うる星やつら -短編集-   作:リベンジ

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「君待てども…」のしのぶルートです。この2人はらんまやあかねの原型だと思うのでこんな感じになると思う。
因幡くんは素晴らしい男ですがこっちも捨てがたいんですよ。



君待てども来ず

組野おと子は、喫茶店には来なかった。

 

男子達が面堂による独裁政権に絶望を感じたまま喫茶店を退店したが、あたるは会いもせずに捨てられた事実を直面出来ずフラフラと道路を千鳥足で歩く。

普段のタフぶりは何処へやら、しのぶにはフラれラムも面堂にやるなんて言ってしまった手前もう自分には誰も残っていないという事実が強くのしかかる。

昨日楽しそうに日記帳に書いたデートの計画を思い出して、あたるの目からは涙がこぼれかける。

惨めだ、無様だ、笑い者だ。

 

気づけば足は橋の方へ来ていた。

河川敷が近くにあり、その手前の小さな橋はしのぶとした最後のデートの帰り道。

あの後、チェリーが来てラムが来て、全部がぐちゃぐちゃになってしまった。

もう戻らない過去に思いを馳せ、名前を漏らす。

「…しのぶ…」

「何よ」

 

あたるはその声に思わず振り向く。

その目線の先には私服姿の三宅しのぶが、あたるを睨みつけながら立っていた。

 

遡る事数時間ほど前。

「何!?組野おと子が来れない!?」

教室の掃除でゴミ捨て場まで歩いてきていたしのぶは聞いてしまった。

(ああ……あたる君もバカね。やっぱり嘘じゃない。近所中に悪名が知れ渡ってるあたる君がラブレターなんか貰うはずないもの)

教室でラムとあたる、面堂の会話が聞こえていたしのぶはため息混じりに俯瞰する。面堂の事が気になっているのは事実だが結局面堂もラムラム言ってる上、女に手が早いのを見て何処となくアプローチするのも不毛な感覚があった。

ラムも気づいていないのだろうとしのぶは推測する。気づけばクラスメイト達は電撃だ。もしくは流石にあたるを見捨てるだろうか。

(ラムもバカよ。あんなに自分以外の女の子にはしゃいでるのにめげないなんて)

が、それを思うと自分にも引っかかる。自分以外の女の子にはしゃいでも、結局自分の元にニコニコしたり泣きそうになりながら戻ってくる。

なんとなーく、そんな妙きちりんな幼馴染の可愛さに絆されて交際もどきをしていた事もあったのだから。

「…ふん、偶には恥かけばいいのよ、どうせ普段から赤っ恥だらけなんだから」

しのぶはその時は気づかないフリをして、その場を去った。

そして、そのまま帰宅したのだったが。

 

「……泣きべそかいちゃって、普段からそれなら可愛げあるのに」

「…なんだよ、面堂はいいのかよ、あっち行けよ。明日からは女の子には優しい学級作りらしいぞ」

「委員長が誰かなんてどうだっていいわよ。どうせ頭がおかしい公約は先生が通さないわ」

「………………」

「………………」

両者、長い沈黙が流れる。

暫くすると、あたるがしのぶに背を向けて歩き出した。

しのぶは無言でその後を歩き出した。

 

夕陽に照らされた河川敷は、やけに綺麗だ。

一定の距離を保って無言で歩く2人の空気はやけに重い。

道ゆく子供が通り過ぎ、仲睦まじいカップルが通り過ぎてもそれは変わらない。カラスの鳴き声だけが乾いた空気に澄み渡っていた。

しのぶはなんでこんな事をしてるんだ、と自問自答する。

こんな奴を何で心配してるんだ。バカにされて、惨めな目に遭っても、罰当たりみたいな男じゃないか。

でも、でも。こんな、子供みたいに。

メソメソ泣くほどのことなんて、ないじゃないか。

 

しのぶは駆け足であたるの前に出る。

「え」

ピシッ!

頬へのビンタが突き刺さった。

相当力を抑えた為、あたるは軽くよろめく程度で済む。

 

「何すんだよ!」

「それよ!」

「へ?」

「女の子にフラれるなんていつもの事でしょ!最近ラムに好かれて調子に乗ったんじゃないの!?らしくないのよ!ヘラヘラ笑って、ギャーギャー怒る普段のあたる君じゃないとこっちは落ち着かないのよ!」

はーっ、としのぶは一息に言い切って息を吐く。

あれ、励ますつもりだった気がするけど励ましの言葉が一つもない。

「……しのぶ………」

「…………」

しのぶは励ましの言葉を続けようとするが、口が止まる。

あたるが素直な眼差しで、しのぶのことを見つめている。

何だかそれは、遠い昔以来の頃のように感じた。

そよ風が吹き、2人の髪が靡く。この一瞬の時間は、何だか永遠のようだった。

「……そ、それじゃあ、また明日」

しのぶは会話を切り上げて帰ろうとする。いけない、これは。

が。

しのぶの左手を、あたるがとっさに握っていた。

「……なら、いつも通りにする」

あたるが続ける。俯きながら、顔を朱色に染めながら。

「…デート、しようよ」

 

「……」

しのぶは答えない。答えない代わりに、捕まれた手をしっかりと握り返した。顔が赤いのは、きっと夕陽のせいだろう。

まだ今日はもう少しだけ時間がある。

久しぶりのエスコートは、手を繋いで歩くだけ。

たったそれだけのことが、今はそれだけで2人は幸せだった。

 

後日、男子達に騙されたと知ったあたるが復讐計画を立てまた騒動が起こるのだがそれは別のお話。

 

 




こっちだとラムはシャンプールートなのかな…ランちゃん大丈夫かな……
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