うる星やつら -短編集-   作:リベンジ

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某曲の歌詞で一作。新アニメ毎週楽しみです。
ランちゃんは良い子。好き。
次は面あたぽいの書きたい。

なんでメガネとコースケが一緒にいるか?
どっちの世界線の話でもないから好き勝手できるからよ!!!


胃がもたれてく

友引町の明くる日の夜、また諸星家の2階では怒号が飛び交っていた。

「ダーーーリン!またこっそり捨てようとしたっちゃね!?」

「やかましいッ!辛味がちょっとはマシになったと思ったら今度はトゲで口の中がメタメタになるんじゃ!食物への冒涜じゃー!」

毎度のごとく夫婦喧嘩である。平和な日もあるのだが、今日はラムの手料理を巡って案の定口論になった。

「うるさーてかなーへんわ……ラムちゃん、ワイが食べたるからもうほっとかへんか?」

「テンちゃん!うちは!ダーリンに!食べてほしいの!」

「ジャリテン、貴様のよーな繊細な味も分からんガキはUFOにひっこんどれ!」

「ああ!?喧嘩なら買うで!?」

そしてテンも乱入し、喧嘩が3人になった。

 

とうとう炎や電撃を出し始めたのでぬるっと外に逃げたあたるは、人気の消えた夜道を歩きながらこれからどうするかを考え始めた。

「さて……財布に金などない。この深夜に飯をたかりに行くとすると……面堂の家はちょっと体力が割に合わんな、コースケもメガネもどーせ門前払いじゃ」

サクラの家もあの家に食べ残しが余ってる可能性など限りなく低い。しのぶも普通に断られそうだ。竜之介?あの家にまではたかりにはいかないという最底辺のプライドだけはあたるにはあった。第一あの父親の相手も消費カロリーが高い。

何か妙案がないか…と思った矢先にアホの頭が妙案を思いついた。

ちょうど良い家があるではないか。家かどうかは怪しいが。

 

「ぐししし、ランちゃんは優しーから手料理の一つぐらい期待出来る!どうせレイのアホにしょっちゅう作っとるんだからな!全く、あの大食らいのアホのどこが良いのやら」

この男、大ブーメラン発言をしてるとは夢にも思わない。本当に困った男だ。

という訳であたるはランのUFO家に来ていた。

「さて、お邪魔しますよ〜……ん、なんじゃこりゃ?」

あたるがUFOのドアをノックしようとすると、その隣の窓が目に入った。そこの窓枠に飾られていたのはレイの写真だった。しかもランとのデート中のツーショットである。誰に撮ってもらったのやら。

「ケッ、腹減ってる時に美男子とイチャつく面なんぞ見せるな!剥がしちゃる!」

あたるが怒りに任せて写真を剥がしたその時、

『だっぴゃ〜だっぴゃ〜だっぴゃ〜だっぴゃ〜だっぴゃ〜だっぴゃ〜だっぴゃ〜だっぴゃ〜』

とけたましい警告音がUFOから鳴り響いた。忍び込もうとする変質者から身を守る緊急防犯システムがランのUFOには搭載されていたのだ。地球にはまだセコムもない昭和なのに。

そしてそんな音が鳴れば………当然、起きる。

「誰じゃあ!!!!!ワシの宇宙船に手ェ出したドアホは!!!!!」

鬼の形相になったランがフリフリのパジャマのまま飛び起きてドアを蹴破ってきた。片手にフライパンを持ち、もう片方には包丁を持って。

そしてあたるはドアと壁に挟まれ潰れかけた。

ギギィ、と軋むドアから解放されぬるりと床に倒れたあたるに、ランが気づく。

「あら、ダーリン!なんでこんな夜中に?」

「や、やーあ。今宵も月が綺麗な夜だねランちゃーん。でもランちゃんの方が綺麗だよ〜」

「ありがとう、ところでワ…ランちゃんの宇宙船に忍び込もうとしたア、不審者さんのこと知らない?やつざ…お説教しようと思ってるんだけど」

きゃぴ♡と擬音がなりそうなあざといポーズをしながらランはそう言うが両手の調理道具からは殺意が隠しきれていなかった。

プルプルプル、とあたるは首を振る。あたるはランの本性の部分を部分的にしか知らない。だがラムの時と同じく下手な事を言う=死の危険を直感してしらばっくれる事にした。

一方ランも馬鹿ではない。どう見ても怪しいのはこいつ一択だ。

(うーん、この状況なら犯人はどう見てもダーリンやが……ダーリンは女の子に優しいだけが取り柄のスケベで意地っ張りの情けないやっちゃが一応こっちが誘わない限りスキンシップ以上の事はせーへんからな。こんな夜這いまがいの事には何か訳が……)

と、そこまで考えた所でアホになるスイッチが入った。

(ラムか!!!!!)

この女、最近やっとラムに悪気はない事を理解したのにこれである。積み重ねた負の信頼が高い。

「あいつぅ、とうとうダーリンを手駒にしてワシに陰険な手を……そっちがその気ならぶっ飛ばしにいったるわぁ!!!」

「あっちょ、ランちゃーん!」

あたるの静止を無視し、ランはUFOに乗り込み空中に浮かび上がらせようとする。

あたるは背筋の凍る思いをした。ランとラムが友達なのは知っているがあの怒りでは何をするか分からない。何故ならあたる自身が一応友達ではある男共にもブチギレたら暴力を持って全力報復するカスだからである。

「ちくしょー!」

あたるは叫んでUFOの壊れかけたドアにしがみ付き、そのまま共に飛び立った。

 

「ダーリン!どこだっちゃ!?うちが悪かったから帰ってきてよ〜〜!」

そしてラムはと言えば、こうしてあたるを探して飛び回っていた。もはや友引町では珍しくもない光景だ。

しばらく探しているが全然見つからない。電車に乗って繁華街の方までナンパしに行ってしまったのだろうかとラムは心配する。

と、頭を抱え出した時にものすごいスピードで自分に向かって突っ込んでくるUFOを発見した。

「ラ〜〜〜ム〜〜〜〜!轢いたる〜〜〜〜!」

「げえっ、ランちゃん!?うち今忙し、ダーリン!?」

「ラム!」

ラムがUFOにしがみついているあたるを見つけ、一瞬動きが止まる。

そして、案の定正面衝突した。

 

「いたた……ん?」

衝突のショックで一時気を失っていたラムは、温かな温もりと共に目を覚ました。そして驚く。

なんと今、自分は頭にデカいタンコブをつけたあたるにお姫様抱っこされている。

「ダー……リン………」

割と突然のデレにラムの顔は真っ赤に染まる。こういう心の準備が出来てない攻めにラムは弱いのだ。

「…大丈夫じゃな」

あたるはそう言って無事を確認すると、ラムをそっと下ろす。

「ランちゃ〜ん!大丈夫!?」

と、一目散に墜落したUFOの中にいるであろうランの元へ駆けていこうとした。

が、足元に落ちてあったある物を見て足を止める。

それは、先程食べさせられたラムの料理(という名の棘まみれの真っ赤な何か)がぎっしり入ったバスケットだった。

「あ、それは……その、やっぱりダーリンに食べてもらいたくて………ごめんちゃ、作り直すからそれ捨てて……」

ラムが気まずさと寂しさを隠せない声色であたるに語りかける。彼女の優しさだろうが、ラムは弱い感情を隠すのがどうも苦手だ。

そしてまあ、それを聞いた旦那がする事は決まっている。

「あーもう腹減ったわい!食ったる!」」

「え?」

あたるは地べたに座り込み強引にバスケットの中の料理を掴むと、一気にそれを口の中に突っ込み頬張った。

バリボリ、ジャギジャグ、グサグサ、メキョッ。

料理からは想像がし難い擬音と共にあたるの顔は7色ゲーミング発光のごとく変わり、そのまま死人のような顔をしながら残りの料理もヤケクソの如く口に突っ込んでいく。

「わ〜〜〜ダーリン〜〜〜〜〜!!!!」

ラムは感激の涙を流しながらあたるに抱きつく。

そしてそのショックであたるの意識は途切れた。

「嬉しいっちゃ〜〜〜!」

と思ったら電撃ショックで意識が強引に蘇生された。

そしてまた料理を口に含み失神、蘇生、失神、蘇生、失神蘇生失神蘇生失神蘇生失神蘇生………。

「アホらし。復讐どうこうも失せたわ…帰って寝よ……」

いつのまにかUFOから這い出て、その光景を間近で見て怒りが萎えて呆れたランは、そう言い残しUFOに再び乗って帰って行った。宇宙の科学力は1回の墜落ごときで壊れはしないのだ。

が、今の2人は互いの事しか見えてなかった為に気づかれないまま完食まで意識昏倒と蘇生を繰り返していた。

 

次の日、友引高校の2-4ではとても珍しい光景が見られた。

「諸星……」

「あたる……」

「お前………」

面堂、メガネ、コースケの3人が机に突っ伏すあたるを取り囲み心配の目線を送っている。

この世の物とは思えない唇の腫れ方をし、前が見えねぇ状態で死にかけのまま学校には来た諸星あたるに、ラムの手料理の恐ろしさを知ってるいつもの男子一同はほんの少しだけ同情していた。

「わ〜ダーリンごめんけ〜〜!でも嬉しいっちゃ嬉しいっちゃ〜〜!!!」

心がふたつある状態のラムがあたるに抱きつきながら泣いているが、今のあたるには意地を張って振り解く力も残っていなかったのである。

 

「ランちゃんいるけ?相談があるっちゃ」

そしてその日のうちにラムは隣のクラスを訪れた。

「あらラムちゃん、どうしたの?」

談笑していたランもぶりっ子で対応し、2人で廊下に出る。

「で、なんや。昨日の謝罪なら受けたるで」

「それはごめんっちゃ…。あの、相談というか頼みなんだけど…」

「はあ?なんでワシがお前の頼みなんぞ」

「うちに料理教えて」

「…はあ?」

「ダーリンのお母様からも教わってるんだけど、味覚が違い過ぎて上手くならないっちゃ。ランちゃんなら宇宙人にも地球人にも美味しい料理作れるけ?」

ラムが屈託のない笑顔でそう言った後、ランは一つため息をついてこう返した。

「…レイさんとのデートの日以外なら考えたるわ。ダーリン繋ぎ止めとくんやで?」

「うん!」

元気良く返事を返すラムを見て、ランは毒気が抜ける感覚を味わっていた。

幼き日の恨み辛みは今も消えていない。でも、今のこいつとなら。

なんだか昔より仲良くなれそうな気がするのだ。




Pixivに置いていたのをこちらにも。
まさかの新アニメ化で毎日幸せを感じて生きています……。
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