「ヤミーの居場所は、ここか?」
そう言いながら、ガウマが辿り着いたのは、海に囲まれた研究所だった。
「ここにヤミーが?
でも、未だに残っているグリードは確かウヴァとカザリだけだったはずだが」
そうしながら、周りを見る。
「たぶんだけど、ヤミーを作りだしたのはカザリだと思うから、厄介な事になったな」
カザリのヤミーは、宿主の身体を取り憑くタイプの寄生するヤミー。
だからこそ、そのヤミーを見つけ出すのは困難だと考える。
「とにかく、なんとか探さないと『むかつくわね』んっ?」
ふと、ガウマのポケットから声が聞こえる。
見ると、そこにはメズールが入り込んでおり、何かを感じた様子だった。
「メズール、何時の間に」
『少しね、それよりも、ここにいるヤミー。私のヤミーの気配とそっくりよ』
「なんだって?!」
そのメズールの言葉に対して、ガウマは驚きを隠せなかった。
「一応、聞くけど、お前が作ったヤミーではないよな」
『この身体で、一人で行動するのは自殺行為よ。何時、どこで奴らがいるのか分からない状況では余計にね』
「まぁな」
カンドロイドの身体において、単独でグリードと戦うのは自殺行為に近い事は、メズールも分かっていた。
「だとしたら、これは」
『えぇ、カザリの仕業ね。ウヴァはこういう危険な賭けを行うタイプじゃないから。
本当に厄介ね』
ヤミーの卵が多数寄せ集まった「巣」を宿主の拠点に形成する。宿主は投入された前後の記憶が飛んでヤミーを抽出されたことに気づけず、巣はヤミーが孵化するまで肉眼では感知できない。
宿主自身が欲望を満たすことで成長し、欲望がピークに達したところで徐々にあるいは一気に、成長体で孵化する。
そして、気配は孵化するまで、その姿を発見する事ができない。
『他人に利用されるのは、本当に嫌な気分だわ』
その事に対してメズールは怒りを隠せない様子だった。
「だったら、メズール。
お前も協力してくれるか?」
『えぇ、分かったわ。私自身も、今はあのカザリを許す事はできないのだから』
その呟きと共に、メズールもまたガウマの探索に付き合う事にした。
その時だった。
ガウマの横を通り過ぎた女性。
それは白衣を身に纏っており、ニット帽に眼鏡をつけている女性だった。
『あの女性』
「どうしたんだ」
それと共に、感じた違和感があったのか、メズールは見つめた。
『あの子、もしかしたらヤミーの親よ』
「なんだって!」
その言葉を聞いて、ガウマは思わず振り返る。
その様子は、カザリのヤミーの特徴とは当て填まらない。
「だとしたら、とりあえず、様子見をして行いとな」
メズールのヤミーは、その巣が分からなければ、意味はない。
だからこそ、監視をする事になった。