョウマ。

ヒカルが目線を戻した。

 

「一つ、言ってあげる」

 

腕を伸ばすヒカル。

月のスリーブに入ったカードを、掴む。

 

金色の髪が揺れて──

 

「はなから眼中にないのよ、あんたごとき!! さっさと失せな!! ライド!!」

 

威圧するような声。

カードを振り下ろして──

 

「《イマジンセイバー・ドラゴン》!!」

 

神々しくも美しい竜が、降臨した。

 

青い瞳。美しく輝く鱗。白い光の翼。

底知れぬ力を秘めた一枚が、場に置かれる。

 

「うっ……!?」

 

気圧されたような声を出すリョウマ。

マドカが手を握った。

 

「き、綺麗なカード……!」

 

ぼうっとしたように、呟くマドカ。

ヒカルがダメージのカードを裏返した。

 

「アロンダルのスキル! ライドされた時、リアガードとしてコール!」

 

 

静寂の騎士 アロンダル

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このカードを(R)にコールする。

【永】【(V)/(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。

― 己が信念のもとに、誓いを立てよ。

 

 

ヴァンガードの横、騎士のカードが並び立つ。

ヒカルが、不敵な笑みを浮かべた。

 

「イマジンセイバーのスキル!!」

 

手を伸ばすヒカル。

白い兎のスリーブのカードに、指を置く。

 

「ヴァンガードに登場した時、クレストの誓いの色に応じて、あたしはイメージの力を得る!!」

 

大きく宣言するヒカル。

観戦していた連中が、困惑した表情になる。

 

ヒカルがカードを掴んだ。

 

「誓いの色は青! あたしが獲得するのは──」

 

白い兎のスリーブのカード。

ゆっくりと、表にして──

 

「イマジナリーギフト フォースⅡ!!」

 

ヒカルが、カードを見せつけた。

 

 

イマジナリーギフト フォース

獲得時、このマーカーを(V)か(R)に置き、そこにいるユニットの元々のクリティカルは2になる!(同じサークルにも置けるが、クリティカルは重複しない)

 

 

「なぁっ……!?」

 

言葉を失うリョウマ。

大きく目を見開いて、カードを見る。

 

「な、なに、あのカード!?」

 

初めて見るカードに、マドカが声をあげた。

ヒカルがカードをヴァンガードの下に置く。

 

「フォースⅡの効果! イマジンセイバーの元々のクリティカルを2にする!」

 

「!?」

 

驚愕するリョウマ。

ヒカルが手札のカードを掴んだ。

 

「《インペリアル・エンジェル》、《精製の魔法 フフプリ》をコール!」

 

現れる2枚。

ヒカルの場もまた、全ての面が埋まった。

 

 

インペリアル・エンジェル

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【起】【(R)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(2)]することで、あなたの前列のユニットすべてのパワー+5000。

【永】【(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。

― 赤い翼の天使は、戦場の全てを鼓舞する。

 

 

精製の魔法 フフプリ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、【ソウルチャージ】(1)してよい。

― 効果は抜群。飲むのに少しばかりの勇気があるが。

 

 

「インペリアルのスキル! ソウルブラストして、前列全てのパワー+5000!」

 

ソウルのカードを抜き取るヒカル。

呆然と、リョウマは宣言を聞いている。

 

ヒカルが指を置いて──

 

「インペリアルのブースト、イマジンセイバーでヴァンガードにアタック!!」

 

高らかに、その言葉が響いた。

カードを動かすヒカル。口元に浮かぶ笑み。

 

「さらにイマジンセイバーのスキルで、パワー+10000!」

 

神聖なる竜の身体が光輝く。

その青い瞳が、リョウマへと向けられた。

 

 

イマジンセイバー・ドラゴン パワー41000

 

 

「パワー41000だと!?」

 

震えているリョウマの声。

マドカが驚きながら、身を乗り出す。

 

「しかも、あの紋章みたいなカードの効果で、クリティカル2!?」

 

「あ、兄者!?」

 

コウノスケの悲鳴。

リョウマが苦しそうに、口を開く。

 

「の、ノーガード……!!」

 

屈辱に打ち震えているリョウマ。

ヒカルの口元に笑みが広がる。

 

「チェック・ザ・ドライブ!」

 

自信に満ちた声。

カードがめくられ、表になる。

 

「ファーストチェック! フロントトリガー! 前列のパワー+10000!」

 

 

天音の楽士 アルパック

トリガーユニット【前】+10000

(フロントトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エルフ 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。

― 苦しい時は、英気の音色で心を支えて。

 

 

カードを見せつけるヒカル。

さらに一枚を、手に取った。

 

にやりと、柄の悪い笑みを見せて──

 

「セカンドチェック、クリティカルトリガー!」

 

ヒカルが、楽しそうにそう告げた。

 

 

信仰の騎士 エリナ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― ぶっ潰してさしあげますわ!

 

 

「だ、ダブルトリガー!!」

 

驚いているマドカ。

ヒカルが腕をなぐように動かす。

 

「クリティカルはヴァンガード! パワーはアロンダルへ!」

 

躊躇することなく、宣言するヒカル。

リョウマが「ぐっ……!」と声を漏らす。

 

一気に、3枚のカードがダメージに置かれた。

 

 

パラディウムジール・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― 辛苦を乗り越え、勝利を掴め。

 

 

強壮の賢者 ストグロン

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「ソルレアロン」を含むユニットにライドされた時、あなたのソウルから「霊薬の賢者 エリロン」を1枚選び、そのカードとこのカードを(R)にコールする。

【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、【コスト】[このユニットを退却させる]ことで、【カウンターチャージ】(1)。』を得る。

― 静かな智は、何にも届せぬ力となるのだ。

 

 

感興の学士 インティラス

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが山札から(R)に登場した時、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

― 知識に果てはないから。少年は日夜、研鑽を重ねる。

 

 

リョウマ ダメージ2→5

 

 

「こ、こんな、馬鹿な……!!」

 

信じられないといった様子のリョウマ。

一気に、形勢が不利になった。

 

ヒカルが指を伸ばす。

 

「ブリギッドでヴァンガードにアタック! スキルでさらにパワー+5000!」

 

 

蒼炎の魔術師 ブリギッド

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。

【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。

 

 

魔法の炎を操る、高位の女魔術師。

絵の中の青い炎がうねるように、向けられる。

 

 

蒼炎の魔術師 ブリギッド パワー43000

 

 

「ガード! さらにインターセプト!」

 

必死な様子のリョウマ。

3枚ものカードを使い、ガードする。

 

 

豪胆の騎士 サウェル

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 豪快に、行くぜ!

 

 

ブレードフェザー・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― この翼は飛ぶ為だけにあるのではない。

 

 

実証の学士 ピリック

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - エルフ 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『ブースト』を得て、パワー+5000。

― 臨床実験に移りましょう。

 

 

息をきらしているリョウマ。

ヒカルが目を細めて──

 

「アロンダルで、ヴァンガードにアタック!」

 

容赦なく、宣言した。

 

 

静寂の騎士 アロンダル パワー48000

 

 

「ぱ、パワー、48000!?」

 

絶句したような声のコウノスケ。

ヒカルが山札に手を乗せる。

 

「さらにブーストしたフフプリのスキルで、ソウルチャージ!」

 

 

精製の魔法 フフプリ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、【ソウルチャージ】(1)してよい。

― 効果は抜群。飲むのに少しばかりの勇気があるが。

 

 

カードをソウルに置くヒカル。

見下したように、リョウマの方を見る。

 

真っ青な顔で──

 

「が、ガードだ!!」

 

リョウマが、叫んだ。

1枚のカードが、場に投げ出される。

 

置かれたのは──

 

 

栄典の光竜神 アマルティノア

トリガーユニット 【超】

(オーバートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー5000 / シールド50000 / ☆1

(【超】トリガーはデッキに1枚だけ入れられる。トリガーで出たら、そのカードを除外し、1枚引き、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+1憶!ドライブチェックで出たら、さらに追加効果が発動!)

追加効果-そのターン中、あなたはリアガードがアタックしたバトルでもドライブチェックを行う!

― 数多の英雄が時代を創り、万余の栄華を歴史に刻む。

 

 

「ハハハッ、オーバートリガー持ってたの?」

 

笑い声をあげるヒカル。

馬鹿にしきった目を向ける。

 

「なら、イマジンセイバーのアタックをガードしなくちゃ。やっぱあんた、大したことないね」

 

一連のプレイを指摘するヒカル。

リョウマの顔が一気に赤くなった。

 

「て、てめぇ! 絶対に許さねぇ!」

 

睨みつけているリョウマ。

ヒカルが手札を片手に、笑う。

 

「なら、勝ってみせなよ! ターンエンド!」

 

挑発するような声色。

ちらりと、青い瞳をミコトの方へ向ける。

 

手を伸ばして──

 

「俺のターン!!」

 

叫ぶように、リョウマがカードを引いた。

僅かに残った手札3枚。

 

その中の1枚を構えて──

 

「ペルソナライドォ!!」

 

ヴァンガードのカードが、重なった。

 

 

天道の大賢者 ソルレアロン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。

― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!

 

 

「お前だけは絶対に潰す!! ディペンダブルピアース・ドラゴンをコール!!」

 

手札の中の1枚。

金色の竜のカードを、乱暴に場に置く。

 

 

ディペンダブルピアース・ドラゴン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。

― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。

 

 

「スキルで手札のピリックを公開!! 1枚引き、そのまま山札の上に置く!!」

 

 

実証の学士 ピリック

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - エルフ 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『ブースト』を得て、パワー+5000。

― 臨床実験に移りましょう。

 

 

カードを見せつけるリョウマ。

山札から1枚引くと、カードを上に戻す。

 

「ま、また、カードを仕込んだ!」

 

声をあげるマドカ。

リョウマが腕をかざす。

 

「さらにバトルフェイズ開始時、ソルレアロンのスキル発動!! ノーマルユニットを宣言し、ピリックを公開!! 全てのユニットのパワー+5000!!」

 

 

天道の大賢者 ソルレアロン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。

― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!

 

 

まるで吠えるかのような声。

ヒカルが息を吐く。

 

「無駄なあがき……」

 

憐れむように、小声で言うヒカル。

リョウマがカードを動かした。

 

「ディペンダブルピアース・ドラゴンで、ヴァンガードにアタック!! スキルでさらにパワー+5000だ!!」

 

 

ディペンダブルピアース・ドラゴン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。

【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。

― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。

 

 

横になる金色の竜のカード。

強力な攻撃。合計パワー33000。

 

必死になっているリョウマ。

 

「ガードとインターセプト」

 

余裕の表情で、ヒカルがカードを出した。

 

 

天音の楽士 アルパック

トリガーユニット【前】+10000

(フロントトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エルフ 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。

― 苦しい時は、英気の音色で心を支えて。

 

 

蒼炎の魔術師 ブリギッド

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。

【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。

 

 

あっさりと攻撃を防ぐヒカル。

金色の竜がソウルに置かれ、姿を消した。

 

ばんと、リョウマがカードに手を乗せる。

 

「ソルレアロンでヴァンガードにアタック!!」

 

熱くなっているリョウマ。

怒りに燃えながら、カードを動かす。

 

「スキル発動!! 山札の上からピリックをコールし、さらにもう1枚を山札の上へ!!」

 

 

天道の大賢者 ソルレアロン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。

― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!

 

 

「また、カードを山札の上に!」

 

リョウマの行動を見て、不安そうに言うマドカ。

おろおろと、ヒカルの方を見る。

 

フッと、ヒカルが笑って──

 

「完全ガード」

 

迷いなく、1枚を場へと出した。

 

 

アイジスメア・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― この痛み……私が全て引き受けましょう。

 

 

「ぐっ!!」

 

露骨に悔しそうな表情を浮かべるリョウマ。

だがすぐに首を振ると、ヒカルを睨む。

 

素早く、リョウマがカードを表にした。

 

「ドライブチェック! 1枚目、クリティカルトリガーだ!」

 

 

ブレードフェザー・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― この翼は飛ぶ為だけにあるのではない。

 

 

先程戻していた1枚。

リョウマがヴァンガードの横のカードを見る。

 

「効果は全て、ディペンダブルピアース・ドラゴンへ! セカンドチェック!」

 

さらにカードをめくるリョウマ。

仕込みのない、未知の1枚。祈るような目。

 

カードが表になって──

 

「──クリティカルトリガー!!」

 

リョウマが、喜びの声をあげた。

 

 

豪胆の騎士 サウェル

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 豪快に、行くぜ!

 

 

「だ、ダブルクリティカル!?」

 

悲鳴のような声を出すマドカ。

コウノスケが感動したように両手をあげた。

 

「す、素晴らしい! さすがは兄者! 天は我らが味方であったか!」

 

あがる歓声。勝利の確信。

リョウマが得意そうに、宣言する。

 

「効果は全て、ピリックへ!!」

 

ヴァンガードの横。

生真面目そうな学者のカードを指差す。

 

ヒカルは黙って、その姿を眺めている。

 

「エリロンのブースト、ピリックでヴァンガードにアタックだ!!」

 

力強くカードを動かすリョウマ。

鋭い視線を、ヒカルへと向ける。

 

「残り手札3枚で、この攻撃が防げるか!!」

 

 

実証の学士 ピリック パワー53000 ☆2

 

 

強力なパワー。クリティカルは2。

普通ならば、防ぐことは難しい攻撃。

 

だが──

 

「ガード」

 

あっさりと、ヒカルがカードを場に出した。

目を見開くリョウマ。置かれたのは──

 

 

栄典の光竜神 アマルティノア

トリガーユニット 【超】

(オーバートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー5000 / シールド50000 / ☆1

(【超】トリガーはデッキに1枚だけ入れられる。トリガーで出たら、そのカードを除外し、1枚引き、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+1憶!ドライブチェックで出たら、さらに追加効果が発動!)

追加効果-そのターン中、あなたはリアガードがアタックしたバトルでもドライブチェックを行う!

― 勇気と共に奮い立て。誰もが英雄たり得るのだから。

 

 

「お、オーバートリガー!!」

 

口をあんぐりと開けているマドカ。

リョウマが憎々しげに、叫ぶ。

 

「てめぇ、そんなもん持ってたのか!!」

 

ヒカルを指差すリョウマ。

見下した目を向け、ヒカルが笑みを浮かべた。

 

「あたしは、あんたと違って、ちゃんと考えたうえで、攻めてるんだよ」

 

馬鹿にしきった声。

リョウマがさらに、怒り狂う。

 

ばんっと大きな音をたてて──

 

「ディペンダブルピアース・ドラゴンで、ヴァンガードにアタック!!」

 

リョウマが叫び、カードを動かした。

ヒカルを見据えて──

 

「消えろ、女風情がぁぁぁ!!」

 

凄まじい雄たけびを、リョウマがあげた。

びりびりと、空気が震える。必死の叫び。

 

 

ディペンダブルピアース パワー56000

 

 

迫りくる竜の攻撃。

ゆっくりと、その指がカードをはさんで──

 

「完全ガード」

 

ヒカルが、カードを場に出した。

 

 

アイジスメア・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― この痛み……私が全て引き受けましょう。

 

 

「なっ、あっ……!?」

 

理解できないように、声を出すリョウマ。

ヒカルが手札の1枚を掲げる。

 

「あたしの手札は1枚だから、コストでカードは捨てない」

 

ひらひらと、カードを揺らしているヒカル。

急速に勢いを失うリョウマに向かって──

 

「言ったでしょ。考えてるって」

 

ヒカルが、不敵に微笑んだ。

真っ青になっていくリョウマの顔。

怯えたように、その目を見開く。

 

にやりと笑って──

 

「あたしのターン!」

 

ヒカルが、カードを引いた。

最後まで残っていた手札の1枚。

 

流れるように、その手が動き──

 

「ペルソナライド!!」

 

神々しい竜の姿が、重なった。

 

絶望の表情を浮かべるリョウマ。

ヒカルがクレストのカードを、掴む。

 

「イマジンセイバーのスキル! ペルソナライドした時、あたしは場の誓いのクレスト1枚を選んで戻す!」

 

 

青の誓い

クレスト/誓い

永:あなたは青の力を得る。

(青とはイメージの色である)

 

 

「な、に……?」

 

呆然と、呟くリョウマ。

ヒカルが白い兎のスリーブのカードを戻した。

 

カードの束を広げて──

 

「そして、新たなクレストを1つ得る!」

 

ヒカルの青い瞳が、神々しい竜を見据えた。

 

 

イマジンセイバー・ドラゴン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、イマジナリーギフトを1つ得る。(色に応じたギフトを得る)

【自】:このユニットがペルソナライドして登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[「誓い」のクレストを戻す]ことで、あなたは「誓い」のクレストを1つ得る。

【永】【(V)】:このユニットがアタックしたバトル中、パワー+10000。

― 神聖なる竜の光が、失われた奇跡を呼び覚ます。

 

 

「誓いの、変更……!?」

 

マドカの声。沈黙しているミコト。

ヒカルが新たな1枚を選び、表にする。

 

「あたしは《黄の誓い》を獲得!」

 

 

黄の誓い

クレスト/誓い

永:あなたは黄の力を得る。

(黄とはイメージの色である)

 

 

「そしてイマジンセイバーの登場時スキル! 色に応じた力を得る! あたしが選ぶのは──」

 

カードを掴むヒカル。

白い兎のスリーブのカードが場に置かれ──

 

「イマジナリーギフト アクセルⅡ!!」

 

ヒカルが高らかと、宣言した。

 

 

イマジナリーギフト アクセル

獲得時、このマーカーを新たな前列(R)として置き、1枚引く。あなたのターン中、そこにいるユニットのパワー+5000!(最初は左前列(R)の左に増え、次は右前列(R)の右に増える。以降、左右交互に増える)

 

 

リアガードサークルのさらに横。

黄色の紋章が展開され、その効力を発揮する。

 

「バカな……! 新たなリアガードサークルを、展開する、だと……!」

 

よろめいているリョウマ。

ヒカルがカードを引き、1枚を手に取る。

 

「ブリギッドをコール! スキルで、山札からティルフィングをアクセルサークルにコール!」

 

 

蒼炎の魔術師 ブリギッド

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。

【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。

 

 

カウンターブラストを支払うヒカル。

山札から1枚、アクセルサークルへと置く。

 

 

聖誓の騎士 ティルフィング

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - ヒューマン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【永】【山札】:このカードのグレード-2。

【永】【(R)/(G)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、このユニットのパワー+10000し、このユニットは『インターセプト』を得て、シールド+5000。

― 竜すら屠る、至高の剣技。

 

 

現れる白髪の青年騎士の姿。

ヒカルの前列に、カードが4枚並んだ。

 

「そしてインペリアル・エンジェルのスキルで、前列4体のパワー+5000!」

 

 

インペリアル・エンジェル

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【起】【(R)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(2)]することで、あなたの前列のユニットすべてのパワー+5000。

【永】【(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。

― 赤い翼の天使は、戦場の全てを鼓舞する。

 

 

ソウルを抜き取るヒカル。

ペルソナライドと併せた、パワーの上昇。

 

「そんな、そんなバカな……!!」

 

手札を見ながら、呟くリョウマ。

残りの手札は4枚。到底、防ぎきれない。

 

ヒカルが、静かにカードに指をのせて──

 

「イマジンセイバーで、アタック!!」

 

鋭い声が、その場に響き渡った。

聖域に住まう、神々しくも美しい竜。

 

その青い瞳が、侵入者へと向けられる。

 

 

イマジンセイバー・ドラゴン パワー51000

 

 

「うっ、ああっ、うわああああ!!」

 

リョウマの口から悲鳴があがった。

怯え切った表情。甲高い声。手札が落ちる。

大きく、その目が見開かれて──

 

デッキの上のカードが、表になった。

 

 

天道の大賢者 ソルレアロン

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - ジャイアント 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。

― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!

 

 

リョウマ ダメージ5→6

 

 

最後の1枚が、ダメージに置かれる。

しんと、辺りが静まり返った。

 

「ば、馬鹿な。兄者が……!?」

 

愕然としているコウノスケ。

リョウマはがっくりと、膝をついている。

 

「ば、化け物だ……!」

 

呆然と呟くリョウマ。

震えている身体。恐怖に怯える姿。

 

ヒカルが息を吐いた。

 

「ふん。やっぱ、大したことないね」

 

つまらなさそうに言うヒカル。

カードを片付け、学ランの集団に目を向ける。

 

金色の髪が揺らいで──

 

「用は済んだでしょ。消えな、今すぐ」

 

低い声で、ヒカルがそう言い放った。

鋭い殺気に、冷酷な目。空気が震える。

 

風が吹いて──

 

「う、うわああああああ!!」

 

情けない声をあげて、

少年達が一目散にその場から去って行った。

 

陽は沈み、辺りは暗くなりはじめている。

 

「……ヒカル」

 

残された3人。

ミコトが、なんとか口を開いた。

 

「お願い、話しを、聞いて。私、私は……!」

 

マドカに支えられながら、

苦しそうに言葉を紡いでいるミコト。

 

ヒカルがため息をついた。

 

「もう、いいよ」

 

諦めたような声色。

ミコトの言葉が、途切れた。

 

ヒカルが目を細める。

 

「あんた、終わってるみたいだから。しらけちゃったし、これ以上関わる気もない」

 

淡々とした口調。

ミコトが目を見開いた。その表情が凍りつく。

 

「おい、お前!」

 

マドカの方を向くヒカル。

びくりと、マドカが震えた。

 

「えっ!? は、はい!?」

 

「朝のカード。よこせ」

 

手を伸ばしているヒカル。

ハッとなって、マドカがカードを取り出した。

 

ヒカルが、カードを掴んで──

 

「ほら、あんたのだよ」

 

ミコトに、差し出した。

 

 

天弓の騎士 ベイス

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。

 

 

息を詰まらせているミコト。

震える手で、カードを受け取る。

 

ざわざわと、周りの木々が音をたてて──

 

「じゃあね。もう会うことはないけど」

 

ヒカルが、視線を逸らした。

背を向けるヒカル。そのまま、歩き出す。

 

「待って! ヒカル!」

 

呼び止めるミコト。右手を伸ばす。

その態勢が崩れ、倒れそうになった。

徐々に遠くなるヒカルの姿。そして──

 

ヒカルが、公園から去っていった。

 

「うっ……うぅっ……!」

 

再び、泣き始めるミコト。

横で支えるマドカが、心配そうに見つめる。

 

「氷川さん……!」

 

むなしく、その言葉は響いて消える。

悲しみの音。二人きりの公園。

 

空に浮かぶ月が、二人の姿を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い色が、目の前に広がる。

 

どこまでも続く不可思議な空間。

記憶の海。全てが飲み込まれた場所。

 

独りぼっちの空間に、私は立っている。

 

「…………」

 

白い色の中に、漂っている私。

呼吸をした。ゆっくりと、息を吸って、吐く。

 

どうすればいいのかは、分かっている。

 

この場所にきたその日から、

それは分かり切った事だった。

ただ、気付かない振りをしていただけ。

 

「…………」

 

もう一度、息を吸って吐く。

頬を涙がつたった。胸が苦しくなる。

ぎゅっと、手を握った。勇気を振り絞る。

 

「……ヒカル」

 

白い空間に、言葉が波打つ。

金色の光が、一瞬、目の前を横切った。

息を吐いて──

 

振り返った。

 

かすかな、花の香りがした。

思い出の匂い。一番好きで、一番嫌いな匂い。

 

白い空間の中に──

 

「ようやく、こっちを向いてくれたね!」

 

明るい声が、響いた。

 

黒く、長い髪の少女が立っている。

ブレザーを着た姿。はつらつとした雰囲気。

輝くような笑顔を、少女は浮かべている。

 

「久しぶり、私のカワイイ後輩!」

 

最期に聞いたのと、全く同じ声色。

慈しむように、少女は私の事を見つめている。

 

思い出の姿。永遠に忘れられない存在。

 

「……ツキちゃん」

 

少女を見ながら、私は呟く。

どこまでも続く、白い空間。記憶の海。

御導(みどう)ツキ。彼女こそが本物の──

 

ルーンシャトーだ。

 






俺のカードを見ろ!

〔ホラ貝を吹く音〕

三峯ヒカルよ。
なにここ? カードの紹介?
ウザいんだけど。はぁ? お願い?
あーもう、めんどうくさいわね。
いいわ、とっとと終わらせてあげる。
《イマジンセイバー・ドラゴン》でいいわね。


〔ドドン!〕


イマジンセイバー・ドラゴン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、イマジナリーギフトを1つ得る。(色に応じたギフトを得る)
【自】:このユニットがペルソナライドして登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[「誓い」のクレストを戻す]ことで、あなたは「誓い」のクレストを1つ得る。
【永】【(V)】:このユニットがアタックしたバトル中、パワー+10000。
― 神聖なる竜の光が、失われた奇跡を呼び覚ます。


イマジンセイバーはイメージを司る竜。
ケテルサンクチュアリの奥深く、
失われた聖域を守っている神聖なる竜よ。

特徴はなんといっても、
誓いの色に応じて得られる能力が変わる事。
フォース、アクセル、プロテクト。
相手に合わせて、戦術を切り替えていくわ。
さらにペルソナライドすることで、
途中でそれらをスイッチすることもできるの。

ふん、こんなものでいいでしょ。
あと、言っておくけど、別にあんた達のために
説明した訳じゃないから。勘違いしないでね。

〔ふすまの閉じる音〕

つづく?
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