カードファイト!! ヴァンガード LunaLight   作:バビロン@VG

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第5話 時の踊り

 

──夏の日差しが、空から降り注いでいた。

 

雲一つない晴天。熱した空気。

公園の木々から聞こえる、セミの鳴き声。

子供たちの歓声が、あちこちであがっている。

 

公園の一角に──

 

「どうしてよ!!」

 

少女の、大きな声が響いた。

 

黒の長い髪に、小柄な体格。

小学校低学年程の年齢に見える少女。

デッキケースを手に、涙を浮かべている。

 

「ここは、おれたちの場所なんだ!」

 

黒髪の少女の前、少年が声をあげた。

公園に設置されたファイトテーブル。

数人の少年が、その前に集まっている。

 

少年が、黒髪の少女を指差した。

 

「おれたちはファイターだ! だから、ここを使う! お前はちがうから、ダメだ!」

 

「あ、あたしだって、カードもってるもん!」

 

涙目になりながら、話す黒髪の少女。

少年達がドッと笑った。

 

「お前、ルールも知らないじゃん! ヴァンガード、やったことないだろ!」

 

大きな笑い声。

黒髪の少女が、傷ついたように視線を伏せる。

 

「だ、だって、クラスでほかにやってる子、いなくて……!」

 

弱気な口調。

ぽろぽろと、その目から涙がこぼれる。

 

「で、でも、あたしも、ヴァンガード、やりたいもん……! だから……!」

 

顔を上げ、少年達の方を見る黒髪の少女。

少年達が首を振った。

 

「ダメだ! ここはおれたちの場所! 弱いやつは、あっちいってろ!」

 

しっしっと手を振る少年。

周りの少年達も同調するように笑った。

 

「うぅっ……!」

 

顔を伏せる黒髪の少女。

デッキケースを持つ手が震えた。

 

声をあげて、少女が泣きそうになった時──

 

「なら、ファイトで決めましょう!」

 

鋭い声が、その場に響いた。

黒髪の少女が驚き、顔をあげる。

 

涙でにじむ視界に──

 

「あなた達、ファイターなんでしょ?」

 

一人の少女の姿が、目に映った。

耳にかかる程度のショートカット。茶色の髪。

 

少女が、不敵な笑みを浮かべている。

 

「なんだと! 誰だ、お前!」

 

声をあげる少年。

少女が少しだけ考えて、答える。

 

「……正義のヒーロー!」

 

にっこりと、微笑む少女。

びしっと、少年達を指差す。

 

「あなたたち、弱いものイジメはやめなさい! 公園は皆のものよ!」

 

「よ、弱いもの……!」

 

ガーンとショックを受ける黒髪の少女。

少年が少女をにらんだ。

 

「お前、ヴァンガードできるのか! おれは、クラスでいちばん強いんだぞ!」

 

「だったら、文句ないでしょ! それとも、負けるのが怖い?」

 

挑発するような笑み。

周りの少年達が「あいつ、なまいきだぞ!」

「やっちゃえ!」と口々にはやし立てる。

 

「……いいぜ! 相手になってやる!」

 

答える少年。

デッキケースを取り出して、構えた。

少女がフッと笑みを浮かべる。

 

ファイトテーブルで対峙して──

 

「スタンドアップ・ヴァンガード!!」

 

二人の声が、重なった。

少女の前、1枚のカードが表になる。

 

 

天弓の騎士 ベイス

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。

 

 

「ライド! そしてコール!」

 

ファイトが進んでいく。

自信に満ちたカードさばき。迷いのない判断。

 

「わぁ……!!」

 

感嘆の声が、黒髪の少女から上がった。

目を輝かせ、ファイトに見入る。

 

少女がデッキに手を伸ばした。

 

「チェック・ザ・ドライブ!」

 

勢いよく宣言する少女。

カードがめくられ、表になる。

 

そして──

 

「ヴァンガードにアタック!!」

 

堂々とした宣言。

少年が「ぐぅっ!」と声を出し──

 

6枚目のカードが、ダメージに置かれた。

 

 

少年 ダメージ5→6

 

 

「イェーイ! あたしの勝ち―!」

 

楽しそうに、声をあげて喜ぶ少女。

少年が悔しそうに叫ぶ。

 

「く、くっそー! なんでだよー!」

 

身体を震わせている少年。

少女がふふんと、得意そうな表情を浮かべた。

 

「じゃあ、とりあえずどっか行ってね。ここ、あたしと、この子が使うから」

 

黒髪の少女の頭に、ぽんと手を置く少女。

少年達と黒髪の少女が驚く。

 

「な、なんだよそれ!」

 

抗議の声があがる。

少女が、どこか悪そうな笑みを浮かべて──

 

「だって、あたしが勝ったもん。弱いやつは、あっちにいくんでしょ?」

 

少年の言葉を、そっくり返した。

「ぐっ!」と言葉を詰まらせる少年達。

 

「お、おぼえてろよ!」

 

少年達が捨て台詞を吐き、離れていった。

その後ろ姿に向かって、少女が言う。

 

「ふーんだ! 次来ても、返り討ちだからね!」

 

騒がしく、少年達を煽っている少女。

おずおずと、黒髪の少女が口を開いた。

 

「あ、あの……!」

 

「ん?」

 

振り返る少女。

黒髪の少女が、小さな声で言う。

 

「た、助けてくれて、ありがとうございます……! あ、あたし、その……!」

 

デッキケースを抱いている黒髪の少女。

自信なく、視線を伏せている。

 

少女が微笑んだ。

 

「いいよ、そんなの気にしなくて! 同じファイターだもん! 当然のことだよ!」

 

明るく、少女が言った。

太陽のように輝く笑顔。茶色の髪が揺れる。

 

黒髪の少女を見ながら──

 

「あたし、氷川ミコト! あなた、名前は?」

 

少女──ミコトが、そう問いかけた。

おずおずと、顔をあげる黒髪の少女。

 

はにかんだ笑みを浮かべて──

 

「三峯……三峯ヒカルです……!」

 

黒髪の少女が、そう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

VANGUARD

LunaLight

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──2週間後。

 

「えっ、6年生!? 同い年なの!?」

 

公園のベンチに座っているミコトが、

ジュースを片手に、驚きの声をあげた。

 

「えっ!? そ、そうだよ!?」

 

同じく、驚いているヒカル。

ミコトがじろじろと、ヒカルの方を見る。

 

「……うーん」

 

考え込んでいるミコト。

ヒカルがムッとした表情を浮かべた。

 

「あっ! ミコトお姉ちゃん、あたしのこと、小さいって思ったでしょ!」

 

頬を膨らませているヒカル。

怒ったように、続ける。

 

「確かにクラスで一番背は小さいけど……これから、大きくなるもん!」

 

ツンとした様子で、ヒカルがそっぽを向く。

ミコトが苦笑いを浮かべた。

 

「あはは、ごめんごめん! ちょっと、びっくりしちゃっただけ!」

 

頬をかいているミコト。

ヒカルの方を見ながら、続ける。

 

「でも、同い年なら、ミコトお姉ちゃんってのは変えていいんじゃない? 呼び捨てでいいよ?」

 

少しだけ首をかしげるミコト。

ヒカルがびっくりしたような表情を浮かべた。

 

「えっ!? それはダメだよ!!」

 

当然のような口調。

ミコトが不思議そうに、次の言葉を待つ。

 

頬を赤く染めながら、ヒカルが目を逸らした。

 

「だって、ミコトお姉ちゃん、あたしが出会った中で一番、かっこいいから。呼び捨てなんて、できないよ……」

 

もじもじと指を動かしているヒカル。

ミコトが目を丸くする。

 

ぷっと、吹き出して──

 

「あはは! なーに、カワイイやつめー!」

 

ミコトが、ヒカルに抱き着いた。

ヒカルが「わっ」と小さく声をあげる。

 

「ちょ、ちょっと、ミコトお姉ちゃん!」

 

恥ずかしそうな声をあげるヒカル。

ミコトは構わず、頬を押し当てている。

 

「いいから、いいから。こういうのハグっていうんだって。あたしも、よくやられてるからさー」

 

「も、もー、やめてよー!」

 

じたばたとしているヒカル。

だが、そこまで強くは抵抗しない。

 

セミの鳴き声が、辺りには響き渡っている。

 

「さーて、そろそろ行こうかな!」

 

ひとしきりハグを楽しんだ後、

ミコトがベンチから立ち上がった。

 

「ねぇ、ミコトお姉ちゃん。連れて行きたい場所があるって言ってたけど、どこに行くの?」

 

不思議そうに訊ねるヒカル。

ミコトがニッと、笑みを浮かべた。

 

「それは、行ってのお楽しみ!」

 

悪戯っ子のような口調。

ヒカルが目を伏せた。

 

「別に、ミコトお姉ちゃんと遊べれば、ここでもいいのにな……」

 

ぼそりと、呟いているヒカル。

ミコトが手を伸ばす。

 

「まぁ、そう言わないで。ほらほら、行くよ!」

 

「……はーい!」

 

ミコトの手を掴むヒカル。

2人が、手を繋いで歩き始める。

 

他愛のない会話が、道中続く。

 

公園を出て、大通りへ。

さらにバス停まで進むと、バスに乗車した。

都市部から郊外へと進むバス。そして──

 

優雅な造りの大邸宅の前に、2人は立つ。

 

「わぁ……!」

 

うわずった声を出すヒカル。

目を輝かせながら、ミコトを見上げる。

 

「み、ミコトお姉ちゃん! ここ、ミコトお姉ちゃんのお家なの!?」

 

わくわくとしているヒカル。

ミコトが笑いながら、手を振る。

 

「あはは、違うよ。あたしの家、美容室だし。ここはね、あたしの師匠の家なの」

 

「ミコトお姉ちゃんの……師匠?」

 

首をかしげるヒカル。

ミコトが頷いた。

 

「うん。あたしにヴァンガード教えてくれた人。難しく言うと……先導者かな?」

 

楽しそうに話すミコト。

門の柵を開けると、中へと踏み入る。

 

「い、いいの? 入っちゃって?」

 

不安そうに聞くヒカル。

ミコトが笑みを浮かべた。

 

「大丈夫、大丈夫。ちゃーんと、お家の人とかにも今日行くって言ってあるから」

 

自信に満ちた口調。

ヒカルもまた、おずおずと付いていく。

 

広々とした庭を、2人が進む。

 

「す、すごい。外国みたい!」

 

綺麗に整えられた花壇。大理石の道。白い壁。

ヒカルが目を輝かせながら、道を歩いていく。

 

大きな扉の前。チャイムを鳴らして──

 

「お邪魔します」

 

礼儀正しく、ミコトが扉を開けた。

赤い絨毯。白い床。西洋風の造り。

 

家の中には、ピアノの音が鳴り響いている。

 

「綺麗な音……」

 

ぼうっとしたように、ヒカルが呟く。

ミコトもまた、その場で目を閉じた。

 

「月の光。ツキちゃん、本当に好きだね……」

 

しばし、そのまま聞き入るミコト。

やがてヒカルの手を引くと、中へと進んでいく。

 

ひと際大きく、ピアノの音が聞こえる部屋の前。

 

ミコトが深呼吸した。

ドアノブに手をかけるミコト。

 

静かに、ドアを開いて──

 

「ツキちゃーん?」

 

部屋の中に向かって、ミコトが呼びかけた。

ピアノの音が、名残惜しそうに止まる。

 

黒く長い髪が揺れて──

 

「……ミコト」

 

一人の少女が、振り返った。

整った顔立ちに、白い肌。艶のある黒い髪。

中学校のブレザーに、胸のリボン。

 

笑みを浮かべて──

 

「よくぞきたー! 私のカワイイ後輩ー!」

 

少女が、両手をあげて立ち上がった。

テンション高く、ミコトへと駆け寄る少女。

 

そのままミコトに抱き着く。

 

「もー、ツキちゃん、暑いー」

 

ミコトが、呆れたように言った。

慣れた様子。されるがままのミコト。

 

少女が嬉しそうに笑う。

 

「ふふふ、本当は嬉しいくせにー。素直じゃないんだからー」

 

楽しそうにハグしている少女。

ヒカルは呆然と、その光景を見ている。

 

少女がヒカルに気づいた。

 

「ん? この子は?」

 

黒い瞳をヒカルへと向ける少女。

ミコトがようやく解放される。

 

「この前、公園で知り合ったの。今、あたしがヴァンガード教えてるんだ」

 

ヒカルを手で示しながら、紹介するミコト。

少女が両手を握り合わせて、目を輝かせた。

 

「えっ、ていうことは、孫弟子!? 私もついに、お婆ちゃんになったの!?」

 

「いや、意味分からないけど……」

 

頬をかき、呆れた目を向けるミコト。

ヒカルがおずおずと、少女を見上げる。

 

「えと、三峯ヒカルっていいます……」

 

小さな声であいさつするヒカル。

ぺこりと、頭を下げる。

 

少女が微笑んだ。

 

「はじめまして! 私は御導(みどう)ツキ!」

 

胸に手を当てて話す少女──ツキ。

にっこりと、ヒカルに笑いかける。

 

「ミコトの2つ上なんだ! だけど遠慮しないで、ツキちゃんって呼んでいいんだよ!」

 

子供に語り掛けるような口調。

ヒカルが反応に困ったように、ミコトを見る。

 

ミコトが肩をすくめた。

 

「ツキちゃん。ヒカル、あたしと同い年だよ」

 

「……えっ?」

 

驚愕の声が漏れるツキ。

ミコトとヒカル、交互に視線を移す。

 

一瞬の間の後──

 

「……よろしく、カワイイ後輩!!」

 

ごまかすように、ツキがヒカルに抱き着いた。

ヒカルが「わわっ」と声をあげる。

 

柔らかな花の匂いを、ヒカルが感じた。

 

「ツキちゃん、調子はいいの?」

 

抱き着かれているヒカルを見ながら、

訊ねるミコト。

 

ツキがにこっと笑い、ピースサインを作った。

 

「絶好調だよ! やっぱり、私って天才!」

 

自信に満ちた声。

ヒカルを離すと、腰に手を当てて胸を張る。

 

「この前のピアノのコンクールも、ばっちり金賞とってきたよ! そこに置いてあるでしょ!」

 

部屋の奥の棚を示すツキ。

たくさんのトロフィーが、ずらりと並んでいる。

 

「つ、ツキちゃん、凄い人なんだね……!」

 

驚いているヒカル。

照れたように、ツキが頬を染めた。

 

「そうなのよー。もっと褒めていいんだよー」

 

デレデレとしているツキ。

ミコトがため息をついた。

 

「ヒカル、あんまり褒めないで。ツキちゃん、すぐに調子にのるんだから」

 

呆れた声のミコト。

じとっとした目を向ける。

 

「ツキちゃん、黙ってれば深窓の令嬢なのに。口を開けると、こんな感じで残念なんだよね」

 

「なっ!? 残念!?」

 

ショックを受けるツキ。

そのまま、その場に崩れ落ちる。

 

「うぅ、酷い……! 私はこんなにがんばってるのに、カワイイ後輩が私をイジめる……!」

 

よよよと涙を流しているツキ。

渋い顔になるミコト。

 

ヒカルが、怒ったような表情を浮かべた。

 

「ミコトお姉ちゃん! ダメだよ!」

 

注意するような口調。

ツキとミコトが「え?」という表情になる。

 

ヒカルがミコトの事を見上げた。

 

「ミコトお姉ちゃんはかっこいい正義の味方なんだから、イジメとかしちゃダメだよ!」

 

真剣な声。本気で言っているヒカル。

ツキが、感動したように立ち上がった。

 

「素晴らしい! そうなのよ、私もそれが言いたかったの!」

 

調子よく、話しを合わせるツキ。

ヒカルの頭を、愛おしそうになでる。

 

「君は優しい子だね! 良い子、良い子」

 

「……えへへ」

 

満更でもなさそうなヒカル。

ミコトが額に手を当てた。

 

「もー、ツキちゃん。調子いいんだから……」

 

不満そうな声を出すミコト。

だかすぐに、笑顔を浮かべる。

 

部屋の中に、3人の笑い声が響いた。

 

「ねぇ、そろそろいいでしょ」

 

声をかけるミコト。

その目が鋭く、真剣な光を帯びる。

 

「おぉ、やる気まんまんだね。私、そういうミコトも嫌いじゃないよ!」

 

ペースを崩さないツキ。

ヒカルが不思議そうな目で、2人を見る。

 

ツキがにっこりと笑う。

 

「それじゃ、こっちおいで」

 

楽しそうな口調のツキ。

そのままピアノの向こう側へと進んでいく。

 

黒いテーブルの前に、ツキが立った。

 

「さーて、ハンデはいる?」

 

訊ねるツキ。

その向かいに、ミコトが立った。

 

「いらない」

 

そっけなく答えるミコト。

赤いデッキケースを取り出し、カードを並べる。

 

「ふっふっふっ、良いね。なら私も、カワイイ後輩に胸をかしてあげようではないか!」

 

先程と変わらぬ口調のツキ。

余裕たっぷりに、ミコトに視線を向ける。

 

その手が、白いデッキケースを取り出した。

 

「悪いけど、今日こそあたしが勝つからね!」

 

威勢よく言い放つミコト。

赤い紋章の柄のスリーブに入ったデッキを置く。

 

「負けっぱなしなの、性に合わないし!」

 

キッと鋭い目を向けているミコト。

青い紋章のカードの上に、指を置く。

 

月のスリーブに入ったカードを置いて──

 

「ならば、全力でかかってくるがよいー!」

 

ツキが、尊大な口調でそう言った。

緊張した表情のヒカル。ツキが指を伸ばす。

 

一瞬の間の後──

 

「スタンドアップ・ヴァンガード!!」

 

二人が、カードを表にした。

 

「《天弓の騎士 ベイス》!」

 

「《サンセット・エッグ》!」

 

 

天弓の騎士 ベイス

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - エンジェル 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 天空の民は自らが選ばれし者であると心得ている。

 

 

サンセット・エッグ

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 人知れず眠る、夢幻の遺伝子を秘めた卵。

 

 

向き合っている二人。

張りつめた空気が流れる。

 

「あたしから! ドロー!」

 

勢いよくカードを引くミコト。

真剣な眼差し。全力を出しているミコト。

 

穏やかに、ツキは微笑んでいる。

 

「ヴァンガードにアタック!」

 

カードの応酬が続く。

素早い攻防。迷いのない判断。

ヒカルがなんとか、2人の戦いに付いていく。

 

ターンが進んで──

 

「夢幻蝶姫 セレネシスでアタック!」

 

ツキが、自信に満ちた声でそう宣言した。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

虫の姫君のカードによる攻撃。

手札を見るミコト。悔しそうな表情が浮かぶ。

 

顔を伏せて──

 

「ノーガード……」

 

ミコトが、静かにそう宣言した。

デッキの上のカードをめくるミコト。

 

ちらりとカードを見ると、息を吐いた。

 

「ノートリガー……」

 

 

剣聖騎竜 グラムグレイス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ケテルサンクチュアリ - コスモドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【永】【(V)】:あなたのペルソナライドは後列のユニットのパワーも増加させる。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1), 【ソウルブラスト】(1)]することで、1枚引き、あなたの手札から1枚選び、中央後列の(R)にコールし、そのターン中、そのユニットは後列からでもアタックでき、パワー+10000。

【自】【(V)】:あなたの中央後列のリアガードがアタックしたバトル終了時、そのユニットをソウルに置き、1枚引く。

― 蒼空より来たれ、我が刃。龍血伝承・閃耀不壊!

 

 

ミコト ダメージ5→6

 

 

6枚目のカードを置くミコト。

ツキがふふんと、得意そうな表情を浮かべた。

 

「まだまだ修行が足りないよ、カワイイ後輩!」

 

胸を張っているツキ。

ミコトが「むー」と不満そうに唸る。

 

ヒカルが目を輝かせた。

 

「す、すごい! すごい!」

 

はしゃいだ声をあげるヒカル。

ツキとミコト、2人を交互に見る。

 

「ミコトお姉ちゃんも強いけど……ツキちゃんも、すごく強い!」

 

きらきらとした目を向けるヒカル。

ツキがこれ以上ないくらい、デレデレとする。

 

「でしょー? さすがは、私のカワイイ後輩。見る目があるね!」

 

笑い合っている2人。

ミコトがムッとした表情になる。

 

「なによ、ヒカル。ツキちゃんの味方ばっかりしちゃって……」

 

不満そうに腕を組むミコト。

ヒカルがハッとなり、慌てて手を振った。

 

「あっ! ち、違くて。ミコトお姉ちゃんは今でも1番かっこいいよ! ツキちゃんは2番目!」

 

「うぇっ!?」

 

驚き、目を丸くするツキ。

ミコトが笑った。

 

「あはは! 残念、ツキちゃん。ヒカルは私の味方みたいー」

 

嬉しそうに言うミコト。

ヒカルと目を合わせ、「ねー」とハモる。

 

再び、ツキがその場に崩れ落ちた。

 

「うぐぅ……なんで、どうして……! 私、ミコトの師匠で、勝ってるのにィィィ……!」

 

暗黒のオーラを出しているツキ。

その姿を見て、2人がさらに笑い声をあげた。

 

陽の光が、部屋の中に降り注ぐ。

 

「ねぇ、ミコトお姉ちゃんは、ツキちゃんに勝ったことってないの?」

 

くつろいだ空気が流れている部屋。

座り込む3人の中、ヒカルが無邪気に訊ねた。

 

「……ないよ」

 

渋い顔で答えるミコト。

真剣な表情で、デッキの中身を入れ替えている。

 

ツキが得意そうに胸を張った。

 

「ふっふーん。私最強! 敬っていいんだよ?」

 

「はいはい」

 

冷たく流しているミコト。

ツキがガーンと、ショックを受ける。

 

「……ふふふ」

 

楽しそうに、ヒカルが微笑んだ。

カードを見ながら、ミコトが息を吐く。

 

「ツキちゃん、こんなだけど凄く強いから。プロ相手に勝って、スカウトされてたりもするし」

 

「えっ!?」

 

驚きの声をあげるヒカル。

ツキが「アハハ」と笑い声をあげた。

 

「いや、プロって言っても、試験に合格したばっかりの子だし。そんな大した事じゃないよー」

 

手をひらひらとさせているツキ。

ヒカルはあんぐりと、口を開けている。

 

ミコトがため息をついた。

 

「プロ試験に合格した子にファイト挑んで、ボコボコにして泣かせたのは、大した事だよ」

 

呆れたような目。

ツキの笑顔が、僅かにひきつった。

 

「い、いや。だって、凄くマナー悪い感じに他の子に絡んでたから、つい、カッとなっちゃって、その……」

 

あたふたと言い訳しているツキ。

ミコトが肩をすくめた。

 

「10代で合格って凄い注目されてたのに、そのせいで大目玉くらったって聞いたよ。おまけに、ツキちゃんはスカウト断っちゃうしね」

 

「……反省してます」

 

神妙な口調で頭を下げるツキ。

ヒカルが話しに割り込んだ。

 

「ツキちゃん、プロにはならなかったの?」

 

不思議そうに訊ねるヒカル。

ツキが口元に手を当てた。

 

「んー。興味はあるといえばあるけど、今は別にいいかな。ヴァンガードも好きだけど、ピアノも好きだからね、私」

 

おもむろに立ち上がるツキ。

部屋の中央に進むと、黒いピアノの前に座る。

白い指が踊るように動いて──

 

美しい音色が、奏でられた。

 

「わぁ……!」

 

感嘆の声をあげるヒカル。

ミコトもまた、静かに目を閉じた。

 

「月の光。ツキちゃんが一番好きな曲だよ」

 

ヒカルに向かって、ささやくミコト。

寄り添う二人。柔らかな音に、聞き惚れる。

 

楽譜を弾き終えて──

 

「……うん、いい感じ」

 

ぽつりと、ツキが呟いた。

どこか神秘的な美しさを讃えた横顔。

 

ヒカルが、ぱちぱちと拍手した。

 

「す、すごい! ツキちゃん、かっこいい!」

 

心の底から感動した様子のヒカル。

ツキが顔を向けて──

 

「えへへ、でしょー?」

 

デレデレと、調子良く答えた。

ミコトが残念そうに顔を伏せる。

 

「もー、これだから……」

 

首を振っているミコト。

はしゃいでいる二人を、複雑そうに見る。

 

ツキが手を叩いた。

 

「そうだ! ミコト、これ見て!」

 

思い出したかのように言うツキ。

ポケットから、あるものを取り出した。

 

1枚のチケットが、その手に握られている。

 

「ヴァンガード・チャリティーイベント……?」

 

チケットに書かれた文字を読み上げるヒカル。

ミコトが目を丸くした。

 

「えっ、ツキちゃん、当選したの!?」

 

驚いているミコト。

ツキが得意そうな笑みを浮かべる。

 

「ふっふーん。やっぱり私、もってるよね!」

 

チケットをかざしているツキ。

ミコトとヒカルに笑いかける。

 

「来週の日曜日! このチケット1枚で3人まで入れるんだって! ねぇ、一緒に行かない?」

 

「い、いいの!?」

 

嬉しそうな声をあげるミコト。

ヒカルが困惑したような表情になる。

 

「ミコトお姉ちゃん、そんなにこのイベント行きたかったの……?」

 

疑問を口にするヒカル。

ツキがどこか意地の悪い笑みを浮かべた。

 

「そりゃね。なにせ、ミコトの憧れの王子様がくるから、このイベントには」

 

「ちょ、ちょっと、ツキちゃん!」

 

顔を真っ赤にしているミコト。

ヒカルがますます困惑した表情を浮かべる。

 

コホンと、ミコトが咳払いした。

 

「ま、まぁ、せっかくのイベントだもんね。行くわよ、絶対に。ヒカルは?」

 

「あ、ミコトお姉ちゃんが行くなら、私も……」

 

頷くヒカル。

ツキがニッと笑みを浮かべた。

 

「よし、決まりね! じゃあ例の企画には、3人の名前で登録しておくから!」

 

チケットをかざしているツキ。

一瞬、その目をわずかに細める。

 

「……準備、しないとね」

 

ぼそりと、ツキが呟いた。

真剣な表情。その黒い瞳が揺れる。

 

フッと、視線を切って──

 

「でもさ、3人ってことは、私とミコトがママとパパで、ヒカルが子供になるのかな?」

 

いつもの調子で、ツキがそう言った。

3人の間に、一瞬静寂が流れる。

 

「ツキちゃん!?」

 

不満そうに、ミコトとヒカルの声が重なった。

抗議の声をあげる二人。詰め寄られるツキ。

 

「じょ、冗談だよ! そんな怒らないでー!」

 

情けない声を出すツキ。

騒がしくなる部屋。静かに佇むピアノ。

 

3人の声が、いつまでも部屋に響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ晴れとした空が、広がっていた。

 

澄み切った青。雲一つない晴天。

3人が、イベント会場の公民館を見上げる。

 

「ついに、この日がきたね!」

 

弾む声。明るい笑顔。

ツキが嬉しそうに、両手を広げる。

 

「だ、大丈夫かな? ねぇ、ヒカル、あたしの髪型、変じゃない?」

 

いつになくオシャレな格好をしているミコト。

しきりに、身だしなみを気にしている。

 

「大丈夫! ミコトお姉ちゃんは、いつだって綺麗だよ!」

 

明るく言い切るヒカル。

だがミコトは不安そうに、手鏡を見つめている。

 

「ううぅぅ……!」

 

細かく、髪の調整をしているミコト。

ヒカルがツキにささやく。

 

「……ミコトお姉ちゃん、どうしちゃったの?」

 

目を丸くしているヒカル。

ツキが肩をすくめた。

 

「平気、平気。アイドルに会う前のファンみたいなものだから。あれでミコトって、結構ミーハーなんだよね」

 

面白そうに言うツキ。

ヒカルが理解できない表情になる。

 

ツキが前を向いた。

 

「よーし、いくぞ、カワイイ後輩達ー!」

 

声を出し、2人の肩に手をのせるツキ。

ミコトが「わわわ!」と声をあげる。

 

「ちょ、ちょっと待って、ツキちゃん! まだ、あたし、心の準備が……!」

 

「問答無用! 年貢の納め時だよ、ミコト!」

 

ぐいぐいと背中を押すツキ。

 

「早く行こうよ、ミコトお姉ちゃん!」

 

ヒカルもまた、明るくそう言った。

ミコトが赤い顔のまま、顔を伏せる。

 

「ううぅぅ……!」

 

恥ずかしそうに唸っているミコト。

3人が並んで、会場の中へと入っていく。

 

会場内は、多くの人で賑わっていた。

 

いくつものテーブル。張り出されたポスター。

スーツを着た数名のスタッフが、準備している。

 

「……うーん」

 

会場の中を見渡すヒカル。

一通り視線を向けると、呟く。

 

「……あんまり、大きいイベントじゃない?」

 

想像と違ったと言わんばかりの顔。

ツキが頷いた。

 

「そりゃ、普及協会主催のチャリティーイベントだもん。そんな大規模なやつじゃないよ」

 

当然のように話すツキ。

ヒカルが、がっかりしたように肩を落とした。

 

「なーんだ。ミコトお姉ちゃんがあんなにはしゃいでるから、凄いイベントだと思ったのに……」

 

不満そうなヒカル。

ツキが微笑んだ。

 

「現実を受け止めなきゃね、カワイイ後輩! いやぁ、それにしても──」

 

ちらりと、横に視線を向けるツキ。

深呼吸をしているミコト。緊張した様子。

 

「お、落ち着いて、あたし。大丈夫、大丈夫だから。ゆっくり息をして……」

 

自分に言い聞かせるように、

ミコトはぶつぶつと呟いている。

 

ツキがため息をついた。

 

「今日は、ミコトはダメダメかも。倒れないよう、気を付けてないといけないかなー」

 

心配そうに話すツキ。

ヒカルがツキを見上げた。

 

「だ、大丈夫! その時は、私がミコトお姉ちゃんを助けるから!」

 

力強く言うヒカル。

ツキが笑った。

 

「おぉ、ヒカルは頼れるね! じゃあ、その時は頼んだよ、カワイイ後輩!」

 

「うん!」

 

元気に頷くヒカル。二人で笑いあう。

そのやり取りを全く聞いていないミコト。

 

女性スタッフが、前の方でマイクを持った。

 

「それでは、時間になりました!」

 

キーンというハウリング音。

スピーカーを通した声が、会場内に響く。

 

「ヴァンガード普及協会主催! チャリティーイベントをはじめまーす!」

 

開会の宣言。

大きな拍手が会場内に起こる。

 

「今回はこちら、武蔵国の彩多摩市での開催となりました! 皆さん、お集まりいただきありがとうございます!」

 

カンペを片手に話している女性スタッフ。

笑顔を浮かべ、会場内を見渡す。

 

「スタッフによるルール教室や、フリーファイトスペース! 普及協会主催のビンゴゲームや宝探しなど、多数のイベントが盛り沢山です!」

 

楽しそうな口調で言うスタッフ。

ヒカルが目を輝かせた。

 

「わぁ、けっこう、楽しそうかも!」

 

わくわくした様子のヒカル。

ツキがこっそりとささやいた。

 

「ふふん、でもね、本命はここからだよ」

 

意味深な笑みを見せるツキ。

ヒカルが首をかしげた。

 

スタッフが、その手を天へと伸ばす。

 

「そして! 今回は特別に、超スペシャルなゲストを会場にお招きしています!」

 

仰々しい口調。

どこからか、ドラムロールの音が流れる。

 

「それでは、お呼びしましょう!」

 

期待を煽るかのように、間を作るスタッフ。

会場内の期待が、一気に高まる。

 

シンバルの音が響いて──

 

「──廻間(はざま)ミチルさんです!!」

 

会場内に、歓声が巻き起こった。

凄まじい盛り上がり。ヒカルが驚く。

 

紫色の髪の青年が、姿を見せた。

 

「こんにちは」

 

マイクを受け取り、喋る青年──ミチル。

穏やかな笑みを浮かべて、会場を見渡す。

 

「今日は、よろしくね」

 

透き通るような声。

どこか不思議な雰囲気を漂わせた姿。

 

会場内の歓声が、さらに大きくなる。

 

「ふわわわわ!!」

 

頬を染め、感動の声をあげているミコト。

ヒカルがじとっとした目を向けた。

 

「ミコトお姉ちゃん、はしゃぎすぎだよ……」

 

呆れたように言うヒカル。

ツキが苦笑して、頬をかいた。

 

「今日はゲストである廻間ミチルさんによる、ティーチングファイトも企画されております! 事前に抽選された皆さん、ぜひご参加下さい!」

 

呼びかけるスタッフ。

口元に笑みを浮かべて──

 

「それでは、ヴァンガードチャリティーイベント、開幕です!!」

 

会場内に、その言葉が響き渡った。

拍手と歓声。ばたばたと人の動く音。

 

長蛇の列が、ミチルの前に形成される。

 

「あぁ、生の、廻間ミチルさん……!!」

 

顔を真っ赤にして、

指の間からミチルのことを見つめているミコト。

 

ヒカルがツキを見上げる。

 

「ねぇ、ツキちゃん。あの廻間さんって、そんなに凄い人なの?」

 

純粋な疑問を口にするヒカル。

ツキが頷いた。

 

「まぁ、分かりやすく言うと、日本で一番強いって言われてるプロファイターだねー」

 

どこまでも軽い口調で答えるツキ。

ヒカルが驚いた。

 

「えっ!? そ、そんなに強いの!?」

 

「うん、そう。少なくとも、公式戦で負ける所、見たことないね」

 

当然のように話すツキ。

ヒカルが目を丸くした。

 

「そ、そんな強い人と、こんなイベントでファイトできるの!?」

 

「アハハ。ファイトって言っても、ティーチングファイトだよ」

 

手を振るツキ。

ミチルの座っているテーブルに視線を向ける。

 

「相手が使うのは、ティーチング用のデッキ。それにルールを教わりながらだから、普通のファイトとは全然違うよ」

 

「そ、そうなんだ……!」

 

ホッとしたような、残念なような。

どこか複雑な表情を浮かべるヒカル。

 

ツキがニッと笑った。

 

「まぁ、せっかくだし、相手してもらいなよ! こんなの、滅多にない機会だからね!」

 

「う、うん!」

 

元気に答えるヒカル。

ツキが固まっているミコトの背を叩いた。

 

「ほらほら、カワイイ後輩! ヒカルと一緒に並んできなって! いつまでもそんなじゃ、イベント終わっちゃうよ!」

 

「わっ、ちょ、ちょっと、ツキちゃん!」

 

びっくりした声をあげるミコト。

ツキがにっこりと、微笑んだ。

 

「ほら、ヒカルをお願い! ね?」

 

見つめ合うツキとミコト。

やがて納得したように、ミコトが頷いた。

 

「そ、そうだね。ひ、ヒカルの付き添いだもんね。なら、仕方ないよね、うん」

 

言い訳するような口調。

ヒカルが不満そうに頬を膨らませる。

 

ツキが片手をあげた。

 

「じゃ、いってらっしゃい!」

 

「あれ? ツキちゃんは並ばないの?」

 

訊ねるヒカル。

ツキが「んー」と言い、目を細めた。

 

「私は、もう少し他のを見てからにするよ! じゃあ、また後でね、私のカワイイ後輩達!」

 

明るい声を出して、手を振るツキ。

歌を口ずさみながら、その場から離れていく。

 

ミコトとヒカルが、顔を見合わせた。

 

「……まぁ、ツキちゃん、気まぐれだからね」

 

肩をすくめているミコト。

息を吐くと、ヒカルの手を取る。

 

「よ、よし、それじゃあ、行くわよ!」

 

気合いを入れた声。

ヒカルが「はーい」とどこか呆れたように言う。

 

二人が仲良く、列の最後尾に並んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水の流れる音が響いている。

 

白い壁。大きな鏡。

公民館に設置されている洗面台の前。

 

ツキが、鏡に映る自分の姿を見た。

 

「…………」

 

ジッと、自分の姿を見つめているツキ。

流れている水の勢いが弱まって、止まる。

 

持っていた紙コップを、ツキが置いた。

 

「……うん、大丈夫」

 

小さく、ツキが呟く。

洗面台の前。にっこりと微笑むツキ。

 

「廻間ミチル、かぁ……」

 

ぼそりと言うツキ。

目をつぶりながら、続ける。

 

「そうだね。もう、こんな機会はないよね」

 

自分に言い聞かせるように呟くツキ。

短く、息を吐く。手を伸ばして──

 

透明な錠剤ケースを、ポケットにしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場内は、穏やかな空気に包まれていた。

 

親子や友達、恋人。入り混じる人々。

大人と子供が混じって、歓声をあげている。

 

「《宝抱く竜牙 ドラジュエルド》でアタック」

 

 

宝抱く竜牙 ドラジュエルド

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【永】:このカードはライドされる際、「魔宝竜 ドラジュエルド」としても扱う。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[それぞれ異なるグレードを【ソウルブラスト】(4)]することで、相手のヴァンガードを1枚選び、そのターン中、パワーを1になるまで増減させ、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのクリティカル+1。(その時点のパワーが1になり、その後は増減できる)

【永】【(R)】:このターンにあなたのカードの能力のコストで同時に【ソウルブラスト】(4)以上しているなら、このユニットのパワー+5000。

― 抗うなど、無駄な足掻きと分からぬか……。

 

 

丁寧に、カードを動かすミチル。

紫色の竜の瞳が、相手へと向けられる。

 

「ノーガード……」

 

対戦相手の子供がそう言って、

デッキの上のカードをめくった。

 

6枚目のダメージが置かれる。

 

「あー、負けちゃったー!」

 

悔しそうに言う子供。

ミチルが優しく微笑んだ。

 

「うん。だけど、良いファイトだったよ」

 

「ほ、本当!?」

 

ミチルが頷いた。

 

「君なら、きっと強くなれるよ」

 

柔らかな目を向けているミチル。

子供が、嬉しそうに目を輝かせた。

 

「あ、ありがとう!」

 

お礼を言い、頭を下げる子供。

満足そうな笑みを浮かべ、席から立った。

 

ミチルの前から、対戦者がいなくなる。

 

「これで、抽選に当たった人は全員ですかね」

 

ミチルの横、女性スタッフがそう告げた。

少しだけ残念そうな表情を、ミチルが浮かべる。

 

「そうなんだ。もっと、遊びたかったな……」

 

ティーチング用のデッキを見ているミチル。

その姿を、ミコトとヒカルが遠くから見ている。

 

「はぁぁ、今日は最高の1日だった……!」

 

感激しっぱなしのミコト。

ヒカルがため息をついた。

 

「ミコトお姉ちゃん、ファイト中、うわの空すぎだよ。廻間さん、ちょっと困ってたじゃん……」

 

ぼそりと呟くヒカル。

だが今のミコトには、全く聞こえていない。

 

足音が響いて──

 

「あのー」

 

ミチルの前、呼びかける声があがった。

顔を上げるミチル。黒い髪が映る。

 

ツキが、にっこりと笑顔を浮かべていた。

 

「私、まだ参加してないんですけど」

 

チケットを差し出すツキ。

女性スタッフが受け取り、確認する。

 

「あぁ、はい。じゃあ、座って下さいね」

 

案内する女性スタッフ。

ツキが「失礼します」と言い、席に座る。

 

「あ、ツキちゃん、ようやくやるんだ」

 

ヒカルがツキの姿に気づく。

羨ましそうな目を向けるミコト。

 

「あぁ、いいなぁ、ツキちゃん。あたしも、もう一回やりたい……」

 

デレデレとしているミコト。

ヒカルが大きくため息をついた。

 

ミチルが微笑む。

 

「よろしく」

 

挨拶するミチル。

ツキもまた、微笑みを浮かべた。

 

「えぇ、よろしくお願いします」

 

丁寧な声。

わずかに頭を下げるツキ。

 

二人の視線が交わる。

 

「あの、失礼を承知でお願いします」

 

おもむろに、ツキが口を開いた。

不思議そうな表情を、ミチルが浮かべる。

 

白いデッキケースを取り出して──

 

「私と、本気でファイトしてくれませんか?」

 

ツキが、静かにそう言った。

会場の中、やけにはっきりと響く言葉。

 

一瞬、辺りが静まり返った。

 

「つ、ツキちゃん!?」

 

驚きの声をあげるミコト。

ヒカルもまた、目を丸くしている。

 

深々と、ツキが頭を下げた。

 

「お願いします。私、どうしても、あなたとファイトしてみたいんです」

 

普段とは違う、真剣な声。

ミチルは静かに、ツキに視線を向けている。

 

見えない何かを、見ているかのように。

 

「ちょ、ちょ、ちょっと、困りますよ!」

 

ミチルの後ろで聞いていた女性スタッフが、

目に見えて困惑した声を出した。

 

「これはティーチングのイベントです! 急にそんなことを言われても、廻間さんも困って──」

 

「ねぇ」

 

止めようとする女性スタッフに向かって、

ミチルが声をあげた。途切れる言葉。

 

女性スタッフを見上げて──

 

「僕からもお願い。この子とファイトしたい」

 

ミチルが、はっきりとそう言った。

時が止まったかのように、音が消える。

 

「えっ、えっ、えええぇぇぇ!?」

 

女性スタッフが、驚愕の叫び声をあげた。

ざわめく会場。視線が集まる。

 

ミチルが立ち上がった。

 

「場所、変えようか」

 

穏やかな笑み。落ち付いた口調。

一瞬、テーブルの上のデッキに目を向ける。

 

「……ごめんね」

 

ティーチング用のカード達に向け、

ミチルがぼそりと、そう呟いた。

 

近くのファイトテーブルへと、2人が移動する。

 

「ここ、使っていい?」

 

指差し、訊ねるミチル。

スタッフががくがくと頷いた。

 

「うん、ありがとう」

 

お礼を述べるミチル。

そのままデッキケースを取り出す。

 

ミチルとツキが、向かい合った。

 

「あらためて。急なお願いを聞いて下さり、ありがとうございます」

 

深々と頭を下げるツキ。

ミチルがフッと笑う。

 

「いいよ。気にしなくて」

 

穏やかな口調。

デッキを取り出すミチル。

 

「それに、僕も見たいんだ」

 

真っ直ぐ、ツキを見据えるミチル。

紫色の髪の間、目が開く。

 

灰色の瞳を向けて──

 

「──君の魂が燃えるとこ」

 

ミチルが、そう言い放った。

静かな迫力。冷たく燃える炎のような声。

 

ツキが微笑んだ。

 

「御導ツキです。よろしくお願いします」

 

動じていない様子のツキ。デッキを置く。

横には白い兎のスリーブに入ったカードの束。

 

月のスリーブに入ったカードを、目の前に置く。

 

「ツキちゃん……!」

 

心配そうに、見守っているヒカル。

ミコトもまた、愕然と二人の姿を見ている。

 

静まり返る会場の中──

 

「スタンドアップ・ヴァンガード」

 

2つの声が重なって、響いた。

 

「《サンセット・エッグ》」

 

「《ジュエリアス・ドラコキッド》」

 

 

サンセット・エッグ

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 人知れず眠る、夢幻の遺伝子を秘めた卵。

 

 

ジュエリアス・ドラコキッド

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 竜は生まれながらに、強者たる質格を持つ。

 

 

表になる2枚。

ツキとミチルの視線がぶつかる。

 

「私のターン」

 

静かな口調。

ツキが手を伸ばし、カードを掴んだ。

 

「《緑の魔少女 "ダスク"》にライド」

 

場に置かれる1枚。

緑の髪の少女が、そこには描かれている。

 

「スキルで、ルナコクンを手札に」

 

 

緑の魔少女 "ダスク"

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「サンセット・エッグ」からライドして登場した時、あなたの山札から「ルナコクン」を1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。

― 才華に溢れる少女を、人々は"夜"の名前で表現した。

 

 

デッキを手に取るツキ。

その中の1枚、金色の繭の妖精を見せる。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

「ターンエンド」

 

落ち着いた口調で宣言するツキ。

ミコトが、ごくりと唾を飲んだ。

 

「ツキちゃん、本気だ……!」

 

祈るように、手を握っているミコト。

ミチルが手を伸ばす。

 

「僕のターン」

 

カードを引くミチル。

よどみない動作で、1枚を捨てる。

 

「《ジュエルコア・ドラゴン》にライド」

 

現れる1枚。

橙色の炎を纏う、虹の魔竜。

 

 

ジュエルコア・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「魔石竜 ジュエルニール」にライドされた時、このカードを(R)にコールする。

【自】【(R)】:このユニットがアタックかブーストした時、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。(この効果は強制)

― 魔力の結晶を取り込み、竜は己が力を高めた。

 

 

「スキルで1枚ドロー。ファルケイトをコール」

 

流れるようにカードを選ぶミチル。

ヴァンガードの裏、猫の演者が姿を見せる。

 

 

ファルケイト・パフォーマー

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - ハイビースト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのドロップから1枚まで選び、あなたのソウルにそれと同じグレードがないなら、ソウルに置く。

― 楽しい楽しい三日月の夜。仲間ハズレはいないかな?

 

 

「ファルケイトのブースト、ジュエルコアでアタック」

 

指を使い、カードを動かすミチル。

さらにドロップのカードを手に取る。

 

「ファルケイトのスキルで、ドロップのリスタルゲイラーをソウルへ」

 

 

魔宝竜 リスタルゲイラー

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、このターンにあなたのヴァンガードの能力のコストで、同時に【ソウルブラスト】(4)以上しているなら、【コスト】[手札から1枚ソウルに置く]ことで、1枚引き、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 貴様の企み、すべて見えているぞ。

 

 

ヴァンガードの下にカードが置かれる。

迷いのない選択。淡々とした言葉。

 

無表情のまま、ツキが口を開く。

 

「ノーガード」

 

「ドライブチェック」

 

カードを表にするミチル。

ぬいぐるみを従える少女の姿が表になって──

 

「クリティカルトリガー」

 

ミチルの言葉が、その場に響いた。

 

 

結緋の跳梁 クレン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ダークステイツ - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― お前も私のオモチャにしてあげるっ♪

 

 

「い、いきなり、クリティカル!」

 

小さく声をあげるヒカル。動揺した顔。

対照的に、ツキに動じた様子はない。

 

「ダメージチェック。ノートリガー」

 

カードを表にするツキ。

2枚のカードを、ダメージに置いた。

 

 

スプライト・マドンナ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札から「ルナコクン」を1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。

― もう一度、夢を魅せて、ア・ゲ・ル。

 

 

ノブレス・フリット

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(R)】:あなたのターン中、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのパワー+5000。

― 綺麗だろう?光を振りまくボクの姿は。

 

 

ツキ ダメージ0→2

 

 

「ターンエンド」

 

静かに、宣言するミチル。

お互いに、落ち着き払った様子。

 

ツキが手を動かす。

 

「私のターン」

 

カードを引くツキ。

1枚を選んで、ドロップへ。

 

「《秘めたる才気 "ミッドナイト"》にライド」

 

現れたのは、成長した緑の髪の少女。

ツキが手を伸ばす。

 

「スキルでソウルブラスト。シャドウゾーンの《イーピゲネイア》を表に」

 

 

秘めたる才気 "ミッドナイト"

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「緑の魔少女 "ダスク"」からライドして登場した時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

― 比類なき才能。彼女には直系の血が流れている。

 

 

白い兎のスリーブに入ったカード、

影の羽根を持つ蜂の女怪人のカードが表になる。

 

「《ルナコクン》をコール」

 

ヴァンガードの横。

金色の繭の妖精のカードを置くツキ。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

カードを掴んで──

 

「イーピゲネイアに、メタモルフォシス」

 

影の領域と、カードが入れ替わった。

先程の蜂の女怪人が、場に現れる。

 

──ヴァンガードの横、その後列に。

 

「……へぇ」

 

声を出すミチル。

ヒカルが戸惑った表情を浮かべた。

 

「グレード2なのに、後ろの位置? あれじゃ、攻撃できないよ……」

 

訳が分からないといった声。

ミコトもまた、困惑した表情を浮かべている。

 

ツキが、にらむような鋭い視線を向けた。

 

「イーピゲネイアのスキル。カウンターブラスト、ファルケイトに暗黒繭マーカーを置く」

 

 

イーピゲネイア

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」

((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、暗黒繭マーカーが置かれていない相手のリアガードを1枚選び、暗黒繭マーカーを1つ置く。

― 影の蜂が誘うのは、甘美なる「堕落」の夢。

 

 

ダメージの1枚を裏返すツキ。

不気味な繭のカードが、猫の演者に憑りついた。

 

 

暗黒繭

【永】:このマーカーが置かれたユニットは、元々の能力を失い、パワーが元々のパワー分減り、インターセプトとブーストができない。

【自】 :このマーカーが置かれたユニットが退却した時、あなたの山札からそのユニットと同じグレードを1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。(暗黒繭マーカーを置いたファイターが探す)

 

 

「さらにルナコクンをコール」

 

ヴァンガードの裏、繭のカードを出すツキ。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

ツキが顔をあげる。

その黒い瞳をミチルへと向けた。

 

指を動かして──

 

「ルナコクンのブースト、ミッドナイトでヴァンガードにアタック」

 

静かに、ツキが宣言した。

ミチルが間髪入れずに言う。

 

「ノーガード」

 

「ドライブチェック」

 

デッキに手を伸ばすツキ。

一番上のカードを、表にする。

 

「ヒールトリガー。ダメージ1回復」

 

 

ドリーミング・バタフライ

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 夢の世界へと誘う、煌めく鱗粉。

 

 

ツキ ダメージ2→1

 

 

カードをドロップへと置くツキ。

ミチルもまた、デッキに手を伸ばす。

 

「ダメージチェック」

 

カードをめくるミチル。

そのまま、1枚をダメージとして置いた。

 

 

パワージェム・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、このターンにあなたのヴァンガードの能力のコストで、同時に【ソウルブラスト】(4)以上しているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札を上から2枚見て、1枚まで選び、手札に加え、残りをソウルに置く。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 勝つ為の手段。奴らはこれを本能で理解している。

 

 

ミチル ダメージ0→1

 

 

「ターンエンド」

 

冷静な声色。集中した様子。

静かな攻防が、繰り広げられている。

 

「い、息が詰まりそう……」

 

二人の戦いを見守っているミコトが呟いた。

一瞬たりとも気の抜けない、真剣勝負。

 

張りつめた緊張感が、2人の間には流れている。

 

「僕のターン」

 

カードを引くミチル。

1枚を捨て、カードを手に取った。

 

「《魔石竜 ジュエルニール》にライド」

 

カードを置くミチル。

紫色の炎を纏う、成体の魔竜が現れる。

 

 

魔石竜 ジュエルニール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(V)/(R)】:このユニットのアタックがヴァンガードにヒットした時、【ソウルチャージ】(1)。

【自】:このユニットが「ドラジュエルド」を含むユニットにライドされた時、【ソウルチャージ】(1)し、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが3枚以上なら、1枚引く。

― 何人も寄せ付けぬほどの、圧倒的な魔力の波動。

 

 

「スキルでジュエルコアをコール」

 

ヴァンガードの下、

ソウルから1枚をその横へと置くミチル。

 

 

ジュエルコア・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「魔石竜 ジュエルニール」にライドされた時、このカードを(R)にコールする。

【自】【(R)】:このユニットがアタックかブーストした時、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。(この効果は強制)

― 魔力の結晶を取り込み、竜は己が力を高めた。

 

 

2体の魔竜が、並び立つ。

 

「ジュエルニールでアタック」

 

カードを動かすミチル。

力を失った猫の演者の援護はない、単体の攻撃。

 

「ガード」

 

ツキがカードを場へと出した。

 

 

ドリーミング・バタフライ

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 夢の世界へと誘う、煌めく鱗粉。

 

 

「ドライブチェック」

 

カードをめくるミチル。

表になった1枚を、見せつけるように持つ。

 

 

ブレインウォッシュ・スワラー

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【ソウルチャージ】(1)。

【自】【(R)】:あなたのカードが【ソウルチャージ】で置かれた時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+5000。(【ソウルチャージ】(2)したらパワー+10000。)

― 僕の目を見るんだ。そう……良い子だね。

 

 

トリガーではないカード。

ミチルがそのまま、カードを手札に加えた。

 

「ジュエルコアでアタック。自身のスキルでパワー+5000」

 

 

ジュエルコア・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「魔石竜 ジュエルニール」にライドされた時、このカードを(R)にコールする。

【自】【(R)】:このユニットがアタックかブーストした時、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。(この効果は強制)

― 魔力の結晶を取り込み、竜は己が力を高めた。

 

 

能力で力が高まる魔竜。

ツキが手札のカードを選んだ。

 

「ガード」

 

 

晴朗の乙女 レェナ

トリガーユニット 【引】+10000

(ドロートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000

― こんなに良いお天気なのですよ?お散歩しましょ~♪

 

 

可愛らしい乙女のカード。

竜の攻撃を防ぎ、ドロップへと置かれる。

 

「ジュエルコアは、アタック後ソウルに置く」

 

 

ジュエルコア・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「魔石竜 ジュエルニール」にライドされた時、このカードを(R)にコールする。

【自】【(R)】:このユニットがアタックかブーストした時、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。そのバトル終了時、このユニットをソウルに置く。(この効果は強制)

― 魔力の結晶を取り込み、竜は己が力を高めた。

 

 

カードを動かすミチル。ファルケイトを除いて、

その盤面からカードがなくなった。

 

「ターンエンド」

 

静かに宣言するミチル。

真っ直ぐに、ツキの事を見ている。

 

息を吐くツキ。真剣な表情で──

 

「私のターン」

 

その手で、カードを引いた。

手札を眺めるツキ。1枚を選び、捨てる。

 

月のスリーブのカードを、ツキが掴んだ。

 

「《夢幻蝶姫 セレネシス》にライド」

 

勢いよく置かれる1枚。

影の領域を統べる、女王の血を引く者。

 

妖艶なる虫の姫君が、戦場に姿を現した。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

フッと微笑みを浮かべるミチル。

ツキが手を伸ばす。

 

「スキルで、シャドウゾーンの《ブリトマルティス》を表に」

 

白い兎のスリーブのカード。その中の

影の斧を持つ蠍の女怪人のカードをめくる。

 

ヴァンガードの後ろ、繭のカードを掴んで──

 

「ブリトマルティスに、メタモルフォシス」

 

ツキが、2枚のカードを入れ替えた。

ヴァンガードの横、蠍の女怪人が降臨する。

 

 

ブリトマルティス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」

((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、相手の【レスト】しているリアガードが1枚以下なら、そのターン中、このユニットのクリティカル+1/ドライブ+1。

【永】【(V)/(R)】 暗躍:あなたのターン中、相手のダメージゾーンの裏のカード1枚につき、あなたのユニットすべてのパワー+2000。

― 影の蠍が振るうのは、絶対的な「破壊」の夢。

 

 

「イーピゲネイアを前列に移動」

 

カードを動かすツキ。

手札の中から1枚を選ぶ。

 

「アドマンティスをコール。スキルで、イーピゲネイアにパワー+5000」

 

ヴァンガードの裏、

蟷螂の怪人のカードが置かれた。

 

 

共謀怪人 アドマンティス

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、あなたの他のリアガードを1枚選び、そのターン中、パワー+5000。

― 自ら手を見下すのは、あくまで最後の手段でいい。

 

 

淡々としたカードさばき。

ミチルは静かに、その姿を眺めている。

 

「セレネシスのスキル。ソウルブラストして、ブリトマルティスの効果をコピー」

 

ツキがヴァンガードの下のカードを抜き取った。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

自身の力を変異させる能力。

ツキの視線が、ミチルの場へと向けられる。

 

「コピーしたブリトマルティスのスキル。相手のレストしているリアガードが1枚以下なので、セレネシスのクリティカル+1とドライブ+1」

 

 

ブリトマルティス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」

((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、相手の【レスト】しているリアガードが1枚以下なら、そのターン中、このユニットのクリティカル+1/ドライブ+1。

【永】【(V)/(R)】 暗躍:あなたのターン中、相手のダメージゾーンの裏のカード1枚につき、あなたのユニットすべてのパワー+2000。

― 影の蠍が振るうのは、絶対的な「破壊」の夢。

 

 

ダメージのカードを裏返すツキ。

ミコトが、手で口元を隠した。

 

「ミチルさん、ツキちゃんのカードを警戒してリアガードを出さなかった。それを利用して……!」

 

驚嘆の声を出すミコト。

見えない駆け引きが、盤面に現れている。

 

ツキが、指をヴァンガードの上に置く。

 

「アドマンティスのブースト、セレネシスでヴァンガードにアタック」

 

カードを動かすツキ。

影を統べる虫の姫君。その視線がミチルに向く。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス パワー21000 ☆2

 

 

上昇したパワー、クリティカル。

加えてトリプルドライブによるアタック。

 

ミチルがカードを選んだ。

 

「ガード」

 

虫の姫君の前。

2枚のカードが、音をたてて置かれる。

 

 

結緋の跳梁 クレン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ダークステイツ - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― お前も私のオモチャにしてあげるっ♪

 

 

ディアブロスガールズ ナタリア

トリガーユニット 【前】+10000

(フロントトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ダークステイツ - デーモン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。

― ここからここから!ダイナミックに大逆転だ~!

 

 

「シールド45000……!」

 

計算するミコト。

突破には、3回のトリガーが必要な数値。

 

「ドライブチェック」

 

デッキに手を伸ばすツキ。

その手元で、カードが表になる。

 

「クリティカルトリガー。効果は全て、イーピゲネイアに」

 

ひまわりの衣装を着た少女が、笑顔を見せる。

 

 

憧憬の乙女 アラナ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― はい!もう一輪プレゼント♪

 

 

「セカンドチェック、ノートリガー。サードチェック、ドロートリガー」

 

さらに2枚、カードをめくるツキ。

虫の姫君と傘を持つ乙女が、姿を見せる。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

晴朗の乙女 レェナ

トリガーユニット 【引】+10000

(ドロートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000

― こんなに良いお天気なのですよ?お散歩しましょ~♪

 

 

「パワーはブリトマルティスへ」

 

カードを引きながら、宣言するツキ。

すぐに、指をカードにのせる。

 

「ブリトマルティスで、アタック」

 

迷いのない宣言。

ツキの言葉が、空気を震わせる。

 

「ガード」

 

ミチルもまた、瞬時にカードを選んだ。

 

 

ケッパー・コンパニオン

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ダークステイツ - ワービースト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 何もかもを忘れられる。非日常の案内人。

 

 

攻撃を防ぐミチル。

だが、ツキの攻撃は終わらない。

 

カードを動かして──

 

「イーピゲネイアで、アタック」

 

鋭い口調で、ツキが宣言した。

 

 

イーピゲネイア パワー25000 ☆2

 

 

トリガーによって強化された攻撃。

ミチルが口を開く。

 

「ノーガード」

 

落ち着いた口調。透き通るような声。

静かに、ダメージへとカードを置く。

 

 

魔石竜 マテルバーラ

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたのドロップから1枚選び、ソウルに置く。その後、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが4枚以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

― 渦巻く瘴気が凝縮し、虹色に輝く魔石になる。

 

 

魔石竜 ロックアグール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】【ターン1回】:このユニットがグレード3以上にアタックした時、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが4枚以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

【自】【(R)】:あなたのヴァンガードの能力のコストで同時に【ソウルブラスト】(4)以上した時、相手のヴァンガードのグレードが3以上なら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このユニットを【スタンド】させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 油断なく、その上さらに隙もない。

 

 

ミチル ダメージ1→3

 

 

「ターンエンド」

 

6枚の手札を片手に、宣言するツキ。

ダメージ1対3。わずかに、ツキがリードする。

 

「つ、ツキちゃん、凄い! プロの人が相手なのに、互角に戦ってる!」

 

ミコトの服を掴みながら、そう話すヒカル。

苦い表情を、ミコトが浮かべた。

 

「でも、ミチルさんはまだグレード2。本当の勝負は、ここから……」

 

不安そうな口調。冷や汗が浮かぶ。

ぎゅっと、ミコトが手を握った。

 

ミチルがツキを見据える。

 

「君のその炎……」

 

見えない何か。

それが見えるかのように、話すミチル。

 

「……いや」

 

ミチルが、言葉を途切れさせた。

ツキが不思議そうに小首をかしげる。

 

鋭い雰囲気を漂わせて──

 

「僕のターン」

 

ミチルが、カードを引いた。

イメージの中、紫色の炎が瞬いて──

 

「《魔宝竜 ドラジュエルド》にライド」

 

冷たい炎の如き言葉と共に、カードが置かれた。

溢れ出る瘴気と、威圧感。4色に燃える炎。

 

虹の魔石を守護する、紫色の魔竜が降臨する。

 

 

魔宝竜 ドラジュエルド

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、【ソウルチャージ】(2)し、【ソウルチャージ】されたカードすべてがそれぞれ異なるグレードなら、1枚引いてよい。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[それぞれ異なるグレードを【ソウルブラスト】(4)]することで、相手のヴァンガードを1枚選び、そのターン中、パワーを1になるまで増減させ、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのクリティカル+1。(その時点のパワーが1なり、その後は増減できる)

― 敗北を恥じることはない。我に敵わぬのは道理故。

 

 

「ついに……!」

 

小さく呟くツキ。

緊張したように、手札を構える。

 

ミチルが手を伸ばした。

 

「ジュエルニールのスキルで、ソウルチャージ。1枚ドロー」

 

 

魔石竜 ジュエルニール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(V)/(R)】:このユニットのアタックがヴァンガードにヒットした時、【ソウルチャージ】(1)。

【自】:このユニットが「ドラジュエルド」を含むユニットにライドされた時、【ソウルチャージ】(1)し、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが3枚以上なら、1枚引く。

― 何人も寄せ付けぬほどの、圧倒的な魔力の波動。

 

 

カードを引くミチル。

5枚ある手札の中から、1枚を選ぶ。

 

「《ブレインウォッシュ・スワラー》をコール」

 

ヴァンガードの隣り、後ろの列。

赤い目をした異能者の少年のカードが置かれる。

 

「スキルでソウルチャージ。さらにブレインウォッシュ・スワラーのパワー+5000」

 

 

ブレインウォッシュ・スワラー

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【ソウルチャージ】(1)。

【自】【(R)】:あなたのカードが【ソウルチャージ】で置かれた時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+5000。(【ソウルチャージ】(2)したらパワー+10000。)

― 僕の目を見るんだ。そう……良い子だね。

 

 

デッキの上のカードをソウルに置くミチル。

そのままダメージのカードを裏返す。

 

「ドラジュエルドのスキル発動。2枚ソウルチャージし、異なるグレードなので1枚ドロー」

 

 

魔宝竜 ドラジュエルド

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、【ソウルチャージ】(2)し、【ソウルチャージ】されたカードすべてがそれぞれ異なるグレードなら、1枚引いてよい。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[それぞれ異なるグレードを【ソウルブラスト】(4)]することで、相手のヴァンガードを1枚選び、そのターン中、パワーを1になるまで増減させ、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのクリティカル+1。(その時点のパワーが1なり、その後は増減できる)

― 敗北を恥じることはない。我に敵わぬのは道理故。

 

 

さらにカードをソウルに置くミチル。

カードを引き、冷静な声で言う。

 

「さらにブレインウォッシュ・スワラーのパワー+10000」

 

 

ブレインウォッシュ・スワラー

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【ソウルチャージ】(1)。

【自】【(R)】:あなたのカードが【ソウルチャージ】で置かれた時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+5000。(【ソウルチャージ】(2)したらパワー+10000。)

― 僕の目を見るんだ。そう……良い子だね。

 

 

ソウルチャージに反応した強化。

ツキがわずかに、顔をしかめる。

 

カードを構えて──

 

「リスタルゲイラー、ロックアグール、ファルケイトをコール」

 

ミチルが、一気にカードを展開した。

 

 

魔宝竜 リスタルゲイラー

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、このターンにあなたのヴァンガードの能力のコストで、同時に【ソウルブラスト】(4)以上しているなら、【コスト】[手札から1枚ソウルに置く]ことで、1枚引き、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 貴様の企み、すべて見えているぞ。

 

 

魔石竜 ロックアグール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】【ターン1回】:このユニットがグレード3以上にアタックした時、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが4枚以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

【自】【(R)】:あなたのヴァンガードの能力のコストで同時に【ソウルブラスト】(4)以上した時、相手のヴァンガードのグレードが3以上なら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このユニットを【スタンド】させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 油断なく、その上さらに隙もない。

 

 

ファルケイト・パフォーマー

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - ハイビースト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのドロップから1枚まで選び、あなたのソウルにそれと同じグレードがないなら、ソウルに置く。

― 楽しい楽しい三日月の夜。仲間ハズレはいないかな?

 

 

「全面展開……!」

 

怯えたように話すミコト。

ヒカルが不安そうに身を寄せる。

 

ミチルの目が、ツキへと向いた。

 

「ロックアグールで、ヴァンガードにアタック」

 

指を使い、カードを動かすミチル。

後ろに控える猫の演者の援護はない。

 

ミチルがカードを見て、続ける。

 

「ソウルに異なるグレードのカードが4枚以上で、パワー+10000」

 

 

魔石竜 ロックアグール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】【ターン1回】:このユニットがグレード3以上にアタックした時、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが4枚以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

【自】【(R)】:あなたのヴァンガードの能力のコストで同時に【ソウルブラスト】(4)以上した時、相手のヴァンガードのグレードが3以上なら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このユニットを【スタンド】させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 油断なく、その上さらに隙もない。

 

 

水色の炎を纏う魔竜の攻撃。

ツキが身構える。

 

「ガード!」

 

カードを置くツキ。

先程の少女のカードが場に置かれた。

 

 

憧憬の乙女 アラナ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― はい!もう一輪プレゼント♪

 

 

攻撃を防ぐツキ。

集中しながら、次の一手を待つ。

 

ミチルが、ヴァンガードに手を置いた。

 

「ドラジュエルドで、ヴァンガードにアタック」

 

高らかに響く声。冷たい迫力。

ミチルの言葉が続く。

 

「スキル発動。ソウルの異なるグレードのカードを4枚ソウルブラスト」

 

ヴァンガードの下、

ソウルから4枚のカードを抜き取るミチル。

 

灰色の瞳を向けて──

 

「相手のヴァンガードのパワーを1にする」

 

静かに、ミチルがそう宣言した。

 

 

魔宝竜 ドラジュエルド

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、【ソウルチャージ】(2)し、【ソウルチャージ】されたカードすべてがそれぞれ異なるグレードなら、1枚引いてよい。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[それぞれ異なるグレードを【ソウルブラスト】(4)]することで、相手のヴァンガードを1枚選び、そのターン中、パワーを1になるまで増減させ、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのクリティカル+1。(その時点のパワーが1なり、その後は増減できる)

― 敗北を恥じることはない。我に敵わぬのは道理故。

 

 

燃え盛る4色の炎。

それに囚われた虫の姫君の力が、消滅する。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス パワー1

 

 

「ぱ、パワー1!?」

 

驚くヒカル。

ミコトもまた、怯えるように身じろぐ。

 

ミチルがカードを動かした。

 

「さらにドラジュエルドのクリティカル+1。4枚ソウルブラストしたことにより、ロックアグールはスキルでスタンド」

 

 

魔石竜 ロックアグール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】【ターン1回】:このユニットがグレード3以上にアタックした時、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが4枚以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

【自】【(R)】:あなたのヴァンガードの能力のコストで同時に【ソウルブラスト】(4)以上した時、相手のヴァンガードのグレードが3以上なら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このユニットを【スタンド】させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 油断なく、その上さらに隙もない。

 

 

再び立ち上がる、水色の炎を纏う魔竜。

3体の魔竜達の視線が、虫の姫君へと注がれる。

 

「ガード!」

 

手札から2枚を選び、ツキが場へと出した。

 

 

ドリーミング・バタフライ

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 夢の世界へと誘う、煌めく鱗粉。

 

 

シャドウ・レディバグ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 影の世界には、かつて失われた遺伝子が隠されている。

 

 

トリガー2枚によるガード。

ミチルがデッキに手を伸ばす。

 

「ドライブチェック。1枚目」

 

カードを表にするミチル。

青い魔竜のカードが、場へと置かれる。

 

 

魔石竜 マテルバーラ

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたのドロップから1枚選び、ソウルに置く。その後、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが4枚以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

― 渦巻く瘴気が凝縮し、虹色に輝く魔石になる。

 

 

「続いて、2枚目」

 

流れるような所作。迷いのない動き。

カードをめくって──

 

「クリティカルトリガー」

 

ミチルの声が、その場に響き渡った。

 

 

ステムディヴィエイト・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ダークステイツ - ギアドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― 時を穿つ、必滅の弾丸が放たれる。

 

 

息を呑むミコトとヒカル。

ツキは何も言わず、カードを眺めている。

 

「効果は全てリスタルゲイラーへ」

 

カードを手札に加えながら、淡々と言うミチル。

指を伸ばし、カードを動かす。

 

「ファルケイトのブースト、ロックアグールでヴァンガードにアタック。さらにスキルで、ドロップの1枚をソウルに」

 

 

ファルケイト・パフォーマー

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - ハイビースト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのドロップから1枚まで選び、あなたのソウルにそれと同じグレードがないなら、ソウルに置く。

― 楽しい楽しい三日月の夜。仲間ハズレはいないかな?

 

 

カードをソウルへと入れるミチル。

消費されたソウルが、再び溜まる。

 

 

魔石竜 ロックアグール パワー28000

 

 

「ノーガード」

 

目をつぶりながら、宣言するツキ。

山札の上をめくると、ダメージへと置く。

 

 

プラナプリベント・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - ネイチャードラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― 護って見せるよ。やっと芽生えた命なんだから。

 

 

ツキ ダメージ1→2

 

 

「ブレインウォッシュ・スワラーのブースト、リスタルゲイラーでヴァンガードにアタック」

 

畳みかけるような攻撃。

ミチルが手札のカードを選んだ。

 

「スキルで手札の1枚をソウルに。1枚引いて、イーピゲネイアを退却」

 

 

魔宝竜 リスタルゲイラー

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、このターンにあなたのヴァンガードの能力のコストで、同時に【ソウルブラスト】(4)以上しているなら、【コスト】[手札から1枚ソウルに置く]ことで、1枚引き、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 貴様の企み、すべて見えているぞ。

 

 

カードを引くミチル。

その瞳に、引いたカードが映る。

 

 

魔宝竜 ドラジュエルド

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、【ソウルチャージ】(2)し、【ソウルチャージ】されたカードすべてがそれぞれ異なるグレードなら、1枚引いてよい。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[それぞれ異なるグレードを【ソウルブラスト】(4)]することで、相手のヴァンガードを1枚選び、そのターン中、パワーを1になるまで増減させ、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのクリティカル+1。(その時点のパワーが1なり、その後は増減できる)

― 敗北を恥じることはない。我に敵わぬのは道理故。

 

 

ミチルの手札は4枚。

さらに蜂の女怪人のカードが、場から消える。

 

 

リスタルゲイラー パワー46000 ☆2

 

 

「ノーガード」

 

迷う様子もなく、宣言するツキ。

デッキの上2枚を見せて、ダメージに置く。

 

 

賛美を告げる影の舞

ノーマルオーダー 〈3〉

ストイケイア

「セレネシス」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、プレイできる!

あなたのシャドウゾーンから「ルナコクン」を1枚選び、(R)にコールする。

― 踊りましょう。この歓喜を、姫様に。

 

 

流麗怪人 グロリアス・スタッグ

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、相手のユニットがすべて【レスト】しているなら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、あなたのヴァンガードが「夢幻蝶姫 セレネシス」なら、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 特級怪人の実力、見せてあげる。

 

 

ツキ ダメージ2→4

 

 

「ターンエンド」

 

手札を片手に、ミチルがそう告げた。

ざわめいている周囲。波打つような音。

 

「ツキちゃん、逆転されちゃった……!」

 

泣きそうな声で、ヒカルが言った。

ダメージは4対3。さらに、残り手札は3枚。

 

苦しい状況に、ツキは陥っている。

 

「ツキちゃん……!」

 

手を握るミコト。その目が鋭くなる。

目を伏せがちに、盤面を眺めているツキ。

 

「やっぱり、強いなぁ……」

 

ぼそりと、呟く。

どこか沈んだような声。悩んだ表情。

 

ミチルがフッと微笑んだ。

 

「ねぇ、君」

 

呼びかけるミチル。

ツキが、顔をあげる。

 

穏やかな笑みを浮かべて──

 

「そんなに怖い顔しないで。楽しもうよ」

 

ミチルが、優しい声でそう言った。

ほんの少し驚いたように、ツキが目を丸くした。

 

すぐに、ツキが視線をそらす。

 

「……私には、時間がないから」

 

誰にも聞こえないくらい、小さな声。

どこか諦めたような雰囲気を漂わせているツキ。

 

暗い顔のツキに向かって──

 

「ツキちゃーん!!」

 

会場の中、大きな声が響き渡った。

ハッとするツキ。声のした方へ視線を向ける。

 

緊張した表情のミコト。手を口に当てて──

 

「──がんばってー!!」

 

大きく、叫んだ。

会場内に、その声が反響する。

 

「そうだよ! ツキちゃん、がんばってー!」

 

隣りのヒカルもまた声をあげる。

騒がしく、声援を送っている二人。

 

ミチルが微笑む。

 

「友達?」

 

問いかけるミチル。

ツキはしばし、呆然としたように黙っている。

 

やがて、その口元に笑みが浮かんで──

 

「アハハハ!!」

 

大きく、ツキが笑い声をあげた。

楽しそうに笑っているツキ。困惑する会場。

 

ツキが涙をぬぐい、息を吐く。

 

「あー、私ったら、ちょっと気負いすぎてたね。ミコトやヒカルに、心配させちゃうなんて」

 

肩の荷が下りたように話すツキ。

ミチルへと向き直る。

 

「せっかくの機会、楽しまないとね!」

 

先程までの冷たい雰囲気が消え、

柔らかな微笑みを浮かべるツキ。

 

ミチルが笑った。

 

「私のターン!」

 

勢いよく、カードを引くツキ。

手札を眺めると、フッと息を吐く。

 

「一つ、言っておきます!」

 

得意そうな表情。高らかな声。

不敵な笑みを、ツキが浮かべる。

 

「私、あなたに勝ちますから!」

 

ツキが、ミチルを指さした。

観客達の間に、動揺の声が広がる。

 

「だって──」

 

4枚ある内の1枚。

ツキの白い指が、カードを掴む。

 

ちらりと、ミコト達の方を見て──

 

「カワイイ後輩達の前で、カッコ悪い所は見せられないから!!」

 

ツキが、叫ぶように言い放った。

 

決意に満ちた表情。黒い瞳が揺れる。

悠然と、腕を振りかぶり──

 

「ペルソナライド!!」

 

勢いよく、カードが置かれた。

影の支配者、虫の姫君。その姿が重なる。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

「ツキちゃん!!」

 

歓喜の声をあげるミコトとヒカル。

楽しそうに、ミチルは盤面を眺めている。

 

ツキが手を伸ばした。

 

「スキルでシャドウゾーンの《メレアグリデス》を表に!」

 

白い兎のスリーブのカード。

影の翼を持つ蝶の女怪人が描かれている。

 

「《スプライト・マドンナ》をコール!」

 

カードを選ぶツキ。

緑色の女怪人のカードが置かれる。

 

ダメージのカードを裏返して──

 

「スキルで、ルナコクンを手札に!」

 

 

スプライト・マドンナ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札から「ルナコクン」を1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。

― もう一度、夢を魅せて、ア・ゲ・ル。

 

 

山札を手に取るツキ。

その中の1枚を表にして、ミチルに見せた。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

「そして、《賛美を告げる影の舞》を使用!」

 

ツキがさらにカードを表にした。

 

 

賛美を告げる影の舞

ノーマルオーダー 〈3〉

ストイケイア

「セレネシス」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、プレイできる!

あなたのシャドウゾーンから「ルナコクン」を1枚選び、(R)にコールする。

― 踊りましょう。この歓喜を、姫様に。

 

 

影の領域に置かれている1枚。

金色の繭の妖精が、場へと戻る。

 

不敵な笑みを浮かべるツキ。カードを掴み──

 

「メレアグリデスに、メタモルフォシス!」

 

カードを、入れ替えた。

 

 

メレアグリデス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1),あなたのドロップから【超】トリガー以外のトリガーユニットを1枚シャドウゾーンに置く]ことで、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのトリガー効果を1回発動する。

― 影の蝶が魅せるのは、光輝く「奇跡」の夢。

 

 

「メレアグリデスのスキル! ドロップのヒールトリガーをシャドウゾーンに置き、効果発動! ダメージ1回復!」

 

 

ドリーミング・バタフライ

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 夢の世界へと誘う、煌めく鱗粉。

 

 

ヒールトリガーを見せつけるツキ。

さらに、ダメージのカードをドロップに置く。

 

 

ツキ ダメージ4→3

 

 

「パワーは、メレアグリデスに!」

 

腕を動かしながら、楽しそうに告げるツキ。

ヴァンガードへと手を伸ばす。

 

「セレネシスのスキル! メレアグリデスの能力をコピー! ドロップのクリティカルトリガーをシャドウゾーンへ!」

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

ひまわりの衣装を着た少女が選ばれる。

カードが、影の領域へと置かれた。

 

 

憧憬の乙女 アラナ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― はい!もう一輪プレゼント♪

 

 

「効果は全て、セレネシスに!」

 

迷いのない声。

ばっと、ツキが手を前に出した。

 

「そして、相手の縦列にスタンドしているユニットがいないので、ブリトマルティスの暗躍発動! 全てのユニットのパワー+4000!」

 

 

ブリトマルティス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」

((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、相手の【レスト】しているリアガードが1枚以下なら、そのターン中、このユニットのクリティカル+1/ドライブ+1。

【永】【(V)/(R)】 暗躍:あなたのターン中、相手のダメージゾーンの裏のカード1枚につき、あなたのユニットすべてのパワー+2000。

― 影の蠍が振るうのは、絶対的な「破壊」の夢。

 

 

並び立つ蠍と蝶の女怪人。

虫の姫君を守るように、その両隣に控える。

 

ミチルが笑う。

 

「君の炎、綺麗に燃えてるよ」

 

褒めるように、ミチルが言った。

心底、ファイトを楽しんでいる様子のミチル。

 

ツキがニッと笑う。

 

「アドマンティスのブースト、セレネシスでヴァンガードにアタック!!」

 

カードを動かすツキ。

虫の姫君の視線が、四炎の魔竜へと向けられた。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス パワー49000 ☆2

 

 

「パワー49000のクリティカル2!」

 

はしゃいだ声をあげるミコト。

ヒカルもまた腕をあげて、応援する。

 

ミチルの手がカードを掴んだ。

 

「完全ガード」

 

虫の姫君と魔竜の間。

黒い竜が割り入り、魔法陣の盾を展開する。

 

 

リペルドマリス・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― 悪意の鋭敏に感じ取り、両の翼で打ち落とす。

 

 

「そうこなくっちゃ!」

 

楽しそうに声をあげるツキ。

デッキに手を伸ばす。

 

「ドライブチェック! ノートリガー! セカンドチェック、クリティカルトリガー!」

 

2枚のカードを見せるツキ。

得意そうに、トリガーを掲げる。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

シャドウ・レディバグ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 影の世界には、かつて失われた遺伝子が隠されている。

 

 

「効果は全て、メレアグリデスへ!」

 

蝶の女怪人のカードを見ながら、宣言するツキ。

指をカードの上に乗せて──

 

「ブリトマルティスで、ロックアグールにアタック!」

 

高らかに、ツキがそう言い放った。

 

 

ブリトマルティス パワー27000

 

 

「えっ、リアガードに攻撃!?」

 

驚いているヒカル。

ミコトが考えるように口元に手を当てる。

 

「このターンで決めるのは難しいって思ったのかな……? だから、ミチルさんの攻撃の要を倒そうってこと……?」

 

自信なさそうに言うミコト。

ツキは不敵な笑みを浮かべている。

 

「ノーガード」

 

ミチルがカードをドロップへと送った。

欠けた盤面。水色の炎が消える。

 

ツキが、指をカードの上に置いた。

 

「メレアグリデスで、ヴァンガードにアタック!」

 

影の翼を持つ蝶の女怪人。

黒い鱗粉が、粉雪のように降り注いだ。

 

 

メレアグリデス パワー59000 ☆2

 

 

「ノーガード」

 

冷静な声。

ミチルが、自分のデッキの上をめくる。

 

 

影に潜む死神 ゼイルモート

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - ヒューマン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【起】【(R)】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1), このユニットがソウルに置く]ことで、あなたの山札の上から2枚見て、1枚まで選び、(R)にコールし、残りをソウルに置く。

― 誰にも訪れる死。それは魂を浄化する崇高なる儀式。

 

 

ブレインウォッシュ・スワラー

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【ソウルチャージ】(1)。

【自】【(R)】:あなたのカードが【ソウルチャージ】で置かれた時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+5000。(【ソウルチャージ】(2)したらパワー+10000。)

― 僕の目を見るんだ。そう……良い子だね。

 

 

ミチル ダメージ3→5

 

 

「ターンエンド!」

 

弾むような声で、そう言うツキ。

ざわざわと、観客達からの声が大きくなる。

 

「ミチルさんが逆転された……!」

 

「なんなの、あの子……!」

 

漏れ出る驚愕の声。

ヒカルがミコトを見上げた。

 

「す、すごい、ツキちゃん! 追い詰めてる! 本当に……勝てちゃうかも!?」

 

興奮した声。目を輝かせているヒカル。

ミコトが頷いた。

 

「うん! ツキちゃんなら、勝てるよ!」

 

手を繋ぎ合わせ、はしゃいでいる二人。

その声を聞いたツキが、苦笑する。

 

「気楽に言ってくれるね、カワイイ後輩達……」

 

どこか困ったような表情のツキ。

手札を見ながら、呟く。

 

「ここからが、大変なのに……」

 

顔をあげるツキ。

ミチルの顔から、穏やかな笑みが消えた。

 

真剣な表情を浮かべて──

 

「──うん。燃えてきたよ」

 

ミチルが、低い声でそう言った。

溢れ出る威圧感。鋭い視線。

 

ツキが、ぞくりと身体を震わせる。

 

「僕のターン」

 

カードを引くミチル。

手札から1枚を選び──

 

「ペルソナライド」

 

静かに、そう宣言した。

 

 

魔宝竜 ドラジュエルド

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、【ソウルチャージ】(2)し、【ソウルチャージ】されたカードすべてがそれぞれ異なるグレードなら、1枚引いてよい。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[それぞれ異なるグレードを【ソウルブラスト】(4)]することで、相手のヴァンガードを1枚選び、そのターン中、パワーを1になるまで増減させ、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのクリティカル+1。(その時点のパワーが1なり、その後は増減できる)

― 敗北を恥じることはない。我に敵わぬのは道理故。

 

 

重なる魔竜の姿。

4色の炎が、さらなる勢いで煌めき燃える。

 

「ドラジュエルドのスキル発動」

 

ダメージのカードを裏返すミチル。

山札に手をかける。

 

「2枚ソウルチャージ。異なるグレードなので、1枚ドロー。さらにブレインウォッシュ・スワラーのパワー+10000」

 

 

ブレインウォッシュ・スワラー

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - ヒューマン 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【ソウルチャージ】(1)。

【自】【(R)】:あなたのカードが【ソウルチャージ】で置かれた時、あなたのヴァンガードがグレード3以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+5000。(【ソウルチャージ】(2)したらパワー+10000。)

― 僕の目を見るんだ。そう……良い子だね。

 

 

カードを引くミチル。

盤面の異能者の力が、強化される。

 

「ロックアグールをコール」

 

4枚の手札の中の1枚。

水色の炎を纏う魔竜が、再び姿を現した。

 

 

魔石竜 ロックアグール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】【ターン1回】:このユニットがグレード3以上にアタックした時、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが4枚以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

【自】【(R)】:あなたのヴァンガードの能力のコストで同時に【ソウルブラスト】(4)以上した時、相手のヴァンガードのグレードが3以上なら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このユニットを【スタンド】させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 油断なく、その上さらに隙もない。

 

 

「っ、2体目……!」

 

冷や汗を流すツキ。

その笑みが、わずかにひきつる。

 

「いくよ」

 

鋭い目を向けたまま、ミチルが言う。

その指がカードを動かした。

 

「ロックアグールで、ヴァンガードにアタック。スキルでパワー+10000」

 

ミチルのソウルが4色の光を放つ。

水色の炎が、威嚇するようにうねった。

 

 

魔石竜 ロックアグール パワー30000

 

 

「ガード!」

 

5枚ある手札の中から、

ツキが2枚のカードを取り出して場へと置いた。

 

 

シャドウ・レディバグ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 影の世界には、かつて失われた遺伝子が隠されている。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

攻撃を防ぐツキ。

残りの手札は、3枚。

 

苦しそうに、ツキが盤面を眺める。

 

「ドラジュエルドで、ヴァンガードにアタック」

 

容赦のない言葉が、その場に響いた。

ミチルの目がツキの姿を捉える。

 

「スキル発動。4枚ソウルブラストし、相手のヴァンガードのパワーを1に。さらにドラジュエルドのクリティカル+1」

 

 

魔宝竜 ドラジュエルド

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、【ソウルチャージ】(2)し、【ソウルチャージ】されたカードすべてがそれぞれ異なるグレードなら、1枚引いてよい。

【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[それぞれ異なるグレードを【ソウルブラスト】(4)]することで、相手のヴァンガードを1枚選び、そのターン中、パワーを1になるまで増減させ、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのクリティカル+1。(その時点のパワーが1なり、その後は増減できる)

― 敗北を恥じることはない。我に敵わぬのは道理故。

 

 

ソウルから4枚のカードが抜き取られる。

炎が虫の姫君を取り囲み、その力を失わせた。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス パワー1

 

 

「そして、ロックアグールはスキルでスタンド」

 

 

魔石竜 ロックアグール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】【ターン1回】:このユニットがグレード3以上にアタックした時、あなたのソウルにそれぞれ異なるグレードが4枚以上なら、そのターン中、このユニットのパワー+10000。

【自】【(R)】:あなたのヴァンガードの能力のコストで同時に【ソウルブラスト】(4)以上した時、相手のヴァンガードのグレードが3以上なら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このユニットを【スタンド】させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 油断なく、その上さらに隙もない。

 

 

カウンターブラストを支払うミチル。

魔竜が立ち上がり、その身に炎を纏った。

 

「ツキちゃん!」

 

悲鳴のような声をあげるミコト。

ツキがゆっくりと、息を吐いた。

 

キッと、鋭い目を向けて──

 

「オーバートリガーでガード!!」

 

ツキが、勢いよくカードを出した。

 

 

天恵の源竜王 ブレスファボール

トリガーユニット 【超】

(オーバートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - ネイチャードラゴン パワー5000 / シールド50000 / ☆1

(【超】トリガーはデッキに1枚だけ入れられる。トリガーで出たら、そのカードを除外し、1枚引き、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+1憶!ドライブチェックで出たら、さらに追加効果が発動!)

追加効果-1枚引く!あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、クリティカル+1!あなたの前列のユニットすべてのパワー+10000!あなたのダメージゾーンの枚数が相手以上なら、あなたのダメージゾーンから1枚選び、回復する!

― 自然。その恵みは数え切れず、驚異は計り知れない。

 

 

周りから上がる驚嘆の声。

ミチルがデッキに手を伸ばす。

 

「ドライブチェック」

 

集中した様子で、カードをめくるミチル。

ぬいぐるみを従える少女の姿が、表になった。

 

「1枚目、クリティカルトリガー。効果は全て、リスタルゲイラーへ」

 

 

結緋の跳梁 クレン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ダークステイツ - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― お前も私のオモチャにしてあげるっ♪

 

 

目を細めるツキ。

ミチルがさらに、カードをめくる。

 

「続いて、2枚目」

 

その手がカードを掴んで──

 

「クリティカルトリガー。効果は全て、リスタルゲイラーへ」

 

ミチルの言葉が、無情にも響いた。

 

 

ステムディヴィエイト・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ダークステイツ - ギアドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― 時を穿つ、必滅の弾丸が放たれる。

 

 

「ダブルクリティカル……!!」

 

呆然と呟くミコト。

ヒカルは唖然としている。

 

弱々しい笑みを、ツキが浮かべた。

 

「ファルケイトのブースト、ロックアグールで、メレアグリデスにアタック」

 

カードを動かすミチル。

ドロップのカードを掴む。

 

「スキルでドロップから1枚をソウルへ」

 

 

ファルケイト・パフォーマー

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ダークステイツ - ハイビースト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、あなたのドロップから1枚まで選び、あなたのソウルにそれと同じグレードがないなら、ソウルに置く。

― 楽しい楽しい三日月の夜。仲間ハズレはいないかな?

 

 

ソウルを補充するミチル。

ツキが目を伏せがちに、答える。

 

「ノーガード」

 

カードをドロップに送るツキ。

名残惜しそうに、蝶の女怪人の姿を見る。

 

ミチルの指がカードの上に乗って──

 

「ブレインウォッシュ・スワラーのブースト、リスタルゲイラーでヴァンガードにアタック」

 

静かに、ミチルが宣言した。

紫色の炎を纏った魔竜。その目が瞬く。

 

「スキルで手札の1枚をソウルに。1枚引き、ブリトマルティスを退却」

 

 

魔宝竜 リスタルゲイラー

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ダークステイツ - アビスドラゴン 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、このターンにあなたのヴァンガードの能力のコストで、同時に【ソウルブラスト】(4)以上しているなら、【コスト】[手札から1枚ソウルに置く]ことで、1枚引き、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。(一度に【ソウルブラスト】(4)以上した場合のみ使える)

― 貴様の企み、すべて見えているぞ。

 

 

手札をソウルへと置くミチル。

影の斧を持つ蠍の女怪人が、炎に包まれ消えた。

強大な力を秘めた、魔竜の攻撃が迫る。

 

 

リスタルゲイラー パワー61000 ☆3

 

 

「…………」

 

手札に視線を落としているツキ。

2枚のカードが、その手の中にはある。

 

 

プラナプリベント・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - ネイチャードラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― 護って見せるよ。やっと芽生えた命なんだから。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

目をつぶり、考えるツキ。

 

完全ガードを使えば、攻撃は防げる。

だが残っているカウンターブラストは0。

このまま次のターンを迎えても、勝機は低い。

 

本気で、勝ちを狙うのならば──

 

「──ノーガード!!」

 

大きく、ツキが宣言した。

会場中から聞こえる、残念そうな声。

 

「そんな……」

 

「ツキちゃん……」

 

泣きそうな声を出すミコトとヒカル。

悲しそうに、二人が身を寄せ合った。

 

「へぇ」

 

面白そうに呟くミチル。

真っ直ぐに、ツキを見据える。

 

「君の炎、まだ消えてないね」

 

微笑みかけるミチル。

ツキがゆっくりと、深呼吸した。

 

手を伸ばす。

 

「ダメージチェック。1枚目、ノートリガー。2枚目、ノートリガー」

 

 

流麗怪人 グロリアス・スタッグ

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、相手のユニットがすべて【レスト】しているなら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、あなたのヴァンガードが「夢幻蝶姫 セレネシス」なら、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 特級怪人の実力、見せてあげる。

 

 

共謀怪人 アドマンティス

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、あなたの他のリアガードを1枚選び、そのターン中、パワー+5000。

― 自ら手を見下すのは、あくまで最後の手段でいい。

 

 

置かれる2枚のカード。

ダメージ5点。そして、チェックはもう一回。

 

会場中の視線が、ツキの手元に集まる。

 

「3枚目……!」

 

祈るような声を出すツキ。

デッキの上に、指を乗せる。

 

一瞬、ツキとミチルの視線が交差した。

 

無言で見つめ合う二人。

ツキがカードを掴む。

 

勢いよく、カードを表にして──

 

「──ヒールトリガー!!」

 

ツキが、叩きつけるようにカードを置いた。

 

 

ドリーミング・バタフライ

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 夢の世界へと誘う、煌めく鱗粉。

 

 

「ツキちゃん!!」

 

二人の声が重なる。

どよめく会場。巻き起こる興奮したような声。

 

ミチルの猛攻を、ツキが耐え抜いた。

 

 

ツキ ダメージ3→5

 

 

「ほ、本当に、ギリギリ……!」

 

息を切らしているツキ。

胸に手を当てながら、弱々しく微笑んだ。

 

「やっぱり、もってるね、私って……」

 

小さく「アハハ」と笑い声をもらすツキ。

冷や汗を流しながら、顔をあげる。

 

「君、面白いね」

 

微笑みを浮かべているミチル。

真っ直ぐにツキを見ながら、口を開く。

 

「今のターン、君はあえて攻撃を受けた。だけど、諦めたわけじゃない。全ては勝つために、君は危険を冒してでもその道を選んだ」

 

嬉しそうな口調。

まるでワクワクしている子供のような声。

 

ミチルが目を細めた。

 

「久しぶりだな。最後まで諦めずに、本気で僕に勝とうとして挑んでくる人は」

 

感慨深く、ミチルが話す。

手札を片手に、両手を広げるミチル。

 

その目を見開いて──

 

「さぁ、もっと、おいでよ!!」

 

大きく、ミチルが叫んだ。

どこか狂気さえも感じさせる表情。

 

ツキが、不敵な笑みを浮かべた。

 

「最初から、そのつもりよ!!」

 

力強く答えるツキ。

楽しそうに、2人が手札を構える。

 

デッキに手を伸ばして──

 

「私のターン!!」

 

大きく、ツキがカードを引いた。

運命の1枚。勝負を決する、決定的な瞬間。

 

その手の中にあったのは──

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

ツキが、勝利を確信したような笑みを浮かべた。

 

「ペルソナライド!!」

 

手札に残っていた1枚。

虫の姫君のカードを、場に置くツキ。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

「スキルでシャドウゾーンの1枚を表に!」

 

白い兎のスリーブの束、

その中の1枚を選び、見せつけるツキ。

 

描かれているのは、影の鱗を持つ巨大な竜。

 

ミチルが嬉しそうに目を細めた。

自信に満ちた表情のツキ。手札の1枚を掴む。

 

「ルナコクンをコール!」

 

先程引いた1枚。

金色の繭の妖精が、その姿を現した。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

ヴァンガードの隣り。

静かに佇んでいる1枚。運命のカード。

 

ツキがカードを掴んだ。

 

「これで、最後!!」

 

得意そうに言うツキ。

ミチルが喜びの表情を浮かべる。

 

目線を切って──

 

「ルナコクンを、メタモルフォシ──」

 

ツキが言いかけた瞬間、

 

「そこまでですッ!!」

 

ファイトテーブルの真横。

二人に向かって、大きく叫ぶ声が上がった。

 

ツキとミチルが、声のした方を向く。

 

「ミチルさん!! もう時間です!! これ以上やると、次の予定に間に合わなくなります!!」

 

普及協会の女性スタッフが、

涙目になりながらミチルへと呼びかけていた。

 

ミチルが、わずかに首をかしげる。

 

「……もう少し、ダメ?」

 

どこか甘えるような声を出すミチル。

スタッフがぶんぶんと首を振った。

 

「次の予定は公式戦です!! 相手は企業チームJIGEN所属のファイター!! 遅れたりなんて、できません!!」

 

スタッフによる必死の叫び。

ミチルが「でも……」と言いかける。

 

持っていたカードを、ツキが置いた。

 

「……ここまで、みたいですね」

 

穏やかな口調のツキ。

にっこりと笑うと、深々と頭を下げた。

 

「対戦、ありがとうございました!!」

 

晴れ晴れとした表情。

明るい雰囲気を漂わせているツキ。

 

ミチルが、残念そうに息を吐いた。

 

「……うん。こちらこそ、ありがとう」

 

穏やかな微笑み。

すっと、その右手をツキに向かって差し出す。

 

二人が握手を交わした。

 

「また、どこかで決着つけましょう!」

 

明るく話すツキ。

ミチルが頷く。

 

「うん、そうだね」

 

穏やかな表情。優しい目。

ぱちぱちと、会場から拍手が起こった。

それは大きな音となって、会場を飲み込む。

 

「ツキちゃーん!!」

 

嬉しそうに、歓声をあげているミコトとヒカル。

ツキが二人に向かって、手を振る。

 

拍手の音が、いつまでも会場に鳴り響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーん、もー! 悔しいィィィー!!」

 

イベントの帰り道。夕暮れの空。

騒がしく、ツキが声をあげた。

 

「もう少しで、勝てそうだったのに!! せめて、あと2分あればー!! むきーっ!!」

 

頭を抱えているツキ。

ミコトが、呆れたような表情を浮かべた。

 

「もー、ちょっとカッコイイと思ってたら、これなんだもん……」

 

じとっとした目を向けているミコト。

ヒカルが苦笑する。

 

「あはは……。でも、ツキちゃんらしいよ」

 

楽しそうに言うヒカル。

目を輝かせて、両手を上げる。

 

「あたし、今日はすっごい感動しちゃった! あたしもいつか、ツキちゃんみたいに強くなりたい!」

 

無邪気な声。ツキを見上げるヒカル。

デレデレとツキの表情が崩れた。

 

「えー、本当ー? 嬉しい事言ってくれるなー、カワイイ後輩ー!」

 

ヒカルの頭をなでるツキ。

ミコトがやれやれといった風に、肩をすくめる。

 

「ツキちゃん、ほぼ負けてたじゃん。ヒールトリガー引けてなかったら、終わりだったでしょ」

 

冷たいツッコミ。

ツキが図星をつかれたように冷や汗を流す。

 

「そ、それは! いや、あれは、高度な駆け引きの末の選択で……!」

 

もごもごと口ごもるツキ。

ミコトが「はいはい」と呆れたように言う。

 

ヒカルがくすくすと笑った。

 

「そんなこと言って、ファイト中、ツキちゃんの事すごい応援してたじゃん、ミコトお姉ちゃん」

 

「なっ!!」

 

今度はミコトが図星をつかれる。

みるみる、その顔が真っ赤になった。

 

ツキがにやりと笑う。

 

「言われてみれば、そうだったね! いやー、憧れのミチル君より私を応援してくれるなんてー」

 

からかうような口調のツキ。

ミコトがおろおろとする。

 

「べ、別に、あたしは、ただ……!!」

 

言い訳するような口調のミコト。

ツキがにっこりと笑い、そして──

 

「素直じゃないなぁ、カワイイ後輩!」

 

ミコトに、抱き着いた。

 

「なっ、ちょっと、こんな所で……!」

 

さらに顔が赤くなるミコト。

ヒカルは「わー」と頬を染めている。

 

ミコトの耳元に口を近づけて──

 

「……ありがとね、ミコト」

 

ぼそりと、ツキがささやいた。

柔らかな花の香り。ツキの温度が伝わる。

 

恥ずかしそうな表情を浮かべて、

 

「い、いいから、早く離してよー!」

 

ミコトが、懇願するような声をあげた。

ツキが不満そうに口を尖らす。

 

「えー? もう少しいいでしょー?」

 

「よくない!!」

 

大声で否定するミコト。

ヒカルが楽しそうに、笑い声をあげた。

 

「あはは! もー、2人ともダメだよー」

 

面白そうに言うヒカル。

ツキもまた、つられるように笑い始める。

 

夕暮れの光が、3人の姿を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、出発しますね」

 

「うん、よろしく」

 

運転席に座る女性スタッフ。

ミチルが、穏やかな声を出した。

 

静かに、車が発進する。

 

「…………」

 

外の景色に目を向けているミチル。

先程の少女の言葉を思い出す。

 

『また、どこかで決着つけましょう!』

 

明るい声。笑顔の少女。

ミチルが息を吐いた。

 

「また、どこかで、か……」

 

ぼそりと呟くミチル。

先程の少女の魂の色を、思い出す。

 

デッキケースを見下ろして──

 

「本当に、残念だな……」

 

ミチルが、憂うようにそう言った。

再び、窓の外の景色に目を向けるミチル。

 

陽は沈みかけ、夜の闇が静かに忍び寄っていた。

 






俺のカードを見ろ!

〔ホラ貝を吹く音〕

はーい、全国のカワイイ後輩達ー!
御導ツキこと、皆のツキちゃんでーす!!
今日は私の分身、夢幻蝶姫 セレネシスの
カードを紹介しちゃうぞー! イェーイ!


〔ドドン!〕


夢幻蝶姫 セレネシス
ノーマルユニット 〈3〉
(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)
ストイケイア - インセクト 
パワー13000 / シールドなし / ☆1
【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。
【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。
― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。


セレネシスはメガコロニーのお姫様!
スキルでシャドウゾーンのカードを表にしたり、
メタモルフォシスを持つリアガードの能力を
コピーして、そのまま使うことができるの!
強力な効果を2回も使えるのって最高だよね!

ちなみに、設定によると、セレネシスには
もう一つ名前が付いてるんだって!
えーと、なんて名前だったかな……?
ダーク、ホース? たしか、そんな感じのやつ。
えっ!? わ、忘れてなんかない! 本当よ!
今度、またヒカルに聞いておくよ、うん。

ふっふーん、私の素晴らしい解説はどう?
感動した? もっと敬っていいのだよ!

〔ふすまの閉じる音〕

つづく?
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