「あっこっちこっち、ガウマぁ!」
「はぁはぁ」
アカネに呼ばれたガウマは、息を切らしながら辿り着いた場所。
そこは、彼女が通う高校の道場。
そんなアカネの隣には、道場着を身に纏っている少女がいた。
「あの、新条さん。
この人は」
「この人はさっきの怪物の専門家。
だからこそ、色々と解決してくれると思うよ」
「それは、つまり。
その子が、あのカブトヤミーとクワガタヤミーの宿主か」
「ヤミー、さっきの」
それと共に、彼女は少し俯いた。
「うん、欲望を元に造り出された怪物の事。
白鳥さんは確か」
「強くなりたい。
それは本心です。
だけど、まさか」
同時に白鳥の言葉と共に、ガウマが思い出したのは、ヤミーが言った言葉。
『強くなりたい』
それは確かにカブトヤミーが言っていた言葉である。
その事は確かに欲望としてはあり得るだろう。
だが、同時にクワガタヤミーが言っていた言葉である『壊したい』という欲望がどのような物か、分からない。
「結局、どういう意味なんだ」
「ガウマ、ガウマ。
ちょっと」
その疑問を尋ねると、新条はそのまま耳元に呟く。
「白鳥さんはね、顧問の先生が好きなの」
「そうなのか?
というか、なんでお前が知っているんだ」
「私はこう見えて、色々な相談を受ける人気者なのさ。
それで、その顧問の先生が、明日結婚式なの」
「あぁ、なるほど」
その言葉と共に納得する。
同時にその白鳥を見つめる。
ヤミーとは、その持ち主の欲望を叶える為に行動すうr。
だが、本人がどんなに拒否した事でも、それを叶えようとする。
だからこそ、その事に、白鳥は少し俯いていた。
それに対してガウマは。
「なぁ知っているか」
「えっと、何をですか」
「世の中にはなぁ、人として守らなきゃいけない物がな、三つあるんだよ」
「3つ」
「そうだ、1つ目が約束で、2つ目は愛。
そして、3つ目は」
そう、ガウマが言おうとした瞬間、何かが鳴り響いた。
気になったガウマは、それを取り出した。
「はい、もしもし」
『ガウマ、いい加減、こっちに戻ってきなさい!
あんたがいなくて、こっちは一苦労なのよ!!』
「あぁ、たくっ仕方ないなぁ」
電話の先から聞こえたメズールの怒鳴り声に、ガウマはうんざりした顔で言う。
「とにかく、あのヤミーはなんとかするから。
それじゃ!」
「あっ、ガウマ!」
途中で、無理矢理区切られた事で、新条は呆れたように言う。
そうしている間にも、ガウマは、慌てて走る後ろ姿を見る。
だが。
「・・・約束と、愛」
その言葉を聞いた白鳥は、何かを受け止めたように頷く。