キラキラ道場破りツアー☆   作:湯瀬 煉

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いつかは書きたいと思っていた一戦です。
私得です。


ベルン vs マグサリオン

 その男は、彼にしてみれば闘技場に突如飛ばされたにもかかわらず、一切驚いた素振りを見せなかった。

 黒い鎧に身を包んだ男だった。血なまぐさい剣を携え、ただじっとベルンを見ている。

「驚かないのかい。お前からすれば、想定外が過ぎる事態だろうに」

 ゆえにその様子を眺めて、ベルンはけらけらと笑った。このような状態で周囲への無関心を貫けるのは、恐怖をごまかす虚勢か、あるいは度を越した阿呆だろう。そのような仮面は戦闘には不要と思うゆえに、怖いのなら怖いといえよと、上から目線で告げている。

 だがベルンの予想に反して、その男は本当に動揺などしていなかった。ただまっすぐにベルンを見据え、純粋な殺意を向けている。

「ここがどういう場所かはおおよそ把握している。お前が主催者で、俺の相手なのだろう? 御託はいいからさっさと始めろよ」

 ベルンの中で、相手への評価を一段階あげた。相手の適応能力というか、理解力はかなり高いらしい。しかも戦闘の早期開戦を促すとは、よほどの戦闘好きに違いあるまい、と。

「いいとも。さあ、二人で心躍る戦いをし───」

 笑顔でベルンが手を差し出した次の瞬間、彼女の首筋に黒い剣が迫った。

「……ッ!!」

 とっさに後方へ飛び去り回避すると、文字通り目と鼻の先を、男の振るう剣の切っ先が通った。高速の攻撃、ではない。不意を突かれたのだ。ただ、不意をつくというにはその攻撃はあまりに不気味だった。油断は確かにあった。しかしそれでも、このように戦場を作る程度には戦闘をたしなむベルンが、直前まで一切の気配も感じることが出来ずに首を落とされかけたのである。

「心躍る戦いだと? お前は、何を勘違いしてやがる」

 冷や汗の止まらないベルンに対し、男は嘲るように、憤るように、蔑むように言い放つ。評価などと、そんなことを抜かしている場合では無い、と。

「この戦いを娯楽か何かと思っているのか? ふざけるなよ。お前のような屑が楽に死ねると思うな」

 この男は、狂犬だ。見るもの全てを殺す根絶やしにしてやる逃がさないと怒っている。

 この男は凶兆の剣ゆえに、この男の轍には何一つ残らない。勝利も、敗北も、何も無い。まだ一撃、喰らいかけただけだが、そう確信できるだけの不吉さを、彼は纏っていた。

「──凶兆、か」

 ならばベルンは、それに『合わせる』だけ。無限に近い可能性(能力)の中から、敵を屠るのに適した力を選びとる。

「天昇せよ、我が守護星。鋼の恒星(ほむら)を掲げるがため」

 ベルンの属する神座世界とは異なるシステムで起動するは、異星の環境。最小単位の惑星、星辰光(アステリズム)

「死が満ちる、死を満たせ、死を杯へ注ぐのだ

 狂乱と破壊と炎と災いで、見渡す荒野を深紅に染める

 青銅の鎧を纏え。両手は槍を携えよ

 戦車へ騎乗し突撃すれば、敵兵はものみな等しく髑髏の山と成り果てようぞ

 おお、芳しきかな、人肉の脂が燃える

 打ち震えるかな、無意味で無情な流血よ

 ただ理不尽に散りゆく獲物、これぞ戦の誉れなり

 野獣の如き蹂躙だけがこの身を至福へ誘うのだ

 城壁の破壊者は、泰平をこそ打ち砕く」

 モチーフは戦神マルス。一般的に戦の神といえば、勝利へ導き都市を守る女神であるアテナといった、いわゆる戦勝祈願の際に祈る信仰対象を思い浮かべるだろう。だがマルスはそのような素晴らしい利益を与える存在とは限らない。いうなれば戦場の醜さ、恐ろしさ、災いの象徴。争い、戦い、殺し尽くす乱暴の極み。

 撒き散らすは災禍。築くは無数の屍山。血の雨で血の河を作る凶星なれば。

「永遠たれ、凶兆たる災禍の紅よ

 神々の弾劾さえ我が悦びを裁くに能わず」

 この渇望の根源は凶気、害意、清々しいまでの殺戮衝動。幼子がアリの行列を皆踏み潰してしまうように。他人の作った砂山を容易く打ち砕いてしまうように。人々を、人間を、たくさんたくさん殺したいという願い。

 彼は言った。どうして人を殺しては駄目なのか。

 彼の理性は訴えた。それが常識と良識に反するからだと。

 ゆえ、彼は決めた。ならば()()()()()殺せば支持されるだろう、と。

 反英雄として、理性ある怪物として、()()()()()()()と思わせる演出で人を殺し続ける。そうすれば()()()()()()()()()()()()()のだから。

 この人造の惑星、赤き星、星辰の名は

超新星(metalnova)──

 義なく仁なく偽りなく、(Disaster)死虐に殉じる戦神(Carnage)

 詠唱と共に能力の所有主と共鳴し、高揚した精神のままに相手へと殴り掛かる。相手は咄嗟に剣で拳を迎撃しようとしたがしかし、拳が剣に触れた瞬間、刀身は消滅し、打撃は綺麗に直撃した。

「ぐ……ッ」

 男の呻き声を聞いて、ベルンは静かに笑った。

 義なく仁なく偽りなく、(Disaster)死虐に殉じる戦神(Carnage)。その能力は、分子結合分解。全身から瘴気を放出し、瘴気に触れた対象を構築する分子の結合から分解することで消滅させてしまう。ならばあらゆる装甲に意味はなく、迎撃などするだけ無駄に違いない。

 相手の剣には真ん中から穴が空いている。迎撃を続ければ武器も無くなるし、相手の着込んだ鎧もこの能力を前には意味が無い。

「屑が、楽に死ねると思うな? ははッ!

 考え方が甘いんだよ。この世界はあればあるだけいいんだ。優秀な人間なら性根が腐っていようと、屑だろうと関係なく勝つし、幸せに逝くんだよ。要は頭一つ抜けた精神力さえあれば、諦めることを知らない狂人であれば、人という理性を捨て去っていようとも偉人と呼ばれるし尊敬されるし尊いとされるんだ。

 お前がどこの誰だか知らんし覚えるつもりもないが、悪ならば、屑ならば死ねと吠える前に考えてもみろよ。誰かにとっての善は誰かにとっての悪だし、自分勝手な善意は他人からすればただの悪意でしかない、と!」

 次々と拳を当て、相手の鎧を削っていく。剣ももうボロボロだ。男を罵る言葉と共に笑いが止まらず、ベルンは攻撃を続ける。

 攻撃を、続けられていた。───その違和感に気が付かずに。

 なぜ、これだけ攻撃しても相手は動けるのか。分子結合分解をしているにも関わらず相手が削れる感触がないのはどういうことか。その一切を疑問に思っていない。そういう相手なんだろう、と決めつけて。だがそれだけだったと、勝敗を決した気になって。

「───マグサリオンだ」

 トドメと相手の顔面に拳を叩き込むのと、声が聞こえたのは同時だった。

「───は?」

「俺の名だよ。お前のその、都合のいいことばかり忘れる頭は健在のようだな。殺してやる」

 ベルンの間抜けた声は、視覚情報によるものか、聴覚情報によるものか。──そのどちらも、だろう。

 まず視覚情報。ベルンが砕いた鎧の先には、()()()()()()。完全なる『無』。顔もなく、肉体はなく、ただどす黒いナニカがこちらを見つめていた。

 そして聴覚情報。その言葉はまるでベルンを知っているようだった。そして相手の名前も、何故だか聞き覚えがある。

 不吉な予感がする。冷や汗が止まらない。先ほどまでの笑顔など嘘のように、冷水を浴びせかけらたように、ベルンはただ、相手の視線を浴び続けていた。

 刺すような、抉るような、ただ殺すと告げているその視線に、見覚えはないか。かつてどこかで、この視線の男に殺されはしなかったか。

 

「─────────ぁ」

 

 ベルン・カレイヒが生まれる前。()()()()()()()()()()()()()()()()

 それが答えである。

 彼は狂犬などではない。凶剣──善なる戦士であり、義者でありながら、誰よりも凄惨に、誰よりも残虐に、そして効率よく悪を殺した男。揺らぐ善と悪という価値観を冷笑し、どちらも滅ぼした男。

 そして、ベルンの()から得た知識も蘇る。

 マグサリオン。それは第二神座、無慙の持つ()のひとつ。神座世界で唯一、人のまま宇宙を絶滅させた男。

 神座に、宇宙に、善に、悪に、全てに反逆するこの男は、相対したものに関する記憶を失うという特異点のルールにすら反逆した。

「思い出したかよ、間抜け。

 そうだ、()()()()()()()()()()。名を変え見た目を変えようとも本質は変わらんようだな」

 マグサリオンは優れた観察眼と理解力を用いて敵の弱点を的確に抉り、複数の銀河をまたぐような規格外の巨星すらも両断せしめる。彼が理解を完了すれば、どんな防御もどんな攻撃も意味は無く、ただ一太刀で殺され、彼の『不変』に取り込まれてしまう。

 マグサリオンを倒したいのなら、彼が理解するより先に一撃で確実に殺さなければならなかった。しかしベルンは相手を見下し、大したことがないだろうと軽視して、勝機を逃した。

 無様に拳を打ち込んだ姿勢のまま止まっているベルンにの瞳に凶剣を振りかぶったマグサリオンが映った。

「貴様の言い分は理解した。が、矛盾しているんだよ。

 優秀ならば性根が腐っていようと許されると説きながら、諦めない精神力、狂気的なまでの向上心を尊んでいる。へそ曲げていても強ければいいのか、それとも真っ直ぐに諦めないのがいいのか、ハッキリしろよ」

「それは、言葉を間違えただけで……!」

「違うだろう?

 お前は真っ直ぐに諦めない奴を尊んでいるんだ。兄者、バフラヴァーン、カール・クラフトに藤井蓮。お前が好意的なのはいつでもそういう輩だろうが。

 お前は善意が悪意に変わると知っている。善だと信じていても悪に転がり落ちると知っている。お前自身が価値観の流転を経験したように、不変で不屈の精神などそう簡単には手に入らないと知っている。同時に、強い念に善も悪も無いとも理解している。へそ曲がりで悪辣な願いに真摯な奴もいる。

 半端な理性で公平性を重んじたお前は、お前好みの前向き(ポジティブ)で純粋な渇望だけでなく、性根の腐った優秀な奴とやらも尊重しなければならなくなった。

 お前は俺を指して甘い考えだと言ったな。そうとも、善悪などという曖昧な価値観で人の価値を測るのは俺も気に食わんよ。だがお前はお前の座に則り、その甘い考えすら肯定するべきだっただろう」

 否定はできない。

 言葉の剣はベルンを容赦なく貫いていく。完膚無きまでに理解し、弾劾してから殺す。マグサリオンの剣は常の通り不変の冥府魔道で、ゆえにベルンの覇道で彼は倒せない。

「お前はお前の願いを貫けていない。そういう自覚もあるから、自分を守るために善悪に拘るなと()()()()()。不変では無い。ゆえに殺す。ここで死ね」

 ついに剣が振り下ろされようとした、その刹那。

「───(まが)

 ベルンの言葉と共にマグサリオンの手首が不自然に捻れ、剣閃の軌道がズレた。

 歪曲の魔眼。それも、二方向に捻れる一級品。首や胴体は拗らなかったか、捻れなかったのか。どちらにせよ結果は変わらない。

「不変じゃない? ああ、そうかもな。

 私は中途半端な理性で願いを選別しないと決めたのかもしれない。願いを選別しないことで想定しうる悲劇からも目を逸らしたし、それを厭う自分を押し込めた」

 ベルン・カレイヒはまだ負けていない。勝ち筋はもう限りなく薄いが、勝負は終わっていない。

 これまでの戦いのように華々しい戦いではなく、これは削り合い。底を知られた女による抵抗戦。ああ、或いはこのような負け戦でこそ、青銅の蛇は輝くのだから。

「認めるよ。私は不変じゃない。ゆえに弱い。

 ハッピーエンドを期待していると素直に思うことも出来ず、ただ都合のいい下剋上が起きるのを待っているだけだとも。……なるほどな、私が善悪に拘るのを嫌がるのは、私が一番拘っているから、か。くふふ、ふふふ、ああ、たしかに間違いない」

 マグサリオンの手首が治る。手首も、鎧の欠損も、まるで死を許さないという様に再生していく。いや、彼の場合はマグサリオン自身の意志によるものだろう。むしろ鎧の方こそ彼の許しを得るまで永遠、役目を終えることを許さないというように縛り付けられているようにもみえる。

 生物の条理を超えて再生するマグサリオンを前に、ベルンもまた覚醒を果たそうとしていた。

 しかし、マグサリオンを相手に、どれだけ成長できるかなどあまり意味がないだろう。どれだけ強くなっても本質は変わらず、ならばマグサリオンの剣は必殺である。

 ならばこの行為は無意味なのかと問われれば、そうじゃないだろう。この世に無駄なことなどないのだから。どんなことも結局は過去になり、経験になり、何かしらの伏線となって些細なことから大きなことまで、人生を変える要因となる。

 この覚醒も、或いはマグサリオンと戦うにあたって重要な因子となる可能性は否定できない。

 

 ゆえに綴ろう。ベルン()のことを。

 マグサリオンは私の最奥まで見抜いて、理解して刃を突き立てるゆえに。私は私を見つめ直さなければならない。時間はあまりないが、問題はないだろう。私の友人は時間を切り刻み、引き伸ばすのに長けていたし、彼を真似ればきっと出来るはず。

 ……私がいた宇宙は、無限の可能性など欠片も存在しない世界だった。細かい違いはあったのかもしれないが大体は同じ流れを繰り返していて、すべてが既知──誰かの敷いたレールの上を走るような人生だったといっていい。それを自覚していたかどうかの違いはあれど、誰しも呪いのように宿命に縛られて身動きできなかったことは否定できないだろう。そういう宇宙だったからこそ、私という無限の可能性を示す覇道は生まれた、といえる。良くも悪くも──これはマグサリオン曰く『半端な理性』ゆえだが──どんな願いも叶えられる宇宙というのは、私にとって理想郷である。

 ああ、しかし。確かに私は叶えられる願いは善良たれと願っている。たとえば、一人の女を守り抜きたいという男と、すべての女を多少強引にでも抱きたいと思っている男がいたとして、後者の方が強くその信念を持っていたとしても、私は前者を応援したいと思う。恒久的な平和と無限の戦乱を望む者なら、前者を選ぶだろう。

 だが同時に。私は『正義』という言葉が嫌いだった。人を、価値観を、二分する考え方が嫌いだった。何かを願うのなら、それは結局のところエゴイズムに他ならない。先ほどの例を用いるのなら、一人の女を守りたいと思う男は素晴らしいとは思うものの、その女がその男に守られたいかは別だろう。男と女が交際関係にある場合と、男が変質者で勝手に女を守りたいと奮起していた場合とでは受ける印象が全く違う。恒久的な平和にしたってそうだ。社会とは常に競争を生み出すもので、競争によって爆発的な成長を遂げる。逆にいえば競争のない社会はどうにも成長が緩やかで、技術革新などを生みにくい。第四神座に存在する、東西冷戦時の宇宙開発がいい例だろう。あれは両国間が競っていたからこそ、月にまで届く友人ロケットを生み出し得たわけで、全世界が平和ならばそもそも月にいってみようという発想が生まれたかどうかすら分からない。発展のない社会でも人は増えるわけだから、必然的に貧乏になっていくのが目に見えるだろう。かつての社会主義国家たちがそうであったように、恒久的に平和な世界は皆、貧窮していくに違いない。

 あちらを立てればというように、世の中、何かがプラスになればそれに応じたマイナスが生じる。しかし正義という物差しはそういうルールを無視してくる。一つの価値観だけを肯定する万能の道具だから、正義でないものは悪として無条件で否定されてしまう。だって、そうでなければ社会は立ち行かないから。人は皆違うゆえに、絶対の物差しがないとまとめられない。「お前にとってはそうかもしれないけど、俺にとっては違うから」という理屈が何にでも適用されてしまえば、殺人も強盗も抑えられず、労働も納税も強制できず、社会的地位の機能しないがために社会を構築することすらできないのだ。

 ああ、だから嫌なんだよ、正義ってやつは。

 なければ困るけれど、価値観を固定されてしまう。正義という枠の中にあるものだけを尊んで、枠外に出たらみんなで寄って集って攻撃し始めるんだ。正義というものは絶対の物差しゆえに、誰しも寄りかかりやすいから。そうして今度は、行き過ぎた正義感、偽善、そういう概念まで登場して、枠内に留まろうとする人まで攻撃され始める。物差しを決めて二分すると、どちらの側に立っても『そうじゃない人たち』が生まれてしまう。私は弱者で、敗北者で、『そうじゃない人』だったから。そういう立場が存在することそのものが耐えられない。

 この手の議論への結論として、中立、中庸という答えがある。善過ぎず、悪過ぎず、その中間地点を維持し、目指そうという考え方はきっと間違いじゃない。だがそれでは私の望む無限の可能性が潰えてしまうだろう。皆が中立で、極端な者が存在しない世界は確実に均一過ぎて自由がない。結局、メルクリウスの座と同じになってしまう。

 自由でありながら、私の望む通りの前向きな、希望に向かってひた走る世界──これを叶えるには、どうするべきなのか。

「ああ。だが、これだけは確かだな」

 

 マグサリオンの剣が振り下ろされる。しかし、その時にはもう、ベルンへの特攻性能はほとんど失われていた。それはもう、真剣白刃取りが可能なレベルには。

「ほう……?」

 能力無効化、などでは無い。そもそもそんなものでマグサリオンの理解特攻をどうこう出来るとは到底思えない。だから、今回の“これ”はもっと簡単な理由で起きた。

()()()。お前の言う通り今の覇道は私の理想を完全には叶えていない。ゆえに()()()()()()()()

 神座世界の常識として、強いものほど不可逆性が高いという法則がある。理を超えて極めきった存在ゆえに、レベルを落とせないのだ。

 ラインハルト・ハイドリヒが墓の王でしかなく、彼が触れた相手は常に壊れてしまうように。メルクリウスが黄昏の女神以外を愛さないように。自分の渇望はそのままに別の道を探すということは出来ないといっていい。むしろ、そんなに揺らぐ存在ならば神座にはたどり着けていない。

 ──だがここに例外が存在する。

 ベルン・カレイヒ。青銅の蛇。あらゆる不可能を可能に変え、無限の可能性を体現した宇宙は、それゆえ座に至るほどの究極であっても気持ち次第で様々な姿に変わりうる。変わり続けるという不変、それがベルンなのだ。

 そしてベルンが変わったのなら、マグサリオンの理解力はリセットされる。マグサリオンの特攻性能は段階性であるがゆえ、どうしても必殺というレベルからは落ちてしまう。

「仕切り直しだ、マグサリオン。

 なに、何度も変わり身(こんな手)は使わんさ。ここから逆転して、私はお前に勝つ」

 ベルンに、不敵な笑みが戻った。

「構わん。やってみせろよ」

 マグサリオンの声は、言葉とは裏腹に、期待など籠もっていなかった。やはり感じるのは殺意、殺意、殺意ばかり。だがそれで構わない。彼はそういうものだし、それ以外の一面などは敵に見せる必要が無い。

 これは削り合いで、殺し合いだ。お互いに向けるのは殺意の刃だけで十分だろう。

 魔道の男と覇道の女。ふたつの道が今、激突する。




今回、あんまり話し動いてないなーって思ったけど区切ります。
なぜならマグサリオンの言葉に対する解答を全く用意してなかったから。書いてたら思った以上の切れ味で刻まれて「………このままベルンを負かすのはちょっと嫌だけど、何も言えねえ」って状態だからです。

善悪の闘争に対する嫌悪感の正体を、まさかの自分の書いてる二次創作で理解するという異常事態。
でもこれを乗り切ればなんか、いいバトルになるという気がするんですよ!! 待っててくださいね!!
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