うる星やつら -短編集-   作:リベンジ

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初期(3~10巻)っぽいエピソードを書きたくて。なんか謎の生き物とかチェリーが目立つと初期っぽいですよね。新アニメで拾われない感じの。…出来上がったのが本当にそんな感じか?というのはさておき。
後ラムちゃんとあたるが一緒にいるシーンを3本のうちあんまり書いてないな…ということに気が付いたので今回はなるべく一緒にいます。でもラブシーンねえな……。


RPG(ラム・ピコピコ・ゲーム)ちゃ

今日の休日の気分はなんか騒がしく遊び惚けたい…という気分だったので郊外に出かけるのではなく都心部のゲームセンターに来ていた。デート…ならば良かったのだろうがいつもの4人とテンちゃんである。

というわけで80年代のゲーセンの定番ゲーム【R-TYR〇】で男二人は対戦していた。

「あっ!」

「やりぃ!面ど~の負け!」

「…実際の戦闘機なら諸星など3秒で消し炭なのだが」

「ぶっそうな言い訳はやめい」

「ダーリンうまいっちゃ!!」

「昔からこういう絶妙にかっこつかない遊びは得意なのよね~」

「生粋の遊び人ちゅーことやな」

面堂には電子ゲーム経験などなかったが、あたるはナンパに失敗した日は少ない小遣いで駄菓子屋のインベータ―ゲームを1日中やっていたこともあるクソガキだったのでこういう電子ゲームには滅法強かった。そんな彼も自分のそばにいるインベーダーには侵略されっぱなしだが。

「んじゃ今度はお前がゲーム決めろよ、後今日の昼奢りな、ちなみに俺の希望は脱衣麻雀!」

「僕が次勝ったら、一日僕の靴磨きだ!」

「しのぶ、暇だしうちらもなんかバトルしよ!」

「あんた大雑把のくせに器用だから勝てる気しないんだけど…」

「わいが手伝ったるで~」

というわけで女子二人が選んだゲームで、先行はしのぶだ。

「因幡さんは忙しくて全然デート出来ないし…あたる君はナンパのしつこさが減ったと思ったらなんか変なことされてないか?とか困ったら殴りに行ってやるから相談しろよとか過干渉のお父さんみたいなこと言い出すし……ラムはラムだし……」

「幼馴染への心配じゃ!」

「それはわかるっちゃ」

「まあ身元不明のウサギの男など諸星でも心配しますよ、しのぶさん」

「アンタ達に口出されるほどあの人は酷くないわよ!男なんてぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

バゴォォォォォォ!!!!

パンチングマシンはしのぶ渾身の右ストレートによって爆散した。

「ワシが僧でなかったら死んでおった!」

爆散したマシンの中から錯乱坊が飛び出して全員すっころんだ。

 

そして聞いてもいないのに、錯乱坊はここに来た目的を話し始めた。

「ゲームセンターの悪霊?」

「そうじゃ、ここは昔事故物件があったアパートを取り壊して作られたゲームセンターと聞く。そして最近ゲームが変な挙動を起こすが分解しても異常は見当たらない、そしてプレイヤーが行方不明となる、などと言った事件が多発するということでうな重30杯でワシは店長に頼まれお祓いに来たという訳じゃ」

「そうか、頑張れ!じゃ!」

「どうするこの後?カラオケでも行く?」

「昼でもいいですね、いい店知ってますよ!」

「わい、ローラースケートやってみたいんやが」

「ならうちが教えてあげるっちゃ」

勿論巻き込まれる前に逃げようとした5人だったが既に遅かった。

「という訳で破――――ッ!!!」

「「「「「ぎゃああああああああ!!!!!!」」」」」

錯乱坊が謎の妖気をゲームセンター中にばらまくと、5人は竜巻に巻き込まれるがごとく妖気に捕まり、傍にあったゲームの筐体の中に引きずりこまれてしまった。

 

5人の目が覚めるとそこは暗闇だった。

いや、一つだけ白いメッセージウィンドウが空中に浮いている。

そこには『ゲームスタート』と書かれたメッセージが。

「なんだこれは!」

「また変な状況にまきこまれたっちゃ!」

「最悪や……」

「出してー!!!」

「くっ、こうなったらアダムとイブしかな~い!」

「あっちでしょ!!!」

あたるはとりあえずしのぶに飛び掛かり、しのぶはとりあえず拳でラムの膝元へ吹っ飛ばした。不可解な状況ほど普段通りの神経でいることが大事だがこの男がそこまで考えているのかは不明だ。

「まあ待て、どうせアレだ。チェリーの技でゲームの中にでも閉じ込められたのだろう。そしてチェリーは除霊すると言っていた」

「つまり、除霊の為にチェリーもゲームの中にいる。奴を探し出してボコボコにすれば脱出できるという訳か。諸星にしては冴えているな」

「あたしが真っ先に殴るわ。先譲ってよ」

「みんな血の気が多いっちゃね~………」

「やな」

と二人が地球人の喧嘩っ早さに静かに引いていると、天から声が聞こえてきた。

【おいお主ら、聞こえるか?】

錯乱坊の声だった。

【どうやら悪霊はこのゲームのラスボスのデータに憑依しているらしく、このまま放置すると町中の人間をゲームに取り込み餓死させるつもりらしいぞ】

「まわりくどい嫌な手法っちゃね!」

【これからワシがお前らを案内してゲームをクリアに導く。ワシはゲームのことなどわからんからの、お主らがいて丁度良かったわい」

「最初からぼくらに働かせる気だったんだな貴様……!」

「後でしばいちゃるから覚悟しろよ……」

「ちなみに報酬は中高時代のサクラの私服写真なんじゃが」

「「「なんでもしましょう錯乱坊様」」」

「テンちゃん!」

「あたし達は特にうれしくないわよそれ!」

【安心せい、おなごにはわしの除霊道具をやる。部屋に貼る妖怪封印用の結界じゃが…張った人間でないと解けんし人間にも効く。意中の奴でも結界の中に放り込んでしまえば強制的に二人っきりになれるぞ、サクラはその状況に追い込んでプロポーズさせたぞ】

「さ、サクラ先生………便利に使われるし過去をバラされるし可哀想………」

「ダーリンはそれでも言ってくれそうな気がしないけど…まあ、わかったっちゃ」

とりあえず5人の了承を得てゲームがスタートすることとなり、あたるは『ゲームスタート』のメッセージをタップした。

 

すると5人は「はじまりのむら」の近くの草原に飛ばされた。どうやらドラク〇もどきのシステムらしい。今度は別のウィンドウメッセージが空中に出現し、5人のステータスを映し出した。

『らむ ゆうしゃ Lv34』

『しのぶ かくとうか Lv34』

「わーっ!うち勇者だって!服もかっこいいっちゃ!ダーリン似合う?」

「あたしは格闘家かー…なんでチャイナ服とメリケンサックなのかしら」

『あたる あそびにん Lv1』

『しゅうたろう あそびにん Lv1』

「おいなんじゃこの贔屓ステータスは!」

「何故僕の職業が遊び人なんだ!僕は勇者、百歩譲っても知的な魔法使いだろう!」

『そうび てん あたまをたたくと ひをはく うるさい』

「お前らはまだいいわい!こっちは装備品扱いやぞ!!!」

【こういうのは本人の資質が反映されるんじゃ、ワシは知らん】

そうしてがやがや騒いでいるとピコーン!と電子音が鳴り、ウィンドウメッセージがまた表示される。

『かいぶつが あらわれた!』

「お、モンスターか」

4人が構えた先に、3体のモンスターが現れた。

「どうも、ポチ2号です」

「ぶも~ぶも~~」

「僕諸星あたる!あっ、だめ、だめだよしのぶさん……」

「妖怪とキツネと雪男ではないかっ!普通スライムだろーが!」

【どうやらお主らの記憶から悪霊は敵を作ってるようじゃな、どうせ偽物だから気安く倒していいぞ】

「言われんでも遠慮せんわ!だーっ!」

面堂はいつものように日本刀で切りかかっていった。

が。

ぺちっ。

『だめーじ1』

「え」

『かいぶつ のこうげき!』

「いきま~す」

ぺちっ。

「あぎゃああああ!!!」

『しゅうたろうは しんで しまった!』

そんなウィンドウメッセージと共に、面堂の身体は一瞬で棺桶に変わった。

「わ~くらいよせまいよこわいよ~!」

「わーっ!終太郎!!」

「落ち着けラム。こーゆーのは教会に行ってシスターに会えば何とかなるのだ!俺が運ぶから後よろしく!」

そう言ってあたるは棺桶(面堂)の紐を掴むとそのまま猛スピードで市街地に消えていった。

「…逃げたわね、あれは」

「さっさと倒して追いかけるっちゃ!電撃!」

「ごめんね!えいっ!」

ラムは電撃で、しのぶはテンの頭をちょっとこずくとその炎でモンスター達を焼き払った。

「大丈夫だった?」

「だ、だいじょうぶ、ぼくええ子や…」

しのぶの力なので本当は滅茶苦茶痛かったがテンは耐えた。何故なら、彼も男だから。

 

「シスターさ~ん!僕の欲望を懺悔させてくださ~い!!身体で!!!」

「馬鹿者が!!!」

教会に入った瞬間、あたるはぶん殴られた。

教会は非戦闘エリアなので大丈夫だったが外なら即死だっただろう。

そして、殴ったのはシスターの恰好をしたサクラであった。

「あれ?サクラさんじゃあないですか、…なるほど、記憶か!一応巫女で保険医だもんな~。しかし、本物ではない…ということは迫っても後腐れなし!とぅーッ!!!」

「わしは本物じゃたわけ―――っ!!!」

あたるは更に強くぶん殴られ、天井のステンドグラスに叩きつけられた。

「叔父上のへるぷに来たのだがお前たちもいると聞いてな、頼りないからわしも同行するぞ。何か卑猥な事をしたらお前たちずっと棺桶だからな?…現実でも」

「「アーメン……」」

瀕死のあたると生き返らせてもらった面堂は回復魔法を受けながらそう言って十字を切った。

 

 

という訳でサクラも合流した6人のパーティの冒険は実にスムーズだった。

ラムが電撃を飛ばし、しのぶが殴り、テンが火を吐き、サクラが回復魔法と暴力で道中を次々とクリアしていく。あたると面堂はやることがなく昼寝したり精神統一したりしのぶのスリットを眺めては殴られたりNPCをナンパしようとしてはラムの電撃を食らったりしていた。

「ねえ、ダーリン。みんなで旅も意外と楽しいっちゃね」

「そらお前は楽しいだろーよ、こっちは戦えんから暇じゃ暇じゃ」

「でもうち、ゲームじゃない旅ならたまには二人っきりがいいな~」

「いけませんラムさん!貞操はせめて卒業まで守ってください!」

「そういう話をしてるんじゃないっちゃ!」

「アンタ達のんきねえ……」

 

という訳であっという間に最終ダンジョンにてラスボス、といえば魔王である。

『くくく、よくぞここまでたどり着いた。私の部下になれば世界の半分を貴様たちにやるぞ?』

「興味ない!悪霊退散ー!!!」

サクラが速攻で攻撃をしかけるも、魔王は意に介さぜず攻撃はそのまま弾かれた。

「ぐっ!」

反射だけで地面を勢いよく転がって傷を負うサクラを見て、5人はこれは本当にヤバいのでは?と冷や汗が止まらなくなった。そして、サクラも立ち上がろうとするが膝をつき、また倒れる。そして棺桶になってしまった。

『さくらは しんでしまった!』

これでもう蘇生も回復魔法も使えない。

『次はこちらの番だ』

そして魔王は光線を、5人に向けて放った。

 

「ッ!」

「くっ!」

あたると面堂はすかさず前に出て、女子に当たらないように光線を受けた!

「「ぐあああああああああああ!!!!!」」

「ダーリン!」

「面堂くん!」

二人が叫んでももう遅い。

 

光線の光が収束していき、止む。

そして、二人の視界の先には。

『しゅうたろうは しんでしまった!』

その残酷なウィンドウメッセージと共に、光線の跡地には一つの棺桶が転がっていた。意識すら失われたのかいつもの叫び声も聞こえない。

「そ、そんな…」

「うそ……あたる君達もおこぼれでレベルアップしてたのに一撃で……サクラ先生も……」

【もうゲームクリアするしか二人を助けるすべはない。諦めるな‼】

「そんなこと言ったってあんなのにどう勝てって言うのよ!…あら?なんか足りないような」

「ダーリン!ダーリンがいないっちゃ!」

「あのアホ、逃げおったか!?それとも棺桶すら消し炭か!?」

 

「誰が逃げるか!俺が逃げるのはラムからの束縛だけじゃい!」

テンの反論に食いついたのは、服が半分焦げてダンジョンの天井の突起にへばりついていたあたるだった。そう、この男はゲームの法則すら無視する逃走能力と強靭な生命力の持ち主であるのだ。

しかし対抗するすべはなく…という所に錯乱坊の天の声が届く。

【おいあたる!魔王の攻略法を今教える!】

【何ぃ!何故先に言わん!】

【今攻略本を買ってきたからじゃ】

ずご、と下の3人はずっこけた。

『ま、まずい…!』

魔王は突然の不利な状況にオロオロし始めた。

【えー、最後の方のページを……あ】

【どうした!】

【攻略法は……】

【攻略法は?】

【『ラスボスの倒し方は君の目で確かめろ!』じゃ】

ラスボスも含めた全員が盛大にずっこけた。

80年代のゲーム攻略本黎明期は大概非公式製なのもあってこんなのが多かったのだ。

 

が、その時。

一緒にずっこけた魔王のフードが外れた。

『……あ!』

思わず声が出る。

「…何、だと……」

あたるも唾をのむ。

 

魔王の正体は、このゲーム一番の美女であった。開発者が『実は魔王が美女だったらエロくね?』と隠し要素として仕込んであったのだ。

そこに悪霊が憑りついた事で疑似的な人格を獲得し、魔王のロールプレイと悪霊のかすかに記憶に残った恨みが混ざりこのゲームから人間の征服を企んでいたのだったが……。

 

「世界の半分を僕がもらい、二人でこの世界をつかさどりましょう」

『は!?お主いつの間に私の手を!?』

いつの間にかあたるは魔王の両手を優しく包み込んでいた。

「いや~さすが女王様、ご立派で威厳を感じる物を胸にお持ちで!威厳を感じたいので触ってもよろしいですか?」

『いや待て、おい離れろ!おい!なにこいつ!こわい!たすけて!?』

あたるの動きは速かった。誰の目にも追えなかった。幾千万回ものナンパを繰り返した男のナンパスピードは、魔王でも捉えられない。

 

「ダァァァァァァリンのバカ―――――!!!!」

「あんたはこんな時に何考えてんのよ――――――!!!!!」

「あぎゃ――――――――!!!!」

『うわああああああああああああ!!!!』

そして、悪霊とコンピューターの融合である魔王は、今を生きる女の怒りの力を知らなかった。

こうして、ラスボスは討伐されてゲームクリア。めでたし、めでたし。

 

脱出した一同はその後、ゲームセンターの入り口で揉めていた。

「成仏する!成仏するからあいつ追っ払って!」

「残念ながらお主はラムの電撃で故障したゲームから一緒に出てきた時に魔王との融合が解けず新しく命を得て生きている状態じゃ。生者を殺すことはワシらには出来ん」

「奴はどんな妖怪よりもしぶとい。飽きるまで諦めろ」

「ね、ね、ね、行くとこないならうち来なさいよ、僕らでふたりだけの世界を作ろうじゃないの~」

「うちも家に居るっちゃ!夫婦の家に居候は許さないっちゃ!!!」

「こんなアホの家に行ってはダメです!うちで部屋を用意します!」

「おまえもやだー!あいつと同じ匂いがするー!」

「鋭いわねこの人………」

「な、な、ねーちゃん、ぼくのこと胸に抱いて落ち着かへん?」

…現実はゲームを一つクリアしたところで続く。魔王の受難の第二の人生というゲームはここから続くのであった。

 

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