「大丈夫ですか?」
そう言いながら英司は、神林進を避難させていた。
近くの屋敷で休ませるようにした。
「つくづく、自分が嫌になりましたよ。周りを見ないで、隆を危険な目に遭わせて」
そう、自分の行った事を思い出すと共に、俯く。
「誰が正しくて、誰が間違っているのって、とっても難しいと思うんです。
自分が正しいと思うと、周りが見えなくて、正義の為だったら、何をしても良いと思って、戦争も、そういう事で起きると思うんです」
それは、まさに英司の、自身の体験から来る言葉だろう。
「だけど、悪い奴を放っておいて良い訳、ないですよ」
「目の前の事に一生懸命に、小さな事を守らないと」
「まぁ、俺も人の事は言えないけどな。
けど、守るべき事を3つ守れば良いと思うぞ」
「守る事?
それって、確かガウマ君が言っていた言葉?」
それには英司も首を傾げる。
「あぁ守らなきゃならない大切なモノが約束と、愛と、賞味期限だ」
「・・・賞味期限?」
その言葉に進は思わず首を傾げる。
それは英司も同じだった。
「あぁ、賞味期限。
大切な時期を逃してはならない、すでに『賞味期限』切れの物事にこだわるべきではない。
今の時間が、何時までもあるとは思わない事だ」
「今の時間が、何時までも」
それと共に思い出すように頷く。
「・・・あの子の、子供の時間は何時までか、まだ分からない。
けど、確かに大人になろうとしている。
そんな大人になってからじゃ、できない事がきっとあるんじゃないか?」
「そうだね、それは、神林さんが掴み取った確かに大切な時間だから」
その言葉に進は確かに、頷いた。
「・・・俺は正しい事をしたい。だけど、隆の時間も大切にしたい。
これって、やっぱり欲深いですかね?」
「何を言っているんだ、俺がそれを決めるんじゃない。あんたが正しいと信じる。それで間違っていたら、また殴るだけだ」
「ははぁ、あれは痛いから、勘弁したいな。けど、そうだな。今度は、殴られない自分を目指さないとな」
そう苦笑しながらも、確かに先程とはどこか違った彼を見た。
「・・・賞味期限を逃さない」
同時にガウマの頭に乗っていた存在。
それを見て、アンクは警戒する。
「おい、なんでお前がそいつを連れている」
「えっ、そいつ?カンドロイドだけど?」
そう、ガウマの頭の上に乗っているカンドロイドに英司は首を傾げる。
「そいつは、ガメルだ」
「ガメルって、グリードの?
えっ、なんで、カンドロイドに?」
「あぁ、今、俺の所に、こいつとメズール。
あと、俺の身体の中にグリードを一匹飼っているんですよ」
「えぇ、グリードがっ、えっ、どういう事なの?」
それには、英司も驚きを隠せなかった。
「いや、なに、俺の目的、最終的にはオーズを倒す事ですから」
「えっ、俺?」
そう、英司は思わず、自分の方に指を指す。
「いや、オーズを。英司さんじゃないですよ」
「んっ、俺じゃないオーズを倒す為?」
「馬鹿か、お前は。
オーズはこの馬鹿しか、今はなれないぞ」
「えぇ、今はですよ。
それよりも、今はあのヤミーから先決ですよ」
「えぇ、ちょっと、もう少し、詳しく話してよぉ!
ガウマのテンションで無理矢理話を止められ、英司とアンクは困惑しながらも、バッタヤミーを倒す為に、走り出した。