カードファイト!! ヴァンガード LunaLight 作:バビロン@VG
白い色が、目の前に広がる。
どこまでも続く不可思議な空間。
記憶の海。全てが飲み込まれた場所。
独りぼっちの空間に、私は立っている。
「…………」
白い色の中に、漂っている私。
上なのか、下なのか、分からない。
ただ真っ直ぐに、前を向けている。
ふわりと、花の香りがして──
「ねぇ、ミコト」
私の後ろから、声が響いた。
穏やかで、優しい声。思い出の音。
静かに、私は首を振る。
「……やめて」
小さい声が、白い色の中に溶ける。
穏やかな空間の中に、音が波打った。
「私、諦めたくなかったんだけどなぁ……」
どこまでも透き通るような声。
明るくて、綺麗で、光輝いている。
私はゆっくりと息を吸って、吐いた。
口を開く。
「……やめて!」
お願いするように、私は呟いた。
その声は自分でも分かるくらい、震えている。
白い空間に、黒い線が混ざる。
背後からの声は続く。
「……やっぱり、勝てなかったね」
どこか諦めを感じさせる言葉。
だがすぐに、明るい声が響いた。
「ううん、違うか。ミコトが、強くなったんだね! もう、私よりも!」
かすかな笑い声。柔らかな息遣い。
記憶の断片が、目の前で再現されていく。
頭を抱えて──
「お願いだから、やめてッ!!」
私の声が、白い空間にこだました。
目からこぼれる涙。嗚咽がこみあげる。
きーんという耳鳴り。痛みが走って──
目の前に、白い空間が広がった。
記憶の中を漂う私。耳鳴りが消える。
「ねぇ、ミコト」
背後から呼びかける声。
さっきまでと同じ、穏やかな音。
泣いている私に向かって──
「辛かったら、いつでもおいで」
どこまでも優しく、その声は話した。
ハッとなって、息を呑む。涙が止まった。
「…………」
気が付けば、私はまた一人になっていた。
背後からの声は消え、何も聞こえなくなった。
心安らぐ静寂が、訪れている。
白い空間は、どこまでも続いていた……。
「はぁ……」
青い空。朝の通学路。
日枝マドカが、小さくため息をついた。
「今日は月曜日……辛い、帰りたい……」
ぼやいているマドカ。
薄茶色の髪を揺らし、歩き続ける。
「ソラとも映画行けたし、これでユウコとトモエも許してくれるだろうけど……。でも、どうしてあんなに怒ってたんだろう……?」
先週の出来事を振り返るマドカ。
チケットを渡したときの反応が蘇った。
『マジで言ってるの、マドカ? いやいや、ありえないから。早く返して、二人で行きなさい!』
『ユウちゃん、これが勝ち組の余裕ってやつなんだね。怒りを通り越して、私は悲しいよ』
散々な言われよう。
マドカが「うぅ」と声を漏らして、肩を落とす。
「やっぱり、分かんない。まさかこんな所にまで、世界の謎があっただなんて……」
再び、ため息をつくマドカ。
とぼとぼと一人、通学路を進んでいく。
「まぁ、でも、しょうがないよね……。よし! 今週もがんばらないと!」
気合いを入れ直すマドカ。
首を振ると、胸を張って足早に歩き始めた。
校門の近くまで差し掛かった時──
「おい」
唐突に、マドカの横から声がした。
視線を向けるマドカ。思わず、ぎょっとする。
長い金色の髪が、マドカの目に映った。
短いスカートに、着崩した別の高校の制服。
耳にはピアス。目付きの悪い目。青い瞳。
柄の悪い少女が、そこには立っている。
(ふ、不良だ!!)
心の中、マドカが悲鳴のような声をあげた。
後ずさるマドカ。怯えた表情。
少女がじっと、マドカを見つめた。
「…………」
威圧的な雰囲気。不機嫌そうな表情。
沈黙に耐え切れず、マドカが口を開く。
「あ、あの、何か……?」
ゆっくりと話すマドカ。
背の高い少女を、上目遣いに見る。
少女が口を開いて──
「あんたが、日枝マドカ?」
興味なさそうに、訊ねた。
「!!」
名前を呼ばれ、凍り付くマドカ。
ぐるぐると、頭の中を考えが渦巻く。
(なになになに!? なんで私の事知ってるの!? ていうか、本当に、この人誰!?)
恐怖と混乱。震えている身体。
困惑しているマドカの姿を見て、
少女が肯定の返事と受け取った。
「あたしは三峯(みつみね)」
鋭い口調。
ピンク色のスマートフォンを取り出す。
「これ、あんただろ?」
マドカに向けて、画面を見せる少女。
ぴんぼけした写真。マドカの姿。
マドカの血の気が引いた。
「あ、あの……! それ、違くて……!」
慌てて誤解を解こうとするマドカ。
だが──
「別に、あんたに興味ねえよ」
見下すように、少女が冷たく言った。
今までとは違う反応に、驚くマドカ。
少女が顔を近づけて──
「これやったの、氷川ミコトだろ」
刺々しい口調で、そう言い放った。
マドカが目を見開く。
「えっ!? なんで知って──」
思わず聞き返そうとするマドカだったが、
「やっぱ、そうか」
少女が鋭い口調のまま、そう言った。
マドカが「あっ」と声に出す。
(し、しまった。認めちゃった!)
誘導にまんまと引っかかったマドカ。
どぎまぎとして、少女の反応を待つ。
少女が目を閉じた。
何かを考えているようなそぶり。
やがて、息を吐くと──
「ミコトに、これを渡せ」
少女が、1枚のカードを差し出してきた。
ボロボロになっている、一枚のカード。
金色の髪の少年が、そこには描かれている。
天弓の騎士 ベイス
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エンジェル
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。
「えっ、えっ、えっ?」
困惑しているマドカ。
訳も分からずに、カードを受け取る。
少女が鋭い目を向けた。
「それと、ミコトに伝えろ。今日の17時、あの公園に来いって。あたしの名前を出せ」
冷たい声。漏れ出る殺気。
異様な迫力に、マドカの身が縮こまる。
「あ、あの、あなたは一体……!?」
おそるおそる、訊ねるマドカ。
少女が不機嫌そうに、舌を鳴らした。
「それ、あんたに関係ある?」
有無を言わさぬ口調。
マドカが「うぅっ……!」と押し黙る。
しばしの沈黙の後、少女が口を開いた。
「……あんた、ミコトの友達?」
突然の質問。マドカがびくりと震える。
青い顔のまま、なんとか頷いた。
「えっと、多分、そう、です……」
自信のない声で答えるマドカ。
少女の瞳がわずかに揺れた。
「なら、忠告しておくよ。あいつとは関わらない方がいい」
静かに、断言する少女。
ぎょっとして、マドカが顔をあげた。
「ど、どういう意味ですか……!?」
震えながら、そう聞くマドカ。
少女がマドカを見据える。
「そのまんまの意味だよ。あいつ、最低の女だから。関わらない方がいい」
「なっ……!」
少女の物言いに、マドカが声を詰まらせた。
怯える気持ちの代わりに、怒りがこみあげる。
だが──
「なに、なんか言いたいことでもあんの?」
脅すように凄む少女の声で、
マドカの怒りはすぐに萎んでいった。
顔を伏せ、黙り込んでしまうマドカ。
少女が背を向けて──
「じゃあな。ちゃんと伝えろよ」
目の前から、少女が去って行った。
残されたマドカ。手元に残ったカードを見る。
「……なに、今の?」
ぽつりと、呟く。
心の中、あらゆる感情と疑問が渦巻いている。
青い空に、薄い雲が立ち込めていた……。
マドカが教室の扉を開けた。
がやがやと、騒がしい室内。多くの話し声。
生徒達はそれぞれ、挨拶を交わしている。
「おはよ、マドカ」
ユウコが軽く手をあげた。
その横で、トモエが首をかしげる。
「ん? マドちゃん、どうしたの?」
顔色の悪いマドカに、トモエが気が付いた。
不思議そうな目。マドカが首を振る。
「……ううん、なんでもない」
沈んだ声で答えるマドカ。
教室に目を向けると、気が付く。
「あれ? 氷川さんは……?」
教室の後ろ、ミコトの席を見つめるマドカ。
席には、何も置かれていない。
「そういえば、来てないね」
ユウコが同じく、空の席に目を向けた。
トモエが口元に指をあてる。
「ミコちゃん、体調不良?」
首をかしげるトモエ。
そうこうしている内に、予鈴が鳴った。
教室の扉が開き、担任の教師が入ってくる。
「はーい、ホームルームやるわよ。席座って」
生徒達へと呼びかける教師。
がやがやと、生徒達がそれぞれの席に座った。
マドカもまた、自分の席に着く。
教室の中が、静かになった。
「今日は氷川と高城が体調不良でお休みね」
フリップボードを片手に、教師がそう言った。
マドカがぎょっとして、驚く。
(え、氷川さん、休み!?)
先程の少女を思い出す。
絶対に伝えろと言われた伝言。預かったカード。
だが、肝心のミコトは、いない。
「……うぅ」
小さく、マドカがうめいた。
事態はどんどん、悪い方向に進んでいる。
暗い気持ちのまま、授業が始まった。
時間が流れて──
「はぁ……」
お昼休みの教室。マドカがため息をついた。
机に突っ伏しているマドカ。沈んだ雰囲気。
ユウコが、呆れたような目を向ける。
「なに、また日常嫌悪症が出てるの?」
訊ねるユウコ。
その横のトモエが「うーん」と唸った。
「今日のは、違う気がするなぁ」
じっと、マドカを観察しているトモエ。
ユウコの方を向く。
「マドちゃん、いつもより深刻な感じ。背後にはきっと、大きなトラブルがあるはず」
真剣に話しているトモエ。
ユウコが頷いた。
「確かに、今日は授業中も全然集中してなくて怒られまくってたもんね。いつもより酷いかも」
うんうんと、納得するユウコ。
トモエがマドカの顔を覗き込んだ。
「ねぇ、マドちゃん、大丈夫?」
心配そうな声のトモエ。
マドカが顔を向けた。
「……あのさ、トモエ。氷川さんの連絡先って分かったりする?」
暗い顔のまま訊ねるマドカ。
トモエが不思議そうに、首をかしげた。
「ミコちゃんの? なにかあったの?」
「えっと……伝えたいことと、渡したい物があるの。それもできるだけ早く」
言い難そうに話すマドカ。
トモエが僅かに目を細める。
「マドちゃん、何か隠してる?」
問い詰めるような口調。
トモエの射抜くような視線が、マドカに向く。
「いや、それは……」
言葉を濁すマドカ。
今朝の出来事を話していいものか、迷う。
トモエがスマホを取り出した。
「一応、ミコちゃんの連絡先なら、アプリで交換しあってるから分かるよ」
「えっ、本当!?」
驚くマドカ。
心の中で、あの氷川さんが、
連絡先を交換してくれたの!?と衝撃を受ける。
トモエが、得意そうに胸を張った。
「ミコちゃん、ちょっと嫌そうだったけど、交換しないとこの場で泣きわめいてやるーって言ったら、渋々交換してくれたよ」
どや顔のトモエ。
マドカとユウコの表情がひきつった。
「そ、そうなんだ……」
「思ったよりヤバい経緯だったわね……」
小声で話す二人。
トモエがスマホを操作する。
「それで、なんて送ればいいの?」
「あっ、えっとね。17時に公園に来てって」
マドカの言葉をそのまま打ち込むトモエ。
ミコトからの返信を待つ。
「それと、渡すものって?」
トモエの疑問。
マドカがカードをデッキケースから取り出した。
「えっとね、これ」
カードを机の上に置くマドカ。
ボロボロの一枚を、三人が見た。
天弓の騎士 ベイス
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エンジェル
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。
「なにこれ?」
しげしげとカードを見ているユウコ。
カードを指差す。
「これって、珍しい奴なの?」
ヴァンガードに詳しくないユウコが訊く。
マドカが首を振った。
「全然。一般に流通してるやつ」
「ふーん。てか、凄いボロボロじゃない?」
カードを見ながら、ユウコが言う。
確かに、それは非常に状態が悪い一枚だった。
角の折れ。絵の一部の剥がれ。変色。傷。
古いカードなのを差し引いたとしても、
ここまでボロボロな状態は珍しかった。
「こんなカード渡して、どうする気なの?」
マドカの方を見るユウコ。
慌てて、マドカが手を振った。
「あ、私じゃなくて、違う人から頼まれたの」
「違う人? 誰なのよ?」
「いや、私も知らないんだけど……」
ごにょごにょと小さくなるマドカの声。
ユウコがますます不審そうにマドカを見る。
「とりあえず、写真送っておいたよ」
スマホをいじっているトモエ。
興味深そうに、その瞳が揺れる。
「それで、その謎の人物って誰なの?」
目を輝かせているトモエ。
観念したマドカが、両手を広げた。
「朝、いきなり話しかけてきた人。違う高校の制服着た女子で、すごい金髪。ヤンキーみたいな見た目の子」
端的に話すマドカ。
トモエがふんふんと頷く。
「なるほどね~。名前とか聞いてないの?」
何気ない質問。
マドカが「あっ」と声を出した。
「そうだ、言ってた。三峯って子」
別に、大した事のない情報。
そう思いながら、発言するマドカ。
だが──
「三峯?」
トモエが大きく、目を見開いた。
凍り付いたような表情。言葉を失う。
「……トモエ?」
思わぬ反応に、戸惑うマドカ。
ユウコもまた「どしたの?」と訊ねる。
ゆっくりと、トモエが息を吐いた。
「その人、確かに、三峯って名乗ったの?」
いつになく、真剣な表情。
マドカが頷く。
「そ、そうだけど。どうしちゃったの、トモエ。ちょっと怖いよ……」
不安そうなマドカ。
トモエが目をつぶって、首を振った。
「マドちゃん。大事なお願いを聞いて」
マドカを見据えるトモエ。
語り掛けるように、話す。
「これから先、その人とは絶対に会っちゃダメ。もう二度と関わらないで。お願いだから」
「えっ、それ、どういうこと……!?」
ますます混乱するマドカ。
ユウコもまた、理解できない様子でいる。
二人に向かって──
「三峯は、この辺りだと有名な不良。数年前に暴力事件を起こしてる、危険人物だよ」
トモエが、静かにそう話した。
マドカが目を見開く。
「……えっ?」
暴力事件。おおよそ日常では聞かない言葉。
それも被害者側ではなく、加害者側。
トモエが続ける。
「正確には、相手の子が被害届を出さなかったから、事件にはなってないらしいけど、目撃者はたくさんいる。被害届が出なかったのも、相手を脅したからって噂」
「ちょ、ちょっと、そんな危険なやつなの!?」
声をあげて驚いているユウコ。
トモエがこくりと頷く。
「この辺りだと、絶対に関わっちゃいけない子。ファイターなんだけど、ほとんどのカードショップで出禁になってるらしいよ」
淡々と話すトモエ。
ユウコが心配そうに、マドカの方を向く。
「……マドカ?」
呼びかけるユウコ。
マドカがハッとなって、顔をあげる。
「う、うん。大丈夫……」
震えているマドカ。
恐怖からか、自分を抱きしめる。
「ちょっと驚いたけど……。それに、用があるのは私じゃなくて、氷川さんの方って話してたから……」
「そ、そっか」
一瞬、ホッとするユウコ。
だがすぐに、気が付く。
「てか、それだと氷川さんがヤバいじゃん!」
ばっと、トモエの方を見るユウコ。
スマホを見ているトモエ。その表情は暗い。
「既読がついて、返信もきた。『事情は分かりました。あとは私が対応します』だって」
二人に画面を向けるトモエ。
そっけない文章が、そこには表示されている。
「氷川さん、大丈夫なの? 相手がその危険な不良ってちゃんと分かってる?」
顔色悪く話すユウコ。
トモエは素早く、文字を打ち込んでいる。
「今、伝えてる」
集中した様子のトモエ。
メッセージを送ると、短く息を吐いた。
一瞬の間。返事が来る。
「『知ってます。私は大丈夫です』……」
返事を読み上げるトモエ。
三人の間に、沈黙が流れた。
「……どうするの?」
おもむろに、訊ねるユウコ。
トモエが首を振る。
「心配だけど、これ以上は私達にはできないよ。一緒に行こうにも、公園だけじゃどこの公園かも分からないし……」
顔を伏せているトモエ。
カードを見つめながら、マドカは黙っている。
「ねぇ、マドちゃん」
呼びかけてくるトモエ。
マドカが「えっ」と言い、トモエの方を向く。
「な、なに、トモエ?」
「……さっきの約束、守ってね」
どこか強張った声を出すトモエ。
その瞳が潤んで、泣きそうになる。
「危ない事、しないで。もしマドちゃんの身に何かあったりしたら、私、私……」
震える声で話すトモエ。
ユウコがそっと、肩に手を乗せた。
「トモエ……」
心配そうな視線を向けているユウコ。
マドカもまた、トモエの手を握る。
「トモエ、ありがとう。心配しないで、私、そんな危険な事しないから」
微笑むマドカ。
トモエが目元をぬぐいながら、頷いた。
「ありがとう、二人とも……」
いつになく弱々しい様子のトモエ。
マドカとユウコが励ますように、話し続ける。
予鈴が鳴って──
「じゃあ、授業がんばろうね~」
元気になったトモエがそう言って、席に戻った。
普段と変わらぬ様子。二人がホッとする。
「マジな話さ、あとは氷川さんに任せるのが良いと思うよ、マドカ」
小声で耳打ちしてくるユウコ。
そのまま席へと戻っていく。
一人残されたマドカ。机の上のカードを見る。
天弓の騎士 ベイス
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エンジェル
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。
「氷川さん……」
呟くマドカ。頭の中で考える。
今まで何度も、氷川さんは助けてくれた。
態度は冷たいけど、優しい人なのは分かる。
『あいつ、最低の女だから』
三峯の言葉。怖くて言い返せなかったが、
間違ってるのは分かる。あの感じからして、
二人が出会えば穏やかな事にはならないはずだ。
氷川さんが危険かもしれないなら──
(ごめん、トモエ……)
心の中で謝るマドカ。
決意に満ちた目で、カードをケースにしまう。
空には薄い雲が広がり、陽を隠していた……。
夕暮れの公園には、平和な光景が広がっていた。
楽しそうに遊ぶ子供たち。はしゃぐ声。
犬の散歩をしている通行人。ベンチに座る老人。
広々とした公園の中で──
「氷川さん、きてるかな?」
マドカが、きょろきょろと辺りを見渡した。
学校帰りの制服姿。カードを片手に、歩く。
(来てみてなんだけど、本当にここかなぁ……)
自信をなくしつつあるマドカ。
スマホを片手に、先程の推測を思い返す。
(その1、17時という指定から、場所は高校からせいぜい徒歩30分圏内。その2、あのって言ってたから、2人が知っている場所。つまり、昔からある公園。そして、その3──)
ちらりと、手に持ったカードを見るマドカ。
公園の中を進み、"それ"を見つける。
(2人はファイター。カードは挑戦状。つまり、ファイトテーブルが設置されている公園!!)
公園に設置された、ファイトテーブル。
マドカが改めて、スマホに視線を落とした。
(探してみたら、条件に全部合うのはこの公園しかなかった。正直、あってるかどうかも分かんないけど、それでも試してみる価値はある!)
ぐっと手を握っているマドカ。
時刻を確認する。約束の時間まであとわずか。
(うーん、でも……)
やや弱気な表情になるマドカ。
トモエからの警告を思い出す。
『もう二度と関わらないで』
三峯。暴力事件を起こした危険人物。
今朝出会った時の、危ない雰囲気を思い出す。
「と、とりあえず、どこか隠れてようかな……」
隠れる場所を探そうと、辺りを見渡すマドカ。
その後ろから、足音が近づいて──
「おい」
冷たい声が、その場に響いた。
びくりとするマドカ。おそるおそる、振り返る。
金髪の少女が、不機嫌そうな目を向けていた。
「あたし、あんたを呼んだ覚えないけど?」
怒気を含んだ声色。
マドカが一気に緊張する。
(う、嘘!? 本当にきちゃった!?)
推測があたって、驚いているマドカ。
少女がマドカに近づく。
「そのカード」
マドカが手に持っているカードを指差す少女。
目を細めて、マドカを見据える。
「あたし、ミコトに渡せって言ったよね。なんであんたが持ってんだよ」
問い詰める口調。冷たい殺気。
マドカの顔から血の気が引いた。
(や、やっぱり、怖い!)
後悔するマドカ。トモエからの情報を思い出し、
恐怖で身体が震えた。答えを待っている少女。
なんとか、口を開く。
「氷川さん……今日は、学校休みで……」
消え入りそうな、小さな声。
少女が一瞬、ぴくりと反応した。
公園を遊ぶ子供の声だけが、遠くで響く。
「つまり、あいつ、こない訳?」
ゆっくりと、確かめるように少女が話した。
マドカが慌てて両手を振る。
「い、いや、伝えたら、ちゃんと来るって──」
言いかけるマドカ。
少女が大きく、ため息をついた。そして──
ドンッという、鈍い音が響いた。
「ひっ!」
小さく悲鳴をあげるマドカ。
顔を伏せている少女。伸ばされた左腕。
少女に殴られた木が揺れ、葉が落ちる。
「……ふざけてんの?」
顔をあげる少女。
その全身から殺気が溢れる。
「あ、あわわ……!」
頭の中が真っ白になっているマドカ。
自然と涙が浮かび、後ずさる。
少女が一歩、前に出た瞬間──
「……日枝さん?」
戸惑うような声が、二人の間に割り込んだ。
その場で立ち止まる少女。ゆっくり、振り返る。
氷川ミコトが、驚いた表情を浮かべている。
いつもの制服姿。息を切らしているミコト。
顔色悪く、二人の方へと視線を向けている。
「氷川さん!」
安堵した声を出すマドカ。
ミコトは目を丸くして、見返している。
「日枝さん、あなた、どうしてここに?」
いつになく困惑した表情。
マドカがその様子に驚いた。
(氷川さん、なんか、いつもと違う?)
普段の冷たい、孤高の雰囲気とは異なる印象。
あせりと、動揺。そして緊張。悲痛な表情。
弱々しささえ、その姿からは感じられた。
「氷川さん、あの──」
駆け寄ろうとするマドカ。
だが立ち塞がるように、少女が前に出る。
ミコトと少女が、向かい合った。
ミコトよりも、僅かに背が高い少女。
ぎろりと睨みつけている少女に対し、
ミコトは目を逸らし、視線を下に向けている。
長い沈黙が流れて──
「……髪、染めたんだね」
ぽつりと、ミコトがそう口にした。
少女が驚いたように、目を丸くする。
その口元に、見下したような笑みが浮かんだ。
「3年ぶりに会って、言うのがそれ?」
馬鹿にしたような口調。
少女がミコトの顔を覗き込む。
「あんたこそ、随分変わったじゃん。髪、長くしちゃってさ。それにその眼鏡。ハハハッ……」
乾いた笑い声。マドカは緊張したように、
二人のやり取りを見ている。
手を伸ばす少女。
「あたしがあんたをここに呼んだ理由、分かってるでしょ?」
少女の顔から笑みが消えた。
冷たい声。責めるような響き。
ミコトがかすかに身体を震わせる。
「……話を、聞いて」
すがるように、ミコトが言った。
心の底からお願いするような口調。
少女がフッと、息を吐く。
「話しだって? 正直さ、あんたとはもう会いたくないって思ってた。あんたもそうでしょ? だから、関わらないようにしてた」
じっと、ミコトを見つめている少女。
ミコトは目を逸らし続けている。
「だからさ、本当に驚いたよ。あんたがまたヴァンガードやってるって聞いて。それだけじゃない。よりにもよって──」
言葉が途切れる少女。
冷たい殺気。周りの空気が捻じ曲がる。
青い瞳を向けて──
「ツキちゃんのデッキ、使ってるんだって?」
少女の低い声が、その場に響いた。
断罪するような言葉。糾弾の声。
「……ツキちゃん?」
マドカが、呟く。
少女が目を細めた。
「あんたさ、なに考えてんの?」
無表情のまま、少女が訊ねた。
ミコトは顔を伏せたまま、沈黙している。
「ずっと不思議だったんだよ。ツキちゃんのデッキ、どこにいったのか誰も知らないって。まさか、あんたが持ってたとはね」
吐き捨てるような言葉。
その目が鋭く、ミコトを見据えて──
「なんとか言えよッ!!」
少女の大きな声が、公園に響いた。
びくっと震えるミコト。周りの視線が集まる。
「あんた、ツキちゃんのデッキ盗んだわけ!? あんなことしておいて!! それでほとぼりが冷めたら、今度はそれを使う!?」
怒鳴り散らしている少女。
ミコトが、小さく首を振った。
「お願い……話を聞いて……!」
か細い声。懇願の表情。
だが少女は聞き入れず、叫び続ける。
「ふざけんな!! あんた、本当に最低!! どうかしてるんじゃないの!? なんとか言いなさいよ、この──」
掴みかからんばかりの勢い。
慌てて、マドカが止めに入った。
「ま、待って待って!」
必死になるマドカ。
後ろから、少女の腕を抑えようとする。
「チッ、離せよ! 関係ねぇだろ!」
力任せに腕を動かす少女。
凄まじい力。あっさり振りほどかれる。
バランスを崩しながら、マドカが叫んだ。
「氷川さんは、そんなことしないよ!!」
涙を浮かべているマドカ。
二人に向かって、必死に言う。
「カードを盗むなんて、そんなこと絶対にしない! あなたが誰か知らないけど、氷川さんはそんな人じゃないって知ってるもん!」
泣きながら言葉を吐き出すマドカ。
少女が再び舌を鳴らす。
「部外者が、引っ込んでな!!」
凄むようにマドカを見る少女。
キッと、マドカがにらみ返す。
「あなたこそ、一方的なことばかり言って! そんなに言うんなら、そのツキって人に聞けばいいじゃない!」
マドカが指差す。
その言葉に一瞬、少女の表情が凍り付いた。
拳を震わせて──
「ツキちゃんは、とっくに死んだよッ!!」
少女が、叫んだ。
目を見開くマドカと、顔を伏せるミコト。
ばさばさと、鳥が飛び立つ音が辺りに響く。
「……そんな」
呆然と、呟くマドカ。
肩で息をしながら、少女が口を開く。
「ツキちゃんは死んだ。だから、あんたがやった事が許されることは、永遠にない」
ミコトを睨みつけている少女。
疲れたように、息を吐く。
「ふん。何とか言ったら? ツキちゃんの代わりに、あたしが聞いてやるよ。あんたの言い訳」
少女が腕を組み、ミコトを見下ろした。
先程からずっと、顔を伏せているミコト。
小刻みに、その身体は震えている。
「……う」
小さく、その言葉がミコトの口から漏れた。
少女がいぶかしげに眉をひそめる。
その場に崩れ落ちて──
「うああああああああああ!!」
子供のように、ミコトが泣き叫んだ。
その目から、ぼろぼろと涙がこぼれる。
「ひ、氷川さん!?」
マドカが駆け寄った。
地面に座り込んでいるミコト。
嗚咽をあげ、泣きじゃくる。
「ごめんなさい、ごめんなさい……!!」
まるで幼児のように、
その場で謝罪の言葉を繰り返しているミコト。
おろおろと、マドカが戸惑う。
少女が驚愕の表情を浮かべ、後ずさった。
「……なによ、それ」
ぼそりと、呟く少女。
すぐに怒りの形相を浮かべる。
「あたしのせいかよ! 悪いのはあんただろ!」
手を動かして叫ぶ少女。
ミコトは両手で顔を覆い、泣き続けている。
複数の足音が近づいて──
「ハーッハッハッハッ!!」
笑い声が、唐突にその場に響き渡った。
マドカと少女が、視線を向ける。
黒い学生帽をかぶった集団が、現れた。
「えっ、誰……?」
声をあげるマドカ。
集団の中、学ランを着た少年が前へと出る。
「お取込み中に失敬! 私は白鳥(しらとり)コウノスケ。チーム・清陽浪漫(せいようろまん)がリーダー!」
学生帽のツバを片手で持ちながら、
高らかに声をあげる少年──コウノスケ。
少女がぎろりと睨みつける。
「誰だか知らないけどさ、邪魔だから、消えてくんない?」
イラついた声を出す少女。
コウノスケがふんと鼻を鳴らす。
「おぉ! 大和撫子の風上にもおけぬ不良少女だ。まったく、嘆かわしい風紀の乱れよ」
笑い声をあげるコウノスケ。
周りもまた、くすくすと忍び笑いを漏らす。
少女が不愉快そうに目を細めた。
「とはいえ、我らの目的は貴様ではない。用件があるのは、そこな女子(おなご)だ」
気取ったように話すコウノスケ。
地面に座り込んでいるミコトに、視線を向ける。
「お会いできて光栄です、伝説のファイター!」
胸に手を当てながら話すコウノスケ。
にやりと笑みを浮かべる。
「武蔵国最強と謳われた伝説のファイター、ルーンシャトー! その御高名はかねがね伺っております! いやはや、驚きましたよ!」
芝居がかった口調。小馬鹿にした含み。
ミコトを見据えて──
「伝説のファイターがよもや、かように脆き、ただの弱虫の婦女子とはね!!」
大きく、コウノスケが言い放った。
再び周りから上がる笑い声。
ミコトは静かに、泣き続けている。
「ちょっと! 急に出てきて、なんなんのよ、あなた達!」
立ち上がり、怒りの声をあげるマドカ。
コウノスケが肩をすくめる。
「おぉ、こんな所にも不良少女が。実に嘆かわしき事この上なし」
「なっ、私は別に不良じゃ──」
反論しようとするマドカ。
コウノスケが遮る。
「ふん。貴様のような雑魚に興味はない。我らが狙うはルーンシャトーの首、それだけよ」
喉に親指をあてるコウノスケ。
マドカが訊ねる。
「ルーンシャトーの、首?」
ちらりと、ミコトを見るマドカ。
コウノスケが手を広げた。
「然り。武蔵国の伝説であるルーンシャトー。そいつを討ち取ったとなれば、我らがチームにも箔が付くというもの。ゆえに、我らはルーンシャトーを探していたのだよ」
得意そうな顔のコウノスケ。
顔を動かして、再びミコトに視線を向けた。
「だがしかし、目撃情報からようやくたどり着いてみれば、童の如く泣き叫ぶ女子がその正体とは。やれやれ、しょせん噂は噂ということか」
呆れたように話すコウノスケ。
ミコトは泣き続けている。
「とはいえ、かように弱き者であっても伝説は伝説。利用できるうちに、我らが糧となっていただこうではないか!」
コウノスケが周りの少年達に呼びかける。
「おおっ!」と、少年達が一斉に声をあげた。
「ちょっと待って! 何する気!」
コウノスケに詰め寄るマドカ。
やれやれと、コウノスケが肩をすくめる。
「決まっているだろう、ファイトするのだよ」
「なっ! そんなの、できる訳ないでしょ!」
「ふん、関係あるものか。常在戦場。ファイターであれば、勝負に言い訳なぞ不要!」
断言するコウノスケ。
ミコトの前に立つと、見下ろす。
「さぁ、立て! ルーンシャトー!」
呼びかけるコウノスケ。ミコトは応えない。
両手で顔を覆い、泣き続けている。
「まったく、これでは埒があかぬな! いいから立ち上がるのだ、我らのために!」
ミコトの肩を揺らすコウノスケ。
強引に、ミコトを立たせようとする。
「いいかげんにして!!」
突き飛ばすようにして、マドカが間に入った。
キッと、コウノスケをにらみつける。
「よってたかって、恥ずかしくないの! あんた達の方が、よっぽど弱くて、卑怯者よ!」
指を突き付けるマドカ。
ぴくりと、コウノスケが反応する。
「ふん、これはこれは。随分な言い草で。ならばお前が、代わりに挑戦を受けると言うのか?」
「……いいわ。私だって、ファイターよ!」
鞄からデッキケースを取り出すマドカ。
両手で持ちながら、ミコトを守るように立つ。
「……日枝さん」
ぽつりと、ミコトが呟いた。
コウノスケがフッと笑う。
「ということらしいが……どうする? 兄者?」
呼びかけるコウノスケ。
マドカが「え?」と困惑した声をあげる。
学ランの集団の中から、さらに一人前へと出た。
学生帽に学ラン、肩までかかる長い髪。
色白の肌に、端正な顔立ち。不敵な笑み。
マドカを見下ろしながら、口を開く。
「お前が、俺と勝負?」
馬鹿にしきったように話す青年。
コウノスケが気取ったように言う。
「我らが兄者、白鳥リョウマに挑むとは! まったく、無知とは恐ろしいものよ」
得意そうなコウノスケ。
マドカが訊ねる。
「いやいや、あんた、あそこまで言っといて、ファイトしないの!?」
「ふん、我は群れを統制する者。それに敬愛すべき兄に花を持たせるのもまた、弟たる役目」
当然のように言うコウノスケ。
マドカはぽかんと口を開けている。
にやりと、コウノスケが笑った。
「それにな、我が兄者は貴様らとはレベルが違う。なにせ、兄者は奨励会に参加している程の実力者だからなッ!」
「……奨励会?」
わずかに首をかしげるマドカ。
コウノスケが鼻で笑う。
「奨励会を知らないのか? プロファイターへの登竜門、数多の戦士が争う闘技場。弱者は排除される厳しき環境よ!」
高らかな口調。
ばっと、隣のリョウマを手で示す。
「兄者はそこで生き残る、真の強者! いずれはプロになることを約束された、選ばれし者よ!」
自信満々に断言するコウノスケ。
マドカが「うぅ……」とたじろぐ。
(つ、つまり、セミプロってこと……?)
プロファイター。雲の上の実力者達。
相手はそれに、準ずる位置にいる人間。
青年──リョウマが笑みを浮かべた。
「おい、本気で俺とやろうってのか?」
柄の悪い口調。
マドカがデッキケースを持ちながら、頷く。
「そ、そうよ! 私、負けないから!」
怖がりながらも、そう答えるマドカ。
リョウマがにやっと笑う。腕を伸ばして──
マドカの手から、デッキケースを奪った。
「あっ!」
声をあげるマドカ。
リョウマが無遠慮に、デッキを取り出す。
「ちょ、ちょっと、返してよ!」
手を伸ばすマドカだが、届かない。
リョウマが素早くカードを見て──
「ハッ、大したことないカードばっかじゃねぇか。こんなデッキで、俺と戦うだと?」
心底、馬鹿にした口調のリョウマ。
マドカのカードを掴んで──
「お前みたいな雑魚、戦う価値もないんだよ。ひっこんでな!」
叩きつけるようにして、
マドカに向けてデッキを投げ返した。
「きゃあ!」
カードが当たって、悲鳴を上げるマドカ。
マドカのデッキが散らばって、地面に落ちる。
「日枝さん!!」
ミコトが立ち上がった。
マドカがあたふたと、地面を見る。
「わ、私のデッキが……!」
泣きそうになっているマドカ。
それを見た少年達が、笑い声をあげた。
「まったく、分不相応にたてつくからそうなるのだ。大人しくしていれば、撃たれることもないというのに!」
小馬鹿にしたように言うコウノスケ。
マドカは必死になってカードを拾い集めている。
「……あなた達」
怒りの目を向けるミコト。
白いデッキケースを取り出すが──
「……ッ!」
すぐに、両手で頭を抑えた。
耐えがたい痛みに襲われたような表情。
その場にうずくまる。
「ひ、氷川さん!」
カードを拾う手を止めて、駆け寄るマドカ。
息が乱れているミコト。震えながら、言う。
「ごめん、ごめんね、ツキちゃん……!」
その目から涙がこぼれる。
苦しそうな表情。血の気の失せた顔。
「氷川さん……」
心配する眼差しを向けるマドカ。
肩を抱き、そっと寄り添うが──
「おいおい、いいのか? それでは風で、カードが飛ばされてしまうのではないか?」
コウノスケが、揶揄するように言い放った。
ハッとなるマドカ。拾えたカードは半分ほど。
残りの半分が、風に飛ばされそうになる。
マドカが目を閉じて──
「大丈夫だよ。私、そばにいるから」
優しく、ミコトに話しかけた。
泣いているミコトが、顔をあげる。
「……日枝さん」
ぐずぐずになっているミコト。
そのまま顔を伏せて、泣きじゃくる。
コウノスケが肩をすくめた。
「カードを拾うこともせぬとは。所詮はその程度。お前達は戦士たる、ファイターではないということだ」
嘲笑する声。周りから笑い声があがる。
マドカの目に、悔し涙が浮かんだ。
少年達の楽しそうな声が渦巻く中に──
「あんた達さぁ」
鋭い声が、響き渡った。
少年達が笑うのをやめ、声のした方を向く。
金色の髪がなびいて──
「ウザいんだけど、マジで」
冷たい殺気。捻じ曲がる空気。
少年達とマドカの間に、少女が割って入った。
「なっ……!」
あまりの迫力に、怯えたようになるコウノスケ。
わずかに、後ろへと下がる。
「…………」
少年達を睨め付けている少女。
フッと、視線を切ると──
少女がしゃがみこみ、カードを拾いだした。
「えっ!?」
驚くマドカ。
コウノスケが一瞬驚いた後、咳払いする。
「ふ、ふん。敵の前で座って物拾いとは。それも、そんなはしたない格好で。まったく、これだから不良は……」
ぶつぶつと言っているコウノスケ。
少女は完全に、その言葉を無視している。
全てのカードを拾い上げて──
「……ほら」
少女が、カードをマドカに差し出した。
おずおずと、受け取るマドカ。
「あ、ありがとう……」
思わぬ助けに、混乱しているマドカ。
少女が立ち上がり、少年達に向き直る。
「ルーンシャトーを探してるんだって?」
問いかける少女。冷たい声。
コウノスケが苦い表情を浮かべる。
「何を今更。それがどうしたというのだ」
「だったら、ちょうどいい」
鞄に手を入れる少女。
その中からピンク色のデッキケースを取り出す。
青い色の瞳を向けて──
「あたしが、ルーンシャトーだ」
少女が、静かにそう言った。
その場にいた全員に、衝撃が走る。
「なっ……!?」
驚きの声。息を呑む音。
マドカもまた、目を丸くして驚く。
「……情報だと、そこの黒髪がそうだって聞いてんだがな?」
ミコトのことを指差すリョウマ。
少女がハッと声をあげる。
「こいつはとっくに辞めてるよ。ルーンシャトーは、あたしと、ツキちゃんのチームだ」
自分の事を指差す少女。
マドカが声をあげた。
「ちょ、ちょっと待って!? ルーンシャトーって、個人名じゃなくて、チームの名前なの!?」
次々と明るみになる真実に、
なんとか付いていこうとするマドカ。
さらに質問をする前に──
「あっ!!」
学ランの少年達の中。
一人の少年が、声をあげた。
「り、リーダー! 思い出しました!」
「な、なんだ、こんな時に!?」
怒ったように言うコウノスケ。
少年が、少女の事を指差す。
「こいつです! こいつ、あの有名な暴力事件を起こしたファイターですよ! チームLMFに所属している、三峯(みつみね)!」
怯えたように、あえぐ少年。
震える指を伸ばして──
「──三峯ヒカルです!!」
少年の声が、その場に響き渡った。
風が吹く。金色の長い髪が、かすかに揺れた。
少女──ヒカルが、口を開く。
「言っておくけど、あたし、LMFには所属してる訳じゃないから。一緒にしないでくれない?」
怒りの滲んだ声。
腕を組んで、少年達を見据える。
「えぇい、黙れ! この極悪人が!」
コウノスケが声を荒げた。
びしっと、ヒカルを指差す。
「貴様があの、暴力ファイターか! ファイターの風上にもおけない奴め!」
「ハハハッ。あんた達がそれ言う?」
楽しそうに笑うヒカル。
両手を広げ、挑発するように言う。
「人に向かってカード投げつけて笑ってるような、最低のクズの集まりのくせに。おまけになに、奨励会だって?」
リョウマに目を向けるヒカル。
フッと鼻で笑う。
「あんなの、試験さえ受かれば誰でも入れる所じゃん。居るだけじゃ自慢にならねーんだよ。プロ目指すってんなら、結果出さないとさ」
鋭い口調。見下した目付き。
ヒカルが大げさに、肩をすくめる。
「ま、無理か。いかにも弱そうだし、あんた。どうせ、次の対抗戦で除名されるのがオチだよ」
くすくすと笑うヒカル。
リョウマの顔が、怒りで赤く染まった。
コウノスケが激昂する。
「貴様ァ!! 取り消せ、その言葉!!」
荒ぶる声。震えている身体。
ヒカルがデッキケースを見せびらかす。
「だったらさ、あたしに勝って見せなよ。それともなに? 奨励会じゃ、女とは戦わない訳? 負けるのが怖いから」
リョウマに視線を向けるヒカル。
コウノスケを、リョウマが手で制した。
「てめぇは、絶対に潰す」
低い声。溢れ出る殺気。
リョウマがデッキケースを取り出した。
ヒカルが悪そうに、微笑む。
「かっこつけない方がいいよ。惨めになるから」
見下しきった口調。
二人の視線がぶつかり合う。
張りつめた緊張感の中──
ファイトテーブルを挟んで、
ヒカルとリョウマが向かい合った。
「……ヒカル」
マドカに支えられながら、
よろよろと立ち上がっているミコト。
ヒカルが鋭い目を向ける。
「言っておくけど、さっきの話は終わってないから。このゴミを片づけたら、次はあんただ」
冷たく、容赦のない声。
ミコトが傷ついたように、顔を伏せる。
「ゴミだと! 貴様、この期におよんで!」
コウノスケが怒りの声をあげる。
リョウマが目の前にカードを置いた。
仁義と描かれたスリーブに入ったカード。
腕を組み、リョウマがヒカルを睨みつける。
「言わせておけ。俺の実力を見れば、おのずと減らず口もなくなる」
余裕ぶった態度のリョウマ。
ヒカルのことを見据える。
「へぇ、勝つ気でいるんだ?」
準備をしながら、口を開くヒカル。
赤い紋章の柄のスリーブに入ったデッキ。
そして──
白い兎のスリーブに入ったカードを、横に置く。
(あ、あのスリーブ!!)
心の中、驚くマドカ。
ミコトが使っているものと、全く同じスリーブ。
カードを取り出して──
「まぁ、どうでもいいけどさ。あんま喋んないでくれない? 興味ないし」
ヒカルが、冷たく微笑んだ。
ざわめく周囲。リョウマの額の血管が脈打つ。
月のスリーブに入ったカードが、置かれる。
「そんじゃ、遊んであげる」
ヒカルが、指をカードの上に置いた。
リョウマもまた、深呼吸して手を伸ばす。
戦いの前、一瞬の静寂が流れて──
「スタンドアップ・ヴァンガード!!」
勢いよく、カードが表になった。
「《占術の賢者 スーロン》!!」
「《せいんがる》!」
占術の賢者 スーロン
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― 見える筈だよ。暗がりの中でも、消えない光が。
せいんがる
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ハイビースト
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― あたし達の力、見せてあげましょ!
表になった2枚。
白い服を着た賢そうな金髪の少年と、
桃色の毛並みの勇壮な雰囲気の犬。
「両方とも、ケテルサンクチュアリ!」
対峙する2枚を見て、マドカが声をあげた。
リョウマがフンと、息を吐く。
「同国家の対決とはな。なら、格の違いを見せつけてやる」
ヒカルを睨んでいるリョウマ。
それを聞いたヒカルが、ため息をついた。
「言ったじゃん、喋んなって。さっさとやってよ。結果は同じだから」
呆れたような口調。
リョウマの方を、見ようともしない。
ぎりっと、リョウマが歯を食いしばった。
「貴様、後悔させてやる! 俺のターン!」
カードを引くリョウマ。
1枚を捨てる。
「《霊薬の賢者 エリロン》にライド!」
叩きつけられる1枚。
白い服の女賢者が描かれたカードが現れる。
霊薬の賢者 エリロン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「強壮の賢者 ストグロン」にライドされた時、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら手札に加えてよい。加えないなら、その公開されたカードをソウルか山札の上に置く。
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたは手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
― 万能の霊薬は、毒を含んだ言葉と共に手渡される。
「ターンエンドだ!」
露骨にイラついた口調。
ぎろりと、ヒカルに鋭い目を向ける。
手を伸ばして──
「あたしのターン!」
ヒカルが、カードを引いた。
手札から1枚を捨て、カードを手に取る。
「《白の賢者 グラッセ》にライド!」
月のスリーブに入ったカード。
眼鏡をかけた少年の賢者のカードが置かれる。
「こっちもケテルサンクチュアリだけど、違うライドライン……!」
カードを見ながら、呟くマドカ。
ヒカルがフッと笑う。
「せいんがるのスキルで1枚ドロー。さらにグラッセのスキルで、もう1枚引いて──」
目線を切るヒカル。白い兎のスリーブ。
そこに入ったカードの束に、指を置き──
「──あたしは、クレストを1つ得る!」
高らかに、ヒカルがそう宣言した。
白の賢者 グラッセ
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「せいんがる」からライドして登場した時、1枚引き、あなたは「誓い」のクレストを1つ得る。
― そこは誰も知らない、古の時代の聖域。
「く、クレストだと……!?」
困惑した声をあげるコウノスケ。
周りの観戦者の間にどよめきが走る。
ヒカルがカードを指ではさみ、見せつけた。
「あたしは《青の誓い》を獲得!」
白い兎のスリーブに入ったカード。
青い色の不思議な魔法陣が、描かれている。
クレストが場に置かれた。
青の誓い
クレスト/誓い
永:あなたは青の力を得る。
(青とはイメージの色である)
「な、なに、この、なに……!?」
テキストを読み、動揺しているマドカ。
書かれている効果の意味が、理解できなかった。
「はん! 何か出てくるかと思えば、何の意味もないカードじゃねぇか! ただのハッタリだ!」
断言するリョウマ。
ヒカルがにやりと笑う。
「ま、せいぜいそう思ってなよ」
小馬鹿にした口調。
ヒカルがカードに指をのせた。
「グラッセで、ヴァンガードにアタック!」
カードを動かすヒカル。
リョウマが手札を見てから、言う。
「ノーガードだ!」
腕を組むリョウマ。
ヒカルの宣言を待つ。
「チェック・ザ・ドライブ」
デッキに手を伸ばすヒカル。
カードをめくると、リョウマに見せる。
「ノートリガー」
精製の魔法 フフプリ
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、【ソウルチャージ】(1)してよい。
― 効果は抜群。飲むのに少しばかりの勇気があるが。
カードを手札に加えるヒカル。
リョウマもまた、デッキに手を伸ばす。
「ダメージチェック。ノートリガーだ!」
カードを見せるリョウマ。
不機嫌そうに、ダメージにカードを置いた。
実証の学士 ピリック
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - エルフ
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『ブースト』を得て、パワー+5000。
― 臨床実験に移りましょう。
リョウマ ダメージ0→1
「ターンエンド」
淡々とした態度で宣言するヒカル。
退屈そうに、盤面を眺めている。
リョウマがデッキに手をかけた。
「俺のターン!」
怒りを含んだ声。
荒々しく、カードを捨てる。
「《強壮の賢者 ストグロン》にライド!」
カードを置くリョウマ。
杖を構える金髪の賢者のカードが場に出る。
強壮の賢者 ストグロン
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「ソルレアロン」を含むユニットにライドされた時、あなたのソウルから「霊薬の賢者 エリロン」を1枚選び、そのカードとこのカードを(R)にコールする。
【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、【コスト】[このユニットを退却させる]ことで、【カウンターチャージ】(1)。』を得る。
― 静かな智は、何にも届せぬ力となるのだ。
「さらに、ライドされたエリロンのスキルが発動! 俺はノーマルユニットを宣言する!」
手を前に出すリョウマ。
山札の上をめくった。
「公開されたのは《ディペンダブルピアース・ドラゴン》! ノーマルユニットなので、そのまま手札に加える!」
霊薬の賢者 エリロン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「強壮の賢者 ストグロン」にライドされた時、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら手札に加えてよい。加えないなら、その公開されたカードをソウルか山札の上に置く。
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたは手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
― 万能の霊薬は、毒を含んだ言葉と共に手渡される。
ディペンダブルピアース・ドラゴン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。
― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。
興味なさそうに聞いているヒカル。
リョウマがヴァンガードに手を伸ばした。
「ストグロンで、ヴァンガードにアタック!」
勢いよくカードを横へと動かすリョウマ。
ヒカルが鼻で笑う。
「ノーガードでいいよ」
余裕綽々な態度。
リョウマがぴくりと、怒りに震える。
「ドライブチェック!」
大声での宣言。
カードをめくって──
「ゲット! クリティカルトリガー!」
力強く、リョウマが言い放った。
豪胆の騎士 サウェル
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― 豪快に、行くぜ!
「おぉ! さすが兄者!」
周りからあがる歓声。
ヒカルがカードをダメージに置く。
「ダメージチェック。ノートリガー」
陣風の騎士 キュネブルガ
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【永】【(R)】:あなたのターン中、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのパワー+5000。
― 相手にとって不足なし!私の風を全部ぶつける!
ペインキラー・エンジェル
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エンジェル
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1), このユニットを退却させる]ことで、1枚引く。
― 心配不要です。チクリとすればおしまいですから。
ヒカル ダメージ0→2
置かれる2枚のカード。
ヒカルが退屈そうな目を向ける。
「それで、終わり?」
冷や水をあびせるような声。
少年達の歓声が止まった。
「どこまでも不遜な奴め!」
コウノスケが声を上げる。
リョウマが首を振った。
「言わせておけ。すぐに吠え面をかかせてやる」
手札を構えているリョウマ。
腕を組み、「ターンエンド」と告げる。
「あたしのターン!」
カードを引くヒカル。
迷いなく、すぐにカードを選んで捨てる。
「《静寂の騎士 アロンダル》にライド!」
カードを置くヒカル。
目隠しをした長い髪の騎士のカードが現れる。
さらに1枚、ヒカルがカードを手に取った。
「《蒼炎の魔術師 ブリギッド》をコール!」
ヴァンガードの横に置かれた1枚。
青い炎を操る女魔術師が、描かれている。
「カウンターブラスト。デッキから《インペリアル・エンジェル》をコール!」
デッキを広げるヒカル。
赤い髪の天使が描かれたカードを選ぶと、
先程のカードの真後ろのサークルに置いた。
蒼炎の魔術師 ブリギッド
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。
【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。
― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。
「そしてアロンダルとインペリアル・エンジェルは、あたしが誓いのクレストを得ていればパワー+5000!」
静寂の騎士 アロンダル
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このカードを(R)にコールする。
【永】【(V)/(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。
― 己が信念のもとに、誓いを立てよ。
インペリアル・エンジェル
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エンジェル
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【起】【(R)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(2)]することで、あなたの前列のユニットすべてのパワー+5000。
【永】【(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。
― 赤い翼の天使は、戦場の全てを鼓舞する。
「なるほど、そのクレストはユニット強化のために必要な条件って訳か。驚かしやがって」
納得した様子のリョウマ。
ヒカルが、見下した笑みを浮かべている。
(本当に、それだけ……?)
心の中で呟くマドカ。
ヒカルの場のクレストカードに、視線を向ける。
青の誓い
クレスト/誓い
永:あなたは青の力を得る。
(青とはイメージの色である)
青の力。イメージの色。
意味はさっぱり分からないが、
全く無意味なものとも思えなかった。
ヒカルがカードに手を伸ばす。
「アロンダルで、ヴァンガードにアタック!」
鋭い声で宣言するヒカル。
自身の能力により、そのパワーは15000。
「ノーガードだ!」
リョウマが宣言した。
デッキの上をめくるヒカル。
「チェック・ザ・ドライブ。ノートリガー」
カードが表になる。
アイジスメア・ドラゴン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー6000 / シールド0 / ☆1
【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)
【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。
― この痛み……私が全て引き受けましょう。
「ダメージチェック!」
カードをめくるリョウマ。
その口角が上がって──
「ゲット、クリティカルトリガー! パワーはヴァンガードだ!」
高らかに、宣言した。
ブレードフェザー・ドラゴン
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― この翼は飛ぶ為だけにあるのではない。
リョウマ ダメージ1→2
「ダメージトリガー……!」
悔しそうな声を出すマドカ。
ミコトは押し黙っている。
「インペリアルのブースト、ブリギッドでヴァンガードにアタック!」
気にした様子もなく、宣言するヒカル。
ブーストを付けた攻撃。パワー23000。
リョウマがカードを出す。
「ガード!」
ぱさりと、1枚が投げ捨てられた。
感興の学士 インティラス
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが山札から(R)に登場した時、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
― 知識に果てはないから。少年は日夜、研鑽を重ねる。
防がれた攻撃。
ヒカルが静かに、口を開く。
「これで、ターンエンド」
そっけない口調。
つまらなさそうな態度を、隠そうともしない。
リョウマが、悠然と手を伸ばした。
「俺のターン!」
勢いよくカードを引くリョウマ。
よどみなく、手札の1枚を捨てる。
「散々コケにしてくれたな! きっちり、この落とし前はつけさせてもらうぜ!」
カードを構えるリョウマ。
仁義と書かれたスリーブ。腕を伸ばす。
ヒカルを睨みつけながら──
「《天道の大賢者 ソルレアロン》にライド!!」
叩きつけるように、カードを置いた。
白い髪に、光輝く杖。浮かび上がる魔法の印。
穏やかな笑みを浮かべた大賢者が、現れる。
天道の大賢者 ソルレアロン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。
【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。
― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!
「……ヒカル」
小さく、呟くミコト。
ヒカルは黙って、カードを眺めている。
リョウマが腕を上げた。
「ライドされたストグロンのスキル! ソルレアロンにライドされた時、ソウルから自身とエリロンをスペリオルコール!」
強壮の賢者 ストグロン
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「ソルレアロン」を含むユニットにライドされた時、あなたのソウルから「霊薬の賢者 エリロン」を1枚選び、そのカードとこのカードを(R)にコールする。
【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、【コスト】[このユニットを退却させる]ことで、【カウンターチャージ】(1)。』を得る。
― 静かな智は、何にも届せぬ力となるのだ。
ヴァンガードの下のカードを動かすリョウマ。
2枚のカードが、同じ縦列に置かれる。
「さらにエリロンのスキル! 登場した時、ソルレアロンがいるなら手札のノーマルユニットを公開!」
手札の1枚を表にするリョウマ。
そこにあるのは、先程見せた金色の竜のカード。
ディペンダブルピアース・ドラゴン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。
― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。
「公開した後、俺は1枚引いて、そのカードを山札の上に置く!」
霊薬の賢者 エリロン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「強壮の賢者 ストグロン」にライドされた時、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら手札に加えてよい。加えないなら、その公開されたカードをソウルか山札の上に置く。
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたは手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
― 万能の霊薬は、毒を含んだ言葉と共に手渡される。
デッキからカードを引いて、
金色の竜のカードを山札の上に戻すリョウマ。
マドカが戸惑ったように言う。
「え、なに、手札入れ替えってこと?」
困惑した声。
隣のミコトが首を振った。
「いえ、あれは……」
何かを察している様子のミコト。
リョウマが楽しそうに笑い声をあげる。
「さらに俺は《実証の学士 ピリック》、《感興の学士 インティラス》、《霊薬の賢者 エリロン》をコール!」
6枚ある手札の内の3枚。
リョウマが一気に、カードを展開した。
実証の学士 ピリック
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - エルフ
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『ブースト』を得て、パワー+5000。
― 臨床実験に移りましょう。
感興の学士 インティラス
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが山札から(R)に登場した時、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
― 知識に果てはないから。少年は日夜、研鑽を重ねる。
霊薬の賢者 エリロン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「強壮の賢者 ストグロン」にライドされた時、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら手札に加えてよい。加えないなら、その公開されたカードをソウルか山札の上に置く。
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたは手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
― 万能の霊薬は、毒を含んだ言葉と共に手渡される。
「ふーん」
リョウマの場を見ているヒカル。
全面展開。相手は一気に、仕掛けてきている。
「いくぜ、バトルだ!」
リョウマが大きく宣言する。
ばっと、その右手を広げた。
「そしてバトル開始時、ソルレアロンのスキル発動! ノーマルかトリガーを宣言して、山札の上を見て、当たっていれば全てのユニットのパワー+5000!」
天道の大賢者 ソルレアロン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。
【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。
― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!
「山札の上って……さっきの!」
先程の手札入れ替えを思い出すマドカ。
リョウマがにやりと笑みを浮かべる。
「俺はノーマルユニットを宣言! そして当然、山札の上はディペンダブルピアース・ドラゴン! ノーマルユニットだ!」
ディペンダブルピアース・ドラゴン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。
― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。
カードを公開して戻すリョウマ。
マドカが「うぅっ」と、声を漏らした。
「ず、ずるい! 絶対当たるじゃん!」
抗議するようなマドカの声。
ヒカルは静かに、盤面を見つめている。
リョウマが高笑いをあげた。
「宣言が当たったので、全てのユニットのパワー+5000! いくぜ、ストグロンでヴァンガードにアタック!」
カードを動かすリョウマ。
能力で強化された攻撃。数値は15000。
ヒカルがカードを場に出す。
「ガード」
シャイニング・ユニコーン
トリガーユニット【治】 +10000
(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ハイビースト
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)
― 純粋な思いが紡ぐ、高貴なる光。
トリガーを使ったガード。
ヒカルが淡々と、カードをドロップに置いた。
「ストグロンのスキル! 自身を退却!」
強壮の賢者 ストグロン
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「ソルレアロン」を含むユニットにライドされた時、あなたのソウルから「霊薬の賢者 エリロン」を1枚選び、そのカードとこのカードを(R)にコールする。
【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、【コスト】[このユニットを退却させる]ことで、【カウンターチャージ】(1)。』を得る。
― 静かな智は、何にも届せぬ力となるのだ。
カードを掴んで捨てるリョウマ。
盤面が1つ、空になる。
リョウマが、ヴァンガードに指を乗せた。
「エリロンのブースト! ソルレアロンで、ヴァンガードにアタック!」
力強い宣言。
さらにダメージのカードを1枚、裏返す。
「スキル発動! 山札の上から2枚見て、1枚をコールするか捨て、残りを山札の上か下に置く!」
天道の大賢者 ソルレアロン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。
【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。
― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!
「なっ! 上って、さっきの! また!?」
驚いているマドカ。
コウノスケが手を叩いた。
「さすがは兄者! 全く無駄のない、完璧な戦術! 実に素晴らしい!」
周りから、再び歓声があがった。
騒がしい雰囲気。ヒカルは目を細めている。
「俺は《ディペンダブルピアース・ドラゴン》をコール、さらに残り1枚を山札の上へ!」
得意そうな表情のリョウマ。
空いていた盤面に、金色の竜のカードが現れた。
ディペンダブルピアース・ドラゴン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。
― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。
再び全面が埋まった、リョウマの場。
大賢者の攻撃が、ヒカルへと向かっていく。
天道の大賢者 ソルレアロン パワー31000
「ノーガードでいいよ」
やる気なく、ヒカルが手をひらひらとさせた。
驚くマドカ。リョウマが「ふん」と鼻を鳴らす。
「なら、目にもの見せてやる。ドライブチェック、クリティカルトリガーだ!」
カードを見せるリョウマ。
山札の上に戻していた1枚を表にする。
ブレードフェザー・ドラゴン
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― この翼は飛ぶ為だけにあるのではない。
「あぁ、やっぱり……!」
嫌な予感がしていたマドカ。
リョウマが手をかざす。
「クリティカルはヴァンガード! パワーはディペンダブルピアース・ドラゴンに! セカンドチェック!」
デッキに手を伸ばすリョウマ。
カードを見て──
「チッ、ノートリガーか」
リョウマが、不機嫌に舌打ちした。
天道の大賢者 ソルレアロン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。
【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。
― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!
「トリガーじゃないのは嬉しいけど、ヴァンガードと同じカード……!」
表になったカードを見て、
マドカが心配そうにヒカルを見た。
不敵な笑みを浮かべ、ヒカルが手を伸ばす。
「ダメージチェック。ノートリガー」
淡々と、ヒカルがそう宣言した。
蒼炎の魔術師 ブリギッド
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。
【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。
― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。
精製の魔法 フフプリ
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、【ソウルチャージ】(1)してよい。
― 効果は抜群。飲むのに少しばかりの勇気があるが。
ヒカル ダメージ2→4
ダメージトリガーなし。
ヴァンガードのパワーは、10000のまま。
リョウマがさらにカードを動かす。
「インティラスのブースト、ピリックでヴァンガードにアタック!」
眼鏡をかけた生真面目そうな研究者のカード。
能力で強化された攻撃が迫る。
実証の学士 ピリック パワー28000
「ガード」
手札の中の1枚、トリガーを出すヒカル。
天音の楽士 アルパック
トリガーユニット【前】+10000
(フロントトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エルフ
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。
― 苦しい時は、英気の音色で心を支えて。
スキルによるシールド上昇。
強力な攻撃を、1枚で防いだ。
だが──
「エリロンのブースト、ディペンダブルピアース・ドラゴンでアタックだ!」
追撃の一手。先程現れた金色の竜のカードが、
強力なパワーを持ってヒカルへと襲い掛かった。
ディペンダブルピアース パワー41000
「ノーガード」
手札も見ずに、やる気なく言うヒカル。
デッキの上の1枚を、ダメージに置いた。
ペインキラー・エンジェル
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エンジェル
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1), このユニットを退却させる]ことで、1枚引く。
― 心配不要です。チクリとすればおしまいですから。
ヒカル ダメージ4→5
ようやく、リョウマの攻撃が終了する。
だがヒカルがこのターン、受けたダメージは3。
一気に、追い詰められている。
「さすがです、兄者!」
感動したように言うコウノスケ。
周りもまた、野次のような声を飛ばす。
「ダメージ2対5!」
「やっちゃって下さい! リョウマさん!」
リョウマを応援する声。アウェーな雰囲気。
手を振って、リョウマはそれに応えている。
「うぅ、やっぱり、強い……!」
盤面を見ながら、そう話すマドカ。
腐っても、相手は奨励会所属のファイター。
決して、生半可な相手ではない。
「このままじゃ……!」
心配するように、ヒカルを見るマドカ。
しかし──
「平気よ」
マドカの隣。
ミコトが、顔色悪くもそう言い切った。
「え?」
驚くマドカ。
ミコトが、視線を伏せがちに言う。
「ヒカルは、私と違って、強いから……」
暗い声で話しているミコト。
まるで自分を責めるような声。
盛り上がる雰囲気の中に──
「それで?」
空気を切り裂くような声が、響いた。
歓声がやみ、静まり返る。
「あんた、ターンエンドでいいわけ?」
凍てつくような口調。
冷たい目を、ヒカルが向けた。
「ハッ、まだ続けるのか?」
馬鹿にしたように、リョウマが話した。
場を手で示しながら、続ける。
「実力の違いはもう分かっただろう? 今なら、降参を許してやってもいいんだぜ?」
にやにやと、ヒカルを見るリョウマ。
ハァと、ヒカルが大きく息を吐いた。
青い瞳を向けて──
「ウザいんだよ、さっきから」
鋭く、ヒカルがリョウマを睨みつけた。
凄まじい迫力。凍り付く空気。
思わず、息を呑むリョウマ。
その顔から血の気が引き、
わずかにその場で後ずさった。
「あ、兄者……?」
困惑したように呼びかけるコウノスケ。
リョウマがハッとして、咳払いする。
「ふ、ふん。後悔すんなよ。ターンエンド!」
手札を片手に、宣言するリョウマ。
ヒカルがゆっくりと、手を伸ばす。
「あたしのターン──」
カードを引くヒカル。
1枚を選んで、ドロップへと捨てた。
ミコトの方に視線を向けて──
「遊びは終わり。そろそろ見せてあげる。あたしの力を。あたしの、ヴァンガードを!!」
低い声で、ヒカルがそう言った。
リョウマが声を荒げる。
「てめぇ、どっち見てやがる! お前の相手は、この俺だぞ!」
胸に拳を当てているリョウマ。
ヒカルが目線を戻した。
「一つ、言ってあげる」
腕を伸ばすヒカル。
月のスリーブに入ったカードを、掴む。
金色の髪が揺れて──
「はなから眼中にないのよ、あんたごとき!! さっさと失せな!! ライド!!」
威圧するような声。
カードを振り下ろして──
「《イマジンセイバー・ドラゴン》!!」
神々しくも美しい竜が、降臨した。
青い瞳。美しく輝く鱗。白い光の翼。
底知れぬ力を秘めた一枚が、場に置かれる。
「うっ……!?」
気圧されたような声を出すリョウマ。
マドカが手を握った。
「き、綺麗なカード……!」
ぼうっとしたように、呟くマドカ。
ヒカルがダメージのカードを裏返した。
「アロンダルのスキル! ライドされた時、リアガードとしてコール!」
静寂の騎士 アロンダル
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このカードを(R)にコールする。
【永】【(V)/(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。
― 己が信念のもとに、誓いを立てよ。
ヴァンガードの横、騎士のカードが並び立つ。
ヒカルが、不敵な笑みを浮かべた。
「イマジンセイバーのスキル!!」
手を伸ばすヒカル。
白い兎のスリーブのカードに、指を置く。
「ヴァンガードに登場した時、クレストの誓いの色に応じて、あたしはイメージの力を得る!!」
大きく宣言するヒカル。
観戦していた連中が、困惑した表情になる。
ヒカルがカードを掴んだ。
「誓いの色は青! あたしが獲得するのは──」
白い兎のスリーブのカード。
ゆっくりと、表にして──
「イマジナリーギフト フォースⅡ!!」
ヒカルが、カードを見せつけた。
イマジナリーギフト フォース
獲得時、このマーカーを(V)か(R)に置き、そこにいるユニットの元々のクリティカルは2になる!(同じサークルにも置けるが、クリティカルは重複しない)
「なぁっ……!?」
言葉を失うリョウマ。
大きく目を見開いて、カードを見る。
「な、なに、あのカード!?」
初めて見るカードに、マドカが声をあげた。
ヒカルがカードをヴァンガードの下に置く。
「フォースⅡの効果! イマジンセイバーの元々のクリティカルを2にする!」
「!?」
驚愕するリョウマ。
ヒカルが手札のカードを掴んだ。
「《インペリアル・エンジェル》、《精製の魔法 フフプリ》をコール!」
現れる2枚。
ヒカルの場もまた、全ての面が埋まった。
インペリアル・エンジェル
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エンジェル
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【起】【(R)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(2)]することで、あなたの前列のユニットすべてのパワー+5000。
【永】【(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。
― 赤い翼の天使は、戦場の全てを鼓舞する。
精製の魔法 フフプリ
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、【ソウルチャージ】(1)してよい。
― 効果は抜群。飲むのに少しばかりの勇気があるが。
「インペリアルのスキル! ソウルブラストして、前列全てのパワー+5000!」
ソウルのカードを抜き取るヒカル。
呆然と、リョウマは宣言を聞いている。
ヒカルが指を置いて──
「インペリアルのブースト、イマジンセイバーでヴァンガードにアタック!!」
高らかに、その言葉が響いた。
カードを動かすヒカル。口元に浮かぶ笑み。
「さらにイマジンセイバーのスキルで、パワー+10000!」
神聖なる竜の身体が光輝く。
その青い瞳が、リョウマへと向けられた。
イマジンセイバー・ドラゴン パワー41000
「パワー41000だと!?」
震えているリョウマの声。
マドカが驚きながら、身を乗り出す。
「しかも、あの紋章みたいなカードの効果で、クリティカル2!?」
「あ、兄者!?」
コウノスケの悲鳴。
リョウマが苦しそうに、口を開く。
「の、ノーガード……!!」
屈辱に打ち震えているリョウマ。
ヒカルの口元に笑みが広がる。
「チェック・ザ・ドライブ!」
自信に満ちた声。
カードがめくられ、表になる。
「ファーストチェック! フロントトリガー! 前列のパワー+10000!」
天音の楽士 アルパック
トリガーユニット【前】+10000
(フロントトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エルフ
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。
― 苦しい時は、英気の音色で心を支えて。
カードを見せつけるヒカル。
さらに一枚を、手に取った。
にやりと、柄の悪い笑みを見せて──
「セカンドチェック、クリティカルトリガー!」
ヒカルが、楽しそうにそう告げた。
信仰の騎士 エリナ
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― ぶっ潰してさしあげますわ!
「だ、ダブルトリガー!!」
驚いているマドカ。
ヒカルが腕をなぐように動かす。
「クリティカルはヴァンガード! パワーはアロンダルへ!」
躊躇することなく、宣言するヒカル。
リョウマが「ぐっ……!」と声を漏らす。
一気に、3枚のカードがダメージに置かれた。
パラディウムジール・ドラゴン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー6000 / シールド0 / ☆1
【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)
【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。
― 辛苦を乗り越え、勝利を掴め。
強壮の賢者 ストグロン
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが「ソルレアロン」を含むユニットにライドされた時、あなたのソウルから「霊薬の賢者 エリロン」を1枚選び、そのカードとこのカードを(R)にコールする。
【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、【コスト】[このユニットを退却させる]ことで、【カウンターチャージ】(1)。』を得る。
― 静かな智は、何にも届せぬ力となるのだ。
感興の学士 インティラス
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが山札から(R)に登場した時、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
― 知識に果てはないから。少年は日夜、研鑽を重ねる。
リョウマ ダメージ2→5
「こ、こんな、馬鹿な……!!」
信じられないといった様子のリョウマ。
一気に、形勢が不利になった。
ヒカルが指を伸ばす。
「ブリギッドでヴァンガードにアタック! スキルでさらにパワー+5000!」
蒼炎の魔術師 ブリギッド
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。
【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。
― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。
魔法の炎を操る、高位の女魔術師。
絵の中の青い炎がうねるように、向けられる。
蒼炎の魔術師 ブリギッド パワー43000
「ガード! さらにインターセプト!」
必死な様子のリョウマ。
3枚ものカードを使い、ガードする。
豪胆の騎士 サウェル
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― 豪快に、行くぜ!
ブレードフェザー・ドラゴン
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― この翼は飛ぶ為だけにあるのではない。
実証の学士 ピリック
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - エルフ
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『ブースト』を得て、パワー+5000。
― 臨床実験に移りましょう。
息をきらしているリョウマ。
ヒカルが目を細めて──
「アロンダルで、ヴァンガードにアタック!」
容赦なく、宣言した。
静寂の騎士 アロンダル パワー48000
「ぱ、パワー、48000!?」
絶句したような声のコウノスケ。
ヒカルが山札に手を乗せる。
「さらにブーストしたフフプリのスキルで、ソウルチャージ!」
精製の魔法 フフプリ
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、【ソウルチャージ】(1)してよい。
― 効果は抜群。飲むのに少しばかりの勇気があるが。
カードをソウルに置くヒカル。
見下したように、リョウマの方を見る。
真っ青な顔で──
「が、ガードだ!!」
リョウマが、叫んだ。
1枚のカードが、場に投げ出される。
置かれたのは──
栄典の光竜神 アマルティノア
トリガーユニット 【超】
(オーバートリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー5000 / シールド50000 / ☆1
(【超】トリガーはデッキに1枚だけ入れられる。トリガーで出たら、そのカードを除外し、1枚引き、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+1憶!ドライブチェックで出たら、さらに追加効果が発動!)
追加効果-そのターン中、あなたはリアガードがアタックしたバトルでもドライブチェックを行う!
― 数多の英雄が時代を創り、万余の栄華を歴史に刻む。
「ハハハッ、オーバートリガー持ってたの?」
笑い声をあげるヒカル。
馬鹿にしきった目を向ける。
「なら、イマジンセイバーのアタックをガードしなくちゃ。やっぱあんた、大したことないね」
一連のプレイを指摘するヒカル。
リョウマの顔が一気に赤くなった。
「て、てめぇ! 絶対に許さねぇ!」
睨みつけているリョウマ。
ヒカルが手札を片手に、笑う。
「なら、勝ってみせなよ! ターンエンド!」
挑発するような声色。
ちらりと、青い瞳をミコトの方へ向ける。
手を伸ばして──
「俺のターン!!」
叫ぶように、リョウマがカードを引いた。
僅かに残った手札3枚。
その中の1枚を構えて──
「ペルソナライドォ!!」
ヴァンガードのカードが、重なった。
天道の大賢者 ソルレアロン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。
【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。
― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!
「お前だけは絶対に潰す!! ディペンダブルピアース・ドラゴンをコール!!」
手札の中の1枚。
金色の竜のカードを、乱暴に場に置く。
ディペンダブルピアース・ドラゴン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。
― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。
「スキルで手札のピリックを公開!! 1枚引き、そのまま山札の上に置く!!」
実証の学士 ピリック
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - エルフ
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】【(R)】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力でノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『ブースト』を得て、パワー+5000。
― 臨床実験に移りましょう。
カードを見せつけるリョウマ。
山札から1枚引くと、カードを上に戻す。
「ま、また、カードを仕込んだ!」
声をあげるマドカ。
リョウマが腕をかざす。
「さらにバトルフェイズ開始時、ソルレアロンのスキル発動!! ノーマルユニットを宣言し、ピリックを公開!! 全てのユニットのパワー+5000!!」
天道の大賢者 ソルレアロン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。
【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。
― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!
まるで吠えるかのような声。
ヒカルが息を吐く。
「無駄なあがき……」
憐れむように、小声で言うヒカル。
リョウマがカードを動かした。
「ディペンダブルピアース・ドラゴンで、ヴァンガードにアタック!! スキルでさらにパワー+5000だ!!」
ディペンダブルピアース・ドラゴン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、あなたの手札からノーマルユニットを1枚まで選び、公開する。公開したら、1枚引き、その公開されたカードを山札の上に置く。
【自】【(R)】【ターン1回】:「ソルレアロン」を含むあなたのヴァンガードの能力で、ノーマルユニットが公開された時、そのターン中、このユニットは『【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、そのバトル中、そのユニットのパワー+5000してよい。そうしたら、そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。』を得る。
― 堅実な一手の累積。それこそが勝利への近道だ。
横になる金色の竜のカード。
強力な攻撃。合計パワー33000。
必死になっているリョウマ。
「ガードとインターセプト」
余裕の表情で、ヒカルがカードを出した。
天音の楽士 アルパック
トリガーユニット【前】+10000
(フロントトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エルフ
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。
― 苦しい時は、英気の音色で心を支えて。
蒼炎の魔術師 ブリギッド
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。
【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。
― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。
あっさりと攻撃を防ぐヒカル。
金色の竜がソウルに置かれ、姿を消した。
ばんと、リョウマがカードに手を乗せる。
「ソルレアロンでヴァンガードにアタック!!」
熱くなっているリョウマ。
怒りに燃えながら、カードを動かす。
「スキル発動!! 山札の上からピリックをコールし、さらにもう1枚を山札の上へ!!」
天道の大賢者 ソルレアロン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。
【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。
― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!
「また、カードを山札の上に!」
リョウマの行動を見て、不安そうに言うマドカ。
おろおろと、ヒカルの方を見る。
フッと、ヒカルが笑って──
「完全ガード」
迷いなく、1枚を場へと出した。
アイジスメア・ドラゴン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー6000 / シールド0 / ☆1
【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)
【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。
― この痛み……私が全て引き受けましょう。
「ぐっ!!」
露骨に悔しそうな表情を浮かべるリョウマ。
だがすぐに首を振ると、ヒカルを睨む。
素早く、リョウマがカードを表にした。
「ドライブチェック! 1枚目、クリティカルトリガーだ!」
ブレードフェザー・ドラゴン
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー4000 / シールド15000 / ☆1
【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。
― この翼は飛ぶ為だけにあるのではない。
先程戻していた1枚。
リョウマがヴァンガードの横のカードを見る。
「効果は全て、ディペンダブルピアース・ドラゴンへ! セカンドチェック!」
さらにカードをめくるリョウマ。
仕込みのない、未知の1枚。祈るような目。
カードが表になって──
「──クリティカルトリガー!!」
リョウマが、喜びの声をあげた。
豪胆の騎士 サウェル
トリガーユニット 【☆】+10000
(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー5000 / シールド15000 / ☆1
― 豪快に、行くぜ!
「だ、ダブルクリティカル!?」
悲鳴のような声を出すマドカ。
コウノスケが感動したように両手をあげた。
「す、素晴らしい! さすがは兄者! 天は我らが味方であったか!」
あがる歓声。勝利の確信。
リョウマが得意そうに、宣言する。
「効果は全て、ピリックへ!!」
ヴァンガードの横。
生真面目そうな学者のカードを指差す。
ヒカルは黙って、その姿を眺めている。
「エリロンのブースト、ピリックでヴァンガードにアタックだ!!」
力強くカードを動かすリョウマ。
鋭い視線を、ヒカルへと向ける。
「残り手札3枚で、この攻撃が防げるか!!」
実証の学士 ピリック パワー53000 ☆2
強力なパワー。クリティカルは2。
普通ならば、防ぐことは難しい攻撃。
だが──
「ガード」
あっさりと、ヒカルがカードを場に出した。
目を見開くリョウマ。置かれたのは──
栄典の光竜神 アマルティノア
トリガーユニット 【超】
(オーバートリガー) 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー5000 / シールド50000 / ☆1
(【超】トリガーはデッキに1枚だけ入れられる。トリガーで出たら、そのカードを除外し、1枚引き、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+1憶!ドライブチェックで出たら、さらに追加効果が発動!)
追加効果-そのターン中、あなたはリアガードがアタックしたバトルでもドライブチェックを行う!
― 勇気と共に奮い立て。誰もが英雄たり得るのだから。
「お、オーバートリガー!!」
口をあんぐりと開けているマドカ。
リョウマが憎々しげに、叫ぶ。
「てめぇ、そんなもん持ってたのか!!」
ヒカルを指差すリョウマ。
見下した目を向け、ヒカルが笑みを浮かべた。
「あたしは、あんたと違って、ちゃんと考えたうえで、攻めてるんだよ」
馬鹿にしきった声。
リョウマがさらに、怒り狂う。
ばんっと大きな音をたてて──
「ディペンダブルピアース・ドラゴンで、ヴァンガードにアタック!!」
リョウマが叫び、カードを動かした。
ヒカルを見据えて──
「消えろ、女風情がぁぁぁ!!」
凄まじい雄たけびを、リョウマがあげた。
びりびりと、空気が震える。必死の叫び。
ディペンダブルピアース パワー56000
迫りくる竜の攻撃。
ゆっくりと、その指がカードをはさんで──
「完全ガード」
ヒカルが、カードを場に出した。
アイジスメア・ドラゴン
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー6000 / シールド0 / ☆1
【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)
【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。
― この痛み……私が全て引き受けましょう。
「なっ、あっ……!?」
理解できないように、声を出すリョウマ。
ヒカルが手札の1枚を掲げる。
「あたしの手札は1枚だから、コストでカードは捨てない」
ひらひらと、カードを揺らしているヒカル。
急速に勢いを失うリョウマに向かって──
「言ったでしょ。考えてるって」
ヒカルが、不敵に微笑んだ。
真っ青になっていくリョウマの顔。
怯えたように、その目を見開く。
にやりと笑って──
「あたしのターン!」
ヒカルが、カードを引いた。
最後まで残っていた手札の1枚。
流れるように、その手が動き──
「ペルソナライド!!」
神々しい竜の姿が、重なった。
絶望の表情を浮かべるリョウマ。
ヒカルがクレストのカードを、掴む。
「イマジンセイバーのスキル! ペルソナライドした時、あたしは場の誓いのクレスト1枚を選んで戻す!」
青の誓い
クレスト/誓い
永:あなたは青の力を得る。
(青とはイメージの色である)
「な、に……?」
呆然と、呟くリョウマ。
ヒカルが白い兎のスリーブのカードを戻した。
カードの束を広げて──
「そして、新たなクレストを1つ得る!」
ヒカルの青い瞳が、神々しい竜を見据えた。
イマジンセイバー・ドラゴン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、イマジナリーギフトを1つ得る。(色に応じたギフトを得る)
【自】:このユニットがペルソナライドして登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[「誓い」のクレストを戻す]ことで、あなたは「誓い」のクレストを1つ得る。
【永】【(V)】:このユニットがアタックしたバトル中、パワー+10000。
― 神聖なる竜の光が、失われた奇跡を呼び覚ます。
「誓いの、変更……!?」
マドカの声。沈黙しているミコト。
ヒカルが新たな1枚を選び、表にする。
「あたしは《黄の誓い》を獲得!」
黄の誓い
クレスト/誓い
永:あなたは黄の力を得る。
(黄とはイメージの色である)
「そしてイマジンセイバーの登場時スキル! 色に応じた力を得る! あたしが選ぶのは──」
カードを掴むヒカル。
白い兎のスリーブのカードが場に置かれ──
「イマジナリーギフト アクセルⅡ!!」
ヒカルが高らかと、宣言した。
イマジナリーギフト アクセル
獲得時、このマーカーを新たな前列(R)として置き、1枚引く。あなたのターン中、そこにいるユニットのパワー+5000!(最初は左前列(R)の左に増え、次は右前列(R)の右に増える。以降、左右交互に増える)
リアガードサークルのさらに横。
黄色の紋章が展開され、その効力を発揮する。
「バカな……! 新たなリアガードサークルを、展開する、だと……!」
よろめいているリョウマ。
ヒカルがカードを引き、1枚を手に取る。
「ブリギッドをコール! スキルで、山札からティルフィングをアクセルサークルにコール!」
蒼炎の魔術師 ブリギッド
ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー10000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットが手札から(R)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札からグレード1を1枚まで探し、ユニットのいない(R)にコールし、山札をシャッフルする。
【自】【(R)】このユニットがヴァンガードにアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。
― 信念があれば、炎が消えることはないのよ。
カウンターブラストを支払うヒカル。
山札から1枚、アクセルサークルへと置く。
聖誓の騎士 ティルフィング
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - ヒューマン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【永】【山札】:このカードのグレード-2。
【永】【(R)/(G)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、このユニットのパワー+10000し、このユニットは『インターセプト』を得て、シールド+5000。
― 竜すら屠る、至高の剣技。
現れる白髪の青年騎士の姿。
ヒカルの前列に、カードが4枚並んだ。
「そしてインペリアル・エンジェルのスキルで、前列4体のパワー+5000!」
インペリアル・エンジェル
ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エンジェル
パワー8000 / シールド5000 / ☆1
【起】【(R)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(2)]することで、あなたの前列のユニットすべてのパワー+5000。
【永】【(R)】:あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、あなたのターン中、このユニットのパワー+5000。
― 赤い翼の天使は、戦場の全てを鼓舞する。
ソウルを抜き取るヒカル。
ペルソナライドと併せた、パワーの上昇。
「そんな、そんなバカな……!!」
手札を見ながら、呟くリョウマ。
残りの手札は4枚。到底、防ぎきれない。
ヒカルが、静かにカードに指をのせて──
「イマジンセイバーで、アタック!!」
鋭い声が、その場に響き渡った。
聖域に住まう、神々しくも美しい竜。
その青い瞳が、侵入者へと向けられる。
イマジンセイバー・ドラゴン パワー51000
「うっ、ああっ、うわああああ!!」
リョウマの口から悲鳴があがった。
怯え切った表情。甲高い声。手札が落ちる。
大きく、その目が見開かれて──
デッキの上のカードが、表になった。
天道の大賢者 ソルレアロン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - ジャイアント
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】【(V)】:あなたのバトルフェイズ開始時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたはノーマルユニットかトリガーユニットのどちらかを宣言し、自分の山札の上から1枚公開する。宣言されたカードタイプが公開されたら、そのターン中、このユニットは『【永】【(V)】:あなたのユニットすべてのパワー+5000。』を得る。
【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚選び、(R)にコールするか、捨て、残りを山札の上か下に置く。
― 未知に惑う者達に、我らが智慧で路を示そう!
リョウマ ダメージ5→6
最後の1枚が、ダメージに置かれる。
しんと、辺りが静まり返った。
「ば、馬鹿な。兄者が……!?」
愕然としているコウノスケ。
リョウマはがっくりと、膝をついている。
「ば、化け物だ……!」
呆然と呟くリョウマ。
震えている身体。恐怖に怯える姿。
ヒカルが息を吐いた。
「ふん。やっぱ、大したことないね」
つまらなさそうに言うヒカル。
カードを片付け、学ランの集団に目を向ける。
金色の髪が揺らいで──
「用は済んだでしょ。消えな、今すぐ」
低い声で、ヒカルがそう言い放った。
鋭い殺気に、冷酷な目。空気が震える。
風が吹いて──
「う、うわああああああ!!」
情けない声をあげて、
少年達が一目散にその場から去って行った。
陽は沈み、辺りは暗くなりはじめている。
「……ヒカル」
残された3人。
ミコトが、なんとか口を開いた。
「お願い、話しを、聞いて。私、私は……!」
マドカに支えられながら、
苦しそうに言葉を紡いでいるミコト。
ヒカルがため息をついた。
「もう、いいよ」
諦めたような声色。
ミコトの言葉が、途切れた。
ヒカルが目を細める。
「あんた、終わってるみたいだから。しらけちゃったし、これ以上関わる気もない」
淡々とした口調。
ミコトが目を見開いた。その表情が凍りつく。
「おい、お前!」
マドカの方を向くヒカル。
びくりと、マドカが震えた。
「えっ!? は、はい!?」
「朝のカード。よこせ」
手を伸ばしているヒカル。
ハッとなって、マドカがカードを取り出した。
ヒカルが、カードを掴んで──
「ほら、あんたのだよ」
ミコトに、差し出した。
天弓の騎士 ベイス
ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)
ケテルサンクチュアリ - エンジェル
パワー6000 / シールド5000 / ☆1
【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。
― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。
息を詰まらせているミコト。
震える手で、カードを受け取る。
ざわざわと、周りの木々が音をたてて──
「じゃあね。もう会うことはないけど」
ヒカルが、視線を逸らした。
背を向けるヒカル。そのまま、歩き出す。
「待って! ヒカル!」
呼び止めるミコト。右手を伸ばす。
その態勢が崩れ、倒れそうになった。
徐々に遠くなるヒカルの姿。そして──
ヒカルが、公園から去っていった。
「うっ……うぅっ……!」
再び、泣き始めるミコト。
横で支えるマドカが、心配そうに見つめる。
「氷川さん……!」
むなしく、その言葉は響いて消える。
悲しみの音。二人きりの公園。
空に浮かぶ月が、二人の姿を照らしていた。
白い色が、目の前に広がる。
どこまでも続く不可思議な空間。
記憶の海。全てが飲み込まれた場所。
独りぼっちの空間に、私は立っている。
「…………」
白い色の中に、漂っている私。
呼吸をした。ゆっくりと、息を吸って、吐く。
どうすればいいのかは、分かっている。
この場所にきたその日から、
それは分かり切った事だった。
ただ、気付かない振りをしていただけ。
「…………」
もう一度、息を吸って吐く。
頬を涙がつたった。胸が苦しくなる。
ぎゅっと、手を握った。勇気を振り絞る。
「……ヒカル」
白い空間に、言葉が波打つ。
金色の光が、一瞬、目の前を横切った。
息を吐いて──
振り返った。
かすかな、花の香りがした。
思い出の匂い。一番好きで、一番嫌いな匂い。
白い空間の中に──
「ようやく、こっちを向いてくれたね!」
明るい声が、響いた。
黒く、長い髪の少女が立っている。
ブレザーを着た姿。はつらつとした雰囲気。
輝くような笑顔を、少女は浮かべている。
「久しぶり、私のカワイイ後輩!」
最期に聞いたのと、全く同じ声色。
慈しむように、少女は私の事を見つめている。
思い出の姿。永遠に忘れられない存在。
「……ツキちゃん」
少女を見ながら、私は呟く。
どこまでも続く、白い空間。記憶の海。
御導(みどう)ツキ。彼女こそが本物の──
ルーンシャトーだ。
俺のカードを見ろ!
〔ホラ貝を吹く音〕
三峯ヒカルよ。
なにここ? カードの紹介?
ウザいんだけど。はぁ? お願い?
あーもう、めんどうくさいわね。
いいわ、とっとと終わらせてあげる。
《イマジンセイバー・ドラゴン》でいいわね。
〔ドドン!〕
イマジンセイバー・ドラゴン
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、イマジナリーギフトを1つ得る。(色に応じたギフトを得る)
【自】:このユニットがペルソナライドして登場した時、あなたが「誓い」のクレストを得ているなら、【コスト】[「誓い」のクレストを戻す]ことで、あなたは「誓い」のクレストを1つ得る。
【永】【(V)】:このユニットがアタックしたバトル中、パワー+10000。
― 神聖なる竜の光が、失われた奇跡を呼び覚ます。
イマジンセイバーはイメージを司る竜。
ケテルサンクチュアリの奥深く、
失われた聖域を守っている神聖なる竜よ。
特徴はなんといっても、
誓いの色に応じて得られる能力が変わる事。
フォース、アクセル、プロテクト。
相手に合わせて、戦術を切り替えていくわ。
さらにペルソナライドすることで、
途中でそれらをスイッチすることもできるの。
ふん、こんなものでいいでしょ。
あと、言っておくけど、別にあんた達のために
説明した訳じゃないから。勘違いしないでね。
〔ふすまの閉じる音〕
つづく?