カードファイト!! ヴァンガード LunaLight   作:バビロン@VG

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第6話 運命

 

目の前には、白い空間が広がっている。

 

どこまでも続く不思議な空間。

記憶の海。穏やかに流れていく時間。

 

3人の少女の姿が浮かぶ。

 

『もー、ツキちゃん。調子にのらないで!』

 

茶髪の少女が、不満そうな声を出した。

呆れたような目。黒髪の少女が微笑む。

 

『いいじゃなーい、ね? カワイイ後輩?』

 

目線を下へと向ける黒髪の少女。

背の小さい少女が面白そうに声をあげた。

 

『あはは。ミコトお姉ちゃん、困ってるー』

 

それぞれが顔を見つめ合う。

やがて楽しそうに、3人が笑い合った。

 

幸せな光景。思い出の時間。

 

「…………」

 

少し離れた場所で、私はそれを見ている。

いつまでも続くと思っていた時間。儚い夢。

 

戻らない時間に背を向けて──

 

「ねぇ、ミコト」

 

目の前の光景に、向き直った。

黒髪の少女。ブレザーを着た姿。明るい雰囲気。

 

にっこりと、少女が微笑んだ。

 

「お願いがあるの」

 

穏やかな声。綺麗な音。

少女が真っすぐに、私の方を見ている。

 

ゆっくりと、息を吐いて──

 

「……わかってる」

 

私は、静かに頷いた。

もう数えきれないくらい、繰り返した返事。

手を握ると、その場で目を閉じる。

 

目を開けると、黒い色が広がっていた。

 

ばさばさと、風に吹かれてカーテンが揺れる。

大きなベッド。窓から見える金色の満月。

 

暗い部屋の中で──

 

「じゃあ、はじめようか」

 

少女の声が、静かに響いた。

黒いテーブルを挟んで、私と少女が対峙する。

目の前に並べられている数枚のカード。

 

全てのカードは、黒く塗りつぶされている。

 

「いくよ、カワイイ後輩」

 

真っ黒なカードに指を置く少女。

私もまた、目の前の黒いカードに指を置く。

 

月の光が私達の姿を照らして──

 

「スタンドアップ・ヴァンガード!!」

 

2つの声が、闇の中に響いた。

表になるカード。だがどちらのカードも、

表面は黒く塗りつぶされて、姿が見えない。

 

少女が微笑む。

 

「私のターン」

 

静かに、ファイトが始まった。

もう何百回と、思い返した時間。

いつまでも続く、永遠の夜。

 

暗闇の中に──

 

「ごめんね、ツキちゃん……!」

 

私の震える声が、響いて消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、ヒカル。お願いがあるの」

 

唐突に、ミコトがそう口にした。

夏の日差しが降り注ぐ公園のベンチ。

 

ミコトが真剣な表情を浮かべ、ヒカルを見る。

 

「……え?」

 

顔をあげるヒカル。

どこか不安そうな表情が、その顔に浮かんだ。

 

「な、なに? どうかしたの?」

 

怯えたような声色。

おそるおそる、ヒカルがミコトを見上げる。

 

無表情のまま──

 

「ちょっと、ついてきて」

 

ミコトが、ベンチから立ち上がった。

そのまま歩き出すミコト。ヒカルが慌てる。

 

「ま、待ってよ! ミコトお姉ちゃん!」

 

声をあげるヒカル。

ミコトに追いつくと、訊ねる。

 

「ね、ねぇ、どうしたの!? なんなの!?」

 

緊張した表情のヒカル。

ミコトが横を向いた。

 

「いいから、ね?」

 

有無を言わさぬ口調。

ヒカルが不安そうに俯いた。

 

公園から出て、大通りへと出る2人。

 

そのまま駅の方向へと歩いていく。

活気のある、人通りの多い道。すれちがう人々。

 

太陽の光が降り注いで──

 

オシャレな美容室の前でミコトが立ち止まった。

 

「……ここって?」

 

ミコトを見上げるヒカル。

何も答えず、ミコトは美容室のドアを開ける。

 

鈴の音が鳴って──

 

「ただいま」

 

ミコトが、ぶっきらぼうにそう告げた。

長い髪の女性が顔をあげる。

 

「おかえりなさい」

 

そっけない口調で、返事をする女性。

櫛を片手に、客とのお喋りが再開される。

 

「ここ、あたしの家」

 

ぽかんとしているヒカルに向かって、

どこか恥ずかしそうにミコトが説明した。

 

美容室の奥へと進んでいく2人。

 

「さっきも言ったけど、大事な話しがあるの」

 

階段を上りながら、ミコトがそう告げた。

再び、ヒカルが不安そうになる。

 

「えっと、それって……」

 

「ここよ」

 

ヒカルの声を遮るように、ミコトが言った。

閉じられた、木製の扉の前。2人が並ぶ。

 

ミコトが、ヒカルの方を見た。

 

「じゃあ、開けて」

 

「えっ!? あ、あたしが!?」

 

驚くヒカル。

ミコトが頷いた。

 

「そう。話はそれからだから」

 

それだけ言うと、目をつぶるミコト。

ヒカルが困惑しながら、手を伸ばす。

 

ゆっくりと、扉を開けると──

 

パンパンという破裂音が響いた。

 

「えっ!?」

 

びくりと身体を震わせるヒカル。

目を見開いて、驚く。

 

2人に向かって──

 

「イェーイ! サプラーイズ!」

 

ツキが、クラッカーを片手にそう言った。

両手を広げているツキ。嬉しそうな笑顔。

 

部屋の中は、色とりどりの装飾で飾られている。

 

テーブルの上に用意されたケーキ、

並べられた高級そうな瓶ジュース。

 

「えっ、えっ、えっ」

 

事態を飲み込めていないヒカル。

ミコトがツキの横に並んで──

 

「お誕生日おめでとう、ヒカル!!」

 

2人の声が重なった。

そのままツキとミコトが、歌い始める。

 

じわりと、ヒカルの目が潤んで──

 

「うっ、うぇぇぇぇん!!」

 

大きな声をあげて、ヒカルが泣き始めた。

ツキとミコトの歌声が途切れる。

 

「えっ、なに、どうしたの!?」

 

「ヒカル!?」

 

おろおろと戸惑っている2人。

ミコトが、鋭い目をツキに向けた。

 

「ちょっと、ツキちゃん!? 誕生日、間違えたんじゃないの!?」

 

「いやいやいや、そんな事ないよ!? いくら私でも、そんな間違いしないよ!」

 

手を振っているツキ。

騒がしく、2人が言い合いをはじめた。

 

涙をぬぐいながら──

 

「ち、違くて……!」

 

ヒカルが、声をあげた。

2人が争うのをやめて、ヒカルの方を向く。

 

言葉を詰まらせながら、

 

「こ、こういうの初めてで。う、嬉しくて……」

 

ヒカルが、なんとかそう言った。

黙り込む2人。やがて、ホッと息を吐く。

 

可愛らしい部屋の中に──

 

「……えへへ」

 

ヒカルの、嬉しそうな声が響いた。

輝くような笑みを浮かべているヒカル。

 

ミコトがため息をつく。

 

「だから、私は普通にお祝いしようって言ったのに。まったくツキちゃんったら……」

 

呆れたような目を向けるミコト。

フォークを動かし、ケーキを口に入れる。

 

「わ、私だって、あれは想定外だったよ! それに、こういうのは内緒にする伝統なの!」

 

言い訳するような口調のツキ。

あせった表情で、両手を振る。

 

ヒカルが微笑んだ。

 

「平気だよ、ちょっと驚いちゃっただけだから。それにあたし、本当に嬉しくて……」

 

感動したような声。

じわりと、ヒカルの目が再び潤んだ。

 

慌てたように、2人が声をあげる。

 

「わー! 分かったから、もう泣かないで!」

 

「ここは我慢だよ、カワイイ後輩!」

 

あわあわとしている2人。

それを見たヒカルが、吹き出した。

 

「あはは! そんなに慌てないでよ、ツキちゃんにミコトお姉ちゃん!」

 

面白そうに笑うヒカル。

2人が顔色悪く、息を吐く。

 

ミコトが顔をあげ、立ち上がった。

 

「あーもう、いいから進めちゃいましょ!」

 

大きな声で言うミコト。

後ろの棚から、ラッピング袋を取り出す。

 

ツキが目を見開いた。

 

「ちょっと、プレゼントはもっと後に……!!」

 

小声でささやいているツキ。

ミコトが怒ったように、ツキをにらむ。

 

「ツキちゃんの進行じゃ、いつまでたっても始まらないし、終わらないよ!」

 

断言するミコト。

ツキがガーンとショックを受けた。

 

「ううぅぅ……!」

 

崩れ落ち、暗黒のオーラを出しているツキ。

ミコトは完全に、それを無視する。

 

ヒカルに向け、ミコトが袋を差し出した。

 

「はい、ヒカル。お誕生日おめでと!」

 

にっこりと笑みを浮かべるミコト。

ヒカルが「わぁ」と声をあげた。

 

「ありがとう、ミコトお姉ちゃん! ね、ねぇ、開けてもいい?」

 

「もちろん」

 

目を輝かせているヒカル。

緊張したように、袋を開ける。

 

中に手を入れて──

 

「わぁぁ……!」

 

ヒカルが、デッキケースを取り出した。

ピンク色の、新品のデッキホルダー。

 

ミコトが頬をかきながら、視線をそらす。

 

「どうかな? 嫌じゃないといいんだけど……」

 

小声のミコト。

ヒカルがデッキケースを握りしめる。

 

「そんな事ない! すごく嬉しいよ! ありがとう、ミコトお姉ちゃん!」

 

明るい声のヒカル。

ミコトがホッとしたように、目をつぶった。

 

「あ、それと、あたしが使ってるスリーブも入れておいたから。よければ使って」

 

「え? あ、本当だ!」

 

袋の中から、新品のスリーブを取り出すヒカル。

赤い紋章の柄のスリーブ。ミコトと同じ物。

 

ヒカルがぎゅっと、それらを抱きしめる。

 

「ありがとう、ミコトお姉ちゃん……!」

 

心の底から嬉しそうなヒカル。

その目から、僅かに涙がこぼれる。

 

「もー、ヒカルったら泣き虫なんだから……」

 

涙をぬぐってあげるミコト。

ヒカルが「えへへ」と甘えるように笑った。

 

コホンと、ツキが咳払いした。

 

「じゃあ、次は私ね!」

 

自信満々な様子のツキ。

すっと、同じくプレゼント袋を取り出す。

 

「はい! お誕生日おめでとう、ヒカル!」

 

「ツキちゃん、ありがとう!」

 

ツキからプレゼントを受け取るヒカル。

得意そうな表情のツキ。ヒカルが袋を開けた。

 

スリーブが2つ、袋から出てくる。

 

「あっ、これって……!」

 

スリーブを見て、声をあげるヒカル。

月の絵のスリーブと、白い兎の絵のスリーブ。

 

ミコトが横から覗き込んだ。

 

「あ、それ、ツキちゃんが使ってるやつだね」

 

スリーブを見ながら、コメントするミコト。

目線をそらしながら続ける。

 

「月の方はともかく、そっちの兎の方は、ちょっと恥ずかしいかな……」

 

ぼそりと呟くミコト。

ヒカルが嬉しそうに笑った。

 

「ありがとうツキちゃん! これも、大事に使わせてもらうね!」

 

スリーブを掲げているヒカル。

ツキがふふんと笑った。

 

「さすがカワイイ後輩。話しが早いね!」

 

うんうんと頷いているツキ。

ミコトが首をかしげた。

 

「ん? ツキちゃん、それどういう意味?」

 

どこかいぶかしむような表情のミコト。

ヒカルが「え?」と不思議そうな声を出す。

 

ツキが両手を広げた。

 

「ふっふーん! 私のプレゼントがこれだけな訳ないでしょう! 本当のサプライズは、ここからなのよ!」

 

自信に満ちた声で話すツキ。

ミコトが、嫌そうな表情を浮かべた。

 

「なにそれ。あたし、聞いてないわよ……」

 

額に手を当てているミコト。

ヒカルが「えっ、えっ?」と声をあげる。

 

気取った笑みを浮かべて──

 

「ミコト! ヒカル! 私と一緒に、ヴァンガードのチームを組みましょう!」

 

ツキが、大きくそう言い放った。

衝撃を受けるミコトとヒカル。

 

3人の間に、沈黙が流れる。

 

「……チーム?」

 

おそるおそる、聞き返すヒカル。

ツキが、鞄の中からある物を取り出した。

 

「2人とも、これを見て!」

 

ぱさりと、机の上にそれらを広げるツキ。

2人が身を乗り出す。

 

手紙に、封筒、便箋の束。

 

いくつもの郵便物が、

そこには広げられていた。

 

「……なにこれ?」

 

訊ねるミコト。

ツキが微笑みを浮かべて、目を閉じる。

 

「カワイイ後輩達も記憶に新しいでしょ。この前の、私と廻間ミチルさんによるファイトを!」

 

自慢するかのような口調。

ミコトが眉をひそめた。

 

「まぁ、そりゃ。あれがどうかしたの?」

 

話しが見えていないミコト。

ツキが指を伸ばした。

 

「実はだね、あのファイト以降、私宛に色んな所から挑戦状が送られてきているのだよ!」

 

「ちょ、挑戦状!?」

 

驚きの声をあげるヒカル。

やれやれと、ツキが肩をすくめた。

 

「まぁ、私みたいな美少女がミチルさんに勝ちかけたらね、噂になっちゃうのも仕方ないかな~」

 

得意そうにデレデレとしているツキ。

ミコトが冷ややかな目を向けた。

 

「勝負は中断してるから、勝てたかは分からないでしょ。てか、ツキちゃん負けそうに──」

 

「細かい事はいいのよ、カワイイ後輩!」

 

ごまかすように、遮るツキ。

呆れているミコトを前に、続ける。

 

「ともかく! 武蔵国中のファイターが私と戦いたがってるみたいでね! それでこんなに挑戦状が届いてるって訳!」

 

机の上の郵便物を示すツキ。

ミコトが頷いた。

 

「まぁ、事情は分かったけど。それでどうして、チームを組むって話しになるの?」

 

もっともな疑問を口にするミコト。

ツキがにっこりと笑った。

 

「ほら、これ見てよ、ミコト!」

 

郵便物の山から、いくつか抜き出すツキ。

様々なチームの名前が、書かれている。

 

《チーム・SPARK FAIRY》《チーム・フローズンハート》《チーム・龍国双牙》……。

 

「……これが?」

 

手紙を見ながら、訊ねるミコト。

フッと、ツキが短く息を吐いた。

 

その目を輝かせながら──

 

「チームって、なんかかっこいいじゃない!!」

 

ツキが、力強くそう言い切った。

きらきらとした表情。この上ないドヤ顔。

 

ミコトが、露骨に顔をしかめる。

 

「す、すごい! ツキちゃん! 天才!」

 

一方、ツキに同調しているヒカル。

笑顔を浮かべ、両手をあげる。

 

「あたしも、ツキちゃんやミコトお姉ちゃんとなら、チーム組みたい! やろうよ!」

 

「おぉ、さすがだね、私のカワイイ後輩!」

 

きゃっきゃっと、はしゃいでいる2人。

ミコトが深く深く、ため息をついた。

 

「……まぁ、やりたいなら、いいんじゃない?」

 

諦めたように、ミコトが言う。

ツキが手を叩いた。

 

「よし! それじゃあ、今日から私達3人はチームだよ! チーム名は、そうだね……」

 

しばし、考え込むツキ。

やがてその口元に、笑みが浮かんだ。

 

得意そうな表情で──

 

「《ツキちゃんズ》なんて、どうかな?」

 

2人に向かって、ツキが訊ねた。

一瞬の間。静まり返る室内。

 

「却下ね」

 

ミコトが、冷たく言い切った。

ツキがショックを受ける。

 

「えぇっ!? なんでぇ!?」

 

「いや、ダサすぎ。絶対無理だから」

 

ダメ出しするミコト。

ツキが「ぐぬぬ」と悔しそうに唸る。

 

「じゃ、じゃあ、ミコトはどうなの!? なにかアイディアはあるのかい、カワイイ後輩!?」

 

「えっ!? え、えと、その……」

 

困ったような表情になるミコト。

目を細めながら、悩むように思案する。

 

視線をそらして──

 

「な、《仲良しトリオ》、とか……?」

 

恥ずかしそうに、ミコトがそう言った。

赤くなっているミコト。ツキが不満そうに言う。

 

「それなら、ツキちゃんズの方がいいよ! ていうか、ミコトの案も大差ないじゃない!」

 

「なっ、それは嫌! ていうか、急に言われたんだもん、仕方ないでしょ!」

 

言い争っている2人。

ヒカルがおろおろとする。

 

「ちょ、ちょっと、2人とも……!」

 

止めようとしているヒカル。

ふと、その目がある文字を捉えた。

 

「ねぇ、2人とも!」

 

ヒカルが、2人に呼びかけた。

言い合うのをやめるツキとミコト。

 

じっと、2人を見つめながら──

 

「チーム名なんだけど、《ルーンシャトー》っていうのは、どう、かな?」

 

ヒカルが、おずおずとそう言った。

2人が真っ直ぐ、ヒカルを見る。

 

「ルーンシャトー?」

 

「どういう意味? どこから思いついたの?」

 

訊ねる2人。

ヒカルが、テーブルの上を指差した。

 

「これ、このジュースの名前……」

 

誕生日用に買っていた、

高級な雰囲気の瓶入りのジュース。

 

ラベルには『Lune Chateau』と書かれている。

 

「あたし、今日は凄く嬉しくて。だから、この日の事、忘れたくないから。それで、その……」

 

もじもじとしているヒカル。

ツキとミコトが顔を見合わせた。

 

「……いいんじゃない?」

 

賛成するミコト。

ツキもまた、感心したように頷いた。

 

「さすがは私のカワイイ後輩。私に負けず劣らず、素晴らしいセンスの持ち主だね!」

 

腕を組んでいるツキ。

ミコトは、じとっとした目を向けている。

 

ばっと、ツキが両手を広げた。

 

「よーし、それじゃあ、私達はこれから、チーム・ルーンシャトーだー!!」

 

ツキによる大きな宣言。

ミコトとヒカルが、それぞれ頷く。

 

「はいはい」

 

「わーい、やったー!」

 

純粋に喜んだ様子のヒカル。

ミコトもまた、楽しそうに微笑んでいる。

 

ツキが笑みを浮かべて──

 

「じゃあ、ミコト。これあげる!」

 

さっと、プレゼント袋を差し出した。

 

「……えっ?」

 

一瞬、思考が止まるミコト。

プレゼント袋を受け取ると、中身を見る。

 

月と白い兎が描かれた、2つのスリーブ。

 

「……なにこれ」

 

感情のこもっていない声を出すミコト。

ツキが可愛らしくウィンクした。

 

「チームと言ったら、使うスリーブの統一だよ! 私が使ってるこれ、たくさんあるからさ! 3人で使おう!」

 

楽しそうに話すツキ。

ミコトが、渋い表情を浮かべた。

 

「えっ、嫌なんだけど……」

 

目を細めながら、拒絶するミコト。

ツキがヒカルを抱き寄せた。

 

「えー? でもでも、ヒカルは、一緒のスリーブがいいよねー?」

 

「え? あ、うん!」

 

元気に答えるヒカル。

じっと、ツキがミコトを見つめる。

 

「いいでしょー、カワイイ後輩?」

 

甘えるような声。上目遣い。

ミコトが手元のスリーブに視線を向ける。

 

時間が流れて──

 

「はぁ……」

 

スリーブを入れ替え、

ミコトが長いため息をついた。

 

ツキが覗き込む。

 

「あれ、ウサちゃんスリーブは使わないの?」

 

ミコトのデッキを見て、ツキが訊ねた。

げんなりとしながら、ミコトが口を開く。

 

「ライドデッキは、この月のスリーブを使うわ。こっちの方は、まぁ、トークンとか使う時用にとっておくから……」

 

白い兎のスリーブをしまうミコト。

ツキが不満そうに、その頬を膨らませた。

 

「えへへ、ミコトお姉ちゃん達とお揃い……」

 

スリーブに入れたデッキを手に、

嬉しそうな表情を浮かべているヒカル。

 

月の絵のスリーブに入ったカード達を、眺める。

 

 

せいんがる

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ケテルサンクチュアリ - ハイビースト 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― あたし達の力、見せてあげましょ!

 

 

「あれ、ヒカル、デッキ変えたの?」

 

ヒカルのカードに気付くミコト。

びくりと、ヒカルが驚いた。

 

「あっ! え、えっと、その……!」

 

しどろもどろになるヒカル。

ツキもまた、ヒカルのカードに視線を向けた。

 

「ケテルサンクチュアリのイマジンセイバー・ドラゴンのデッキ!? 最新のデッキじゃない!」

 

興奮したような声をあげるツキ。

ミコトも興味津々に、カードを見る。

 

ヒカルが、恥ずかしそうに顔を伏せた。

 

「その、お誕生日だから。この前のお休みの時に、パパとママに頼んで……」

 

小声で話すヒカル。

ミコトがカードを見ながら息を吐く。

 

「綺麗なカード。いいなぁ……」

 

羨ましそうな目を向けるミコト。

ツキが口元に手を当てながら、言う。

 

「ただ、なかなか扱いが難しい特殊なデッキなんだよねー。使いこなすのは、結構大変だよ」

 

「そうなんだ。ねぇ、ヒカルはなんで、このデッキにしたの?」

 

何気なく訊ねるミコト。

ヒカルが「えっ!」と声をあげた。

見る見るうちに、その顔が赤くなる。

 

不思議そうな2人に向かって──

 

「その、ミコトお姉ちゃんが、ケテルサンクチュアリのデッキ使ってるから。だから、私も一緒がいいなって……」

 

ヒカルが、答えた。

しんと、3人の間から音が消える。

 

一瞬の間の後に──

 

「アハハハ!!」

 

2人が、大きく笑い声をあげた。

ヒカルがムッとしたような表情を浮かべる。

 

「も、もう! 笑わないでよ!」

 

怒ったような声を出すヒカル。

ミコトが手を振った。

 

「ご、ごめんごめん。そういうつもりじゃなかったんだけどさ、つい」

 

笑い続けているミコト。

ツキもまた、くすくすと笑う。

 

「いやー、本当にカワイイなぁ、ヒカルは!」

 

愛おしそうな目を向けているツキ。

ヒカルが顔をそむけた。

 

「そ、そんなに笑わなくたって……!」

 

すねたような声を出しているヒカル。

ミコトがにっこりと笑った。

 

「もー、悪かったってばー」

 

軽い口調で謝っているミコト。

ヒカルの方へと身を寄せて──

 

「はい、仲直りのハグ!」

 

ミコトが、ヒカルに優しく抱き着いた。

 

「わっ! み、ミコトお姉ちゃん!」

 

驚きの声をあげるヒカル。

その頬が一気に、赤く染まる。

 

優しくハグしながら──

 

「ほら、これで仲直りしよ! ね?」

 

ミコトが、無邪気な声でそう言った。

顔を伏せがちに、ヒカルが口を開く。

 

「も、もぅ。わかったよぉ……」

 

どこか恥ずかしそうな声。

ミコトが微笑み、ヒカルを離す。

 

「うん、これで解決!」

 

ニッと笑みを浮かべているミコト。

ツキが得意そうに頷いた。

 

「さすが、私のカワイイ後輩達! 仲良しな限りで、私も嬉しいよ!」

 

うんうんと自分で納得しているツキ。

ミコトが、ヒカルの肩に手を置く。

 

「じゃ、今日からあたし達はケテル使い同士だから! 一緒にツキちゃん倒そうね!」

 

「う、うん!」

 

はにかみながら、そう答えるヒカル。

2人の視線がツキへと向けられた。

 

ツキが、不敵な笑みを浮かべる。

 

「ふふーん、いつでもかかってきたまえー!」

 

芝居がかったような口調のツキ。

3人が、楽しそうに笑い声をあげた。

 

幸せな時間が過ぎていく。

 

「それで、チームも組んだし、この挑戦状の人達と戦っていく訳?」

 

郵便物を見ながら、ミコトがそう訊ねた。

ツキが頷く。

 

「その通り! せっかくの機会だからね、これもちょっとしたファイター同士の交流だよ!」

 

楽しそうな様子のツキ。

ウキウキと郵便物をより分けている。

 

「チームになったし、勝ち抜きの団体戦とかやってもいいかもね! その時はミコトやヒカルにも出てもらうよ!」

 

2人の顔を見るツキ。

ミコトが片手をひらひらとさせた。

 

「はいはい、ご自由に」

 

「あ、あたし、がんばるよ!」

 

緊張したように答えるヒカル。

ツキが穏やかに微笑んだ。

 

「頼りにしてるよ、カワイイ後輩達! さーて、そういうことだから!」

 

2人を見据えるツキ。

幾多の挑戦状を見下ろしながら──

 

「チーム・ルーンシャトー、活動開始だよ!」

 

ツキの言葉が、響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──数週間後。

 

ミコトとヒカルは、

ツキの家へと遊びにきていた。

 

優雅なピアノの音が、部屋の中に響いている。

 

月の光。美しい調べ。

2人は静かに、その音に聞き惚れている。

 

最後の音を奏でて──

 

「……うん、こんなものかな」

 

ぼそりと、ツキが呟いた。

落ち着いた表情。神秘的な美しさ。

 

ヒカルがぱちぱちと、拍手する。

 

「やっぱり、ツキちゃん、すごい!」

 

感動しきりのヒカル。

横のミコトもまた頷いた。

 

「本当、ピアノ弾いてる時のツキちゃんは、文句なく完璧なんだよね……」

 

どこか呆れたように話すミコト。

ツキが得意そうな表情になって──

 

「そうでしょう、そうでしょう! もっと敬い、崇め奉っちゃっていいのよ!」

 

鼻高々な様子で、胸を張った。

ミコトが「これだもん……」とため息をつく。

 

ツキがにっこりと笑った。

 

「でも、ルーンシャトーが勝ててるのは、ミコトやヒカルのおかげだよ!」

 

明るい声。

手を広げながら、2人に近づくツキ。

 

「ありがとね、カワイイ後輩達!」

 

ツキが、2人をまとめて抱きしめた。

 

「はいはい」

 

「わっ、つ、ツキちゃん……!」

 

慣れた様子のミコトと、恥ずかしそうなヒカル。

柔らかな花の香りを、2人が感じる。

 

ミコトが息を吐いた。

 

「でも、ほとんどツキちゃんが倒してるじゃない。あたしやヒカル、ほぼ出番ないよ」

 

ここ数週間の戦いを思い返すミコト。

いくつものチームからの挑戦、

何十人ものカウンターファイターとの対戦。

 

その全ての戦いで、ツキは勝利していた。

 

「あ、あたしなんて、一回も勝ててない……」

 

しょんぼりとしているヒカル。

ツキが微笑むと、その頭をなでた。

 

「ううん。ミコトやヒカルの応援があったから、私もここまでやれたんだよ。ありがとね!」

 

優しく語り掛けるツキ。

ヒカルの目にじわりと涙が浮かぶ。

 

「つ、ツキちゃん……!」

 

感動した様子のヒカル。

ミコトが首を振った。

 

「ほら、そろそろ離してよ。ヒカルも泣いちゃいそうだし」

 

呆れた目を向けているミコト。

ツキが名残惜しそうに、身体を離した。

 

ふぅと、ミコトが息を吐く。

 

「それで、残ってるのはあと2通だっけ?」

 

訊ねるミコト。

ツキが頷くと、白い封筒を取り出した。

 

「そうだね。もっとも、これは挑戦状とはちょっと違うやつだけど」

 

封筒をひらひらとさせているツキ。

ミコトが、封筒に書かれた文字を読み上げる。

 

「ヴァンガード普及協会主催……U-15ユース全国大会 特別招待状?」

 

封筒の表面、達筆な筆文字。

ツキが頬をかいた。

 

「ほら、覚えてる? 私がプロ相手に勝っちゃったときの話しなんだけど……」

 

どこか恥ずかしそうな顔のツキ。

ミコトが目を細めた。

 

「あぁ、ツキちゃんがやらかした、あの」

 

じとっとした目を向けるミコト。

ツキが両手を広げた。

 

「あの時スカウトしてきた普及協会の役員さん、今でも付き合いがあるんだけど、いまだに誘われててさ」

 

ちょっとだけ、困ったように話すツキ。

封筒を見ながら、ため息をつく。

 

「それで、この前のミチルさんとのファイトがバレて。そしたらこれ。特別枠とか言って、職権乱用だよね~」

 

どこか愚痴っぽい口調のツキ。

ヒカルが驚いたように目を見開いた。

 

「えっ、つまり、ツキちゃん、ヴァンガードの全国大会に出れるの!?」

 

「まぁ、そうだね」

 

驚愕しているヒカルに対して、

ツキはあっけらかんとした口調で答えた。

 

スマホで調べながら、ミコトが口を開く。

 

「開催、本当にもうすぐじゃない。場所は有明アリーナかぁ」

 

画面を見ながら話すミコト。

ツキの方を向く。

 

「それで、ツキちゃん、出場するの?」

 

「……うーん、どうしようかなー」

 

腕を組み、悩んでいる様子のツキ。

ヒカルが立ち上がる。

 

「で、出ようよ! あたし、ツキちゃんの凄い所、皆に知ってもらいたいもん!」

 

真剣な声で言うヒカル。

しばしの逡巡の後、ツキが目を開けた。

 

「……そうだね。せっかくの機会だし。それに、カワイイ後輩がそう言うなら、出ようか!」

 

笑顔を浮かべるツキ。

ヒカルが「わーい!」と声をあげて喜んだ。

 

「今は夏休みだもんね。あたしもヒカルと一緒に応援に行くよ」

 

ミコトもまた、微笑みながら言う。

嬉しそうに、ツキが両手を天へと伸ばした。

 

「よーし、ルーンシャトーの次の活動は決まり! さっそく準備するよ、カワイイ後輩達!」

 

「はーい!」

 

元気よく返事するヒカル。

ツキとヒカルが、楽しそうに笑い合う。

 

「ところでツキちゃん。残りのもう一つって、どこからの手紙だったの?」

 

何気なく、ミコトが訊ねた。

ツキが「あー」と声を出す。

 

困ったような笑みを、ツキが浮かべた。

 

「もう一つは、うん、そうだね……」

 

1枚の手紙を取り出すツキ。

西洋風の封筒。赤い蝋による封。

 

表面には筆記体で《LMF》と書かれている。

 

「エルエムエフ……?」

 

文字を読み上げるヒカル。

ツキが肩をすくめた。

 

「それは略称。正式名は……まぁ、いいか」

 

諦めたように口をつぐむツキ。

ぼんやりと、手紙を眺める。

 

「なに、あんまり良いチームじゃないの?」

 

ツキに向かって聞くミコト。

はぁと、ツキが小さくため息をついた。

 

「なんて言えばいいのかな、うーん……」

 

悩んだ様子のツキ。

ちらりと、ミコトとヒカルの方を見る。

 

目を伏せがちにして──

 

「まぁ、私としては、あんまり関わり合いにはなりたくない連中だね、うん」

 

ツキが、そう答えた。

首をかしげているミコトとヒカル。

 

ツキが手を叩いた。

 

「まぁまぁ、そんなことは置いておいて! 大会に向けての準備だよ、カワイイ後輩達!」

 

楽しそうな声をあげるツキ。

ヒカルが「おー!」と同調する。

 

ミコトが腕を組んだ。

 

「準備って……特訓でもするの?」

 

素朴な疑問。不思議そうな表情。

ツキが指を振った。

 

「甘いね、カワイイ後輩! そんなことは二の次だよ。もっと他に、重要な事があるでしょ!」

 

断言するツキ。

真剣な眼差しを向けて──

 

「──有明アリーナ付近での、旅行の計画を立てるのよ!!」

 

ツキが、とても力強くそう言い切った。

どこからか観光ガイドを取り出す。

 

「せっかく都会に行くんだもの! 色々と買い物して、ディナーも食べたりしないとね!」

 

ウキウキな様子。歌を口ずさんでいるツキ。

ヒカルが「わぁ!」と目を輝かせた。

 

「美味しそうな物あるかな、ツキちゃん!」

 

「いっぱいあるよ! ほら、これ見て!」

 

ガイドを片手に、喋り出す2人。

ミコトが静かに目を閉じた。

 

「……絶対、役員の人の判断、間違ってる」

 

嘆くように呟くミコト。

保護者のような目を、2人に向ける。

 

「あたしが、しっかりしないと……!」

 

ミコトが、決意を固めた。

好き放題に話している2人の中に割り入る。

 

「ちょっと、計画たてるなら色々と計算しないと!」

 

細かく指摘をはじめるミコト。

ツキとヒカルが騒がしく、それに反論する。

 

楽しそうに喋る声が、部屋の中を満たしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時が流れて──

 

「イェーイ、有明アリーナー!!」

 

会場の前、ツキが楽しそうに声をあげた。

両手をあげているツキ。いつものブレザー姿。

 

人々の視線が集まる。

 

「ちょっと、ツキちゃん。恥ずかしいよ……」

 

ミコトが小さく、ささやいた。

ツキがわざとらしく、ムッとする。

 

「えー? いいじゃーん、せっかくの晴れ舞台なんだしー」

 

文句を言っているツキ。

ミコトが大きく、ため息をついた。

 

「それより、早く行くよ。ツキちゃん、ずっと買い物してるんだもん、時間ギリギリだよ」

 

ツキの腕を引っ張るミコト。

不満そうに、ツキが駄々をこねた。

 

「やだー! 皆で一緒に写真撮るー!」

 

子供のような声をあげているツキ。

ミコトが、呆れかえった。

 

「もー、ツキちゃんったらー」

 

2人を見て、ヒカルが楽しそうに微笑んだ。

海沿いの道に、心地の良い風が通り過ぎていく。

 

青い空が広がって──

 

会場内は、熱気に包まれていた。

張りつめた緊張感。興奮と、不安。

様々な感情の入り混じった場所。

 

スクリーンにはU-15の文字が躍っている。

 

『それでは皆様』

 

マイクを通した声。

会場内の期待が高まって──

 

『U-15ユース全国大会の開催を宣言します!!』

 

大きな声が、会場内に響き渡った。

巻き起こる歓声。地鳴りのような音。

 

演出と共に、そのまま開会式が始まる。

 

「あーあ、もっと買い物したかったなー」

 

選手用の控え通路で、ツキがぼやいた。

肩をすくめて、ため息をつくツキ。

 

観客席の方へと、視線を向ける。

 

「ミコトとヒカル、どの辺りで見てるんだろ? 後で聞いておかないとね」

 

一人で話しているツキ。

その背後から、人影が近づいて──

 

「おぉ、来てくれたか」

 

ツキの背中に、声がかけられた。

黒い髪を揺らして、振り返るツキ。

 

スーツ姿の老人が、微笑みを浮かべている。

 

「あ、おじさん。どうも」

 

ぺこりと頭を下げるツキ。

顔をあげると、気まずそうな表情が浮かんだ。

 

「その節は、なんというか、ご迷惑を……」

 

目が泳いでいるツキ。

老人がホッホッホと笑い声をあげた。

 

「構わん、構わん。むしろ、あいつに灸をすえてくれて助かったよ。今では君に勝つために、見違えたように努力していてな」

 

嬉しそうに話す老人。

ツキがホッとしたように胸を撫でおろす。

 

「君が出てくれたなら、大会も大盛り上がりじゃ。ワシもしっかりと、君が勝つ所を見届けさせてもらうとしよう」

 

微笑んでいる老人。

ツキが手を振った。

 

「いやいや、そんな。私なんてまだまだですよ」

 

謙遜しているツキ。

クックッと、老人が笑い声を漏らす。

 

「あの廻間ミチルと互角にやりあってか? 君の相手になるファイターは、今回の大会にはおらんよ。ただ、一人を除いてな」

 

人差し指を伸ばす老人。

ツキが首をかしげた。

 

「一人を除いて?」

 

「うむ。最近になって急に頭角を現した者がおっての。君より年は若いが、なかなかどうして、かなりの実力者じゃ。君にも負けず劣らずな」

 

「ふーん、そうなんですね」

 

興味なさそうに言うツキ。

老人が大きく笑い声をあげた。

 

「ハッハッハ……。相変わらず掴みどころがないのぅ、君は。まぁ、ワシらは試合を楽しみにしておるよ。果たして、どちらが強いか……」

 

目を細める老人。

値踏みするかのように、ツキを見据える。

 

老人が背を向けた。

 

「それじゃ、ご武運をの」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

頭を下げるツキ。

歩き出した老人が、ふと、振り返った。

 

「そうそう、さっき話した子なんじゃが。組み合わせ表を見る限り、君とは2回戦で当たるみたいじゃ。がんばっての」

 

片手をあげ、そう告げる老人。

再び笑い声をあげると、去っていく。

 

「……2回戦ねぇ」

 

顔をあげるツキ。

一瞬、その表情が暗くなった。

 

「まぁ、今日一日くらいなら、もつかな」

 

ぼそりと、呟くツキ。

胸に手を当てながら、虚空を見つめる。

 

ピンポンパンポーンという音が流れて──

 

『選手の皆様、間もなく一回戦となります。所定の位置まで移動をお願いいたします。くり返します。間もなく一回戦が──』

 

スピーカーから流れる音声。

ツキが前を向いた。

 

「ま、気楽にやろ。無理はできないし。それに大会終わったら、ミコトとヒカルと一緒に夕食だもん。大会よりそっちのが大事だよ!」

 

うんうんと頷くツキ。

廊下の先、会場への入り口へと歩みを進める。

 

そんなツキの後ろ姿に──

 

「…………」

 

栗色の髪の少女が、鋭い視線を向けていた。

小柄な体格に、ツインテールにした髪。

 

冷たい雰囲気を、少女は漂わせている。

 

「……あいつが」

 

ツキを見ながら、呟く少女。

不機嫌な表情。威圧的な態度。

 

その瞳が、一瞬だけ赤色の光を帯びた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自販機の前に、私は立っていた。

 

小銭を入れて、ボタンを押す。

ガタンという音と共に、ジュースが出てきた。

 

「ツキちゃん、一回戦勝ったかな」

 

ジュースを取り出しながら、私は呟いた。

会場側から聞こえてくる、大きな歓声。

 

「まぁ、ツキちゃんなら平気か」

 

特に心配もせず、私は結論を出した。

性格は残念だけど、ツキちゃんの実力は完璧だ。

 

正直、優勝してもおかしくはないほどに。

 

「あーでも、そうなると、またツキちゃん調子にのりそうだなぁ。程々の結果の方がちょうどいいかもね……」

 

想像しただけで、面倒そうだと感じる私。

キャップを開けて、ペットボトルを傾ける。

 

冷たい飲み物。一息つく私。

 

「うん。じゃあ、そろそろ戻って──」

 

口元をぬぐいながら、

私がそう言った瞬間だった。

 

ビターンという、何かが倒れる音が響いた。

 

ぎょっとして、音のした方を向く私。

栗色の髪の少女が、床に大の字になっている。

ツインテールの髪。右手の黒い指だし手袋。

 

「ちょ、ちょっと、大丈夫!?」

 

思わず、駆け寄る私。

少女は無表情のまま、天井を見上げている。

 

その目に涙が浮かんで──

 

「……この程度の些事、なんということはない」

 

少女が、ぽつりと答えた。

私と同じくらいの年齢にしては、堅い口調。

 

ゆっくりと、少女が半身を起こした。

 

「足元に障害物があり、足をとられた。ただ、それしきのこと。大事にはならぬ……」

 

涙目のまま、言い訳するように話す少女。

私は視線を床に向ける。

 

「……障害物って、あのチラシのこと?」

 

床に落ちている、一枚のチラシを見る私。

どうやら、あれで滑って転んだらしい。

 

少女が怒りの表情を浮かべた。

 

「こ、この涙は、かように脆き体のせいなのだ! 私の意志ではないのだぞ!」

 

私の心配するような目に気付いたのか、

少女が勢いよくそう否定した。

 

どうやら、かなりプライドの高い子のようだ。

 

「そう。怪我はない? スタッフの人呼ぶ?」

 

あまり刺激しないように、訊ねる私。

ふんと、少女がそっぽを向く。

 

「この程度、救援は不要。待てば回復する!」

 

力強く言い切る少女。

痛いのか、いまだにその目は潤んだままだ。

 

ため息をついて──

 

「ほら、手伝うから。とりあえず立とう?」

 

私が、右手を差し出した。

差し出された手をじっと見つめている少女。

 

やがて、恥ずかそうに顔を伏せながら──

 

「ふん。そこまで言うなら、仕方ない……」

 

渋々ながら、私の手を取った。

引っ張り上げる私。少女が立ち上がる。

 

ふわりと、栗色のツインテールの髪が揺れた。

 

「助力、感謝するぞ」

 

ぶっきらぼうに言う少女。

こうして見ると、年は私と同じくらいだ。

ただ、喋り方が特徴的すぎて断言できない。

 

「あたし、氷川ミコト! あなた、名前は?」

 

とりあえず、自己紹介する私。

少女が腰の所に両手をあて、胸を張った。

 

「私は高輪(たかなわ)カコ! 偉大なる使命を持つ者である!」

 

大きく言い切る少女──カコ。

私の頭の中、疑問がわく。

 

「偉大な、使命?」

 

「うむ。ゆえに、私はこの地に降り立ったのだ。我らが同士を探し、使命を果たすためにな!」

 

手袋をつけた右手をグッと固めるカコ。

ふんすと、目をつぶり微笑む。

 

「それも、いよいよ大詰め! 次の対戦の刻で、また一つ我が悲願に近づくであろう!」

 

呵々と笑い声をあげるカコ。

呆然としている私に向かって、手を振る。

 

「少女よ、そなたの施しには感謝する! この日の栄光を胸に刻むがよい! ではな!」

 

一方的な物言い。尊大な口調。

足早に、カコがその場から去っていった。

 

残された私が、ぽかんとする。

 

「……まぁ、いいか。元気そうだし」

 

あまり深くは考えない事にして、

私もまたジュースを手に観客席に戻る事にした。

 

会場内。歓声が響く席に戻って──

 

「あ、おかえり、ミコトお姉ちゃん!」

 

嬉しそうに、ヒカルが声をあげた。

会場の方を指差すヒカル。

 

「ツキちゃん、一回戦ばっちり勝ったよ!」

 

目をキラキラとさせているヒカル。

席に座りながら、私は頷いた。

 

「まぁ、ツキちゃんならね。相手の人はどんな感じだったの?」

 

「んー……」

 

悩むように目を閉じるヒカル。

やがて、どこかませたように、微笑んだ。

 

「あたしの勘だけど、あの子、ツキちゃんに惚れちゃったと思うよ!」

 

自信ありげな声。

私は顔をしかめた。

 

「なにそれ、どういうことよ?」

 

「だって、同い年くらいの男の子だったんだけど、ツキちゃんずっと楽しそうにお喋りしてて、最終的には男の子の方、顔真っ赤でしどろもどろだったから!」

 

面白そうに言うヒカル。

私はそんな単純じゃないと思いつつ、頷いた。

 

「はいはい。まぁ、勝ったならいいわよ」

 

ジュースを飲みながら、会場に視線を向ける私。

一回戦も終わり、まもなく二回戦の時間だ。

腕を組み、リラックスした体勢のツキちゃん。

 

ふと、ツキちゃんが私とヒカルに気付いて──

 

「イェーイ!」

 

大きく、声をあげてぶんぶんと手を振った。

注目が集まる。恥ずかしくなる私。

 

「もう、ツキちゃんってば……!」

 

身体を縮こませている私。

ヒカルが楽しそうに笑った。

 

「あはは。ツキちゃん、がんばってー!」

 

手を振り返しているヒカル。

ツキちゃんは笑顔のまま、ピースしている。

 

輝くような笑顔。煌めいている姿。

 

「……ツキちゃん、がんばってね」

 

小さく、私は呟いた。

アナウンスが流れる。二回戦の開始が迫った。

 

会場内は、熱気と興奮に包まれている。

 

ツキちゃんに近づく一人の人物、

栗色の髪のツインテールの少女の姿が見えた。

 

「あっ、さっきの子だ」

 

ぼそりと言う私。

ファイトテーブルを挟み、2人が向かい合う。

 

張りつめた空気。盛り上がる歓声。照明の光。

 

頬杖をつき、私はその光景を眺めていた。

そして、この時見たファイトが──

 

ツキちゃんの、公式での最後の戦いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歓声が鳴り響き、会場を揺らしていた。

 

ファイトテーブルの前。

ぶんぶんと、ツキが大きく手を振った。

 

「イェーイ!」

 

観客席のミコトとヒカルに向け、声をあげる。

周りの視線が集まるが、ツキは気にしなかった。

 

足音が響いて──

 

「ふん、随分と余裕だな」

 

尊大な声が、その場に響いた。

手を振るのをやめ、視線を向けるツキ。

 

栗色の髪のツインテールの少女が、近づく。

 

睨むような目。激しい威圧感。

コツコツと足音を響かせ、少女は歩く。

 

「んん……?」

 

異様な迫力を漂わせている少女を見て、

ツキが怪訝そうな表情を浮かべた。

 

冷徹な目を向けながら、少女が口を開く。

 

「ここは戦場だ。そのような振舞いをしては、周りの士気にも関わる。我らが使命のためにも、今後はその態度を──」

 

少女が言いかけた瞬間。

 

つるりと、少女が床で足を滑らせた。

 

その顔に浮かぶ驚愕の表情。

そのままビターンと、少女が前のめりに倒れた。

 

「ちょっ!? 大丈夫!?」

 

慌てて駆け寄るツキ。

周りのスタッフもまた、駆け付ける。

 

ぷるぷると震えながら──

 

「こ、この程度の試練……我らが悲願を思えば、なんということはない……!」

 

少女が、顔をあげた。

涙目の少女。ツキがハンカチを取り出す。

 

「大丈夫? ほら、使っていいよ?」

 

優しく言うツキ。

少女が、怒ったように立ち上がった。

 

「う、うるさい! 私は泣いてなどいない! 泣いているのは、身体の方だ!」

 

涙をぬぐいながら、叫ぶように言う少女。

そのまま足早に、ツキの向かいに立つ。

 

ツキとスタッフが顔を見合わせた。

 

「……もし何かあれば、呼んで下さいね」

 

優しく、少女に向かって告げるスタッフ。

心配そうにしながらも、その場から離れる。

 

ツキと少女が向かい合った。

 

「君、泣かないんだね。偉いよ!」

 

にっこりと微笑みかけるツキ。

少女がムッとした表情を浮かべた。

 

「子供のように扱うな! 私は目上だぞ!」

 

「目上って……君、いくつ?」

 

訊ねるツキ。

少女が視線をそらし、考え込んだ。

 

「ざっと、1000歳くらいか!」

 

高らかに答える少女。

ツキが穏やかな表情で、目を細める。

 

「そうなんだー。ねぇ、お名前は? 学校はどこに通ってるの?」

 

子供に聞くような口調。

少女が一瞬、考える。

 

「私は高輪カコ! 今は都の小学校で、6年生のクラスに通っている!」

 

思い出すかのように答える少女──カコ。

ツキが頷く。

 

「そっか、じゃあ12歳くらいだね! 私にも、同じ年齢のカワイイ後輩達がいるんだ!」

 

自慢するかのような口調のツキ。

カコが眉をひそめた。

 

「カワイイ、後輩……?」

 

未開の言葉を聞いたかのような反応。

理解できないように、首をかしげるカコ。

 

二回戦に向けたアナウンスが流れる。

 

「おっと、そろそろ準備しないとね」

 

デッキを取り出すツキ。横に白い兎のスリーブ、

目の前に月のスリーブに入ったカードを置く。

 

輝くような笑顔を、ツキが浮かべた。

 

「私は御導ツキ! よろしくね!」

 

友好的な口調。右手を差し出すツキ。

おもむろに、カコがデッキを取り出し置いた。

 

「挨拶などいい」

 

冷たい声。

睨むような、鋭い目を向けて──

 

「貴様が、セレネシスの先導者だな?」

 

カコの言葉が、その場に響いた。

冷たい威圧感。張りつめていく空気。

 

周りの歓声だけが、2人の間に流れる。

 

「……先導者?」

 

右手を下ろし、訊ねるツキ。

カコがフッと鼻で笑った。

 

「知らないなら、それでいい。安心するがよい。必要な事は、私の方ですませてやる」

 

青い炎が描かれたスリーブ。

それに入ったカードを、目の前に置くカコ。

 

右手にだけ着けた、黒い手袋を構える。

 

「我が同士のためだ。悪く思うなよ」

 

鋭い声。威圧的な雰囲気。

その瞳が一瞬、赤色の光を帯びた。

 

ツキが、息を吐いて──

 

「なーんか君、気にくわないなぁ」

 

不満そうに、そう言った。

二回戦開始のアナウンスが流れる。

巻き起こる歓声。熱狂した空気。

 

「ゆくぞ!!」

 

勢いよく言い、カコが指をカードの上にのせた。

ツキもまた、目の前のカードに指を伸ばす。

 

2人の視線がぶつかる。そして──

 

「スタンドアップ!!」

 

ツキとカコの声。

さらに──

 

「Z!!」

 

カコの声。

2人の手が動いて──

 

「ヴァンガード!!」

 

カードが、表になった。

 

「《緋炎新兵 バーキッシュ》!!」

 

「《サンセット・エッグ》!!」

 

 

緋炎新兵 バーキッシュ

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 必ず生き抜いて、立派な戦士になってみせる!

 

 

サンセット・エッグ

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー6000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットがライドされた時、あなたが後攻なら、1枚引く。

― 人知れず眠る、夢幻の遺伝子を秘めた卵。

 

 

「……ドラゴンエンパイア」

 

ぼそりと、呟くツキ。

カコが手を伸ばす。

 

「私のターン!」

 

勢いよくカードを引くカコ。

その小さい手が、カードを掴む。

 

「ライド! 《緋炎弓兵 アギレド》!」

 

置かれる1枚。

描かれているのは、弓を構える和装の青年。

 

 

緋炎弓兵 アギレド

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(V)】:相手のリアガードが1枚以下なら、あなたのライドデッキから「緋炎弓将 ディパーネル」にライドする際、手札から1枚捨てずにライドできる。

【自】:このユニットがライドされた時、相手のリアガードが2枚以上なら、このカードを(R)にコールしてよい。

― 境界に踏みにじる者は、竜の裁きを受ける事となる。

 

 

「ターンエンドだ!」

 

自信に満ちた宣言。

ふんと、見下したようにツキの方を見るカコ。

 

ツキが手を伸ばす。

 

「私のターン!」

 

カードを引くツキ。

迷う様子もなく、1枚を捨てる。

 

「《緑の魔少女 "ダスク"》にライド!」

 

 

緑の魔少女 "ダスク"

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「サンセット・エッグ」からライドして登場した時、あなたの山札から「ルナコクン」を1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。

― 才華に溢れる少女を、人々は"夜"の名前で表現した。

 

 

「スキルで1枚ドロー! さらに山札からルナコクンを手札に!」

 

カードを引き、山札を持つツキ。

金色の繭の妖精のカードを見せる。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

「ふん、脆弱なメガコロニー共め」

 

馬鹿にしたように言うカコ。

ツキがフッと笑う。

 

「あら、それはどうかなー?」

 

不敵な表情のツキ。

ムッとするカコを尻目に、カードを動かす。

 

「ダスクで、ヴァンガードにアタック!」

 

高らかな声。

カコが腕を組み、目をつぶる。

 

「ノーガード!」

 

「なら、ドライブチェック!」

 

山札の上をめくるツキ。

カードを表にする。

 

「ノートリガー!」

 

 

プラナプリベント・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - ネイチャードラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― 護って見せるよ。やっと芽生えた命なんだから。

 

 

カードを手札に加えるツキ。

カコが腕を伸ばした。

 

「ダメージチェック! ノートリガーだ!」

 

勇ましく宣言するカコ。

ダメージにカードを置く。

 

 

メテオールフレア・ドラゴン

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、そのターン中、相手のリアガードすべては【永】能力すべてを失い、得られない。さらに【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このユニットと同じ縦列の相手のリアガードを1枚選び、退却させる。

【永】【(R)】:あなたのターン中、相手の、ヴァンガードがグレード3以上でリアガードがいないなら、このユニットのパワー+5000。

― 数が上回ったなら、後は差を広げるのみ。

 

 

カコ ダメージ0→1

 

 

「ターンエンドだよ!」

 

手札を片手に、そう告げるツキ。

穏やかな微笑み。余裕のある態度。

 

カコが睨むようにツキを見る。

 

「私のターン!」

 

デッキからカードを引くカコ。

そのまま、ばっと腕を前に出す。

 

「アギレドのスキル! 貴様のリアガードが1枚以下なので、私は手札コストを支払わずにライドできる!」

 

 

緋炎弓兵 アギレド

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(V)】:相手のリアガードが1枚以下なら、あなたのライドデッキから「緋炎弓将 ディパーネル」にライドする際、手札から1枚捨てずにライドできる。

【自】:このユニットがライドされた時、相手のリアガードが2枚以上なら、このカードを(R)にコールしてよい。

― 境界に踏みにじる者は、竜の裁きを受ける事となる。

 

 

「へぇ」

 

感心したように呟くツキ。

カコがカードを構えた。

 

「ライド! 《緋炎弓将 ディパーネル》!」

 

青い炎のスリーブのカード。

弓を背中に持つ、褐色の武人が現れる。

 

 

緋炎弓将 ディパーネル

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「ガーンデーヴァ」を含むユニットにライドされた時、あなたのヴァンガードを1枚選び、そのターン中、そのユニットが元々持つ【起】能力のコストは【カウンターブラスト】(1)減る。

― 緋炎の兵は言葉でなく、その戦果で己を語る。

 

 

「さらに《緋炎弓兵 バウセン》、《紅鱗の剣客 バルナイア》をコール!」

 

手札のカードを選ぶカコ。

同じ一列に、2枚のカードが置かれた。

 

 

緋炎弓兵 バウセン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【後列の(R)】:「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードがアタックした時、あなたのバインドゾーンが3枚以上なら、【コスト】[このユニットを裏でバインドする]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 番う矢が1本であろうはずがない。

 

 

紅鱗の剣客 バルナイア

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、このターンにいずれかのリアガードが退却しているなら、【コスト】[このユニットを裏でバインドする]ことで、1枚引く。

― 一度燃え上がった炎、楽に消えると思うなよ!

 

 

カコがツキを指差した。

 

「我が部隊による電撃戦をくらうがいい! ディパーネルで、ヴァンガードにアタック!」

 

カードを動かすカコ。

ツキが素早く、カードを選ぶ。

 

「ガード!」

 

 

シャドウ・レディバグ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 影の世界には、かつて失われた遺伝子が隠されている。

 

 

トリガーによるガード。

ツキが油断なく次の展開を待つ。

 

「ドライブチェック!」

 

カコが、山札に手を伸ばした。

カードが表になり──

 

「ゲット、クリティカルトリガー!」

 

カコの鋭い声が、その場に響いた。

 

 

焔の闘僧 ソウギョウ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 炎を纏うこの大太刀、未熟な奴には見切れねーぞ!

 

 

カコが手をかざす。

 

「効果は全て、バウセンへ!」

 

高らかな宣言。

カコの指が、カードの上に置かれる。

 

「バルナイアのブースト、バウセンでヴァンガードにアタックだ!」

 

援護を受ける竜の少年。

強力な攻撃。炎がツキに迫る。

 

「ノーガード!」

 

迷いなく言うツキ。

デッキに手を伸ばし、表にする。

 

「ダメージチェック、ノートリガー!」

 

ダメージにカードが置かれた。

 

 

共謀怪人 アドマンティス

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、あなたの他のリアガードを1枚選び、そのターン中、パワー+5000。

― 自ら手を見下すのは、あくまで最後の手段でいい。

 

 

流麗怪人 グロリアス・スタッグ

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、相手のユニットがすべて【レスト】しているなら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、あなたのヴァンガードが「夢幻蝶姫 セレネシス」なら、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 特級怪人の実力、見せてあげる。

 

 

ツキ ダメージ0→2

 

 

「ふん、ターンエンドだ!」

 

ぶっきらぼうな口調のカコ。

ツキがため息をついた。

 

「まったく、可愛くないなぁ……」

 

ぼやくように言うツキ。

ぎろりと、カコが不満げに睨む。

 

ツキが手を伸ばした。

 

「私のターン!」

 

カードを引いて、手札を眺めるツキ。

迷うこともなく1枚を選ぶ。

 

「《秘めたる才気 "ミッドナイト"》にライド!」

 

場に現れる1枚。

描かれているのは、緑の髪をした少女の姿。

 

 

秘めたる才気 "ミッドナイト"

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「緑の魔少女 "ダスク"」からライドして登場した時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

― 比類なき才能。彼女には直系の血が流れている。

 

 

ツキが手を伸ばす。

 

「スキルでソウルブラスト! シャドウゾーンの《ミニュアデス》を表に!」

 

ソウルのカードを抜き取るツキ。

白い兎のスリーブの束から、1枚を表にした。

 

描かれているのは、影の光を纏う蛍の女怪人。

 

「ルナコクンをコール!」

 

ヴァンガードの横、

金色の繭の妖精を出すツキ。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

カードを掴んで──

 

「ミニュアデスに、メタモルフォシス!」

 

現世と影の世界が、入れ替わった。

先程の蛍の女怪人が、悠然と姿を現す。

 

 

ミニュアデス パワー10000

 

 

「ふん! その程度の雑兵が増えた所で、戦況に影響はない!」

 

見下したように言うカコ。

ツキが指を伸ばした。

 

「ミニュアデスで、バウセンにアタック!」

 

カードを動かすツキ。

冷静な目を、盤面に向けている。

 

「ガードだ!」

 

ぱさりと、カコがカードを投げて置いた。

 

 

フレアヴェイル・ドラゴン

トリガーユニット 【引】+10000

(ドロートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン 

パワー4000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。

― 朱の翼はあらゆる害意を燃やし尽くす。

 

 

ガード成功。

得意そうに、口元に笑みを浮かべるカコ。

 

「ふふん。大切な部下を守るのも、上官の──」

 

その言葉を遮るように、

 

「ミッドナイトで、バウセンにアタック!」

 

ツキが大きく、宣言した。

カコが目を見開く。

 

「なっ!?」

 

想定外の一手。

慌てて、カコが自分の手札を見た。

 

「ぐっ。こ、これ以上、守りの人員を割いては、今後の戦局に影響が……!」

 

顔をしかめているカコ。

目を伏せると、渋々口を開く。

 

「の、ノーガード……!」

 

心の底から悔しそうなカコ。

ツキがデッキをめくった。

 

「ドライブチェック、ドロートリガー!」

 

桃色の乙女のカードを、ツキが見せつけた。

 

 

晴朗の乙女 レェナ

トリガーユニット 【引】+10000

(ドロートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000

― こんなに良いお天気なのですよ?お散歩しましょ~♪

 

 

さらにカードを引くツキ。

カコの場の竜の少年が退却する。

 

「ターン終了時、ミニュアデスのスキル。シャドウゾーンに表で戻って、1枚ドロー!」

 

蛍の女怪人のカードを掴むツキ。

影の領域へと戻すと、カードを引く。

 

にっこりと、笑顔を浮かべて──

 

「はい、君のターンだよ!」

 

ツキが、弾むような声でそう言った。

子供に話しかけるような口調。穏やかな微笑み。

 

カコの顔が、怒りで赤くなる。

 

「き、貴様! 私を子供扱いするか! 私は、偉大なるドラゴンエンパイアの、防人の竜の一族を統べる者だぞ!」

 

声を荒げているカコ。

ツキが頷いた。

 

「うんうん、そうだね」

 

優し気な声。

慈しむような目を向けて──

 

「そういうの、好きな年頃なんだね。分かるよ」

 

ツキが、理解を示すかのように言った。

衝撃を受けたように、カコが絶句する。

 

拳をぷるぷると震わせて──

 

「こ、この、人間風情めー!!」

 

可愛らしい声で、カコが叫んだ。

涙目のカコ。傍から見れば微笑ましい光景。

 

カコが、その手を伸ばした。

 

「私のターン!!」

 

勢いよくカードを引くカコ。

1枚を捨て、青い炎のスリーブのカードを掴む。

 

「我が紅蓮の弓に、捉えられぬものはなし!! 全てを射貫く烈々たる炎を見るがいい!! ライド!!」

 

鋭い目で、ツキを睨みつけるカコ。

持っているカードを、振り下ろした。

 

「《緋炎帥竜 ガーンデーヴァ》!!」

 

イメージの中、赤い炎が戦場に吹き荒れた。

巨大な弓を構えた、真紅の竜が現れる。

 

カコの瞳が、赤い色の光を帯びた。

 

「見せてやる、私の力を!!」

 

堂々とした口調。溢れる威圧感。

ツキがわずかに目を細めた。

 

「ディパーネルのスキル! このターン中、ガーンデーヴァの支払うカウンターブラストを1減らす!」

 

 

緋炎弓将 ディパーネル

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが「ガーンデーヴァ」を含むユニットにライドされた時、あなたのヴァンガードを1枚選び、そのターン中、そのユニットが元々持つ【起】能力のコストは【カウンターブラスト】(1)減る。

― 緋炎の兵は言葉でなく、その戦果で己を語る。

 

 

赤い炎の加護を受ける竜。

カコが手を前へと出した。

 

「ガーンデーヴァのスキル! 本来ならば貴様のリアガードを選択するが、対象は存在しない! 私は山札の上から5枚を公開!」

 

自分のデッキの上から5枚を見せるカコ。

そのままデッキに戻し、シャッフルする。

 

「そして、この効果で退却させた枚数が1枚以下なので、私は1枚引き、ドロップから1枚を裏でバインドする!」

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

カードを引くカコ。

ドロップの1枚を裏向きにして、横に置く。

 

 

カコ バインド0→1

 

 

「裏向きで……」

 

考えるように、呟いているツキ。

カコがカードを手に取った。

 

「《緋炎弓将 ルグエント》をコール!」

 

ヴァンガードの横に置かれる1枚。

紫の髪をした荒々しい竜人が姿を見せる。

 

「ルグエントのスキル! カウンターブラストを支払い、相手のリアガードを退却!」

 

ダメージのカードを裏返すカコ。

にやりと、その口元に笑みが浮かぶ。

 

「退却させなかったら、1枚引いて、ドロップから1枚を裏向きでバインドする!」

 

 

緋炎弓将 ルグエント

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。退却させなかったら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 山で、俺達の庭で、お前らに勝機はねェんだよッ!

 

 

顔をしかめるツキ。

ツキの場にリアガードは存在しない。

となれば当然、退却はできない。

 

カコがカードを引き、さらに1枚を裏で置いた。

 

 

カコ バインド1→2

 

 

「《ドラグリッター アルファカール》をコール!」

 

引いたばかりの1枚。

燃え盛る炎の剣を持つ、白髪の青年が現れた。

 

 

ドラグリッター アルファカール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードが、グレード3以上のヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1), このユニットを裏でバインドする]ことで、あなたの山札の上から5枚見て、グレード3以下のユニットカードを1枚選び、(R)にコールし、山札をシャッフルする。

― 私の剣に、容赦や慈悲を期待するな。

 

 

前列全てが埋まったカコの場。

不敵な笑みを、カコが浮かべる。

 

「ガーンデーヴァのスキル! バインドされているカード1枚につき、私の前列のユニットのパワー+2000!」

 

手を前に出し、得意そうに話すカコ。

ツキに鋭い視線を向ける。

 

「バインドされているのは2枚! よって前列のユニット全てに、合計パワー+4000だ!」

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

「そういうことね」

 

納得したように呟くツキ。

カコがカードの上に指を置く。

 

「ゆくぞ! アルファカールで、ヴァンガードにアタックだ!」

 

カードを動かすカコ。

ツキが瞬時にカードを出す。

 

「ガード!」

 

 

晴朗の乙女 レェナ

トリガーユニット 【引】+10000

(ドロートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000

― こんなに良いお天気なのですよ?お散歩しましょ~♪

 

 

攻撃に割り込む桃色の乙女。

カードがドロップへと置かれる。

 

だんと、カコがカードに手をのせた。

 

「真の戦場の恐怖、骨の髄まで味わうがよい!! ガーンデーヴァで、ヴァンガードにアタックだ!!」

 

自信に満ちた声を出すカコ。

絵の中の真紅の竜の目が、ツキの方へと向く。

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ パワー17000

 

 

「ノーガード!」

 

手札を片手に、ツキが答える。

カコが手を伸ばした。

 

「ツインドライブ! ファーストチェック、ノートリガー。セカンドチェック、ドロートリガー!」

 

場に置かれる2枚。

朱く燃える翼を広げる竜のカードが表になる。

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

フレアヴェイル・ドラゴン

トリガーユニット 【引】+10000

(ドロートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン 

パワー4000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。

― 朱の翼はあらゆる害意を燃やし尽くす。

 

 

「パワーはルグエントに!」

 

カードを引きながら、宣言するカコ。

ツキがデッキの上をめくる。

 

「ダメージチェック。ノートリガー」

 

 

スプライト・マドンナ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札から「ルナコクン」を1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。

― もう一度、夢を魅せて、ア・ゲ・ル。

 

 

ツキ ダメージ2→3

 

 

カードをダメージへと置くツキ。

計算するかのように、盤面を眺めている。

 

「バルナイアのブースト、ルグエントでヴァンガードにアタックだ!」

 

容赦のない声。

カコがカードを動かすと、ツキの方を見る。

 

 

緋炎弓将 ルグエント パワー28000

 

 

「ノーガード!」

 

冷静に答えるツキ。

カードをめくると、カコに見せつける。

 

「ダメージチェック、ヒールトリガー! ダメージ1点回復!」

 

 

ドリーミング・バタフライ

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 夢の世界へと誘う、煌めく鱗粉。

 

 

カードを構えているツキ。

ダメージのカードを、ドロップへと送った。

 

 

ツキ ダメージ4→3

 

 

「ぐっ……!」

 

忌々しそうに顔をしかめるカコ。

憮然とした態度で、腕を動かした。

 

「小癪な! ターンエンドだ!」

 

ツキを鋭く見据えているカコ。

赤い色の光が宿った瞳が揺れる。

 

ツキが、楽しそうに笑った。

 

「君、なかなかやるね。私のターン!」

 

カードを引くツキ。

1枚捨て、月のスリーブに入ったカードを掴む。

 

カードを構えて──

 

「《夢幻蝶姫 セレネシス》にライド!」

 

ツキが静かに、カードを場に置いた。

影の世界を統べる、強大な虫の姫君。

 

冷たい威圧感と共に、その妖艶な姿を見せる。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

「……我が同士」

 

小声で呟くカコ。

感慨深い表情が浮かんでいる。

 

「セレネシスのスキルで、シャドウゾーンの《イーピゲネイア》を表に!」

 

手を伸ばし、カードを表にするツキ。

白い兎のスリーブのカード、蜂の女怪人。

 

ツキが手札の1枚を表にする。

 

「《賛美を告げる影の舞》を使用! シャドウゾーンからルナコクンをコール!」

 

 

賛美を告げる影の舞

ノーマルオーダー 〈3〉

ストイケイア

「セレネシス」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、プレイできる!

あなたのシャドウゾーンから「ルナコクン」を1枚選び、(R)にコールする。

― 踊りましょう。この歓喜を、姫様に。

 

 

影の領域より、再び姿を現す繭の妖精。

手を伸ばし、ツキがカードを掴んだ。

 

目線を切って──

 

「イーピゲネイアに、メタモルフォシス!」

 

2枚のカードが、入れ替わった。

現れたのは、影の羽根を持つ蜂の女怪人。

 

ツキが、カコの場を指差す。

 

「イーピゲネイアのスキル! アルファカールに、暗黒繭マーカーを置く!」

 

 

イーピゲネイア

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」

((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、暗黒繭マーカーが置かれていない相手のリアガードを1枚選び、暗黒繭マーカーを1つ置く。

― 影の蜂が誘うのは、甘美なる「堕落」の夢。

 

 

ダメージのカードを裏にするツキ。

不気味な繭のカードが、白髪の青年に憑りつく。

 

 

暗黒繭

【永】:このマーカーが置かれたユニットは、元々の能力を失い、パワーが元々のパワー分減り、インターセプトとブーストができない。

【自】 :このマーカーが置かれたユニットが退却した時、あなたの山札からそのユニットと同じグレードを1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。(暗黒繭マーカーを置いたファイターが探す)

 

 

「な、なんだこれは!?」

 

驚きの声をあげるカコ。

ツキがさらに、畳みかけるように続ける。

 

「セレネシスのスキルで、イーピゲネイアの能力をコピー! さらにスキルを発動して、バルナイアに暗黒繭マーカーを置く!」

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

ソウルのカードを抜き取るツキ。

さらにダメージのカードを裏返す。

 

カコの場のカードに、繭が憑りついた。

 

 

紅鱗の剣客 バルナイア

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、このターンにいずれかのリアガードが退却しているなら、【コスト】[このユニットを裏でバインドする]ことで、1枚引く。

― 一度燃え上がった炎、楽に消えると思うなよ!

 

 

「ぐっ、我が部下達を……!」

 

苦々しい表情を浮かべているカコ。

ツキがカードを手に取る。

 

「《流麗怪人 グロリアス・スタッグ》、《共謀怪人 アドマンティス》をコール!」

 

流れるようにカードを場に出すツキ。

ヴァンガードの横と裏に、カードが置かれる。

 

 

流麗怪人 グロリアス・スタッグ

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、相手のユニットがすべて【レスト】しているなら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、あなたのヴァンガードが「夢幻蝶姫 セレネシス」なら、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 特級怪人の実力、見せてあげる。

 

 

共謀怪人 アドマンティス

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、あなたの他のリアガードを1枚選び、そのターン中、パワー+5000。

― 自ら手を見下すのは、あくまで最後の手段でいい。

 

 

「アドマンティスのスキルで、イーピゲネイアにパワー+5000!」

 

カードを手で示しているツキ。

手を伸ばすと、ヴァンガードに指をのせる。

 

「アドマンティスのブースト、セレネシスでヴァンガードにアタック!」

 

白い指で、迷いなくカードを動かすツキ。

虫の姫君の優美な視線が、カコへと向いた。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス パワー21000

 

 

「ノーガードだ!」

 

腕を組み、堂々とした口振りのカコ。

ツキがデッキに手を伸ばす。

 

「ドライブチェック、クリティカルトリガー!」

 

表になる1枚。

ひまわりの衣装を着た、笑顔の少女の姿。

 

 

憧憬の乙女 アラナ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― はい!もう一輪プレゼント♪

 

 

「っ!」

 

不機嫌な表情になるカコ。

ツキがカードを手札に加えながら言う。

 

「クリティカルはヴァンガード、パワーはイーピゲネイアに! セカンドチェック、ノートリガー!」

 

カードを見せるツキ。

緑色の竜が、そこには描かれている。

 

 

プラナプリベント・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - ネイチャードラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― 護って見せるよ。やっと芽生えた命なんだから。

 

 

「ダメージチェック!」

 

荒々しい声で言うカコ。

山札の上2枚を表にすると、ダメージに置いた。

 

 

緋炎弓将 スティルグナ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、【コスト】[【ソウルブラスト】(1), 他のリアガードを1枚裏でバインドする]ことで、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。退却させなかったら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― この景色を目に焼き付けて死ねるんだ。贅沢だろう?

 

 

スパークルリジェクター・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - プラズマドラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― あらゆる敵意を稲妻で捉え、熱き炎で滅却する。

 

 

カコ ダメージ1→3

 

 

ダメージトリガーはなし。

ツキがカードを動かす。

 

「グロリアス・スタッグでヴァンガードにアタック! さらにスキルでパワー+5000!」

 

 

流麗怪人 グロリアス・スタッグ

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、相手のユニットがすべて【レスト】しているなら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、あなたのヴァンガードが「夢幻蝶姫 セレネシス」なら、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 特級怪人の実力、見せてあげる。

 

 

曲線美の身体を持つ女怪人のカード。

カコが手札の1枚を選んだ。

 

「ガード!」

 

朱い翼を持つ竜のカードが置かれる。

 

 

フレアヴェイル・ドラゴン

トリガーユニット 【引】+10000

(ドロートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン 

パワー4000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。

― 朱の翼はあらゆる害意を燃やし尽くす。

 

 

防がれる攻撃。

だがツキは気にする様子もなく、続ける。

 

「バトル終了時、グロリアス・スタッグはソウルに移動し、カウンターチャージ!」

 

 

流麗怪人 グロリアス・スタッグ

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、相手のユニットがすべて【レスト】しているなら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、あなたのヴァンガードが「夢幻蝶姫 セレネシス」なら、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 特級怪人の実力、見せてあげる。

 

 

すっと、カードをソウルに入れるツキ。

ダメージのカードが再び表になる。

 

白い指を置いて──

 

「イーピゲネイアでヴァンガードにアタック!」

 

ツキの声が、その場に響き渡った。

艶めかしい蜂の女怪人。強化された攻撃が迫る。

 

 

イーピゲネイア パワー25000

 

 

「ノーガードだ!」

 

鋭い目を向けながら、宣言するカコ。

山札の上の1枚を表にし、ダメージに置く。

 

 

壮鱗の大炎斧 カルガフラン

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:あなたのライドフェイズにこのカードが手札から捨てられた時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1), このカードを山札の下に置く]ことで、1枚引く。

【自】:このユニットが(R)に登場した時、このターンにあなたがペルソナライドしているなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、このユニットと同じ縦列の相手のリアガードすべてを退却させる。

― 貴様ら──誰の許しを得て俺の前に立ってやがる!!

 

 

カコ ダメージ3→4

 

 

「私はこれで、ターンエンド!」

 

明るく言うツキ。

このターンに与えたダメージは3。

加えて、暗黒繭による戦力の低下。

 

流れは、ツキの方へと傾いていた。

 

「おのれ、ちょこざいな……!」

 

悔しそうな表情を浮かべているカコ。

ツキが笑いかける。

 

「ねぇ、君。もっと楽しくやろうよ? 勝ちたい気持ちは分かるけど、ヴァンガードは楽しむ気持ちも大事だよ!」

 

優しい声色で語り掛けるツキ。

ぴくりと、カコが反応した。

 

「楽しむ、だと……?」

 

顔をあげるカコ。

ツキがにっこりと笑った。

 

「うん、そうだよ! せっかくの大会なんだもん、どうせなら楽しもう?」

 

穏やかな声を出すツキ。

目をつぶりながら、続ける。

 

「後で思い出した時に、楽しかったなーって思えるのが一番だよ。君には、まだまだ未来があるんだからさ」

 

手札を片手に、話しているツキ。

ほんの少しだけ、首を傾ける。

 

「ね? 楽しいファイトにしよ!」

 

弾むような声で、ツキがそう言った。

輝く笑顔。和やかな雰囲気。

 

カコが、ぎりっと歯を噛みしめて──

 

「──ふざけるなッ!!」

 

大きく、叫んだ。

会場内に大きく響き渡る声。

 

ツキが、目を丸くする。

 

「えっ!?」

 

カコの異様な雰囲気に、動揺するツキ。

肩で息をしながら、カコが口を開く。

 

「何も知らない器の分際で、思い上がった事を! この戦いは私にとっては聖戦だ! 大いなる復活のためのな!」

 

まくしたてるような口調。

ツキが、理解できなさそうに手を前に出す。

 

「ちょ、ちょっと。さっきから君の言ってる事、正直、よく分からないんだけど……?」

 

困ったように訊ねるツキ。

フッと、カコが冷たく息を吐いた。

 

「知る必要もない。だが、そうだな……」

 

じっと、ツキを見つめるカコ。

何かを思案するかのように、目を細める。

 

黒い手袋を付けた右手を構えて──

 

「どうせ消えてなくなる心だ。真実の一端を見せてやるのも、また一興か!」

 

カコの瞳に宿る赤い光が、強い輝きを放った。

全てを飲み込むような、赤い閃光が走る。

 

「ッ!?」

 

余りの眩しさに、ツキが目をつぶった。

赤い光がツキの全身を包みこむ。そして──

 

気が付くと、ツキは違う場所に立っていた。

 

荒れ果てた険しい山岳地帯。茶色の大地。

黒い煙に、宙を舞う火の粉。漂う焦げた匂い。

 

戦場のような光景が、目の前に広がっている。

 

「えっ!? な、なに、ここ!?」

 

驚き、辺りを見回しているツキ。

その身体は霊体のように、ぼんやりとしている。

 

ツキが自分の両手を見ながら、呟く。

 

「私、まさか、もう……!?」

 

呆然とした様子のツキ。

目を見開き、その顔は青ざめている。

 

巨大な影が近づいて──

 

「ふん、少しは身の程を知れたか」

 

尊大な声が、その場に響いた。

ハッとなって、顔をあげるツキ。

 

真紅の巨大な竜が、ツキを見下ろしている。

 

「これこそが真の戦場だ。お前らのやっている戦いは所詮仮初。我らが世界の模倣にすぎん!」

 

まるでテレパシーのように、響く声。

真紅の竜が威嚇するように喉を鳴らす。

 

「貴様には、我らが大いなる使命のための器になってもらう。3000年の悲願を成就させる、そのためのな!」

 

「う、器って、どういう意味!?」

 

聞き返すツキ。

真紅の竜が睨むような目を向ける。

 

「知る必要はない。ただ、お前の身体をふさわしき者が使う。それだけのことよ」

 

紡がれる言葉。

ゆっくりと、竜が天を仰ぎ見る。

 

「もう少しで、お前もあちら側の世界へ行くことができるぞ。我が同士、セレネシスよ……」

 

感慨深く、呟いている竜。

ツキが困惑しきった表情で、頭に手を当てた。

 

「ど、どうしよう。私、いよいよ、頭の方がダメになってきちゃったのかな……」

 

不安そうな声のツキ。

よろめいているツキに向かって──

 

「──そこにいる人!? 人間なの!?」

 

甲高い声が、響き渡った。

助けを求めるような声色。ツキが驚き振り返る。

 

栗色の髪の少女の姿が、目に入った。

 

炎で出来た檻に閉じ込められている少女。

ツインテールの髪。その目に浮かぶ大粒の涙。

 

「お、お姉ちゃん!! 助けて!!」

 

必死な様子で少女は手を伸ばしている。

その顔を見て、ツキが驚いた。

 

「……カコちゃん!?」

 

先程まで対戦していたはずの少女、

高輪カコの姿がそこにはあった。

 

真紅の竜が大きな咆哮をあげる。

 

「きゃあっ!」

 

悲鳴をあげるツキ。

びりびりと、空気が震えた。

 

真紅の竜が、カコの方へと顔を向ける。

 

「かしましいぞ、我が器よ! 貴様はそこで、ただ黙って見ていればいいのだ。我らが世界を沈黙させる、その様をな!」

 

威圧的に話す真紅の竜。

カコが頭を抱えて、座り込む。

 

「うっ、うぇぇぇん!!」

 

その場で声をあげ、泣きじゃくるカコ。

ぽたぽたと涙が地面に落ちた。

 

「た、助けて……パパ、ママ……!」

 

カコの口から漏れる言葉。

ツキは呆然と、その光景を見ている。

 

「ふん、もう十分か」

 

真紅の竜がうんざりしたように言った。

腕をかざす竜。その身体から光が放たれた。

 

赤い光が、辺りを飲み込んで──

 

気が付くと、ツキは大会の会場へと戻っていた。

並べられたカード。ファイトテーブル。

 

観客からの歓声が、会場を揺らしている。

 

「どうだ、少しは理解できたか?」

 

ツキの向かいに立つカコが、訊ねる。

不敵な表情。赤い光の宿った瞳。

 

ゆっくりと、ツキが口を開いた。

 

「……君、誰なの? カコちゃんは?」

 

低い声で訊ねるツキ。

カコが大きく肩をすくめた。

 

「この人間の心配をしているのか? 大いなる使命のためだ。あれくらいのこと、些末なことよ」

 

当然のことのように話すカコ。

ツキが、その手を強く握り固めた。

 

カコが指を伸ばす。

 

「いずれは貴様もああなる運命だ! だが安心しろ! 貴様の身体も、我らが同士が有効に活用してやる!」

 

大きく、叫ぶように話すカコ。

にじみ出る威圧感。赤い光の宿った瞳。

 

ツキが、息を吐いた。

 

「正直、今でも信じられない。私が、どうかしちゃっただけかもしれない。それでも、私は──」

 

顔を上げるツキ。鋭い目を向けて──

 

「──君の事が、気にくわない!!」

 

ツキが、叫ぶように言い放った。

真剣な表情。冷たい雰囲気。

 

カコが、腕をなぐように動かす。

 

「何とでも言うがいい! 私のターン!」

 

カードを引くカコ。

さっと、手札を一瞥する。

 

カードを掴んで──

 

「ペルソナライド!!」

 

カコが、カードを叩きつけるように置いた。

真紅の竜の姿が重なる。

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

溢れ出るイメージ。

風が渦巻き、激しい威圧感が場を飲み込む。

 

「我が同胞をたぶらかす妖術使い共め! 竜の怒りを受けるがいい!」

 

ばっと、手を前へと出すカコ。

そのまま手札の一枚を掴む。

 

「《緋炎弓将 スティルグナ》をコール!」

 

白髪の青年の裏。

和装の竜人が豪快に姿を現した。

 

鋭い目を向けるカコ。

 

「スティルグナのスキル発動! アルファカールをバインド!」

 

繭が憑りついた青年のカードを掴むカコ。

裏向きに返すと、デッキの横に置く。

 

「貴様の場のイーピゲネイアを退却させる!」

 

 

緋炎弓将 スティルグナ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、【コスト】[【ソウルブラスト】(1), 他のリアガードを1枚裏でバインドする]ことで、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。退却させなかったら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― この景色を目に焼き付けて死ねるんだ。贅沢だろう?

 

 

カコ バインド2→3

 

 

赤い炎に飲み込まれる蜂の女怪人。

ツキが淡々とカードをドロップに送る。

 

「さらに貴様のユニットが退却したことで、ガーンデーヴァのスキルでドロップのカードを1枚、裏向きでバインドする!」

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

ドロップの一枚を裏向きで置くカコ。

着々と、裏向きのカードが増えていく。

 

 

カコ バインド3→4

 

 

「……退却じゃなくてバインドだから、暗黒繭は意味がないか」

 

ぽつりと、ツキが呟いた。

冷静な目を向けているツキ。集中した表情。

 

カコが手をヴァンガードの上にかざした。

 

「ガーンデーヴァのスキル発動! 貴様の場のアドマンティスを選択し、5枚公開!」

 

ダメージのカードを裏返すカコ。

山札の上から5枚をめくり、見せる。

 

「選択されたグレードのカードがあるため、アドマンティスを退却! さらに1枚ドローし、1枚をバインド!」

 

カードを引くカコ。

ドロップのカードを掴む。

 

「さらにガーンデーヴァのスキルで、もう1枚バインドだ!」

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

堂々とした口調のカコ。

合計で2枚のカードを、裏向きで置く。

 

カコ バインド4→6

 

 

「スティルグナを前列に移動! さらにバウセン、バルナイアをコール!」

 

カードを動かすカコ。

7枚ある手札から、2枚を場に出す。

 

 

緋炎弓兵 バウセン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【後列の(R)】:「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードがアタックした時、あなたのバインドゾーンが3枚以上なら、【コスト】[このユニットを裏でバインドする]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 番う矢が1本であろうはずがない。

 

 

紅鱗の剣客 バルナイア

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、このターンにいずれかのリアガードが退却しているなら、【コスト】[このユニットを裏でバインドする]ことで、1枚引く。

― 一度燃え上がった炎、楽に消えると思うなよ!

 

 

全ての盤面が埋まったカコの場。

ばっと、腕を前に出す。

 

「我が炎は同士の魂の数だけその勢いを増す! バインド枚数が6枚なので、前列のユニットのパワー+12000! さらに我がクリティカル+1!」

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

炎が渦巻き、火の粉が辺りに舞い散った。

燃え盛る戦場。熱くなる空気。

 

カコが、赤い光を宿した瞳を向ける。

 

「脆弱なる人間よ、恐れ慄くがいい! ガーンデーヴァでヴァンガードにアタック!!」

 

カードを動かすカコ。

ヴァンガードの後ろのカードを掴む。

 

「バウセンのスキル! 自身を裏向きでバインドし、カウンターチャージ!」

 

 

緋炎弓兵 バウセン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【後列の(R)】:「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードがアタックした時、あなたのバインドゾーンが3枚以上なら、【コスト】[このユニットを裏でバインドする]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 番う矢が1本であろうはずがない。

 

 

ダメージのカードを表にするカコ。

カードを裏向きに置いて──

 

「そして、バインドゾーンのカードが増えたので、前列のパワーさらに+2000だ!」

 

カコが、高らかにそう宣告した。

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ パワー37000

 

 

バインドゾーンのカードは7枚。

さらにスキルによるクリティカル上昇。

竜の咆哮が、戦場に轟く。

 

カードを掴んで──

 

「完全ガード!」

 

ツキが、緑色の竜のカードを場に出した。

 

 

プラナプリベント・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - ネイチャードラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― 護って見せるよ。やっと芽生えた命なんだから。

 

 

全てを防ぐ新緑の盾。

炎の矢が弾かれて、四方へと散らばる。

 

カコが舌打ちした。

 

「仕留めそこなったか。ツインドライブ!」

 

デッキに手を伸ばすカコ。

素早く、カードをめくる。

 

「ファーストチェック、ノートリガー。セカンドチェック、クリティカルトリガー!」

 

表にしたカードを持つカコ。

鉄球を持つ竜のカードを見せつける。

 

 

ドラグリッター アルファカール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードが、グレード3以上のヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1), このユニットを裏でバインドする]ことで、あなたの山札の上から5枚見て、グレード3以下のユニットカードを1枚選び、(R)にコールし、山札をシャッフルする。

― 私の剣に、容赦や慈悲を期待するな。

 

 

バーニングフレイル・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、

【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― 潰れるだけでは済まされない。

 

 

「効果は全て、スティルグナに!」

 

迷いなく話すカコ。

ツキは冷ややかに、その様子を眺めている。

 

カコがカードを動かした。

 

「ルグエントで、ヴァンガードにアタックだ!」

 

紫の髪をした荒々しい竜人。

炎の弓を構え、不遜な態度で笑みを見せる。

 

 

緋炎弓将 ルグエント パワー34000

 

 

「ガード!」

 

手札の2枚を場に出すツキ。

ぱさりと、カードが置かれる。

 

 

シャドウ・レディバグ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 影の世界には、かつて失われた遺伝子が隠されている。

 

 

ドリーミング・バタフライ

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 夢の世界へと誘う、煌めく鱗粉。

 

 

2体の女怪人による防御。

攻撃を防ぐと、その姿がキラキラと消える。

 

カコの指がカードの上に乗り──

 

「バルナイアのブースト、スティルグナでヴァンガードにアタックだ!」

 

カコの鋭い声が、その場に響いた。

炎が渦巻く戦場。竜人が弓を引き絞る。

 

 

スティルグナ パワー55000 ☆2

 

 

「……ノーガード!」

 

睨むような目を向けているツキ。

ゆっくりと、デッキの上のカードをめくる。

 

「ダメージチェック、クリティカルのみ!」

 

淡々とした様子で、ツキがカードを置いた。

 

 

ノブレス・フリット

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(R)】:あなたのターン中、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのパワー+5000。

― 綺麗だろう?光を振りまくボクの姿は。

 

 

憧憬の乙女 アラナ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― はい!もう一輪プレゼント♪

 

 

ツキ ダメージ3→5

 

 

ダメージ5点。

追い詰められるツキ。

 

カコがフッと、かすかに微笑む。

 

「これこそが我が力! ドラゴンエンパイアの竜の力にして、選ばれし使途たる実力よ!」

 

得意そうに言うカコ。

ツキは表情を崩さず、静かに佇んでいる。

 

黒い瞳を向けて──

 

「私のターン!」

 

勢いよく、ツキがカードを引いた。

真剣な表情で、1枚を選ぶ。

 

「ペルソナライド!!」

 

場に置かれる1枚。

影の支配者である、虫の姫君の姿が重なった。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

「スキルでシャドウゾーンの《メレアグリデス》を表に!」

 

白い兎のスリーブに入ったカード、

影の翼を持つ青白い蝶の女怪人の姿が表になる。

 

ツキがさらに手札の1枚を選んだ。

 

「《スプライト・マドンナ》をコール! スキルでルナコクンを手札に加えて、コール!」

 

場に置かれる緑の女怪人。

さらにデッキから、金色の繭の妖精が現れる。

 

 

スプライト・マドンナ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札から「ルナコクン」を1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。

― もう一度、夢を魅せて、ア・ゲ・ル。

 

 

カードを掴んで──

 

「メレアグリデスに、メタモルフォシス!!」

 

ツキが、2枚のカードを入れ替えた。

影の世界より降り立つ、青白い蝶の女怪人。

 

妖艶な姿と共に、鱗粉が舞う。

 

 

メレアグリデス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1),あなたのドロップから【超】トリガー以外のトリガーユニットを1枚シャドウゾーンに置く]ことで、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのトリガー効果を1回発動する。

― 影の蝶が魅せるのは、光輝く「奇跡」の夢。

 

 

「メレアグリデスのスキル!ドロップのヒールトリガーをシャドウゾーンに置き、効果発動! ダメージ1回復!」

 

 

ドリーミング・バタフライ

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 夢の世界へと誘う、煌めく鱗粉。

 

 

影の領域へと置かれる1枚。

ツキがダメージのカードを抜き取る。

 

 

ツキ ダメージ5→4

 

 

「さらにセレネシスのスキルで、メレアグリデスの能力をコピー! スキルでもう1枚、ヒールトリガーの効果を発動!」

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

「ッ!!」

 

露骨に顔をしかめるカコ。

イラついた様子で、ツキのカードを見つめる。

 

 

ドリーミング・バタフライ

トリガーユニット【治】 +10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚までしか入れられる。)

― 夢の世界へと誘う、煌めく鱗粉。

 

 

ツキ ダメージ4→3

 

 

「しぶとい虫共め! そんなに死が怖いか!」

 

吐き捨てるような声で言うカコ。

ツキは涼しげな表情を浮かべている。

 

白い指を置いて──

 

「セレネシスで、ヴァンガードにアタック!!」

 

静かに、ツキがカードを動かした。

迸る緑色の魔力。影の中、虫の姫君が微笑む。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス パワー33000

 

 

「ガード! さらにインターセプト!」

 

手札から2枚を場に出すカコ。

加えて前列のカードを、移動させる。

 

 

緋炎弓将 ルグエント

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。退却させなかったら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 山で、俺達の庭で、お前らに勝機はねェんだよッ!

 

 

バーニングフレイル・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― 潰れるだけでは済まされない。

 

 

焔の闘僧 ソウギョウ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 炎を纏うこの大太刀、未熟な奴には見切れねーぞ!

 

 

ガード値の合計は48000。

ツキが手を伸ばした。

 

「ドライブチェック、ノートリガー。セカンドチェック、クリティカルトリガー!」

 

2枚のカード。

ひまわりの衣装の少女のカードが表になる。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

憧憬の乙女 アラナ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― はい!もう一輪プレゼント♪

 

 

「ッ! ここでクリティカルだと……!」

 

忌々しそうにカードを見るカコ。

ツキがカードを手札に加えながら言う。

 

「効果は全てメレアグリデスへ!」

 

蝶の女怪人のカードを見つめるツキ。

黒い影の翼。女怪人の力が高まる。

 

腕を動かして──

 

「メレアグリデスでヴァンガードにアタック!」

 

鋭い声で、ツキが宣言した。

 

 

メレアグリデス パワー43000 ☆2

 

 

トリガーの乗った強力な一撃。

影の中、黒い鱗粉が雪のように降り注ぐ。

 

カコがカードを掴んで──

 

「完全ガードだ!!」

 

叩きつけるように、カードを場に出した。

 

 

スパークルリジェクター・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - プラズマドラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― あらゆる敵意を稲妻で捉え、熱き炎で滅却する。

 

 

手札を1枚捨てるカコ。

稲妻の盾が、黒い鱗粉を全て吹き飛ばす。

 

ツキの攻撃は通らない。

 

「スプライト・マドンナで、スティルグナにアタック!」

 

残った1枚。緑の女怪人のカードを動かすツキ。

カコがふんと、鼻で笑う。

 

「ノーガードだ」

 

カードを掴み、ドロップへと置くカコ。

見下したような目を向け、ツキを睨み返す。

 

ツキはこのターン、1点も与えられていない。

 

「ターンエンド」

 

静かに、そう告げるツキ。

手元に残った5枚のカードに視線を向けて──

 

ツキの視界が、ぼやけた。

 

「……っ!」

 

わずかに、顔をしかめるツキ。

ゆっくりと息を吐き、目をつぶる。

 

「お願いだよ、もう少しだけ……!」

 

小さな声で呟くツキ。

その言葉は歓声にかき消され、誰にも届かない。

 

カコが勢いよく、手を前に出した。

 

「私のターン!」

 

カードを引くカコ。

4枚の手札を見て、顔をあげる。

 

赤い光の宿った瞳が揺れ──

 

「ペルソナライド!!」

 

灼熱の炎が、場に渦巻いた。

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

「…………」

 

無言で盤面を眺めているツキ。

カコがばっと、手を前に出す。

 

「今度こそ、我が紅蓮の炎で貴様の魂ごと焼き尽くしてくれる!! 覚悟するがいい!!」

 

仰々しい口調のカコ。

赤い色の瞳をツキへと向け、カードを選ぶ。

 

「ドラグリッター アルファカールをコール!」

 

場に置かれる1枚。

燃える剣を持つ、白髪の青年が再び現れる。

 

 

ドラグリッター アルファカール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードが、グレード3以上のヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1), このユニットを裏でバインドする]ことで、あなたの山札の上から5枚見て、グレード3以下のユニットカードを1枚選び、(R)にコールし、山札をシャッフルする。

― 私の剣に、容赦や慈悲を期待するな。

 

 

「さらに緋炎弓将 ルグエントをコールだ!」

 

カードを置くカコ。反対側の前列、

紫色の髪の荒々しい竜人が現れる。

 

 

緋炎弓将 ルグエント

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。退却させなかったら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 山で、俺達の庭で、お前らに勝機はねェんだよッ!

 

 

ダメージのカードを裏返すカコ。

鋭い目をツキの場へと向ける。

 

「スキル発動! メレアグリデスを退却だ!」

 

カードを指差すカコ。

赤い炎がうねり、蝶の女怪人を襲った。

 

カードがドロップへと送られる。

 

 

メレアグリデス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1),あなたのドロップから【超】トリガー以外のトリガーユニットを1枚シャドウゾーンに置く]ことで、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、そのトリガー効果を1回発動する。

― 影の蝶が魅せるのは、光輝く「奇跡」の夢。

 

 

カコが手をかざした。

 

「ガーンデーヴァのスキル発動! ドロップの1枚をバインド!」

 

カードを掴むカコ。

投げ捨てるように、カードを裏向きで置く。

 

 

カコ バインド7→8

 

 

「さらにスキル発動! 貴様の場のスプライト・マドンナを選択し、山札を公開! グレード1があるので退却させ、1枚ドロー! ドロップのカードをバインド!」

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

再び、戦場に竜の咆哮が轟いた。

灼熱の炎が大地を走り、全てを吞み込んでいく。

 

ツキの場から、リアガードが消えた。

 

 

カコ バインド8→10

 

 

積み重なられた裏向きのカード。

カコの冷徹な目が、ツキへと向く。

 

「バインドされたカードは10枚!! よって、ガーンデーヴァのスキルで、前列のユニットのパワー+20000だ!!」

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

猛り狂う赤い炎。

弓を持つ竜人達の目に、狂気の光が宿る。

 

だんと、カコが勢いよくカードに手を置いた。

 

「絶望しろ!! そしてその身を捧げるがいい!! アルファカールで、ヴァンガードにアタック!!」

 

カードを動かすカコ。

炎を纏った剣を構える竜人。焔が舞う。

 

 

アルファカール パワー40000

 

 

「……ノーガード」

 

暗い声で宣言するツキ。

カードをめくり、表にする。

 

「ダメージチェック、ドロートリガー。パワーはヴァンガードに」

 

 

晴朗の乙女 レェナ

トリガーユニット 【引】+10000

(ドロートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - バイオロイド 

パワー4000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000

― こんなに良いお天気なのですよ?お散歩しましょ~♪

 

 

ツキ ダメージ3→4

 

 

桃色の乙女のカードをダメージに置くツキ。

カードを引く。手札6枚。

 

カコがフッと息を吐いた。

 

「その程度で、我が部隊の攻撃を止めることはできん!! 潔く死を受け入れることだ!!」

 

指を伸ばし、大きく言うカコ。

ツキは黙って、その言葉を聞き流している。

 

カードの上に指を乗せて──

 

「ガーンデーヴァでセレネシスにアタック!!」

 

カコが、大きく宣言した。

横を向く真紅の竜のカード。戦場を炎が覆う。

 

カコが視線を切った。

 

「さらにアルファカールのスキル発動! 自身をバインドし、山札の上から新たなリアガードをコールする!」

 

 

ドラグリッター アルファカール

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードが、グレード3以上のヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1), このユニットを裏でバインドする]ことで、あなたの山札の上から5枚見て、グレード3以下のユニットカードを1枚選び、(R)にコールし、山札をシャッフルする。

― 私の剣に、容赦や慈悲を期待するな。

 

 

ダメージを裏返すカコ。

カードを掴み、裏向きで置く。

 

山札の上を見て──

 

「スティルグナをスペリオルコールだ!」

 

和装の竜人が、空いた前列に姿を現した。

 

 

緋炎弓将 スティルグナ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、「ガーンデーヴァ」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、【コスト】[【ソウルブラスト】(1), 他のリアガードを1枚裏でバインドする]ことで、相手のリアガードを1枚選び、退却させる。退却させなかったら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― この景色を目に焼き付けて死ねるんだ。贅沢だろう?

 

 

真紅の竜の横、並び立つ2体の竜人。

カコがさらにソウルのカードを抜き取る。

 

「スティルグナのスキル! バルナイアをバインドし、1枚ドロー! さらにドロップから1枚をバインドだ!」

 

 

紅鱗の剣客 バルナイア

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストした時、このターンにいずれかのリアガードが退却しているなら、【コスト】[このユニットを裏でバインドする]ことで、1枚引く。

― 一度燃え上がった炎、楽に消えると思うなよ!

 

 

後列の1枚。暗黒繭が置かれていたカード。

カコがカードを裏返し、デッキの横に置いた。

さらにドロップからも1枚バインドするカコ。

 

バインドゾーンの数は──

 

 

カコ バインド13

 

 

「13枚……」

 

呟くツキ。

不吉な数字。死の予感。

 

真紅の炎が、その勢いを増した。

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ パワー49000

 

 

スキルによって強化された力。クリティカル2。

真紅の竜がツキを見下ろした。赤く染まる視界。

 

ゆっくりと、指を動かして──

 

「……完全ガード!」

 

ツキが、カードを場に出した。

 

 

プラナプリベント・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - ネイチャードラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― 護って見せるよ。やっと芽生えた命なんだから。

 

 

「貴様、まだ足掻くか!!」

 

声を荒げるカコ。

ツキが手札を捨てた。その息が僅かに乱れる。

 

怒りに満ちた目で、カコが手を伸ばした。

 

「ツインドライブ!!」

 

勢いよく宣言するカコ。

その手がカードをめくり──

 

「ヒールトリガー!! ダメージ1回復!! パワーはスティルグナに!!」

 

カコが、カードを見せつけた。

 

 

焔の巫女 レオニ―

トリガーユニット 【治】+10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚まで入れられる。)

― 喧騒を退け、癒やしの音色が戦場を包んだ。

 

 

息を切らしているツキ。

カコのダメージが回復する。

 

 

カコ ダメージ4→3

 

 

「セカンドチェック!!」

 

大きく宣言するカコ。

手を伸ばし、デッキの上のカードを見る。

 

赤い光の宿る瞳を向けて──

 

「クリティカルトリガーッ!!」

 

カコの声が、響き渡った。

 

 

バーニングフレイル・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― 潰れるだけでは済まされない。

 

 

「効果は全て、スティルグナに!!」

 

手をかざしているカコ。

炎が舞い、熱した風が空気を切り裂く。

 

カードに指を乗せて──

 

「ルグエントでヴァンガードにアタック!!」

 

カコが、容赦のない口調で言い放った。

紫の髪の竜人。にやりと笑い、弓を構える。

 

 

緋炎弓将 ルグエント パワー46000

 

 

「……ノーガード」

 

苦しそうな顔で、そう宣言するツキ。

顔色悪く、カードを表にする。

 

「ダメージチェック、ノートリガー……」

 

ツキが、ダメージにカードを置いた。

 

 

スプライト・マドンナ

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【自】:このユニットが(R)に登場した時、【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札から「ルナコクン」を1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルする。

― もう一度、夢を魅せて、ア・ゲ・ル。

 

 

ツキ ダメージ4→5

 

 

追い詰められるツキ。

息を切らしながら、盤面に目を向けている。

 

カコがカードに手を置いた。

 

「とどめだ!! スティルグナで──」

 

顔をあげるカコ。

ツキの方を見て、そして──

 

カコが、大きく目を見開いた。

 

「……なんだと?」

 

驚愕の表情。赤い光の宿る瞳が揺れる。

辛そうに、身体をふらつかせているツキ。

 

拳を震わせて──

 

「貴様ァ!!」

 

カコが、怒りの叫びをあげた。

乱暴にカードを動かすカコ。竜人の攻撃が迫る。

 

 

スティルグナ パワー69000 ☆2

 

 

かすかに、よろめいているツキ。

震える指がカードを掴んだ。

 

「……完全ガード!」

 

振り絞るような声。

緑色の竜が現れ、新緑の盾を展開した。

 

 

プラナプリベント・ドラゴン

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - ネイチャードラゴン 

パワー6000 / シールド0 / ☆1

【永】:守護者(守護者を持つカードはデッキに合計4枚まで入れられる)

【自】:このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

― 護って見せるよ。やっと芽生えた命なんだから。

 

 

手札を捨てるツキ。残った手札は2枚。

カコの攻撃を、全て防ぎきった。

 

ばんと、カコがテーブルを叩く。

 

「……なんということだ!!」

 

嘆いているカコ。

だがそれは、先程の攻防によるものではない。

 

ツキに目を向けて──

 

「貴様のその身体!! それでは器として、使い物にならないではないか!!」

 

憎々しげに、カコがそう叫んだ。

青白い顔のまま、その言葉を聞いているツキ。

 

がっくりと、カコが顔を伏せた。

 

「ようやく、我が同士のための器を見つけたというのに。これでは、何の意味も……!!」

 

震える声で呟いているカコ。

首を振ると、苦々しい表情を浮かべる。

 

「すまぬ、我が同士セレネシスよ……!! さぞ無念であろう。貴様の恨みは、私が代わりに晴らしてやるからな……!!」

 

拳を握り固めているカコ。

怒りからか、その身体は小刻みに震えている。

 

ツキが、自分の手に残ったカードを見た。

 

 

賛美を告げる影の舞

ノーマルオーダー 〈3〉

ストイケイア

「セレネシス」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、プレイできる!

あなたのシャドウゾーンから「ルナコクン」を1枚選び、(R)にコールする。

― 踊りましょう。この歓喜を、姫様に。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

最後まで残った2枚。

だが場にはヴァンガード以外のカードはなく、

相手の手札は6枚。ダメージは3。

 

状況は、圧倒的に悪い。

 

「……私のターン」

 

息を切らしながら、デッキに手を伸ばすツキ。

再び、視界がぼやけた。重い身体。苦しい呼吸。

 

心の中で、ツキが祈る。

 

(お願い、これで、最後でいいから……!!)

 

懇願するような願い。

かすかに震える指を伸ばす。

 

カードに指が触れて──

 

「────!!」

 

ツキが、驚いたように目を見開いた。

ゆっくりとした動作で、カードを引くツキ。

 

引いた1枚を見ながら──

 

「……一つ、言っておくわ」

 

ツキが、静かにそう言った。

自信に満ちた声。ツキの呼吸が落ち着く。

 

「……なに?」

 

不機嫌そうに、顔をあげるカコ。

ツキが、口を開く。

 

「セレネシスから、あなたに伝言」

 

引いたカードを構えているツキ。

ゆっくりと、その手の中のカードを表にする。

 

「あなたのこと、同士と思ったことは一度たりともない。こっちに来たいと思った事もない。それに、なにより──」

 

一瞬、その瞳に緑色の光が宿って──

 

「あなたのやり方、気にくわないって!!」

 

ツキが、大きく叫んだ。

カードを振り下ろして──

 

「ペルソナライド!!」

 

持っていたカードを、ツキが勢いよく置いた。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

「なっ……!?」

 

絶句するカコ。

重ねられたカードを見て──

 

「セレネシス!! 貴様、何のつもりだッ!?」

 

カコが、大きく叫んだ。

赤い光の宿る瞳を向けているカコ。

 

ツキが手を伸ばす。

 

「スキルで、シャドウゾーンの《ブリトマルティス》を表に!」

 

白い兎のスリーブのカード、

影の斧を持つ蠍の女怪人の姿が表になる。

 

「《賛美を告げる影の舞》を使用!」

 

カードを見せつけるツキ。

金色の繭の妖精が、影の領域より出現する。

 

 

賛美を告げる影の舞

ノーマルオーダー 〈3〉

ストイケイア

「セレネシス」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、プレイできる!

あなたのシャドウゾーンから「ルナコクン」を1枚選び、(R)にコールする。

― 踊りましょう。この歓喜を、姫様に。

 

 

カードを掴むツキ。

目線を切って──

 

「ブリトマルティスに、メタモルフォシス!!」

 

現世と影の世界が、入れ替わった。

影の斧を持つ蠍の女怪人が、静かに降臨する。

 

 

ブリトマルティス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」

((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、相手の【レスト】しているリアガードが1枚以下なら、そのターン中、このユニットのクリティカル+1/ドライブ+1。

【永】【(V)/(R)】 暗躍:あなたのターン中、相手のダメージゾーンの裏のカード1枚につき、あなたのユニットすべてのパワー+2000。

― 影の蠍が振るうのは、絶対的な「破壊」の夢。

 

 

「ノブレス・フリット、ルナコクンをコール!」

 

畳みかけるように宣言するツキ。

残っていた最後の2枚を場に出す。

 

 

ノブレス・フリット

ノーマルユニット 〈1〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー8000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(R)】:あなたのターン中、相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのパワー+5000。

― 綺麗だろう?光を振りまくボクの姿は。

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

ヴァンガードの裏と横に展開される2枚。

ツキが鋭い目を向けた。

 

腕を伸ばして──

 

「ミニュアデスに、メタモルフォシス!!」

 

ツキが、さらにカードを入れ替えた。

金色の繭の妖精の姿が影の世界へと消える。

 

影の光を纏う蛍の女怪人が、再び現れた。

 

「な、なんだと……!?」

 

驚きの声をあげるカコ。

だがすぐに、手札を構え直す。

 

「ふん!! 今更、その程度の雑魚が現れた所で、偉大なる竜の力に敵うはずがないッ!!」

 

力強く断言するカコ。

ツキが、冷たい目を向けた。

 

「そうかもしれないね。だから──」

 

言葉を途切れさすツキ。

カコの場の、真紅の竜を指差して──

 

「その竜の力、使わせてもらうよ!!」

 

ツキが、高らかに言い放った。

目を見開くカコに向かって、ツキが続ける。

 

「ミニュアデスのスキル! 相手のヴァンガードを選び、その能力をセレネシスに与える!」

 

「!?」

 

 

ミニュアデス

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」

((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、そのターン中、あなたのヴァンガードは、相手のヴァンガードが持つ能力をすべて得る。

【永】【(R)】あなたのターン終了時、【コスト】[このユニットをシャドウゾーンに表で置く]ことで、1枚引く。

― 影の蛍が照らすのは、相反する「真実」の夢。

 

 

ダメージのカードを裏返すツキ。

黒い瞳を向けて──

 

「ガーンデーヴァに、メタモルフォシス!!」

 

ツキが叫ぶように宣言した。

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

「なっ!? そ、そんな、バカなッ!?」

 

動揺しきった声を出すカコ。

ツキがさらに、ダメージを裏返す。

 

「セレネシスのスキル! 君の場のグレードの異なるユニット3体を選択! 選択後、山札の上を公開!」

 

山札の上5枚をめくるツキ。

カードを見せながら、

 

「選択したのと同じグレードのカードがあるので、選択された全てのユニットを退却!」

 

ツキが、鋭い口調でそう言った。

青い色の炎が吹き上がり、戦場を駆け抜ける。

 

カコの場のカードが弾かれ、墓地に送られた。

 

「さらに相手のユニットが退却したので、私はドロップのカードをバインド! バインドゾーンのカード1枚につき、前列のパワー+2000!」

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】:このユニットが(V)に登場した時、あなたのシャドウゾーンから【メタモルフォシス】能力を持つカードを1枚まで選び、表にする。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、【メタモルフォシス】能力を持つリアガードを1枚選び、そのターン中、このユニットは選ばれたカードが持つ能力をすべて得る。

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 影と夢を紡ぐ白き姫君。月の光に導かれ、二つの世界は入れ替わる。

 

 

ドロップのカードを選択するツキ。

裏向きに、デッキの横へと置く。

 

 

ツキ バインド0→3

 

 

「き、貴様ァ!! それは私の力だぞッ!!」

 

怒り狂っているカコ。

ツキはその言葉を無視して、続ける。

 

「セレネシスのスキル! ブリトマルティスのスキルをコピー! カウンターブラストを支払い、スキル発動!」

 

ソウルを抜き取るツキ。

ダメージのカードを裏返し、カコを見る。

 

「君の場のレストしているリアガードが1枚以下なので、セレネシスのクリティカル+1、ドライブ+1!!」

 

 

ブリトマルティス

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ストイケイア - インセクト 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【メタモルフォシス】-「ルナコクン」

((R)の指定ユニットをシャドウゾーンに置くことで、表のこのカードを登場させてもよい)

【起】【(V)/(R)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、相手の【レスト】しているリアガードが1枚以下なら、そのターン中、このユニットのクリティカル+1/ドライブ+1。

【永】【(V)/(R)】 暗躍:あなたのターン中、相手のダメージゾーンの裏のカード1枚につき、あなたのユニットすべてのパワー+2000。

― 影の蠍が振るうのは、絶対的な「破壊」の夢。

 

 

「ぐううぅぅっ……!」

 

声を詰まらせているカコ。退却スキルにより、

カコの場のリアガードは全滅している。

 

ツキが、腕を前に出した。

 

「そして、相手のスタンドしているユニットがいないので、ブリトマルティスとセレネシスの暗躍発動!! 全てのユニットのパワー+12000!!」

 

並び立つ虫の姫君と蠍の女怪人。

凄まじい威圧感と殺気が、竜へと向けられる。

 

カコの赤い瞳に、恐怖の色が浮かんだ。

 

「そんな、そんな……!!」

 

怯えた声を出すカコ。

その目に涙がにじみ、後ずさる。

 

ヴァンガードの上に指を乗せて──

 

「セレネシスで、ヴァンガードにアタック!!」

 

ツキの宣言が、その場に響いた。

影を統べる虫の姫君。その瞳が緑色に輝く。

 

戦場の空を覆うように、影の魔法陣が現れた。

 

 

夢幻蝶姫 セレネシス パワー66000 ☆2

 

 

「うっ、ぐっ、ガードッ!!」

 

悲鳴のような声をあげるカコ。

手札の中の4枚を、場へと出す。

 

 

焔の巫女 レオニ―

トリガーユニット 【治】+10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚まで入れられる。)

― 喧騒を退け、癒やしの音色が戦場を包んだ。

 

 

焔の闘僧 ソウギョウ

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

― 炎を纏うこの大太刀、未熟な奴には見切れねーぞ!

 

 

焔の巫女 レオニ―

トリガーユニット 【治】+10000

(ヒールトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - ヒューマン 

パワー5000 / シールド15000 / ☆1

(【治】はデッキに4枚まで入れられる。)

― 喧騒を退け、癒やしの音色が戦場を包んだ。

 

 

バーニングフレイル・ドラゴン

トリガーユニット 【☆】+10000

(クリティカルトリガー) 〈0〉 (ブースト)

ドラゴンエンパイア - フレイムドラゴン 

パワー4000 / シールド15000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがブーストしたバトル終了時、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+2000。

― 潰れるだけでは済まされない。

 

 

トリガー4枚による防御。

ガード値の合計は73000。

 

トリガーさえ出なければ、攻撃は防げる。

 

「わ、私は、選ばれし者! 偉大なる使徒だ!」

 

涙目のまま、声をあげているカコ。

ツキが静かに、手を伸ばす。

 

「ファーストチェック、ノートリガー!」

 

カードをめくるツキ。

淡々と、カードを表にして見せる。

 

 

流麗怪人 グロリアス・スタッグ

ノーマルユニット 〈2〉 (インターセプト)

ストイケイア - インセクト 

パワー10000 / シールド5000 / ☆1

【自】【(R)】:このユニットがアタックした時、相手のユニットがすべて【レスト】しているなら、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。

【自】【(R)】:このユニットがアタックしたバトル終了時、あなたのヴァンガードが「夢幻蝶姫 セレネシス」なら、【コスト】[このユニットをソウルに置く]ことで、【カウンターチャージ】(1)。

― 特級怪人の実力、見せてあげる。

 

 

「大いなる復活のため、勅命を受けた者! 我が手には3000年の宿願がかかっている!」

 

カコの口から、泣き言が漏れる。

ツキがさらにカードをめくった。

 

「セカンドチェック、ノートリガー!」

 

 

ルナコクン

ノーマルユニット 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - インセクト 

パワー5000 / シールド5000 / ☆1

【永】【(G)】:このユニットのシールド+5000。

― あたしの姿、あなたにはどう見える?

 

 

カードを手札に加えるツキ。

動揺はない。落ち着いたまま、手を伸ばす。

 

「サードチェック!!」

 

大きく言い放つツキ。

カコが顔を引きつらせた。

 

「こんな、こんな所で、器ごときに!! 人間ごときに、この私が、負けるはずが……!!」

 

震えた声で話すカコ。

慄いた顔で、ツキの手元に視線を向けている。

 

ツキが、カードを掴み──

 

「──オーバートリガー!!」

 

全てを終わらせる1枚が、戦場に顕現した。

 

 

天恵の源竜王 ブレスファボール

トリガーユニット 【超】

(オーバートリガー) 〈0〉 (ブースト)

ストイケイア - ネイチャードラゴン 

パワー5000 / シールド50000 / ☆1

(【超】トリガーはデッキに1枚だけ入れられる。トリガーで出たら、そのカードを除外し、1枚引き、あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、パワー+1憶!ドライブチェックで出たら、さらに追加効果が発動!)

追加効果-1枚引く!あなたのユニットを1枚選び、そのターン中、クリティカル+1!あなたの前列のユニットすべてのパワー+10000!あなたのダメージゾーンの枚数が相手以上なら、あなたのダメージゾーンから1枚選び、回復する!

― 自然。その恵みは数え切れず、驚異は計り知れない。

 

 

息を呑むカコ。その顔が青ざめる。

ツキが黒い瞳を向け、叫んだ。

 

「セレネシスにパワー+1億!! さらにクリティカル+1!!」

 

虫の姫君の身体に、至高の力が宿った。

 

 

セレネシス パワー100066000 ☆3

 

 

天高く、遥か上空から竜を見下ろす虫の姫君。

憐れむような冷たい目が、向けられる。

 

「嘘だッ!! 嘘だッ!! 嘘だッ!!」

 

天を見上げながら、真紅の竜が声を荒げた。

 

「セレネシス!! お前は偉大な女王の血を引く、後継者のはず!! 世界の沈黙は、貴様にとっても宿願のはずだろうッ!!」

 

喚き散らすかのような言葉。

真紅の竜の右手に、激しい痛みが走った。

 

「ぐあっ!?」

 

苦痛の声をあげる竜。

驚愕の目を、自らの右手に向ける。

 

「バカなッ!? たった一度の敗北だぞッ!? なぜ運命力が、繋がりが断ち切れて……!?」

 

小刻みに震えている身体。

再び、竜が天を仰ぐ。

 

「セレネシスッ! 私はここで帰還するわけにはいかないのだッ! 私がこちらにいなくては、大いなる復活は不可能に──!!」

 

請うような声。赤い色の目を向ける竜。

すっと、セレネシスが手を伸ばして──

 

影が、戦場を黒く染め上げた。

 

「セレネシスッ!! 貴様ッ!!」

 

下半身が影に飲み込まれる竜。

じわじわと、影が身体に這い上がる。

 

「私は、私は、こんな所で……!!」

 

苦しそうに身をよじらせている竜。

その口から苦悶の咆哮が上がった。

 

影が、闇が、全てを呑み込んでいく。

 

「うがぁぁぁ……!!」

 

真紅の竜が、腕を天へと伸ばした。

闇が大きく蠢いて──

 

「ガスティール猊下……お許しください……!!」

 

小さな声と共に、竜の姿が影へと消えた。

戦場を覆い尽くした闇。安らかな静寂が訪れる。

 

ダメージゾーンに、6枚目のカードが置かれた。

 

 

緋炎帥竜 ガーンデーヴァ

ノーマルユニット 〈3〉

(ツインドライブ!!) (ペルソナライド)

ドラゴンエンパイア - ドラゴロイド 

パワー13000 / シールドなし / ☆1

【自】【(V)】:あなたのターンに相手のリアガードが退却した時、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドしてよい。

【永】【(V)】:あなたのターン中、あなたの裏のバインドゾーン1枚につき、あなたの前列のユニットすべてのパワー+2000。5枚以上なら、このユニットのクリティカル+1。

【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、それぞれ異なるグレードの相手のリアガードを5枚選ぶ。あなたの山札の上から5枚公開し、同じグレードが公開された選ばれたユニットすべてを退却させ、山札をシャッフルし、退却させた枚数が1枚以下なら、1枚引き、あなたのドロップから1枚選び、裏でバインドする。

― 緋炎を率いる竜は求める。最も過酷な戦場を。

 

 

カコ ダメージ3→6

 

 

戦いが終わる。

その場で佇んでいるツキ。

 

自分の場のヴァンガードに、視線を向けた。

 

「……ありがと、セレネシス」

 

ぼそりと、呟くツキ。

ほんの一瞬、カードが緑色の光を放った。

 

呆然としているカコ。ハッとなって──

 

「……お姉ちゃん?」

 

子供らしい声で、そう訊ねた。

その瞳からは、赤い光が消えている。

 

ツキがにっこりと微笑んだ。

 

「やぁ、カワイイ後輩!」

 

朗らかな声で、手を振るツキ。

輝くような笑顔。晴れ晴れとした雰囲気。

 

カコが涙ぐんで──

 

「うっ、うえええぇぇぇん!!」

 

大きな声で、泣き始めた。

周りのファイターたちの視線が集まる。

 

ツキがカコに近づき、そして──

 

「がんばったね。えらいよ」

 

優しく、カコを抱きしめた。

慈しむような目。温かい雰囲気。

 

カコの泣く声が、いつまでも響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水の流れる音が、辺りに響いている。

 

会場内にある、女性用の化粧室。

そこに設置された、大きな鏡の前。

 

ツキが、自分の口を抑えた。

 

「……ッ!!」

 

血の気の引いた顔。青白い肌。

足元はふらつき、視界がぼやけて霞む。

 

ハァ、ハァと息を切らしながら──

 

「ちょっと、無理、しすぎたかな……」

 

苦しそうに、ツキが呟いた。

弱々しい笑みが、その顔に浮かぶ。

 

「けど、あの子は助けられたし……。ミコトやヒカルだって、きっと許してくれるよね……」

 

小さく「アハハ」と笑うツキ。

ブレザーのポケットに手を入れる。

 

錠剤ケースを取り出そうとして──

 

指の力が抜け、錠剤ケースが床へと落ちた。

 

「……あっ」

 

少し遅れて、それに反応するツキ。

ぼんやりと床のケースに視線を向ける。

 

外の廊下から、アナウンスの声が響いた。

 

『まもなく、三回戦が開始となります。選手の皆様は、所定の位置まで移動を──』

 

息を切らしているツキ。

目をつぶりながら、頭に手を当てる。

 

「えっと、なんだっけ……。そうだ、大会に出てるんだった……。私も、行かないと……」

 

呟くツキ。

ふらふらと、壁伝いに扉の方へと向かう。

扉の前、外の光が漏れる場所。

 

その手が空を切って──

 

力尽きたように、ツキが倒れた。

横になっているツキ。黒の長い髪が床に広がる。

 

「あれ……。私、おかしいな……」

 

うつろな目をしているツキ。

ぼんやりと、その手を伸ばした。

 

「こんな所で寝てたら、またミコトに怒られちゃう……。ミコト、そういうところ、厳しいから……」

 

ぼそぼそと喋っているツキ。

立ち上がろうとするが、力が入らない。

 

水の流れる音が響く。

 

「そうだ、約束したんだ……。ミコトとヒカルと一緒に、ご飯、食べに行かないと……」

 

2人の顔を思い浮かべるツキ。

ツキの目から涙がこぼれた。

 

伸ばしていた手から、力が抜ける。

 

「私……は……」

 

途切れる声。

床の冷たさを感じながら──

 

ツキが静かに、その目を閉じた。

 






本日の《俺のカードを見ろ!》は、
都合により休止となります。
 
つづく?
 
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