出オチ魔王に徒手がインストールされたら   作:レンガチェッカー

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第2話

メダルにより召喚された魔物が現れた。

黒い鎧が兜を上に向ける。

 

『フォールン・エンジェルナイトここに馳せ参じました。』

 

高さは2メートルあるだろうか。

自分よりも大きい。

鎧は大きく分厚い。

騎士の声はよく聞こえるがくぐもった声でどんな印象も抱けない。

 

「……」

「ほら、モラクス、君の魔物だよ。自分が主だと伝えないと。」

 

鎧の姿に関心して魔物への対応を忘れていた。

カッコいい。

 

「初めましてだフォールン・エンジェルナイト。私は【邪】の魔王。名前はモラクスという。」

『モラクス様…確かにお名前を聞きました。この身尽きるまで貴方に仕えます。』

「あぁ、頼むぞ。」

 

思いの外癖のない魔物を召喚できたのかもしれない。

片膝立ちでも自分の身長近くまであり人間であれば恵体と十分呼べる。

 

「あ、僕は【黒】の魔王バラムだよ。今はちょっとモラクスの親みたいなことをやってるから…モラクスをよろしくね。」

『バラム様ですね。かしこまりました。』

 

_______________

 

バラムやフォールン・エンジェルナイト(ナイト)と出会い一週間が経った。

 

自分は【混沌の渦】にいる。

火の属性を持つ魔物が無限に出現する場所でダンジョンの成れの果てのようなものらしい。

 

そこで訓練として魔物と戦っている。

 

『モラクス様。』

「なにかあるか?ナイト。」

『もう少し相手に詰めてから拳を当てたほうがよろしいかと思います。』

「わかった。つぎにやる。」

 

訓練は出現する魔物を倒すことと格闘戦の技術を磨くことを主にしている。

ナイトには師事を頼み効率化を考え行っている。

 

魔王は生まれてからしばらくの間できることは少ない。

ダンジョン作成も今は知識さえあれば良いためこのように戦いに明け暮れるようなこともできる。

 

魔物が出現した。

低級だが馬鹿にはできない。

魔王により行われる戦闘ではランクは指標であって絶対の強さとは異なる。

現に今いるフォールン・エンジェルナイトはBランクの魔物だが性能的には戦闘技術を加味することでAランク相当の力を持つと評価もできる。

魔物の数は3体。

低級と中級くらいの魔物、それらが襲いかかってきた。

 

『ヴルルル……ヴァッ!!!』

『グォォォ…』

構えてそれに対応する。

 

まず1体目、4足の魔物。

形状が獣あるため噛みつきによる攻撃を仕掛けるがこれを横面に殴り飛ばす。

2体目は先程と同じ種。

ならば対処もほぼ同じで良い。

噛みつきを側面から蹴り飛ばし倒す。

3体目はサイクロプス。

 

魔物として発生する以上は彼らに本来の力、怪物としての力はない。

これは自分の呼んだ本来天使であるが魔物として生まれたナイトにも通じることである。

それでもサイクロプスの巨体を活かした攻撃は脅威だ。

 

『ア゛ァァァ!!』

 

巨体は突撃し拳で叩きつける。

地に拳の形に穴が空きヒビも入る。

力は強いな。

 

動きは元からなのか、それとも発生したばかりからか動作は緩慢に感じ躱すのは難しくない。

生憎【邪】の魔王として生まれたこの身体は頑丈さであればそこそこ程度しかない。

なので身体を張った防御やノーガードの殴り合いはコイツみたいなパワーゴリ押しタイプとするのは向いてない。

 

急所を狙った打撃で仕留める戦闘の鍛錬になる。

サイクロプスの何度も続く打撃はどれもが高い威力を示す。

隙が多く防御を考えてない姿勢での攻撃を観察しほんの少しの打撃の合間を待つ。

 

しかし回避にも当然スタミナは消費される。

相手も殴る掴む蹴る突進などしているため同様にスタミナは減る。

そうしてる間にサイクロプスの間合いをある程度正確に分析でき、徐々に回避は脚運びに無駄がなくなっていることが自分でも認識できた。

 

(振り下ろし、掴み、薙ぎ払い…次は振り下ろしがフェイントの掴み…む…同時に屈んだか、なら)

 

素早い次の一手はない。

 

 

「カッ!!」

 

瞬間に姿勢を変え右肩、右足を前に向け反撃の拳を突き出す。

 

脇腹に拳が入りサイクロプスは姿勢が大きく崩れ_

(ヤツの反撃に注意しながら追撃!)

相手は目を瞑り視界ゼロ。

攻めるチャンス。

(払い、払い、感での叩きつけ…)

背後に回り込み、跳び蹴りを首に直撃させる。

 

ドッ、と低い音と鈍く砕ける音がした。

 

蹴りを受けたサイクロプスの巨体は前のめりに倒れ動かなくなった。

 

『勝利おめでとうございますモラクス様。』

 

くぐもった声でそう言いナイトが近づく。

 

「ありがとう。今日はここで切り上げる。…ナイト、後で相手を頼む。」

 

『かしこまりました。』

 

ナイトが来て二日目からナイトとの組み手や魔王の消滅後に残ったダンジョンで無限に湧く魔物と戦っている。

 

(今の)モラクスが武器や魔法を使わないのは徒手空拳の奥の深さ、魔力を温存できる戦闘継続能力、自分に合ってるという半ば思い込みからだ。

スタイルは拳法風で、ステップなどを踏まないものにまとまっている。

一週間の経過で彼は拳法の達人には程遠い存在だが鍛錬と実践より形にはなって来て技として攻撃をすることも可能となった。

 

モラクスは場数を踏み、自身が強くなろうとしている。

それはダンジョンを構え魔物を使役し人間の強い感情を贄とする魔王のあり方とは異なるものだ。

なぜ彼が目指すのか、それは最初のゴブリンとの命懸けの戦いで魔王も生きるために強くなくてはならないと思っているからである。

 

 

 

其れからも彼はひたすら自分の拳術を磨き、後の方から勉学にも励んだ。

どちらも気力は削れるが苦痛だと感じなかった。

それは彼の性格が実直だが希薄であったことがそうさせている。

召喚した魔物は最初のフォールン・エンジェルナイトが一体のみでその姿はあるべき魔王とは程遠い。

 

拳術を鍛える際、親代わりのバラム経由で指南書や拳法の使い手の情報を集めるなどこの世界の拳法について知見を深めていくことも抜かりなく行った。

 

半年後にはバラムはモラクスに対し

 

「…うわぁ…いくら低級とはいえドラゴン素手でやるんだ…」

「君本当は【戦】とか【闘】の魔王だったりしない?」

 

と半ば引いた様子を見せた。

 

 

ただ拳と勉学に費すモラクスに転機とも言えることが起こった。

 

それは護衛のナイトと共に人間のいる街に行っているときのこと。

 

【黒】の魔王バラムの拠点から比較的近い場所にある【岩】の魔王のダンジョン、そこからから比較的近い村に武闘家が故郷へ戻ってきた、市民の他愛のない会話からそれを聞き取ったのだ。

 

『ご視察なさるのですか?』

「まぁ行こうとは思っている。」

『でしたらここへ来たときの馬車と同じ停留所からの馬車で乗れますね。歩いても行けますし私が飛んでお連れすることもできますがどうされますか?』

 

「馬車にしよう。」

 

『かしこまりました。』

 

 

 

馬車に揺られながら思う。

自分の従者をしているナイトについて。

バラムからは魔王の召喚する魔物はそのあり方から人間に対して敵意をもつと。

それはダンジョンで人間たちと戦うのであれば情があれば運営に対して支障が発生するかもしれないと考えると理にかなう。

ナイトは人の住む街に行くときも特に反応することは少なく人が集まる場所でも感情の揺らぎはなかった。

感情に耐えているからなのか、それとも克服した存在なのかわからない。

本人に尋ねても「天使とはそうあるべきだから」とこの一点で返される。

それでは自分にはわからない。

もしもナイトが感情を制御しているのであれば負担である。

今は従者とはいえストレスとなるようなことは少ないに越したことはない。

伝えてくれず難儀なものだと思う。

万が一で暴れてしまうかもしれない。

 

置いていくわけにもいかず…

 

 

「…着いてしまったな。」

『はい。』

 

目的地の村、ダーナル村にモラクスとナイトは到着した。

 

 

 

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