出オチ魔王に徒手がインストールされたら   作:レンガチェッカー

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第1話

 

意識、生まれたものには同時に宿る概念。

よくわからないが実感したとでも言おうか。

見える、足へ、臀部への感覚がある。

これが床か、圧迫感がある。

臭いは…わからない。

意識、感覚の後に自分がここに存在することを実感した。

視界は暗いが見渡せない訳では無い。

そして

 

「ふむ…現れたね…新しい魔王。」

 

声を認識した。

見た。

誰かがいる。

黒い人、とでも呼んだらいいのか、その人がいることに気づいた。

 

「…少し試させてもらう。拒否はさせん。戦え。」

 

その人の隣りにいた人型の生物に指示を出す。

 

「そいつを攻撃して倒せ。」

『グァァァ!!』

「ッ!?」

 

人型の生物、それはゴブリンという魔物だと認識した。

ゴブリンは自分に向かって来る。

まずはやつの間合いに入らないように立ち、後方へ下がる。

 

手には棍棒、恐らく金属製だろう。

長さは50センチ程。

こちらには手持ちはない。

 

『ガヴァァ!!』

 

再びゴブリンは雄叫びを上げて棍棒を振るう。

間合いに注意して回避する。

 

黒い人は戦えと言った。

この戦闘はどちらかが勝つまで終わらないだろう。

拳に力が入る。

 

ゴブリンは跳んだ、そのまま落下しながら棍棒を振り下ろす動作に入り決めに来た。

 

「_フッ!」

 

一息入れて構える。

正面から受け止めてもいいのだろうが安定して相手をするには横に回った方がいい。

 

『ギィ!?』

 

ゴブリンは横に移動され棍棒を横に振り抵抗する。

そんなものは通用しない。

跳んだからには振り下ろさないと自分には意味がない。

やつの腕を掴み棍棒の攻撃を無力化し、もう片方の手で下から上へ、顎に狙いをつけて拳を打ち上げる。

拳は狙い通りゴブリンの顎に当たった。

 

悶絶したのかピクピクと痙攣しており数分はまともに行動できないだろう。

 

 

「…勝負あったね。そのままやってもらう。…これも拒否はさせない。」

「……ゴブリンを?」

「そうだよ。やって。」

 

殺せということだろう。

幸い近くにはさっきまで使われていた棍棒が落ちている。

だがそれでは、

自身で使っていた武器を使われやられるのは、

『忍びない』と自分の感情は結論づける。

 

魔王と自分がの呼ばれたときに魔力というものを認識感覚で理解した。

戦いでは知識が薄く余裕がないため行使には問題があり使わなかった。

 

魔力を手に集中させる。

やがて手のふちに黒く小さな刃が形成された。

 

「_勝たせてもらう。」

 

黒い刃となった手でゴブリンの首を、

 

 

________________

 

「…ふむ、まずはおめでとう。」

 

戦いが終わり黒い人は近づく。

 

「僕は【黒】の魔王バラム。しばらく君の親代わりみたいなのをすることになっているんだ。」

「親、代わり?」

バラムと彼はそう名乗った。

 

「僕よりも先にだね…君は【(よこしま)】の魔王、名前はモラクス。短い間だけど魔王とは何かを君には教えてあげよう。」

 

「……よろしくお願いする。」

 

何事もなかったかのように朗らかに振る舞う様子にモラクスは思う。

このバラムという人物はおぞましい企みをしているのではないかと。

それと体術は正義、正義は勝つと。

とりあえず身体を鍛えて自分で戦えるようにしたいと。

_______________

 

バラムから魔王に関しての情報を聞き、学んだ。

親代わりとは言ってるが実際は魔王には血縁者としての親はいないこと、魔王には核と呼ばれるものがあることやそれを壊されたらどうなるか、メダルと魔物、魔物のランクについて、魔王として存在するために必要な情報だ。

関係ないが自分の容姿が美的感覚から少々ズレて中の下相当なことも近くの鏡を見て知った。

そして邪の魔王の特性についても。

 

「モラクス、魔王にはそれぞれ別々に能力があるんだ。」

「能力?」

「そうだね。【邪】のはたしか「種付」だったかな?」

「それはなんだが不穏な気がする…」

「…そうかい?試したいなら一度僕のダンジョンから人間やそれに近い種族のメスを攫って来ようか?」

 

言葉のニュアンスから恐らく子を産ませるということだろう。

しかし今の情報では邪の魔王の能力は魔王としてはあまり強くは思えない。

たとえ子が優れているとしても効率が悪い。

メダルによる召喚やダンジョン運営としての魔物召喚の方が生産としては遥かに効率が良いと思う。

 

「必要ないと判断させてもらう。同じ人員補充ならメダルによる召喚の方が自分には興味がある。」

「おっと忘れてたよ。早い段階から従者は必要だしそれじゃ早速やってみようか。」

 

バラムは持っているメダルを渡してきた。

 

「これが【黒】のメダルだよ。君もメダルを出してみてよ。」

 

手のひらからメダルを出すように促されメダルのイメージを作り……

 

「む…うおっ。」

 

メダルが出てきた。

まるで体から出てきた液体が収束するように出てきた。

 

「魔王のメダルは月に一度しか生産できない。…でも【贋作(イミテート)】メダルなら魔力を削って自分の過去に使用した属性のメダルを生産できるよ。さて、早速使ってみよう。…呼ばれる魔物はこちらからは選べないから気をつけてね。」

 

 

【黒】と【邪】、2枚のメダルから召喚する。

この2枚では少なくとも善良と呼べるような魔物は召喚が難しいだろう。

だがなるべくそんな魔物に来てほしい。

2枚のメタルは打ち上げられたかのように跳ねて合体し、それらが持つエネルギーの余波で周囲には風が吹く。

 

「この感じだとBランクの魔物かな?」

 

どうやら召喚する前からある程度の魔物の格は推測できるみたいだ。

 

今一度風が吹いた。




メダル
2枚を使い強力な魔物を生み出すことができる。(特例で3枚使う魔王もいる。)
生み出される魔物はメダルの属性に影響され、他の要素もランダムで追加される可能性があり運頼みの側面が大きい。
メダルにはランクが存在し、A〜B相当となっている。
このランクによって出現する魔物のランク、強さが変化するためAランクのメダル同士を使うと高いランクの魔物を引きやすい。
【黒】の魔王バラムはAランクのメダル、【邪】の魔王モラクスのメダルはBランク相当?

【贋作】メダル
魔王の生み出すメダルよりも1つランクの低いメダル。
魔王の魔力と呼ばれる力をかなり消費して生産できる。
生み出される魔物はそこそこの強さでとどまるためエースとして運用するのは難しい。
そのためBランクのメダルを元にこのメダルを生み出すメリットは生産性の高さを活かした雑兵より強い魔物を大量に作ることが挙げられる。
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