もう省略させていただくが、いつものように了子は面堂家でうんたらかんたらパーティーを開き、そこに更に水乃小路兄妹も参加し、面堂家の一角はいつも通りチンドン屋の騒ぎと爆破、電撃が飛び交う狂奏曲である。
途中面堂がまた変なアイテムで呪われたりあたるが巻き込まれたりしたがいつも通りすぎて皆もう興味を無くしつつあった。
了子は少しパーティーの中心から離れた場所でゆっくり変なアイテムによる馬鹿騒ぎを見ながらアフタヌーンティーを楽しんでいたが、そこにとある男が現れた。
「や、了子ちゃん。隣いーい?」
「あら諸星様。お兄様とラム様は?」
ご存知諸星あたるである。
「あっちでジャリテンや他の奴らと騒いとる。おおかた俺への電撃にも飽きたんじゃろ。面堂は女性客に媚び売っとるときた」
全身が電撃でボロボロかつ、背後に面堂からの分け前の呪いを背負っているあたるだったが、全く何の異常もなかったかのようにニコニコしている。普通はそんな状態の男は怖いが了子は何も怖がらずにあたるをソファーの隣に座らせた。あたるは数多くの女性に汚物のような扱いを受けているが、了子はあたるに悪感情がない。
「そっちこそほっといていーの?婚約者のトンちゃんとやらは、俺は認めていないが」
「兄妹水入らずは邪魔する気はありませんわ、3人で遊ぶ、もとい2人で飛麿様で遊ぶなら良いですけれど」
「ふーん。じゃあね、デートの相談しない?もしくは…コレを」
「コレですか」
あたるの立てた小指に合わせるように、了子も左手の小指を立てた。
「ふむふむ、面堂のアホは自宅では自主トレの戦闘訓練中に落とし穴にハマって1日以上放置されそこでションベンを漏らした事がある、と……男の情報収集なんざまっぴらごめんだが面堂なら話は別、奴のプライドは脆いからの〜〜、じゃあこの情報を新聞部にタレ込ませて貰うね」
「学校新聞が出来たらわたくしにもガリ版を下さい、全国にばら撒きますので」
「あ、ちなみに今週の面堂、風紀委員会の後輩の女子と二人で密会していたそうだ」
「そうですか、さすがおモテになりますわお兄様。玄関のイタズラトラップの数を3倍にします」
二人はたまに面堂の情報交換をしている。お互いのいない時の動向を把握しておけば彼にほぼ逃げ場はないという事だ。
と、一通り情報交換が終わったあたりであたるが質問する。
「了子ちゃん、前から聞きたかったんだけどさ」
「何ですか?」
「あの面堂のどこが兄貴として好きなのよ。奴は女と見りゃ無節操で助平で執念深く男と見りゃどんな卑劣な手段でも使う厚顔無知でプライドだけが肥大化した暗所恐怖症と閉所恐怖症と無駄な顔と生命力を持っとるだけの男じゃろ、おまけにこんなに可愛い了子ちゃんには冷たいときた」
「まあ、びっくり!どうしてお兄様の良い所全て申しましたの?」
「あらそう…」
あたるは発言にガクッときたが、気にせず続ける。
「奴は態度は冷たいのに了子ちゃんの事はしっかり大事そうなのがムカつくんよな、大事なら黙ってお茶目なイタズラぐらい受け止めんかい」
「あら諸星様、それ、分かって言っているでしょう?」
「………」
あたるは黙ってしまった。
「ではわたくしも一つ、諸星様はラム様のどこがお好きで?」
「…あら?何言っちゃってるの?ラムを好きだなんて俺は一言もいっちょらんが?」
「ふふふ、強がりがお上手な事で。地球をまたまたお救いになったのは見ていましたよ。それともう一つ、お兄様と貴方のあんな事、こんな事も聞きたいのですけど?」
あたるもそれを言われると弱いのか一瞬また黙る。そこを詰められると困るので話題を変えた。
「んでもってじゃも一つ、俺に優しーのは面堂をおちょくる為?」
「それが7割、後の2割は好意ですわよ」
「あら意外とお高い、つまりこれはチャンスがあると言うこと……」
あたるがわざとらしくソワソワし出すと、そのまま了子は怪しげな瞳をあたるにむけてこう告げた。
「だって私と貴方、同じ穴の狢でしょう?好きな子をからかって、構わせて、好きも嫌いも自分のことで頭を埋め尽くす。自分の行い一つでどんな表情でも見せてくれる、何をしても側から離れない子、もうそんな人じゃないと本気になれない。痛くして、残ってくれて、初めて愛になるのです」
「…誰の事でしょーな」
「そして好きな子を一番乱せて楽しいのは、他の相手と楽しそうにすることだと本能で知っている、とんだ悪党ですわ。わたくしたち。」
それを言った瞬間、面堂が飛んできた。
「も〜ろ〜ぼ〜じ〜!!!」
「サッと白羽どり!」
いつもの如くあたるは刀を受け止める。
「ちなみに残り1割は敵意ですわ」
「なんで?」
「フッ、とうとう了子に愛想をつかされたか!そのままラムさんにも嫌われてしまえ!そして僕の刀の錆とし永久にこの世から消しとばしてやる!」
「お前如きに俺の墓場はつとまらん!」
いつも通りの喧嘩をしているとまたラムが飛んでくる。
「そうだっちゃ!ダーリンの墓場はうちの愛だっちゃ!好きって言ってくれるって言ったもん!なんなら今言わせてやるっちゃ!」
「ラムさん!邪魔しないで下さい。愛が欲しいならばいつでもこの僕が「北斗巨大ハンマー!」ひでふっ!」
面堂が潰され、あたるは素早く他の女性陣の元へ駆けていく。いつもの誤魔化して有耶無耶にする奴だ。
「みんな〜〜!俺とハーレムデートじゃ〜!」
「きゃ〜おとこ〜〜!」
「飯中じゃ!エロガキはくたばっとれ!」
「節操なし!」
「おとといきやがれ!」
「貴様!貴様!き〜さ〜ま〜!」
「ダーリン!!!」
そのままガヤガヤ騒ぎながら台風のような騒動の中心になっていく3人を見ながら了子は静かに思う。
(諸星様ったら本当に欲張りなお方。ラム様もお兄様も貴方に夢中なのにいつまでも足りない愛に飢えた方、だから好ましいのに嫌いです)
紅茶を口に含みながら、了子は企む。この飢えは、どんなにお金があっても満たされないから。
(それが許されるならわたくしも、貰える物は全部貰いますわ。飛麿様も飛鳥様も、お兄様も。…まあ、ついでにならコブ付きの諸星様も犬としてならオプションで貰っても構わないかしらね)
狂奏曲のような騒ぎを横目に、了子は会場を後にした。
「でもオチがない上に私が除け者なのは腹ただしいのでこの会場爆破しますね」
ドッガアアアアアアアアアアアアン!!!!!
その発言から了子が安全地点までに到達した30秒後、会場は大爆発した。ギャグ漫画なので誰も死ななかった。