キラキラ道場破りツアー☆   作:湯瀬 煉

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最近、呪術廻戦をジャンプ本誌で買うようになりまして、毎週ワクワクしながら読んでるんですけども。
pixivでブルア廻戦もの書いてるとある日気が付くんですよ。

  ゲラゲラが、足りない……って。



英雄の王と呪いの王

 高層ビル群。

 その内の一棟が、斜めに両断されて崩れていく。

「あくまで(オレ)を落とすのが目的か。

 くだらん」

 ビルの屋上より地表を見下ろしていた男は滞空したままに手を掲げる。

 それは世界への命令。

 空間を歪め、己の宝物を下界へ晒すという宝具。

 ──『王の財宝』(ゲート・オブ・バビロン)

 現れた黄金の波紋を見上げ、下界の男は嘲る。

「貴様など、落とすまでもない」

「……ほう?」

 ではなぜ、と問うまでも無かった。

 切断したビルを足場に、四本腕の男は駆け上がる。天へと手を伸ばす傲慢さは、人の愚かさの具現か。或いは。

 

 発射された刀剣を回避し、槍を蹴って金髪の男の上空へ飛んだ“それ”は、空中で体を回転させかかと落としを繰り出した。

 当然の如く防御はされるが、相手の高度を落とすには十分な威力がある。

「俺を見下ろすな。

 俺()貴様を見下ろすのだ」

 なんら攻撃的な意味は無く、ただどちらが上にいるべきかという話。

 であれば落とすという発想は間違いはない。

 しかし男──宿儺にしてみればそれは、自らが上がるという動作であり、相手を下すのとはまた異なる行為なのだ。

 

 そして、それは相手にとっても同じ。

 

「言うではないか」

 天下に我ありと宣する者はいても、我ありて天下ありといえる存在はそう多くはない。

 世界に自分がいるのではなく、自分が君臨するこの場所が世界なのだと、そう自負するゆえ。

「──雑種風情が」

 ギルガメッシュはあくまで雑に、邪魔な羽虫を払うように宝具を展開した。

 

 「ケヒッ、ヒヒッ」

 宿儺にとって世界とは自分がいる場所以上の意味を持たない。

 世界の中心に自分がいるのではなく、自分しか世界にはいないと振る舞うのが宿儺だ。周りのことなど、花とも脆い土塊とも民とも人とも神とも思わない。

「──来い」

 

 殺意が交差する。

 同時に宿儺へ殺到する真名を持たない宝具の雨あられが弾かれ、或いは両断された。

 生き残った数本は宿儺の体を容易に貫くが、しかし致命傷にはならない。

 反動で吹き飛ぶ宿儺の背後の空間が歪み、そこから更に宝具が発射された。

 挟撃。

 たとえ英霊でも、まともに当たれば決着してしまうだろう状況だ。宿儺の腕が多いからといって、この数はさばききれないだろう。

 しかしそれは手足を動かす人間の思考だ。

 宿儺はわざわざ動くまでもない。

 

「解」

 宿儺の通常の斬撃では宝具を断ち切ることは出来ない。そもそもここで宝具を断ち切ったところで宿儺の体に宝具が当たることは防げない。しかし物理判定が存在する以上は得物のように攻撃を弾くことも可能なのだ。

「クックックッ……。

 あまり慢心するなよ。貴様の捌き方は()()()()()()()ぞ」

 両者ともに地表へ落下しながら、視線は相手にしか向けていない。

「たわけ」

 そして両者ともに、余裕の笑み。

 片や世界を背負う男、片や無頼の史上最強。

「慢心せずして、何が王か!」

 英雄王VS(バーサス)呪いの王。

「ケヒッ……違いないな」

 開幕─────。

 

 

 宿儺には二種類の斬撃がある。

 通常の斬撃、「解」と相手の耐久力や呪力に応じて最適の斬撃を放つ「捌」。

 「解」による宝具の切断及びギルガメッシュ本人への有効打は絶望的といっていい。

 宝具は神秘、魔力などによる強化があり、ギルガメッシュ本人もまた同様に、「解」で断ち切れるほど脆くは無い。

 しかし「捌」ならば対応は可能。かといって、「捌」のみで相手を殺し尽くすというのも、難しい話ではある。

 なぜならば、相手には宝具である『王の財宝』があるから。

 宿儺へ向けられていた武器はどれも一級品の中でも特に優れたもの。そして付与されている効果もバラバラだった。

 呪いの王は察する。

 あの空間の歪みから発せられるものは数多ある相手の財宝であると。脅威は適当に投げつけるだけで必殺となる攻撃の威力──などではなく。豊富過ぎる効果の種類にこそある。

 例えるならば、摩虎羅すら調伏し切った十種影法術師。しかもあの式神とは異なり、適応してからの対応ではなく、常時適切な防御を行いつつ最適の攻撃を返せるという性能である。

「戦闘員ならば得られず、しかし戦闘員であれば紛うことなき最強無比の力だっただろうな」

 ギルガメッシュが慢心をしないならば、即ち王として君臨するのではなく、戦士として勝利を求めるならば、あの宝物庫は最強の武器となっていただろう。

 しかし財宝を蒐集するのは権力者の領分である。それも武人などではなく、生粋の高貴な血筋の権力者ども。

 

 そしてギルガメッシュも、神より与えられた目など用いずに相手の実力を察していた。

 生まれながらの王として、英雄として、相手の底を見る観察眼には優れている。

「野犬風情がよく足掻く」

 愉快げに口角を上げ、景気よく宝具を乱射していく。

 宿儺の術式による斬撃の嵐は猛烈だが、それを超える勢いで宝具は放たれている。

 

 宿儺は少しずつ削られていく。

 右肩が抉れ、両足首が吹き飛び、なおも宝具による絨毯爆撃は終わらない。

 しかし次の瞬間。

「ケヒッ」

 傷が悉く修復されていく。

 時間の逆再生のように、傷の大小に関わらず。

 反転術式──本来、負のエネルギーである呪力に、負のエネルギーを掛け合わせ、正のエネルギーへと転じ、治癒を施す技術である。

「やってくれたな!!」

 呪いの王は即座に反撃を開始する。術式を、ギルガメッシュの防御にすら有効と思われる『捌』へと限定し、連射。しかしそれでも撃ち合いでは互角となるゆえに。

「駄目押しだ」

「ほう?」

 ───宿儺は静かに、掌印を組む。

 ギルガメッシュは腕を組み、様子見をするまでもない、と。観覧している。

「領域展開──」

 空間を分断せず、術式世界を広げる。術式範囲はおよそ二百メートル。呪力のないものには『解』が。呪力のあるものには『捌』が、領域が終わるまで絶え間なく繰り出し続けられる。

「───伏魔御厨子」

 必殺。そして鏖殺。大量虐殺をするためだけに設計されているような領域が、英雄王へ迫る。

 しかし勿論、古今東西、人類の叡智の原典を全て持つ英雄王は空間そのものに防御を展開することで防ぎ切る。黄金のサーヴァントに穴はない。

「まさに野犬根性よな。見境なく噛み付くばかりが得手か」

 宿儺が、次の一手を撃つまでも無く。

 因果逆転、必中の呪槍が呪いの王の心臓を穿ち抜いた。




アニメ見たら、もっとすごい戦いになりそうだったけど、ファンパレに間に合うように焦ったらこうなりました。
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